WEBVTT 00:00:06.776 --> 00:00:08.337 人類史最大規模の大量虐殺を指揮した 専制君主 アドルフ・ヒトラーは 00:00:08.337 --> 00:00:12.747 人類史最大規模の大量虐殺を指揮した 専制君主 アドルフ・ヒトラーは 00:00:12.747 --> 00:00:16.506 民主主義国において いったいどのように 台頭していったのでしょうか? 00:00:16.506 --> 00:00:19.738 この物語は第一次世界大戦が 終わる頃から始まります 00:00:19.738 --> 00:00:22.798 1918年 連合国の進軍が 成功すると 00:00:22.798 --> 00:00:26.256 ドイツは勝利を 収められないことを悟り 00:00:26.256 --> 00:00:29.566 休戦協定に署名し 戦いは終焉を迎えます 00:00:29.566 --> 00:00:31.698 ドイツ帝政が崩壊すると 00:00:31.698 --> 00:00:36.006 市民の不安と労働者のストライキは 全国に広がっていきました 00:00:36.006 --> 00:00:37.896 共産党員による革命を恐れた 大政党は結集し 00:00:37.896 --> 00:00:41.557 ワイマール共和国の 議会を樹立させ 00:00:41.557 --> 00:00:45.348 反乱を鎮圧しようと試みました 00:00:45.348 --> 00:00:47.477 新政府が取り組んだ 業務のひとつが 00:00:47.477 --> 00:00:51.617 連合国から要求された 平和条約の履行でした 00:00:51.617 --> 00:00:56.298 領地の10分の1以上を失い 軍隊の非武装を行った上 00:00:56.298 --> 00:01:02.258 ドイツは戦争責任を 全面的に認めて 00:01:02.258 --> 00:01:06.017 賠償金を支払うことで 弱体化した経済はさらに衰えました 00:01:06.017 --> 00:01:10.928 この展開は多くの国家主義者や 復員軍人たちにとっては屈辱でした 00:01:10.928 --> 00:01:13.719 もし政治家や反戦論者による 軍隊への裏切りさえなければ 00:01:13.719 --> 00:01:19.167 大戦で勝利を収められたという 誤った認識を信じ込んでいました 00:01:19.167 --> 00:01:25.220 ヒトラーは この見解に固執し 彼の頑迷で偏執的な妄想が 00:01:25.220 --> 00:01:28.180 ユダヤ人に責任を追わせる方向に 走らせてしまったのです 00:01:28.180 --> 00:01:32.500 彼の言動は 反ユダヤ人論者の 共感を集めていきました 00:01:32.500 --> 00:01:35.310 そのころには何十万人という ユダヤ人が 00:01:35.310 --> 00:01:37.947 ドイツ人社会に 溶け込んでいましたが 00:01:37.947 --> 00:01:42.620 ドイツ人の多くは ユダヤ人を よそ者として扱い続けていました 00:01:42.620 --> 00:01:47.582 第一次世界大戦が終結した後 ユダヤ人たちの成功は 00:01:47.582 --> 00:01:51.029 破壊行為や戦争の不当利得として 根拠もなく批難されることになりました 00:01:51.029 --> 00:01:54.399 これらの陰謀説は事実ではなく 00:01:54.399 --> 00:01:56.191 恐れや怒り そして偏った考えから 00:01:56.191 --> 00:01:57.099 生まれたということを 00:01:57.099 --> 00:01:58.351 強調しすぎることは 決してないでしょう 00:01:58.351 --> 00:01:59.960 強調しすぎることは 決してないでしょう 00:01:59.960 --> 00:02:02.527 しかしながら ヒトラーは それによって成功したのです 00:02:02.527 --> 00:02:05.970 国家主義の小さな政党に入党すると 00:02:05.970 --> 00:02:09.839 その巧みな演説が 彼をリーダー格に押上げ 00:02:09.839 --> 00:02:12.880 さらに多くの群衆を 引き寄せていったのです 00:02:12.880 --> 00:02:16.149 ナチスは民衆の怒りに 反ユダヤ主義を重ねて 00:02:16.149 --> 00:02:19.749 共産主義と資本主義の両方とも 00:02:19.749 --> 00:02:24.820 ユダヤ人がドイツを崩壊させるための 国際的陰謀であると非難しました 00:02:24.820 --> 00:02:27.851 当初 ナチス党は 人気がありませんでした 00:02:27.851 --> 00:02:31.340 政府転覆を試み不成功に終わると 00:02:31.340 --> 00:02:33.160 党は活動禁止を言い渡され 00:02:33.160 --> 00:02:35.680 ヒトラーは反逆罪の罪で 投獄されました 00:02:35.680 --> 00:02:37.931 しかし 1年後に釈放されると 00:02:37.931 --> 00:02:41.201 彼は即刻 運動再建に取り掛かりました 00:02:41.201 --> 00:02:45.380 そして 1929年 大恐慌が起きたのです 00:02:45.380 --> 00:02:49.061 米国の銀行は ドイツへの貸付けを 回収する結果となり 00:02:49.061 --> 00:02:54.010 すでに危機的状況の ドイツ経済は一夜で崩壊しました 00:02:54.010 --> 00:02:56.442 ヒトラーは大衆の憤りにつけ込み 00:02:56.442 --> 00:02:58.343 都合の良い不満のはけ口にと 状況を転じては 00:02:58.343 --> 00:03:02.221 古き良きドイツの栄光を蘇らせることを 約束しました 00:03:02.221 --> 00:03:06.042 主流派の政党はその危機を 切り抜けることができず 00:03:06.042 --> 00:03:11.131 反対派の左翼は 内輪もめで結束していませんでした 00:03:11.131 --> 00:03:15.431 苛立つ市民の一部が ナチス党に群れをなして集まり 00:03:15.431 --> 00:03:22.652 たった2年で 彼らの議会票は3%以下から 18%以上に跳ね上がりました 00:03:22.652 --> 00:03:25.485 1932年 ヒトラーは大統領に 立候補しましたが 00:03:25.485 --> 00:03:30.273 勲章に輝く戦争英雄 ヒンデンブルク元帥に勝ちを譲りました 00:03:30.273 --> 00:03:35.855 しかし36%の支持票は ヒトラー支持者の威力を誇示するに充分でした 00:03:35.855 --> 00:03:38.856 翌年 顧問や実業家達は 00:03:38.856 --> 00:03:42.882 ヒトラーを首相に任命するように ヒンデンブルクを説得し 00:03:42.882 --> 00:03:46.783 ヒトラーの人気を活用することで ゴール達成を目指しました 00:03:46.783 --> 00:03:50.132 首相とは名ばかりの 議会の事務長官でしたが 00:03:50.132 --> 00:03:54.082 ヒトラーは着実に その権限を拡大していきました 00:03:54.082 --> 00:03:56.932 彼の支持者たちは民兵組織を結成し 00:03:56.932 --> 00:03:59.323 街頭で抗議者に対抗しました 00:03:59.323 --> 00:04:02.943 ヒトラーは共産党員による 反乱への恐怖を煽り 00:04:02.943 --> 00:04:06.873 法と秩序を復活できるのは 自分だけだと主張しました 00:04:06.873 --> 00:04:08.824 そして 1933年 00:04:08.824 --> 00:04:13.843 若き労働者が国会議事堂に 放火した件で有罪判決を受けると 00:04:13.843 --> 00:04:16.663 ヒトラーはその事件を理由に 政府を説得し 00:04:16.663 --> 00:04:19.383 緊急時の権力を手に入れました 00:04:19.383 --> 00:04:23.384 数ヶ月のうちに 出版の自由は否定され 00:04:23.384 --> 00:04:25.245 他の政党は解散され 00:04:25.245 --> 00:04:28.775 反ユダヤを打ち出す 法がいくつも可決されました 00:04:28.775 --> 00:04:32.134 ヒトラーの初期の 過激な支持者たちの多くは 00:04:32.144 --> 00:04:35.483 ライバルとなる可能性のある 他の人材とともに逮捕の後 死刑となり 00:04:35.483 --> 00:04:38.975 そしてヒンデンブルク大統領が 1934年8月に逝去すると 00:04:38.975 --> 00:04:42.304 選挙が行われないことは明白でした 00:04:42.304 --> 00:04:47.564 ヒトラーの初期の政策には 大規模な抑圧は不要だったことが 不気味です 00:04:47.564 --> 00:04:50.613 彼のスピーチが人々の 恐怖心や怒りを扇動し 00:04:50.613 --> 00:04:54.574 彼とナチス党支持を 確実なものにしていったのでした 00:04:54.574 --> 00:04:57.104 また 実業家や知識人たちは 00:04:57.104 --> 00:04:59.745 世論に抗うことなく ヒトラーを支持しました 00:04:59.745 --> 00:05:01.394 世論に抗うことなく ヒトラーを支持しました 00:05:01.394 --> 00:05:03.244 彼らは自分にも 互いにも 00:05:03.244 --> 00:05:06.294 過激な弁舌が単なる芝居なのだと 言い聞かせ合っていたのでした 00:05:06.294 --> 00:05:09.976 数十年後の現在も ヒトラー台頭の経緯は 00:05:09.976 --> 00:05:15.096 憤った大衆と 彼らの怒りを募らせ 恐怖心を利用する指導者の下では 00:05:15.096 --> 00:05:20.367 民主主義の仕組みがいかに脆いものであるか という警告を発し続けています