0:00:01.082,0:00:03.449 今日は皆さんに 0:00:03.769,0:00:06.436 嘘つきと 訴訟と 0:00:06.606,0:00:08.336 笑いの話をします 0:00:08.910,0:00:12.004 ホロコースト否定説について[br]初めて聞いた時は 0:00:12.004,0:00:13.476 笑ってしまいました 0:00:13.970,0:00:15.882 ホロコーストの「否定」ですって? 0:00:16.187,0:00:19.601 大量虐殺事件の中でも[br]世界一 記録が充実していて 0:00:19.601,0:00:24.136 悪名高き[br]あのホロコーストを? 0:00:24.846,0:00:27.172 否定して[br]一体誰が信じるのでしょう? 0:00:28.066,0:00:29.649 考えてみてください 0:00:30.243,0:00:32.522 もしも否定者らが正しいなら 0:00:32.522,0:00:34.992 誤証言していることになるのは[br]誰でしょうか? 0:00:35.011,0:00:37.827 まず犠牲者が挙げられます 0:00:37.827,0:00:43.128 自らの悲痛な体験を証言した[br]生存者たちです 0:00:43.721,0:00:46.029 他には誰がいるでしょう? 0:00:46.029,0:00:48.006 目撃者です 0:00:48.006,0:00:52.204 東部戦線の数多ある[br]街や村や都市の住民が 0:00:52.224,0:00:54.010 目の当たりにしたのは 0:00:54.014,0:00:55.490 隣近所に住む人々が 0:00:55.510,0:00:59.697 老若男女問わず一斉に検挙され 0:00:59.697,0:01:02.451 街の外れまで連行された揚げ句 0:01:02.451,0:01:05.483 銃殺され 野ざらしにされる姿でした 0:01:05.985,0:01:07.328 そしてポーランド人もです 0:01:07.348,0:01:11.899 絶滅収容所近郊の[br]町や村に住んでいた彼らが 0:01:12.034,0:01:14.354 毎日のように目にしたのは 0:01:14.354,0:01:17.180 大勢の人を詰め込んだ列車が[br]収容所へと向かい 0:01:17.191,0:01:19.281 空っぽになって戻る光景でした 0:01:19.793,0:01:23.500 しかし 何よりも重大な[br]誤証言は 誰のものになるでしょう? 0:01:24.005,0:01:25.360 加害者たちです 0:01:26.112,0:01:27.979 こう証言する人々です 0:01:27.979,0:01:30.997 「我々がやった」[br]「私がやった」 0:01:30.997,0:01:33.210 こんな 一言が続くかもしれません 0:01:33.210,0:01:37.780 「やむを得なかった[br]強要されたんだ」 0:01:38.032,0:01:40.773 それでも やはり[br]「私がやった」とは言うのです 0:01:41.938,0:01:43.483 考えてみてください 0:01:43.483,0:01:49.446 第二次世界大戦終結以降の[br]戦争犯罪裁判において 0:01:49.446,0:01:56.112 「そんな事実はない」と言う[br]戦争犯罪者は どの国にもいません 0:01:57.078,0:02:01.154 「やらされた」とは言っても[br]「なかった」とは言いません 0:02:01.654,0:02:03.932 その時は じっくり考えた結果 0:02:04.272,0:02:07.003 この件は放っておくことにしました 0:02:07.043,0:02:10.849 私には研究や 論文や 心配事など[br]もっと大事なことがあるし と 0:02:10.849,0:02:12.373 気持ちを切り替えました 0:02:12.911,0:02:15.724 それから10年と少し経った頃 0:02:15.724,0:02:17.550 2人の偉い学者から― 0:02:17.550,0:02:20.732 ホロコースト研究で最も著名な[br]歴史学者である2人ですが― 0:02:20.732,0:02:21.903 声をかけられました 0:02:21.903,0:02:23.826 「一緒にコーヒーでもどうだい? 0:02:23.826,0:02:27.239 君にぴったりな[br]研究課題があるんだが」 0:02:27.457,0:02:31.284 私を見込んで わざわざ[br]課題を持ってきてくれたことに 0:02:31.284,0:02:32.875 好奇心と自尊心をくすぐられ 0:02:32.875,0:02:35.171 「どんな内容ですか?」