1 00:00:00,000 --> 00:00:02,000 私は皆さんに 本日分の 2 00:00:02,000 --> 00:00:04,000 推奨摂取量の詩を 3 00:00:04,000 --> 00:00:06,000 お届けに上がりました 4 00:00:06,000 --> 00:00:08,000 その方法として 5 00:00:08,000 --> 00:00:10,000 私の5つの詩の 6 00:00:10,000 --> 00:00:12,000 アニメーションを 7 00:00:12,000 --> 00:00:14,000 お見せしようと思います 8 00:00:14,000 --> 00:00:16,000 まずはその経緯を少しお話ししましょう 9 00:00:16,000 --> 00:00:18,000 この2つのメディアを組み合わせるのは 10 00:00:18,000 --> 00:00:21,000 ある種不自然で不必要な行為だからです 11 00:00:21,000 --> 00:00:25,000 私が米国桂冠詩人だったとき・・・ 12 00:00:25,000 --> 00:00:27,000 この響きが何とも言えませんね 13 00:00:27,000 --> 00:00:29,000 (笑) 14 00:00:29,000 --> 00:00:32,000 話の出だしとして申し分ないと思います 15 00:00:32,000 --> 00:00:35,000 その桂冠詩人だったときに 16 00:00:35,000 --> 00:00:38,000 広告代理店のJ・ウォルター・トンプソンが 17 00:00:38,000 --> 00:00:40,000 サンダンスチャンネルのための 18 00:00:40,000 --> 00:00:42,000 企画を持ってきました 19 00:00:42,000 --> 00:00:44,000 私が詩を朗読し 20 00:00:44,000 --> 00:00:46,000 それにアニメーションを 21 00:00:46,000 --> 00:00:48,000 付けるというのがコンセプトでした 22 00:00:48,000 --> 00:00:50,000 最初私は抵抗を感じました 23 00:00:50,000 --> 00:00:52,000 詩というのは単独で成立するものだと 24 00:00:52,000 --> 00:00:54,000 いつも思っていたからです 25 00:00:54,000 --> 00:00:57,000 私の詩に音楽を付けようという試みは 26 00:00:57,000 --> 00:00:59,000 例外なく 27 00:00:59,000 --> 00:01:02,000 ひどい結果に終わっていました 28 00:01:02,000 --> 00:01:05,000 音を意識して書かれた詩には 29 00:01:05,000 --> 00:01:08,000 作る時点で既に 独自の言葉の音楽が 30 00:01:08,000 --> 00:01:10,000 与えられています 31 00:01:10,000 --> 00:01:12,000 それにまた 牛について 32 00:01:12,000 --> 00:01:14,000 書いた詩を読むとき 33 00:01:14,000 --> 00:01:16,000 向かいのページにまさか 34 00:01:16,000 --> 00:01:18,000 牛の絵は必要ないでしよう 35 00:01:18,000 --> 00:01:21,000 少しは読者に想像の余地を残してあげないと 36 00:01:21,000 --> 00:01:24,000 それでも私が考えを変えたのは そこに興味深い— 37 00:01:24,000 --> 00:01:27,000 可能性があったのと 私自身が子ども時代以来の 38 00:01:27,000 --> 00:01:30,000 アニメ好きだったからです 39 00:01:30,000 --> 00:01:32,000 私の想像力に影響を与えたのは 40 00:01:32,000 --> 00:01:35,000 エミリー・ディキンソンや コールリッジや ワーズワースよりむしろ 41 00:01:35,000 --> 00:01:37,000 エミリー・ディキンソンや コールリッジや ワーズワースよりむしろ 42 00:01:37,000 --> 00:01:39,000 ワーナー・ブラザーズや 43 00:01:39,000 --> 00:01:42,000 メリー・メロディーズや ルーニー・テューンズだったのです 44 00:01:42,000 --> 00:01:45,000 バッグス・バニーが私のインスピレーションの源です 45 00:01:46,000 --> 00:01:50,000 それにまた テレビに詩が登場する道を開くことにもなります 46 00:01:50,000 --> 00:01:53,000 私は詩を公共の場に出すことには大賛成です 47 00:01:53,000 --> 00:01:56,000 バスで 地下鉄で 48 00:01:56,000 --> 00:02:00,000 広告板で シリアルの箱で詩を見るのです 