1 00:00:00,657 --> 00:00:03,159 数年前から バイオ燃料の 開発にあたり 2 00:00:03,159 --> 00:00:05,887 ある可能性を追求してきました 3 00:00:05,887 --> 00:00:10,589 化石燃料に対して競争力のある 規模のものを 4 00:00:10,589 --> 00:00:14,273 食糧生産に必要な水 肥料や土地を奪わずに 5 00:00:14,273 --> 00:00:16,711 開発できないかというものです 6 00:00:16,711 --> 00:00:18,241 これがその解決案です 7 00:00:18,241 --> 00:00:19,849 容器を作って海面下に浮かべ 8 00:00:19,849 --> 00:00:22,127 それを排水と 油分を生産する 9 00:00:22,127 --> 00:00:25,255 微細藻類で満たす考えです 10 00:00:25,255 --> 00:00:27,415 柔軟性のある素材で作るので 11 00:00:27,415 --> 00:00:29,487 波の影響を受けて動きます 12 00:00:29,487 --> 00:00:31,527 もちろん微細藻類の成長には 13 00:00:31,527 --> 00:00:33,847 太陽光を使い 14 00:00:33,847 --> 00:00:36,058 藻類は二酸化炭素を吸収してくれながら 15 00:00:36,058 --> 00:00:38,423 増殖し 酸素を放出します 16 00:00:38,423 --> 00:00:42,087 微細藻類は周辺の水に熱を放出する 17 00:00:42,087 --> 00:00:44,879 容器の中で増えるので 18 00:00:44,879 --> 00:00:47,143 これを収穫して バイオ燃料や化粧品 19 00:00:47,143 --> 00:00:49,823 肥料や飼料として使えます 20 00:00:49,823 --> 00:00:52,663 当然 培養には 広い面積を要するので 21 00:00:52,663 --> 00:00:55,215 漁師や船舶等との利害関係も 22 00:00:55,215 --> 00:00:59,407 考えなくてはいけませんが 23 00:00:59,407 --> 00:01:01,670 将来の燃料事情を思うと 24 00:01:01,670 --> 00:01:03,872 代替となる液体燃料を得ることが 25 00:01:03,872 --> 00:01:06,351 大変重要であることは事実です 26 00:01:06,351 --> 00:01:09,032 では なぜ微細藻類を使うのでしょうか? 27 00:01:09,032 --> 00:01:12,719 このグラフはバイオ燃料の生産に使える 28 00:01:12,719 --> 00:01:16,571 様々なタイプの穀物を表しています 29 00:01:16,571 --> 00:01:19,134 大豆は1ヘクタールあたり 年間5百リットル程の 30 00:01:19,134 --> 00:01:21,451 バイオ燃料を生産できます 31 00:01:21,451 --> 00:01:26,508 他にもヒマワリやカノーラ ジャトロファやヤシなど色々ありますが 32 00:01:26,508 --> 00:01:31,002 一際高い値を示しているのが微細藻類です 33 00:01:31,002 --> 00:01:33,533 大豆の年間5百リットルに比べて 34 00:01:33,533 --> 00:01:36,325 微細藻類は1ヘクタールあたり 35 00:01:36,325 --> 00:01:39,677 年間2万から5万リットル以上もの 燃料を生産できます 36 00:01:39,677 --> 00:01:42,941 では 微細藻類とは何でしょうか? 37 00:01:42,941 --> 00:01:45,389 マイクロ・スケール つまりとても小さい 38 00:01:45,389 --> 00:01:48,357 単細胞生物で ヒトの髪の毛と比べると 39 00:01:48,357 --> 00:01:50,667 この様に見えます 40 00:01:50,667 --> 00:01:53,493 この小さな生物は大昔から 41 00:01:53,493 --> 00:01:55,533 何千もの種類が 42 00:01:55,533 --> 00:01:57,757 生息しています 43 00:01:57,757 --> 00:02:00,781 中には 地球上のどの植物よりも 速く増え 44 00:02:00,781 --> 00:02:03,973 先ほどお見せしたような 多量の油分を生産するものもあります 45 00:02:03,973 --> 00:02:07,261 ではなぜ このシステムを 海上に作るのでしょうか 46 00:02:07,261 --> 