1
00:00:00,521 --> 00:00:05,356
テロリストとの対話が必要だということ
これは間違いのない事実です

2
00:00:05,356 --> 00:00:11,242
私達が闘っているテロは かつてのテロとは違います

3
00:00:11,242 --> 00:00:14,744
テロは昔から存在していますが

4
00:00:14,744 --> 00:00:18,206
21世紀になり テロの形は変わってきています

5
00:00:18,206 --> 00:00:22,654
テロとの闘いで重要なことは

6
00:00:22,654 --> 00:00:25,986
テロをどのように感じるのか ということです

7
00:00:25,986 --> 00:00:29,482
なぜなら感じ方によって 私達の反応は変わるからです

8
00:00:29,482 --> 00:00:33,710
従来 テロは犯罪行為 あるいは戦争の一種だと

9
00:00:33,710 --> 00:00:37,658
受け止められていました

10
00:00:37,658 --> 00:00:39,271
この場合 テロに対してどのように対応しますか

11
00:00:39,271 --> 00:00:42,905
当然「目には目を 歯には歯を」ということになります

12
00:00:42,905 --> 00:00:46,736
より現代的な考え方をして

13
00:00:46,736 --> 00:00:50,992
テロに走ったのには何か理由があったと見れば

14
00:00:50,992 --> 00:00:54,955
正面対決以外の対応が

15
00:00:54,955 --> 00:00:58,603
自ずから出てくるでしょう

16
00:00:58,603 --> 00:01:02,710
私達が暮らす現代のグローバル化した世界に

17
00:01:02,710 --> 00:01:06,192
テロリストは適応してきました

18
00:01:06,192 --> 00:01:09,941
私達もこの事態に適応しなければなりません

19
00:01:09,941 --> 00:01:13,081
テロに対抗した活動に関わる人は

20
00:01:13,081 --> 00:01:15,905
まず Google でも何でも使って

21
00:01:15,905 --> 00:01:20,159
現状を知るべきです

22
00:01:20,159 --> 00:01:24,952
私が皆さんにしてほしいことは テロを

23
00:01:24,952 --> 00:01:28,456
ある種のブランドとして見ることです

24
00:01:28,456 --> 00:01:30,085
たとえばコカコーラのような

25
00:01:30,085 --> 00:01:36,102
どちらも健康には悪いですよね（笑）

26
00:01:36,102 --> 00:01:40,132
テロをブランドとして捉えると

27
00:01:40,132 --> 00:01:43,396
それが欠陥だらけだということがすぐにわかります

28
00:01:43,396 --> 00:01:46,489
まず 今申し上げたように 健康に悪いです

29
00:01:46,489 --> 00:01:48,495
テロは 人々に害を与えますし

30
00:01:48,495 --> 00:01:51,528
自殺の方法としても いい方法だとは言えません

31
00:01:51,528 --> 00:01:55,144
テロはいつもうまくいくわけではありませんし

32
00:01:55,144 --> 00:02:00,136
天国でいい思いができるわけでもありません

33
00:02:00,136 --> 00:02:02,606
そんなことは きっとないと思います

34
00:02:02,606 --> 00:02:06,584
1980年代にあったように 
ある特定のテロリスト集団を支持することで

35
00:02:06,584 --> 00:02:09,505
資本主義を崩壊させるということも
できるわけがないです

36
00:02:09,505 --> 00:02:12,783
こう考えると 私達は テロの大きな弱点に気付きます

37
00:02:12,783 --> 00:02:15,536
そう このブランドには弱点があるのです

38
00:02:15,536 --> 00:02:17,303
先ほど 健康に悪いと言いましたが

39
00:02:17,303 --> 00:02:20,983
このブランドには消費者が必要なのです

40
00:02:20,983 --> 00:02:25,063
ここでいう消費者とは テロリストの支援者です

41
00:02:25,063 --> 00:02:27,764
彼らはブランドを支持し 活動を支援するのです

42
00:02:27,764 --> 00:02:31,072
私達はそういった人たちに対して

43
