WEBVTT

00:00:05.684 --> 00:00:08.684
フライドポテトは美味しいですね

00:00:08.684 --> 00:00:12.684
ケチャップをつけたら もう最高

00:00:12.684 --> 00:00:14.432
でも問題はボトル入りのケチャップは

00:00:14.432 --> 00:00:16.463
必要な量だけ出せないこと

00:00:16.463 --> 00:00:19.768
ケチャップを出すのには慣れてしまって

00:00:19.768 --> 00:00:21.851
その不思議な性質に気づきません

00:00:21.851 --> 00:00:26.430
ビンの中身が
鉄の塊ような固体だったら

00:00:26.430 --> 00:00:29.475
いくら振っても鉄は出てきませんね

00:00:29.475 --> 00:00:32.395
でも同じビンに入っているのが
水のような液体なら

00:00:32.395 --> 00:00:34.434
注ぐのは まるで夢のように簡単

00:00:34.434 --> 00:00:36.851
しかしケチャップは
決めかねているよう

00:00:36.851 --> 00:00:38.933
一体 固体なのか？ 液体なのか？

00:00:38.933 --> 00:00:41.654
その答えは 場合によりけりです

00:00:41.654 --> 00:00:44.846
ごく一般的な液体
水､油､アルコールなどは

00:00:44.846 --> 00:00:47.597
加えた力に比例して反応します

00:00:47.597 --> 00:00:51.238
２倍強く押せば
２倍速く動きます

00:00:51.238 --> 00:00:54.355
この関係を見抜いたのは
リンゴの逸話で有名な

00:00:54.355 --> 00:00:57.739
アイザック・ニュートン卿なので
ニュートン流体と呼ばれます

00:00:57.739 --> 00:01:00.695
しかしケチャップは
比例関係に従わないグループに属し

00:01:00.695 --> 00:01:03.286
非ニュートン流体と呼ばれます

00:01:03.286 --> 00:01:06.368
マヨネーズ､歯磨き粉､血液､ペンキ､
ピーナツバターや

00:01:06.368 --> 00:01:09.870
他にも多くの流体が力に対し
比例的に反応しません

00:01:09.870 --> 00:01:11.915
これらの流体の見かけの粘性は

00:01:11.915 --> 00:01:15.336
どれだけ強く 長く 速く押したかに
依存します

00:01:15.336 --> 00:01:18.551
実は ケチャップは２つの意味で
非ニュートン的なのです

00:01:18.551 --> 00:01:22.849
１つ目：ケチャップは
加える力が強いほど流れやすくなります

00:01:22.849 --> 00:01:24.715
一定の力以下では

00:01:24.715 --> 00:01:26.717
基本的に固体のように振舞います

00:01:26.717 --> 00:01:29.134
しかし 限界点を超えると

00:01:29.134 --> 00:01:33.384
突然 粘性を失い
桁違いに流れやすくなります

00:01:33.384 --> 00:01:35.384
経験ありますね？

00:01:35.384 --> 00:01:39.276
２つ目は：
加わる力が この限界点以下でも

00:01:39.276 --> 00:01:41.569
いずれは ケチャップは流れ始めます

00:01:41.569 --> 00:01:45.158
この場合 力ではなく時間が
ガラスの牢獄に閉じ込められたケチャップを

00:01:45.158 --> 00:01:46.992
解放する重要な要素なのです

00:01:46.992 --> 00:01:49.620
ケチャップは なぜこうも奇妙に
振舞うのでしょう

00:01:49.620 --> 00:01:52.634
ケチャップは
細かく砕いてつぶされた

00:01:52.634 --> 00:01:55.457
完全に粉々のトマトから できています

00:01:55.457 --> 00:01:56.801
小さな粒子が見えますか？

00:01:56.801 --> 00:01:58.586
これがケチャップ製造工程で残った

00:01:58.586 --> 00:02:01.215
トマトの細胞です

00:02:01.215 --> 00:02:02.925
粒子を取り巻く液体は何でしょう？

00:02:02.925 --> 00:02:05.967
大半は水で
酢､砂糖と香辛料が含まれます

00:02:05.967 --> 00:02:08.190
ケチャップが静かに留まった状態では

00:02:08.190 --> 00:02:11.551
トマトの粒子は均一に しかも
ランダムに散らばっています

00:02:11.551 --> 00:02:13.967
さて 素早く弱い力を加えてみましょう

00:02:13.967 --> 00:02:15.522
粒子はお互いにぶつかり合い

