WEBVTT 00:00:04.280 --> 00:00:08.569 カットシーンの無い『Bioshock』を 想像してみてくれ 00:00:08.599 --> 00:00:11.722 アンドリュー・ライアンによる 潜水球のプレゼンも削除する 00:00:11.762 --> 00:00:14.046 アトラスのやかましい台詞も削除する 00:00:14.086 --> 00:00:17.120 そして好奇心をそそる音声日記も 削除する 00:00:17.160 --> 00:00:21.822 プレイヤーはそれでもまだ、この作品の内容を 理解してるだろうか? 00:00:21.852 --> 00:00:25.386 まぁ、プレイヤーは かなり分かってると思う 00:00:25.416 --> 00:00:29.229 何故なら、プレイヤーは 周囲を見るだけでいいのだから 00:00:29.259 --> 00:00:33.537 このゲームの舞台は 海底にある巨大都市だ 00:00:33.567 --> 00:00:36.666 1つは明らかに上流階級のために 作られている 00:00:36.696 --> 00:00:41.276 高級バー、集合住宅郡、劇場地区の存在から それが分かる 00:00:41.306 --> 00:00:45.440 そこは高尚な哲学的理想の上に 築かれている 00:00:45.480 --> 00:00:48.610 しかし同時に 荒廃と絶望の場所でもある 00:00:48.640 --> 00:00:51.230 明らかに破綻した瞬間があった 00:00:51.260 --> 00:00:56.040 暴力的な派閥に分かれた人もいれば 正気を失った人もいる 00:00:56.070 --> 00:01:00.299 そして全ての破滅は 1959年の元日に起きたのだった 00:01:00.692 --> 00:01:03.239 『Bioshock』という 素晴らしい事例は― 00:01:03.279 --> 00:01:07.592 ゲームの「環境」が、物語を伝えるための 効果的な手法になれることを示している 00:01:07.632 --> 00:01:12.708 プレイヤーが訪れる「空間や場所」に 物語の要素を埋め込むことで― 00:01:12.738 --> 00:01:17.321 従来の物語形式と同じくらい雄弁に 物語を伝えることができるのだ 00:01:17.351 --> 00:01:22.009 そして、それこそが今回の Game Maker's Toolkit のテーマだ 00:01:22.049 --> 00:01:27.712 この動画では、環境を物語に利用する 3つの方法に焦点を当てて― 00:01:27.742 --> 00:01:33.815 場面設計がプレイヤーの理解、感情、一体感を どのように促進するのか話していく 00:01:33.845 --> 00:01:36.365 まずは「理解」から始めよう 00:01:37.331 --> 00:01:41.829 『Bioshock』の 看板、遺体、落書きは 00:01:41.859 --> 00:01:44.636 「環境型物語」の実例だ 00:01:44.674 --> 00:01:50.150 これは舞台装飾を利用して、小さな、任意の 自己完結型の一場面を作ることだ 00:01:50.180 --> 00:01:54.830 例えば、血で書かれた警告や 『Fallout 4』に登場する大量のガイコツは 00:01:54.857 --> 00:01:59.747 誰かが死んでしまったことを面白く または物悲しく暗示するために― 00:01:59.778 --> 00:02:01.850 開発者が意図的に用意しているのだ 00:02:01.880 --> 00:02:07.574 僕の知るかぎりでは、元ディズニーランドの デザイナー Don Carson がこの用語を生み出した 00:02:07.604 --> 00:02:13.810 彼は 2000年に、ゲーム開発者がテーマパークから 学べることに関する影響力のある記事を書いた 00:02:13.840 --> 00:02:19.300 この用語はその後、Harvey Smith と Matthias Worch の GDC 講演でさらに一般的になり 00:02:19.320 --> 00:02:21.352 彼らはこの技法をこう表現した 00:02:21.382 --> 00:02:27.153 「意味のある総体として解釈できる環境特性で プレイヤー空間を演出し―」 00:02:27.177 --> 00:02:30.136 「ゲームの物語を促進すること」 00:02:30.166 --> 00:02:36.493 環境型物語のクールなところは 詳細をつなぎ合わせて全体的な話を作るために 00:02:36.533 --> 00:02:39.930 ある程度の演繹的推論が 