00:02:31,072 --> 00:02:33,587
アクションを起こすべきです

44
00:02:33,587 --> 00:02:36,447
彼らに テロが悪いブランドだと知らせるのです

45
00:02:36,447 --> 00:02:40,700
これには主に2つの方法があります

46
00:02:40,700 --> 00:02:43,978
まず テロリストの市場を縮小させること つまり

47
00:02:43,978 --> 00:02:48,754
私達のブランドでテロリストの市場を奪うのです

48
00:02:48,754 --> 00:02:51,006
そして私達はよりよい製品だと証明するのです

49
00:02:51,006 --> 00:02:54,163
ただ より優れた製品だと示そうとするなら

50
00:02:54,163 --> 00:02:59,094
米軍がテロリスト収容基地でしたことは間違いでした

51
00:02:59,094 --> 00:03:02,759
テロという製品に対するニーズを
減らして行こうという話をしているのに

52
00:03:02,759 --> 00:03:06,407
その基地では

53
00:03:06,407 --> 00:03:09,992
貧困や不正といった テロを助長するあらゆるものを

54
00:03:09,992 --> 00:03:11,521
目にすることができました

55
00:03:11,521 --> 00:03:15,253
もうひとつの方法は 製品を批判し

56
00:03:15,253 --> 00:03:17,448
ブランドの欠陥を暴くことです

57
00:03:17,448 --> 00:03:20,807
当然ですが 少年を殺すことは勇敢なことではないのです

58
00:03:20,807 --> 00:03:25,503
このことに焦点を当てて このメッセージを広く伝える必要があります

59
00:03:25,503 --> 00:03:28,597
製品の危険性を暴くのです

60
00:03:28,597 --> 00:03:32,246
それはテロの生産者

61
00:03:32,246 --> 00:03:33,447
つまりテロリストや

62
00:03:33,447 --> 00:03:35,834
テロの商人 つまり

63
00:03:35,834 --> 00:03:40,641
テロに資金を出して支援する人だけでなく

64
00:03:40,641 --> 00:03:42,554
テロの消費者に向けたメッセージでもあるのです

65
00:03:42,554 --> 00:03:45,788
その際 テロリストの母国へ飛び込む必要があるでしょう

66
00:03:45,788 --> 00:03:49,257
彼らはそこで兵を集め 力を得るのです

67
00:03:49,257 --> 00:03:51,609
つまり そこで消費者が生まれるのです

68
00:03:51,609 --> 00:03:55,521
なので 彼らの国でメッセージを広める必要があります

69
00:03:55,521 --> 00:03:59,370
ここで重要な事は テロリストやその支援者達と

70
00:03:59,370 --> 00:04:02,713
交流をする必要があるということです

71
00:04:02,713 --> 00:04:05,848
互いに関わり 分かり合い

72
00:04:05,848 --> 00:04:08,651
対話を行うのです

73
00:04:08,651 --> 00:04:12,802
もう少しこのブランドについての話を続けましょう

74
00:04:12,802 --> 00:04:16,053
次はブランドのマーケティングについて考えます

75
00:04:16,053 --> 00:04:17,687
どのような戦略がいいのでしょうか

76
00:04:17,687 --> 00:04:20,696
市場を縮小させるというのは政府や社会のすることです

77
00:04:20,696 --> 00:04:24,214
私達がすべきことは 私達が優れた製品であると

78
00:04:24,214 --> 00:04:28,056
示すことであり

79
00:04:28,056 --> 00:04:30,358
テロリストに伝えたことを実行することなのです

80
00:04:30,358 --> 00:04:32,571
でも 例えばブランドを攻撃するときに

81
00:04:32,571 --> 00:04:37,043
テロリストがコカコーラで
私達がペプシだとしましょう

82
00:04:37,043 --> 00:04:41,057
ペプシがコカコーラのことを非難しても

83
00:04:41,057 --> 00:04:42,939
誰も信じてくれませんよね

84
00:04:42,939 --> 00:04:45,264
そこで 違うアプローチが必要です

85
00:04:45,264 --> 00:04:47,656
