WEBVTT 00:00:06.902 --> 00:00:11.251 1世紀から5世紀の ある時期に 00:00:11.251 --> 00:00:18.165 ヒンドゥー教の聖人 パタンジャリは 古来からインド全土で実践されてきた ― 00:00:18.165 --> 00:00:20.415 瞑想の伝統を 体系化し始めました 00:00:20.415 --> 00:00:25.738 インド文明と ほぼ同じ位古い技術を 00:00:25.738 --> 00:00:30.778 196節から成る「ヨーガスートラ」に まとめたのです 00:00:30.778 --> 00:00:35.957 その教典で ヨーガは “くびきをつける” と定義されています 00:00:35.957 --> 00:00:39.397 外界の事物に向かぬよう 心を抑制し 00:00:39.397 --> 00:00:43.476 “純粋意識”の状態に至ることを 目指すのです 00:00:43.476 --> 00:00:47.598 時を経て ヨーガは 体操やレスリングから 00:00:47.598 --> 00:00:50.438 身体的要素を 取り入れました 00:00:50.438 --> 00:00:54.258 現在では 様々な種類の ヨーガがありますが 00:00:54.258 --> 00:01:00.967 ほとんどが パタンジャリの実践した 3つの核となる要素を保持しています 00:01:00.967 --> 00:01:06.573 つまり ポーズ 呼吸法 瞑想法です NOTE Paragraph 00:01:06.573 --> 00:01:10.073 ヨーガは身体的 精神的要素が 融合した運動で 00:01:10.073 --> 00:01:15.095 健康に良い影響を与えると 広く考えられています 00:01:15.095 --> 00:01:18.805 例えば 筋力や柔軟性を高め 00:01:18.805 --> 00:01:24.380 心肺機能を向上 精神的な健康状態を良好にします 00:01:24.380 --> 00:01:27.290 しかし 古来の伝統による効能は 00:01:27.290 --> 00:01:31.120 現代の研究で 裏づけられているのでしょうか NOTE Paragraph 00:01:31.120 --> 00:01:33.830 多くの研究者が試みましたが 00:01:33.830 --> 00:01:38.670 ヨーガの効能に関して 断言することは困難です 00:01:38.670 --> 00:01:42.832 独特な動作の組み合わせ方により 00:01:42.832 --> 00:01:46.832 どの要素がどの影響を及ぼしているのか 特定が難しいのです 00:01:46.832 --> 00:01:51.436 さらに ヨーガ研究は サンプル数が少なく 00:01:51.436 --> 00:01:52.896 多様性に欠けるうえ 00:01:52.896 --> 00:01:58.038 自己申告に大きく依拠するため 結果が主観的になりがちです 00:01:58.038 --> 00:02:00.708 しかし ヨーガによる 健康への好影響のうち 00:02:00.708 --> 00:02:05.448 比較的 確実性の高い根拠を 有するものもあります NOTE Paragraph 00:02:05.448 --> 00:02:08.638 まず柔軟性と筋力です 00:02:08.638 --> 00:02:11.928 体を曲げ ヨーガのポーズをとることで 00:02:11.928 --> 00:02:14.168 多数の筋群が伸びます 00:02:14.168 --> 00:02:21.121 ストレッチにより短期間で 筋肉やじん帯 腱の水分量が変化し 00:02:21.121 --> 00:02:23.373 それらの弾性が増します 00:02:23.373 --> 00:02:28.003 さらに 定期的なストレッチにより 時間をかけて幹細胞が刺激され 00:02:28.003 --> 00:02:31.023 新たな筋肉組織や 00:02:31.023 --> 00:02:34.933 弾力性のあるコラーゲンを 生み出す他の細胞に分化します 00:02:34.933 --> 00:02:37.123 頻繁にストレッチをすることで 00:02:37.123 --> 00:02:40.643 反射的な筋肉の収縮が減り 00:02:40.643 --> 00:02:45.077 柔軟性が高まるので 痛みへの耐性が向上します NOTE Paragraph 00:02:45.077 --> 00:02:48.917 どの種類のヨーガが より柔軟性を向上させるかは 00:02:48.917 --> 00:02:51.437 まだ 分かっておらず 00:02:51.437 --> 00:02:56.039 そのため 