[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:15.57,0:00:18.87,Default,,0000,0000,0000,,これは世界を変えた\Nある発明の物語です Dialogue: 0,0:00:18.87,0:00:23.42,Default,,0000,0000,0000,,10時間の労働を1時間に\N短縮できる機械を想像してください Dialogue: 0,0:00:23.42,0:00:27.73,Default,,0000,0000,0000,,とても効率がいいために\N他のことができるようになる機械 Dialogue: 0,0:00:27.73,0:00:29.73,Default,,0000,0000,0000,,パソコンにも近いようなものです Dialogue: 0,0:00:29.73,0:00:33.10,Default,,0000,0000,0000,,しかし これからお話しする機械は\Nそんなことには繋がりませんでした Dialogue: 0,0:00:33.10,0:00:36.88,Default,,0000,0000,0000,,実際には まったく逆の結果に\Nなってしまったのです Dialogue: 0,0:00:37.65,0:00:44.75,Default,,0000,0000,0000,,18世紀後半 アメリカが\N合衆国憲法のもと建国した頃のこと Dialogue: 0,0:00:44.75,0:00:48.57,Default,,0000,0000,0000,,奴隷制度は悲劇的なことに\Nアメリカで一般的でした Dialogue: 0,0:00:48.57,0:00:53.50,Default,,0000,0000,0000,,ジョージ・ワシントンやトマス・ジェファソンは\N奴隷を所有していながら大統領になり Dialogue: 0,0:00:53.50,0:01:01.05,Default,,0000,0000,0000,,この奇妙な制度が革命の大義であった\N理想と原則に反することも承知していました Dialogue: 0,0:01:01.05,0:01:06.92,Default,,0000,0000,0000,,しかし 2人とも19世紀になれば\N奴隷制はなくなるだろうと考えていました Dialogue: 0,0:01:06.92,0:01:10.57,Default,,0000,0000,0000,,彼らは これまた悲劇的なことに\N間違っていたのです Dialogue: 0,0:01:10.57,0:01:12.82,Default,,0000,0000,0000,,その理由は ある発明にありました Dialogue: 0,0:01:12.82,0:01:16.23,Default,,0000,0000,0000,,小学校でも習うであろう\Nある機械の発明です Dialogue: 0,0:01:16.23,0:01:18.98,Default,,0000,0000,0000,,イーライ・ホイットニーの\N綿繰り機です Dialogue: 0,0:01:18.98,0:01:21.52,Default,,0000,0000,0000,,イェール大卒の28歳のホイットニーは Dialogue: 0,0:01:21.52,0:01:25.82,Default,,0000,0000,0000,,1793年に教師として\Nサウスカロライナに来ました Dialogue: 0,0:01:25.82,0:01:31.20,Default,,0000,0000,0000,,彼は地元の農園主に\N綿の取り分け作業の難しさを聞かされます Dialogue: 0,0:01:31.20,0:01:35.76,Default,,0000,0000,0000,,綿の繊維から種を取り分ける作業は\N退屈で時間がかかったのです Dialogue: 0,0:01:35.76,0:01:40.28,Default,,0000,0000,0000,,手作業では 奴隷1人につき\N1日500グラム程度しか取れません Dialogue: 0,0:01:40.28,0:01:42.70,Default,,0000,0000,0000,,しかし 産業革命が起こりつつあり Dialogue: 0,0:01:42.70,0:01:44.54,Default,,0000,0000,0000,,需要は増える一方でした Dialogue: 0,0:01:44.54,0:01:50.82,Default,,0000,0000,0000,,イギリスやニューイングランドの紡績工場は\N布の大量生産のため綿を求めていました Dialogue: 0,0:01:50.82,0:01:57.57,Default,,0000,0000,0000,,伝わる話によると ホイットニーは\Nひらめきを得て 綿繰り機を発明しました Dialogue: 0,0:01:57.57,0:02:04.10,Default,,0000,0000,0000,,しかし実際には小規模で非効率な\N綿繰り機は何百年も前から存在していました Dialogue: 0,0:02:04.10,0:02:08.50,Default,,0000,0000,0000,,単に改良しただけなのに\N1794年にホイットニーは Dialogue: 0,0:02:08.50,0:02:11.70,Default,,0000,0000,0000,,自らの「発明」として特許を取ったのです Dialogue: 0,0:02:11.70,0:02:17.62,Default,,0000,0000,0000,,クランクを回して ドラムを回転させることで\N繊維から種を機械的に取り除く― Dialogue: 0,0:02:17.62,0:02:19.22,Default,,0000,0000,0000,,小さな機械でした Dialogue: 0,0:02:19.22,0:02:26.78,Default,,0000,0000,0000,,これを使えば1人で1日あたり\N130~450キロもの綿を取り分けられます Dialogue: 0,0:02:26.78,0:02:33.30,Default,,0000,0000,0000,,1790年には毎年3,000ベールもの綿が\Nアメリカで生産されるようになりました Dialogue: 0,0:02:33.30,0:02:36.50,Default,,0000,0000,0000,,1ベールは約220キロなので\N約700トンです Dialogue: 0,0:02:36.50,0:02:39.88,Default,,0000,0000,0000,,1801年までには\N綿繰り機の普及に伴い Dialogue: 0,0:02:39.88,0:02:44.28,Default,,0000,0000,0000,,綿の生産量は1年当たり\N2万トンにまで伸びました Dialogue: 