00:02:15.522 --> 00:02:17.218
邪魔しあって 通り抜ける事ができず

00:02:17.218 --> 00:02:18.717
ケチャップは流れることができません

00:02:18.717 --> 00:02:21.777
今度は強い力を一気に加えてみましょう

00:02:21.777 --> 00:02:24.613
十分な力がトマトを押しつぶし

00:02:24.613 --> 00:02:25.945
小さな球ではなく

00:02:25.945 --> 00:02:28.827
楕円状になって ブン！

00:02:28.827 --> 00:02:30.784
粒子の集団は十分な空間を得て

00:02:30.784 --> 00:02:33.633
間を通り抜け ケチャップは流れます

00:02:33.633 --> 00:02:37.716
次に僅かな力をとても長い時間
与え続けてみましょう

00:02:37.716 --> 00:02:41.253
この場合 何が起こっているのか
正確には分っていません

00:02:41.253 --> 00:02:45.009
一つの可能性は
容器の壁付近にあるトマトの粒子が

00:02:45.009 --> 00:02:47.299
真ん中付近にゆっくりと押し寄せられ

00:02:47.299 --> 00:02:48.800
粒子を溶かしていた液体が―

00:02:48.800 --> 00:02:50.383
これは主に水でしたね―

00:02:50.383 --> 00:02:51.884
端っこ付近に残され

00:02:51.884 --> 00:02:54.383
この水がビン中心部の
ケチャップの塊との間で

00:02:54.383 --> 00:02:56.436
潤滑剤として機能するので

00:02:56.436 --> 00:02:58.551
ケチャップはうまく流れるというものです

00:02:58.551 --> 00:03:01.941
もう一つの可能性は
粒子同士が小さな塊となり散らばって

00:03:01.941 --> 00:03:05.801
互いに通りやすくなるというものです

00:03:05.801 --> 00:03:08.133
流体の流れを研究する 科学者たちは
今もなお―

00:03:08.133 --> 00:03:11.326
ケチャップやその仲間の流れについて
精力的に研究しています

00:03:11.326 --> 00:03:13.411
ケチャップは力を加えるほど
流れやすくなりますが

00:03:13.411 --> 00:03:16.498
ウーブレックや
純粋なピーナツバターなどの物質では

00:03:16.498 --> 00:03:19.301
力が加わるほど硬くなっていきます

00:03:19.301 --> 00:03:21.717
回転する棒の表面を上ったり

00:03:21.717 --> 00:03:24.090
一旦流れが始まると ビーカーから

00:03:24.090 --> 00:03:26.012
流れ出し続ける流体もあります

00:03:26.012 --> 00:03:27.384
でも 物理学的な観点からは

00:03:27.384 --> 00:03:30.217
ケチャップはその中でも
特に複雑な混合物です

00:03:30.217 --> 00:03:32.467
さらに ややこしいことに
各種含有物と

00:03:32.467 --> 00:03:35.300
多くのフルーツ飲料や
ミルクシェークに含まれる

00:03:35.300 --> 00:03:37.934
キサンタンガムのような天然増粘剤の
割合によって

00:03:37.934 --> 00:03:39.605
異なる種類のケチャップは

00:03:39.605 --> 00:03:41.549
全く異なる挙動を示すことです

00:03:41.549 --> 00:03:44.234
でも その多くは２つの特徴を示します

00:03:44.234 --> 00:03:46.069
ある力を超えると 突然流れやすくなることと

00:03:46.069 --> 00:03:48.321
弱い力でも長い時間 かけると

00:03:48.321 --> 00:03:50.365
徐々に流れやすくなることです

00:03:50.365 --> 00:03:53.327
つまり ケチャップをボトルから
出す方法は２つ

00:03:53.327 --> 00:03:55.966
時間をかけて そっと容器を振ることです

00:03:55.966 --> 00:03:58.467
でも 力を加え続けることが大切です

00:03:58.467 --> 00:04:02.504
もしくは 容器に力を一気に加えます

00:04:02.504 --> 00:04:04.717
でも玄人はふたをしたまま

00:04:04.717 --> 00:04:07.132
容器を何回か さっと強く振って

00:04:07.132 --> 00:04:08.550
トマト粒子を眠りから覚まし

00:04:08.550 --> 00:04:10.428
それから ふたを取って

00:04:10.428 --> 00:04:13.801
適量をうまく
おいし～い ポテトにかけています