1 00:00:07,779 --> 00:00:09,898 ホメロスの時代から伝わる 2 00:00:09,898 --> 00:00:14,578 地中海世界の彼方に住む 勇猛な戦闘部族の話は 3 00:00:14,578 --> 00:00:18,669 古代の強大な帝国をも 恐れさせていました 4 00:00:18,669 --> 00:00:22,440 多くの叙事詩人によって その武勇伝が語られています 5 00:00:22,440 --> 00:00:27,729 かのトロイア戦争で戦い その大軍がアテネを襲いました 6 00:00:27,729 --> 00:00:29,330 イアソンとアルゴ号の船員たちは 7 00:00:29,330 --> 00:00:33,178 彼らのいる岸辺を 矢を避けながら 命からがら通り過ぎました 8 00:00:33,178 --> 00:00:37,770 この屈強の戦士たちは 神話に歌われる 名だたる英雄とも対決しています 9 00:00:37,770 --> 00:00:38,921 ヘラクレスに 10 00:00:38,921 --> 00:00:40,141 テセウスに 11 00:00:40,141 --> 00:00:41,321 アキレウス 12 00:00:41,321 --> 00:00:45,841 そして その戦士たちは皆 女性でした 13 00:00:45,841 --> 00:00:51,019 好戦的で その勇気と技において 男に等しいアマゾネスのことは 14 00:00:51,019 --> 00:00:54,111 古代ギリシアでは 誰もが知っていました 15 00:00:54,111 --> 00:00:58,791 アテネのアクロポリスにあるパルテノン神殿には アマゾネスの戦闘の場面の装飾があり 16 00:00:58,791 --> 00:01:03,702 神殿や公共の場には アマゾネスの絵や彫像が飾られていました 17 00:01:03,702 --> 00:01:06,211 女の子はアマゾネスの人形で遊び 18 00:01:06,211 --> 00:01:10,402 またアマゾネスは ギリシアの壺絵で人気の題材でした 19 00:01:10,402 --> 00:01:12,511 ギリシアの芸術や文学の中で 20 00:01:12,511 --> 00:01:15,131 勇敢で望ましい存在として 21 00:01:15,131 --> 00:01:17,445 また危険で恐ろしい 存在として描かれ 22 00:01:17,445 --> 00:01:21,082 ギリシアの英雄の手で 倒される定めにありました 23 00:01:21,082 --> 00:01:24,981 アマゾネスは単なる神話上の 存在に過ぎなかったのでしょうか? 24 00:01:24,981 --> 00:01:26,677 長い間 アマゾネスは 25 00:01:26,677 --> 00:01:30,192 キュクロプスやケンタウロス同様 架空のものと考えられていました 26 00:01:30,192 --> 00:01:33,693 しかし興味深いことに 古代のエジプトや 27 00:01:33,693 --> 00:01:34,574 ペルシア 28 00:01:34,574 --> 00:01:35,397 中東 29 00:01:35,397 --> 00:01:36,463 中央アジア 30 00:01:36,463 --> 00:01:37,422 インド 31 00:01:37,422 --> 00:01:38,682 中国の古い物語にも 32 00:01:38,682 --> 00:01:41,403 アマゾネスのような 女戦士が登場します 33 00:01:41,403 --> 00:01:46,883 そしてアマゾネスについては 神話だけでなく 古代の歴史書にも記述があります 34 00:01:46,883 --> 00:01:52,024 ヘロドトスやプラトンやストラボンといった 著者たちは その存在を疑っていませんでした 35 00:01:52,024 --> 00:01:56,639 それではアマゾネスとして知られる女戦士は 何者だったのでしょう? 36 00:01:56,639 --> 00:02:00,617 古代の歴史家たちはアマゾネスの本拠を スキタイとしていました 37 00:02:00,617 --> 00:02:04,188 黒海から中央アジアの 草原にかけての 38 00:02:04,188 --> 00:02:05,901 広大な領域です 39 00:02:05,901 --> 00:02:09,225 この広い地域に 住んでいたのは遊牧民で 40 00:02:09,225 --> 00:02:11,129 その生活の中心にあったのは 馬と 41 00:02:11,129 --> 00:02:11,928 弓と 42 00:02:11,928 --> 00:02:13,120 戦いでした 43 00:02:13,120 --> 00:02:18,535 その文化が花開いていたのは 紀元前800年頃から約千年の間です 44 00:02:18,535 --> 00:02:22,646 