WEBVTT 00:00:11.538 --> 00:00:14.134 2013年の夏のある日の午後に 00:00:14.158 --> 00:00:17.286 ワシントンDC警察は ある危険そうに見えた男の 00:00:17.310 --> 00:00:20.402 勾留、尋問、捜査をしました 00:00:22.076 --> 00:00:25.721 公正さのために言うと 私はこんな服で 勾留されたのではありません 00:00:25.745 --> 00:00:27.568 でも その時の写真も持っています 00:00:28.322 --> 00:00:31.018 恐ろしい体験を予見して 冷静さを保とうとしているの図 00:00:31.042 --> 00:00:32.134 (笑) 00:00:32.159 --> 00:00:34.581 当時私は インターンとして 00:00:34.605 --> 00:00:37.337 ワシントンDCの 公選弁護人サービスで働いていて 00:00:37.361 --> 00:00:39.780 仕事のため 警察署を訪れていました 00:00:39.804 --> 00:00:40.964 外に出て 00:00:40.988 --> 00:00:42.980 車のところへ行こうとした時 00:00:43.004 --> 00:00:45.305 2台のパトカーが停まって 私の行く手をふさぎ 00:00:45.329 --> 00:00:47.660 1人の警察官が 後ろから私に近づきました 00:00:47.684 --> 00:00:49.956 警官は 私に 止まって リュックサックを下ろし 00:00:49.980 --> 00:00:53.056 隣に停まったパトカーの車体に 両手を置くよう命じました 00:00:53.490 --> 00:00:56.485 10人くらいの警察官が その時 私たちの近くに集まりました 00:00:56.509 --> 00:00:57.756 全員がピストルを持ち 00:00:57.780 --> 00:00:59.120 何人かは自動小銃を持っていました 00:00:59.144 --> 00:01:00.878 リュックの中を 隈なく調べました 00:01:00.902 --> 00:01:02.307 ボディチェックをしました 00:01:02.331 --> 00:01:04.691 パトカーの上に手をついたまま 何枚も写真を撮りました 00:01:04.715 --> 00:01:05.872 笑い声も上がりました 00:01:05.896 --> 00:01:07.436 一連のことが起こっている間 — 00:01:07.460 --> 00:01:10.710 パトカーに手をついて 自分の脚の震えを考えないようにしながら 00:01:10.734 --> 00:01:13.069 どうすべきか 理性的に考えようとしていた時 00:01:13.093 --> 00:01:15.162 私は 奇妙なことに気づきました 00:01:15.186 --> 00:01:17.180 この写真に写った自分の姿を見て 00:01:17.204 --> 00:01:19.039 自分の人相を描写するなら 00:01:19.063 --> 00:01:20.850 こんな風になると思います 00:01:20.874 --> 00:01:26.263 「19歳のインド系男性 派手な色のTシャツ 眼鏡を着用」 00:01:26.287 --> 00:01:28.568 でもこういった特徴は 一切含まれていませんでした 00:01:28.592 --> 00:01:30.842 警察は 無線での私の人物描写で 00:01:30.866 --> 00:01:33.498 こう言い続けました 「リュックを背負った中東系男性 00:01:33.522 --> 00:01:35.551 リュックを背負った中東系男性」と 00:01:35.575 --> 00:01:38.648 そしてこの表現は そのまま 警察署での報告書に転記されました 00:01:39.179 --> 00:01:43.785 自国の警察に こんな描写をされるなんて 予想もしませんでした 00:01:43.809 --> 00:01:45.067 「不審な」 00:01:46.061 --> 00:01:47.292 「凶悪な」 00:01:48.592 --> 00:01:49.752 「テロリスト」 00:01:49.776 --> 00:01:51.719 勾留は長引いて次のようになりました 00:01:51.743 --> 00:01:55.621 警察は 爆発物探知犬を使って 