0:00:07.595,0:00:10.575
それは咳やヒューヒューという

0:00:10.575,0:00:12.051
呼吸で始まります

0:00:12.051,0:00:14.374
すぐに胸が苦しくなります

0:00:14.374,0:00:17.216
呼吸は早くなり[br]どんどん浅くなり

0:00:17.216,0:00:19.594
息切れを感じます

0:00:19.594,0:00:23.385
これらは喘息発作の[br]一般的な症状です

0:00:23.385,0:00:27.746
世界中で３億の人々が喘息に苦しみ

0:00:27.746,0:00:32.423
毎年25万人が命を落としています

0:00:32.423,0:00:37.627
ではなぜ喘息が発症し[br]どの様に命を奪うのでしょうか

0:00:37.627,0:00:39.904
喘息では呼吸器系―

0:00:39.904,0:00:42.378
特に気管支や細気管支などの

0:00:42.378,0:00:45.415
末梢気道に病変を生じます

0:00:45.415,0:00:48.816
気道の内側には粘膜があり

0:00:48.816,0:00:52.436
周りが平滑筋の層で囲まれています

0:00:52.436,0:00:56.366
喘息患者では[br]気道は慢性的に炎症をおこし

0:00:56.366,0:01:00.097
何らかの因子に対して[br]過敏に反応します

0:01:00.097,0:01:03.297
喘息発作を起こす因子は主に[br]たばこの煙

0:01:03.297,0:01:04.425
花粉

0:01:04.425,0:01:05.212
ほこり

0:01:05.212,0:01:06.137
香水

0:01:06.137,0:01:07.066
運動

0:01:07.066,0:01:08.096
寒気

0:01:08.096,0:01:09.698
ストレス

0:01:09.698,0:01:11.476
あるいは風邪などです

0:01:11.476,0:01:14.917
喘息患者がそのような因子に[br]さらされると

0:01:14.917,0:01:19.537
喘息発作が誘発されたり[br]発作が悪化します

0:01:19.537,0:01:24.608
どの様に これらの日常で遭遇する因子が[br]喘息発作を誘発するのでしょうか？

0:01:24.608,0:01:26.997
喘息患者が因子にさらされると

0:01:26.997,0:01:30.967
肺の末梢気道を取り囲む[br]平滑筋が収縮し

0:01:30.967,0:01:33.748
気道が狭くなります

0:01:33.748,0:01:36.928
同時にその因子は炎症を悪化させ

0:01:36.928,0:01:40.047
粘膜は腫脹し

0:01:40.047,0:01:42.697
粘液の分泌が増えます

0:01:42.697,0:01:44.188
通常の症状であれば

0:01:44.188,0:01:49.498
花粉やほこりのような物質を[br]粘液が捕獲し除去しますが

0:01:49.498,0:01:51.233
喘息発作の状態では

0:01:51.233,0:01:57.528
粘液が狭まった気道を閉塞し[br]さらに呼吸を困難にします

0:01:57.528,0:02:00.639
この作用が喘息の症状をもたらします

0:02:00.639,0:02:04.969
平滑筋の狭窄は[br]胸の圧迫感をもたらし

0:02:04.969,0:02:08.639
過剰な粘液と炎症の進行が[br]咳を引き起こします

0:02:08.639,0:02:10.050
ではヒューヒューという音は？

0:02:10.050,0:02:12.579
気道が狭窄されると

0:02:12.579,0:02:18.469
狭い気道を空気が通る際に[br]笛のような音を発するのです

0:02:18.469,0:02:22.189
これらの症状が患者を[br]窒息するように感じさせます

0:02:22.189,0:02:25.277
直観的ではありませんが[br]喘息の発作時には

0:02:25.277,0:02:29.459
炎症は吸息より呼息を困難にします

0:02:29.459,0:02:33.589
これが続くと[br]肺の空気含量が過剰になり

0:02:33.589,0:02:36.339
肺の過膨張と呼ばれる状態になります

0:02:36.339,0:02:40.531
肺の中に空気が閉じ込められると[br]空気の入れ替えに

0:02:40.531,0:02:43.283
大きな努力を必要とします

0:02:43.283,0:02:49.353
さらにこれが持続すると 体内の臓器や組織に[br]運ばれる酸素量が減少します

0:02:49.353,0:02:52.670
重度の喘息発作を手当てしないと

0:02:52.670,0:02:54.529
体は維持できなくなり

0:02:54.529,0:02:58.099
酸素不足による死に至ります

0:02:58.099,0:03:01.880
ではどうしたら喘息患者はそのような[br]不快で致命的となり得る発作を

0:03:01.880,0:03:04.029
防げるのでしょうか

0:03:04.029,0:03:07.388
１つは誘因を低減させることです

0:03:07.388,0:03:10.353
不幸なことに この世界は予測不能で

0:03:10.353,0:03:13.893
誘因との接触を完全には制御できません

0:03:13.893,0:03:18.717
このため喘息の１次処置に[br]吸入器が使われます

0:03:18.717,0:03:23.690
この処置は喘息患者に対し[br]症状の制御と予防の両面に効果があります

0:03:23.690,0:03:27.419
吸入器は霧状の液体[br]または微細な粉末状の薬剤を

0:03:27.419,0:03:33.071
喘息状態の気道を通して投与し[br]原因箇所に作用させます

0:03:33.071,0:03:35.018
この処置に２つの種類があります

0:03:35.018,0:03:36.754
発作治療薬は

0:03:36.754,0:03:40.802
ベータ受容体作動薬を含んでおり[br]速やかに症状を軽減させます

0:03:40.802,0:03:43.911
ベータ受容体作動薬は[br]収縮した平滑筋を弛緩させ

0:03:43.911,0:03:50.132
気道を広げることで[br]呼気と吸気の量を増やします

0:03:50.132,0:03:53.609
もう１つの吸入器の用法は

0:03:53.609,0:03:56.363
コルチコステロイドを含有する長期制御薬の

0:03:56.363,0:03:58.572
喘息に対する予防的用法です

0:03:58.572,0:04:02.943
コルチコステロイドは[br]気道の過敏を押さえ 炎症を鎮めるので

0:04:02.943,0:04:05.763
喘息の症状を制御できるのです

0:04:05.763,0:04:08.544
気道瘢痕化の原因となる慢性的炎症による

0:04:08.544,0:04:10.090
長期的な損傷を

0:04:10.090,0:04:12.272
予防することに有効です

0:04:12.272,0:04:15.044
吸入器は非常に有効であると知られており

0:04:15.044,0:04:17.873
多くの患者が快適な生活を[br]送れるようになりました

0:04:17.873,0:04:20.581
喘息の治療と診断の向上には

0:04:20.581,0:04:22.563
長い時間がかかりましたが

0:04:22.563,0:04:24.770
未だ正確な原因を突きとめていません

0:04:24.770,0:04:29.402
現時点では[br]遺伝因子と環境因子の組み合わせが

0:04:29.402,0:04:30.681
幼少期に関与している

0:04:30.681,0:04:33.715
可能性があると考えられています

0:04:33.715,0:04:37.734
最近の研究では[br]貧困と喘息発症の関係さえ示唆されています

0:04:37.734,0:04:39.465
さらなる汚染物質や環境刺激物から

0:04:39.465,0:04:43.139
医療や治療を受けることの困難さまで

0:04:43.139,0:04:46.975
原因となっているかも知れません

0:04:46.975,0:04:49.135
喘息に対する理解を深めることで

0:04:49.135,0:04:53.973
人々の気道を快適で健康に保つ方法を[br]探し続ける事ができるのです