1 00:00:01,227 --> 00:00:03,275 私はカリフォルニア州にある キャンプ・ペンドルトンの 2 00:00:03,299 --> 00:00:04,570 第1海兵連隊 第1大隊 3 00:00:04,570 --> 00:00:06,819 武器中隊 第81小隊に所属する 海兵隊員でした 4 00:00:06,819 --> 00:00:07,705 行くぞ! 5 00:00:07,705 --> 00:00:08,831 聴衆:行くぞ! 6 00:00:08,855 --> 00:00:09,760 (笑) 7 00:00:09,760 --> 00:00:11,848 9・11テロ事件の数か月後に 入隊しました 8 00:00:11,872 --> 00:00:14,891 あの時 ほとんどの アメリカ国民が感じたように 9 00:00:14,915 --> 00:00:18,200 愛国心と報復の 感情でいっぱいになって 10 00:00:18,224 --> 00:00:19,866 何かしたいと強く望みました 11 00:00:19,890 --> 00:00:22,635 自分は何もできなかったという 事実と相まってのことです 12 00:00:22,659 --> 00:00:25,905 その時 私は17才で 夏に高校を卒業したところで 13 00:00:25,929 --> 00:00:28,525 実家の奥部屋に 家賃を払って住んでいました 14 00:00:28,525 --> 00:00:31,150 そこは私が育った ノースインディアナにある 15 00:00:31,170 --> 00:00:32,426 ミシャワカという小さな町です 16 00:00:32,450 --> 00:00:35,028 興味がおありでしたら 後でつづりを教えましょう 17 00:00:35,052 --> 00:00:35,840 (笑) 18 00:00:35,840 --> 00:00:39,940 ミシャワカには良いものが多くありますが 文化の中心地ではありません 19 00:00:39,964 --> 00:00:41,860 だから 唯一の 演劇や映画との接点は 20 00:00:41,884 --> 00:00:43,760 高校の時 自分が演じた劇と 21 00:00:43,780 --> 00:00:46,265 今は亡きレンタルビデオ屋だけでした 22 00:00:46,289 --> 00:00:47,461 (笑) 23 00:00:47,485 --> 00:00:49,132 私は演技に 真剣に取り組んでいて 24 00:00:49,156 --> 00:00:52,464 高校3年で ジュリアード音楽院の オーデションを受けましたが 25 00:00:52,488 --> 00:00:53,639 不合格でした 26 00:00:53,663 --> 00:00:56,389 大学進学は自分向きではないと考え 他には受験しませんでした 27 00:00:56,413 --> 00:00:57,706 賢明な判断でした 28 00:00:57,730 --> 00:01:01,181 「出たとこ勝負 LA進出」も やってみました 29 00:01:01,205 --> 00:01:02,840 これはよく耳にしたことがある話で 30 00:01:02,864 --> 00:01:05,165 俳優たちが 7ドル程を手にLAに引っ越して 31 00:01:05,188 --> 00:01:07,132 仕事をみつけて 成功するというものです 32 00:01:07,156 --> 00:01:10,512 テキサス州アマリロまで 辿り着いたところで車が故障しました 33 00:01:10,536 --> 00:01:12,263 修理で持ち金を全て使い果たし 34 00:01:12,287 --> 00:01:13,932 やっとサンタモニカに到着 35 00:01:13,956 --> 00:01:15,234 LAにさえ近づけず 36 00:01:15,258 --> 00:01:17,917 48時間滞在して ただビーチを散歩して 37 00:01:17,941 --> 00:01:19,227 車で家に帰りました 38 00:01:19,251 --> 00:01:20,957 こうして私の俳優への道は 幕を閉じました 39 00:01:20,981 --> 00:01:22,259 (笑) 40 00:01:22,283 --> 00:01:24,171 17才、ミシャワカ 41 00:01:24,195 --> 00:01:28,023 実家、家賃 掃除機のセールス 42 00:01:28,047 --> 00:01:29,602 テレマーケティング 43 00:01:29,626 --> 00:01:31,809 地元4-Hクラブの催事会場での芝刈り 44 00:01:31,833 --> 00:01:34,125 これが2001年9月に至るまでの 私の生活でした 45 00:01:34,149 --> 00:01:35,490 だから9・11テロ事件の後 46 00:01:35,490 --> 00:01:37,526 どうしようもない義務感を感じ 47 00:01:37,550 --> 00:01:39,901 全てに ただ腹を立てました それは自分自身 48 00:01:39,925 --> 00:01:41,321 両親、政府に対してでした 49 00:01:41,345 --> 00:01:43,798 自信が持てず 立派な仕事にも就けず 50 00:01:43,822 --> 00:01:46,924 おんぼろミニ冷蔵庫を持って カリフォルニアまで往復しただけ 51 00:01:46,948 --> 00:01:49,921 海兵隊に入隊して良かった 海兵隊員になれて嬉しかった 52 00:01:49,945 --> 00:01:52,137 私の人生で 誇れることの1つです 53 00:01:52,137 --> 00:01:53,897 武器を撃つのは格好いいし 54 00:01:53,897 --> 00:01:56,632 高価な軍用車両の運転や 爆破するのは気持ち良かった 55 00:01:56,656 --> 00:01:58,764 でも 海兵隊で 一番気に入ったのは 56 00:01:58,788 --> 00:02:01,429 入隊した時には 考えてもいなかったもの— 57 00:02:01,453 --> 00:02:02,614 そこにいた人々でした 58 00:02:02,638 --> 00:02:06,218 風変わりな奴ら— アメリカの縮図のような 59 00:02:06,242 --> 00:02:08,624 様々な人格を持った 人々の集まりでした 60 00:02:08,648 --> 00:02:10,979 