私はプロのトラブルメーカーです
(笑)
私の役目は
世の中や いびつな社会構造や
思考停止状態の人々を
批評することなので
作家で 講演者で
胡散臭いナイジェリア人の自分が
(笑)
目指しているのは
この猫なんじゃないかと思います
(笑)
「お前 何とかしろよ」という目で
他人をジロッと見る人
それが私です
私たちがこの世を去る時には
生まれた時より
良い世界であってほしい
変化を起こすために
私が選ぶ手段は
公の場で発言すること
火付け役になり
ドミノ倒しの駒になることです
ドミノ倒しが起こるためには
まず1つ目が倒れなければならず
そうすれば選択肢を持たない
他の駒も後に続くわけです
最初に倒れる駒となる人は
こう考えています
「これを見た次の人が感化されて
ドミノになってくれればいいな」
私にとって 最初のドミノであるとは
声を大にして発言し
必要とされる場合は特に
本当に難しいことを
やってのけることです
他の人も続いて
行動してくれることを願って
でも私みたいな人は
人が心の中では思ってはいても
あえて口にしないようなことを言うので
恐れを知らないタイプだと
見られることが多いのですが
そんなことはありません
権力に臆せず堂々と物を言うことで
起こりうる結果や
払うことになる犠牲に対して
恐れがないわけではありません
やるしかないと思って
やっているのです
世の中には
最初に倒れるドミノの駒に
進んでなろうという人が
あまりにも少ないからです
何も恐くないからではありません
では恐れについて話しましょう
私は子供の頃
大人になったら 絶対に
医者になると決めていて
心の中で思い描いていました
おもちゃドクターの
ドックは私がオリジナルです
(笑)
大学1年生の時のことですが
医学部進学課程での
履修科目に「化学入門」を
取らなければならず
大学在籍中 最初で最後の
Dをもらいました
(笑)
そこで進路相談に行って
「医学部進学課程はやめます
医者になるなんて
到底無理ですから
そもそも病院自体嫌いですし
だから…」
(笑)
医学の道は諦めると言いました
同じ学期中に
ブログを書き始めました
2003年のことです
1つの夢が消えると同時に
別の夢が始まりつつありました
趣味で楽しくやっていた執筆が
フルタイムの仕事になったのは
マーケティングの職を失った
2010年のことです
それでも 作家を名乗るようになったのは
さらに2年経ってからです
「作家」と自称するまでに
執筆を始めてから9年もかかったのは
安定した給与を諦めたらどうなるか
怖かったからです
「大好きな靴を
買い集められなくなったら?」と
(笑)
そういうわけで 本当にやりたいことに
本腰を入れるまでに
9年もかかりました
そして気づいたのです
「恐れ」には独特の作用があり
人をやりたいことから遠ざけ
信条に沿った発言を思いとどまらせるのだと
そこで私は心に決めました
「恐れなんかに
人生を支配されてたまるか
やりたいことは
恐れずにやってやる」と
すると いいことが次々に起こり
ドミノ倒しが始まったんです
それに気づいた時
「よし 2015年は
30歳になったことだし
『ともかくやってみる』年にしよう
怖いと思うものは何でも
積極的に追求してみよう」
私は山羊座なので
足が地についた感覚が好きです
でも 生まれて初めて
一人旅に出ることにしたんです
行き先は海外
ドミニカ共和国です
誕生日に何をしたかというと
熱帯雨林をワイヤーに
ぶら下がって進むツアー
なぜか 服装はビジネスカジュアル
意味不明ですね
(笑)
それはもう楽しかったです
あと私 水に潜るのは
嫌いなんです
やっぱり 足を地に
着けてたいんで
そこで メキシコに行って
イルカと一緒に水中を泳ぎました
同じ年に 自分にとって
「山」にあたることを
やり遂げました
著書を出したんです
『I'm Judging You: The Do-Better Manual
(辛口の私が教える改善マニュアル)』です
そしたら今度は
(拍手)
執筆が本業になっちゃいました
執筆が本業になっちゃいました
その年に もう1つ
普段の自分とまさに正反対のこと—
本当にビビりまくったんですが—
スカイダイビングに挑戦しました
飛び降りようという時になって
「また人生の選択を誤った」と思いました
(笑)
落下しながら
迫りくる地表を見て
それこそ呼吸するのも忘れて
頭の中では
「故障もしてない飛行機から
自ら飛び降りるなんて」
(笑)
「何考えてるんだ私は」
でも眼下に広がる光景の美しさに
「これは人生最高の経験だ
やってみて本当に良かった」
と思いました
私が真実を語るはめになる時というのは
あの飛行機から
落ちる時の気分に似ています
開いたハッチの
端にいる時の気分です
「こんなことできない」
と思うけれど
結局は やらなきゃいけないから
やるんです
ハッチに座って
飛行機に留まっている間は
心地いいんです
毎日 自分よりも力のある
機関や人々に対し
そして自分より強大な
権力に対して
真実を語る時は