と尋ねました 0:02:35.665,0:02:38.684 「ホロコースト否定説だよ」 0:02:39.353,0:02:41.848 笑ったのは これが2度目でした 0:02:42.336,0:02:44.244 ホロコースト否定説? 0:02:44.244,0:02:46.254 地球平面説の類? 0:02:46.254,0:02:48.425 プレスリー生存説みたいな? 0:02:48.501,0:02:50.876 そんなこと言っている人たちを調べろと? 0:02:51.256,0:02:52.633 すると こう言われました 0:02:52.647,0:02:54.980 「そうとも 興味があるんだ 0:02:54.992,0:02:56.638 一体 何者なのか? 0:02:56.638,0:02:58.342 何が目的なのか? 0:02:58.342,0:03:02.036 どうやって人々を[br]納得させているのか?」 0:03:02.756,0:03:06.248 そこでこう思いました[br]教授たちが調べる価値があると考えるなら 0:03:06.248,0:03:09.706 ちょっとの間[br]気晴らしにやってみよう 0:03:09.706,0:03:12.588 1年か2年 長くてせいぜい4年 0:03:12.588,0:03:15.027 学術界では[br]数年は「ちょっとの間」ですから 0:03:15.027,0:03:16.079 (笑) 0:03:16.093,0:03:18.464 学者は仕事がとっても遅いのです 0:03:18.464,0:03:20.086 (笑) 0:03:20.100,0:03:21.912 よし 調べてみよう と思い 0:03:21.916,0:03:23.005 研究を始めました 0:03:23.005,0:03:25.998 その結果[br]いくつかの結論を導き出しました 0:03:25.998,0:03:28.565 その中の2つを[br]皆さんにお話しします 0:03:28.565,0:03:29.892 1つは 0:03:29.892,0:03:34.909 否定者は「羊の皮を被った狼」である[br]ということです 0:03:35.712,0:03:38.661 本質はナチスやネオナチと同類です 0:03:38.661,0:03:41.928 「ネオ」を付けるかどうかは[br]お任せします 0:03:42.786,0:03:45.113 ただ 見た限りでは 0:03:45.113,0:03:49.853 ナチス親衛隊のような制服を[br]着ているわけでも 0:03:49.853,0:03:53.028 壁に「かぎ十字」があるわけでもなく 0:03:53.028,0:03:55.125 ナチス式敬礼「ジークハイル」を 0:03:55.129,0:03:56.768 やる人もいませんでした 0:03:56.768,0:03:58.499 代わりに出てきたのは 0:03:59.581,0:04:04.289 いかにも立派な学者さながらに[br]振る舞う人々でした 0:04:04.735,0:04:06.217 彼らには何があったかというと 0:04:06.217,0:04:07.943 研究所を作っていました 0:04:07.943,0:04:11.886 その名も「歴史見直し研究所」 0:04:12.352,0:04:14.930 一見 それらしい[br]機関誌も出していました 0:04:14.930,0:04:17.924 『ジャーナル・オブ・[br]ヒストリカルレビュー』 0:04:18.398,0:04:21.078 脚注のびっしり入った論文が 0:04:21.078,0:04:23.292 詰まった機関誌です 0:04:23.923,0:04:26.433 新たな呼び名までありました 0:04:26.433,0:04:28.642 「ネオナチ」ではなく 0:04:28.642,0:04:31.212 「反ユダヤ主義者」でもありません 0:04:31.212,0:04:33.004 「修正主義者」です 0:04:33.004,0:04:35.280 口上はこうです[br]「我々は修正主義者である 0:04:35.280,0:04:37.907 我々の目的は1つ 0:04:37.907,0:04:41.557 誤った歴史認識を修正することだ」 0:04:42.239,0:04:47.779 しかし うわべをはぎとり[br]少し内側を覗くと 本性が見えます 0:04:47.783,0:04:49.710 何が見えたと思います? 