必要になる点だ 00:02:39.960 --> 00:02:43.106 プレイヤーは調査や考古学の 技能を駆使して― 00:02:43.139 --> 00:02:46.423 関係性や、原因と結果 過去の出来事を見極める 00:02:46.453 --> 00:02:52.478 プレイヤーはただの受動的な傍観者ではなく 物語る行為に積極的に参加するようになる 00:02:52.508 --> 00:02:55.794 さらに、プレイヤーが銃撃戦だけに 集中したい場合は― 00:02:55.820 --> 00:02:58.589 物語に邪魔されることなく 戦えるようになる 00:02:58.619 --> 00:03:02.818 環境型物語の大部分は 静的なオブジェクトに関するものだが 00:03:02.848 --> 00:03:06.118 それ以外にも拡張できる 例えば、盗み聞きした会話や 00:03:06.148 --> 00:03:09.807 その場面で発生したアニメーションや そしてもちろん… 文章だ 00:03:09.837 --> 00:03:14.466 本や、アイテムの説明欄 解析結果、ノート、電子メールなどだ 00:03:14.496 --> 00:03:20.649 一般的には、自分が来る前にその場所で かつて起きたことを説明するために使われるが 00:03:20.677 --> 00:03:26.402 そこへ来てからの行動が、環境にどう影響したのかを 強調するためにも使われる 00:03:26.432 --> 00:03:30.900 例えば『Deus Ex: Mankind Divided』で 店主を殺害した場合― 00:03:30.930 --> 00:03:36.734 ゲームの後半で、その店は警察の事件現場になって 永久に立ち入り禁止になる 00:03:36.764 --> 00:03:43.090 また環境型物語は、ただの物語だけではなく 遊び方の説明に利用できることも注目に値する 00:03:43.120 --> 00:03:46.735 ノコギリの刃が真っ二つになった ゾンビに刺さっている光景は 00:03:46.765 --> 00:03:50.078 ノコギリと重力銃で 敵を倒せることを示唆している 00:03:50.108 --> 00:03:54.400 フェンスで丸焦げになった敵は 「触れたら危険」を警告している 00:03:54.430 --> 00:03:58.160 地図や看板は、複雑な空間を 移動するのに役立つ 00:03:58.190 --> 00:04:02.323 小道具は、さり気ない方法でヒントを提示できる 「注意:エレベーターから落ちるな」 00:04:08.500 --> 00:04:09.810 だが本題はここからだ 00:04:09.840 --> 00:04:11.725 環境型物語という用語は… 00:04:11.757 --> 00:04:15.909 特にこの用語を、小さな挿話の描写という 意味で使っている場合― 00:04:15.941 --> 00:04:22.060 これは環境を利用して物語を暗示するという 大きな構造の一部に過ぎない 00:04:22.092 --> 00:04:24.829 それは高層設定のものだ 00:04:24.859 --> 00:04:28.220 それからその下には、ゲーム内の 個々の場所がある 00:04:28.250 --> 00:04:33.389 つまり、農家の直売所、酒場 医療機関、劇場地区などだ 00:04:33.419 --> 00:04:36.590 さらに、これらの場所の中に 個々の部屋がある 00:04:36.620 --> 00:04:42.726 これが中層設定のもので、最も正確に言うならば ステージ設計のことだ 00:04:42.756 --> 00:04:49.463 これは物語にも使用できる というのも 建築、配置、素材、規模といった要素が― 00:04:49.493 --> 00:04:52.900 その場所を使う人々について 多くのことを教えてくれるからだ 00:04:52.930 --> 00:04:59.249 例えば『Dishonored 2』の砂塵地区では Arkane の開発者が垂直性を活用することで 00:04:59.279 --> 00:05:03.859 労働者階級が文字通り、権力者の 下にいる(隷属している)ことを示している 00:05:03.889 --> 00:05:07.460 『Prey』の宇宙基地 Talos I の 華やかさは― 00:05:07.490 --> 00:05:14.109 『Alien Isolation』の実用的なセヴァストポリ基地とは 全く異なる物語を伝えている 00:05:14.139 --> 00:05:19.750 またこれは遊びのヒントにもなる 例えば『Thief』のバフォード卿の屋敷では 00:05:19.780 --> 00:05:23.372 全ての金塊は、当然 主人の寝室に置いてあるのだが 00:05:23.402 --> 00:05:26.519 召使いの宿舎にある物は ほとんど価値がない 00:05:26.549 --> 00:05:30.947 真実味のある場所にすることで プレイヤーは現実世界の知識を利用して― 00:05:30.977 --> 00:05:33.429 その空間に順応することができる 00:05:33.460 --> 00:05:38.174 もちろん、暮らしが営まれている空間を 制作する上で、大きな課題となるのが 00:05:38.204 --> 00:05:43.494 論理的に存在するような場所の中に 寝室、風呂、台所などの全てを置くことで 00:05:43.524 --> 00:05:45.734 何百人もの住人の 生活感をつくることだ 00:05:45.764 --> 00:05:50.380 僕が『Hitman 2』の動画を作ったとき、これを IO Interactive の開発者に尋ねたところ 00:05:50.410 --> 00:05:53.591 彼らは「信じられる」ステージに 焦点を当てていると言った 00:05:53.621 --> 00:05:57.849 つまりそのステージは、空間の仕組みについての 基本的な期待に応えているのだが 00:05:57.879 --> 00:06:00.250 完璧に理屈が通っている必要はないという 00:06:00.280 --> 00:06:06.076 ピラミッドの最後には低層設定が必要だ これが世界全体を設定する 00:06:06.106 --> 00:06:10.608 これは世界観を構築することであり 開発者や物語制作者が― 00:06:10.638 --> 00:06:15.451 派閥や、歴史上の転機や 物語の主人公を設定するところだ 00:06:15.481 --> 00:06:18.882 この構造の 3つの部分が 全て協調して機能する必要があり 00:06:18.912 --> 00:06:22.571 理想的には、アイデアは 上下の階層にも影響するべきだ 00:06:22.601 --> 00:06:26.129 ここではその実践例を紹介しよう 00:06:26.159 --> 00:06:31.149 『Deus Ex: Mankind Divided』の 低層設定は、近未来のプラハで― 00:06:31.179 --> 00:06:35.589 改造人間たちが、普通の人々によって 抑圧されている 00:06:35.620 --> 00:06:42.287 これは中層設定で表現される 駅では 自然人間と、改造人間の 2つの専用車両があり 00:06:42.317 --> 00:06:46.629 スラム化した都市で、改造人間たちが 悲惨な状態のまま隔離されている 00:06:46.659 --> 00:06:52.277 そして高層設定の小さな物語では 抑圧や人種差別のことも語られる 00:06:52.307 --> 00:06:57.267 反改造の落書きや、首都から 追い出されたという内容のメールなどだ 00:06:57.297 --> 00:07:03.461 全ての階層が同じテーマを語っている 低層設定における壮大で体系的な話から― 00:07:03.491 --> 00:07:07.600 高層設定の個人的、具体的な話まで (高 = 庶民の分断、中 = プラハの分断、低 = 人類の分断) 00:07:07.628 --> 00:07:12.683 もちろん、隠し要素やお笑いを入れても構わないが こういった物語の伝え方は― 00:07:12.713 --> 00:07:18.327 全ての側面が、同じテーマの目標へ向かって 進んでいるときに最高の効果を発揮するのだ 00:07:18.357 --> 00:07:21.036 これは実践してみると かなり難しくなるだろう 00:07:21.066 --> 00:07:25.269 多くの大作ゲームでは、各ステージは 別々の人が担当しているからだ 00:07:25.299 --> 00:07:27.966 そのため、チームが一丸となって― 00:07:27.996 --> 00:07:32.385 作品の構想をゲーム全体で共有することが 生死を分けるほど重要になる 00:07:34.250 --> 00:07:39.243 開発者は、世界観の構築、ステージ設計 環境型物語を用いて 00:07:39.273 --> 00:07:43.952 世界とその住人について、具体的かつ 実際的な情報を伝えることができる 00:07:43.982 --> 00:07:49.239 しかしゲーム世界の設計は、想像力をかき立て 感動させるためにも使われる 00:07:49.269 --> 00:07:55.089 開発者は、規模、形状、色彩などを使って 「特定の感情」を呼び起こすことができる 