WEBVTT 00:00:00.222 --> 00:00:01.506 偉大なリーダーといえば 00:00:01.530 --> 00:00:06.336 困難や苦境の中を導いてくれる 不屈のキャプテンという印象があります 00:00:06.360 --> 00:00:11.201 データと豊富な経験を備え 自信と気概にあふれるリーダーは 00:00:11.225 --> 00:00:14.799 経営と政治において 常々 重んじられてきました NOTE Paragraph 00:00:14.872 --> 00:00:17.038 しかし時折 特に近頃顕著なのですが 00:00:17.052 --> 00:00:20.227 あまりに急を要する 前代未聞の危機が発生し 00:00:20.247 --> 00:00:22.607 あらゆる常識がひっくり返される という事態になります NOTE Paragraph 00:00:22.631 --> 00:00:24.857 [シリーズ 働き方] NOTE Paragraph 00:00:25.088 --> 00:00:27.138 [協賛 Dropbox] NOTE Paragraph 00:00:27.159 --> 00:00:28.518 ひとつ確実に言えるのは 00:00:28.542 --> 00:00:30.327 今後も激動は続くということです 00:00:30.351 --> 00:00:32.516 あらゆるものが繋がり合う時代では 00:00:32.540 --> 00:00:34.628 政変ひとつや 00:00:34.652 --> 00:00:37.716 爆発的に拡散した動画ひとつや 遠方で起きた津波ひとつや 00:00:37.740 --> 00:00:42.033 小さなウィルスひとつが 世界中を震撼させることもあります 00:00:42.057 --> 00:00:43.827 波乱は恐怖を生み 00:00:43.851 --> 00:00:46.374 その真っ只中では 人々は安心を求めるため 00:00:46.398 --> 00:00:47.797 リーダーたちは 00:00:47.821 --> 00:00:53.299 強さ、自信、不変を連想させる 常套句を使いがちですが 00:00:53.323 --> 00:00:54.481 効果はありません 00:00:54.505 --> 00:00:56.530 戦略を改めなければなりません NOTE Paragraph 00:00:56.554 --> 00:00:58.998 1つめ この種のリーダーシップには 00:00:59.022 --> 00:01:02.657 率直で頻繁なコミュニケーションが必要です 00:01:02.681 --> 00:01:07.339 では 確実性や明確性が乏しい時勢において リーダーはどうすればいいのでしょう 00:01:07.363 --> 00:01:10.248 CEOであれ 首相であれ 00:01:10.269 --> 00:01:12.870 中間管理職であれ あるいは校長先生であれ 00:01:12.894 --> 00:01:15.866 激動の時こそ いっそうの謙虚さが必要です 00:01:15.890 --> 00:01:17.376 十分な知識もないのに 00:01:17.400 --> 00:01:20.335 答えを知っているふりをしたところで 何にもなりません 00:01:20.359 --> 00:01:23.906 波乱の中においては 知っていることは共有し 00:01:23.926 --> 00:01:25.946 知らないことは知らないと認めるのです 00:01:25.970 --> 00:01:30.431 不思議なことに このような正直さは 人々の心理的な安心感を高めはしても 00:01:30.455 --> 00:01:31.638 弱めはしません NOTE Paragraph 00:01:31.662 --> 00:01:36.675 例えば パンデミックで 航空業界が まさに一夜にして大打撃を受けた際 00:01:36.699 --> 00:01:38.971 デルタ航空のCEO エド・バスティアンは 00:01:38.995 --> 00:01:41.311 従業員とのコミュニケーションを いっそう密にしました 00:01:41.335 --> 00:01:44.526 壊滅的な事態に直面する中で 00:01:44.526 --> 00:01:46.670 先行きの不透明さにもかかわらずです 00:01:46.837 --> 00:01:48.241 2020年の一時期は 00:01:48.265 --> 00:01:50.931 1日に1億ドル以上の損失を出しており 00:01:50.955 --> 00:01:54.588 もっと情報を集めてから 行動に移したほうが 00:01:54.613 --> 00:01:56.058 よほど楽だったはずです 00:01:56.082 --> 00:01:58.201 しかし できるリーダーは激動の中でも 00:01:58.225 --> 00:01:59.846 逃げ隠れしないものです 00:01:59.870 --> 00:02:01.859 むしろ バスティアンの言葉を借りれば 00:02:01.880 --> 00:02:03.887 圧倒的にコミュニケーションが重要なのは 00:02:03.911 --> 00:02:06.665 答えを知っている時よりも 答えを知らない時なのです NOTE Paragraph 00:02:06.689 --> 00:02:10.760 2つめは 情報が不完全であっても 至急 行動することです 00:02:10.784 --> 00:02:12.785 正解を知らないと認めることは 00:02:12.809 --> 00:02:15.158 何もしないでいいということではありません 