0:00:04.100,0:00:10.414 ハリソン・フォードは映画史上[br]最も象徴的な男性ヒーローを演じてきた 0:00:11.048,0:00:17.212 映画の文化的影響はとても大きい 0:00:17.337,0:00:24.011 若い男性の多くが彼の映画から[br]男らしさの理想を学んだだろう 0:00:24.141,0:00:29.592 映画は男らしさの教育資源を提供した 0:00:31.749,0:00:36.531 ハン・ソロ インディアナ・ジョーンズ[br]リック・デッカードには多くの共通点がある 0:00:36.623,0:00:41.164 自分の欲しいものは[br]何としてでも手に入れる 0:00:41.740,0:00:48.488 自己中心的だが最終的には[br]いい人と見られる 0:00:49.764,0:00:54.169 私は大人になってから[br]ハリソン・フォードの映画を何十回と観た 0:00:56.153,0:01:01.733 大人になってもう一度見ると[br]その共通点に驚いた 0:01:01.853,0:01:03.730 悪い点に 0:01:06.400,0:01:09.509 子供の頃は気づかなかった 0:01:10.606,0:01:15.099 あるいはそれを表す言葉を知らなかった 0:01:16.048,0:01:20.164 "なんだか よくない感じがする" 0:01:20.376,0:01:21.580 "ああ" 0:01:22.527,0:01:29.290 彼が演じる男性は 女性をひどく扱う 0:01:29.407,0:01:35.056 ここではその4つの[br]象徴的なシーンを見ていこう 0:01:35.183,0:01:38.679 そこには危険なパターンがある 0:01:38.795,0:01:44.116 恋愛的でありながらも[br]よく似た関係が存在する 0:01:44.231,0:01:47.568 捕食者と被捕食者の関係だ 0:01:49.169,0:01:54.566 批評家はスターウォーズ三部作では[br]帝国の逆襲が一番いいと言う 0:01:54.659,0:01:58.877 暗いトーンの中に人物描写が光る 0:01:58.993,0:02:03.160 ハン・ソロとレイア姫の関係もそうだ 0:02:04.182,0:02:09.573 最初の時点で二人は恋愛関係にはなかった 0:02:09.818,0:02:12.693 むしろ緊張してもいた 0:02:12.816,0:02:14.004 "離して" 0:02:16.209,0:02:17.305 "離してよ" 0:02:17.426,0:02:18.799 "興奮するな" 0:02:18.916,0:02:22.512 "あなたに抱かれても興奮はしません" 0:02:22.633,0:02:26.561 "悪かったな 俺は忙しいんだ" 0:02:28.177,0:02:35.485 映画史上最もロマンチックと言われる[br]次のシーンに焦点を当てたい 0:02:35.876,0:02:44.385 レイア姫が何回直接的または間接的に[br]ハンに興味がないことを示したか数えよう 0:02:48.418,0:02:51.319 "おい姫様 手伝いたいだけだ" 0:02:51.424,0:02:53.773 "その呼び方やめてくれる?" 0:02:53.882,0:02:55.336 "いいぜレイア" 0:02:56.178,0:02:57.897 "ややこしい人" 0:02:58.008,0:02:59.807 "ああ その通りだ" 0:03:00.383,0:03:02.541 "でも厳しすぎないか" 0:03:02.802,0:03:05.785 "悪い奴だとは思ってないだろ?" 0:03:07.694,0:03:10.060 "時々は そうね" 0:03:10.294,0:03:12.778 "ろくでなしみたいじゃない時は" 0:03:12.890,0:03:14.129 "ろくでなし?" 0:03:14.657,0:03:16.167 "ろくでなし?" 0:03:18.574,0:03:20.186 "いい響きだ" 0:03:21.273,0:03:22.337 "やめて" 0:03:22.485,0:03:23.828 "何を?" 0:03:24.042,0:03:26.140 "やめて 手が汚れてる" 0:03:26.249,0:03:28.816 "俺の手もだ 何を怖がってる?" 