WEBVTT 00:00:00.840 --> 00:00:04.840 世界の安定した食料確保を これから約束してくれる 00:00:04.840 --> 00:00:08.296 干ばつに非常に強い作物を 生産する鍵は 00:00:08.320 --> 00:00:11.016 復活植物にあると私は信じています 00:00:11.040 --> 00:00:14.176 この写真は 極限の乾燥地帯にある植物です 00:00:14.200 --> 00:00:17.056 これらは枯死してしまっている様ですが 00:00:17.080 --> 00:00:18.376 そうではありません 00:00:18.400 --> 00:00:19.856 水を与えると 00:00:19.880 --> 00:00:25.320 12〜48時間で復活し 青々と成長し始めます NOTE Paragraph 00:00:26.320 --> 00:00:27.616 この提案の理由 — 00:00:27.640 --> 00:00:32.080 食料確保に干ばつ耐性のある作物を 提案する理由は 何でしょう? 00:00:33.040 --> 00:00:36.936 今や世界人口は 約70億人です 00:00:36.960 --> 00:00:39.456 2050年までには 00:00:39.480 --> 00:00:42.176 90〜100億人になり 00:00:42.200 --> 00:00:45.080 その多くはアフリカに集中すると 推定されています NOTE Paragraph 00:00:45.880 --> 00:00:48.206 世界中の食料農業機関は 00:00:48.206 --> 00:00:50.270 その需要を満たす為には 00:00:50.270 --> 00:00:53.690 農業生産量を70%増産する必要があると 00:00:53.690 --> 00:00:54.960 提言しています 00:00:55.720 --> 00:00:58.806 植物が 食物連鎖の最底辺に あるのを見て分かるように 00:00:58.806 --> 00:01:01.380 私たちの食物の大半は 植物ですから当然です NOTE Paragraph 00:01:01.380 --> 00:01:04.056 先程の70%には 00:01:04.080 --> 00:01:08.296 気候変動の影響は 考慮に入れてありません NOTE Paragraph 00:01:08.320 --> 00:01:12.560 これは2011年に掲載された アイグオ・ダイの研究からの引用です 00:01:12.940 --> 00:01:14.900 気候変動から起こりうる 00:01:14.900 --> 00:01:17.230 全ての影響を考慮した さまざまな結果の中で 00:01:17.230 --> 00:01:19.756 雨が降らない あるいは降雨日数が足りず― 00:01:19.766 --> 00:01:24.376 乾燥化する場所として示されています 00:01:24.400 --> 00:01:26.176 赤で示されている地域は 00:01:26.200 --> 00:01:28.256 最近まで 00:01:28.280 --> 00:01:31.456 農耕地として利用されていましたが 00:01:31.480 --> 00:01:33.880 雨量不足から それが出来なくなりました 00:01:34.640 --> 00:01:37.560 これは2050年を予測したものです 00:01:38.840 --> 00:01:41.016 アフリカが というより世界の大半が 00:01:41.040 --> 00:01:42.936 危機を迎えるでしょう 00:01:42.960 --> 00:01:46.616 何らかの効果的な食料生産方法を 考えなくてはなりません 00:01:46.640 --> 00:01:49.936 その中でも好適なのが 干ばつ耐性のある植物です NOTE Paragraph 00:01:49.960 --> 00:01:52.016 アフリカで忘れてならないのは 00:01:52.040 --> 00:01:54.840 殆どの地域の農業は 降水に頼っていることです NOTE Paragraph 00:01:56.080 --> 00:01:59.536 干ばつ耐性のある作物を作出する事は 簡単なことではありません 00:01:59.560 --> 00:02:01.976 その理由は水です 00:02:02.000 --> 00:02:05.136 水は地球の生物には欠かせません 00:02:05.160 --> 00:02:09.294 常に代謝を繰り返している全ての生物 — 00:02:09.320 --> 00:02:11.376 微生物からヒトに至るまで 00:02:11.400 --> 00:02:13.736 生命体の主な構成物質は水です 00:02:13.760 --> 00:02:16.296 水で生命は息づき 00:02:16.320 --> 00:02:19.336 少しでも水が無くなると 死に至る生命体もあります 00:02:19.360 --> 00:02:21.416 ヒトは 水分含有率は65%で 00:02:21.440 --> 00:02:23.840 