00:02:15.182 --> 00:02:17.936 情報がもっと欲しいと思うのは もっともなことですが 00:02:17.950 --> 00:02:21.618 迅速な行動こそが 情報をさらに得る 唯一の方法であることも多いのです 00:02:21.642 --> 00:02:25.101 手をこまねいていては 周りは どうすればいいか分からず不安になります NOTE Paragraph 00:02:25.131 --> 00:02:27.979 ニュージーランドの首相 ジャシンダ・アーダーンが 00:02:28.003 --> 00:02:32.672 コロナ危機の際に いち早く 4段階の警戒システムを導入した時 00:02:32.696 --> 00:02:35.617 何を基準とするかという情報が 不足していました 00:02:35.641 --> 00:02:37.312 答えが出ていないのにもかかわらず 00:02:37.330 --> 00:02:41.204 アーダーン首相は ためらわずに 国民に危険を知らせました NOTE Paragraph 00:02:41.228 --> 00:02:43.421 当初はレベル2の設定でしたが 00:02:43.445 --> 00:02:47.478 わずか2日後 件数増加を受けて レベル4に引き上げました 00:02:47.502 --> 00:02:50.089 これで全国規模のロックダウンが発動し 00:02:50.113 --> 00:02:52.854 おかげで数えきれないほどの命が 守られたはずです 00:02:52.878 --> 00:02:55.819 後に 件数が落ち着き始めると 00:02:55.843 --> 00:02:59.826 首相は この新たな情報を元に 次の決断を下したのでした NOTE Paragraph 00:02:59.850 --> 00:03:03.186 3つめ リーダーたる者 理念や信条が揺らいではなりません 00:03:03.210 --> 00:03:05.654 目標や状況が変わったとしてもです 00:03:05.678 --> 00:03:09.427 信条は まったく先が見えない時に 道を照らす光となります 00:03:09.451 --> 00:03:11.316 顧客満足を心がけているのなら 00:03:11.340 --> 00:03:13.841 激動の時も 守り通しましょう 00:03:13.865 --> 00:03:16.480 安全と衛生を価値観の中心に据えているのなら 00:03:16.504 --> 00:03:19.465 それを あらゆる決断の礎にしましょう NOTE Paragraph 00:03:19.489 --> 00:03:23.987 そのためには 自分の価値観について 徹底的に正直である必要があります 00:03:24.011 --> 00:03:26.888 そうすれば あなたの一貫性が 00:03:26.903 --> 00:03:29.534 計画にではなく 価値観に表れます 00:03:29.558 --> 00:03:32.616 アーダーン首相が 首尾一貫して見せた明確な理念は 00:03:32.640 --> 00:03:34.189 人命を守ることでした 00:03:34.213 --> 00:03:39.610 当面の目標が 疾病予防から 医療制度の整備に変わり 00:03:39.634 --> 00:03:42.038 最終的に経済活性化へと移っても 変わりませんでした NOTE Paragraph 00:03:42.062 --> 00:03:44.583 最後 4つめは 力を分け与えることです 00:03:44.607 --> 00:03:48.931 激動の時は 本能的に よりいっそう 手綱を握りたくなるものですが 00:03:49.068 --> 00:03:50.368 それでは逆効果です 00:03:50.392 --> 00:03:53.426 リーダーシップを見せる もっとも効果的な方法のひとつは 00:03:53.450 --> 00:03:54.943 直感には反しますが 00:03:54.967 --> 00:03:57.442 権力を周りの人間と分け合うことです 00:03:57.466 --> 00:03:58.469 実践するためには 00:03:58.496 --> 00:04:02.127 一人では無理だと明確に意思表示し 助けを求める必要があります 00:04:02.151 --> 00:04:04.206 これは 人々に目的意識を与え 00:04:04.230 --> 00:04:06.094 革新が起こるきっかけにもなります NOTE Paragraph 00:04:06.118 --> 00:04:07.155 危機においては 00:04:07.175 --> 00:04:10.634 自分には何もできないという無力感ほど 恐ろしいものはないからです 00:04:10.760 --> 00:04:14.158 激変の中では このような 新しいタイプのリーダーが支持されます 00:04:14.182 --> 00:04:19.331 人々はリーダーの地図ではなく コンパスを信頼するからです NOTE Paragraph 00:04:19.355 --> 00:04:21.831 リーダーは 最新の情報を元に 00:04:21.855 --> 00:04:23.807 正しい進路を選んだ そして 00:04:23.831 --> 00:04:25.760 今後も情報共有を続けてくれるだろう 00:04:25.784 --> 00:04:28.339 何よりも 人として信頼できる 00:04:28.363 --> 00:04:32.374 何度でも 進むべき道を見つける 力になりたいと 00:04:32.398 --> 00:04:33.658 思うのです