表面上は 自分と共通点が あったわけではありません 61 00:02:11,002 --> 00:02:12,611 時が経つにつれて 62 00:02:12,635 --> 00:02:14,461 私を軍へと導いた 政治的 個人的な― 63 00:02:14,485 --> 00:02:16,362 虚勢は全て消え失せ 64 00:02:16,386 --> 00:02:19,368 私にとって 海兵隊は 友を意味するようになりました 65 00:02:19,392 --> 00:02:21,680 その後 入隊して数年が経ち 66 00:02:21,704 --> 00:02:23,783 イラクに展開する数か月前に 67 00:02:23,807 --> 00:02:26,672 私はマウンテンバイクの事故で 胸骨を脱臼し 68 00:02:26,696 --> 00:02:28,338 治療のために部隊を離れました 69 00:02:28,362 --> 00:02:31,365 軍にいたことがないと 理解し難いかもしれませんが 70 00:02:31,365 --> 00:02:34,176 イラクやアフガニスタンに 派兵しないと言われたことに 71 00:02:34,176 --> 00:02:35,873 私はひどく打ちのめされました 72 00:02:35,873 --> 00:02:39,114 軍の病院から担架で運び出され そして私の無事を確かめる為 73 00:02:39,138 --> 00:02:42,198 所属部隊の全員が待っていたのを 鮮明に覚えています 74 00:02:42,198 --> 00:02:44,466 突然 私はまた 民間人に戻りました 75 00:02:44,490 --> 00:02:46,695 演技に再挑戦したいという思いに 気づいていました 76 00:02:46,719 --> 00:02:48,553 理由は また私らしいのですが 77 00:02:48,553 --> 00:02:52,266 軍に比べたら一般社会での問題は 何でも些細だと思ったからです 78 00:02:52,290 --> 00:02:55,047 だって 本当に現状に対して 不平を言えますか? 79 00:02:55,071 --> 00:02:56,243 「暑いよ 80 00:02:56,672 --> 00:02:58,904 誰かエアコンを つければいいのに」 81 00:02:58,928 --> 00:03:00,728 「コーヒーを買う行列が 長すぎだ」 82 00:03:01,095 --> 00:03:02,151 私は海兵隊員でした 83 00:03:02,151 --> 00:03:03,482 生きのびる術を知っていました 84 00:03:03,506 --> 00:03:05,478 ニューヨークで 俳優になりたかったのです 85 00:03:05,478 --> 00:03:06,729 もし上手くいかなかったら 86 00:03:06,753 --> 00:03:10,027 セントラルパークに住み着き パン屋の裏でごみ箱を漁っていたでしょう 87 00:03:10,027 --> 00:03:10,762 (笑) 88 00:03:10,786 --> 00:03:13,476 ジュリアード音楽院を再受験して 今度は幸運にも 89 00:03:13,500 --> 00:03:14,651 合格しましたが 90 00:03:14,675 --> 00:03:17,216 驚いたのは 軍人から民間人になることが 91 00:03:17,240 --> 00:03:18,541 とても困難なことでした 92 00:03:18,565 --> 00:03:22,040 私は比較的 健康だったので 心身の傷を抱えて 民間人になることなど 93 00:03:22,064 --> 00:03:23,926 想像すらできません 94 00:03:23,950 --> 00:03:25,541 でもとにかく大変なことでした 95 00:03:25,565 --> 00:03:27,735 理由の1つは自分が 演劇学校にいたことです 96 00:03:27,759 --> 00:03:31,296 正当化できないと思ったのは 発声や話し方の授業に行って 97 00:03:31,757 --> 00:03:34,588 部屋の後ろに向けて 架空の「気」を放つ練習や 98 00:03:34,612 --> 00:03:37,175 演技の授業で 自分自身を産む姿を 練習していることでした 99 00:03:37,199 --> 00:03:38,200 (笑) 100 00:03:38,224 --> 00:03:40,958 だって 海外で 仲間達が 私抜きで兵役に就いていたのですから 101 00:03:40,982 --> 00:03:43,591 さらに 軍で学んだことを 一般人の環境で 102 00:03:43,615 --> 00:03:45,968 応用する方法が 分からなかったことも一因です 103 00:03:45,992 --> 00:03:48,151 それは現実的にも 感情的にもです 104 00:03:48,175 --> 00:03:49,744 現実的には 仕事に就く必要がありました 105 00:03:49,768 --> 00:03:51,500 私は海兵隊の歩兵であり 106 00:03:51,524 --> 00:03:54,080 機関銃や迫撃砲を 撃っていました 107 00:03:54,104 --> 00:03:57,525 一般社会ではこうした技術を 生かせる場所はそんなに多くはありません 108 00:03:57,525 --> 00:03:58,280 (笑) 109 00:03:58,280 --> 00:04:00,722 感情的な面では 意味を見出すことに苦労しました 110 00:04:01,103 --> 00:04:03,064 軍では全てのことに 意味がありました 111 00:04:03,088 --> 00:04:05,255 伝統に根ざしていたり 実用的な目的があったり 112 00:04:05,255 --> 00:04:06,693 全てのことに意味がありました 113 00:04:06,717 --> 00:04:08,070 戦地ではたばこを吸えません 114 00:04:08,094 --> 00:04:10,445 敵に居場所を 知られないようにする為です 115 00:04:10,469 --> 00:04:12,764 顔には触れないのは 自分の健康と衛生状態を 116 00:04:12,788 --> 00:04:14,670 維持する為です 117 00:04:14,694 --> 00:04:16,519 国旗掲揚の時には 顔をこう向けます 118 00:04:16,543 --> 