その1%を失うと死に至ります 00:02:23.840 --> 00:02:26.560 私たちは それを 行動により 回避出来ますが 00:02:27.920 --> 00:02:29.490 植物は それが出来ません 00:02:29.490 --> 00:02:31.136 地面に根を張ったままです 00:02:31.160 --> 00:02:34.536 植物は 水分含有率が約95%と 00:02:34.560 --> 00:02:35.816 ヒトよりも高く 00:02:35.840 --> 00:02:37.936 種にもよりますが ヒトよりも多くの水分— 00:02:37.960 --> 00:02:40.920 10〜70%程を失っても 生き延びることが出来ます 00:02:40.930 --> 00:02:43.360 あくまでも短期間だけですが NOTE Paragraph 00:02:44.680 --> 00:02:48.856 殆どの植物は 水分の損失に抵抗し 回避しようとします 00:02:48.880 --> 00:02:52.220 その極端な例は多肉植物に見られます 00:02:52.220 --> 00:02:55.656 多肉植物は小さく美しいものが多いのですが 00:02:55.680 --> 00:02:58.416 水分保持の為には犠牲も伴い 00:02:58.440 --> 00:03:00.440 成長が非常にゆっくりになります 00:03:01.440 --> 00:03:05.770 水の消失を回避する例は 木や低木で見られます 00:03:05.770 --> 00:03:07.580 根を地中に伸ばし 00:03:07.580 --> 00:03:09.320 地下深くから摂取した水分を 00:03:09.320 --> 00:03:11.810 常時 体中に送り込み 00:03:11.810 --> 00:03:13.660 水分補給しています NOTE Paragraph 00:03:13.660 --> 00:03:15.696 右はバオバブという植物で 00:03:15.720 --> 00:03:17.770 “上下逆さまの木”と呼ばれ 00:03:17.780 --> 00:03:21.550 根と幹のプロポーションが 00:03:21.550 --> 00:03:24.230 まるで上下逆さにしたかの様です 00:03:24.230 --> 00:03:27.560 もちろん 根は植物が 吸水するのに必要なものです NOTE Paragraph 00:03:28.760 --> 00:03:33.280 水分消失を避けるためのよくある 「植物の知恵」は一年草で見られます 00:03:33.840 --> 00:03:37.016 一年草は 私たちの植物性食物の 多くを占めています 00:03:37.040 --> 00:03:38.736 米国の西海岸沿いでは 00:03:38.760 --> 00:03:42.296 年間それ程の植物は 生育していないようでも 00:03:42.320 --> 00:03:43.740 春に雨が降ると 00:03:43.740 --> 00:03:46.690 このように砂漠にも花が咲きます NOTE Paragraph 00:03:47.000 --> 00:03:48.840 一年草植物の知恵とは― 00:03:48.840 --> 00:03:51.240 雨季だけに成長するということです 00:03:51.960 --> 00:03:54.250 雨季の終わりには 種子をつくります 00:03:54.250 --> 00:03:57.096 種子の水分含有率は8〜10%で 乾燥した状態ですが 00:03:57.120 --> 00:03:58.776 生命力一杯です 00:03:58.800 --> 00:04:01.680 乾燥し それでも命ある物は 00:04:01.680 --> 00:04:03.840 乾燥耐性があるといいます NOTE Paragraph 00:04:03.840 --> 00:04:05.760 種子は乾燥状態のまま 00:04:05.760 --> 00:04:07.340 過酷な環境の中 00:04:07.340 --> 00:04:09.656 長い間じっとしているしかありません 00:04:09.656 --> 00:04:11.840 次の雨季が来たときに 00:04:11.840 --> 00:04:13.416 種子は発芽し 00:04:13.416 --> 00:04:15.280 命のサイクルを再開します NOTE Paragraph 00:04:16.120 --> 00:04:19.800 乾燥耐性をもつ種子の進化により 00:04:19.800 --> 00:04:22.456 花をつける顕花植物が繁殖し 00:04:22.456 --> 00:04:25.920 陸地に拡がるようになったと 考えられています NOTE Paragraph 00:04:26.960 --> 00:04:30.120 では 私たちの主な食物源である 一年草に戻りましょう 00:04:30.800 --> 00:04:35.520 植物性食物の95%を占めている 小麦、米、トウモロコシが 00:04:36.480 --> 00:04:38.016 非常に都合がいいのは 00:04:38.040 --> 00:04:41.216 短期間に種子を 大量に生産できるからです 00:04:41.240 --> 00:04:43.860 種子には カロリーが 凝縮されているので 00:04:43.884 --> 00:04:47.804 豊作の時に干ばつに備え 蓄えて置けます 00:04:48.180 --> 00:04:50.110 しかし ある問題があります 00:04:50.560 --> 00:04:51.936 栄養組織である 00:04:51.960 --> 00:04:54.136 一年草の根や葉は 00:04:54.160 --> 00:04:55.416 乾燥に対する特性 — 00:04:55.440 --> 00:04:59.536 耐性、 回避性、 抵抗性を 持っていないのです 00:04:59.560 --> 00:05:00.856 その必要性がないのは 00:05:00.880 --> 00:05:02.296 雨季に生育し 00:05:02.320 --> 00:05:05.696 その年を生き抜くための 種子を得てきたからです NOTE Paragraph 00:05:05.720 --> 00:05:08.416 農業における協調努力で 00:05:08.440 --> 00:05:10.976 その3つの特性が向上した 00:05:11.000 --> 00:05:13.176 農作物を作ろうとしても — 00:05:13.200 --> 00:05:15.096 特に抵抗性と回避性の働きが 00:05:15.120 --> 00:05:18.316 我々のモデルで良く分るのですが — 00:05:18.316 --> 00:05:20.376 まだ こんな感じです 00:05:20.400 --> 00:05:21.856 アフリカのトウモロコシです 00:05:21.880 --> 00:05:23.296 2週間 雨が降らず 00:05:23.320 --> 00:05:24.520 枯死しています NOTE Paragraph 00:05:25.560 --> 00:05:26.800 この解決策は 00:05:27.520 --> 00:05:28.760 復活植物にあります 00:05:29.320 --> 00:05:33.096 復活植物は95%の水分を 失うことにも耐えられ 00:05:33.120 --> 00:05:36.976 何ヶ月も何年もの間 乾燥し枯死したような状態で生き続けます 00:05:37.000 --> 00:05:38.736 そして 水を与えると 00:05:38.760 --> 00:05:40.640 青々とし また成長し始めるのです 00:05:41.560 --> 00:05:44.896 種子のように乾燥耐性があり 00:05:44.896 --> 00:05:47.710 過酷な環境にも耐えられます 00:05:49.760 --> 00:05:52.476 この様な稀な特質を持つ被子植物は 00:05:52.476 --> 00:05:56.130 世界に135種しかありません NOTE Paragraph 00:05:56.130 --> 00:05:57.786 そのビデオをお見せします 00:05:57.786 --> 00:06:00.256 3種の復活植物が蘇る過程です 00:06:00.280 --> 00:06:01.496 左から順を追って行きます 00:06:01.520 --> 00:06:02.776 下の時間軸で 00:06:02.800 --> 00:06:05.536 どんなに早く復活するかが分かります NOTE Paragraph 00:06:44.160 --> 00:06:46.200 (拍手) NOTE Paragraph 00:06:50.240 --> 00:06:51.776 驚きですよね? NOTE Paragraph 00:06:51.800 --> 00:06:56.016 私は この復活植物のメカニズムを 21年間研究してきました 00:06:56.040 --> 00:06:59.270 どのように復活植物は死なずに 乾燥するのでしょう? 00:06:59.270 --> 00:07:01.856 私はいくつかの理由で ここにあるような 00:07:01.880 --> 00:07:04.296 様々な異なる種類、状態の 00:07:04.320 --> 00:07:05.776 復活植物を研究しています NOTE Paragraph 00:07:05.800 --> 00:07:07.590 その理由の一つは これらの植物どれもが 00:07:07.590 --> 00:07:11.056 干ばつ耐性を持つ作物の モデルとして役立つからです NOTE Paragraph 00:07:11.080 --> 00:07:14.016 例えば ずっと左上にある 00:07:14.040 --> 00:07:16.296 エラグロスティスニンデンシス 00:07:16.320 --> 00:07:18.660 この近縁のエラグロスティステフという 00:07:18.660 --> 00:07:20.966 皆さんもご存知のテフとして知られている 00:07:20.966 --> 00:07:22.296 無グルテンの 00:07:22.296 --> 00:07:23.856 