WEBVTT 00:00:23.760 --> 00:00:25.176 こんにちは 私はエンジニアで 00:00:25.200 --> 00:00:27.176 ロボットを製作しています 00:00:27.200 --> 00:00:30.696 もちろん皆さんはロボットが どんなものかお分かりですね 00:00:30.720 --> 00:00:32.896 分からなければ検索してみると 00:00:32.920 --> 00:00:34.776 はっきりします 00:00:34.800 --> 00:00:36.040 ではやってみます 00:00:36.680 --> 00:00:39.416 検索するとこんな感じです 00:00:39.440 --> 00:00:42.616 色んな種類の ロボットがあるのですが 00:00:42.640 --> 00:00:46.376 これらは主に構造上 人型ロボットになっています 00:00:46.400 --> 00:00:48.056 いかにもロボットという感じです 00:00:48.080 --> 00:00:50.536 プラスチックや金属で出来ており 00:00:50.560 --> 00:00:52.856 モーターやギア等を 備えていますからね 00:00:52.880 --> 00:00:54.496 中には結構 親しみの湧く物もあり 00:00:54.520 --> 00:00:56.576 抱えて抱きしめたり 出来そうです 00:00:56.600 --> 00:00:58.016 そうでないものもあり 00:00:58.040 --> 00:01:00.496 『ターミネーター』から そのまま出てきたようです 00:01:00.520 --> 00:01:03.056 実際『ターミネーター』 そのものでしょう 00:01:03.080 --> 00:01:05.816 このロボットで ワクワクするような凄い事が 00:01:05.840 --> 00:01:07.456 沢山出来るのです 00:01:07.480 --> 00:01:10.416 しかし私は 違う種類のロボットに着目し 00:01:10.440 --> 00:01:12.416 そんな物を作ってみたいと 思っています 00:01:12.440 --> 00:01:15.856 そこで私は人ではなく ある物から 00:01:15.880 --> 00:01:17.280 ヒントを得ました 00:01:17.720 --> 00:01:20.296 それは自然の中に 存在する生き物で 00:01:20.320 --> 00:01:22.896 私達には出来ない 実に凄い事をするのです 00:01:22.920 --> 00:01:25.416 現在あるロボットにも 出来ない事を― 00:01:26.040 --> 00:01:29.216 色々な事―床を這い回ったり 00:01:29.240 --> 00:01:31.496 菜園に入り作物を食べたり 00:01:31.520 --> 00:01:32.776 木に登ったり 00:01:32.800 --> 00:01:35.016 水に出入りしたり 00:01:35.040 --> 00:01:37.616 虫を捕まえて 消化したりするのです 00:01:37.640 --> 00:01:39.456 実に興味深い事をします 00:01:39.480 --> 00:01:42.856 彼らは生き、呼吸をし、死に 00:01:42.880 --> 00:01:44.696 自然の中にある物を食します 00:01:44.720 --> 00:01:47.296 現存するロボットは実際 そんな事をしません 00:01:47.320 --> 00:01:48.536 こんな特性をいくらか 00:01:48.560 --> 00:01:52.216 未来のロボットに取り込めたら 大いに関心を集める課題を 00:01:52.240 --> 00:01:54.936 解決する手助けになるかも しれませんよね? 00:01:54.960 --> 00:01:58.016 現在の環境が抱える 2つの問題を見てみましょう 00:01:58.040 --> 00:02:00.776 その環境の下では これらの動植物から見出した 00:02:00.800 --> 00:02:02.816 テクノロジーや技術を使う事ができ 00:02:02.840 --> 00:02:04.376 問題解決の為には 00:02:04.400 --> 00:02:06.496 ロボットが使えるのです 00:02:06.520 --> 00:02:08.880 2つの環境問題を 検討してみましょう 00:02:09.600 --> 00:02:11.014 両方共 私達が作り出した物で 00:02:11.038 --> 00:02:13.496 人が環境と関わる中で かなり不快な事態を 00:02:13.520 --> 00:02:15.896 