0:04:49.714,0:04:52.224 当時と変わらぬヒトラー賛美に 0:04:52.228,0:04:54.117 第三帝国や反ユダヤ主義 0:04:54.117,0:04:57.056 人種主義や偏見への賞賛でした 0:04:57.909,0:04:59.914 関心を惹かれたのはそこでした 0:04:59.914,0:05:07.371 反ユダヤ主義 人種主義 偏見が[br]いかにも理性的な説の姿を装っていたのです 0:05:08.730,0:05:10.311 もう1つ発見したことがあります 0:05:10.311,0:05:13.600 私たちはよく 物事には事実と見解がある[br]という考え方を教えられます 0:05:13.621,0:05:15.500 しかし 否定者たちを研究してから 0:05:15.500,0:05:17.030 考え方が変わりました 0:05:17.438,0:05:19.080 「事実」があって 0:05:19.080,0:05:20.778 「見解」があり 0:05:20.778,0:05:22.910 そして「嘘」があるのです 0:05:22.988,0:05:27.281 否定者たちのもくろみはこうです[br]まず 自分たちの嘘を 0:05:28.436,0:05:30.191 「見解」として装います 0:05:30.191,0:05:32.185 例えば「斬新な見解」や 0:05:32.185,0:05:34.938 「型破りな見解」といった調子です 0:05:34.938,0:05:36.762 しかしその後[br]これは「見解」だから 0:05:36.762,0:05:38.532 議論すべきだと言ってきます 0:05:38.532,0:05:41.925 その後 否定者たちは[br]事実を歪めます 0:05:43.305,0:05:44.942 私は研究内容を 0:05:44.942,0:05:46.066 本にして出版しました 0:05:46.080,0:05:49.476 『ホロコーストの真実 ―[br]大量虐殺否定者たちの嘘ともくろみ』 0:05:49.476,0:05:51.056 この本は世界各国で出版されました 0:05:51.056,0:05:53.720 ここイギリスでは[br]ペンギンブックスから出ました 0:05:53.770,0:05:57.400 出版社とのやりとりも済んで[br]次に移ろうとしていた時です 0:05:58.163,0:06:01.871 ペンギンブックスから[br]手紙が届きました 0:06:02.434,0:06:05.832 笑ってしまいました[br]これで3度目でした 0:06:07.088,0:06:08.708 笑いごとではなかったのですが 0:06:08.972,0:06:10.696 封筒を開けると 0:06:10.696,0:06:16.608 デイヴィッド・アーヴィングが[br]ホロコースト否定者と呼ばれたことに対し 0:06:16.608,0:06:18.209 イギリスの法廷で 0:06:18.209,0:06:21.445 私を名誉毀損で訴えようとしている[br]という知らせでした 0:06:21.953,0:06:24.281 私を訴えると言う[br]デイヴィッド・アーヴィングとは 0:06:24.281,0:06:25.089 何者でしょうか? 0:06:25.089,0:06:27.730 デイヴィッド・アーヴィングは[br]歴史著述家です 0:06:27.730,0:06:29.883 著書のほとんどは[br]第二次世界大戦についてです 0:06:29.883,0:06:33.110 著書のほぼ全てにおいて[br]展開している主張が 0:06:33.110,0:06:36.602 ナチスは実はそんなに悪ではなく 0:06:36.602,0:06:39.740 連合国は実はそんなに善ではなかった[br]というものです 0:06:39.740,0:06:41.629 ユダヤ人に何が起きたにしても 0:06:41.629,0:06:43.786 まあ自業自得だったのだという主張です 0:06:44.146,0:06:45.697 証拠資料があることも承知で 0:06:45.701,0:06:47.128 事実を知りながらも 0:06:47.128,0:06:50.836 どうにか歪めて[br]こういった結論を出していたのです 0:06:50.836,0:06:53.528 昔から否定者だった訳では[br]ありません 0:06:53.552,0:06:55.293 しかし80年代後半に 0:06:55.317,0:06:57.854 否定説を 非常に精力的に[br]支持するようになりました 0:06:59.517,0:07:01.526 私が笑ってしまったのは 0:07:01.546,0:07:05.380 この男がホロコーストを[br]否定するだけでなく 0:07:05.384,0:07:07.093 否定説に誇らしげだったからです 0:07:07.093,0:07:08.831 こんなことを言った男です 0:07:09.301,0:07:12.645 「私が戦艦アウシュビッツを沈める」 0:07:13.225,0:07:14.181 さらに 0:07:14.181,0:07:18.671 生存者の腕に掘られた[br]数字のタトゥーを指さして 0:07:19.716,0:07:21.308 「その腕のタトゥーで 0:07:21.312,0:07:24.732 今までにいくら稼いだ?」