それは咳やヒューヒューという
呼吸で始まります
すぐに胸が苦しくなります
呼吸は早くなり
どんどん浅くなり
息切れを感じます
これらは喘息発作の
一般的な症状です
世界中で3億の人々が喘息に苦しみ
毎年25万人が命を落としています
ではなぜ喘息が発症し
どの様に命を奪うのでしょうか
喘息では呼吸器系―
特に気管支や細気管支などの
末梢気道に病変を生じます
気道の内側には粘膜があり
周りが平滑筋の層で囲まれています
喘息患者では
気道は慢性的に炎症をおこし
何らかの因子に対して
過敏に反応します
喘息発作を起こす因子は主に
たばこの煙
花粉
ほこり
香水
運動
寒気
ストレス
あるいは風邪などです
喘息患者がそのような因子に
さらされると
喘息発作が誘発されたり
発作が悪化します
どの様に これらの日常で遭遇する因子が
喘息発作を誘発するのでしょうか?
喘息患者が因子にさらされると
肺の末梢気道を取り囲む
平滑筋が収縮し
気道が狭くなります
同時にその因子は炎症を悪化させ
粘膜は腫脹し
粘液の分泌が増えます
通常の症状であれば
花粉やほこりのような物質を
粘液が捕獲し除去しますが
喘息発作の状態では
粘液が狭まった気道を閉塞し
さらに呼吸を困難にします
この作用が喘息の症状をもたらします
平滑筋の狭窄は
胸の圧迫感をもたらし
過剰な粘液と炎症の進行が
咳を引き起こします
ではヒューヒューという音は?
気道が狭窄されると
狭い気道を空気が通る際に
笛のような音を発するのです
これらの症状が患者を
窒息するように感じさせます
直観的ではありませんが
喘息の発作時には
炎症は吸息より呼息を困難にします
これが続くと
肺の空気含量が過剰になり
肺の過膨張と呼ばれる状態になります
肺の中に空気が閉じ込められると
空気の入れ替えに
大きな努力を必要とします
さらにこれが持続すると 体内の臓器や組織に
運ばれる酸素量が減少します
重度の喘息発作を手当てしないと
体は維持できなくなり
酸素不足による死に至ります
ではどうしたら喘息患者はそのような
不快で致命的となり得る発作を
防げるのでしょうか
1つは誘因を低減させることです
不幸なことに この世界は予測不能で
誘因との接触を完全には制御できません
このため喘息の1次処置に
吸入器が使われます
この処置は喘息患者に対し
症状の制御と予防の両面に効果があります
吸入器は霧状の液体
または微細な粉末状の薬剤を
喘息状態の気道を通して投与し
原因箇所に作用させます
この処置に2つの種類があります
発作治療薬は
ベータ受容体作動薬を含んでおり
速やかに症状を軽減させます
ベータ受容体作動薬は
収縮した平滑筋を弛緩させ
気道を広げることで
呼気と吸気の量を増やします
もう1つの吸入器の用法は
コルチコステロイドを含有する長期制御薬の
喘息に対する予防的用法です
コルチコステロイドは
気道の過敏を押さえ 炎症を鎮めるので
喘息の症状を制御できるのです
気道瘢痕化の原因となる慢性的炎症による
長期的な損傷を
予防することに有効です
吸入器は非常に有効であると知られており
多くの患者が快適な生活を
送れるようになりました
喘息の治療と診断の向上には
長い時間がかかりましたが
未だ正確な原因を突きとめていません
現時点では
遺伝因子と環境因子の組み合わせが
幼少期に関与している
可能性があると考えられています
最近の研究では
貧困と喘息発症の関係さえ示唆されています
さらなる汚染物質や環境刺激物から
医療や治療を受けることの困難さまで
原因となっているかも知れません
喘息に対する理解を深めることで
人々の気道を快適で健康に保つ方法を
探し続ける事ができるのです