0:03:28.917,0:03:30.022 "怖がる?" 0:03:30.114,0:03:31.379 "震えてる" 0:03:31.663,0:03:33.190 "震えてない" 0:03:35.202,0:03:40.093 "俺がろくでなしだから好きなんだ[br]初めて会ったから" 0:03:40.192,0:03:42.617 "私はいい人が好き" 0:03:42.744,0:03:44.264 "俺はいい人だ" 0:03:49.203,0:03:51.630 "逆噴射の準備ができました" 0:03:51.725,0:03:54.251 話が進展するこのシーンには 0:03:54.358,0:04:00.635 男性性と男女の恋についての[br]たくさんのメッセージが含まれている 0:04:01.254,0:04:04.034 シーンは1分半だが 0:04:04.167,0:04:10.516 女性は言語的にも非言語的にも[br]8回に渡って男性を拒否し 0:04:10.627,0:04:14.142 男性はそれをすべて無視する 0:04:14.857,0:04:17.924 異論はあるだろう 0:04:18.050,0:04:25.109 彼女は表面では拒否しているが[br]内心では望んでいるのだと 0:04:25.226,0:04:28.729 だから彼は無視していい 0:04:28.835,0:04:32.654 実際そう解釈するように[br]作られているのだろう 0:04:32.763,0:04:35.343 そこに問題がある 0:04:35.682,0:04:40.724 女性がノーと言っていても[br]本当はそういう意味じゃない 0:04:40.853,0:04:47.606 女性のノーは恋愛ゲームであり[br]簡単には落ちない女を演じている 0:04:47.727,0:04:54.071 そう表現することで 落ちるまで[br]圧力をかけ続けることを正当化する 0:04:55.668,0:04:58.420 次の映画も有名だ 0:04:58.527,0:05:02.747 ここでもハリソン・フォードは[br]同じ行動を見せる 0:05:02.869,0:05:09.540 女性のノーを聞かないだけでなく[br]力づくで手に入れにいく 0:05:09.666,0:05:12.383 "連れてきてやったんだ" 0:05:12.635,0:05:15.734 "少し口を閉じてろ" 0:05:16.426,0:05:17.989 "わかったか 嬢ちゃん" 0:05:18.105,0:05:20.183 "連れてきてやった?" 0:05:20.291,0:05:23.971 "あんたが私に夢中になってたんでしょ" 0:05:24.088,0:05:25.418 "そうか?" 0:05:25.887,0:05:32.770 「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」で[br]ラストで女性はうんざりしていた 0:05:32.894,0:05:37.410 何度も命の危険にさらされて 0:05:37.531,0:05:43.977 だから別の冒険に誘われた時[br]明確な言葉で拒否した 0:05:44.072,0:05:46.052 "デリーまでは長い" 0:05:46.404,0:05:49.806 "結構よ もうあなたとは旅はしない" 0:05:49.919,0:05:53.561 "また二人で一緒に楽しもう" 0:05:54.462,0:06:01.363 "私がデリーでもどこでも[br]またあなたと行くと思ってるの?" 0:06:01.487,0:06:06.634 "私はミズーリに帰る[br]二度とヘビを食べないためにね" 0:06:06.765,0:06:10.183 "私は楽しかったと思ってない" 0:06:10.294,0:06:13.583 女性は明確に同行を拒否している 0:06:13.702,0:06:15.225 しかし彼は聞かない 0:06:15.455,0:06:17.894 "すみません デリーへガイドを…" 0:06:20.027,0:06:25.594 彼は女性を物理的に連れ戻し キスする 0:06:26.419,0:06:32.899 女性はその攻撃的行為にも関わらず[br]肯定的な反応を見せたことに注意しよう 0:06:36.489,0:06:40.966 その反応が女性の神話を強化する 0:06:41.087,0:06:44.792 ノーと言っていても本当は違うと 0:06:44.889,0:06:51.875 このシーンには他にも危険なメッセージが[br]含まれているが あとにしよう 0:06:52.816,0:06:57.004 次の映画は「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」 0:06:57.110,0:07:03.642 この時点ではまだ二人は恋愛関係にない 0:07:04.137,0:07:06.846 "怒ってはいないだろ?" 0:07:06.971,0:07:07.872 "いいえ" 0:07:08.108,0:07:10.922 "いいえ? 気に入ってるだろ" 0:07:11.024,0:07:15.232 "私が同じことしてたら[br]あなたはまだ桟橋にいた" 0:07:17.009,0:07:18.981 "何が起きてる?" 