ギリシア人や ペルシア人や 中国人に恐れられたスキタイ人は 45 00:02:22,646 --> 00:02:25,006 文字の記録を 残しませんでしたが 46 00:02:25,006 --> 00:02:30,486 周囲の民族による記述や考古学的記録に 手がかりを見出すことができます 47 00:02:30,486 --> 00:02:33,556 スキタイ人の祖先は 馬に乗った最初の民族であり 48 00:02:33,556 --> 00:02:36,030 反曲した弓を発明しました 49 00:02:36,030 --> 00:02:41,737 また 騎乗の射手であれば 女でも男と同じように速く強力になれるので 50 00:02:41,737 --> 00:02:44,845 すべての子供が 乗馬と弓の訓練を受け 51 00:02:44,845 --> 00:02:49,208 女たちも 男と同じ武器を持って 共に戦いました 52 00:02:49,208 --> 00:02:52,347 厳しい自然条件と 遊牧生活が 53 00:02:52,347 --> 00:02:55,127 独自の形の平等を 生み出したのです 54 00:02:55,127 --> 00:03:00,897 女性はもっぱら屋内で暮らしていた ギリシア人にとって これは驚きでした 55 00:03:00,897 --> 00:03:03,888 スキタイ人やアマゾネスについての 初期の記述は 56 00:03:03,888 --> 00:03:06,619 誇張された噂だった かもしれませんが 57 00:03:06,619 --> 00:03:10,939 ギリシア人が黒海周辺や さらに東の地域と交易をするようになって 58 00:03:10,939 --> 00:03:13,716 その記述はより現実に 近いものになりました 59 00:03:13,716 --> 00:03:18,129 初期にはギリシアの武器と鎧を 纏った姿で描かれていましたが 60 00:03:18,129 --> 00:03:19,648 後になると 61 00:03:19,648 --> 00:03:22,220 弓と戦斧を持ち 62 00:03:22,220 --> 00:03:23,457 馬に乗り 63 00:03:23,457 --> 00:03:26,201 とんがり帽子と 文様の入ったズボンという 64 00:03:26,201 --> 00:03:29,378 草原の遊牧民に 特徴的な姿になりました 65 00:03:29,378 --> 00:03:33,552 スキタイ人と ギリシア神話の アマゾネスの関連がどれほど強いのか 66 00:03:33,552 --> 00:03:36,170 最近まで よく分かって いませんでしたが 67 00:03:36,170 --> 00:03:40,741 考古学的な発見によって たくさんの証拠が出て来ました 68 00:03:40,741 --> 00:03:46,324 千以上の古代スキタイの 墳丘墓が発掘され 69 00:03:46,324 --> 00:03:48,977 骨や武器が見つかっています 70 00:03:48,977 --> 00:03:51,065 これまで考古学者たちは 71 00:03:51,065 --> 00:03:54,554 武器は男の戦士に 属するものと見なしていましたが 72 00:03:54,554 --> 00:03:56,781 DNAの分析によって 73 00:03:56,781 --> 00:04:00,605 武器と共に埋葬されていた 300の遺骨が 74 00:04:00,605 --> 00:04:04,402 10〜45歳の女性のもの だったことがわかり 75 00:04:04,402 --> 00:04:07,166 毎年さらに 見つかっています 76 00:04:07,166 --> 00:04:09,773 戦いの傷は 女性の遺骨にも見られます 77 00:04:09,773 --> 00:04:11,762 剣で切られた肋骨や 78 00:04:11,762 --> 00:04:14,211 戦斧で砕かれた頭蓋 79 00:04:14,211 --> 00:04:17,323 骨の間に刺さった矢 80 00:04:17,323 --> 00:04:19,624 古代の絵画や文章で 81 00:04:19,624 --> 00:04:24,654 恐るべきアマゾネスは常に 勇猛果敢な存在として描かれていました 82 00:04:24,654 --> 00:04:27,295 男が支配的だった 古代ギリシアでは 83 00:04:27,295 --> 00:04:34,162 自由と戦うことに誇りを抱く強い女性という考えは 複雑な感情を引き起こしました 84 00:04:34,162 --> 00:04:38,194 しかしギリシア人はまた 平等主義的理想にも引かれていました 85 00:04:38,194 --> 00:04:41,317 スリルに満ちた アマゾネスの神話の世界は 86 00:04:41,317 --> 00:04:46,644 女と男を対等な仲間として想像するための 方法だったのかもしれません