引き起こしたと言える物です 00:02:15.920 --> 00:02:19.560 1つ目は人口の増加と 関連しています 00:02:20.080 --> 00:02:22.496 世界中の人口が急増する中で 00:02:22.520 --> 00:02:26.656 農家や農場は より多くの作物の生産を 求められるようになりました 00:02:26.680 --> 00:02:27.896 その為に農家は 00:02:27.920 --> 00:02:30.296 農地により多くの化学物質を 使うようになりました 00:02:30.320 --> 00:02:33.456 化学肥料や硝酸塩 殺虫剤等です 00:02:33.480 --> 00:02:36.856 それらは全て 穀物の生育を促す物ですが 00:02:36.880 --> 00:02:39.016 悪影響もあります 00:02:39.040 --> 00:02:42.496 その一例として 農地に化学肥料を与え過ぎると 00:02:42.520 --> 00:02:44.936 その全てが作物には行き届かず 00:02:44.960 --> 00:02:47.536 多くが土に留まり 00:02:47.560 --> 00:02:49.016 雨が降ると 00:02:49.040 --> 00:02:51.536 肥料は地下水面に流れ込み 00:02:51.560 --> 00:02:52.816 流水となって湖や川に流れ込み 海へと流れて行くのです 00:02:52.816 --> 00:02:56.336 流水となって湖や川に流れ込み 海へと流れて行くのです 00:02:56.360 --> 00:02:57.560 湖や川に流れ込み 海へと流れて行くのです 00:02:58.040 --> 00:03:00.656 この化学肥料(硝酸塩)の全てが 00:03:00.680 --> 00:03:02.296 そうした環境に流れ込むと 00:03:02.320 --> 00:03:06.096 それに影響を受ける 生物がいるのです 00:03:06.120 --> 00:03:07.736 例えば藻類です 00:03:07.760 --> 00:03:10.296 藻類は硝酸塩や 化学肥料が好物なので 00:03:10.320 --> 00:03:12.416 そうした物質を 取り込み 00:03:12.440 --> 00:03:15.376 条件が整えば 繁殖し 00:03:15.400 --> 00:03:17.656 大量の新しい藻類が 増えるでしょう 00:03:17.680 --> 00:03:19.216 これをブルームと言います 00:03:19.240 --> 00:03:22.416 困った事に藻類が こうした形で繁殖すると 00:03:22.440 --> 00:03:24.680 水中の酸素が不足するのです 00:03:25.120 --> 00:03:26.376 この事態に陥ると即座に 00:03:26.400 --> 00:03:29.320 他の水中の生物は 生き残れなくなるのです 00:03:29.720 --> 00:03:31.736 では私達は何をすべきでしょう? 00:03:31.760 --> 00:03:35.776 藻類を食べ、それを消費し 安全な物にするロボットを 00:03:35.800 --> 00:03:37.649 試作しています 00:03:37.673 --> 00:03:39.379 さてこれは大きな問題です 00:03:39.403 --> 00:03:41.236 ここでスライドをご覧ください 00:03:41.260 --> 00:03:44.244 1999年にコーンウォールの海岸沖で 藻類のブルームが起きました 00:03:44.244 --> 00:03:45.435 1999年にコーンウォールの海岸沖で 藻類のブルームが起きました 00:03:45.459 --> 00:03:47.525 それは50キロの長さに及びました 00:03:47.633 --> 00:03:48.895 大きな問題です 00:03:48.919 --> 00:03:52.356 これは魚介類に 影響を与えるのです 00:03:52.380 --> 00:03:53.740 それが1つ目の問題です 00:03:54.300 --> 00:03:56.796 2つ目の問題も やはり人が生み出した物で 00:03:56.820 --> 00:03:58.700 石油による汚染と 関わりがあります 00:03:59.140 --> 00:04:02.876 石油は私達が使用する エンジンやボートから 00:04:02.900 --> 00:04:04.236 流出します 00:04:04.260 --> 00:04:07.316 時折 タンカーのオイルタンクから 海中にドッと漏れ出し 00:04:07.340 --> 00:04:09.596 石油が海に流れ込みます 