0:07:19.080,0:07:23.939 "君に会ってから災難続きだ" 0:07:24.042,0:07:30.289 "おやじが何か重要なものを見つけたからだ" 0:07:30.417,0:07:34.677 "俺は俺のやり方でやるべきことをする" 0:07:37.723,0:07:39.753 "キスするなんて" 0:07:39.880,0:07:45.011 ここにはさらに危険な概念がある 0:07:45.121,0:07:50.387 ここで終われば男性がすべきではないことの[br]教訓となったかもしれない 0:07:50.520,0:07:57.240 この女性キャラは今まで見てきた[br]危険な神話を強化する 0:07:57.371,0:08:01.014 "気の早い女は好きじゃない" 0:08:01.442,0:08:04.422 "私も偉そうな男は嫌い" 0:08:04.538,0:08:08.892 女性は密かに男性に押し倒されたい[br]と思っているという概念を 0:08:12.714,0:08:19.121 2つのシーンはどちらも面白いが[br]どちらも有害な概念を強化する 0:08:19.246,0:08:21.832 女性の怒りは本物じゃない 0:08:21.943,0:08:28.033 女性の怒りは男性への誘いなのだと 0:08:33.172,0:08:38.657 私は長らく「ブレードランナー」が[br]好きだと言ってきた 0:08:39.327,0:08:41.162 今では違う 0:08:42.172,0:08:49.502 リドリー・スコットの1982年の傑作は[br]ハリソン史上最も有害なシーンを含んでいる 0:08:49.627,0:08:56.523 主人公の性的加害を恋愛として描いている 0:08:58.953,0:09:01.051 あらすじを説明しよう 0:09:01.166,0:09:09.950 主人公はある女性に彼女の記憶が偽物であり[br]彼女が人間ではなく機械であることを告げる 0:09:10.052,0:09:16.105 主人公の仕事はそんな機械を殺すことだ 0:09:17.101,0:09:20.518 デッカードは酔っていて[br]レイチェルは混乱している 0:09:23.004,0:09:26.917 彼はその隙を利用して彼女にキスをする 0:09:32.486,0:09:36.973 女性が何も反応しないともう一度する 0:09:37.885,0:09:43.806 女性は離れ 立ち上がってドアに向かう 0:09:43.928,0:09:46.517 だが見てきた通り 0:09:46.636,0:09:50.414 ヒーローはノーを認めない 0:09:51.154,0:09:54.683 ここが一線を越えたところだ 0:09:59.174,0:10:03.973 デッカードは拒絶に怒り 暴力的になる 0:10:07.280,0:10:12.784 ドアを閉め 女性を窓に叩きつけて[br]そこから動けないようにする 0:10:12.894,0:10:16.449 女性にキスすると 音楽が変わり 0:10:16.568,0:10:21.598 観客にこれがロマンスであると[br]示しているようだ 0:10:24.738,0:10:30.042 このシーンには暴力の暗示が[br]のしかかっている 0:10:30.618,0:10:32.510 "キスしろ" 0:10:33.248,0:10:38.169 危険なメッセージが多く含まれている 0:10:38.289,0:10:41.386 女性に関する神話だ 0:10:42.574,0:10:48.398 ここでも女性は肯定的反応を示している 0:10:48.524,0:10:51.010 だが別の要素もある 0:10:51.144,0:10:55.274 ここで男性は卑劣な戦術を使っている 0:10:55.942,0:11:01.125 理解するためにもう一度見てみよう 0:11:02.045,0:11:05.944 女性を窓に押し付けながら[br]キスをするよう要求する 0:11:06.044,0:11:07.403 "キスしろ" 0:11:07.496,0:11:11.462 女性が抵抗しても聞かない 0:11:11.562,0:11:13.025 "キスして と言え" 0:11:13.138,0:11:15.998 女性から頼むよう命令する 0:11:16.786,0:11:18.129 "キスして" 0:11:18.712,0:11:21.592 何が起きてるかは明白だ 0:11:21.695,0:11:30.139 デッカードは物理的攻撃をして脅しながら[br]レイチェルに同意することを強制している 0:11:40.372,0:11:47.778 デッカードは責任をレイチェルに移している 0:11:47.899,0:11:51.683 この行為は彼女のせいだと 0:11:51.905,0:11:55.792 行為を求めるよう強制している 0:11:58.623,0:12:06.875 これはDVをする男性がよく使う[br]特に卑劣な感情操作の形だ 