[br]と言い放った男です 0:07:25.549,0:07:27.291 こんなことも言った男です 0:07:27.461,0:07:31.731 「ケネディ上院議員の[br]チャパキディック事件の犠牲者は 0:07:31.751,0:07:35.085 アウシュビッツの[br]ガス室の犠牲者よりも多い」 0:07:35.175,0:07:38.472 アメリカの事件ですが[br]事実か調べてみてください 0:07:39.406,0:07:42.394 まったく恥も外聞もなく 0:07:42.394,0:07:44.826 ホロスコートを否定していた男です 0:07:45.096,0:07:48.890 さて たくさんの学者仲間に[br]こう忠告されました 0:07:48.890,0:07:50.840 「そんな奴 相手にするな」と 0:07:50.840,0:07:54.452 名誉毀損訴訟は[br]無視できないと説明すると 0:07:54.452,0:07:57.763 「一体誰が彼を信じるというのか」[br]と言われました 0:07:57.763,0:07:59.863 しかし問題がありました 0:07:59.867,0:08:05.059 イギリスの法律では[br]被告つまり私の側に立証責任があるのです 0:08:05.189,0:08:07.925 自分が言ったことが真実だと[br]証明しなくてはなりません 0:08:07.925,0:08:10.712 これとは対照的にアメリカや 0:08:10.712,0:08:12.290 その他多くの国々であれば 0:08:12.290,0:08:15.516 原告側である彼に立証責任があります 0:08:15.921,0:08:17.416 つまり こういうことです 0:08:17.416,0:08:20.756 私が戦わなかったとしたら 0:08:20.756,0:08:23.232 自動的に彼の勝訴になるのです 0:08:23.791,0:08:25.490 そして彼が勝訴した場合 0:08:25.500,0:08:28.205 こんなことを言っても[br]正当な主張になってしまいます 0:08:28.205,0:08:32.923 「デイヴィッド・アーヴィング版[br]ホロコーストは正規の見解である 0:08:33.565,0:08:35.773 デボラ・リップシュタットは[br]私を否定者と呼び 0:08:35.773,0:08:37.574 これには名誉毀損が成立した 0:08:37.574,0:08:41.769 したがって 私デイヴィット・アーヴィングは[br]ホロコースト否定者ではない」 0:08:42.206,0:08:44.138 アーヴィング版とはこんな内容です 0:08:44.431,0:08:47.411 「ユダヤ人虐殺計画は存在しなかった 0:08:47.411,0:08:49.503 ガス室も存在せず 0:08:49.507,0:08:51.407 銃による大虐殺もなかった 0:08:51.407,0:08:54.572 ヒトラーはこの惨劇に[br]一切関連していない 0:08:54.572,0:08:58.407 これらは全て[br]ユダヤ人のでっち上げである 0:08:58.411,0:09:02.503 ドイツ人から金をせしめ[br]ユダヤ人国家を作るのが目的だ 0:09:02.524,0:09:06.091 ユダヤ人は[br]連合国の支援と協力の下 0:09:06.091,0:09:09.450 資料や証拠を ねつ造したのだ」 0:09:10.460,0:09:12.824 これを黙認してしまったら 0:09:12.824,0:09:17.463 生存者や生存者の子供たちに[br]顔向けができないと思いました 0:09:17.792,0:09:19.968 これを黙認してしまったら 0:09:19.968,0:09:24.319 歴史学者として失格だと思いました 0:09:25.187,0:09:26.776 というわけで 戦いました 0:09:26.776,0:09:28.872 映画『Denial』を[br]まだ観ていない人は 0:09:28.872,0:09:30.405 ネタバレ注意ですよ 0:09:30.405,0:09:31.703 私たちが勝ちました 0:09:31.703,0:09:32.982 (笑) 0:09:32.986,0:09:36.483 (拍手) 0:09:39.988,0:09:44.229 判決はこのような内容でした[br]「デイビッド・アーヴィングは 0:09:44.253,0:09:47.578 嘘つきであり 0:09:47.578,0:09:48.855 人種差別主義者であり 0:09:48.855,0:09:50.079 反ユダヤ主義者である 0:09:50.079,0:09:52.427 偏向した歴史観を持ち 0:09:52.427,0:09:54.357 嘘を並べ 真実を歪めた 0:09:54.357,0:09:57.024 そして最も由々しきことに 0:09:57.028,0:09:59.187 これを意図的に行った」 0:09:59.191,0:10:03.234 私たちが示したパターンは25件以上の[br]目立った実例から導き出されました 