00:04:09.872 --> 00:04:12.467 いくつかの大惨事が起こりました― 00:04:12.491 --> 00:04:15.157 パイプラインの災害や 油田の災害等 00:04:15.459 --> 00:04:19.736 2010年に メキシコ湾で原油流出事故があり 00:04:19.856 --> 00:04:23.705 衛星映像から見ると 大量の原油が漏れているのが分かります 00:04:23.864 --> 00:04:27.379 これは鳥、魚、湾岸の環境に 壊滅的な影響を及ぼします 00:04:27.379 --> 00:04:30.760 これは鳥、魚、湾岸の環境に 壊滅的な影響を及ぼします 00:04:31.370 --> 00:04:33.946 油田からの汚染を食べてしまう ロボットを使って 00:04:33.970 --> 00:04:38.690 この問題を 処理できれば良いですよね? 00:04:39.250 --> 00:04:40.866 これが私達の仕事です 00:04:40.890 --> 00:04:43.490 汚染物質を食べる ロボットを作るのです 00:04:43.970 --> 00:04:45.306 実際そのロボットを作る為に 00:04:45.330 --> 00:04:47.530 2つの生物から ヒントを得ました 00:04:48.370 --> 00:04:50.506 右側にウバザメが見えます 00:04:50.530 --> 00:04:53.066 ウバザメは 大きな体つきをしています 00:04:53.090 --> 00:04:55.666 肉食ではないので 一緒に泳ぐ事が出来ます 00:04:55.690 --> 00:04:57.146 ご覧の通りです 00:04:57.170 --> 00:04:59.026 サメは口を大きく開けて 00:04:59.050 --> 00:05:01.890 水中を泳ぎ プランクトンを集めています 00:05:02.970 --> 00:05:05.186 そうしながら食べ物を消化し 00:05:05.210 --> 00:05:08.730 動き回り続ける為にその体内で エネルギーを使っているのです 00:05:09.490 --> 00:05:11.346 そんなロボットが 私達に作れないものか 00:05:11.370 --> 00:05:13.906 海を泳ぎながら 汚染物質を食べ尽くす 00:05:13.930 --> 00:05:15.290 ウバザメのような― 00:05:16.250 --> 00:05:17.986 出来るかどうかやってみましょう 00:05:18.010 --> 00:05:21.066 別の生物からも ヒントを得ました 00:05:21.090 --> 00:05:23.146 ここにマツモムシの 写真があります 00:05:23.170 --> 00:05:24.986 本当に可愛らしい虫です 00:05:25.010 --> 00:05:26.586 水中で泳ぐ時 00:05:26.610 --> 00:05:29.090 ぺダルのような脚で 前に進みます 00:05:29.690 --> 00:05:31.706 私達はこれら 2つの生物をヒントにして 00:05:31.730 --> 00:05:34.730 その両方を繋げ新種の ロボットを作ったのです 00:05:35.410 --> 00:05:38.586 実際この虫からヒントを得て 作ったので 00:05:38.610 --> 00:05:41.386 このロボットは水面に浮かび 00:05:41.410 --> 00:05:42.666 水面を漕ぎます 00:05:42.690 --> 00:05:44.906 "Row(漕ぐ)-bot(ロボット)" という名前です 00:05:44.930 --> 00:05:48.786 漕ぐロボットなのです 00:05:48.810 --> 00:05:51.506 どんなものでしょう? 00:05:51.530 --> 00:05:53.266 ここに何枚か Row-botの写真があります 00:05:53.290 --> 00:05:54.506 お見せしましょう 00:05:54.530 --> 00:05:57.866 最初に見たロボットとは 全く違っていますね 00:05:57.890 --> 00:06:00.026 グーグルは間違っています ロボットは 00:06:00.050 --> 00:06:01.266 むしろ こんな感じです 00:06:01.290 --> 00:06:03.066 ここにRow-botを持って来ました 00:06:03.090 --> 00:06:04.506 お見せしますね 00:06:04.530 --> 00:06:06.186 大きさが分かるでしょうし 00:06:06.210 --> 00:06:08.346 他のロボットとは 違っていると分かるでしょう 