00:04:18,733 自分よりも先に 進撃した仲間に敬意を表すためです 119 00:04:18,757 --> 00:04:20,898 こんな風に歩き 話す事にも 意味があります 120 00:04:20,922 --> 00:04:22,802 軍服は隅々まで整えられています 121 00:04:22,826 --> 00:04:25,273 こうした規律に どのくらい忠実かで 122 00:04:25,273 --> 00:04:26,978 どんな海兵隊員なのか よく分りました 123 00:04:27,002 --> 00:04:29,030 軍での階級は 経歴と自分が得た信望を 124 00:04:29,054 --> 00:04:30,538 表していました 125 00:04:30,562 --> 00:04:32,394 一般社会では階級はありません 126 00:04:32,418 --> 00:04:33,857 ここでは単に1人の人間で 127 00:04:33,881 --> 00:04:37,088 自分の価値を繰り返し 証明しなければならない気がしました 128 00:04:37,112 --> 00:04:40,112 私が軍服を着ていた時に 民間人から受けていた敬意は 129 00:04:40,136 --> 00:04:41,762 退役と共になくなりました 130 00:04:41,786 --> 00:04:43,539 そこには連帯感が 131 00:04:43,563 --> 00:04:44,763 無いように感じました 132 00:04:44,787 --> 00:04:47,453 一方 軍では こうした連帯感を感じていました 133 00:04:47,477 --> 00:04:49,206 一般社会では 134 00:04:49,748 --> 00:04:52,982 親友達と共に生きるか死ぬかの状況に置かれ あなたを見捨てたりしないと 135 00:04:53,006 --> 00:04:56,312 友が絶えず気持ちを示してくれることが どれ程あるでしょうか? 136 00:04:56,336 --> 00:04:58,389 一方 演劇学校では 137 00:04:58,413 --> 00:05:00,871 (笑) 138 00:05:00,895 --> 00:05:02,569 本当に初めて 139 00:05:02,593 --> 00:05:04,878 脚本家、登場人物、芝居の中に 140 00:05:04,902 --> 00:05:06,865 軍とは関係ないけれど 141 00:05:06,889 --> 00:05:09,244 軍の経験を何らかの形で 表現しているものを見つけました 142 00:05:09,268 --> 00:05:11,815 それは以前の私には 表現できないものでした 143 00:05:11,839 --> 00:05:14,230 そして自分が 攻撃的でなくなるのを感じました 144 00:05:14,254 --> 00:05:17,457 初めて感情を 言葉で表せるようになって 145 00:05:17,481 --> 00:05:19,600 それがとても有益な道具だと 分ったからです 146 00:05:19,624 --> 00:05:22,104 軍で過ごした時間を 振り返る時に 147 00:05:22,128 --> 00:05:24,539 真っ先に考えるのは 型通りの訓練や 148 00:05:24,563 --> 00:05:26,015 規律やつらさではありません 149 00:05:26,039 --> 00:05:28,323 それよりも こじんまりとした 親密な人間関係や 150 00:05:28,323 --> 00:05:29,710 楽しかったことを考えます 151 00:05:29,710 --> 00:05:32,259 家族が恋しくて 無断外出する友や 152 00:05:32,283 --> 00:05:33,518 離婚した友 153 00:05:33,542 --> 00:05:35,540 共に悲嘆にくれたこと 祝ったこと 154 00:05:35,564 --> 00:05:37,499 その全てが軍の中にありました 155 00:05:37,523 --> 00:05:39,805 友人がそうした状況と 闘うのを目にし 156 00:05:39,829 --> 00:05:42,860 彼らや私には 不安が募ってくるものの 157 00:05:42,884 --> 00:05:45,470 そういった感情を表せない状況を 経験してきました 158 00:05:46,026 --> 00:05:49,074 軍と演劇界は 実際にはとても似ています 159 00:05:49,098 --> 00:05:51,823 1人ではできない大きな目標を チームとして達成しようとします 160 00:05:51,847 --> 00:05:53,910 個人の問題ではないのです 161 00:05:53,934 --> 00:05:56,902 自分の役割があり チーム内での 役目を理解する必要があります 162 00:05:56,926 --> 00:05:59,085 どのチームにも リーダーや指揮官がいて 163 00:05:59,109 --> 00:06:01,659 彼らは見事に振舞うこともあれば そうでないこともあります 164 00:06:01,683 --> 00:06:04,287 短時間で見知らぬ人と親密に 165 00:06:04,311 --> 00:06:05,596 ならざるを得ません 166 00:06:05,620 --> 00:06:07,667 それは自制心と 自己管理が必要です 167 00:06:08,132 --> 00:06:10,615 私はある空間を作り出せたら 素晴らしいと思いました 168 00:06:10,639 --> 00:06:13,966 そこは 軍と一般市民という 一見異なる2つの集団を結び付け 169 00:06:13,990 --> 00:06:16,225 人々に娯楽を提供し 170 00:06:16,249 --> 00:06:18,344 また 彼らの職業に対する視点から 171 00:06:18,368 --> 00:06:20,812 典型的な強制された お楽しみイベントよりは 172 00:06:20,836 --> 00:06:22,669 もう少し示唆に富んだ空間です 173 00:06:22,693 --> 00:06:25,754 私は軍にいた時に命令を受け 「ボランティア」でイベントに参加したんです 174 00:06:25,778 --> 00:06:26,780 (笑) 175 00:06:26,804 --> 00:06:29,082 善意だけど ちょっと嫌なイベントで 176 00:06:29,106 --> 00:06:32,200 「サンディエゴ・チャージャーズの チアリーダーとデート権獲得」みたいな 177 00:06:32,200 --> 00:06:33,957 ポップカルチャーの クイズに答えて 178 00:06:33,981 --> 00:06:35,874 正解したらデートできる 179 00:06:35,898 --> 00:06:38,244 パレードデッキを 一緒に歩けるんです 180 00:06:38,268 --> 00:06:40,659 既婚で妊娠中の チアリーダーとね 181 00:06:40,683 --> 00:06:41,850 (笑) 182 00:06:41,874 --> 00:06:44,254 チアリーダーに 敵意はありませんよ 好きです 183 00:06:44,278 --> 00:06:47,390 要するに 恩着せがましくない とっつきやすい登場人物を通して 184 00:06:47,414 --> 00:06:50,392 演劇を上演できたら なんて素晴らしいだろうということです 185 00:06:50,392 --> 00:06:53,877 だから非営利団体 「AITAF」 (軍隊のための芸術)を設立しました 186 00:06:53,877 --> 00:06:55,246 そこで試そうとしたことは 187 00:06:55,270 --> 00:06:58,188 一見似ていない この2つの集団を 結び付けようとすることです 188 00:06:58,212 --> 00:07:02,027 アメリカの現代劇の中から 演劇か一人芝居を選んでいます 189 00:07:02,051 --> 00:07:05,725 軍人客と同様に 年齢や人種が多様な劇で 190 00:07:05,749 --> 00:07:08,098 舞台でよく鍛えられた 素晴らしい俳優と 191 00:07:08,122 --> 00:07:09,975 素晴らしい作品で固めて 192 00:07:09,999 --> 00:07:12,219 制作費用をできるだけ抑えて 193 00:07:12,243 --> 00:07:15,279 セットも衣装もライトもなく ただ朗読するものです 194 00:07:15,303 --> 00:07:17,782 ひたすら言葉に重きを置き 195 00:07:17,806 --> 00:07:20,521 舞台劇はどんなセットでも 可能だと見せるのです 196 00:07:20,545 --> 00:07:21,725 それは影響力のあるもので 197 00:07:21,749 --> 00:07:24,635 全く見知らぬ人と 限られた空間にいて 198 00:07:24,659 --> 00:07:27,307 自分達の人間性というものを 思い起こさせます 199 00:07:27,331 --> 00:07:29,728 自己表現は 肩に担いだライフルと同様に 200 00:07:29,752 --> 00:07:31,109 価値ある道具なのです 201 00:07:31,133 --> 00:07:33,138 頭字語を別の頭字語で表すことに 202 00:07:33,162 --> 00:07:36,089 誇りを持つ軍のような組織では 203 00:07:36,113 --> 00:07:37,536 集団体験を話す段になると 204 00:07:37,560 --> 00:07:40,242 どうしたら良いか 分からなくなってしまうのです 205 00:07:40,266 --> 00:07:42,340 新たな自己表現の手段を 身に付けようと思えば 206 00:07:42,360 --> 00:07:44,205 国を守ろうとする集団よりも 207 00:07:44,229 --> 00:07:46,251 優れた人たちを 思い浮かべることができません 208 00:07:46,275 --> 00:07:48,755 私たちは全米各地や 世界中を訪れました 209 00:07:48,779 --> 00:07:51,460 メリーランド州ベセスダの ウォルターリード米軍医療センターから 210 00:07:51,484 --> 00:07:53,930 キャンプ・ペンドルトン クウェートのキャンプ・アリフジャン 211 00:07:53,954 --> 00:07:55,663 ババリア駐留米軍 212 00:07:55,687 --> 00:07:58,227 ニューヨークの 大小のブロードウェイ劇場まで行きました 213 00:07:58,227 --> 00:07:59,823 出演する俳優達が 214 00:07:59,847 --> 00:08:01,515 文化を紹介する担い手となり 215 00:08:01,539 --> 00:08:03,699 彼らは 人々の目に触れる機会を得ました 216 00:08:03,723 --> 00:08:05,742 軍人たちにとっても全く同じです 217 00:08:05,766 --> 00:08:07,753 こうした活動を 過去6年間行ってきましたが 218 00:08:07,777 --> 00:08:10,008 演技には多くの側面があると いつも思い起こされます 219 00:08:10,032 --> 00:08:13,237 演劇は手工業であり 政治活動であり ビジネスであり 220 00:08:13,608 --> 00:08:16,013 あなたにピッタリ当てはまる あらゆるものになるのです 221 00:08:16,037 --> 00:08:17,476 しかしサービス業でもあります 222 00:08:17,500 --> 00:08:19,024 もう少し言うべきことがあります 223 00:08:19,048 --> 00:08:20,680 この最高のサービス業に ― 224 00:08:20,704 --> 00:08:23,981 それは私にとって軍を意味しますが― 私がお役に立てるのならば 225 00:08:24,005 --> 00:08:26,052 それ以上に 素晴らしいことはありません 226 00:08:26,076 --> 00:08:27,404 どうもありがとうございました 227 00:08:27,428 --> 00:08:32,015 (拍手) 228 00:08:32,039 --> 00:08:35,964 我々はマルコ・ラミレスの 作品を上演します 229 00:08:35,988 --> 00:08:37,682 『I am not Batman (俺はバットマンじゃない)』です 230 00:08:37,706 --> 00:08:40,734 素晴らしい俳優で 私の良き友人でもあるジェシー・ペレスが 231 00:08:40,758 --> 00:08:41,897 朗読をします 232 