私が出入りした場所を捜査しました 00:01:55.645 --> 00:01:59.072 私が要注意人物リストに載っていないか 連邦政府に電話照会しました 00:01:59.096 --> 00:02:01.947 数人の刑事を呼んで 私をさらに追及しました 00:02:01.971 --> 00:02:04.087 隠すことがないと言うのであれば なぜ 00:02:04.111 --> 00:02:06.157 車の捜査に同意しないのか と詰問されました 00:02:06.181 --> 00:02:08.241 警察が私の態度に満足ではないと 分かるものの 00:02:08.265 --> 00:02:11.349 次に警察に何を要求されるか 皆目分かりませんでした 00:02:11.373 --> 00:02:14.270 ある時点で 私の身体検査をした警官が 00:02:14.294 --> 00:02:17.824 セキュリティカメラの位置を確認するため 警察署の建物の脇を隈なく調べて 00:02:17.848 --> 00:02:20.720 捜査がどのくらい記録されているかを 確認しました 00:02:20.744 --> 00:02:21.912 その時 00:02:21.936 --> 00:02:25.406 自分が全く警察のなすがままだと 心底思い知りました 00:02:25.430 --> 00:02:27.853 私はこう思います 私たちはみんな 若い頃から 00:02:27.877 --> 00:02:31.630 警察官、逮捕、手錠に慣らされているので 00:02:31.654 --> 00:02:35.596 他の人の身体の自由を奪うことが どれほど屈辱的で威圧的なことかを 00:02:35.620 --> 00:02:38.525 忘れてしまいがちです 00:02:38.549 --> 00:02:40.594 人種のせいで ひどい扱いを受けたことが 話の主旨だと 00:02:40.618 --> 00:02:43.060 思われかねない言い方になりますが 00:02:43.084 --> 00:02:46.204 確かに 私が白人だったら 勾留はなかっただろうと思います 00:02:46.228 --> 00:02:48.967 でも 今日 私が言いたいのは 別のことです 00:02:48.991 --> 00:02:51.709 私が裕福でなかったら 00:02:51.733 --> 00:02:52.897 事態はずっと悪かったかもしれない ということです 00:02:52.921 --> 00:02:55.839 つまり 警察は 爆弾を仕掛けようとしたと疑って 00:02:55.863 --> 00:02:59.032 1時間半かけて その可能性を 捜査しました 00:02:59.056 --> 00:03:00.768 でも手錠をかけられることはなく 00:03:00.792 --> 00:03:02.804 拘置所に連行されることもありませんでした 00:03:02.828 --> 00:03:06.888 私がもし ワシントンDCの 有色人種の低所得者地区に住んでいて 00:03:06.912 --> 00:03:09.335 警官が私から生命の脅威を感じたら 00:03:09.359 --> 00:03:10.980 結果は 違っていたと思います 00:03:11.004 --> 00:03:14.408 実際 米国のシステムの中では 00:03:14.432 --> 00:03:16.720 警察署爆破未遂の容疑をかけらる 裕福な人の方が 00:03:16.744 --> 00:03:21.092 もっとずっと軽微な犯罪の容疑を かけられる貧乏人よりもましです 00:03:21.116 --> 00:03:23.691 私の今の仕事から 一つの例をお見せしましょう 00:03:24.069 --> 00:03:27.319 現在 私は ワシントンDCにある 公民権の団体で働いています 00:03:27.343 --> 00:03:29.675 「Equal Justice Under Law (法の下の平等な正義)」です 00:03:29.699 --> 00:03:32.608 まずみなさんにお聞きします 00:03:32.632 --> 00:03:35.619 これまでに駐車違反の切符を 切られたことのある人は 00:03:35.643 --> 00:03:36.807 手を挙げてください 00:03:36.831 --> 00:03:38.777 はい 私も経験あります 00:03:38.801 --> 00:03:40.134 違反金を払わねばならず 00:03:40.158 --> 00:03:42.189 煩わしく 嫌な感じがしましたが 00:03:42.213 --> 00:03:44.129 でも 違反金を払って片付けました 00:03:44.153 --> 00:03:46.844 みなさんも大方 駐車違反の違反金を払ったことがあるでしょう 00:03:47.376 --> 00:03:51.663 でも もしお金がなくて払えず 00:03:51.687 --> 00:03:54.857 家族にもお金がなかったら どうなるでしょうか? 