00:06:08.370 --> 00:06:09.986 これはプラスチックで出来ています 00:06:10.010 --> 00:06:12.066 Row-botを構成しているパーツー 00:06:12.090 --> 00:06:13.406 これが何故特別なのか 00:06:13.430 --> 00:06:14.811 見てみましょう 00:06:15.850 --> 00:06:18.666 Row-botは 3つのパーツから出来ていて 00:06:18.690 --> 00:06:21.986 それら3つは本当に 生物の一部のようです 00:06:22.010 --> 00:06:23.666 脳があり 00:06:23.690 --> 00:06:25.066 体があり 00:06:25.090 --> 00:06:27.386 胃があります 00:06:27.410 --> 00:06:29.826 エネルギーを生み出す為には 胃が必要なのです 00:06:29.850 --> 00:06:32.066 どのRow-botにも これら3つのパーツがありますが 00:06:32.090 --> 00:06:34.466 それはどんな生物も同様です 00:06:34.490 --> 00:06:36.386 では1つずつ見て行きましょう 00:06:36.410 --> 00:06:37.666 プラスチックで出来た 00:06:37.690 --> 00:06:39.466 体があり それは 00:06:39.490 --> 00:06:41.706 水面に浮かぶのです 00:06:41.730 --> 00:06:44.666 その側面に水かきがあります 00:06:44.690 --> 00:06:46.186 動く手助けとなるオールです 00:06:46.210 --> 00:06:47.570 まるでマツモムシのようです 00:06:48.290 --> 00:06:49.626 体はプラスチックですが 00:06:49.650 --> 00:06:52.506 ここには柔らかい ゴム製の口がこことここにあり 00:06:52.530 --> 00:06:54.435 その口は2つです 00:06:54.459 --> 00:06:55.866 何故口が2つあるのでしょう? 00:06:55.890 --> 00:06:57.706 1つは食べ物を取り入れ 00:06:57.730 --> 00:06:59.666 もう片方は 食べ物を排出するのです 00:06:59.690 --> 00:07:03.186 つまり口とお尻が ある事が分かります 00:07:03.210 --> 00:07:04.426 お尻と言うかー 00:07:04.450 --> 00:07:05.466 (笑) 00:07:05.490 --> 00:07:07.226 物が出て行く場所で 00:07:07.250 --> 00:07:08.946 正に本物の生物のようです 00:07:08.970 --> 00:07:11.786 ウバザメにも似てきました 00:07:11.810 --> 00:07:13.186 それは体です 00:07:13.210 --> 00:07:16.346 2つ目のパーツは 胃かもしれません 00:07:16.370 --> 00:07:20.266 ロボットにエネルギーを供給し 汚染物質を処理する必要があるので 00:07:20.290 --> 00:07:21.826 汚染物質が中に入り 00:07:21.850 --> 00:07:23.346 何かを行います 00:07:23.370 --> 00:07:26.946 真ん中の この部分には 微生物燃料電池という電池があります 00:07:26.970 --> 00:07:29.730 これを置いて 燃料電池をお見せします 00:07:30.290 --> 00:07:32.146 これはバッテリーを 装備する代わりとなり 00:07:32.170 --> 00:07:34.346 従来の電力装置の 代わりとなるものです 00:07:34.370 --> 00:07:35.626 1つお見せしましょう 00:07:35.650 --> 00:07:36.906 これはロボットの胃です 00:07:36.930 --> 00:07:38.186 本当に胃の働きをします 00:07:38.210 --> 00:07:41.626 こちらの側から汚染物質という形で エネルギーを入れる事が出来るからで 00:07:41.650 --> 00:07:43.306 それが電気を生み出すのです 00:07:43.330 --> 00:07:44.546 これは何でしょう? 