00:08:41,897 --> 00:08:44,911 私が数時間前に会ったばかりの マット・ジョンソンも出演します 233 00:08:44,911 --> 00:08:46,616 彼らは初共演です 234 00:08:46,640 --> 00:08:47,878 とにかく見てみましょう 235 00:08:47,902 --> 00:08:49,821 ジェシー・ぺレスと マット・ジョンソンです 236 00:08:49,845 --> 00:08:52,999 (拍手) 237 00:09:00,669 --> 00:09:02,636 ジェシー・ペレス: 真夜中に 238 00:09:02,660 --> 00:09:04,970 狂ったように空が輝く 放射能を放つ赤色だ 239 00:09:04,994 --> 00:09:07,116 目を細めれば 多分 月が見えるだろう 240 00:09:07,140 --> 00:09:09,890 厚く立ち込めた 煙草の煙と 飛行機の排ガスの向こうだ 241 00:09:09,890 --> 00:09:11,321 それは町全体を覆いつくして 242 00:09:11,345 --> 00:09:13,287 まるで天使を招き入れない 蚊帳のようだ 243 00:09:13,287 --> 00:09:14,411 (ドラムの音) 244 00:09:14,411 --> 00:09:16,101 高く見上げると 245 00:09:16,101 --> 00:09:19,678 87階建てのビルの端に立つ 俺が見えるはず 246 00:09:19,702 --> 00:09:23,129 そこにはガーゴイルと 壊れた時計塔があって 247 00:09:23,153 --> 00:09:26,129 多分 百年ほどの間 止まったままでいる 248 00:09:26,153 --> 00:09:27,664 そこにいるのが俺だ 249 00:09:27,688 --> 00:09:28,718 (ドラムの音) 250 00:09:28,742 --> 00:09:30,326 俺はクソなバットマンだ 251 00:09:30,350 --> 00:09:31,389 (ドラムの音) 252 00:09:31,413 --> 00:09:33,578 バットモービルとバットラング 253 00:09:33,602 --> 00:09:35,997 バットケイブもまあ本物だ 254 00:09:36,021 --> 00:09:37,715 あと必要なのは掃除用具入れか 255 00:09:37,739 --> 00:09:39,683 奥部屋か非常階段だ 256 00:09:39,707 --> 00:09:42,698 ダニーのお古のジーンズは なくなっちまった 257 00:09:42,722 --> 00:09:44,618 ネイビーブルーのポロシャツ 258 00:09:44,642 --> 00:09:47,753 何か俺に良く似合っているけど 尻の辺りに穴が開いてるんだ 259 00:09:47,753 --> 00:09:50,091 アートゥロの裏にある 金網塀に引っ掛けたから 260 00:09:50,091 --> 00:09:52,487 でも大したことじゃない 裾はズボンに入れるからだ 261 00:09:52,487 --> 00:09:53,590 それでまあオーケーだ 262 00:09:53,590 --> 00:09:56,871 そのポロシャツ それもなくなった! 263 00:09:56,871 --> 00:10:00,098 俺はその まあ 変身したんだ 264 00:10:00,122 --> 00:10:01,122 (ドラムの音) 265 00:10:01,434 --> 00:10:04,769 口答えしたって ベルトをはずして バットマンを鞭うつ奴はいない 266 00:10:04,793 --> 00:10:05,810 (ドラムの音) 267 00:10:05,834 --> 00:10:07,254 返事をしなくても 268 00:10:07,278 --> 00:10:09,602 誰もバットマンを地味だとか 269 00:10:09,626 --> 00:10:11,175 馬鹿だとか 270 00:10:11,199 --> 00:10:12,396 痩せっぽち呼ばわりしない 271 00:10:12,784 --> 00:10:16,003 誰もバットマンの兄弟を イースタンタクシーからクビにしない 272 00:10:16,027 --> 00:10:18,059 減給すらしていないからだ 273 00:10:18,083 --> 00:10:19,972 得るのは尊敬だけだ 274 00:10:19,996 --> 00:10:22,131 怖くて尊敬しているような ものではなく 275 00:10:22,155 --> 00:10:24,534 ただ まあ 尊敬からの尊敬だ 276 00:10:24,558 --> 00:10:25,559 (笑) 277 00:10:25,583 --> 00:10:27,090 誰も恐れてなんていないんだ 278 00:10:27,114 --> 00:10:29,248 バットマンは誰も貶めたり 傷つけないから 279 00:10:29,272 --> 00:10:30,273 (ドラムの音) 280 00:10:30,297 --> 00:10:31,851 決して (ドラムの音2回) 281 00:10:31,875 --> 00:10:34,312 バットマンは皆 本当に人助けをしたがっているから 282 00:10:34,336 --> 00:10:36,290 いつかお婆ちゃんの 請求書を払ってくれるかも 283 00:10:36,310 --> 00:10:37,258 そして悔いなく死ぬ 284 00:10:37,282 --> 00:10:39,478 もしかしたら まあ 本当にすごく有名になる 285 00:10:39,502 --> 00:10:40,337 (笑) 286 00:10:40,337 --> 00:10:42,054 あぁ それからジョーカーを倒す 287 00:10:42,054 --> 00:10:43,358 (ドラムの連打) 288 00:10:43,382 --> 00:10:46,080 今夜 いつもの晩のように 俺は独りぼっち 289 00:10:46,080 --> 00:10:48,257 じっと見て 待っている 290 00:10:48,281 --> 00:10:49,463 鷲のように 291 00:10:49,487 --> 00:10:50,657 もしくは 292 00:10:50,681 --> 00:10:52,390 いいや そうだ 鷲のように 293 00:10:52,414 --> 00:10:53,415 (笑) 294 00:10:53,439 --> 00:10:56,257 俺の肩マントは風にはためく とっても長いからだ 295 00:10:56,281 --> 00:10:57,695 尖った耳もつけたし 296 00:10:57,719 --> 00:11:00,549 顔の半分を覆う あのマスクも付けた 297 00:11:00,573 --> 00:11:04,049 まあ防弾具も胸に装着したから 誰も俺を痛めつけられない 298 00:11:04,073 --> 00:11:05,787 誰も 誰も! 299 00:11:05,811 --> 00:11:07,850 バットマンと 300 00:11:07,874 --> 00:11:09,053 正義を引き裂けない 301 00:11:09,077 --> 00:11:10,879 (ドラムの音) (笑) 302 00:11:10,903 --> 00:11:12,411 ここから 303 00:11:12,435 --> 00:11:14,022 全てが聞こえる 304 00:11:14,046 --> 00:11:15,212 (沈黙) 305 00:11:15,236 --> 00:11:16,396 この町のどこかで 306 00:11:16,420 --> 00:11:19,636 老婆がごみ箱から 捨てられていた発砲スチロールを拾って 307 00:11:19,660 --> 00:11:22,510 誰かが吐き出した セサミチキンを 308 00:11:22,534 --> 00:11:23,845 口にしている 309 00:11:23,869 --> 00:11:27,178 どこかにダサい髪型で 黒い実験着を着た博士がいて 310 00:11:27,202 --> 00:11:29,240 いつか人間を 本当に絶滅させてしまうような 311 00:11:29,240 --> 00:11:32,042 病気に対する治療法を 見つけようとしている 312 00:11:32,066 --> 00:11:33,426 それからどこかに 1人の男がいる 313 00:11:33,450 --> 00:11:34,847 管理人の服を着た男は 314 00:11:34,871 --> 00:11:36,804 酔ってフラフラとよろめきながら 家に帰っている 315 00:11:36,828 --> 00:11:40,580 給料の半分を ねじりキャップの 1.2L入りの瓶ビールに 316 00:11:40,604 --> 00:11:43,548 残り半分は彼女の家への 4時間の訪問のために使った後だ 317 00:11:43,572 --> 00:11:45,997 その家は 街灯が 全て撃ち抜かれた通りにある 318 00:11:46,021 --> 00:11:49,054 この町の暗がりで 何気なくやってしまう奴らの仕業だ 319 00:11:49,078 --> 00:11:51,004 管理人の男から半ブロック先に 320 00:11:51,028 --> 00:11:53,546 礼儀知らずの ろくでなし集団がいて 321 00:11:53,546 --> 00:11:56,490 錆びた自転車のチェーンと 有名ブランド・バットの模造品を持って 322 00:11:56,514 --> 00:11:58,183 管理人の男を待ち受けていた 323 00:11:58,207 --> 00:11:59,989 もし男から 1セントも奪えなかったら 324 00:12:00,013 --> 00:12:01,164 取れないだろうが 325 00:12:01,188 --> 00:12:04,546 奴らの腕が熱くなって へし折る歯がなくなるまで 326 00:12:04,570 --> 00:12:06,643 男を強打するだろう 327 00:12:06,667 --> 00:12:08,166 でも奴らは 俺の参上を予期していない 328 00:12:08,664 --> 00:12:10,911 ダークナイトが 来るなんて思っちゃいない 329 00:12:10,935 --> 00:12:13,493 食料品店で手にしたブランドの マカロニ&チーズと 330 00:12:13,503 --> 00:12:15,632 刻んだウィンナソーセージで 満腹のダークナイトなんて 331 00:12:15,632 --> 00:12:16,567 (笑) 332 00:12:16,591 --> 00:12:19,147 むしろ奴らは俺が存在しない と思いたいんだ 333 00:12:19,893 --> 00:12:23,506 87階にいる俺には ろくでなしの言葉が聞こえる 334 00:12:23,530 --> 00:12:25,831 「金をよこせ!」 そんな風に早口で 335 00:12:25,855 --> 00:12:27,598 ただ「金をよこせ!」と 336 00:12:27,622 --> 00:12:31,175 管理人の男が酔っ払い言葉で 何かをつぶやき 青ざめるのが見えた 337 00:12:31,199 --> 00:12:32,376 87階で 338 00:12:32,400 --> 00:12:35,422 ディッキーズを着た彼が 吐きそうになっているのが聞こえた 339 00:12:35,422 --> 00:12:37,633 だから俺は急降下した まあ めちゃくちゃ速くだ 340 00:12:37,633 --> 00:12:40,452 俺は暗闇のように 「ビューッ」という感じで 341 00:12:40,476 --> 00:12:42,931 俺は裸電球の1つに バットラングを投げた 342 00:12:42,955 --> 00:12:43,994 (シンバルの音) 343 00:12:44,018 --> 00:12:46,146 奴らは皆こんな感じだ 「うわ てめえ! 344 00:12:46,170 --> 00:12:47,761 電気を消したのは誰だ?」 345 00:12:47,785 --> 00:12:48,786 (笑) 346 00:12:48,810 --> 00:12:50,479 「あそこにいるのは誰だ?」 「何?」 347 00:12:50,503 --> 00:12:52,096 「老いぼれ 何か分かったら教えろ!」 348 00:12:52,120 --> 00:12:53,286 「あれが聞こえたか?」 349 00:12:53,310 --> 00:12:57,150 「何を?何も聞こえないぞ 本当だ バットマンなんていない!」 