WEBVTT 00:00:00.786 --> 00:00:02.989 医者からの知らせの中には 00:00:02.989 --> 00:00:06.800 全くもって誰も 聞く準備が できていないものがあります 00:00:06.817 --> 00:00:08.847 間違いなく私は できていませんでした NOTE Paragraph 00:00:08.847 --> 00:00:12.485 3年前に勤務先に電話がありました 00:00:12.485 --> 00:00:15.193 検査の結果を伝えるものです 00:00:15.193 --> 00:00:19.739 私は35歳で ようやく 望み通りの人生を歩み始めていました 00:00:19.739 --> 00:00:21.817 高校時代からの彼と結婚し 00:00:21.817 --> 00:00:25.810 長い不妊の後 ようやく妊娠したところでした 00:00:26.344 --> 00:00:29.118 そして突然ザックに恵まれました 00:00:29.118 --> 00:00:32.868 完璧な1歳の男の子― ないしは恐竜です 00:00:32.868 --> 00:00:34.935 ザックのご機嫌次第です 00:00:34.944 --> 00:00:38.276 そしてザックの存在は 私に完璧に合ったのです 00:00:39.168 --> 00:00:43.203 初めて応募した研究職にも 就くことができました 00:00:43.203 --> 00:00:46.570 幾千もの破れた夢が 散乱する場所です 00:00:46.570 --> 00:00:47.900 こうして私は 00:00:47.900 --> 00:00:49.947 夢の仕事を得て 00:00:49.947 --> 00:00:51.453 愛しい我が子と 00:00:51.453 --> 00:00:54.353 カナダから輸入した男性と 暮らしていました NOTE Paragraph 00:00:54.353 --> 00:00:55.645 (笑) NOTE Paragraph 00:00:55.645 --> 00:00:58.647 しかし その数か月前から 腹痛を感じ始めていたのです 00:00:58.647 --> 00:01:01.406 いろんな専門医に 診てもらいましたが 00:01:01.779 --> 00:01:03.550 誰にも診断できません 00:01:03.550 --> 00:01:05.956 そんな中 突然 00:01:05.956 --> 00:01:09.527 病院から仕事中に電話があり 00:01:09.527 --> 00:01:12.340 ステージIVのがんが見つかったので 00:01:12.340 --> 00:01:15.650 病院にすぐ来るようにと言われました 00:01:16.239 --> 00:01:19.080 その時 私の 口をついたのは 00:01:19.080 --> 00:01:21.211 「でも 子供がいるんです 00:01:21.945 --> 00:01:23.931 終わりになんてできない 00:01:23.931 --> 00:01:26.237 この世界をお終いにはできない 00:01:26.237 --> 00:01:29.091 まだ始まったばかりなのに」 という言葉でした 00:01:29.458 --> 00:01:32.113 夫に電話をすると 急いで駆けつけてくれました 00:01:32.113 --> 00:01:34.947 私は自分が真実と知る 全てを伝えました 00:01:34.947 --> 00:01:37.930 「あなたがずっと好きでした 00:01:37.930 --> 00:01:39.739 ずっと昔から 00:01:39.739 --> 00:01:41.624 ごめんね本当に 00:01:41.624 --> 00:01:44.276 どうかあの子のことをお願い」と 00:01:44.806 --> 00:01:47.547 そして病院まで歩いている間に 00:01:47.547 --> 00:01:50.514 初めてこんな考えが頭をよぎりました 00:01:50.514 --> 00:01:53.273 「なんて皮肉なんだろう 00:01:53.273 --> 00:01:57.122 『祝福されし者』という本を 書いたばかりなのに」と NOTE Paragraph 00:01:57.122 --> 00:01:59.143 (笑) NOTE Paragraph 00:02:00.077 --> 00:02:01.341 私は歴史家で 00:02:01.341 --> 00:02:05.373 「良い人には良いことが起きる」という 考え方を扱っていて 00:02:05.373 --> 00:02:09.651 「繁栄の福音」と呼ばれる キリスト教の一派の研究をしています 00:02:09.651 --> 00:02:13.871 「神はあなたの繁栄を望んでいる」という 大胆な約束をする教派です 00:02:13.871 --> 00:02:17.654 私は自分を「繁栄の福音」信者だと 考えたことはなく 00:02:17.654 --> 00:02:19.813 単なる観察者でした 