49 00:02:00,000 --> 00:02:04,000 私が桂冠詩人だったときのことですが・・・また言ってしまいましたね 50 00:02:04,000 --> 00:02:07,000 ついついやってしまうんです・・・ 51 00:02:07,000 --> 00:02:10,000 (笑) 52 00:02:10,000 --> 00:02:13,000 私はデルタ航空のための詩の番組を作っていて 53 00:02:13,000 --> 00:02:15,000 それは2年ほど続きました 54 00:02:15,000 --> 00:02:18,000 飛んでいる間 詩のチャンネルを楽しめるわけです 55 00:02:18,000 --> 00:02:20,000 私の感覚からするなら 56 00:02:20,000 --> 00:02:23,000 詩を本棚から取り出して日常の場面に配する 57 00:02:23,000 --> 00:02:25,000 というのは良いことです 58 00:02:25,000 --> 00:02:28,000 詩との出会いを作れます これは取り入れたいアイデアです 59 00:02:28,000 --> 00:02:31,000 広告板やラジオ番組やシリアルの箱などに 60 00:02:31,000 --> 00:02:33,000 詩が出てくれば 61 00:02:33,000 --> 00:02:35,000 不意に接することになって 62 00:02:35,000 --> 00:02:37,000 多くの人が高校の時に身に付ける 63 00:02:37,000 --> 00:02:41,000 対詩回避シールドを展開する 64 00:02:41,000 --> 00:02:44,000 間がありません 65 00:02:46,000 --> 00:02:49,000 それでは最初のを見ることにしましょう 66 00:02:49,000 --> 00:02:52,000 『ブダペスト』という題の短い詩です 67 00:02:52,000 --> 00:02:54,000 この中で私は創作プロセスの 68 00:02:54,000 --> 00:02:56,000 秘密を明かすというか 69 00:02:56,000 --> 00:03:00,000 明かすようなふりをしています 70 00:03:01,000 --> 00:03:03,000 『ブダペスト』 71 00:03:03,000 --> 00:03:06,000 私のペンはページの上を 72 00:03:06,000 --> 00:03:09,000 奇妙な動物の鼻のように動き回る 73 00:03:09,000 --> 00:03:11,000 人の腕のような姿をし 74 00:03:11,000 --> 00:03:13,000 ゆったりした緑のセーターの 75 00:03:13,000 --> 00:03:15,000 袖を身に纏っている 76 00:03:15,000 --> 00:03:18,000 それが紙の上を休みなく嗅ぎまわり 77 00:03:18,000 --> 00:03:21,000 今日の糧となる 78 00:03:21,000 --> 00:03:23,000 地虫や昆虫しか 79 00:03:23,000 --> 00:03:26,000 頭にない狩人のように 80 00:03:26,000 --> 00:03:29,000 一心な様子を眺めている 81 00:03:29,000 --> 00:03:32,000 明日もここにいるのが唯一の望み 82 00:03:32,000 --> 00:03:34,000 格子縞のシャツの袖でも 83 00:03:34,000 --> 00:03:36,000 纏えれば言うことはなく 84 00:03:36,000 --> 00:03:38,000 鼻を紙の上に押しつけ 85 00:03:38,000 --> 00:03:42,000 任務のように線をさらに書きつける 86 00:03:42,000 --> 00:03:44,000 その間私と言えば 窓の外を眺め 87 00:03:44,000 --> 00:03:46,000 ブダペストや 88 00:03:46,000 --> 00:03:48,000 その他の 89 00:03:48,000 --> 00:03:51,000 行ったこともない街のことを思っている 90 00:03:52,000 --> 00:03:55,000 少し簡単そうに見せていますが 91 00:03:55,000 --> 00:03:57,000 (拍手) 92 00:03:57,000 --> 00:04:01,000 書くというのは 私にとってそこまで簡単ではありません 93 00:04:01,000 --> 00:04:06,000 でも簡単にできるように見せたいのです 94 00:04:06,000 --> 00:04:09,000 入門的な詩の授業の後 学生がやってきて言ったんです 95 00:04:09,000 --> 00:04:14,000 「詩は文章より難しいですよね」と 96 00:04:14,000 --> 00:04:17,000 これは間違ってますが 鋭いものがあります 97 00:04:17,000 --> 00:04:20,000 (笑) 98 00:04:20,000 --> 00:04:23,000 だから少なくとも ただ流れ出てくるかのように見せたいのです 99 00:04:23,000 --> 00:04:26,000 詩人でもある友人がよく言うのは 100 00:04:26,000 --> 00:04:29,000 「最初うまくいかなかったら 101 00:04:29,000 --> 00:04:32,000 試みた痕跡をみんな隠せ」ということです 102 00:04:32,000 --> 00:04:34,000 (笑) 103 00:04:34,000 --> 00:04:37,000 次の詩も短いものです 104 00:04:37,000 --> 00:04:40,000 詩というのはちょっとしたことを違ったように言っているだけです 105 00:04:40,000 --> 00:04:43,000 この詩は煎じ詰めると「クマを食べる身になることもあれば 106 00:04:43,000 --> 00:04:46,000 クマに食べられる身になることもある」ということです 107 00:04:46,000 --> 00:04:48,000 そしてここでは人形の家の 108 00:04:48,000 --> 00:04:50,000 家具のイメージを使っています 109 00:04:50,000 --> 00:04:53,000 『ある時には』 110 00:04:54,000 --> 00:04:56,000 ある時には 111 00:04:56,000 --> 00:04:59,000 私は人々をテーブルに付かせる 112 00:04:59,000 --> 00:05:01,000 関節が曲げられるなら 113 00:05:01,000 --> 00:05:03,000 彼らの脚を膝のところで折り曲げ 114 00:05:03,000 --> 00:05:07,000 小さな木の椅子に据える 115 00:05:07,000 --> 00:05:10,000 午後の間中 顔を見合わせたまま 116 00:05:10,000 --> 00:05:12,000 茶色いスーツの男や 117 00:05:12,000 --> 00:05:14,000 青いドレスの女が 118 00:05:14,000 --> 00:05:18,000 身じろぎもせず 行儀良くしている 119 00:05:18,000 --> 00:05:20,000 別な時には 120 00:05:20,000 --> 00:05:22,000 私の方が体をつまみ上げられ 121 00:05:22,000 --> 00:05:26,000 人形の家の食堂に下ろされて 122 00:05:26,000 --> 00:05:29,000 他の人たちと共に長テーブルにつく 123 00:05:29,000 --> 00:05:31,000 まったくお笑いだ 124 00:05:31,000 --> 00:05:33,000 しかしその日その日を 125 00:05:33,000 --> 00:05:36,000 どう過ごすことになるのか分からなかったとしたら 126 00:05:36,000 --> 00:05:38,000 どう思うだろうか? 127 00:05:38,000 --> 00:05:41,000 肩が雲に達する躍動的な神のように 128 00:05:41,000 --> 00:05:44,000 大股で歩き回って過ごすことになるのか 129 00:05:44,000 --> 00:05:46,000 それとも壁紙に取り囲まれて 130 00:05:46,000 --> 00:05:48,000 席につき 131 00:05:48,000 --> 00:05:50,000 小さな作り物の顔で 132 00:05:50,000 --> 00:05:54,000 正面を見つめて過ごすことになるのか 分からなかったとしたら? 133 00:05:56,000 --> 00:06:01,000 (拍手) 134 00:06:01,000 --> 00:06:04,000 これにはどこか恐怖映画のような趣があります 135 00:06:04,000 --> 00:06:06,000 次の詩は『忘却』という作品で 136 00:06:06,000 --> 00:06:08,000 記憶の低下を題材にした 137 00:06:08,000 --> 00:06:12,000 詩的なエッセイのようなものです 138 00:06:12,000 --> 00:06:14,000 この詩は ある種の 139 00:06:14,000 --> 00:06:17,000 忘却性ではじまります 140 00:06:17,000 --> 00:06:19,000 文芸的健忘と 141 00:06:19,000 --> 00:06:21,000 呼ぶ人もいますが 142 00:06:21,000 --> 00:06:25,000 つまりは 読んだことを忘れるということです 143 00:06:28,000 --> 00:06:30,000 『忘却』 144 00:06:30,000 --> 00:06:33,000 最初に失われるのが著者の名前で 145 00:06:33,000 --> 00:06:35,000 それに続いて いつの間にか 