私が考えついたアプローチの中でもっとも有効なものは

86
00:04:47,656 --> 00:04:50,313
テロリストの被害者を出すことです

87
00:04:50,313 --> 00:04:53,226
彼らはこう証言してくれるでしょう

88
00:04:53,226 --> 00:04:57,654
「この製品は最悪だ このせいで怪我をした

89
00:04:57,654 --> 00:05:01,100
やけどをした」 信憑性がありますよね

90
00:05:01,100 --> 00:05:03,743
彼らの傷を見る すると彼らを信じることができる

91
00:05:03,743 --> 00:05:09,008
ただ 被害者であろうが政府であろうが
NGO であろうが

92
00:05:09,008 --> 00:05:14,713
あるいは先日の女王の北アイルランド訪問であろうが

93
00:05:14,713 --> 00:05:18,815
様々なレベルでテロと関わって
対話をすることが必要であり

94
00:05:18,815 --> 00:05:23,410
現実的には

95
00:05:23,410 --> 00:05:27,457
大きなリスクを取ることも必要となるでしょう

96
00:05:27,457 --> 00:05:30,440
これから私のスピーチの山場を迎えます

97
00:05:30,440 --> 00:05:33,696
本当はいきなりの爆発で
テロを体験してもらいたかったんです

98
00:05:33,696 --> 00:05:37,418
けれど…（笑）

99
00:05:37,418 --> 00:05:40,206
健康上、安全上の理由でTED側から

100
00:05:40,206 --> 00:05:41,712
カウントダウンをするよう言われました

101
00:05:41,712 --> 00:05:45,010
今私はテロリストになった気分です

102
00:05:45,010 --> 00:05:50,424
健康や安全に配慮したテロリストですが
（笑）

103
00:05:50,424 --> 00:05:53,733
カウントダウンの後に

104
00:05:53,733 --> 00:05:57,060
少し大きな音が出ます
この目的は「心臓発作でなく

105
00:05:57,060 --> 00:05:59,818
身体的な傷害を与えること」だと考えてください

106
00:05:59,818 --> 00:06:05,309
それでは 3 2 1 （爆発音）

107
00:06:05,309 --> 00:06:10,256
すばらしい（笑）

108
00:06:10,256 --> 00:06:18,065
15Jの席の女性は自爆テロ犯でした

109
00:06:18,065 --> 00:06:20,190
私達はテロの被害を受けました

110
00:06:20,190 --> 00:06:25,091
この部屋には625人がいますが
全員 今後の人生で癒せない傷を負いました

111
00:06:25,091 --> 00:06:29,166
そちらの席には父と息子が座っていました

112
00:06:29,166 --> 00:06:31,650
息子は死に 父は生き延びました

113
00:06:31,650 --> 00:06:37,571
父は何年も自分を責め続けるでしょう

114
00:06:37,571 --> 00:06:41,810
なぜ息子の席にいたのが自分ではなかったのだと

115
00:06:41,810 --> 00:06:43,823
統計によれば 彼はアルコール漬けになり

116
00:06:43,823 --> 00:06:48,183
3年以内に自殺を図ります

117
00:06:48,183 --> 00:06:51,927
そちらにいたのは若く 美しい女性でした

118
00:06:51,927 --> 00:06:54,955
しかし彼女が負ったのは 自爆テロの被害の中で

119
00:06:54,955 --> 00:06:57,751
考えうる限り最悪の

120
00:06:57,751 --> 00:07:01,447
精神的 身体的な傷でした 人間榴弾という症状です

121
00:07:01,447 --> 00:07:03,600
彼女は10年後 15年後でも

122
00:07:03,600 --> 00:07:06,605
レストランやビーチに座っているときに

123
00:07:06,605 --> 00:07:09,087
時々肌をこすります

124
00:07:09,087 --> 00:07:12,060
すると肌の中から

125
00:07:12,060 --> 00:07:14,294
爆弾の破片が出てくるのです

126
00:07:14,294 --> 00:07:19,526
これは受け入れがたい症状でしょう

127
00:07:19,526 --> 00:07:22,454
そちらの女性は爆発により