0:10:03.234,0:10:04.578 些細な誤りではありません 0:10:04.578,0:10:07.467 会場には執筆経験のある方も[br]多いと思いますが 0:10:07.487,0:10:11.177 間違いは つきものです[br]だから再版はありがたいのです 0:10:11.177,0:10:12.463 誤りを修正できますからね 0:10:12.463,0:10:13.567 (笑) 0:10:14.634,0:10:17.770 しかし このケースでは[br]どの例も方向性は同じでした 0:10:18.618,0:10:20.829 ユダヤ人を非難し 0:10:20.853,0:10:23.028 ナチスの無実を主張するものです 0:10:23.700,0:10:25.344 では どうやって勝ったというと 0:10:26.196,0:10:31.576 アーヴィングの脚注を辿り[br]情報源を突き止めたのです 0:10:32.190,0:10:33.973 こうして判明したのは何かというと 0:10:33.981,0:10:35.500 大多数の事例でも 0:10:35.500,0:10:37.442 圧倒的多数の事例でもなく 0:10:37.442,0:10:41.737 何らかの形でホロコーストに[br]触れていた全ての事例において 0:10:41.737,0:10:46.053 証拠であるとされたものは[br]歪められており 0:10:46.053,0:10:47.513 部分的な真実であり 0:10:47.517,0:10:48.855 日付は書き換えられ 0:10:48.855,0:10:51.066 順序は並べ替えられ 0:10:51.066,0:10:53.244 議事録には[br]出席してもいない人物が加えられ 0:10:53.244,0:10:55.999 つまり 証拠など存在しなかった[br]ということです 0:10:55.999,0:10:58.112 出された証拠では[br]証明にならなかったのです 0:10:58.112,0:11:00.985 私たちは「何が起きたか」ではなく 0:11:01.588,0:11:04.091 アーヴィングが[br]事実であると主張した内容も 0:11:04.091,0:11:07.005 ついでに 全ての否定者の主張も—[br]アーヴィングが彼らを引用するか 0:11:07.005,0:11:09.506 逆に引用されるかのどちらかですから— 0:11:09.510,0:11:10.760 誤りだと証明しました 0:11:10.780,0:11:11.963 彼らの主張を 0:11:11.963,0:11:14.915 立証する証拠がなかったのです 0:11:16.609,0:11:21.317 さて 私の話は単なる物語に[br]とどまりません 0:11:21.317,0:11:25.178 奇特な 6年にもわたる[br]長く困難な訴訟の物語— 0:11:25.178,0:11:30.171 アメリカ人の大学教授が[br]法廷闘争に引きずり込まれ 0:11:30.171,0:11:33.259 相手には「ネオナチの論客」[br]という判決が下る— 0:11:33.259,0:11:35.523 そんな物語では終わりません 0:11:35.553,0:11:37.806 どんなメッセージがあるのか? 0:11:37.806,0:11:40.843 真実とは何かという[br]話においては 0:11:40.843,0:11:43.243 実に重要なメッセージが[br]込められています 0:11:43.243,0:11:45.042 なぜなら 現代では 0:11:45.042,0:11:46.752 皆さんご存知のように 0:11:46.752,0:11:50.958 真実や事実は 言わば[br]「攻撃」を受けているからです 0:11:51.702,0:11:54.954 ソーシャルメディアが[br]様々な恩恵をもたらしながらも 0:11:54.958,0:11:57.533 同時に 招いてしまった事態があります 0:11:57.563,0:12:02.314 「事実」それも客観的な[br]既成事実と「嘘」との違いがなくなり 0:12:02.314,0:12:04.302 同列になってしまったのです 0:12:05.022,0:12:06.500 そして3つ目が 0:12:06.504,0:12:08.085 過激主義です 0:12:08.754,0:12:12.558 KKKの白装束という形や 0:12:12.558,0:12:14.697 十字架を燃やす儀式としては表れず 0:12:14.727,0:12:18.592 あからさまに白人至上主義者的な[br]言葉さえ聞かないかもしれません 0:12:18.986,0:12:23.932 「オルタナ右翼」や「国民戦線」[br]のように呼び名は様々ですが 0:12:23.936,0:12:30.775 しかし根底は いかにも理性的な説を装う[br]ホロコースト否定説に見られた— 