00:02:20.134 --> 00:02:22.753 「繁栄の福音」では 正しい信仰をしていれば 00:02:22.753 --> 00:02:25.947 神は それに報いることを望む と信じられています 00:02:25.947 --> 00:02:28.337 良い行いをし 信心深ければ 00:02:28.337 --> 00:02:30.570 神は 健康と富と 00:02:30.570 --> 00:02:32.820 限りない幸福を与える という考えです 00:02:32.820 --> 00:02:34.304 人生はブーメランのようで 00:02:34.304 --> 00:02:35.715 良い行いをすれば 00:02:35.715 --> 00:02:38.233 良い出来事が常に 返ってくるのだと 00:02:38.233 --> 00:02:41.661 ポジティブに考え ポジティブに発言し 00:02:41.661 --> 00:02:45.042 信じれば不可能なことなんてない NOTE Paragraph 00:02:46.110 --> 00:02:49.568 私が最初に このとても アメリカ的な教義に関心を持ったのは 00:02:49.568 --> 00:02:51.219 18歳の頃でした 00:02:51.219 --> 00:02:56.193 そして25歳の頃には 国中を旅して 「繁栄の福音」界の有名人を取材していました 00:02:56.193 --> 00:02:58.324 私は10年にわたり 00:02:58.324 --> 00:03:03.444 神聖なお金で霊的な保証をする テレビ伝道師に話を聞きました 00:03:03.444 --> 00:03:07.987 目を見張る髪型をした 数えきれないないほどのメガ・チャーチの牧師を取材し 00:03:07.987 --> 00:03:11.114 最高の人生をどう生きているのか 聞きました 00:03:11.545 --> 00:03:14.336 病院の待合室や ピカピカな診察室にいる 00:03:14.336 --> 00:03:16.144 人々を訪ねました 00:03:16.144 --> 00:03:18.316 完治を祈る車いすの人の 00:03:18.316 --> 00:03:20.252 手を握りました 00:03:21.252 --> 00:03:25.969 家族旅行のぶち壊し屋という 異名を得ました 00:03:25.969 --> 00:03:30.616 街中で一番豪華なメガ・チャーチで 車から降ろしてと常に主張するからです 00:03:30.616 --> 00:03:33.663 聖堂の中を川が流れたり 00:03:33.663 --> 00:03:36.761 鷹が講堂を自由に飛んだり 00:03:36.761 --> 00:03:39.521 回転する巨大な黄金の地球儀があれば 00:03:39.521 --> 00:03:41.344 私はそこに行きました NOTE Paragraph 00:03:42.199 --> 00:03:45.891 私がこの研究を始めた時は 「祝福された」という言葉は 00:03:45.891 --> 00:03:47.719 現在とは異なるものでした 00:03:48.062 --> 00:03:50.157 今見られるような 00:03:50.157 --> 00:03:53.761 「#祝福された」印の家庭用品は 存在しませんでした 00:03:53.761 --> 00:03:58.918 「#祝福された」と書かれたナンバープレートや Tシャツや ネオンの壁飾りで 00:03:58.918 --> 00:04:00.926 溢れてはいませんでした 00:04:01.275 --> 00:04:06.643 「祝福される」ことが最も日常的な文化の 一部になるとは想像もできませんでした 00:04:06.643 --> 00:04:09.463 インスタグラムで最も使われる ハッシュタグになり 00:04:09.463 --> 00:04:12.183 極小ビキニの自撮り写真にまで 付けられるとは― 00:04:12.183 --> 00:04:14.647 まるで「私はなんて祝福されているのかしら 00:04:14.647 --> 00:04:17.264 イエス様 この体をありがとう」と言うように NOTE Paragraph 00:04:17.264 --> 00:04:19.465 (笑) NOTE Paragraph 00:04:20.233 --> 00:04:22.712 私は理解しきれていませんでした 00:04:22.712 --> 00:04:26.926 「繁栄の福音」がいかに 大きな市民宗教となり 00:04:26.926 --> 00:04:29.382 アメリカン・ドリームの核心をなす 00:04:29.382 --> 00:04:32.238 人知を超えた説明になっているかを 00:04:32.238 --> 00:04:35.696 「繁栄の福音」は アメリカの礎をではなく 00:04:35.696 --> 00:04:38.714 アメリカ人を崇拝しました 00:04:39.027 --> 00:04:42.199 ハングリー精神や 努力 倫理的な素質を 