146 00:06:35,000 --> 00:06:37,000 書名 筋書き 147 00:06:37,000 --> 00:06:39,000 悲痛な結末 148 00:06:39,000 --> 00:06:41,000 小説の全体が消え 149 00:06:41,000 --> 00:06:44,000 突然 読んだことがないものになり 150 00:06:44,000 --> 00:06:46,000 聞いたこともないものになる 151 00:06:46,000 --> 00:06:48,000 かつては宿していた 152 00:06:48,000 --> 00:06:51,000 記憶が1つひとつ 153 00:06:51,000 --> 00:06:55,000 南脳半球にある 電話も通じない 154 00:06:55,000 --> 00:06:57,000 小さな漁村へと 155 00:06:57,000 --> 00:06:59,000 引っ込むことに決めたかのようだ 156 00:06:59,000 --> 00:07:01,000 だいぶ以前に 157 00:07:01,000 --> 00:07:04,000 9人のミューズの名前にお別れのキスをし 158 00:07:04,000 --> 00:07:06,000 二次方程式が荷物を 159 00:07:06,000 --> 00:07:08,000 まとめるのを見た 160 00:07:08,000 --> 00:07:10,000 今でさえ 161 00:07:10,000 --> 00:07:12,000 惑星の順番を覚えるはなから 162 00:07:12,000 --> 00:07:14,000 別なものが抜け落ちていく 163 00:07:14,000 --> 00:07:16,000 州の花だったり 164 00:07:16,000 --> 00:07:18,000 叔父の住所や 165 00:07:18,000 --> 00:07:20,000 パラグアイの首都 166 00:07:20,000 --> 00:07:22,000 思い出そうと 167 00:07:22,000 --> 00:07:24,000 あがいているものが何であれ 168 00:07:24,000 --> 00:07:27,000 喉に出かかるどころか 169 00:07:27,000 --> 00:07:29,000 脾臓の 170 00:07:29,000 --> 00:07:31,000 目立たない片隅に 171 00:07:31,000 --> 00:07:33,000 隠れてさえいない 172 00:07:33,000 --> 00:07:35,000 神話上の暗い川に乗って 173 00:07:35,000 --> 00:07:38,000 流れていってしまったのだ 174 00:07:38,000 --> 00:07:41,000 その川の名前は 覚えている限りでは 175 00:07:41,000 --> 00:07:43,000 Lで始まるのだが 176 00:07:43,000 --> 00:07:46,000 忘却の地へと向かう途上にあって 177 00:07:46,000 --> 00:07:48,000 泳ぎ方や 自転車の乗り方さえ 178 00:07:48,000 --> 00:07:50,000 忘れてしまった人たちに 179 00:07:50,000 --> 00:07:53,000 やがて加わることになる 180 00:07:53,000 --> 00:07:56,000 夜中に目を覚まし 181 00:07:56,000 --> 00:07:59,000 戦争の本を開いて 有名な戦闘のあった日付を 182 00:07:59,000 --> 00:08:01,000 探すのも無理はない 183 00:08:01,000 --> 00:08:03,000 窓の外の月が 184 00:08:03,000 --> 00:08:06,000 かつてはそらで言えた恋愛詩から 185 00:08:06,000 --> 00:08:10,000 抜け出したかのように見えるのも無理はない 186 00:08:12,000 --> 00:08:20,000 (拍手) 187 00:08:20,000 --> 00:08:22,000 次の詩は『田舎』です 188 00:08:22,000 --> 00:08:24,000 これは 189 00:08:24,000 --> 00:08:26,000 大学の時に知り合って 190 00:08:26,000 --> 00:08:29,000 今も親しくしている友達とのことを元にしています 191 00:08:29,000 --> 00:08:31,000 彼は昔も今もバーモントの田舎住まい 192 00:08:31,000 --> 00:08:33,000 私の方はニューヨークに住んでいて 193 00:08:33,000 --> 00:08:35,000 互いによく行き来していました 194 00:08:35,000 --> 00:08:37,000 私が田舎に行ったときには 195 00:08:37,000 --> 00:08:40,000 彼が鹿狩りとか・・・ 196 00:08:40,000 --> 00:08:43,000 