00:07:55.119 --> 00:08:01.703 Naughty Dog のステージ制作者 Emilia Schatz が 『アンチャーテッド 4』でこれをどうやったか語っている 00:08:01.733 --> 00:08:07.123 「序盤に恐怖感を与え、最後に達成感を 感じさせたい場合―」 00:08:07.153 --> 00:08:11.210 「私は環境を使って、プレイヤーに大きな 圧力を与えるかもしれません」 00:08:11.240 --> 00:08:17.010 「天井をかなり低くしたり、壁が迫ってきたりして 窮屈感を与えます」 00:08:17.040 --> 00:08:21.468 「そして最終的にステージの終わりに 到達すると―」 00:08:21.498 --> 00:08:25.339 「プレイヤーを広い場所へ連れ出して この巨大な展望を与えるのです」 00:08:25.369 --> 00:08:31.079 洞窟の形状から『アンチャーテッド』の 過去の出来事を理解することはできない 00:08:31.109 --> 00:08:33.439 結局のところ これはただの洞窟だ 00:08:33.469 --> 00:08:35.799 その代わりに 感情を生み出してくれる 00:08:35.819 --> 00:08:39.474 これによってプレイヤーは 操作キャラの気持ちをより深く理解できる 00:08:39.504 --> 00:08:42.999 その好例が『God of War』の最新作にある 00:08:43.029 --> 00:08:47.040 アトレウス(息子)がどっかへ行って 危ないかもしれないので― 00:08:47.068 --> 00:08:49.044 クレイトスが 慌て始める場面だ 00:08:49.069 --> 00:08:51.674 ここでは開発者が 環境を自在に扱って― 00:08:51.692 --> 00:08:55.270 この緊張感をプレイヤーにも 体感できるようにしている 00:08:55.303 --> 00:08:58.579 つまり、空間は窮屈になり 狭い通路が続いている 00:08:58.609 --> 00:09:01.849 行き止まりだらけで 引き返さざるを得なくなる 00:09:01.879 --> 00:09:05.198 灰色の濃霧のせいで 視界が悪くなっている 00:09:05.228 --> 00:09:09.405 そして最後、岩の隙間で クレイトスは完全に遅れをとる 00:09:09.435 --> 00:09:14.900 ここを通り抜けて初めて、空間が広がり 霧が晴れ、色彩が戻ってきて 00:09:14.940 --> 00:09:18.564 アトレウスが安全であることが分かり この謎の人物が― 00:09:18.594 --> 00:09:22.474 息子を傷付けるために そこにいるわけじゃないことを知る 00:09:22.504 --> 00:09:24.410 あるいは初代『Portal』の例だ 00:09:24.440 --> 00:09:27.960 ゲームの前半は テストの実験室で行われるが 00:09:27.990 --> 00:09:33.610 後半では、邪悪な AI から逃亡し 裏側の整備エリアを駆け抜ける 00:09:33.640 --> 00:09:39.578 物語におけるこの劇的な変化は 環境のあらゆる側面によって強調されている 00:09:39.608 --> 00:09:43.310 テスト部屋は、白く、無菌で 細部が欠けている 00:09:43.340 --> 00:09:46.878 整備エリアは暖色の オレンジ色に染まっていて 00:09:46.908 --> 00:09:49.265 生活感や使用感が 感じられる 00:09:49.295 --> 00:09:54.334 2017年の講演で、Crystal Dynamics の アートデザイナーを務めた Brian Horton は― 00:09:54.364 --> 00:09:57.210 『トゥームレイダー』復活作品の この部分について語っている 00:09:57.240 --> 00:10:02.680 序盤、ララは低い位置にいて 地形環境が上から圧迫している 00:10:02.710 --> 00:10:05.922 全てが不吉な深緑色に 染まっている 00:10:05.952 --> 00:10:10.149 地形環境と同じ高さまで来ると 色彩が明るくなり始める 00:10:10.179 --> 00:10:13.610 そして塔を登っていくと ステージより高い場所へ到達し 00:10:13.640 --> 00:10:16.760 ララは暖かいオレンジ色の 日差しに包まれていく 00:10:16.790 --> 00:10:21.589 絶望の場所から、希望の場所まで移動した 彼女の生存の旅路は― 00:10:21.619 --> 00:10:24.500 ステージ設計を通じて 強調されているのだ 00:10:24.530 --> 00:10:27.742 これを達成する 実践的な手法として― 00:10:27.772 --> 00:10:31.926 元 BioWare のステージ制作者 Dave Feltham の GDC 講演を紹介したい 00:10:31.956 --> 00:10:36.489 彼は『Mass Effect 3』のステージを制作する際の 2つのツールについて語っている 00:10:36.519 --> 00:10:40.136 感情図表と、強度図表だ 00:10:40.166 --> 00:10:43.907 問題のステージは 惑星トゥチャンカが舞台設定で 00:10:43.937 --> 00:10:47.093 ジェノファージの治療法を 提供するという内容だ 00:10:47.123 --> 00:10:50.180 クローガン族を不妊化させた ウイルス兵器のことだ 00:10:50.210 --> 00:10:54.814 このステージでは、窪地に着陸し シュラウドタワーに向かって運転し 00:10:54.844 --> 00:11:00.844 護送車隊が爆発した後、地下遺跡に潜入して 都市を出て、最初のリーパーを倒し 00:11:00.874 --> 00:11:04.301 そして… いや、これ以上は ネタバレになるから止めておこう 00:11:04.960 --> 00:11:08.300 そこで開発者たちはステージを いくつかの場面に分けた 00:11:08.340 --> 00:11:12.420 それから、各場面で 表現すべきテーマを決めた 00:11:12.450 --> 00:11:16.360 そして、その場面でプレイヤーが 感じるべき感情を決定した 00:11:16.390 --> 00:11:20.569 最後に、環境設計を使って それらの感情を呼び起こした 00:11:20.599 --> 00:11:27.138 例えば護送車隊が壊滅する前、プレイヤーは リーパーの討伐に希望や自信を感じるべきだ 00:11:27.168 --> 00:11:31.051 そこで、護送車の軍団を見せて 強くなった気分にさせたり 00:11:31.076 --> 00:11:35.033 クローガン族が楽しそうにくつろいで 無頓着なことを提案したりする 00:11:35.063 --> 00:11:37.860 車隊が爆発した後は 混乱を感じるべきだ 00:11:37.890 --> 00:11:41.760 そこで、火災や爆発 壊滅した護送車隊を見せる 00:11:41.790 --> 00:11:44.520 地下遺跡では、神秘性を感じるべきだ 00:11:44.550 --> 00:11:48.599 そこで、古代クローガン族の 生活を表現した彫像や壁画を見せる 00:11:48.629 --> 00:11:51.377 その後、地上の都市が 誇らしげに登場する 00:11:51.407 --> 00:11:57.089 ジェノファージ感染前のクローガン帝国の発展に 畏敬の念を抱かせる 00:11:57.119 --> 00:12:00.621 そしてクローガン族を裏切るつもりであれば 罪悪感を感じさせる 00:12:00.651 --> 00:12:06.428 暗い地下遺跡から開放的な都市への対比が この場面を強調しているのだ 00:12:06.458 --> 00:12:11.945 感情を必然的に伝えるために、適切な 環境的手法を見つけるのはキツイだろうが― 00:12:11.977 --> 00:12:13.810 他のゲームの事例を 紹介しよう 00:12:13.840 --> 00:12:16.926 『Half Life 2』では、抑圧感を 生み出すために― 00:12:16.956 --> 00:12:21.846 窮屈な廊下、高層ビル、刑務所 監視カメラなどを用意している 00:12:21.876 --> 00:12:26.135 『P.T.』では、恐怖感を生み出すために 同じ角を何度も曲がるように求められるが― 00:12:26.165 --> 00:12:28.980 向こう側に何があるのか 絶対に分からない 00:12:29.020 --> 00:12:34.669 ただしこうした環境を選ぶときは ゲーム仕様との相性に注意してほしい 00:12:34.690 --> 00:12:39.964 例えばホラーゲームでは、暗闇は明らかに 恐怖をかき立てることを意図している 00:12:39.994 --> 00:12:45.169 だがステルスゲームの暗闇は、実際には 力強さと安全性を感じさせるかもしれない 00:12:45.199 --> 00:12:50.259 環境の詳細を選んだ後 BioWare は強度図表を使う 00:12:50.289 --> 00:12:53.759 