00:04:42.199 --> 00:04:45.019 神格化し 儀式化しました NOTE Paragraph 00:04:46.305 --> 00:04:49.327 アメリカ人は 楽観主義の福音を信じていて 00:04:49.327 --> 00:04:51.997 アメリカ人自身を その証拠としています 00:04:52.459 --> 00:04:54.408 自分では 思っていました 00:04:54.408 --> 00:04:57.487 「繁栄の福音は研究対象であって 信じてはいない」と 00:04:57.487 --> 00:04:59.320 しかし がんの告知を受けたとき 00:04:59.320 --> 00:05:01.105 突如 理解したのです 00:05:01.105 --> 00:05:06.412 自分がいかに深く アメリカン・ドリームを信じていたかを 00:05:07.178 --> 00:05:10.401 アメリカ文化の中で暮らしている場合 信仰心があろうがなかろうが 00:05:10.401 --> 00:05:16.146 良い行いと成功は共にあると 思い込む罠を回避するのは 00:05:16.146 --> 00:05:18.700 極めて難しいのです 00:05:19.485 --> 00:05:22.005 がんの告知を直視すればするほど 00:05:22.005 --> 00:05:25.409 善人には良いことが起きるという 00:05:25.409 --> 00:05:29.166 自分なりの ささやかな考えがあることに 気づかされました 00:05:29.166 --> 00:05:30.846 自分は善人じゃないの? 00:05:30.846 --> 00:05:33.116 自分は特別ではないの? 00:05:33.116 --> 00:05:37.361 これまで誰も殺さずに きたっていうのに! NOTE Paragraph 00:05:37.361 --> 00:05:39.670 (笑) NOTE Paragraph 00:05:39.670 --> 00:05:41.630 (拍手) NOTE Paragraph 00:05:41.630 --> 00:05:44.177 なぜ 私にこんなことが 起きるんだろう? 00:05:44.650 --> 00:05:46.844 私は 善人となれるよう 00:05:46.844 --> 00:05:51.370 そしてその過程で信仰に対して 少しばかりご褒美をいただけるよう祈りました 00:05:51.377 --> 00:05:53.643 まあ 多いに越したことは ないんですけど NOTE Paragraph 00:05:53.643 --> 00:05:54.675 (笑) NOTE Paragraph 00:05:54.675 --> 00:05:57.611 困難というのは すごく長いはずの人生における 00:05:57.611 --> 00:06:01.194 回り道に過ぎないと 考えていました NOTE Paragraph 00:06:02.270 --> 00:06:06.624 多くの人同様 この考え方で とても上手くいっていました 00:06:07.024 --> 00:06:10.158 成功の福音により 達成に向けてやる気を出し 00:06:10.158 --> 00:06:11.752 大きな夢を持ち 00:06:11.752 --> 00:06:13.471 怖れを捨てました 00:06:14.183 --> 00:06:16.667 この考え方は 好都合だったんです 00:06:16.667 --> 00:06:18.264 不都合になるまでは 00:06:18.264 --> 00:06:22.336 逃げられない事態に 直面する時までは 00:06:23.078 --> 00:06:25.732 あの電話に対して 00:06:25.732 --> 00:06:28.113 「でも 私には子供がいるんです」 としか 00:06:28.113 --> 00:06:30.957 答えられなかった時までは NOTE Paragraph 00:06:33.411 --> 00:06:36.705 一番受け入れるのが 難しかった時でした 00:06:36.705 --> 00:06:39.892 あの電話があり 病院への道で 00:06:39.892 --> 00:06:43.403 私自身の繁栄の福音に 見捨てられたのだと 00:06:43.403 --> 00:06:45.253 気付いたのです 00:06:45.673 --> 00:06:50.640 自分の良いと思っていたことの何も 救いにならなかったんです 00:06:50.640 --> 00:06:53.448 努力も 人格も 00:06:53.448 --> 00:06:56.141 ユーモアも 考え方も 00:06:56.914 --> 00:07:00.775 自分の人生は紙の壁でできている事実に 向き合う必要がありました 00:07:00.775 --> 00:07:03.089 他のみんなと同じように NOTE Paragraph 00:07:04.821 --> 00:07:08.938 かけがえのないものを破壊し 人生をひっくり返すような問題と 