これは銃を持って迷子になるのと ほぼ同義でしたが・・・ 197 00:08:43,000 --> 00:08:45,000 (笑) 198 00:08:45,000 --> 00:08:47,000 あるいはマス釣りなんかを教えてくれ 199 00:08:47,000 --> 00:08:49,000 彼がニューヨークに来ると 200 00:08:49,000 --> 00:08:51,000 私が知っていることを教えましたが 201 00:08:51,000 --> 00:08:53,000 それは概ね煙草と酒でした 202 00:08:53,000 --> 00:08:55,000 (笑) 203 00:08:55,000 --> 00:08:58,000 そうやって私達は互いの知識を交換していたのでした 204 00:08:58,000 --> 00:09:00,000 これから出てくる詩は 205 00:09:00,000 --> 00:09:03,000 彼が田舎の暮らし特有の家庭の作法について 206 00:09:03,000 --> 00:09:05,000 ちょっと教えようとしたことが 207 00:09:05,000 --> 00:09:07,000 元になっています 208 00:09:07,000 --> 00:09:09,000 最初私には理解しがたく感じられたのです 209 00:09:09,000 --> 00:09:11,000 では『田舎』をご覧ください 210 00:09:11,000 --> 00:09:14,000 『田舎』 211 00:09:14,000 --> 00:09:16,000 どこで擦っても点けられる 212 00:09:16,000 --> 00:09:18,000 マッチの入った箱を 213 00:09:18,000 --> 00:09:21,000 家の中に放って置いてはいけないと 214 00:09:21,000 --> 00:09:24,000 君が言ったのを訝しく思った 215 00:09:24,000 --> 00:09:26,000 ネズミが入って火を付けるかも知れないと言うのだから 216 00:09:26,000 --> 00:09:28,000 ネズミが入って火を付けるかも知れないと言うのだから 217 00:09:28,000 --> 00:09:31,000 しかしいつもマッチを 218 00:09:31,000 --> 00:09:33,000 しまっておくという 219 00:09:33,000 --> 00:09:35,000 丸い缶の蓋を閉めていた時の 220 00:09:35,000 --> 00:09:38,000 君の顔は真面目そのものだった 221 00:09:38,000 --> 00:09:40,000 その夜どうして眠ることができるだろう 222 00:09:40,000 --> 00:09:42,000 一匹のネズミが 223 00:09:42,000 --> 00:09:45,000 花柄の壁紙の裏の 224 00:09:45,000 --> 00:09:48,000 冷たい水道管を伝って 225 00:09:48,000 --> 00:09:50,000 尖った歯の先にマッチをくわえて 226 00:09:50,000 --> 00:09:52,000 やってくる尋常でない様を 227 00:09:52,000 --> 00:09:55,000 どうして頭から追い払うことができるだろう 228 00:09:55,000 --> 00:09:58,000 そのネズミが角を曲がる時 青い先端が 229 00:09:58,000 --> 00:10:01,000 荒削りの梁を擦って 突然 炎が上がり 230 00:10:01,000 --> 00:10:03,000 明るく輝くその瞬間に その生き物が 231 00:10:03,000 --> 00:10:07,000 突如として時代を飛び越え 232 00:10:07,000 --> 00:10:09,000 今や 火を起こした者となり 233 00:10:09,000 --> 00:10:11,000 今や 忘れられた儀式の 234 00:10:11,000 --> 00:10:13,000 指導者 235 00:10:13,000 --> 00:10:15,000 小さな茶色いドルイド僧となって 236 00:10:15,000 --> 00:10:17,000 古代の夜を照らす姿を 237 00:10:17,000 --> 00:10:19,000 どうして想像せずにいられるだろう 238 00:10:19,000 --> 00:10:22,000 燃え上がる断熱材の中に照らされる 239 00:10:22,000 --> 00:10:24,000 仲間のネズミたちの小さな顔に浮かぶ 240 00:10:24,000 --> 00:10:26,000 驚異の表情に 241 00:10:26,000 --> 00:10:29,000 どうして気づかずにいられるだろう 242 00:10:29,000 --> 00:10:31,000 それは田舎にあった 243 00:10:31,000 --> 00:10:35,000 かつての君の家の かつての住人たちだ 244 00:10:35,000 --> 00:10:38,000 (拍手) 245 00:10:38,000 --> 00:10:40,000 どうも 246 00:10:40,000 --> 00:10:42,000 (拍手) 247 00:10:42,000 --> 00:10:45,000 最後の詩は『死者』です 248 00:10:45,000 --> 00:10:47,000 友人の葬儀の後に書いたものですが 249 00:10:47,000 --> 00:10:49,000 その友達についてというよりは 250 00:10:49,000 --> 00:10:51,000 弔辞を述べる人がよく口にする 251 00:10:51,000 --> 00:10:54,000 「集まってくれたみんなを見下ろして どんなに故人が 252 00:10:54,000 --> 00:10:56,000 喜んでいるか」という話を扱っています 253 00:10:56,000 --> 00:10:59,000 私からすると 自分の葬儀を見て喜ばなきゃいけないというのは 254 00:10:59,000 --> 00:11:02,000 死後の生活の始まりとして あまりいいものには思えなかったのです 255 00:11:02,000 --> 00:11:06,000 それでは『死者』という短い詩をお聞きください 256 00:11:06,000 --> 00:11:08,000 『死者』 257 00:11:08,000 --> 00:11:11,000 死者はいつも私達を 258 00:11:11,000 --> 00:11:13,000 見下ろしているという 259 00:11:13,000 --> 00:11:16,000 靴を履く時も サンドイッチを作る時も 260 00:11:16,000 --> 00:11:18,000 彼らは天国の 261 00:11:18,000 --> 00:11:21,000 ガラス底のボートから見下ろしている 262 00:11:21,000 --> 00:11:23,000 ゆっくりと永遠を 263 00:11:23,000 --> 00:11:25,000 漕ぎ進みながら 264 00:11:25,000 --> 00:11:27,000 私達の頭のてっぺんが 265 00:11:27,000 --> 00:11:29,000 下界で動き回るのを見ている 266 00:11:29,000 --> 00:11:31,000 私達が 267 00:11:31,000 --> 00:11:33,000 暖かな午後の囁きにでも誘われて 268 00:11:33,000 --> 00:11:35,000 野原やソファで 269 00:11:35,000 --> 00:11:38,000 横になるときには 270 00:11:38,000 --> 00:11:41,000 彼らは見つめ返されていると思い 271 00:11:41,000 --> 00:11:43,000 オールを引き上げて 272 00:11:43,000 --> 00:11:45,000 押し黙り 273 00:11:45,000 --> 00:11:48,000 親のように 274 00:11:48,000 --> 00:11:51,000 私達が目を瞑るのを待っている 275 00:11:53,000 --> 00:12:00,000 (拍手) 276 00:12:00,000 --> 00:12:02,000 他の詩にもアニメーションが付けられるのか 277 00:12:02,000 --> 00:12:04,000 分かりません 時間がかかりますから 278 00:12:04,000 --> 00:12:07,000 この組み合わせは むしろ珍しく 279 00:12:07,000 --> 00:12:09,000 両者を一緒にするには時間がかかるのです 280 00:12:09,000 --> 00:12:11,000 しかしスーツケースに車輪を付けるのだって 281 00:12:11,000 --> 00:12:13,000 長い時間がかかりました 282 00:12:13,000 --> 00:12:16,000 (笑) 283 00:12:16,000 --> 00:12:19,000 車輪は随分昔からあったんです 284 00:12:19,000 --> 00:12:22,000 そして重い荷を引っ張るというのも 古くからある 285 00:12:22,000 --> 00:12:25,000 立派な技術なのです (笑) 286 00:12:25,000 --> 00:12:27,000 ごく最近の詩を1篇だけ 287 00:12:27,000 --> 00:12:30,000 読める時間が残っています 288 00:12:30,000 --> 00:12:33,000 この詩にテーマがあるとしたら 289 00:12:33,000 --> 00:12:35,000 それは思春期です 290 00:12:35,000 --> 00:12:37,000 ある人に向けて書いたものです 291 00:12:37,000 --> 00:12:43,000 題は『私の大好きな17歳の女子高生の君に』です 292 00:12:43,000 --> 00:12:46,000 生まれた日に建て始めていたら 293 00:12:46,000 --> 00:12:48,000 あと1年でパルテノンが 294 00:12:48,000 --> 00:12:51,000 完成していたのを知っていましたか? 