00:03:54.881 --> 00:03:57.872 法のもとで起きてはならないことが 1つあります 00:03:57.896 --> 00:04:00.000 違反金を払えないというだけの理由で 00:04:00.024 --> 00:04:02.120 逮捕 収監されてはならないのです 00:04:02.144 --> 00:04:03.948 これは 連邦法に反します 00:04:03.972 --> 00:04:06.900 でも これは全国で地方自治体が 貧乏な人々に対して 00:04:06.924 --> 00:04:08.081 行っていることです 00:04:08.105 --> 00:04:11.025 そして「Equal Justice Under Law」の 扱う訴訟の多くが 00:04:11.049 --> 00:04:13.502 こんな現代版の「債務者監獄」についての 訴えです 00:04:14.531 --> 00:04:17.252 その1つが ミズーリ州ファーガソン市を 相手取ったものです 00:04:17.276 --> 00:04:19.100 ファーガソンと言うと 00:04:19.124 --> 00:04:21.221 警官による暴行事件を 思い出す人が多いでしょう 00:04:21.245 --> 00:04:23.533 でも 今日は違う側面について 話したいと思います 00:04:23.557 --> 00:04:27.023 警察と市民との関係という側面です 00:04:27.047 --> 00:04:32.612 ファーガソンは 毎年1人あたり 平均2通の逮捕令状を発行していました 00:04:32.636 --> 00:04:34.884 大半が 法的負債の不払いに対するものでした 00:04:35.756 --> 00:04:39.779 外出の度に 次のようなことが起こる 可能性があったら どんな感じでしょう 00:04:39.803 --> 00:04:42.903 警官にナンバープレートを照会されて 00:04:42.927 --> 00:04:44.618 未払いの債務が見つかったら 00:04:44.642 --> 00:04:46.772 DCで起こったように 身体を拘束されて 00:04:46.796 --> 00:04:48.713 留置場に連行されるかもしれないのです 00:04:48.737 --> 00:04:50.371 吐き気を催します 00:04:51.598 --> 00:04:54.754 ファーガソンでは このような経験のある人にたくさん会って 00:04:54.778 --> 00:04:56.565 そのうちの何人かに話を聞きました 00:04:56.589 --> 00:04:57.957 ファーガソンの拘置所では 00:04:57.981 --> 00:05:01.090 各監房に 簡易ベッドと便器が1つずつありますが 00:05:01.114 --> 00:05:03.416 そこに4人が詰め込まれます 00:05:03.440 --> 00:05:06.555 2人が簡易ベッドで そして残りの2人が床で寝させられ 00:05:06.579 --> 00:05:09.506 床に寝るうちの1人は 掃除されたこともない不潔な便器の 00:05:09.530 --> 00:05:10.690 真横しかないのでした 00:05:10.714 --> 00:05:12.877 実際 監房全体が 掃除されることはなかったため 00:05:12.901 --> 00:05:16.456 床にも壁にも 血液と粘液が 付着していたそうです 00:05:16.848 --> 00:05:17.998 飲み水はなく 00:05:18.022 --> 00:05:20.726 あるのは トイレに付属した 蛇口からの水だけでした 00:05:20.750 --> 00:05:22.470 その水は見た目も味も不潔で 00:05:22.494 --> 00:05:24.009 食べ物も不十分で 00:05:24.033 --> 00:05:25.581 シャワーどころか 