00:02:10,109 海上で行う大きな理由は 47 00:02:10,109 --> 00:02:14,705 沿岸の都市を見ると分かるように 他に良い場所がないからです 48 00:02:14,705 --> 00:02:17,504 藻の栽培に排水を使うわけですが 49 00:02:17,504 --> 00:02:19,415 よく見てみると 50 00:02:19,415 --> 00:02:22,984 排水処理場は 街の中に組み込まれています 51 00:02:22,984 --> 00:02:26,667 サンフランシスコの地下には 52 00:02:26,667 --> 00:02:29,322 約1400Km に及ぶ下水管があり 53 00:02:29,322 --> 00:02:33,298 沖に排水を放出しています 54 00:02:33,298 --> 00:02:37,210 世界中 都市によって 排水処理の仕方は違い 55 00:02:37,210 --> 00:02:39,578 排水を浄化する都市もあれば 56 00:02:39,578 --> 00:02:41,224 垂れ流しにする都市もあります 57 00:02:41,224 --> 00:02:43,882 しかしどの排水も 58 00:02:43,882 --> 00:02:46,842 微細藻類の育成に使えます 59 00:02:46,842 --> 00:02:48,507 これはシステムの想像図です 60 00:02:48,507 --> 00:02:50,609 「海上藻類養殖用膜質容器」の 61 00:02:50,609 --> 00:02:55,040 頭文字を取って OMEGAと名付けました 62 00:02:55,040 --> 00:02:57,592 NASAはこういう洒落た 略語が好きなんです 63 00:02:57,592 --> 00:03:00,435 どのように機能するのでしょうか? 64 00:03:00,435 --> 00:03:04,155 先ほど少し説明しましたが まず 排水と二酸化炭素を 65 00:03:04,155 --> 00:03:07,202 浮遊容器に入れます 66 00:03:07,202 --> 00:03:10,843 排水が藻類の育成に 必要な栄養を供給する一方 67 00:03:10,843 --> 00:03:13,561 藻類は本来なら 温室効果ガスとなるはずだった 68 00:03:13,561 --> 00:03:16,171 二酸化炭素を吸収します 69 00:03:16,171 --> 00:03:18,499 もちろん 太陽のエネルギーも使って増殖し 70 00:03:18,499 --> 00:03:21,050 海面の波のエネルギーが 71 00:03:21,050 --> 00:03:23,354 藻類を撹拌します また 周りの水温によって 72 00:03:23,354 --> 00:03:25,914 温度は制御されます 73 00:03:25,914 --> 00:03:29,268 この藻類が酸素を放出するのは すでに述べましたが 74 00:03:29,268 --> 00:03:32,556 バイオ燃料や肥料 食料や藻独特の副産物など 75 00:03:32,556 --> 00:03:35,997 有益なものも生み出します 76 00:03:35,997 --> 00:03:39,414 このシステムは環境に害が 広がらないよう設計されています 77 00:03:39,414 --> 00:03:41,540 モジュールとなって分かれているので 78 00:03:41,540 --> 00:03:43,734 例えばその一つに雷が落ちたりして 79 00:03:43,734 --> 00:03:45,933 穴が空き 中身が漏れたとしましょう 80 00:03:45,933 --> 00:03:48,542 漏れ出す排水は 元来そのまま 81 00:03:48,542 --> 00:03:50,930 排出されていた排水ですし 82 00:03:50,930 --> 00:03:53,178 藻類は 漏れても自然分解されます 83 00:03:53,178 --> 00:03:54,264 排水中で生育する藻類は 84 00:03:54,264 --> 00:03:57,333 淡水生物なので海水の中では 85 00:03:57,333 --> 00:03:59,130 生息できないのです 86 00:03:59,130 --> 00:04:01,290 ここで使用している プラスチックは 87 00:04:01,290 --> 00:04:03,922 よくあるもので 研究で良い成果を得ており 88 00:04:03,922 --> 00:04:08,773 壊れたモジュールは修理して 再利用できます 89 00:04:08,773 --> 00:04:12,345 またこのシステムを使って 90 00:04:12,345 --> 00:04:14,822 もっと いろいろ出来るかもしれません 91 00:04:14,822 --> 00:04:17,656 水 特に淡水については 将来 92 00:04:17,656 --> 00:04:20,022 問題も予測されていますが 93 00:04:20,022 --> 00:04:21,859 私たちは排水を再生する解決策にも 94 00:04:21,859 --> 00:04:24,381 取り組んでいます 95 00:04:24,381 --> 00:04:27,173 また 構造自体を考えると 96 00:04:27,173 --> 00:04:30,224 海に生息するものの棲家になり 97 00:04:30,224 --> 00:04:33,467 表面が海草や他の海洋生物で覆われ 98 00:04:33,467 --> 00:04:35,961 優れた海洋生物の生息場と機能して 99 00:04:35,961 --> 00:04:39,948 生物多様性を促進するのに 100 00:04:39,948 --> 00:04:41,611 役立ちます 101 00:04:41,611 --> 00:04:43,611 最後に 海中構造物なので 102 00:04:43,611 --> 00:04:46,513 水産養殖という面からも 103 00:04:46,513 --> 00:04:50,267 貢献できるのです 104 00:04:50,267 --> 00:04:51,856 皆さんこう思うかもしれません 105 00:04:51,856 --> 00:04:56,427 「良さそうなアイデアだけど 本当に上手くいくのかな?」と 106 00:04:56,427 --> 00:05:00,242 実はカリフォルニア州サンタクルーズにある 107 00:05:00,242 --> 00:05:03,404 州の魚類鳥獣保護局内に研究室を設置し 108 00:05:03,404 --> 00:05:06,453 そこにある巨大な海水タンクで 109 00:05:06,453 --> 00:05:08,176 試験実験を行っています 110 00:05:08,176 --> 00:05:10,798 またサンフランシスコに3つある 111 00:05:10,798 --> 00:05:13,629 下水処理場のうちの1つでも 112 00:05:13,629 --> 00:05:16,125 試験実験を行っています 113 00:05:16,125 --> 00:05:19,429 そしてこの構造物の 114 00:05:19,429 --> 00:05:22,133 海洋環境への影響を調べるために 115 00:05:22,133 --> 00:05:25,790 モントレー湾にモスランディング海洋研究室という 116 00:05:25,790 --> 00:05:28,253 フィールド調査場を設置しました 117 00:05:28,253 --> 00:05:30,613 そこでこの構造物が海洋生物に 118 00:05:30,613 --> 00:05:35,459 どのような影響を与えるかを調べました 119 00:05:35,459 --> 00:05:38,549 サンタクルーズの研究室が スカンクワークス(新技術開発の場)で 120 00:05:38,549 --> 00:05:41,447 そこで私たちは藻類を育て 121 00:05:41,447 --> 00:05:44,112 プラスチック溶接やツールを構築を行い 122 00:05:44,112 --> 00:05:45,635 たくさんの失敗を重ね 123 00:05:45,635 --> 00:05:47,566 エジソンではありませんが 124 00:05:47,566 --> 00:05:51,016 「システムが機能しない10000もの方法」を学びました 125 00:05:51,016 --> 00:05:55,262 現在は排水内で藻類を育ててますし 126 00:05:55,262 --> 00:05:58,694 藻類の生態を調べる ツールも構築したので 127 00:05:58,694 --> 00:06:00,416 藻類の成長の様子や 128 00:06:00,416 --> 00:06:03,118 藻類の好きな環境_そして 129 00:06:03,118 --> 00:06:07,020 強く 繁殖力のある培養株の 研究をしています 130 00:06:07,020 --> 00:06:10,109 さて 我々の開発した機能の中でも 一番重要なのが 131 00:06:10,109 --> 00:06:12,837 フォトバイオリアクター(PBR)でした 132 00:06:12,837 --> 00:06:14,180 これは安価なプラスティック製の 水面に浮かぶ構造物で 133 00:06:14,180 --> 00:06:17,605 これは安価なプラスティック製の 水面に浮かぶ構造物で 134 00:06:17,605 --> 00:06:20,262 藻類類の養殖をする所です いろいろなデザインを試し 135 00:06:20,262 --> 00:06:23,391 殆どは失敗でしたが 136 00:06:23,391 --> 00:06:25,726 113 リットルの規模で成功したモデルを 137 00:06:25,726 --> 00:06:28,013 1700 リットル用に拡大して サンフランシスコに設置しました 138 00:06:28,013 --> 00:06:31,629 1700 リットル用に拡大して サンフランシスコに設置しました 139 00:06:31,629 --> 00:06:33,823 システムがどう機能するかお見せしましょう 140 00:06:33,823 --> 00:06:37,535 基本的に排水と 好みの藻類を入れ 141 00:06:37,535 --> 00:06:40,241 そしてこの浮遊構造物の中を循環させます 142 00:06:40,241 --> 00:06:42,973 この管状の柔軟な プラスチック構造物です 143 00:06:42,973 --> 00:06:44,466 この管状の柔軟な プラスチック構造物です 144 00:06:44,466 --> 00:06:47,178 もちろん太陽光も外面に当たり 145 00:06:47,178 --> 00:06:49,583 藻類は栄養を吸収し増殖します 146 00:06:49,583 --> 00:06:52,005 でも これでは頭にビニール袋を かぶせたようなものです 147 00:06:52,005 --> 00:06:55,247 藻類は人間と違って 二酸化炭素による窒息死はしませんが 148 00:06:55,262 --> 00:06:56,101 藻類は人間と違って 二酸化炭素による窒息死はしませんが 149 00:06:56,101 --> 00:06:58,760 自ら生成する酸素によって窒息するのです 150 00:06:58,760 --> 00:07:00,936 窒息とは ちょっと違いますが 酸素は問題です 151 00:07:00,936 --> 00:07:04,040 また二酸化炭素も使い切ってしまいます 152 00:07:04,040 --> 00:07:06,472 なので次の問題は酸素を取り除くことで 153 00:07:06,472 --> 00:07:09,701 それをこのコラム(円柱)を立てて行いました 154 00:07:09,701 --> 00:07:11,178 コラムは一部の水を循環させ 155 00:07:11,178 --> 00:07:14,548 水が戻る前に炭酸ガスの 気泡を含ませ 156 00:07:14,548 --> 00:07:17,000 二酸化炭素を戻します 157 00:07:17,000 --> 00:07:18,704 これはプロトタイプで このタイプのコラムの最初の試みです 158 00:07:18,704 --> 00:07:22,502 これはプロトタイプで このタイプのコラムの最初の試みです 159 00:07:22,502 --> 00:07:24,942 サンフランシスコではより大きいコラムを 160 00:07:24,942 --> 00:07:26,570 システムに実装しています 161 00:07:26,570 --> 00:07:29,968 このコラムには 実は他にも 素晴らしい機能があって 162 00:07:29,968 --> 00:07:33,085 増えた藻類がコラムに沈殿し 163 00:07:33,085 --> 00:07:36,659 藻類バイオマスが集めやすくなるので 164 00:07:36,659 --> 00:07:39,626 収穫が容易に行えるのです 165 00:07:39,626 --> 00:07:42,401 私たちはコラムの下部にたまった藻類を取り除き 166 00:07:42,401 --> 00:07:44,969 それから表面に藻を浮かせて 167 00:07:44,969 --> 00:07:48,792 ネットでそれをすくい取る手順によって 168 00:07:48,792 --> 00:07:52,688 簡単に収穫することができるのです 169 00:07:52,688 --> 00:07:56,325 私たちは海洋環境へのこのシステムの影響も 170 00:07:56,325 --> 00:07:59,256 調査したいと思っており 171 00:07:59,256 --> 00:08:02,736 お話ししたようにフィールド調査場を 172 00:08:02,736 --> 00:08:04,976 モスランディング海洋研究室に立ち上げました 173 00:08:04,976 --> 00:08:07,816 そこではこのシステムは 外面が藻類に覆われてしまい 174 00:08:07,816 --> 00:08:10,728 洗浄する仕組みが必要となりました 175 00:08:10,728 --> 00:08:13,136 また 海鳥や海の哺乳動物と 176 00:08:13,136 --> 00:08:16,073 どう影響しあうかも調べました 