295 00:12:51,000 --> 00:12:53,000 もちろん1人で作れるものではありませんから 296 00:12:53,000 --> 00:12:55,000 気にすることはありません 297 00:12:55,000 --> 00:12:57,000 君はそのままで問題ないのです 298 00:12:57,000 --> 00:13:00,000 君自身として君は愛されています 299 00:13:00,000 --> 00:13:02,000 でも知っていましたか? 300 00:13:02,000 --> 00:13:07,000 君の年にはジュディ・ガーランドは映画1本につき15万をドル稼ぎ 301 00:13:07,000 --> 00:13:11,000 ジャンヌ・ダルクはフランス軍を勝利に導き 302 00:13:11,000 --> 00:13:14,000 ブレーズ・パスカルは自分で部屋を片付けていたのを—— 303 00:13:14,000 --> 00:13:18,000 いやつまり 計算機を発明していたのを? 304 00:13:18,000 --> 00:13:20,000 もちろん そういったことをする時間は 305 00:13:20,000 --> 00:13:22,000 君の人生にまだたっぷり残っています 306 00:13:22,000 --> 00:13:24,000 自分の部屋を出て 307 00:13:24,000 --> 00:13:26,000 美しく花開いた後にも 308 00:13:26,000 --> 00:13:30,000 あるいは少なくとも靴下をみんな拾った後にも 309 00:13:30,000 --> 00:13:32,000 なぜかよく思い出すのは 310 00:13:32,000 --> 00:13:34,000 レディ・ジェーン・グレイが 311 00:13:34,000 --> 00:13:37,000 ほんの15歳でイングランド女王になったことです 312 00:13:37,000 --> 00:13:40,000 もっとも その後斬首されたので 313 00:13:40,000 --> 00:13:43,000 お手本にしなくてもよいでしょう (笑) 314 00:13:43,000 --> 00:13:45,000 その何世紀か後 315 00:13:45,000 --> 00:13:47,000 君の年の時に 316 00:13:47,000 --> 00:13:51,000 フランツ・シューベルトは皿を洗って家の手伝いをしながらも 317 00:13:51,000 --> 00:13:53,000 若年にして 318 00:13:53,000 --> 00:13:56,000 2つの交響曲 4つの歌劇 319 00:13:56,000 --> 00:13:59,000 2つの荘厳ミサを作曲しています 320 00:13:59,000 --> 00:14:01,000 (笑) 321 00:14:01,000 --> 00:14:03,000 もちろんこれは叙情的ロマン主義の 322 00:14:03,000 --> 00:14:06,000 頂点たるオーストリアでの話で 323 00:14:06,000 --> 00:14:08,000 ここクリーブランド郊外とは違います 324 00:14:08,000 --> 00:14:10,000 (笑) 325 00:14:10,000 --> 00:14:12,000 はっきり言ってどうでもいいのです 326 00:14:12,000 --> 00:14:15,000 アニー・オークレイが15で射撃の名手だったとか 327 00:14:15,000 --> 00:14:19,000 マリア・カラスが17の時トスカでデビューを果たしたことなんて 328 00:14:19,000 --> 00:14:22,000 ありのままの君として君は特別です 329 00:14:22,000 --> 00:14:25,000 食べ物をおもちゃにし 宙をぼーっと見つめて 330 00:14:25,000 --> 00:14:28,000 (笑) 331 00:14:28,000 --> 00:14:30,000 ところで 332 00:14:30,000 --> 00:14:33,000 シューベルトが皿を洗っていたというのは嘘です 333 00:14:33,000 --> 00:14:36,000 でもだからといって 彼が家の手伝いをしなかったとは言えません 334 00:14:36,000 --> 00:14:38,000 でもだからといって 彼が家の手伝いをしなかったとは言えません 335 00:14:38,000 --> 00:14:40,000 (笑いと拍手) 336 00:14:40,000 --> 00:14:43,000 どうもありがとうございました 337 00:14:43,000 --> 00:14:48,000 (拍手) 338 00:14:48,000 --> 00:14:50,000 どうも 339 00:14:50,000 --> 00:14:52,000 (拍手)