00:05:25.605 --> 00:05:28.395 生理中の女性への 衛生用品の支給もなく 00:05:28.419 --> 00:05:30.113 診療の機会は 全くなかったそうです 00:05:30.137 --> 00:05:32.317 私が一人の女性に 医療行為の提供について聞くと 00:05:32.341 --> 00:05:34.736 その女性は 笑って言いました 「とんでもない 00:05:34.760 --> 00:05:37.905 イヤラシイ目つきの看守が 目配りしているだけ」 00:05:38.598 --> 00:05:41.318 未払い金があると ここに連行されてこう告げられます 00:05:41.342 --> 00:05:44.878 「負債を支払うまで帰らせない」 00:05:44.902 --> 00:05:47.532 もし 家族の誰かに電話することができて 00:05:47.556 --> 00:05:49.697 その誰かが なんとかして お金を工面できれば 00:05:49.721 --> 00:05:51.114 出してもらえるかもしれません 00:05:51.138 --> 00:05:53.297 必要額であれば 釈放してもらえるでしょう 00:05:53.321 --> 00:05:56.639 でも 必要額に達しなければ 何日も何週間もそこに居ることになります 00:05:56.663 --> 00:05:59.449 そして毎日 看守たちが 監房までやってきて 00:05:59.473 --> 00:06:02.860 債務不履行者に その日の 保釈金についてとやかく言うのです 00:06:03.385 --> 00:06:07.507 勾留期間が延びて そのうちに 監房が満杯になり 00:06:07.531 --> 00:06:09.481 新たな入居者を入れる必要が出てきます 00:06:09.505 --> 00:06:11.066 するとこう考えるのでしょう 00:06:11.090 --> 00:06:13.845 「どうも この人物には 金を工面できそうにない 00:06:13.869 --> 00:06:15.729 この新入りなら工面出来そうだ」と 00:06:15.753 --> 00:06:18.731 誰かが出所し 別の人が入所し システムは動き続けます 00:06:18.755 --> 00:06:20.781 私が会った男性は 00:06:20.805 --> 00:06:25.072 9年前に ドラッグストア内で 物乞いをした罪で逮捕されました 00:06:25.096 --> 00:06:29.152 その男性は 罰金と訴訟費用を 払うお金がありませんでした 00:06:29.176 --> 00:06:32.172 幼い時に住宅の火事に遭い 00:06:32.196 --> 00:06:35.169 3階の窓から飛び降りて かろうじて助かったのです 00:06:35.193 --> 00:06:37.394 でもその衝撃で 脳や 片脚を含む 身体のあちこちに 00:06:37.418 --> 00:06:39.853 損傷を負いました 00:06:39.877 --> 00:06:41.036 働くことができず 00:06:41.060 --> 00:06:43.562 社会保障の給付金を頼りに なんとかしのいでいました 00:06:43.586 --> 00:06:45.272 彼のアパートの部屋を訪ねると 00:06:45.296 --> 00:06:48.175 金目のものはおろか 冷蔵庫に食べ物すらありませんでした 00:06:48.199 --> 00:06:49.364 いつも空腹なのです 00:06:49.388 --> 00:06:52.867 アパートには金目のものが一切なく ただ一片の厚紙が宝物でした 00:06:52.891 --> 00:06:55.130 彼の子供たちの名前を 自分で書いた紙です 00:06:55.154 --> 00:06:57.727 彼はこれを大切にしていて 嬉しそうに見せてくれました 00:06:57.751 --> 00:07:00.911 でも彼には売るものもなく 罰金や訴訟費用が払えません 00:07:00.935 --> 00:07:04.301 過去9年間に 彼は物乞いをしたことで 00:07:04.325 --> 00:07:08.656 13回 逮捕され 延べ130日間 拘留されました 00:07:09.419 --> 00:07:12.467 このうちの一回は 45日続きました 00:07:12.491 --> 00:07:16.897 先ほどお伝えしたような場所に 