WEBVTT

00:00:22.375 --> 00:00:23.750
挙手をお願いします

00:00:23.759 --> 00:00:28.719
今日お越しの皆さんのうち
ダブルベースとは何か ご存知の方？

00:00:30.009 --> 00:00:34.148
どんなものか 実際に
説明できるという方は？

00:00:34.149 --> 00:00:36.770
「あの大きいやつ」はナシですよ？

00:00:36.771 --> 00:00:38.358
（笑）

00:00:38.359 --> 00:00:42.349
既に全体のうち少数に
なってしまいましたね

00:00:42.350 --> 00:00:45.902
さっきのレベルの知識を得て頂くのを 
今日の目標にしましょう

00:00:46.652 --> 00:00:49.391
そのために まず
ヴァイオリンの話から始めましょう

00:00:49.871 --> 00:00:52.250
ヴァイオリンがどんなものかは
誰でもご存知です

00:00:52.251 --> 00:00:55.478
小さな洞穴に住んでいて
たまに出てくるという人でさえ

00:00:55.479 --> 00:00:58.591
どこかでヴァイオリンに
出会ってきたことでしょう

00:00:59.131 --> 00:01:01.039
また チェロがどんなものかも
おそらくご存知でしょう

00:01:01.040 --> 00:01:06.309
ヴァイオリンとチェロの
間の楽器でさえ ご存知かもしれません

00:01:06.310 --> 00:01:07.969
ヴィオラです

00:01:07.970 --> 00:01:11.359
しかし ご存知なくても
自分を責めなくて構いません

00:01:11.360 --> 00:01:13.722
ヴァイオリンを

00:01:13.723 --> 00:01:17.250
ヴィオラやら 手持ちミキサーやらと

00:01:17.251 --> 00:01:21.072
区別できるのは
ごく一握りの人たちです

00:01:22.572 --> 00:01:27.777
ダブル・ベースはオーケストラで用いる
弦５部の最低音を受け持ちます

00:01:27.778 --> 00:01:32.858
弦５部とは ヴァイオリン、ヴィオラ、
チェロ、ダブルベースです

00:01:32.859 --> 00:01:36.333
ベースは オーケストラ以外だと

00:01:36.334 --> 00:01:41.085
ジャズバンド、ブルースアンサンブル、
コンボ、クレズマーバンド

00:01:41.098 --> 00:01:43.841
その他 様々な編成の音楽で
使われています

00:01:44.631 --> 00:01:46.552
オーケストラでは

00:01:47.382 --> 00:01:49.781
ベースは弓で演奏されます

00:01:49.782 --> 00:01:53.361
上から持つ フランス式と

00:01:53.362 --> 00:01:56.361
下から持つ ドイツ式があります

00:01:56.362 --> 00:02:00.642
ドイツ式の人たちはこちらを
「正しい持ち方」と自称します

00:02:00.643 --> 00:02:02.552
（笑）

00:02:02.553 --> 00:02:06.751
我々のように フランスや
ドイツ以外の者の 弓の持ち方は

00:02:06.752 --> 00:02:09.882
たいてい 先生の弾き方や

00:02:09.883 --> 00:02:12.423
先生の先生の そのまた先生の
弾き方と関係しています

00:02:13.433 --> 00:02:15.403
ところで この楽器がなぜ

00:02:15.404 --> 00:02:18.392
ダブルベースと呼ばれるのか
疑問をお持ちの方のために言うと

00:02:18.393 --> 00:02:21.313
通常のベースの
２倍サイズだからではありません

00:02:21.314 --> 00:02:23.362
ベース奏者と つきあいのある方なら

00:02:23.363 --> 00:02:25.794
通常のベースなんてものは
存在しないのをご存知でしょう

00:02:25.795 --> 00:02:27.244
むしろこれが意味しているのは

00:02:27.244 --> 00:02:33.134
ベースがチェロの２倍低い音を出す
つまり弦がチェロの２倍長いという意味です

00:02:34.734 --> 00:02:36.544
この楽器はどんな音がするのでしょう？

00:02:37.614 --> 00:02:40.583
ベースを一目見て
想像する音というのは

00:02:40.584 --> 00:02:42.333
こんな感じです

00:02:42.334 --> 00:02:44.323
（ダブルベースの音）

00:02:44.324 --> 00:02:46.444
結構です いい音だ

00:02:46.445 --> 00:02:49.862
でもそれ以外にも
ご存知かもしれません

00:02:49.863 --> 00:02:53.414
時々 サメの映画なんかを
観たりするかもしれませんね

00:02:53.415 --> 00:02:54.474
それでこんな音・・・

00:02:54.475 --> 00:02:56.645
（ダブル・ベースによる
『ジョーズ』のテーマ曲）

00:02:59.875 --> 00:03:01.104
ここで今日の豆知識です

00:03:01.105 --> 00:03:06.203