0,0:02:44.28,0:02:47.32,Default,,0000,0000,0000,,1812年の戦争を挟んで Dialogue: 0,0:02:47.32,0:02:51.25,Default,,0000,0000,0000,,年間生産量は9万トンにまで達しました Dialogue: 0,0:02:51.25,0:02:57.05,Default,,0000,0000,0000,,1803年のルイジアナ買収によって\Nアメリカが領土を広げると Dialogue: 0,0:02:57.05,0:03:03.25,Default,,0000,0000,0000,,年間生産量は90万トンにのぼり\N綿は最重要になりました Dialogue: 0,0:03:03.25,0:03:07.52,Default,,0000,0000,0000,,綿は他の生産物をすべての総和よりも\N高い価値を有しており Dialogue: 0,0:03:07.52,0:03:11.78,Default,,0000,0000,0000,,アメリカの経済生産高の\Nおよそ5分の3を占めました Dialogue: 0,0:03:11.78,0:03:16.68,Default,,0000,0000,0000,,しかし綿繰り機は労働需要を\N減少させるどころか増加させました Dialogue: 0,0:03:16.68,0:03:20.70,Default,,0000,0000,0000,,最重要である綿の栽培と収穫に\Nより多くの奴隷が必要になったのです Dialogue: 0,0:03:20.70,0:03:24.75,Default,,0000,0000,0000,,綿繰り機とアメリカ北部や\Nイギリスの工場による需要が Dialogue: 0,0:03:24.75,0:03:27.75,Default,,0000,0000,0000,,アメリカの奴隷制度の\N進路を書き換えたのです Dialogue: 0,0:03:27.75,0:03:34.57,Default,,0000,0000,0000,,1790年のアメリカ初の国勢調査では\N約70万人の奴隷がいるとされました Dialogue: 0,0:03:34.57,0:03:39.63,Default,,0000,0000,0000,,アメリカで奴隷売買が禁止された\N2年後の1810年までには Dialogue: 0,0:03:39.63,0:03:43.12,Default,,0000,0000,0000,,その数字は百万以上に\N跳ね上がりました Dialogue: 0,0:03:43.12,0:03:49.83,Default,,0000,0000,0000,,その後50年間 この数字は増え続け\N南北戦争前夜の1860年には Dialogue: 0,0:03:49.83,0:03:52.43,Default,,0000,0000,0000,,4百万人を数えました Dialogue: 0,0:03:55.70,0:03:59.80,Default,,0000,0000,0000,,ホイットニーについて言えば\N多くの発明家と同じ末路を辿りました Dialogue: 0,0:03:59.80,0:04:04.27,Default,,0000,0000,0000,,特許にもかかわらず\N他の農園主は容易に模造品を作ったり Dialogue: 0,0:04:04.27,0:04:06.37,Default,,0000,0000,0000,,改良版を作ったりしました Dialogue: 0,0:04:06.37,0:04:08.80,Default,,0000,0000,0000,,設計が剽窃されたとも言えます Dialogue: 0,0:04:08.80,0:04:11.49,Default,,0000,0000,0000,,ホイットニーはアメリカを一変させた\Nこの機械の発明で Dialogue: 0,0:04:11.49,0:04:13.88,Default,,0000,0000,0000,,ほとんど財を成しませんでした Dialogue: 0,0:04:13.88,0:04:16.67,Default,,0000,0000,0000,,より大きな目で見ると\Nより大きな問いが浮かび上がります Dialogue: 0,0:04:16.67,0:04:18.91,Default,,0000,0000,0000,,綿繰り機を\Nどう考えるべきなのでしょう? Dialogue: 0,0:04:20.00,0:04:24.20,Default,,0000,0000,0000,,発明が諸刃の剣であることは\N歴史は何度も証明しています Dialogue: 0,0:04:24.20,0:04:27.22,Default,,0000,0000,0000,,発明は しばしば\N予期せぬ結果を生むものです Dialogue: 0,0:04:27.22,0:04:31.26,Default,,0000,0000,0000,,産業革命期の工場では\N数々の革新が生まれ Dialogue: 0,0:04:31.26,0:04:34.50,Default,,0000,0000,0000,,アメリカに大きな経済成長を\Nもたらしました Dialogue: 0,0:04:34.50,0:04:36.60,Default,,0000,0000,0000,,しかし この成長は\N児童労働に依存しており Dialogue: 0,0:04:36.60,0:04:39.53,Default,,0000,0000,0000,,1911年に100人以上の女性が亡くなった― Dialogue: 0,0:04:39.53,0:04:42.97,Default,,0000,0000,0000,,トライアングル・シャツウェスト\N工場火災のような悲劇を生みました Dialogue: 0,0:04:44.39,0:04:47.55,Default,,0000,0000,0000,,使い捨ておむつは\N親にとっては便利ですが Dialogue: 0,0:04:47.55,0:04:50.60,Default,,0000,0000,0000,,おむつ配達業を\N廃業に追い込みました Dialogue: 0,0:04:50.60,0:04:54.48,Default,,0000,0000,0000,,汚いおむつで ごみの埋立地が\Nあふれてもいいのでしょうか? Dialogue: 0,0:04:54.48,0:04:58.03,Default,,0000,0000,0000,,そしてもちろん アインシュタインの\N類まれな方程式によって Dialogue: 0,0:04:58.03,0:05:00.72,Default,,0000,0000,0000,,大きな可能性が広がりました Dialogue: 0,0:05:00.72,0:05:04.24,Default,,0000,0000,0000,,しかし その結果の一つは\N広島の原爆投下だったのです