128
00:07:22,454 --> 00:07:25,966
両足を失いました

129
00:07:25,966 --> 00:07:30,050
彼女の傷害に対して政府が助成するお金は

130
00:07:30,050 --> 00:07:34,157
ほんの僅かだということを

131
00:07:34,157 --> 00:07:37,449
彼女はじきに知ります

132
00:07:37,449 --> 00:07:39,589
彼女には優秀な娘がおり 名門大学へいく予定でした

133
00:07:39,589 --> 00:07:42,290
しかしその夢は絶たれ 母親の世話をしなくては

134
00:07:42,290 --> 00:07:46,019
ならなくなりました

135
00:07:46,019 --> 00:07:48,551
ここにいるすべての人は

136
00:07:48,551 --> 00:07:51,190
自爆テロの現場を目にし トラウマを抱えます

137
00:07:51,190 --> 00:07:54,338
しかしそれ以上に辛い真実を 被害者は

138
00:07:54,338 --> 00:07:55,920
目の当たりにするのです

139
00:07:55,920 --> 00:08:00,641
私達の社会はしばらくは被害者に同情します しかし

140
00:08:00,641 --> 00:08:04,529
しばらくするともう無関心になるのです

141
00:08:04,529 --> 00:08:08,106
社会は被害者のケアをしてはくれません

142
00:08:08,106 --> 00:08:11,114
ここで私が言おうとしていることは

143
00:08:11,114 --> 00:08:13,898
テロの被害者こそが テロに対する

144
00:08:13,898 --> 00:08:17,074
最大の武器だということです

145
00:08:17,074 --> 00:08:21,290
21世紀になってから今日に至るまで

146
00:08:21,290 --> 00:08:23,515
政府はテロとどう闘ってきたでしょうか

147
00:08:23,515 --> 00:08:26,119
政府のしてきたことは侵略です

148
00:08:26,119 --> 00:08:29,297
もし自爆テロの犯人がウェールズ人だったら

149
00:08:29,297 --> 00:08:31,642
ウェールズはひどい目にあったことでしょう

150
00:08:31,642 --> 00:08:35,394
危機に対する準備のための法律を
反射的に求めてしまうことは

151
00:08:35,394 --> 00:08:39,092
私達の社会を不安定にしてしまう

152
00:08:39,092 --> 00:08:42,265
過ちなのです

153
00:08:42,265 --> 00:08:45,721
それはエジンバラ中に そしてイギリス中に

154
00:08:45,721 --> 00:08:50,151
ウェールズに対する偏見をばらまきかねませんでした

155
00:08:50,151 --> 00:08:55,796
政府は過去の過ちから学習をして テロとの闘い方は変わりつつあります

156
00:08:55,796 --> 00:08:58,034
政府はテロとの正面対決をやめ

157
00:08:58,034 --> 00:09:01,588
より現代的な見方で
テロの因果関係に

158
00:09:01,588 --> 00:09:04,290
目を向けようとしています

159
00:09:04,290 --> 00:09:07,067
しかし 過去と同じ失敗をすることも
避けられません

160
00:09:07,067 --> 00:09:08,567
それは人間の性です

161
00:09:08,567 --> 00:09:12,303
恐怖や
相手に対抗すべきという圧力は

162
00:09:12,303 --> 00:09:14,583
激しいものとなり
彼らはいずれまた 失敗を犯すでしょう

163
00:09:14,583 --> 00:09:18,228
政府は完璧な存在ではないのです

164
00:09:18,228 --> 00:09:21,542
アイルランドのあるテロリストがこの点をとてもわかりやすく

165
00:09:21,542 --> 00:09:24,597
まとめて 述べています

166
00:09:24,597 --> 00:09:26,709
「イギリス政府は常に幸運でいる必要がある

167
00:09:26,709 --> 00:09:31,173
一方 テロリストは一度だけ幸運をつかめば成功する」

168
00:09:31,173 --> 00:09:34,413
そこで 私達がすべきことは
「常に幸運である」ことなのです

169
00:09:34,413 --> 00:09:37,169
そのために もっと将来のことを見越す必要があります