私の前の先生は実際に
『ジョーズ』のベース奏者でした

00:03:06.204 --> 00:03:09.774
彼はニューヨークでのレコーディングから
戻ってくるとこう言いました

00:03:09.775 --> 00:03:13.535
「信じられるか？２つの音符を
弾いただけで 金をもらったんだ」

00:03:13.536 --> 00:03:14.883
（笑）

00:03:16.354 --> 00:03:19.115
このような話は両方とも

00:03:19.116 --> 00:03:21.245
チューバ奏者にもありがちなものです

00:03:21.250 --> 00:03:23.212
もし皆さんの中に
チューバ奏者がおられたら

00:03:23.224 --> 00:03:25.541
申し訳ありません
異議を申し立てて下さい

00:03:25.542 --> 00:03:27.073
でも 正直に申し上げましょう

00:03:27.074 --> 00:03:28.556
このトークの準備中

00:03:28.557 --> 00:03:33.460
Microsoft Wordは「チューバ奏者（tubist)」を
実在する語と認識さえしませんでした

00:03:33.475 --> 00:03:35.394
（笑）

00:03:36.265 --> 00:03:39.365
でもチューバには感謝しています
だってチューバがなければ

00:03:39.366 --> 00:03:41.881
私はここに 立っていないからです

00:03:41.882 --> 00:03:44.382
子どもの頃の私で
もっとも際立っていたのは

00:03:44.383 --> 00:03:46.671
小学校と高校で

00:03:46.672 --> 00:03:49.215
最も太った子どもの２人に
入ってしまったことです

00:03:49.216 --> 00:03:52.045
問題は
その太った子どもが

00:03:52.046 --> 00:03:54.775
『ナイトライダー』の再放送を 一日中
見続けないようにするにはどうするか？

00:03:54.776 --> 00:03:57.044
トロンボーンを持たせたらいいんです

00:03:57.045 --> 00:04:00.265
もっと太ったら
まあ不幸にも私のことですが

00:04:00.266 --> 00:04:02.067
チューバを持たせればいいんです

00:04:03.157 --> 00:04:06.027
私は両方を演奏はしましたが
どちらも練習しませんでした

00:04:06.897 --> 00:04:10.755
17歳の終わり頃に
ダブルベースに出会い

00:04:10.756 --> 00:04:13.487
練習しようと思えるほど
興味を引かれて

00:04:13.488 --> 00:04:18.076
とうとうニューヨークの音楽学校に通い
そして最終的に決めたんです

00:04:18.077 --> 00:04:20.258
「クラシック音楽では 幅が広すぎる

00:04:20.258 --> 00:04:21.796
ベースでも広すぎる

00:04:21.797 --> 00:04:25.364
古楽器のベースに絞らないと」と
つまりこの楽器のことです

00:04:25.365 --> 00:04:29.116
そのために2004年に 
ここバーゼルに来たわけです

00:04:29.117 --> 00:04:32.429
駐在員の方がおられたら
お分かりでしょうが

00:04:32.429 --> 00:04:34.745
ニューヨークからの転居は
ちょっと 食事面ではマゾ的です

00:04:34.746 --> 00:04:36.117
（笑）

00:04:38.917 --> 00:04:41.796
良い面を挙げれば
私は今や

00:04:41.797 --> 00:04:44.858
最も文化的に豊かで美しい
ヨーロッパの街に住んでいます

00:04:44.859 --> 00:04:47.649
ほら これは キャッツキルや
ロングアイランド出身の

00:04:47.649 --> 00:04:51.017
太った子どもの行きつく先としては
そう悪くありません

00:04:51.017 --> 00:04:52.167
（笑）

00:04:52.167 --> 00:04:54.167
私は信じています
この楽器の音色は

00:04:54.168 --> 00:04:56.827
私の声よりも
はるかに魅力的です

00:04:56.828 --> 00:04:59.497
では皆さんに 私の大好きな曲を
ひとつ紹介しましょう

00:04:59.498 --> 00:05:01.479
古典派音楽からです

00:05:01.480 --> 00:05:06.168
ヨハン・バプティスト・ ヴァンハル作曲

00:05:06.168 --> 00:05:10.368
曲もこの楽器も

00:05:11.849 --> 00:05:15.449
じつに1770年頃に作られたものです

00:05:15.829 --> 00:05:18.479
（ダブルベースの音）

00:05:22.386 --> 00:05:25.866
（『コントラバス協奏曲ニ長調』始まり）

00:06:34.431 --> 00:06:36.161
（ダブルベース演奏 終わり）

00:06:36.652 --> 00:06:38.193
（拍手）

00:06:39.423 --> 00:06:40.681
ありがとうございました

00:06:40.681 --> 00:06:41.981
（拍手）