0:12:30.795,0:12:33.185 同じ過激思想なのです 0:12:35.056,0:12:39.810 今の時代 言ってみれば[br]「真実」は「防御態勢」にあります 0:12:40.355,0:12:42.783 最近『ザ・ニューヨーカー』に載った— 0:12:42.783,0:12:45.397 クイズ番組を題材にした[br]風刺漫画を思い出します 0:12:45.397,0:12:48.363 司会者が出演者の1人に言います 0:12:48.363,0:12:50.982 「はい あなたが正解です 0:12:50.986,0:12:53.499 でも対戦相手の方が[br]大声で叫んだので 0:12:53.503,0:12:55.048 彼のポイントになります」 0:12:56.208,0:12:58.000 私たちには何ができるのか? 0:12:58.485,0:12:59.984 まず始めに 0:12:59.984,0:13:05.443 もっともらしい見た目に[br]だまされないこと 0:13:05.453,0:13:07.166 その下の中身に目を向ければ 0:13:07.166,0:13:10.007 過激主義が隠れているのです 0:13:10.991,0:13:12.342 そして次に 0:13:12.971,0:13:19.082 「相対的な真実」など存在しないと[br]理解しなくてはなりません 0:13:21.137,0:13:22.595 3つ目に 0:13:22.595,0:13:26.298 私たちは 「攻め」に回らねばなりません 0:13:26.501,0:13:28.251 「守り」ではいけません 0:13:28.676,0:13:31.357 誰かが[br]荒唐無稽な主張をしてきたら 0:13:31.357,0:13:34.805 相手が その国で[br]一番偉い立場の人だったとしても 0:13:34.805,0:13:36.535 世界一偉い人だったとしても 0:13:36.830,0:13:38.364 言わねばなりません 0:13:38.364,0:13:40.344 「証拠はあるのか? 0:13:40.344,0:13:41.907 根拠は何なのか?」 0:13:42.535,0:13:45.272 言質を問わねばなりません 0:13:45.486,0:13:50.112 彼らの嘘を 事実と同列に[br]扱ってはいけません 0:13:51.395,0:13:54.586 先ほども言いましたが[br]相対的な真実などありません 0:13:54.939,0:13:57.819 私たちの多くが 高等教育を受け 0:13:57.839,0:13:59.610 良識あるリベラルな世界で育ち 0:13:59.634,0:14:02.605 何にでも議論の余地があると[br]教わりました 0:14:03.164,0:14:05.162 しかし それは間違いです 0:14:05.182,0:14:09.122 確実に真実であるという[br]物事は存在し 0:14:09.122,0:14:12.206 紛れもない事実や 0:14:12.206,0:14:13.926 客観的真実もあります 0:14:14.519,0:14:19.016 何世紀も前にガリレオが[br]教えてくれたことです 0:14:19.340,0:14:24.011 地球が太陽の周りを[br]回っているという持説を 0:14:24.011,0:14:26.664 バチカンに無理やり撤回させられた後も 0:14:26.664,0:14:27.786 意見を表明しました 0:14:27.786,0:14:30.120 何と言ったと伝えられていますか? 0:14:30.120,0:14:33.982 「それでも地球は回っている」 0:14:35.342,0:14:38.182 地球は平らではありません 0:14:38.186,0:14:40.496 気候は変動しています 0:14:41.387,0:14:43.685 プレスリーが生きているわけありません 0:14:43.685,0:14:45.264 (笑) 0:14:45.264,0:14:47.554 (拍手) 0:14:47.558,0:14:49.853 最も重要なのは 0:14:49.853,0:14:54.562 真実と事実が「攻撃」されている[br]ということです 0:14:55.289,0:14:56.899 私たちの目の前にある— 0:14:56.899,0:14:58.100 私たちに課された— 0:14:58.100,0:14:59.738 目前に迫る困難は 0:14:59.738,0:15:01.002 重大です 0:15:01.747,0:15:04.494 戦える期間は短いのです 0:15:05.241,0:15:08.184 今 行動しなければなりません 0:15:08.929,0:15:12.158 後からでは もう手遅れなのです 0:15:12.158,0:15:13.660 ありがとうございました 0:15:13.660,0:15:16.600 (拍手)