170
00:09:37,169 --> 00:09:41,857
このテロとの闘いにおいて
相手を傷つけるためではない武器を

171
00:09:41,857 --> 00:09:43,478
蓄える必要があるのです

172
00:09:43,478 --> 00:09:51,926
しかしもちろんこれは
政府が上手くできることではありません

173
00:09:51,926 --> 00:09:56,105
先ほどの爆発の前に ブランドの話をしました

174
00:09:56,105 --> 00:10:00,299
コカコーラとペプシの話などです

175
00:10:00,299 --> 00:10:04,210
我々から見ればテロと民主主義というブランドの闘いです

176
00:10:04,210 --> 00:10:06,231
テロリスト側から見れば 自由への闘いであり

177
00:10:06,231 --> 00:10:13,454
不正や大国の帝国主義に対抗する真実の闘いです

178
00:10:13,454 --> 00:10:17,445
私達はこの闘いを真剣に考える必要があります

179
00:10:17,445 --> 00:10:20,619
テロリストは私達を単に傷つけたいわけではありません

180
00:10:20,619 --> 00:10:23,492
テロの真の目的は 
民主主義の消費者を奪うことなのです

181
00:10:23,492 --> 00:10:27,503
だからブランドを通じてテロを考えることに
意味があるのです

182
00:10:27,503 --> 00:10:32,083
アルカイダを例に取ってみましょう アルカイダは

183
00:10:32,083 --> 00:10:36,623
誰も知らないような店の

184
00:10:36,623 --> 00:10:38,762
棚に置かれている商品のようなものです

185
00:10:38,762 --> 00:10:42,926
そして9.11の悲劇が起こりました
アルカイダにとってマーケティングの好機です

186
00:10:42,926 --> 00:10:47,795
21世紀に向けて商品をパッケージ化しました
彼らは目的を明確に打ち出しています

187
00:10:47,795 --> 00:10:51,723
ブランドイメージに沿った活動を続け

188
00:10:51,723 --> 00:10:54,907
魅力的なブランドとして貧困や不正にあふれる

189
00:10:54,907 --> 00:11:00,567
世界に発信をしているのです

190
00:11:00,567 --> 00:11:04,630
先ほども言ったように 彼らの市場を縮小させるべきです

191
00:11:04,630 --> 00:11:08,089
しかしその時には 
力ではなく知恵を用いなければなりません

192
00:11:08,089 --> 00:11:11,863
テロをブランドとして捉えると 力に頼るのでは

193
00:11:11,863 --> 00:11:16,302
テロに対抗することはできないことがわかります

194
00:11:16,302 --> 00:11:19,662
ここからは 私がしてきたことから いくつかの例をあげて

195
00:11:19,662 --> 00:11:25,093
簡単に紹介をさせていただきたいと思います

196
00:11:25,093 --> 00:11:28,782
まずはじめに lawfare と呼ぶ法的取り組みです

197
00:11:28,782 --> 00:11:31,224
他にいい名前がないか考えているところです

198
00:11:31,224 --> 00:11:35,424
私達がテロに対する市民の活動に目を向け始めた時

199
00:11:35,424 --> 00:11:37,790
誰もが私達のことを 変人 奇人だと

200
00:11:37,790 --> 00:11:41,554
言いました
今はそんなことはありません 誰しもが目を向けています

201
00:11:41,554 --> 00:11:43,167
爆破テロに対して 人々は声をあげています

202
00:11:43,167 --> 00:11:46,858
こういった動きの始まりは 
北アイルランドのオマーで起きた爆破テロです

203
00:11:46,858 --> 00:11:50,597
市民の活動は1998年以来続いています

204
00:11:50,597 --> 00:11:54,005
オマーでは 和平交渉中に武装組織が

205
00:11:54,005 --> 00:11:56,220
爆破テロを行いました

206
00:11:56,220 --> 00:12:00,363
しかし 和平というより大きな目標を達成するためなどの理由で

207
00:12:00,363 --> 00:12:03,611
爆破テロの犯人は告訴されることが

208
00:12:03,611 --> 00:12:05,828