今から6月くらいまで 00:07:16.921 --> 00:07:19.717 過ごさないといけない状況を 想像してください 00:07:21.376 --> 00:07:25.457 彼は ファーガソンの監房で見た 自殺未遂について全て話してくれました 00:07:25.481 --> 00:07:27.754 ある男性が他の収容者の目を逃れて 00:07:27.778 --> 00:07:29.438 どうにか首つりを試みました 00:07:29.462 --> 00:07:32.624 他の収容者にできたのは 何度も何度も叫んで 00:07:32.648 --> 00:07:34.388 ロープを切って 男性を下ろしてもらえるよう 00:07:34.412 --> 00:07:36.405 看守を呼ぶことだけでした 00:07:36.429 --> 00:07:39.865 彼の言葉によれば 看守が来るまでに5分以上かかり 00:07:39.889 --> 00:07:42.157 首をつった男は 意識を失っていました 00:07:42.181 --> 00:07:45.352 そこで 救急隊が呼ばれて 監房へ行きましたが 00:07:45.376 --> 00:07:46.708 「問題ない」と言って 00:07:46.732 --> 00:07:48.936 男を床に寝かせたまま 立ち去りました 00:07:48.960 --> 00:07:52.254 こんな話は 何度も聞いたことがあり 驚くべき話でもなかったはずです 00:07:52.278 --> 00:07:55.830 なぜなら 自殺は 地域の拘置所での 死亡原因の断トツ一位だからです 00:07:56.612 --> 00:07:59.599 これは 拘置所に精神科治療が ないことに関連します 00:07:59.623 --> 00:08:03.543 私が会ったある女性は 3人の子を持つ シングルマザーで時給7ドルで働いていました 00:08:03.567 --> 00:08:06.359 生活保護の食料配給券を頼りに 自分と子供を養っていました 00:08:06.868 --> 00:08:08.412 10年ほど前に 00:08:08.436 --> 00:08:12.201 この女性は 何回か交通違反切符を切られ 一度 軽い窃盗罪に問われましたが 00:08:12.225 --> 00:08:14.993 お金がなく 罰金や手数料を 払うことができませんでした 00:08:15.486 --> 00:08:18.986 それ以来 彼女は このようなケースで 10回ほど拘留されましたが 00:08:19.010 --> 00:08:21.293 統合失調症と両極性障害があるので 00:08:21.317 --> 00:08:23.468 毎日の投薬が欠かせません 00:08:23.492 --> 00:08:26.530 でも ファーガソンの拘置所には 常用の薬が持ち込めないため 00:08:26.554 --> 00:08:28.770 薬が飲めません 00:08:28.794 --> 00:08:32.820 2週間の収監中の経験を 彼女は話してくれました 00:08:32.844 --> 00:08:36.397 幻覚症状で人や物の影を見たり 幻聴を聞きながら 00:08:36.421 --> 00:08:39.015 症状をすっかり止めるための 薬が欲しいと懇願しても 00:08:39.039 --> 00:08:40.409 無視されるだけの2週間です 00:08:41.130 --> 00:08:42.976 これは 珍しいことではないのです 00:08:43.000 --> 00:08:46.525 地域に収監される女性の30%が 深刻な精神疾患を持っています 00:08:46.549 --> 00:08:47.705 彼女もその一人です 00:08:47.729 --> 00:08:52.246 でも 収監中に 何らかの精神科治療を 受けられるのは6人に1人です 00:08:52.270 --> 00:08:56.095 私は グロテスクな 地下牢の話を色々聞きました 00:08:56.119 --> 00:08:58.317 行政に負債がある人が 囚われる場所です 00:08:58.341 --> 00:09:00.634 そして 実際に視察する機会があって 00:09:00.658 --> 00:09:02.612 ファーガソン刑務所を訪れる際 00:09:02.636 --> 00:09:04.676 何があるか見当もつかないとはいえ 00:09:04.700 --> 00:09:06.654 これは予想していませんでした 