エチオピアの主食です 00:07:23.856 --> 00:07:26.816 これに干ばつ耐性を 付与したいと我々は考えています NOTE Paragraph 00:07:26.840 --> 00:07:29.256 こんな植物を色々探している他の理由は — 00:07:29.280 --> 00:07:30.556 少なくとも最初は 00:07:30.556 --> 00:07:32.936 種子と乾燥耐性のある植物は 同じ働きをしているのか 00:07:32.960 --> 00:07:34.620 両方とも同じような機構で 00:07:34.620 --> 00:07:37.586 水分損失後も生命を保っているのか 調べたかったからです NOTE Paragraph 00:07:37.586 --> 00:07:40.526 そこで乾燥耐性を包括的に理解するため 00:07:40.526 --> 00:07:42.176 いわゆる システム生物学のアプローチを使いました 00:07:42.200 --> 00:07:44.130 いわゆる システム生物学のアプローチを使いました 00:07:44.130 --> 00:07:45.806 つまり 分子レベルから 00:07:45.806 --> 00:07:49.042 植物全体の 生態生理学的レベルまで見て行きます NOTE Paragraph 00:07:49.042 --> 00:07:50.291 例えば 00:07:50.316 --> 00:07:52.513 乾燥する過程での 植物解剖学的変化や 00:07:52.537 --> 00:07:53.846 超微細構造を調べます 00:07:53.846 --> 00:07:56.930 専門用語で言うトランスクリプトーム解析で 00:07:56.930 --> 00:07:58.290 乾燥に反応して 00:07:58.290 --> 00:08:01.076 活性化または抑制される遺伝子を調べます 00:08:01.076 --> 00:08:04.060 次に殆どの遺伝子はタンパク質を コードするのでプロテオーム解析で 00:08:04.060 --> 00:08:07.530 どんなタンパク質が 乾燥過程で出来るのか調べます 00:08:07.530 --> 00:08:11.370 代謝産物を作る酵素を コードするタンパク質もあるので 00:08:11.370 --> 00:08:13.036 次にするメタボローム解析は NOTE Paragraph 00:08:13.036 --> 00:08:16.296 土から離れられない植物にとって重要です 00:08:16.320 --> 00:08:20.416 私が「高度に調節された化学兵器」 と呼ぶ機構を使い 00:08:20.440 --> 00:08:23.856 植物は 全ての環境ストレスから 身を守っているので 00:08:23.880 --> 00:08:25.370 乾燥過程で起きる 00:08:25.370 --> 00:08:28.170 植物内の化学変化を調べる事は重要です NOTE Paragraph 00:08:28.520 --> 00:08:31.176 分子レベルでする最後の段階では 00:08:31.200 --> 00:08:32.456 リピドームの変化 — 00:08:32.480 --> 00:08:34.534 乾燥に反応して起きる脂質の変化を調べます 00:08:34.558 --> 00:08:35.816 これもまた重要なのは 00:08:35.840 --> 00:08:38.655 生物の膜組織は脂質で 出来ているからです 00:08:38.679 --> 00:08:41.256 膜組織として脂質があるのは 水の中だからであり 00:08:41.280 --> 00:08:43.520 その水を取り除けば 膜組織は崩れてしまいます 00:08:44.240 --> 00:08:47.280 脂質は 遺伝子をオンにする シグナルとしても働きます NOTE Paragraph 00:08:48.200 --> 00:08:50.896 最後に 生理学・生化学的研究を行って 00:08:50.920 --> 00:08:54.136 我々の他の研究で発見して 保護剤と推定した物質の 00:08:54.160 --> 00:08:57.096 機能を調べます 00:08:57.120 --> 00:08:59.296 これら全ての結果から 植物が自然環境に 00:08:59.320 --> 00:09:01.640 どう対処をしているか 理解することが出来ます NOTE Paragraph 00:09:03.480 --> 00:09:07.720 この様に乾燥耐性機構を 包括的に理解すべきだと 00:09:07.720 --> 00:09:10.080 私が常に考えているのは 00:09:10.080 --> 00:09:13.960 応用生命科学に 有意義な提案をするためです NOTE Paragraph 00:09:14.650 --> 00:09:17.150 と言うと こう思う方もいらっしゃるでしょう 00:09:17.150 --> 00:09:18.366 「応用生命科学? 00:09:18.366 --> 00:09:21.580 彼女は遺伝子組み換え作物を 作る積もりなのだろうか?」