ありませんでした

209
00:12:05,828 --> 00:12:08,323
想像してみてください

210
00:12:08,323 --> 00:12:10,626
あなたの地区で散歩をしていた時に

211
00:12:10,626 --> 00:12:15,983
自分の子供や夫がテロに巻き込まれた

212
00:12:15,983 --> 00:12:17,667
人々の気持ちを

213
00:12:17,667 --> 00:12:21,429
彼らの中には「もうたくさんだ」という人もいます

214
00:12:21,429 --> 00:12:24,863
しかし私達は市民活動を始め 10年がたってようやく

215
00:12:24,863 --> 00:12:27,458
勝訴することができました
まだ上告がされるのですが

216
00:12:27,458 --> 00:12:29,273
私達は勝つことができるだろうと

217
00:12:29,273 --> 00:12:31,375
確信しています

218
00:12:31,390 --> 00:12:33,009
なぜこの活動が成功したのでしょうか

219
00:12:33,009 --> 00:12:35,646
正義が 喪失感を抱える人々に希望を与えたからだけでは

220
00:12:35,646 --> 00:12:37,385
ありません

221
00:12:37,385 --> 00:12:42,011
「真のIRA」などの武装集団は 自分たちが社会的な弱者であるという事実から

222
00:12:42,011 --> 00:12:44,090
力を得ています

223
00:12:44,090 --> 00:12:48,836
そこでテロの被害者こそが社会的弱者であると強調することで

224
00:12:48,836 --> 00:12:51,976
状況は逆転します 武装集団は拠り所を失うのです

225
00:12:51,976 --> 00:12:56,227
彼らは困惑し グループへの勧誘はうまくいかなくなります

226
00:12:56,227 --> 00:13:00,515
実際 この活動のおかげで爆破テロは止みました

227
00:13:00,515 --> 00:13:04,220
私達は あるいは被害者達は テログループに取り憑く

228
00:13:04,220 --> 00:13:08,196
亡霊のような存在となったのです

229
00:13:08,196 --> 00:13:10,995
続いての例は Almog というシステムの話です

230
00:13:10,995 --> 00:13:15,187
これは 自爆テロ犯に

231
00:13:15,187 --> 00:13:18,193
銀行が報酬を払うシステムだと

232
00:13:18,193 --> 00:13:22,108
私達は考えています

233
00:13:22,108 --> 00:13:25,116
市民が起こしたたったひとつの行動で

234
00:13:25,116 --> 00:13:27,627
銀行は Almog を止めました

235
00:13:27,627 --> 00:13:30,031
世界中の政府は様々な政治的要因から

236
00:13:30,031 --> 00:13:33,374
この問題に対処することが出来ませんでした

237
00:13:33,374 --> 00:13:34,904
多くの衝突する利害関係があったからです

238
00:13:34,904 --> 00:13:37,888
しかし市民活動がこのシステムの抜け穴をシャットダウンすることに成功しました

239
00:13:37,888 --> 00:13:40,603
次はマクドナルドと呼ばれる例です

240
00:13:40,603 --> 00:13:44,925
リビアのカダフィにより支援されたアイルランドの

241
00:13:44,925 --> 00:13:51,544
武装集団による爆破テロの被害者が訴訟を起こし

242
00:13:51,544 --> 00:13:56,481
この行動がリビアの再建に大きな意味を持ちました

243
00:13:56,481 --> 00:13:59,434
新しくなったリビア政権は被害者達を思いやり

244
00:13:59,434 --> 00:14:03,066
そこではまったく新しい形の対話が生まれました

245
00:14:03,066 --> 00:14:07,349
しかし問題は これらの活動をしていく中でより多くの

246
00:14:07,349 --> 00:14:10,151
支援が必要となることです

247
00:14:10,151 --> 00:14:14,577
支援とは市民の関心 市民の行動のことです

248
00:14:14,577 --> 00:14:17,104
ソマリアの海賊との闘いがいい例です

249
00:14:17,104 --> 00:14:18,910
海賊との戦いは

250