00:07:44.570 --> 00:07:46.226 微生物燃料電池と 呼ばれるものです 00:07:46.250 --> 00:07:48.346 少しだけ 化学燃料電池に似ています 00:07:48.370 --> 00:07:50.386 それを学校で 見かけたかもしれないし 00:07:50.410 --> 00:07:52.026 ニュースで見たかもしれません 00:07:52.050 --> 00:07:54.186 化学燃料電池は 水素と酸素を取り込み 00:07:54.210 --> 00:07:57.026 反応させて 電気を生み出します 00:07:57.050 --> 00:08:00.466 技術は十分に確立されたもので アポロ宇宙計画で使われました 00:08:00.490 --> 00:08:01.970 40〜50年前の事です 00:08:02.530 --> 00:08:03.786 それより少しだけ新しいのが 00:08:03.810 --> 00:08:05.266 微生物燃料電池です 00:08:05.290 --> 00:08:06.546 原理は同じです 00:08:06.570 --> 00:08:07.986 片側に酸素を入れますが 00:08:08.010 --> 00:08:10.106 もう片側には 水素を入れる代わりに 00:08:10.130 --> 00:08:11.426 スープを少量入れます 00:08:11.450 --> 00:08:14.266 そのスープの中には 生きた微生物が入っています 00:08:14.290 --> 00:08:16.986 少し有機物質を入れると― それは廃棄物や 00:08:17.010 --> 00:08:19.346 サンドイッチの残りといった 00:08:19.370 --> 00:08:20.866 残飯かもしれませんが― 00:08:20.890 --> 00:08:23.706 そこに入れると 微生物がそれを食べ 00:08:23.730 --> 00:08:25.610 それが電気に変わるのです 00:08:26.490 --> 00:08:29.986 そればかりか 適切な微生物を選べば 00:08:30.010 --> 00:08:33.770 汚染物質を処理する為に 微生物燃料電池が使えるのです 00:08:34.490 --> 00:08:36.106 適切な微生物を選べば 00:08:36.130 --> 00:08:38.746 微生物は藻類を食べます 00:08:38.770 --> 00:08:41.106 別の種類の微生物を選べば 00:08:41.130 --> 00:08:44.650 石油溶剤や原油を 食べるでしょう 00:08:45.050 --> 00:08:47.746 この胃がどうやって 汚染物質を処理する為に 00:08:47.770 --> 00:08:51.026 使われているか だけでなく どうやって汚染から電気を 00:08:51.050 --> 00:08:53.850 生み出すのに使われているかが 分かるでしょう 00:08:54.490 --> 00:08:57.266 ロボットは 食べ物を胃の中に入れ 00:08:57.290 --> 00:08:59.386 消化して電気を作り 00:08:59.410 --> 00:09:01.906 自然環境の中で動き回る為に 00:09:01.930 --> 00:09:04.426 電気を使う行為を 繰り返すのです 00:09:04.426 --> 00:09:05.666 電気を使う行為を 繰り返すのです 00:09:05.690 --> 00:09:09.226 Row-botを作動させると 何が起こるか見てみましょう 00:09:09.250 --> 00:09:10.626 水を漕ぐとどうなるか― 00:09:10.650 --> 00:09:12.306 ビデオを2つお見せします 00:09:12.330 --> 00:09:14.986 最初にお見せするのは 00:09:15.010 --> 00:09:16.306 開いた口です 00:09:16.330 --> 00:09:19.346 前方と後方の口が開き 00:09:19.370 --> 00:09:20.906 十分に開ききると 00:09:20.930 --> 00:09:22.946 ロボットは 前方に漕ぎ始めます 00:09:22.970 --> 00:09:24.226 食べ物を取り込み 00:09:24.250 --> 00:09:27.346 処理物を排出する為に 水中をかき分けています 00:09:27.370 --> 00:09:28.626 ひとしきり動き終えると 00:09:28.650 --> 00:09:31.586 止まり 口を閉じますー 00:09:31.610 --> 00:09:34.026 ゆっくりと口を閉じるのです 00:09:34.050 --> 00:09:35.706 そしてそこに留まり 00:09:35.730 --> 00:09:37.370 食べ物を消化します 00:09:38.090 --> 00:09:40.786 もちろんこれは 微生物燃料電池で 00:09:40.810 --> 00:09:42.066 