177 00:08:16,073 --> 00:08:19,096 このようにラッコも この構造物に 非常に興味を示し 178 00:08:19,096 --> 00:08:22,200 時々やってきては 浮かぶウォーターベッドの上を 179 00:08:22,200 --> 00:08:25,088 横切っていきます なのでラッコを訓練し 180 00:08:25,088 --> 00:08:27,177 システム外面の清掃を 181 00:08:27,177 --> 00:08:29,584 将来やってもらおうかと思ってます 182 00:08:29,584 --> 00:08:30,905 ここでやってきた事は 183 00:08:30,905 --> 00:08:32,677 4つの分野にまたがっています 184 00:08:32,677 --> 00:08:35,560 まずこのシステムの 生物学的な研究では 185 00:08:35,560 --> 00:08:37,728 藻類の成長についてだけでなく 186 00:08:37,728 --> 00:08:41,377 何が藻類を食べたり 殺したりするかも 調べました 187 00:08:41,377 --> 00:08:43,556 エンジニアリングの分野では 188 00:08:43,556 --> 00:08:45,849 構造物を作るために何が必要か 189 00:08:45,849 --> 00:08:48,552 小規模にとどまらず いずれ求められる 190 00:08:48,552 --> 00:08:51,868 大規模なシステム構築も合わせて 考えてきました 191 00:08:51,868 --> 00:08:55,068 また鳥や海洋哺乳類の お話もしましたが 192 00:08:55,068 --> 00:08:57,597 このシステムの 環境への影響も調べました 193 00:08:57,597 --> 00:09:00,748 そして更に 経済にも目を向けています 194 00:09:00,748 --> 00:09:02,395 ここで言う経済とは 195 00:09:02,395 --> 00:09:05,500 このシステム稼働に どのくらいエネルギーが必要か? 196 00:09:05,500 --> 00:09:06,922 稼働を続けるために 197 00:09:06,922 --> 00:09:08,503 投入したエネルギー以上を 198 00:09:08,503 --> 00:09:10,516 システムから得られるかということです 199 00:09:10,516 --> 00:09:12,262 運用コストはどうか 200 00:09:12,262 --> 00:09:14,320 資本にどれだけコストがかかるか 201 00:09:14,320 --> 00:09:18,478 それから全体の経済構造はどうかなどです 202 00:09:18,478 --> 00:09:21,196 はっきり言って これは難しい問題です 203 00:09:21,196 --> 00:09:23,756 実際システムを作るには 204 00:09:23,756 --> 00:09:27,348 4つの分野すべてに 課題がたくさん残っています 205 00:09:27,348 --> 00:09:30,268 今日は時間がありませんので 206 00:09:30,268 --> 00:09:33,770 このシステムの完成イメージを お見せしましょう 207 00:09:33,770 --> 00:09:36,450 世界どこかにある 静かな入り江に作るとこうなります 208 00:09:36,450 --> 00:09:39,634 世界どこかにある 静かな入り江に作るとこうなります 209 00:09:39,634 --> 00:09:42,402 イメージ後方には 排水処理施設や 210 00:09:42,402 --> 00:09:45,275 二酸化炭素排出源が見えます 211 00:09:45,275 --> 00:09:48,010 でも経済的なことを考えると 212 00:09:48,010 --> 00:09:51,082 これだけでは難しいことが分かります 213 00:09:51,082 --> 00:09:55,652 このシステムを 排水処理や炭素隔離の 214 00:09:55,652 --> 00:09:59,380 手段と考えたり 太陽電池パネルや 215 00:09:59,380 --> 00:10:02,860 波エネルギー 風力エネルギーといった 216 00:10:02,860 --> 00:10:04,131 このような様々なものと 217 00:10:04,131 --> 00:10:07,172 統合していく必要があります 218 00:10:07,172 --> 00:10:11,819 水産養殖を加えることもできます 219 00:10:11,819 --> 00:10:14,747 システムの下で貝の養殖を行い 220 00:10:14,747 --> 00:10:16,841 ムラサキガイかホタテを育てたり 221 00:10:16,841 --> 00:10:19,833 カキなど 高値な食品を 222 00:10:19,833 --> 00:10:22,671 生産する事も考えられます 223 00:10:22,671 --> 00:10:25,441 これらをシステムの牽引力として 224 00:10:25,441 --> 00:10:28,755 次第に規模を拡大すれば 225 00:10:28,755 --> 00:10:34,556 究極的に競争力のある燃料源 とすることが出来るかもしれません 226 00:10:34,556 --> 00:10:37,253 ここで必ず疑問となるのが 227 00:10:37,253 --> 00:10:40,597 最近の海を漂う プラスチックの問題です 228 00:10:40,597 --> 00:10:43,586 そこで「ゆりかごからゆりかごへ」 (資源の再利用)を考えています 229 00:10:43,586 --> 00:10:46,303 私たちが海洋環境で必要とする 230 00:10:46,303 --> 00:10:49,044 大量のプラスチックをどうするかが問題です 231 00:10:49,044 --> 00:10:50,562 ご存じかもしれませんがカリフォルニアでは 232 00:10:50,562 --> 00:10:53,324 ご存じかもしれませんがカリフォルニアでは 233 00:10:53,324 --> 00:10:56,669 膨大な量のプラスチック・シートが 耕地の表面を覆うために使われています 234 00:10:56,669 --> 00:10:59,893 これらは土壌表層の上で 235 00:10:59,893 --> 00:11:02,644 小さな温室の役目をし 236 00:11:02,644 --> 00:11:05,902 土壌を暖め植物の生長を促します 237 00:11:05,902 --> 00:11:08,445 また雑草を抑制し 238 00:11:08,445 --> 00:11:12,037 水の利用効果を高めます 239 00:11:12,037 --> 00:11:14,350 OMEGAシステムも 同種の評価を得られ 240 00:11:14,350 --> 00:11:17,429 また海洋環境で 使用済みのプラスチックを 241 00:11:17,429 --> 00:11:20,118 農地で使えたりしたら良いと 思っています 242 00:11:20,118 --> 00:11:22,671 農地で使えたりしたら良いと 思っています 243 00:11:22,671 --> 00:11:23,991 ではシステムが設置されると 244 00:11:23,991 --> 00:11:26,502 どの様な景色になるでしょうか? 245 00:11:26,502 --> 00:11:29,493 これはサンフランシスコ湾でのイメージです 246 00:11:29,493 --> 00:11:32,173 サンフランシスコの排水は 1日あたり2.4億リットルです 247 00:11:32,173 --> 00:11:34,933 5日分を貯めて使うシステムは 248 00:11:34,933 --> 00:11:37,302 12億リットルの容量が必要になります 249 00:11:37,302 --> 00:11:41,328 それには518ヘクタールの OMEGAモジュールを 250 00:11:41,328 --> 00:11:44,947 サンフランシスコ湾に浮かべることになります 251 00:11:44,947 --> 00:11:46,741 これは湾全体の表面積の 1%以下にあたります 252 00:11:46,741 --> 00:11:48,492 これは湾全体の表面積の 1%以下にあたります 253 00:11:48,492 --> 00:11:52,234 このシステムは1ヘクタールで年間 1.87万リットル生産するので 254 00:11:52,234 --> 00:11:55,230 全体での総量は750万リットル以上になり 255 00:11:55,230 --> 00:11:57,430 サンフランシスコで必要とされる ディーゼルの20%分が生産できます 256 00:11:57,430 --> 00:12:00,438 サンフランシスコで必要とされる ディーゼルの20%分が生産できます 257 00:12:00,438 --> 00:12:03,628 効率性に何も工夫を加えなかったとしてもです 258 00:12:03,628 --> 00:12:06,598 では他の場所ではどうでしょう? 