00:14:18,910 --> 00:14:21,536
テロとの闘いと同じように考えることは出来ません

251
00:14:21,536 --> 00:14:24,523
そこで私達がしたことは海賊を漁師にすることです

252
00:14:24,523 --> 00:14:26,747
海賊は元は漁師だったのですが

253
00:14:26,747 --> 00:14:29,943
人々が彼らの魚を奪い 海に有毒物質を廃棄していたのです

254
00:14:29,943 --> 00:14:33,238
そこでまずはじめに 沿岸警備隊を漁に同行させ

255
00:14:33,238 --> 00:14:35,724
漁業の安全性と雇用を確保しました

256
00:14:35,724 --> 00:14:39,061
皆さんに自信を持ってお伝え出来ますが

257
00:14:39,061 --> 00:14:41,925
この過程で アル・シャバブのようなイスラム勢力が

258
00:14:41,925 --> 00:14:45,749
つけ入るすきとなる貧困や不正は無くなるでしょう

259
00:14:45,749 --> 00:14:49,624
このプロジェクトの費用はミサイル1基よりも安く

260
00:14:49,624 --> 00:14:52,591
どんな兵士の命よりも安いでしょう

261
00:14:52,591 --> 00:14:55,446
さらに重要なことに
戦いの舞台は彼らの祖国となり

262
00:14:55,446 --> 00:14:57,744
こちらには向かってきません

263
00:14:57,744 --> 00:14:59,188
因果をきちんと見たからこそです

264
00:14:59,188 --> 00:15:02,637
最後に 対話についてお話ししたいと思います

265
00:15:02,637 --> 00:15:05,443
対話のもたらす便益は明らかです

266
00:15:05,443 --> 00:15:09,745
両者を啓蒙し よりよい理解を可能にし

267
00:15:09,745 --> 00:15:11,967
強さと弱さを自覚させ

268
00:15:11,967 --> 00:15:14,568
これまで登壇された方々のように

269
00:15:14,568 --> 00:15:18,457
弱さを共有することは信頼を育み

270
00:15:18,457 --> 00:15:21,362
そのプロセスの中で 両者がひとつになれるのです

271
00:15:21,362 --> 00:15:26,035
しかしこれは簡単なことではありません
テロの被害者は

272
00:15:26,035 --> 00:15:29,164
対話を持ちたいとは思いません

273
00:15:29,164 --> 00:15:31,058
実際に行うのは困難です

274
00:15:31,058 --> 00:15:33,954
さらに両者にとって 政治的に

275
00:15:33,954 --> 00:15:36,689
リスクが大きいです

276
00:15:36,689 --> 00:15:39,130
ある対話では 相手の気に喰わないことを
言うたびに

277
00:15:39,130 --> 00:15:40,991
石を投げられ

278
00:15:40,991 --> 00:15:42,978
彼らの気に入るようなことを言うと

279
00:15:42,978 --> 00:15:47,573
空に向かって発砲することもありました
どちらも好ましくないですね（笑）

280
00:15:47,573 --> 00:15:50,775
ですが なにをするにしても なにを話すにしても

281
00:15:50,775 --> 00:15:52,891
私達は問題の核心に近づくことができます

282
00:15:52,891 --> 00:15:56,634
この言葉を最後にお伝えします
もし理性に従えば

283
00:15:56,634 --> 00:16:01,996
テロを軍事的に捉えるのではなく

284
00:16:01,996 --> 00:16:04,678
純粋にテロを知りたいと

285
00:16:04,678 --> 00:16:08,427
誰もが思うでしょう

286
00:16:08,446 --> 00:16:10,903
私達はより

287
00:16:10,903 --> 00:16:13,688
現代的な対応をしていくべきなのです

288
00:16:13,688 --> 00:16:16,243
テロに寛容になれと言っているわけではありません

289
00:16:16,243 --> 00:16:19,963
テロリストとは違う 現代の方法で彼らと闘うのです

290
00:16:19,963 --> 00:16:22,914
イノベーションを育む必要もあります

291
00:16:22,914 --> 00:16:26,786
政府は受動的です
イノベーションはそんなところからは生まれません