微生物を含んでいます 00:09:42.090 --> 00:09:43.946 本当は出来るだけ早く 00:09:43.970 --> 00:09:46.586 沢山のエネルギーを 微生物から出したいのですが 00:09:46.610 --> 00:09:48.186 微生物に無理は利かず 00:09:48.210 --> 00:09:51.226 毎秒ミリワット又は マイクロワットといった 00:09:51.250 --> 00:09:54.506 ごく少量の電気しか 作り出せません 00:09:54.530 --> 00:09:56.386 これを分かりやすく説明すると 00:09:56.410 --> 00:09:57.946 例えばあなたのスマホは 00:09:57.970 --> 00:09:59.346 特に新型のものでは 00:09:59.370 --> 00:10:01.586 約1ワットが必要です 00:10:01.610 --> 00:10:05.426 それは微生物燃料電池と比較すると 千倍、百万倍の 00:10:05.450 --> 00:10:07.410 エネルギーとなります 00:10:08.090 --> 00:10:09.666 それをどう使えるのでしょうか? 00:10:09.690 --> 00:10:12.546 Row-botが消化を完了し 00:10:12.570 --> 00:10:14.026 食べ物を取り入れると 00:10:14.050 --> 00:10:17.586 すべての食物を消化するまで じっと待ちます 00:10:17.610 --> 00:10:20.826 それには数時間 時には数日かかります 00:10:20.850 --> 00:10:24.546 典型的なRow-botのサイクルは 次のようなものです 00:10:24.570 --> 00:10:25.826 口を開け 00:10:25.850 --> 00:10:27.106 動き 00:10:27.130 --> 00:10:28.386 口を閉じ 00:10:28.410 --> 00:10:30.266 その場にじっとして待つのです 00:10:30.290 --> 00:10:31.666 一旦食べ物を消化すると 00:10:31.690 --> 00:10:34.506 再び同じ事をして 動き回るのです 00:10:34.530 --> 00:10:37.506 しかし本当の 生物のようだと思いませんか? 00:10:37.530 --> 00:10:39.386 まるで私達が 行なっている事のようです 00:10:39.410 --> 00:10:41.466 土曜日の夜に 外出して口を開け 00:10:41.490 --> 00:10:43.026 腹を満たし 00:10:43.050 --> 00:10:45.986 テレビの前に座って消化をします 00:10:46.010 --> 00:10:48.386 十分消化したら 同じ事を繰り返します 00:10:48.410 --> 00:10:51.266 このサイクルを繰り返すと 00:10:51.290 --> 00:10:54.826 最後には他の事が出来る程の 余分なエネルギーが得られます 00:10:54.826 --> 00:10:56.986 最後には他の事が出来る程の 余分なエネルギーが得られます 00:10:57.010 --> 00:10:59.026 例えばメッセージを送ります 00:10:59.050 --> 00:11:00.546 こんなメッセージです 00:11:00.570 --> 00:11:02.906 「最近これだけ汚染物質を食べたよ」 とか 00:11:02.930 --> 00:11:05.506 「こんな食べ物に出くわしたよ」 とか 00:11:05.530 --> 00:11:07.210 「僕はここにいるよ」 00:11:07.890 --> 00:11:11.146 「僕はここにいるよ」 とメッセージを送る能力は 00:11:11.170 --> 00:11:13.106 非常に重要なものです 00:11:13.130 --> 00:11:15.626 以前目にした油膜の事や 00:11:15.650 --> 00:11:17.106 藻類の過剰繁殖を考えると 00:11:17.130 --> 00:11:19.826 求められるのは 自然の中でRow-botを浮かべて 00:11:19.850 --> 00:11:21.826 全ての汚染物質を食べ尽くし 00:11:21.850 --> 00:11:24.026 その後 回収する事です 00:11:24.050 --> 00:11:25.266 何故でしょう? 