と 00:09:22.240 --> 00:09:23.936 その答えは 00:09:23.960 --> 00:09:26.341 遺伝子組み換えを どう定義するかによります NOTE Paragraph 00:09:27.200 --> 00:09:30.016 私たちが食するすべての穀物 小麦、米、トウモロコシ等は 00:09:30.040 --> 00:09:33.256 原始の姿からすると 高度に遺伝子操作されています 00:09:33.280 --> 00:09:35.256 それが遺伝子組換えだと 見なされないのは 00:09:35.280 --> 00:09:37.920 従来の育種法によって 行われて来たからです 00:09:38.880 --> 00:09:42.656 では 「復活植物の遺伝子を作物に?」 と尋ねられれば 00:09:42.680 --> 00:09:43.976 その答えはイエスです NOTE Paragraph 00:09:44.000 --> 00:09:47.136 早速 我々はそれを試して見ました 00:09:47.160 --> 00:09:50.016 正確には UCTの共同研究者 00:09:50.040 --> 00:09:51.976 ジェニファー・トムソン スハイル・ラフディーンが 00:09:52.000 --> 00:09:53.616 このアプローチの指揮を執りました 00:09:53.640 --> 00:09:55.593 データをこれからお見せします NOTE Paragraph 00:09:57.200 --> 00:10:01.216 我々が今から取り掛かろうとしている 非常に野心的な方法は 00:10:01.240 --> 00:10:04.696 作物全てに既に備わっている全遺伝子群を 00:10:04.720 --> 00:10:07.416 オンにするのが目標です 00:10:07.440 --> 00:10:10.815 これまで極度の干ばつ状態で 発現したことがなかっただけです 00:10:10.815 --> 00:10:14.670 これが 遺伝子組換えかどうかは 皆さんのお考えにお任せします NOTE Paragraph 00:10:15.560 --> 00:10:19.016 最初の手法から得たデータを 幾つかお見せしますが 00:10:19.040 --> 00:10:20.296 その前に 00:10:20.320 --> 00:10:22.976 遺伝子がどのように働くのか 少し説明します NOTE Paragraph 00:10:23.000 --> 00:10:24.256 皆さんもご存知でしょうが 00:10:24.280 --> 00:10:26.230 遺伝子は 2本鎖DNAの中にあり 00:10:26.230 --> 00:10:28.776 そのDNAが 中にしっかりと巻かれた染色体が 00:10:28.776 --> 00:10:31.480 ヒトにも植物にも 全ての細胞にあります 00:10:32.080 --> 00:10:35.160 DNAを引き延ばしてみると 遺伝子があり 00:10:35.840 --> 00:10:38.296 その1つ1つにプロモーターという 00:10:38.320 --> 00:10:40.660 遺伝子を制御する 00:10:40.660 --> 00:10:42.156 遺伝子コーディング領域があり 00:10:42.166 --> 00:10:43.416 端にはターミネーターという 00:10:43.440 --> 00:10:47.740 転写の終結を示し そこから 次の遺伝子へ移る末端があります NOTE Paragraph 00:10:47.740 --> 00:10:50.616 プロモーターは 遺伝子を制御する スイッチというだけではなく 00:10:50.640 --> 00:10:53.336 遺伝子発現の前にかなりの微調節や 00:10:53.360 --> 00:10:57.400 様々な正しい転写因子を必要とします 00:10:58.240 --> 00:11:01.296 バイオ技術における研究では 00:11:01.320 --> 00:11:03.130 一般に誘導性プロモーターを使い 00:11:03.130 --> 00:11:04.736 遺伝子を発現させます 00:11:04.760 --> 00:11:06.776 我々は それを標的の遺伝子と共役させ 00:11:06.800 --> 00:11:09.480 植物に導入し植物が どう反応するか見ます NOTE Paragraph 00:11:10.120 --> 00:11:12.310 これからお話しする研究では 00:11:12.310 --> 00:11:15.236 私の共同研究者は 我々が復活植物に発見した 00:11:15.236 --> 00:11:17.616 乾燥誘導性プロモーターを使いました 00:11:17.640 --> 00:11:20.720 このプロモーターの便利なところは 我々が何もしなくとも 00:11:20.720 --> 00:11:22.880 植物は干ばつを感じ取るのです 00:11:23.600 --> 00:11:28.570 それを使い復活植物から 抗酸化遺伝子を単離しました 00:11:28.570 --> 00:11:30.616 抗酸化遺伝子が大切なのは 