特定のポーズによる影響も はっきりしません 00:02:56.039 --> 00:02:59.204 しかし 体への負担が少ない 他の運動のように 00:02:59.204 --> 00:03:05.353 ヨーガが健康と柔軟性を 向上させることは確実です NOTE Paragraph 00:03:05.353 --> 00:03:11.364 さらに ヨーガは潜在的に 有力な治療手段であることも分かっています 00:03:11.364 --> 00:03:16.995 様々な筋骨格系の疾患をもつ 患者に関する研究で 00:03:16.995 --> 00:03:19.967 ヨーガは 体に負担の少ない 他の運動より 00:03:19.967 --> 00:03:24.818 痛みの軽減 可動域の改善に 効果があると認められました 00:03:24.818 --> 00:03:28.091 今 習慣的に行っている運動に ヨーガを加えたとします 00:03:28.091 --> 00:03:32.523 すると筋力や柔軟性が向上し 治療が困難な症状ー 00:03:32.523 --> 00:03:38.455 例えば 慢性的な腰痛や関節リウマチ 骨粗しょう症などに効果があるでしょう NOTE Paragraph 00:03:38.455 --> 00:03:42.877 さらにヨーガでは 動きと 呼吸のコントロールが連動しており 00:03:42.877 --> 00:03:46.667 肺の健康への効果が 認められています 00:03:46.667 --> 00:03:51.221 慢性気管支炎や気腫 喘息のような肺の疾患になると 00:03:51.221 --> 00:03:54.451 酸素を運ぶ通路が収縮し 00:03:54.451 --> 00:03:58.582 血液に酸素を運ぶ膜も 弱まります 00:03:58.582 --> 00:04:02.072 しかし ヨーガにみられるような呼吸法は 00:04:02.072 --> 00:04:05.049 通路を狭めている筋肉を緩め 00:04:05.049 --> 00:04:07.569 酸素の拡散を改善するのです 00:04:07.569 --> 00:04:10.643 血液中の酸素量を増やすことは 00:04:10.643 --> 00:04:14.483 十分な酸素を 全身に送るのが困難な 00:04:14.483 --> 00:04:18.363 心筋が弱い人にとって 特に効果的です 00:04:18.363 --> 00:04:20.163 心臓に問題のない人でも 00:04:20.163 --> 00:04:22.110 ヨーガにより血圧が下がり 00:04:22.110 --> 00:04:26.845 心血管系の疾患に対する危険因子が 減り得るのです NOTE Paragraph 00:04:26.845 --> 00:04:32.713 最も支持を得ているヨーガの効果は 証明が最も難しいかもしれません 00:04:32.713 --> 00:04:35.143 つまり 精神面への影響です 00:04:35.143 --> 00:04:40.545 ヨーガと精神的な健康状態は関連すると 言われて久しいですが 00:04:40.545 --> 00:04:45.374 ヨーガによる精神面へ影響について 決定的な証拠は ほとんどありません 00:04:45.374 --> 00:04:47.014 代表的なヨーガの効果の1つに 00:04:47.014 --> 00:04:52.634 鬱(うつ)や不安障害の症状の 改善が挙げられます 00:04:52.634 --> 00:04:56.204 しかし 症状の原因や程度が様々であるように その診断も個々に異なることから 00:04:56.204 --> 00:05:02.144 ヨーガの影響を測ることは 難しいのです 00:05:02.144 --> 00:05:04.804 しかし ストレス症状の軽減に 00:05:04.804 --> 00:05:10.385 ヨーガが効果的とする証拠はあります 00:05:10.385 --> 00:05:12.694 瞑想や休養も同様です NOTE Paragraph 00:05:12.694 --> 00:05:16.224 ヨーガの影響に関する研究は いまだ途中段階にあります 00:05:16.224 --> 00:05:20.994 今後は 多様な参加者を募り より大規模に研究する必要があるでしょう 00:05:20.994 --> 00:05:24.994 そうすることで 心臓発作や発がん率 認知機能 その他に対する 00:05:24.994 --> 00:05:27.524 ヨーガの影響を測ることが できるでしょう 00:05:27.524 --> 00:05:31.294 しかし 現時点でも 運動や内省 リラックスする方法として 00:05:31.294 --> 00:05:34.804 ヨーガ古来の伝統を 享受できるのです