基本的に、開発者には 希望する強度があり 00:12:53.782 --> 00:12:58.430 物語のための穏やかな瞬間と 戦闘のための激しい瞬間を望んでいる 00:12:58.460 --> 00:13:04.040 しかし各エリアの強度の感じ方は 試遊した人の意見と比較する必要がある 00:13:04.070 --> 00:13:07.289 強度がズレていたら 変更しなければならない 00:13:07.319 --> 00:13:10.349 例えば、地下遺跡には当初 敵がいたのだが 00:13:10.379 --> 00:13:17.360 懐中電灯でモンスターと戦うのは極めて厳しく 意図した感情からは遠いことが分かったので 00:13:17.398 --> 00:13:20.643 強度の水準を一致させるために モンスターは削除された 00:13:20.673 --> 00:13:25.243 また、味方の爆撃機のカットシーンを リーパーに向かう途中に追加したのだが 00:13:25.273 --> 00:13:28.860 これは勝てるかもしれないという希望を 少しだけ与えるためだった 00:13:28.890 --> 00:13:34.770 BioWare の最終的な目標は、典型的な三幕構成に 合致するミッションを制作することだった 00:13:34.803 --> 00:13:40.644 問題を解決するために動き、絶望の瞬間を経て 最後は勝利へ向かって登っていく 00:13:40.670 --> 00:13:45.519 この三幕構成は、2D アクション『Celeste』で 見事に活用されている 00:13:45.549 --> 00:13:49.544 実際の登山の形状が 図表に反映されているのだ 00:13:49.574 --> 00:13:54.960 ステージを進むごとに、山を登りながら 小さな挫折や後退に直面するが 00:13:54.990 --> 00:13:57.339 最終的にはひたすら上へ 進んでいく 00:13:57.369 --> 00:14:02.539 これはステージ「もうひとりの自分」まで続く ここで山の麓まで真っ逆さまに落ちてしまう 00:14:02.569 --> 00:14:07.096 物語のドン底は 環境のドン底でもあるのだ 00:14:09.043 --> 00:14:12.810 だが環境を本当に活用して 物語を伝えるゲームがあるとすれば― 00:14:12.840 --> 00:14:18.460 それは『風ノ旅ビト』だ 登っている場面で、強さや進む感覚を呼び起こし 00:14:18.490 --> 00:14:22.932 落下する場面で 喪失感や絶望感を生み出している 00:14:22.962 --> 00:14:28.639 そして thatgamecompany(開発会社)が色彩を活用して 様々な感覚を表現している点は注目だ 00:14:28.681 --> 00:14:34.189 オレンジ色が砂漠の穏やかな神秘を表し 深緑が不気味な地下墓地を表現する 00:14:34.229 --> 00:14:39.029 白色が刺すような寒さを 鮮明な青が再生の瞬間を表現する 00:14:39.059 --> 00:14:42.714 このゲームには何かを感じさせるための 言葉は必要ない 00:14:42.746 --> 00:14:45.180 環境が全てを 物語っているからだ 00:14:47.080 --> 00:14:52.452 最後に、環境がプレイヤーの「一体感」に 与える影響について触れたいと思う 00:14:52.482 --> 00:14:55.914 ビデオゲームでは一般的に 登場人物の立場になりきって― 00:14:55.953 --> 00:14:58.415 その人物のように行動することが 求められる 00:14:58.445 --> 00:15:01.503 プレイヤーは 常に手がかりを探している 00:15:01.529 --> 00:15:07.839 自分はどんな人物になるのか、どんな行動が期待され 許され、罰せられるのか知りたいのだ 00:15:07.869 --> 00:15:13.626 当然この困難な作業は、利用できる仕様や システムが選択に反応する方法や― 00:15:13.663 --> 00:15:18.040 販売戦略と様式基準からなる プレイヤーの先入観によって行われている 00:15:18.073 --> 00:15:22.000 だが環境も大きな役割を 果たしている 00:15:22.041 --> 00:15:26.380 例えば初代『Bioshock』では 人を殺したり― 00:15:26.422 --> 00:15:29.349 レジや金庫から盗んだりするのは 簡単だった 00:15:29.379 --> 00:15:34.510 一方『Bioshock Infinite』でこれをやると かなり居心地が悪いことが分かった 