350 00:12:57,174 --> 00:12:58,401 しかしそれから 351 00:12:58,425 --> 00:13:01,904 3人のろくでなしのうち 1人の頭にパンチが当たる ボカッ! 352 00:13:01,928 --> 00:13:04,785 2人目は目の前の黒マントに 闇雲に殴りかかる 353 00:13:04,809 --> 00:13:06,618 でも奴の拳がぶち込まれる前に 354 00:13:06,642 --> 00:13:08,546 俺はごみ箱の蓋をつかんで 355 00:13:08,570 --> 00:13:09,757 腹に直撃だ 356 00:13:09,781 --> 00:13:11,896 1人目が 戻ってきて跳び蹴りしてきたが 357 00:13:11,920 --> 00:13:14,551 俺だって柔道や空手の心得がある だからこんな具合だ 358 00:13:14,575 --> 00:13:18,356 (ドラムの音) 359 00:13:18,380 --> 00:13:19,531 もう1回! 360 00:13:19,555 --> 00:13:20,556 (ドラムの音) 361 00:13:20,580 --> 00:13:21,805 (笑) 362 00:13:21,829 --> 00:13:23,281 (ドラムの音) 363 00:13:23,305 --> 00:13:25,065 でももっとダメージを 与える前に 364 00:13:25,089 --> 00:13:27,288 突然「カチャカチャ」 という音がした 365 00:13:28,217 --> 00:13:30,453 そして突然 辺りは静寂に包まれた 366 00:13:31,049 --> 00:13:33,065 1人のろくでなしが佇んでいた 367 00:13:33,089 --> 00:13:34,960 ピストルを握って 真上に狙いを定めている 368 00:13:34,960 --> 00:13:36,631 イエスを 人質にしているかのようだ 369 00:13:36,655 --> 00:13:39,540 まるで月に穴を開けると 脅しているかのようでもある 370 00:13:39,564 --> 00:13:41,836 頭にパンチを受け 俺に跳び蹴りをしようとした 371 00:13:41,860 --> 00:13:43,128 ろくでなしと 372 00:13:43,152 --> 00:13:45,645 腹に一発 食らった もう1人のろくでなしとも 373 00:13:45,669 --> 00:13:48,550 目の前の黒い人影から 急いで後ずさりした 374 00:13:48,574 --> 00:13:50,257 そして酔っ払いの管理人の男は 375 00:13:50,281 --> 00:13:52,544 角にうずくまり 聖アントニウスに祈っていた 376 00:13:52,568 --> 00:13:54,684 それしか覚えていなかったから 377 00:13:54,708 --> 00:13:55,709 (ドラムの音2回) 378 00:13:55,733 --> 00:13:56,885 そして俺がそこにいる 379 00:13:57,310 --> 00:13:58,680 目が白く光り 380 00:13:58,704 --> 00:14:00,711 肩ガウンが 風にふんわりと揺れていた 381 00:14:00,735 --> 00:14:01,736 (ドラムの音) 382 00:14:01,760 --> 00:14:03,257 防弾した胸は波打ち 383 00:14:03,281 --> 00:14:05,821 心臓の鼓動はそれを通して モールス信号を打つ 384 00:14:05,845 --> 00:14:06,996 「かかってこい 385 00:14:07,020 --> 00:14:08,171 一度だけだ 386 00:14:08,195 --> 00:14:08,920 さあ 387 00:14:08,920 --> 00:14:10,520 やってみろ」 388 00:14:10,830 --> 00:14:12,910 そしてピストルを持って 佇んでいた 389 00:14:12,934 --> 00:14:14,249 ろくでなしが 390 00:14:14,273 --> 00:14:15,268 そう 奴が笑った 391 00:14:15,268 --> 00:14:16,464 そして奴は武器を下ろし 392 00:14:16,464 --> 00:14:17,964 俺に照準を合わせ 393 00:14:17,988 --> 00:14:19,439 月には猶予を与えた 394 00:14:19,463 --> 00:14:21,636 奴は 自分が 特殊急襲部隊だといわんばかりに 395 00:14:21,660 --> 00:14:24,609 俺の尖った2本の耳を ゴールポストに見立ててその間に狙いを定めた 396 00:14:25,444 --> 00:14:28,113 管理人の男は なおも 聖アントニウスに祈り続けていたが 397 00:14:28,137 --> 00:14:29,493 その祈りは届かなかった 398 00:14:30,277 --> 00:14:31,955 一瞬 399 00:14:31,979 --> 00:14:33,233 予感がした 400 00:14:35,040 --> 00:14:36,765 多分 俺は負ける 401 00:14:38,899 --> 00:14:40,057 訳がない! 402 00:14:40,081 --> 00:14:40,911 (ドラムの音) 403 00:14:40,911 --> 00:14:42,436 撃て!撃て! ヤァー! 404 00:14:42,436 --> 00:14:43,481 「殺さないでくれ!」 405 00:14:43,505 --> 00:14:45,463 バキッ!手首が折れる! 首だ!かき切れ! 406 00:14:45,487 --> 00:14:49,470 肌が酸で焼かれるようだ 「あぁー!」 407 00:14:49,494 --> 00:14:50,732 奴は床に倒れた 408 00:14:50,756 --> 00:14:51,954 俺は奴を見下ろした 409 00:14:51,978 --> 00:14:53,887 今 俺の手には銃がある 410 00:14:53,911 --> 00:14:56,575 俺は銃を憎み 銃を持つことを憎む バットマンだからだ 411 00:14:56,599 --> 00:14:57,777 そして 補足すると 412 00:14:57,801 --> 00:15:01,359 バットマンが銃を嫌うのは ずっと前に両親が銃で殺されたからだ 413 00:15:01,383 --> 00:15:02,598 でもほんの一瞬 414 00:15:02,622 --> 00:15:03,940 俺の目が白く光り 415 00:15:03,964 --> 00:15:05,123 これを手にした 416 00:15:05,147 --> 00:15:07,130 ろくでなしが多分理解できる言葉で 417 00:15:07,154 --> 00:15:08,900 話しかけるためだ 418 00:15:08,924 --> 00:15:10,471 カチャカチャ! 