0:12:07.442,0:12:10.232 「ブレードランナー」は[br]危機にある男の話だ 0:12:10.351,0:12:15.999 仕事 世界 自分の人間性が揺らいでいる 0:12:16.579,0:12:25.076 しかし男は内面の葛藤に向き合う代わりに[br]力を女性に行使することで自己を確認する 0:12:28.700,0:12:34.948 ハリソン・フォードはハリウッドでの[br]男らしさの模範だと言えるだろう 0:12:35.274,0:12:41.122 長い間映画のお手本となっていた 0:12:41.670,0:12:47.917 彼の映画は男になる方法を教えてくれた[br]いい男 いいヒーローになる方法を 0:12:52.111,0:13:00.668 しかしまた男の子が真似すべき[br]性的な攻撃も教えている 0:13:01.282,0:13:07.236 女性の個人的領域に侵入し[br]何度も積極的に攻め 0:13:07.361,0:13:11.370 不安な状況に追い込み 拒否させる 0:13:11.474,0:13:14.887 ナンパ師が教える戦略だ 0:13:15.005,0:13:20.906 性的加害文化の中心にあるのは[br]捕食者的世界観だ 0:13:21.225,0:13:29.784 もちろん性的加害と恋愛の混同は[br]ハリソン映画以外にも見られる 0:13:34.006,0:13:42.452 捕食者的男らしさは[br]ハリウッドの長年の伝統の一部だ 0:13:52.231,0:13:58.696 「ブレードランナー」から30年間[br]ほとんど何も変わっていない 0:13:59.647,0:14:06.228 2015年の「007 スペクター」もそうだ 0:14:06.559,0:14:07.873 "あなたね" 0:14:08.778,0:14:11.939 "あなたが夫を殺した" 0:14:12.037,0:14:15.872 "彼は殺し屋だった[br]承知はしているさ" 0:14:21.104,0:14:26.224 動きが物語っている 0:14:26.352,0:14:31.159 男性は前に進み続け[br]女性は後ろに下がり続ける 0:14:31.277,0:14:33.595 "信用できない" 0:14:33.708,0:14:35.660 "いい勘だ" 0:14:35.775,0:14:38.330 ジェームズ・ボンドは捕食者の役だ 0:14:38.435,0:14:41.787 ゆっくり追い詰めていく 0:14:42.005,0:14:47.309 ボンドの暴力の暗示が[br]この作用を作り出している 0:14:47.437,0:14:50.039 「ブレードランナー」のように 0:14:55.606,0:15:02.279 ここでも攻撃的な性質が[br]ロマンスとして描かれている 0:15:02.375,0:15:06.030 男性は女性の言葉を聞く必要がない 0:15:06.144,0:15:09.899 必要なら攻撃的になっていい 0:15:10.011,0:15:17.471 追い詰めて強く押せば[br]女性はそうしたかったことを認める 0:15:17.604,0:15:20.266 たとえノーと言っていても 0:15:21.035,0:15:23.601 ここまでの映画で見たように 0:15:23.719,0:15:30.355 文化の中で男性は 女性に圧力をかけることは[br]許されるのだと信じるよう仕向けられる 0:15:30.792,0:15:32.425 女性がノーと言っても 0:15:32.553,0:15:37.193 ハン・ソロ インディアナ・ジョーンズ[br]リック・デッカードなら聞かない 0:15:37.692,0:15:44.858 話を聞かず 迫り続ける 0:15:45.213,0:15:48.289 ハリウッドが教えるものとは違い 0:15:48.401,0:15:53.991 現実の女性が示す拒絶は[br]もっと続けろという意味では決してない 0:15:54.110,0:15:58.956 激しいノーがなければいいのではない 0:15:59.077,0:16:05.038 もしそれでいいなら強制へのドアが開く 0:16:05.153,0:16:13.002 言うまでもないが本当の恋愛に[br]強制の居場所はない 0:16:13.128,0:16:17.490 探すべきなのは 積極的なイエスだ 0:16:19.477,0:16:28.014 肯定的な形での同意は[br]互いの愛と尊敬を育むだろう 0:16:28.141,0:16:28.897 "好き?" 0:16:29.000,0:16:30.020 "好きだ" 0:16:30.151,0:16:31.101 "大好きだ" 0:16:32.011,0:16:33.931 "キスしたいくらい" 0:16:35.142,0:16:39.508 "できたら かもしれない[br]僕が いや君から…?" 0:16:41.127,0:16:42.260 "二人で"