飛行機から落ちるような気分です
でも 「心地良さ」は
過大評価されています
何も言わない状態というのは
心地良いからです
従来のやり方を継続するのは
心地良いのです
でも 心地良さは
現状維持しかもたらしません
ですから 必要な時に
不都合な真実を語ることで
心地の悪さを
心地良く感じるべきなんです
私は—
(拍手)
でも 私の場合 真実を語らなきゃ
という義務感があります
私にとって誠実さは
本当に重要で
誠意を貫くことを
大事にしているからです
正義というものは
任意ではなく
必須であるべきです
あと シアバターもすごく
大事だと思っています
(笑)
私たちの肌がもっと潤えば
世界は良くなるはずです
それはそうと
こういう価値観が中心にあるので
私にとって真実を語ることは義務であり
選択の余地はありません
でも私のような
プロのトラブルメーカーばかりが
ドミノ役を果たそうと心がけ
常に飛行機から飛び降りたり
最初に倒れる駒になったり
すべきではありません
みんな 短期的な結果を恐れるあまり
気づかないんです
しばしば 自分がその部屋の中で
最大の力を持つ人たちの
一人であるということに
2番目か3番目かもしれません
私みたいな人の役目は
そういう時に
現状を揺り動かすことだと
強く信じています
だから 最大の力は
持っていないとしても
他の人と手を組めば
持てる力が増大します
会議で言葉が出てこない女性を
サポートしてあげたり
うまく意見を言えない人の言葉も
確実に伝わるよう
気を配ったりすること
そんな余地があるように努める
という役割です
みんなの幸せは
社会の責任です
それを念頭に置けば
理解できるはずです
各々が誰か他の人の
助けになるように努めていれば
自分が助けを求める時に
苦労しないはずだと
私は時に 自分が
衆目の中でつまずき
転んできたように感じます
例えば ある国際会議での
スピーチを依頼された時
交通費は自己負担と言われ
調べてみたら
白人男性の講演者たちには
講演料が支払われ
交通費も支給され
白人女性の講演者たちには
交通費が支給され
黒人女性の講演者は
自己負担だと判明しました
どうしようか迷いました
このことを表沙汰にすれば
金銭的に打撃を受けかねません
でも 黙っていたところで
誰の役にも立たないと思い
おそるおそる
このことを公にしたところ
他にも声を上げる女性が
出てきたのです
「私も同じような
報酬格差を経験した」と
そして その国際会議での
差別的な報酬体系の実態が
語られ始めたのでした
ドミノ倒しの最初の駒に
なった気がしたのは
有名人が書いた
不快な内容の回顧録を読んで
それをネタにした時のこと
影響力では負けてるから
キャリアに響くかもしれない
「でも やらなきゃ
飛行機のハッチに座ろう」と
2時間ほど考えた後に
「投稿」をクリックして逃げました
(笑)
戻ってきたら
爆発的に拡散していて
「ついに言ってくれる人が現れた」と
みんな喜んでいました
それがきっかけで
精神衛生やセルフケアが
話題に上るようになり
「そうか これでいいのか
私がしていることも 何かの
役に立っているのかも」と思いました
その後 本当にたくさんの人が
ドミノ倒しの起点になり
影響力を持つ男性に暴行を受けた
経験について発言しました
その影響で何百万という女性たちが
「Me too」と声を上げました
#MeToo運動に火をつけた
タラナ・バークに拍手!
(拍手)
体制側が私たち民衆を
現状に留めておけるのは
私たちの沈黙あってこそなのです
ドミノ倒しを始めるとは
つまるところ
ありのままの自分を
保つことでもあります
私の胡散臭さは
3歳の時から変わっていません
(笑)
3歳の誕生日での写真です
私はこの時からずっと
変わっていませんが
それもドミノの駒としての
一要素に感じます
誰もが平均的な人間として
振る舞うように期待される社会では
ありのままの自分でいるのは
「型破り」でもあります
大きな声でものが言えない社会で
私はあえて声を張り上げます
(拍手)
言いにくいことを言おうという時
私は自分に3つの質問をしています
1つめ「本気でそう思うのか」
2つめ「根拠はあるのか」
3つめ「愛を込めて言っているか」
答えが全て「イエス」なら
発言して 後は流れに任せます
これが大事なんです
こうして自己チェックをすると
いつも答えは
「そうだ やるべきだよ」です
思慮深く真実を語ることが
「型破り」とされるのは
おかしいと思います
権力にも怯まない発言は 残念ながら
捨て身の行為というのが現状です
これを もっと多くの人が
みんなのために行えば
世界は今よりもっと
良くなるでしょう
みんなのため と言えば
私たちが真実を言うよう
心がけているのは
人間同士の共通基盤への
橋渡しをするためです
真実を土台にしていない橋は
崩れてしまうでしょう
私たちの役目—
私たちの義務そして責務は
臆することなく真実を伝え
ドミノ倒しを始めること
困難な時も というより
困難な時だからこそ
そうするのです
ありがとうございました
(拍手)