419 00:15:10,495 --> 00:15:11,508 (ドラムの音) 420 00:15:11,532 --> 00:15:14,117 奴らが這い出してきた 有害廃棄物だか 421 00:15:14,121 --> 00:15:17,816 化学汚泥のたまりへと ろくでなしが姿なしになって失せていった 422 00:15:18,784 --> 00:15:20,760 そして俺と管理人だけになった 423 00:15:21,555 --> 00:15:23,025 彼を起き上がらせ 424 00:15:23,049 --> 00:15:26,182 彼のおでこから 汗と安い香水を拭ってやった 425 00:15:26,206 --> 00:15:27,642 彼は痛めつけないでと懇願した 426 00:15:27,666 --> 00:15:30,196 彼の襟を強く掴んで 427 00:15:30,220 --> 00:15:31,507 俺の顔に近付けた 428 00:15:31,531 --> 00:15:33,611 彼は俺よりも背が高かったが 肩マントでごまかせた 429 00:15:33,635 --> 00:15:36,228 だから俺が彼の目を 真っ直ぐに見たとき 彼は耳を傾けた 430 00:15:36,228 --> 00:15:37,773 俺は一言だけ言った 431 00:15:38,467 --> 00:15:40,075 「帰れ」 432 00:15:41,282 --> 00:15:42,528 彼は3メートルごとに 433 00:15:42,552 --> 00:15:45,020 振り返りながら 帰っていった 434 00:15:45,044 --> 00:15:47,633 俺は彼の通り道に沿って ビルからビルへとさっと移動した 435 00:15:47,657 --> 00:15:49,061 彼の家を知っていたからだ 436 00:15:49,085 --> 00:15:51,889 震える手で鍵を出して 437 00:15:51,913 --> 00:15:53,622 彼が住むビルの ドアを開けるのを見た 438 00:15:53,646 --> 00:15:54,917 彼が玄関に入る前に 439 00:15:54,941 --> 00:15:57,213 俺は寝床に戻った 440 00:15:57,548 --> 00:15:59,167 そして彼が蛇口を捻って 441 00:15:59,191 --> 00:16:01,447 コップにお湯を 注ぐのが聞こえた 442 00:16:01,796 --> 00:16:03,692 そしてコップを流し台に置いた 443 00:16:04,399 --> 00:16:05,800 彼の足音が聞こえた 444 00:16:06,440 --> 00:16:08,685 俺の部屋に近付くにつれ 足音がゆっくりになった 445 00:16:09,758 --> 00:16:12,883 彼はドアをきしませながら開けた まあ とてもゆっくりとだ 446 00:16:13,953 --> 00:16:15,781 今まで 入ってきたことはないが 447 00:16:15,805 --> 00:16:17,161 入り込んできた 448 00:16:17,677 --> 00:16:18,677 (ドラムの音) 449 00:16:19,167 --> 00:16:20,897 彼はどこも見つめていなかった 450 00:16:20,897 --> 00:16:23,486 彼の顔、夏の歩道の色 451 00:16:23,510 --> 00:16:25,091 俺は目覚めたばかりのふりをして 452 00:16:25,115 --> 00:16:27,524 こう言った「ああ 父さん どうしたの?」 453 00:16:28,452 --> 00:16:30,723 管理人の男は何も言わなかった 454 00:16:31,753 --> 00:16:32,914 だが 俺は暗闇の中に見た 455 00:16:32,938 --> 00:16:34,311 腕をだらりとして 456 00:16:34,335 --> 00:16:36,449 彼の頭が まあ 俺の方を向いたのが見えた 457 00:16:36,473 --> 00:16:38,849 顔と目を俺が見えるように 458 00:16:38,873 --> 00:16:40,739 彼は頭を上げた 459 00:16:40,763 --> 00:16:43,135 頬は濡れていた でも汗じゃなかった 460 00:16:43,704 --> 00:16:45,485 ただそこに立って呼吸をしていた 461 00:16:45,509 --> 00:16:47,941 俺の目が白く光ったのを 覚えているかのように 462 00:16:47,965 --> 00:16:50,655 俺の防弾した胸を 覚えているかのように 463 00:16:51,513 --> 00:16:53,456 俺の父さんだと 覚えているかのように 464 00:16:57,575 --> 00:17:00,531 長い間 俺は何も言わなかった 465 00:17:02,583 --> 00:17:04,608 彼は背を向けて ドアノブに手を掛けた 466 00:17:04,633 --> 00:17:06,060 こっちを見なかったが 467 00:17:06,085 --> 00:17:08,627 一言つぶやいたのが聞こえた 468 00:17:10,252 --> 00:17:11,666 「すまなかった」 469 00:17:14,317 --> 00:17:17,596 俺は身を乗り出して 窓を少しだけ開けた 470 00:17:18,696 --> 00:17:20,382 高く見上げれば 471 00:17:21,036 --> 00:17:22,612 俺がみえるだろう 472 00:17:23,519 --> 00:17:24,935 俺のいるところから 473 00:17:25,641 --> 00:17:26,912 (シンバルの音) 474 00:17:27,692 --> 00:17:29,442 全て聞くことができた 475 00:17:32,076 --> 00:17:40,500 (拍手) 476 00:17:40,544 --> 00:17:41,761 ありがとうございました 477 00:17:41,801 --> 00:17:49,140 (拍手)