00:11:25.290 --> 00:11:27.106 今のロボット― 00:11:27.130 --> 00:11:28.466 私がここに 持って来たRow-botは 00:11:28.490 --> 00:11:30.346 モーターやワイヤーがあり 00:11:30.370 --> 00:11:33.826 それ自体が生物分解性でない パーツで出来ています 00:11:33.850 --> 00:11:36.586 現在のRow-botは 有害な電池のような物が付いています 00:11:36.610 --> 00:11:38.586 それを自然の中に 放置する事は出来ないので 00:11:38.610 --> 00:11:40.106 それを探知する必要があり 00:11:40.130 --> 00:11:42.466 仕事を終えてしまったら 00:11:42.490 --> 00:11:43.746 回収する必要があるのです 00:11:43.770 --> 00:11:46.106 従って使用出来る Row-botの数は制限されます 00:11:46.130 --> 00:11:47.386 一方で 00:11:47.410 --> 00:11:50.546 少しばかり生物のような ロボットであるなら 00:11:50.570 --> 00:11:52.666 命の終焉となり 00:11:52.690 --> 00:11:55.146 朽ち果てます 00:11:55.170 --> 00:11:57.506 だから こんなロボットが 00:11:57.530 --> 00:11:59.769 プラスチック製ではなく そこらに捨てておくと 00:11:59.793 --> 00:12:01.386 生分解する別の素材で 00:12:01.410 --> 00:12:03.146 出来ていたら良いですよね? 00:12:03.170 --> 00:12:04.506 出来ていたら良いですよね? 00:12:04.530 --> 00:12:06.626 そうなったら ロボットの使い方が変わります 00:12:06.650 --> 00:12:10.026 10〜100個のロボットを 自然に放ち 00:12:10.050 --> 00:12:11.306 それらを追跡し ロボットが 00:12:11.330 --> 00:12:12.666 死んだ時 回収するのでなく 00:12:12.666 --> 00:12:13.906 死んだ時 回収するのでなく 00:12:13.930 --> 00:12:15.626 千、百万、十億個の 00:12:15.650 --> 00:12:18.386 ロボットを自然環境に 放つ事が出来ます 00:12:18.410 --> 00:12:20.226 ばら撒くだけで良いのです 00:12:20.250 --> 00:12:23.870 命の終わりには ロボットが 朽ち果てるのが分かっているので 00:12:23.894 --> 00:12:25.586 心配には及びません 00:12:25.610 --> 00:12:28.226 これはロボットに関する概念と 00:12:28.250 --> 00:12:29.626 その使い方を変えます 00:12:29.650 --> 00:12:31.506 問題は そんな事が 可能かということです 00:12:31.530 --> 00:12:33.706 可能だと私達は実証しました 00:12:33.730 --> 00:12:35.826 生物分解性のロボットを 作る事は可能です 00:12:35.850 --> 00:12:38.706 実に興味深い事に このロボットを作るには 00:12:38.730 --> 00:12:40.426 ありふれた素材が使えるのです 00:12:40.450 --> 00:12:43.026 いくつかご紹介しましょう 驚きですよ 00:12:43.750 --> 00:12:46.646 ゼリーから ロボットが作れるのです 00:12:46.670 --> 00:12:49.446 現在あるモーターを 付ける代わりに 00:12:49.470 --> 00:12:51.926 人工筋肉と呼ばれる物が 使えるのです 00:12:51.950 --> 00:12:54.246 人工筋肉はスマート素材で 00:12:54.270 --> 00:12:55.726 電気をその素材に通すと 00:12:55.750 --> 00:12:57.926 収縮したり 曲がったり 捻れたりします 00:12:57.950 --> 00:13:00.166 本物の筋肉のようです 00:13:00.190 --> 00:13:03.190 モーターを取り付ける代わりに この人工筋肉を付けるのです 00:13:03.214 --> 00:13:06.046 人工筋肉は ゼリーから作れるのです 00:13:06.070 --> 00:13:08.006 ゼリー少しと塩少々を用意し 00:13:08.030 --> 00:13:09.606 少しばかり細工をすると 00:13:09.630 --> 00:13:11.423 人工筋肉が出来上がるのです 00:13:11.447 --> 00:13:14.066 