00:11:30.616 --> 00:11:33.656 全てのストレス 特に乾燥ストレスで 00:11:33.680 --> 00:11:35.220 遊離基 ー 00:11:35.220 --> 00:11:38.366 非常に有害な活性酸素種が生成され 00:11:38.366 --> 00:11:41.080 作物を駄目にしてしまう可能性があり 00:11:41.680 --> 00:11:44.280 抗酸化物質はそのダメージを防ぐからです NOTE Paragraph 00:11:45.360 --> 00:11:49.256 これはアフリカで広く作られている トウモロコシの品種から得たデータです 00:11:49.280 --> 00:11:52.576 矢印の左は 抗酸化遺伝子の無い植物で 00:11:52.600 --> 00:11:53.856 右は 00:11:53.880 --> 00:11:55.936 抗酸化遺伝子があります 00:11:55.960 --> 00:11:57.776 3週間水を与えなくとも 00:11:57.800 --> 00:12:00.280 抗酸化遺伝子のある方は はるかに元気です NOTE Paragraph 00:12:01.720 --> 00:12:03.056 最終的に 00:12:03.080 --> 00:12:06.280 我々の研究で 種子と復活植物の乾燥耐性機構が 00:12:06.280 --> 00:12:10.690 非常に良く似ている事が分かりました 00:12:10.690 --> 00:12:11.930 両者は同じ遺伝子を 00:12:11.930 --> 00:12:14.650 使っているのでしょうか? 00:12:14.650 --> 00:12:16.736 少し表現を変え 00:12:16.760 --> 00:12:19.810 復活植物は種子にある 乾燥耐性が進化した遺伝子を 00:12:19.810 --> 00:12:22.530 根や葉に使っているのか? 00:12:22.540 --> 00:12:26.226 種子の遺伝子が復活植物の根や葉にも 働いているのでしょうか? 00:12:27.760 --> 00:12:29.616 それにお答えします NOTE Paragraph 00:12:29.640 --> 00:12:32.056 我々グループの研究と 00:12:32.080 --> 00:12:35.616 オランダのヘンク・ヒルホースト 00:12:35.640 --> 00:12:37.216 USのメル・オリバー 00:12:37.240 --> 00:12:39.840 仏のジュリア・バティンク等との 最近の共同研究から 00:12:39.880 --> 00:12:41.296 その答えはイエスです 00:12:41.320 --> 00:12:44.176 両方に関わる 核となる遺伝子があるのです NOTE Paragraph 00:12:44.200 --> 00:12:47.610 これをトウモロコシで 簡単に説明します 00:12:47.610 --> 00:12:50.126 抑制スイッチの下にある トウモロコシの染色体は 00:12:50.126 --> 00:12:53.640 乾燥耐性に必要な 全ての遺伝子を含んでいます 00:12:53.640 --> 00:12:57.920 トウモロコシの種子が 成熟し乾燥してしまうと 00:12:57.920 --> 00:12:59.320 この遺伝子が発現します 00:13:00.680 --> 00:13:03.570 復活植物は その同じ遺伝子のスイッチを 00:13:03.570 --> 00:13:05.256 乾燥してしまった時入れます 00:13:05.280 --> 00:13:07.056 つまり現代の全ての作物は 00:13:07.080 --> 00:13:09.020 根や葉にも この遺伝子があるのですが 00:13:09.020 --> 00:13:11.106 そのスイッチが入った事がないだけで 00:13:11.106 --> 00:13:13.430 種子の組織にしか起動させていないのです NOTE Paragraph 00:13:13.440 --> 00:13:15.176 今 我々は 00:13:15.200 --> 00:13:17.450 そんな遺伝子にスイッチを入れる 00:13:17.450 --> 00:13:20.240 復活植物の細胞や環境のシグナルを理解し 00:13:20.240 --> 00:13:23.040 農作物で再現しようと試みています 00:13:23.680 --> 00:13:25.416 最後に一言 NOTE Paragraph 00:13:25.440 --> 00:13:26.190 我々は 00:13:26.190 --> 00:13:29.540 自然が復活植物の進化の過程において 00:13:29.540 --> 00:13:34.200 1から4千万年間掛けて成した事を 猛スピードで再現しているのです NOTE Paragraph 00:13:34.200 --> 00:13:36.656 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:13:36.680 --> 00:13:39.925 (拍手)