00:07:08.938 --> 00:07:12.441 隣り合わせだという考えは 00:07:12.441 --> 00:07:15.174 受け入れがたいものです 00:07:15.644 --> 00:07:19.155 皆 人生にはビフォー・アフターが あることを知っています 00:07:19.743 --> 00:07:24.076 前には絶対戻らない そこから多くを学んだと 00:07:24.076 --> 00:07:26.969 そう言うことを いつも求められますが 00:07:26.969 --> 00:07:28.895 私は 「いいえ」と言います 00:07:28.895 --> 00:07:31.224 「前の方が良かった」と NOTE Paragraph 00:07:33.793 --> 00:07:36.244 具合が悪くなった数か月後 このことを執筆し 00:07:36.244 --> 00:07:39.298 ニューヨーク・タイムズの 編集者に送りました 00:07:39.742 --> 00:07:43.817 今考えてみれば 自分が人生で 最も弱っている瞬間を取って 00:07:43.817 --> 00:07:45.684 寄稿記事にするというのは 00:07:45.684 --> 00:07:48.418 強さを取り戻す方法としては イマイチでした NOTE Paragraph 00:07:48.418 --> 00:07:49.829 (笑) NOTE Paragraph 00:07:49.829 --> 00:07:52.983 何千通もの手紙やメールが届きました 00:07:52.983 --> 00:07:54.844 今でも毎日届きます 00:07:55.274 --> 00:07:58.384 私が投げかけた質問のせいだと思います 00:07:58.384 --> 00:08:02.861 起きた悪いことに 十分な理由がない時に 00:08:02.861 --> 00:08:05.165 どう生きればいいのかを 問いました 00:08:05.165 --> 00:08:08.676 人がいろんな目に遭うのは なぜかという 00:08:08.676 --> 00:08:13.400 無慈悲な決まりなどない世界で 生きるほうが良いのではと問いました 00:08:14.093 --> 00:08:17.352 すると 可笑しくも 酷いことが起きました 00:08:17.352 --> 00:08:20.644 悪いことが起きた時に 説明を求める気持ちを静めるように 00:08:20.644 --> 00:08:22.685 私は頼んだつもりだったんですが 00:08:22.685 --> 00:08:25.098 実際に何千という読者が 書いてきたのは 00:08:25.098 --> 00:08:31.105 私に起こったことには 理由があるはずだということで 00:08:31.105 --> 00:08:34.479 私はその理由を理解するよう 求められていました 00:08:34.479 --> 00:08:39.412 皆 私のがんは「計画」の一部であると 安心させて欲しかったのです 00:08:39.808 --> 00:08:43.219 私ががんになったのは それについて書くことで 00:08:43.219 --> 00:08:46.605 人助けをするようにとの 神の計画だという人までいました 00:08:46.605 --> 00:08:49.662 これは私の人格に対する 試練だとか 00:08:49.662 --> 00:08:52.762 私のひどい行いの証拠だと 確信していて 00:08:52.762 --> 00:08:55.786 この表面的には混沌とした状況にも 00:08:55.786 --> 00:09:00.315 隠れた論理があることを 私に理解させたいのです 00:09:00.315 --> 00:09:01.945 私の入院中に 00:09:01.945 --> 00:09:03.970 主人に言いさえします 00:09:03.970 --> 00:09:06.477 すべてには理由があると 00:09:06.477 --> 00:09:11.519 でも 彼が「妻が死んでいく理由を どうか聞かせてほしい」と言うと 00:09:11.519 --> 00:09:14.007 たじろぐのです NOTE Paragraph 00:09:15.636 --> 00:09:16.932 理解はできます 00:09:17.240 --> 00:09:19.121 みんな理由が欲しいのです 00:09:19.121 --> 00:09:21.050 予測のできる定式が欲しいのです 00:09:21.050 --> 00:09:24.450 努力は実るのか 00:09:24.450 --> 00:09:28.531 愛や支えが常に パートナーを幸せにし 00:09:28.531 --> 00:09:30.949 子供達からの愛を 勝ち得るのか 00:09:31.460 --> 00:09:34.542 努力や 痛みや 最も深い願いが 00:09:34.542 --> 00:09:40.039 わずかたりとも無駄にならない世界を 望んでいるのです 00:09:40.793 --> 00:09:45.121 