259 00:12:06,598 --> 00:12:09,498 多くの場所が考えられます 260 00:12:09,498 --> 00:12:11,550 もちろんサンフランシスコ湾は可能ですし 261 00:12:11,550 --> 00:12:13,366 他ではサンディエゴ湾 262 00:12:13,366 --> 00:12:16,279 モバイル湾やチェスピーク湾などもいいですね 263 00:12:16,279 --> 00:12:18,371 海面が上るにつれ 264 00:12:18,371 --> 00:12:22,278 新しい候補は増えますね(笑) 265 00:12:22,278 --> 00:12:25,846 大切なのは このシステムは 266 00:12:25,846 --> 00:12:29,478 複数の活動を統合したシステムだということです 267 00:12:29,478 --> 00:12:32,088 バイオ燃料の生産は代替エネルギーと統合され 268 00:12:32,088 --> 00:12:34,890 また それが水産養殖とも 統合されているわけです 269 00:12:34,890 --> 00:12:38,814 私は持続可能なバイオ燃料の 270 00:12:38,814 --> 00:12:44,460 革新的な生産の方法を 探求していたのですが 271 00:12:44,460 --> 00:12:47,708 その過程で サステナビリティ(持続可能性)に必要なのは 272 00:12:47,708 --> 00:12:54,985 イノベーションではなく 統合である事に気が付きました 273 00:12:54,985 --> 00:12:58,415 長い目でものを見るとき 集団としての力や 274 00:12:58,415 --> 00:13:03,560 つながりによる創造性を信じています 275 00:13:03,560 --> 00:13:07,876 もし私たちが基本的にオープンであり 276 00:13:07,876 --> 00:13:10,078 誰に名誉が行くかなどに こだわらなければ 277 00:13:10,078 --> 00:13:13,808 そこには無限の可能性があると思います 278 00:13:13,808 --> 00:13:18,024 将来の問題に対する 持続可能なソリューションは 279 00:13:18,024 --> 00:13:20,424 いろいろな形で 280 00:13:20,424 --> 00:13:22,889 多数存在すると思います 281 00:13:22,889 --> 00:13:25,680 全ての可能性を考えることが必要です 282 00:13:25,680 --> 00:13:28,712 全て つまりアルファからOMEGAまでです 283 00:13:28,712 --> 00:13:31,592 ありがとうございました(拍手) 284 00:13:31,592 --> 00:13:36,942 (拍手) 285 00:13:37,347 --> 00:13:40,559 簡単な質問があります ジョナサン 286 00:13:40,559 --> 00:13:42,767 プロジェクトはNASA内部で続けられるのですか? 287 00:13:42,767 --> 00:13:46,732 それとも野心的なグリーンエネルギーファンドなどが 288 00:13:46,732 --> 00:13:50,808 続けていくには必要なのですか? 289 00:13:50,808 --> 00:13:52,111 NASAではそろそろ独立させ 290 00:13:52,111 --> 00:13:55,125 海上にプロジェクトを広げる段階に 291 00:13:55,125 --> 00:13:57,516 来ていますが 292 00:13:57,516 --> 00:13:59,743 アメリカ国内でやるには 問題がたくさんあります 293 00:13:59,743 --> 00:14:02,237 海上での展開には様々な制限があり 294 00:14:02,237 --> 00:14:03,751 許可収得にも時間がかかります 295 00:14:03,751 --> 00:14:06,549 現段階で 外部の協力が必要です 296 00:14:06,549 --> 00:14:08,853 私たちはこの技術を 297 00:14:08,853 --> 00:14:10,565 誰にでもオープンにしていますので 298 00:14:10,565 --> 00:14:12,841 興味がある方に実現して欲しいとも思ってます 299 00:14:12,841 --> 00:14:14,681 興味がある方に実現して欲しいとも思ってます 300 00:14:14,681 --> 00:14:17,158 面白いですね 特許を得るのではなく 技術を広めたいと 301 00:14:17,158 --> 00:14:18,833 面白いですね 特許を得るのではなく 技術を広めたいと 302 00:14:18,833 --> 00:14:19,596 そのとおりです 303 00:14:19,596 --> 00:14:21,487 分かりました ありがとうございました 304 00:14:21,487 --> 00:14:25,062 こちらこそ(拍手)