00:09:07.255 --> 00:09:09.094 そこは 普通の 市の庁舎です 00:09:09.118 --> 00:09:11.574 郵便局や学校のような建物です 00:09:11.598 --> 00:09:15.290 これでわかりました この非合法で計画的な強要行為は 00:09:15.314 --> 00:09:17.402 隠れて行われているのではなく 00:09:17.426 --> 00:09:20.142 公務員によって 公然と行われているのです 00:09:20.166 --> 00:09:21.866 これは公共政策の問題です 00:09:21.890 --> 00:09:24.729 ここから思い起こされるのは 概して 貧困者の収監は 00:09:24.753 --> 00:09:26.961 「債務者監獄」という背景を抜きにしても 00:09:26.985 --> 00:09:29.906 司法制度において 非常に目立つ 中心的な役割を持つという事です 00:09:30.578 --> 00:09:32.790 保釈の指針について 考えてみましょう 00:09:32.814 --> 00:09:35.366 米国では 係争中に 勾留されるか保釈されるかは 00:09:35.390 --> 00:09:40.792 被告人の危険度や 海外逃亡の危険性の問題ではなく 00:09:40.816 --> 00:09:43.902 被告人に保釈金が 払えるかどうかの問題なのです 00:09:43.926 --> 00:09:46.638 ビル・コスビーは 100万ドルの保釈金を課せられましたが 00:09:46.662 --> 00:09:50.122 即座に小切手を書いたので 一秒たりとも拘束されませんでした 00:09:50.146 --> 00:09:51.878 獄中死した サンドラ・ブランドは 00:09:51.902 --> 00:09:55.900 家族に500ドルが工面できなかった というだけの理由で収監されました 00:09:55.924 --> 00:09:59.311 サンドラ・ブランドのような人が 実際 国内に50万人ほどいます 00:09:59.335 --> 00:10:01.601 50万人が 今現在 収監されています 00:10:01.625 --> 00:10:04.286 理由は保釈金が払えないというだけです 00:10:04.310 --> 00:10:07.367 私たちは 刑務所は犯罪者を 収容する所だと教わりましたが 00:10:07.391 --> 00:10:09.404 統計的には そうではありません 00:10:09.428 --> 00:10:13.729 現在収監中の5人のうち3人が 予備審問段階で 00:10:13.753 --> 00:10:15.935 いかなる有罪判決も 言い渡されていません 00:10:15.959 --> 00:10:18.470 罪を認めた訳でもありません 00:10:19.111 --> 00:10:20.455 ここ サンフランシスコでまさに — 00:10:20.479 --> 00:10:23.869 サンフランシスコの刑務所の 収容者の85%が 00:10:23.893 --> 00:10:25.637 予備審問のために勾留されているのです 00:10:25.661 --> 00:10:29.046 つまり サンフランシスコは 8千万ドルほどの予算を使って 00:10:29.070 --> 00:10:30.240 毎年 00:10:30.264 --> 00:10:31.980 裁判待ちの人を拘束をしている訳です 00:10:34.000 --> 00:10:38.419 保釈金を払えないというだけの理由で 刑務所に入れられている人の多くが 00:10:38.443 --> 00:10:40.689 あまりにも軽い犯罪の容疑なので 00:10:40.713 --> 00:10:44.096 裁判を待つ時間の方が 00:10:44.120 --> 00:10:47.172 有罪判決を受けた場合に 言い渡される刑期よりも長く 00:10:47.196 --> 00:10:49.464 単に罪を認めてしまった方が 間違いなく 00:10:49.488 --> 00:10:50.772 早く外に出られるのです 00:10:50.796 --> 00:10:52.355 したがって 選択肢は 00:10:52.379 --> 00:10:55.252 このようなひどい場所に留まって 00:10:55.276 --> 00:10:57.386 家族や扶養者と引き離されて 00:10:57.410 --> 00:10:59.887 ほぼ間違いなく 職を失うリスクを冒して 00:10:59.911 --> 00:11:01.532 無罪を勝ち取るために戦うか? 