何も失われることのない 世界で暮らしたいのです NOTE Paragraph 00:09:46.920 --> 00:09:50.904 しかし ステージIVのがんと 共に生きて学んだのは 00:09:50.904 --> 00:09:54.936 努力と人生の長さの間には 00:09:54.936 --> 00:09:58.408 単純な相関関係など ないことでした 00:09:58.920 --> 00:10:02.932 過去3年間で経験した 痛みと傷は 00:10:02.932 --> 00:10:05.614 以前だったら 耐えられない程でした 00:10:06.047 --> 00:10:08.572 腹部手術を何度も受けたせいで 00:10:08.572 --> 00:10:11.944 今のおへそは5番目だと この間気づいたんですが 00:10:11.944 --> 00:10:14.345 最新版が一番嫌いです NOTE Paragraph 00:10:14.345 --> 00:10:16.021 (笑) NOTE Paragraph 00:10:17.410 --> 00:10:20.877 同時に愛を経験もしました 00:10:20.877 --> 00:10:22.908 たくさんの愛です 00:10:22.908 --> 00:10:25.321 説明するのが難しい愛です 00:10:26.230 --> 00:10:27.308 先日 私は 00:10:27.308 --> 00:10:31.823 臨死体験研究財団の調査報告を 読んでいたんですが― 00:10:31.823 --> 00:10:33.929 ええ そんなものがあるんです 00:10:33.929 --> 00:10:36.549 ありとあらゆる状況で 死にそうになった人の証言が 00:10:36.549 --> 00:10:38.319 掲載されていました 00:10:38.319 --> 00:10:40.811 自動車事故 出産 00:10:40.811 --> 00:10:42.268 自殺 00:10:42.268 --> 00:10:45.418 そして多くの人が 同じ奇妙なことを報告していました 00:10:45.429 --> 00:10:46.603 愛 です 00:10:47.127 --> 00:10:49.856 自分に似たような経験がなければ 00:10:49.856 --> 00:10:51.437 目も止めなかったと思います 00:10:51.437 --> 00:10:54.327 人に言うのが ためらわれた経験です 00:10:54.763 --> 00:10:57.629 死ぬと確信したときに 00:10:57.629 --> 00:10:59.489 怒りを感じず 00:11:00.626 --> 00:11:02.719 愛されていると感じたんです 00:11:03.123 --> 00:11:06.631 今まで経験した中で 最も現実離れしたことでした 00:11:06.631 --> 00:11:10.748 神に見放されたと感じるべき時に 00:11:10.748 --> 00:11:13.167 燃え尽きるのでなく 00:11:13.598 --> 00:11:15.955 漂っているような感覚がしました 00:11:15.955 --> 00:11:19.187 働きバチのように 私の周りを飛び交い 00:11:19.187 --> 00:11:21.591 手紙や 靴下や 花束や 00:11:21.591 --> 00:11:24.861 励ましの言葉を刺しゅうした キルトをくれた人々の 00:11:24.861 --> 00:11:27.709 愛と祈りの上を 漂っているように感じたんです 00:11:27.709 --> 00:11:29.891 でも 彼らが私の隣に座り 00:11:29.891 --> 00:11:31.838 手を繋いだ時には 00:11:31.838 --> 00:11:34.600 私の困難が他者の困難を 00:11:34.600 --> 00:11:37.733 見えるようにしたように 感じました 00:11:37.733 --> 00:11:41.616 自分と似たような人々の世界に 入り込んだように― 00:11:41.616 --> 00:11:43.959 当然叶うと信じていた夢や 00:11:43.959 --> 00:11:46.822 気付かぬうちに 練っていた計画の瓦礫の中を 00:11:46.822 --> 00:11:49.338 人々がさまよう世界です 00:11:50.126 --> 00:11:53.661 他者とのより強い繋がりを 00:11:53.661 --> 00:11:56.844 共通の経験を通じて感じました NOTE Paragraph 00:11:57.304 --> 00:12:00.553 その感覚は数か月にわたり 私と共にありました 00:12:00.553 --> 00:12:02.597 実際 それに慣れきってしまい 00:12:02.597 --> 00:12:05.654 その感覚を失うことを 恐れるようになりました 00:12:05.654 --> 00:12:11.920 そこで親しい友人 神学者 歴史家 修道女に尋ねました 00:12:11.920 --> 00:12:16.135 「この愛の気持ちがなくなった時に どうすればいいの?」