00:15:34.550 --> 00:15:39.366 その大部分は『Bioshock』のラプチャーが 廃墟化していることが要因だ 00:15:39.396 --> 00:15:43.320 周りにいるのは狂気の 血に飢えたスプライサーだけだ 00:15:43.350 --> 00:15:48.437 こいつらの頭蓋骨を殴って、ポケットに入るかぎり 全てを略奪するのは理にかなっている 00:15:48.477 --> 00:15:53.698 一方『Infinite』のコロンビアでは、到着した時 社会の半分はまだ機能していて 00:15:53.728 --> 00:15:56.691 営業中の店や 罪のない市民がいる 00:15:56.721 --> 00:16:01.486 だから暴力や強盗は、こうした環境では あまり意味がない 00:16:01.526 --> 00:16:05.504 現実的な世界観に話を戻すと 『Hitman』の開発者はこの手法を使って 00:16:05.544 --> 00:16:09.746 世界がプレイヤーの存在にどう反応するのかを さり気なく説明している 00:16:09.776 --> 00:16:13.682 気軽に散策できるエリアが 明確に分かる理由は― 00:16:13.712 --> 00:16:17.875 プレイヤーが現実世界の社会規範を 理解しているからなのだ 00:16:17.915 --> 00:16:22.426 これは IO の開発者 Mette Andersen の GDC 講演の言葉だ 00:16:22.466 --> 00:16:26.671 「これらの空間を設計するとき、私たちは 行動のルールを設計し―」 00:16:26.711 --> 00:16:31.790 「 "この空間で自分はどうあるべきか?" という プレイヤーの自覚を活用するものを設計します」 00:16:31.830 --> 00:16:35.869 Mette は世界を分割する 「公共の空間」は序盤から利用可能で― 00:16:35.902 --> 00:16:37.870 どんな服装でも探索できる 00:16:37.900 --> 00:16:43.449 「私有の空間」では、侵入するための工夫や 隠れるための衣装が必要だ 00:16:43.489 --> 00:16:49.529 彼女はこれをさらに細分化する 曖昧から厳格まで、社会規範を分けるのだ 00:16:49.559 --> 00:16:55.268 『Hitman』最高のステージは Matte によると こうしたエリアの種類が豊富に混在しているらしい 00:16:56.212 --> 00:17:01.500 だからビデオゲームの環境は、物語の媒体として 驚くほど効果的なものになり得るのだ 00:17:01.530 --> 00:17:05.339 プレイヤーが到着する前に起こった 出来事について伝えたり 00:17:05.375 --> 00:17:07.893 そこで暮らす人々について 手がかりを与えたり 00:17:07.923 --> 00:17:10.262 構造を通じて 感情を喚起したり 00:17:10.292 --> 00:17:13.118 あるいはプレイヤーの一体感のために 文脈を用意したり 00:17:13.147 --> 00:17:15.677 こうした空間は 多くを物語ることができるのだ 00:17:15.710 --> 00:17:20.760 以下のコメント欄で、環境を使った物語の お気に入りの例を教えてほしい 00:17:23.570 --> 00:17:24.570 (字幕翻訳:Nekofloor) 00:17:24.640 --> 00:17:26.830 やぁ、ご視聴ありがとう 00:17:26.870 --> 00:17:32.035 気付いたかもしれないが これは以前の動画の再投稿版だ 00:17:32.065 --> 00:17:38.991 残念ながら、以前のやつは動画内で挙げた 一部の事例が原因で年齢に不適切だと判断されたため 00:17:39.021 --> 00:17:43.510 視聴前に大きな恐ろしい警告が 表示されてしまった 00:17:43.540 --> 00:17:48.479 最終的には、できるだけ大勢が 自分のチャンネルを視聴できるようにしたいので 00:17:48.509 --> 00:17:53.297 今後は一般的な視聴者に適した動画内容に するように努力していくつもりだ 00:17:53.327 --> 00:17:58.290 僕はそれでも人を撃つことを話題にするつもりだ だって…ほら、これはビデオゲームの動画だからね 00:17:58.322 --> 00:18:05.549 しかしそれでも、今後は暴力やその他の厄介なものに 引っかからないように注意していく 00:18:05.579 --> 00:18:10.198 もし元の動画が不快な気分にさせたなら 僕は謝罪する