00:11:01.556 --> 00:11:05.125 検察側の求めるままに罪を認めて 釈放されるべきか? 00:11:05.149 --> 00:11:08.084 この時点では まだ裁判前の 勾留であり犯罪者ではありません 00:11:08.108 --> 00:11:11.000 でも 一旦 司法取引をすれば 犯罪者と呼ばれます 00:11:11.024 --> 00:11:14.404 裕福なら 決してこのような状況下に 置かれることはありません 00:11:14.428 --> 00:11:17.302 裕福なら 保釈金を払って外に出るだけです 00:11:17.326 --> 00:11:19.416 みなさん 不思議に思っているかもしれません 00:11:19.440 --> 00:11:22.250 「インスピレーション」のパートで 何の話なのかと 00:11:22.255 --> 00:11:23.418 (笑) 00:11:23.442 --> 00:11:26.248 「ひどく気が滅入る話だ お金を返して欲しい」 00:11:26.272 --> 00:11:27.478 (笑) 00:11:27.502 --> 00:11:29.901 でも 実際には 00:11:29.925 --> 00:11:34.315 身柄の拘束の話をしないよりもした方が 気の滅入らないことだと気づきました 00:11:34.339 --> 00:11:36.775 なぜなら 思うに 私たちが この問題を議論せず 00:11:36.799 --> 00:11:39.200 身柄の拘束への考え方を 全般的に変えていかなければ 00:11:39.224 --> 00:11:40.728 私たちの人生が終わる頃にも 00:11:40.752 --> 00:11:43.883 大した罪を犯していない貧乏な人で 刑務所が溢れかえるからです 00:11:43.907 --> 00:11:45.461 そうなれば 本当に気が滅入ります 00:11:45.485 --> 00:11:48.909 でも 私がワクワクするのは このような話で私たちが行動し 00:11:48.933 --> 00:11:50.976 身柄の拘束を違う言葉で 考えるようになると思うからです 00:11:51.000 --> 00:11:54.371 「大量投獄」や 「非暴力的な軽犯罪者への量刑」と言った 00:11:54.395 --> 00:11:56.381 無味乾燥な政策用語ではなく 00:11:56.405 --> 00:11:57.571 人間味のある言葉でです 00:11:57.595 --> 00:12:02.180 人間を何日も、何週間も、何ヶ月も 00:12:02.204 --> 00:12:03.648 何年も檻に閉じ込めるなんて 00:12:03.672 --> 00:12:06.021 その人の心と体に 一体何をしようとしているのか? 00:12:06.045 --> 00:12:08.803 私たちは 何が面白くて そんなことをするのでしょうか? 00:12:09.329 --> 00:12:12.135 ですから ここにいる私たち 数百人から始めたら 00:12:12.159 --> 00:12:15.203 違う見方で 身柄の拘束について 考えることができます 00:12:15.227 --> 00:12:18.707 そして 先ほどの「普通だという思い込み」を 打ち消すことができるでしょう 00:12:18.731 --> 00:12:21.769 最後に 今日みなさんに申し上げたいのは このアイデアです 00:12:21.793 --> 00:12:24.225 何かを根本的に変えたいと願うなら 00:12:24.249 --> 00:12:27.529 保釈金や罰金や訴訟費用に関する 政策を変えるだけではなく 00:12:27.553 --> 00:12:30.606 新たな政策がどんなものであれ それが新しいやり方で 00:12:30.630 --> 00:12:33.681 貧乏な人や 周縁に追いやられた人たちを 罰しないようにすることです 00:12:33.705 --> 00:12:35.337 このような形の変革を望むなら 00:12:35.361 --> 00:12:37.886 考え方の変革にこそ 一人ひとりが取り組むべきです 00:12:37.910 --> 00:12:39.094 ありがとうございました 00:12:39.118 --> 00:12:42.788 (拍手)