天然ゴムのラテックスでも 同じ事が出来ます 00:13:14.741 --> 00:13:17.352 それで風船から ロボットが作れるのです 00:13:17.376 --> 00:13:19.773 ゴム手袋からもロボットが作れます 00:13:19.797 --> 00:13:21.995 紙からさえロボットが 出来るのです 00:13:22.019 --> 00:13:25.114 紙から 電気で物を動かす 00:13:25.138 --> 00:13:27.266 駆動装置が作れます 00:13:27.290 --> 00:13:30.866 先程 紙から微生物燃料電池の胃も 作れると言いました 00:13:30.866 --> 00:13:32.306 先程 紙から微生物燃料電池の胃も 作れると言いました 00:13:32.330 --> 00:13:35.810 生物分解性の素材から ロボットの全体が出来るのです 00:13:36.130 --> 00:13:39.010 野外に放置すると その後 朽ち果てます 00:13:40.250 --> 00:13:42.106 心の底からワクワクします 00:13:42.130 --> 00:13:45.321 これは私達のロボットに対する概念を 全く変えてしまいそうです 00:13:45.345 --> 00:13:47.586 それだけでなく これらのロボットを使って 00:13:47.610 --> 00:13:50.946 出来る事への考え方が 実に クリエイティブな物にもなるのです 00:13:50.970 --> 00:13:52.226 一例をご紹介しましょう 00:13:52.250 --> 00:13:54.826 ロボットを作るのに ゼリーが使えたらー 00:13:54.850 --> 00:13:56.746 ゼリーを食べますよね? 00:13:56.770 --> 00:13:59.266 こんなものを作っては 如何でしょう? 00:13:59.290 --> 00:14:00.690 グミベアー・ロボットです 00:14:01.770 --> 00:14:04.546 ここにいくつか 予め用意しておきました 00:14:04.570 --> 00:14:06.170 さあここに グミの小袋があります 00:14:07.210 --> 00:14:09.090 レモン味です 00:14:10.250 --> 00:14:12.986 グミベアーを食べます この熊はロボットっぽくないですね? 00:14:13.010 --> 00:14:14.226 でもそういうふりをします 00:14:14.250 --> 00:14:17.266 1つ口の中に放り込みます 00:14:17.290 --> 00:14:18.530 レモン味 美味いですね 00:14:19.370 --> 00:14:22.275 あまり噛まないように気をつけます ロボットですから 嫌でしょうし 00:14:23.490 --> 00:14:25.706 そして飲み込みます 00:14:25.730 --> 00:14:27.426 胃の中に入ります 00:14:27.450 --> 00:14:31.266 そこでロボットは動き、思考し 曲ったりくねったりします 00:14:31.290 --> 00:14:32.506 何かをするのです 00:14:32.530 --> 00:14:34.706 更に腸の方まで移動して 00:14:34.730 --> 00:14:37.066 潰瘍やがんが あるかどうかを見極め 00:14:37.090 --> 00:14:39.186 注射のような事を するかも知れません 00:14:39.210 --> 00:14:42.066 一旦その仕事を終えたら 00:14:42.090 --> 00:14:44.306 ロボットは胃で消化されたり 00:14:44.330 --> 00:14:46.026 それを望まなければ 00:14:46.050 --> 00:14:47.666 そのまま消化器官を通り 00:14:47.690 --> 00:14:48.906 トイレに流され 00:14:48.930 --> 00:14:51.146 環境の中で安全に分解されます 00:14:51.170 --> 00:14:54.410 これは又 私達の ロボットへの概念を変えます 00:14:55.370 --> 00:14:59.666 はじめに汚染物質を食べるロボットを ご紹介しました 00:14:59.690 --> 00:15:02.346 次に私達が食べられる ロボットでした 00:15:02.370 --> 00:15:04.026 これが将来のロボットとの 00:15:04.050 --> 00:15:06.490 関わりのヒントを 与えてくれると思います 00:15:08.210 --> 00:15:10.106 ご清聴有難うございました 00:15:10.130 --> 00:15:13.613 (拍手)