と 00:12:16.143 --> 00:12:18.457 彼らは私の言っていることを 完全に理解しました 00:12:18.457 --> 00:12:20.768 なぜなら彼ら自身その経験があるか 00:12:20.768 --> 00:12:23.822 キリスト教神学の優れた作品で 読んだことがあったからです 00:12:23.822 --> 00:12:25.125 そしてこう言いました 00:12:25.125 --> 00:12:27.186 「そうだね なくなるよ 00:12:27.186 --> 00:12:29.805 その感覚は いつかなくなる 00:12:29.817 --> 00:12:33.270 それを取り戻す 確かな方法はないんだ」と 00:12:33.672 --> 00:12:36.202 しかし 彼らはちょっとした 元気づけもくれ 00:12:36.202 --> 00:12:38.135 私はそれにすがりました 00:12:38.375 --> 00:12:39.557 彼らは言いました 00:12:39.557 --> 00:12:42.579 「その感覚が潮のように引いても 00:12:42.579 --> 00:12:44.611 跡は残るんだ」と NOTE Paragraph 00:12:45.806 --> 00:12:47.530 確かに跡は残るのです 00:12:47.887 --> 00:12:51.087 何の証明でもなく 00:12:51.906 --> 00:12:53.752 自慢にもなりません 00:12:53.752 --> 00:12:55.678 ただの授かりものなのです 00:12:55.678 --> 00:12:58.296 というわけで 数千通のメールに返信して 00:12:58.296 --> 00:13:01.773 聖なる健康への5ステップや 不思議な漂う感覚について 00:13:01.773 --> 00:13:03.995 お伝えすることはできません 00:13:04.023 --> 00:13:10.018 素晴らしかったり ひどかったり 美しかったり 悲劇的だったりする出来事で 00:13:10.018 --> 00:13:12.948 世界は揺すぶられ続けます 00:13:13.191 --> 00:13:16.207 この矛盾を解消することは できませんが 00:13:16.840 --> 00:13:19.764 これらの相反する出来事は 00:13:19.764 --> 00:13:22.670 相殺はされないと 思うようになりました 00:13:23.047 --> 00:13:25.508 人生は素晴らしく 00:13:25.508 --> 00:13:28.059 同時に とても厳しいものです NOTE Paragraph 00:13:30.372 --> 00:13:33.375 今は まあまあ元気にやっています 00:13:34.230 --> 00:13:37.073 免疫療法の薬が効いているようです 00:13:37.073 --> 00:13:40.008 そして検査の結果を待っています 00:13:40.709 --> 00:13:43.191 私は長生きがしたいです 00:13:43.990 --> 00:13:48.236 長生きして 息子を恥ずかしがらせてやりたい 00:13:48.236 --> 00:13:52.040 主人があの美しい髪を 失うのを見てやりたい 00:13:52.040 --> 00:13:54.146 長生きするかもとも 思います 00:13:54.161 --> 00:13:56.322 でも今は 代価について考えず 00:13:56.322 --> 00:14:00.456 何も失われないという 理由も保証もない中で 00:14:00.456 --> 00:14:04.795 生きること 愛することを 学んでいる最中です NOTE Paragraph 00:14:05.143 --> 00:14:07.548 人生は心を傷つけます 00:14:08.130 --> 00:14:10.775 そして あなたの持つものや 望むものを 00:14:10.775 --> 00:14:13.071 全て奪うかもしれません 00:14:13.071 --> 00:14:17.644 でも私が信じる 「繁栄の福音」があります 00:14:17.868 --> 00:14:20.248 たとえ暗闇の中でも 00:14:20.248 --> 00:14:21.803 そこにさえ 00:14:21.803 --> 00:14:23.469 美しさと 00:14:23.469 --> 00:14:25.330 愛はあるのだと 00:14:25.330 --> 00:14:27.648 そして時々 00:14:27.648 --> 00:14:31.146 それで十分だって感じるのです NOTE Paragraph 00:14:31.990 --> 00:14:33.460 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:14:33.460 --> 00:14:36.498 (拍手)