292
00:16:26,786 --> 00:16:28,999
民間セクターが大きな役割を果たすのです

293
00:16:28,999 --> 00:16:31,572
私達が今すぐにできることは

294
00:16:31,572 --> 00:16:35,297
世界中のテロの被害者を
どう支えることができるのか見て回り

295
00:16:35,297 --> 00:16:36,769
行動を起こすことです

296
00:16:36,769 --> 00:16:39,572
ここで皆さんに大きな問いを残していきたいと思います

297
00:16:39,572 --> 00:16:43,047
これはテロに対する認識を変えるかもしれません
この質問から

298
00:16:43,047 --> 00:16:45,426
どんなアイデアや行動が生まれるか 楽しみです

299
00:16:45,426 --> 00:16:49,381
「テロリストは自分たちの主張を伝えるために

300
00:16:49,381 --> 00:16:52,617
私達を吹き飛ばす必要があったのだろうか？」

301
00:16:52,617 --> 00:16:56,999
不快な質問ですが 
私達はこれを問い続けなければなりません

302
00:16:56,999 --> 00:17:00,133
私達は 世界のどこかで起こっている不正や苦しみを

303
00:17:00,133 --> 00:17:02,898
無視してきたのではないだろうか？

304
00:17:02,898 --> 00:17:05,548
テロリストは私達に 貧困や不正に

305
00:17:05,548 --> 00:17:07,963
立ち向かって欲しいだけなのではないだろうか？

306
00:17:07,963 --> 00:17:11,068
爆破テロは私達に対する緊急信号なのではないだろうか？

307
00:17:11,068 --> 00:17:14,267
爆破テロが起こったのは

308
00:17:14,267 --> 00:17:17,574
私達がそれらの問題を解決するための対話を

309
00:17:17,574 --> 00:17:22,252
怠ってきたからなのかもしれません

310
00:17:22,252 --> 00:17:25,420
はっきりとわかることは

311
00:17:25,420 --> 00:17:27,227
その場しのぎの対応を続けることをやめて

312
00:17:27,227 --> 00:17:30,844
より先を見越すことです
最後にこのアイデアを

313
00:17:30,844 --> 00:17:34,252
皆さんにお伝えします

314
00:17:34,252 --> 00:17:37,412
これはとても示唆に富んだ問いで

315
00:17:37,412 --> 00:17:41,533
答えるためには悪に同情する心を持たなくてはなりません

316
00:17:41,533 --> 00:17:44,250
多くの思想家 作家がこの問いについて考えてきました

317
00:17:44,250 --> 00:17:49,167
「社会が変化のために危機を必要としているとしたら？

318
00:17:49,167 --> 00:17:53,470
社会が変化のため よりよい社会のために

319
00:17:53,470 --> 00:17:55,013
テロを必要としているとしたら？」

320
00:17:55,013 --> 00:17:59,564
これはブルガーコフの命題です
写真にある

321
00:17:59,564 --> 00:18:02,768
キリストと悪魔がゲッセマネで手を取り

322
00:18:02,768 --> 00:18:05,048
月夜を歩いていくのです

323
00:18:05,048 --> 00:18:07,896
これが示唆するところは

324
00:18:07,896 --> 00:18:10,552
人間は ダーウィンの言う「進化」の中で

325
00:18:10,552 --> 00:18:12,627
生き延びていくために

326
00:18:12,627 --> 00:18:16,957
悪魔と手を結ぶことも必要であるということです

327
00:18:16,957 --> 00:18:21,216
共産主義はローリング・ストーンズによって崩壊したと

328
00:18:21,216 --> 00:18:25,210
多くの人が言います
面白い主張ですね

329
00:18:25,210 --> 00:18:28,046
彼らの曲がこの場にぴったりでしょう

330
00:18:28,046 --> 00:18:30,633
ありがとうございました

331
00:18:30,633 --> 00:18:39,503
（『悪魔を憐れむ歌』 ローリング・ストーンズ）（拍手）

332
00:18:39,503 --> 00:18:42,081
ブルーノ・ジウサーニ：ありがとう（拍手）