WEBVTT 00:00:00.646 --> 00:00:03.964 僕の名前はハリー・ベーカー ハリー・ベーカーが僕の名前 00:00:03.964 --> 00:00:08.867 君の名前がハリー・ベーカーなら 僕らの名前は 同じ 00:00:08.867 --> 00:00:10.307 （笑） NOTE Paragraph 00:00:10.307 --> 00:00:12.494 ちょっとした導入部でね NOTE Paragraph 00:00:12.954 --> 00:00:14.486 やあ 僕はハリー 00:00:14.486 --> 00:00:17.063 数学を研究し 詩を書く 00:00:17.063 --> 00:00:21.266 だから 素数をテーマとした 愛の詩から始めよう 00:00:21.266 --> 00:00:22.915 （笑） NOTE Paragraph 00:00:24.055 --> 00:00:26.281 題は『59』 00:00:26.281 --> 00:00:29.171 『素敵な素数』とでも しようかと思ったけど 00:00:29.171 --> 00:00:31.071 そうやって 皆 ひいちゃうからね 00:00:31.071 --> 00:00:32.560 （笑） NOTE Paragraph 00:00:32.560 --> 00:00:34.836 では『59』を NOTE Paragraph 00:00:36.736 --> 00:00:39.359 59が目覚めたのは 縁起悪くも ベッドの反対側 NOTE Paragraph 00:00:39.359 --> 00:00:41.910 なぜか髪の毛は 片側にペッタリ NOTE Paragraph 00:00:41.910 --> 00:00:45.797 ちょっと考えて 寝相のせいだと気付く NOTE Paragraph 00:00:45.797 --> 00:00:47.713 適当な服を探して 身に付ける NOTE Paragraph 00:00:47.713 --> 00:00:50.539 鏡をのぞいて ちょっと悦に入る NOTE Paragraph 00:00:50.539 --> 00:00:53.372 荒削りながら カジュアルさも兼ね備える自分 NOTE Paragraph 00:00:53.372 --> 00:00:56.993 窓の外に目を見やると 目を奪われるのは 00:00:56.993 --> 00:00:58.495 向かいの「60」 NOTE Paragraph 00:00:58.495 --> 00:01:00.288 60の美しいこと NOTE Paragraph 00:01:00.288 --> 00:01:03.316 爪の先まで完ぺきで ピッタリの装い NOTE Paragraph 00:01:03.316 --> 00:01:04.753 ぶしつけさ など微塵もない NOTE Paragraph 00:01:04.753 --> 00:01:08.036 これ以上ないほど いつも ピッタリの時間に現れ 00:01:08.036 --> 00:01:10.183 それも 超クールに やってのける NOTE Paragraph 00:01:10.183 --> 00:01:13.490 59は伝えたかった 彼女の好きな花を知っていると NOTE Paragraph 00:01:13.490 --> 00:01:16.162 毎分 毎秒 毎時間 彼女のことを思い続けるも NOTE Paragraph 00:01:16.162 --> 00:01:18.801 思いが届かないことは分かっていた 決して結ばれない運命 NOTE Paragraph 00:01:18.801 --> 00:01:20.911 通りのすぐ向かいにいる 彼女とは 00:01:20.911 --> 00:01:22.451 住む世界が違うのだ NOTE Paragraph 00:01:22.451 --> 00:01:24.881 59は 丸まったキレの良い60を こよなく愛すも 00:01:24.881 --> 00:01:29.597 60は 59を“奇”数としか 思えないから（笑） NOTE Paragraph 00:01:31.957 --> 00:01:35.752 59が好きな映画は 『101（ワン・オー・ワン）』 NOTE Paragraph 00:01:35.752 --> 00:01:38.754 60が好きなのは 続編の『102（ワン・オー・ツー）』 NOTE Paragraph 00:01:38.754 --> 00:01:41.870 ロマンティックな59は 二人を薄幸な恋人だと疑わず NOTE Paragraph 00:01:41.870 --> 00:01:45.043 二人の力を合わせ “奇”“偶（遇）”で軌跡を起こせると信じた NOTE Paragraph 00:01:45.043 --> 00:01:48.243 一方 60は母からの 厳しい言いつけどおり NOTE Paragraph 00:01:48.243 --> 00:01:50.040 二人の溝は埋められない そう固持した NOTE Paragraph 00:01:50.040 --> 00:01:52.208 そのとき 59は ママに支配された娘を NOTE Paragraph 00:01:52.208 --> 00:01:54.850 愛そうとすることに 無力さを感じていたが NOTE Paragraph 00:01:54.850 --> 00:01:57.239 少し計算を働かせれば 癒されたはずだった NOTE Paragraph 00:01:57.239 --> 00:01:59.669 60から59を引けば 残りは１で唯一無二の存在だから NOTE Paragraph 00:01:59.669 --> 00:02:02.197 ウジウジして ２ヶ月が過ぎ NOTE Paragraph 00:02:02.197 --> 00:02:04.649 61日後に 59は「61」と出会った NOTE Paragraph 00:02:04.649 --> 00:02:06.871 彼は鍵を失くし 両親も外出中だった NOTE Paragraph 00:02:06.871 --> 00:02:08.993 ある放課後のこと 彼がその家をふと見ると NOTE Paragraph 00:02:08.993 --> 00:02:11.506 ドアの番号は 少しくずしたスタイルだと気が付いた NOTE Paragraph 00:02:11.506 --> 00:02:13.991 なぜ これまで 話しかけなかったのだろう NOTE Paragraph 00:02:13.991 --> 00:02:16.119 彼女に招き入れられた59は 口をあんぐり NOTE Paragraph 00:02:16.119 --> 00:02:19.308 61は60に似ていて ちょっと大きいだけ（笑） NOTE Paragraph 00:02:19.308 --> 00:02:22.710 彼女の方が目が可愛らしく 親しみある笑顔だった NOTE Paragraph 00:02:22.710 --> 00:02:25.136 そして彼と同様 荒削りでカジュアル NOTE Paragraph 00:02:25.136 --> 00:02:27.512 そして彼と同様 すべてが無秩序 NOTE Paragraph 00:02:27.512 --> 00:02:30.345 そして彼と同様 母親は友だちが来ても気にしない NOTE Paragraph 00:02:30.345 --> 00:02:32.440 彼女は彼に似ていて 彼は彼女が好きだった NOTE Paragraph 00:02:32.440 --> 00:02:35.198 二人が似ていることを知れば 彼女も好きになると 彼は踏んだ NOTE Paragraph 00:02:35.198 --> 00:02:38.076 今回はいつもと違った この子は素敵だった NOTE Paragraph 00:02:38.076 --> 00:02:40.636 彼は勇気をふり絞って “数字”を尋ねた NOTE Paragraph 00:02:40.636 --> 00:02:45.350 「私は61よ」という彼女に 彼はにっこり「僕は59」と答えた NOTE Paragraph 00:02:45.350 --> 00:02:46.983 「今日 僕はすごく楽しかった NOTE Paragraph 00:02:46.983 --> 00:02:49.556 明日 良かったら 僕の家に来ないかい？」 NOTE Paragraph 00:02:49.556 --> 00:02:50.419 「もちろん」と彼女 NOTE Paragraph 00:02:50.419 --> 00:02:52.603 奇抜な人と話すのが 大好きな彼女は NOTE Paragraph 00:02:52.603 --> 00:02:54.551 非公式のファースト・デートの 誘いに乗った NOTE Paragraph 00:02:54.551 --> 00:02:56.711 彼の準備が整ったのは 約束の１分前 NOTE Paragraph 00:02:56.711 --> 00:02:59.435 でも彼女は１分遅く到着したので 何の問題もなかった NOTE Paragraph 00:02:59.435 --> 00:03:01.879 その瞬間から ノンストップでおしゃべりが続いた NOTE Paragraph 00:03:01.879 --> 00:03:04.354 二人は『Xファクター』を好み 二つのファクター（因数）を持つ NOTE Paragraph 00:03:04.354 --> 00:03:08.454 これは欠点どころか 二人の存在意義を高めていた NOTE Paragraph 00:03:08.454 --> 00:03:11.239 夜が明けるころには 互いが運命の人だと感じていた NOTE Paragraph 00:03:11.239 --> 00:03:14.213 ある日 彼女は うぬぼれ屋の60について話していて NOTE Paragraph 00:03:14.213 --> 00:03:16.140 少し不愉快そうにする 59に気付いた NOTE Paragraph 00:03:16.140 --> 00:03:17.837 彼は顔を赤らめ かつての恋心を打ち明けた NOTE Paragraph 00:03:17.837 --> 00:03:20.604 「ああなって良かったんだ 僕たちが出会えたからね」 NOTE Paragraph 00:03:20.604 --> 00:03:23.446 61は賢明だった 嫉妬にとらわれることもなく NOTE Paragraph 00:03:23.446 --> 00:03:26.148 彼の目を見て とても優しく諭した NOTE Paragraph 00:03:26.148 --> 00:03:31.140 「君は59で私は61 二人合わせると60の２倍になるの」 00:03:31.140 --> 00:03:34.483 （笑） NOTE Paragraph 00:03:34.483 --> 00:03:36.770 このとき 59は 目に涙をため NOTE Paragraph 00:03:36.770 --> 00:03:39.388 こんな唯一無二の娘に 出会えたことを喜んだ NOTE Paragraph 00:03:39.388 --> 00:03:41.588 彼は“素数”たることの 意味を話した NOTE Paragraph 00:03:41.588 --> 00:03:44.345 彼の心を分かつのは “一（いち）”と彼自身だけ NOTE Paragraph 00:03:44.345 --> 00:03:46.769 そして彼女こそ 心を預けたい唯“一”の存在だと NOTE Paragraph 00:03:46.769 --> 00:03:50.098 彼女は 同じ気持ちだと答えた 映画は半分本当だとやっと分かった NOTE Paragraph 00:03:50.098 --> 00:03:52.919 あれは真の愛ではなく ただの見本にすぎない NOTE Paragraph 00:03:52.919 --> 00:03:56.193 真の愛においては 二人こそが“素”晴らしい例なのだ NOTE Paragraph 00:03:56.193 --> 00:03:57.888 ありがとう NOTE Paragraph 00:03:57.888 --> 00:04:02.648 （拍手） NOTE Paragraph 00:04:08.522 --> 00:04:10.334 これが僕が初めて書いた詩で 00:04:10.334 --> 00:04:14.753 素数がテーマの詩の夜会のため―（笑） 00:04:14.753 --> 00:04:17.973 いや 素数がテーマの 詩のコンテストのため書いたものです 00:04:17.973 --> 00:04:21.200 僕は 素数がテーマの詩の コンテストで優勝したから 00:04:21.200 --> 00:04:24.709 まさに “素”晴らしいわけだ（笑） 00:04:24.709 --> 00:04:27.657 こうして僕は 「ポエトリー・スラム」なるものを知った 00:04:27.657 --> 00:04:29.791 念のために言うと 「ポエトリー・スラム」は 00:04:29.791 --> 00:04:32.485 アメリカで30年前に 作られたもので 00:04:32.485 --> 00:04:35.457 人をだまして 詩のイベントに参加させる方法です 00:04:35.457 --> 00:04:38.312 それも 最後に「スラム」とか 格好良い言葉を付けるだけ 00:04:38.312 --> 00:04:39.706 （笑） NOTE Paragraph 00:04:39.706 --> 00:04:42.608 参加者が与えられた３分間で 詩を披露すると 00:04:42.608 --> 00:04:45.403 ランダムに選ばれた聴衆が スコアカードを掲げ 00:04:45.403 --> 00:04:47.530 最後に集計されて 点数が出される 00:04:47.530 --> 00:04:48.738 つまりは― 00:04:48.738 --> 00:04:51.943 パフォーマーと聴衆の 垣根をなくし 00:04:51.943 --> 00:04:54.653 聴く者とのつながりを 強めるもので 00:04:54.653 --> 00:04:56.681 さらには あなたも勝てるということ 00:04:56.681 --> 00:05:01.021 ポエトリー・スラムで優勝すれば スラム・チャンピオンを名乗って 00:05:01.021 --> 00:05:03.412 レスラーのふりもできる 00:05:03.412 --> 00:05:07.476 負けたらこう言えばいい 「何？詩は主観的な芸術形式だ 00:05:07.476 --> 00:05:09.774 数で評価するとは何事か」 00:05:09.774 --> 00:05:11.467 （笑） NOTE Paragraph 00:05:11.467 --> 00:05:13.814 でも僕は気に入って 何度もスラムに参加し 00:05:13.814 --> 00:05:16.113 イギリスの スラム・チャンピオンになり 00:05:16.113 --> 00:05:19.178 パリのポエトリー・ワールド・カップに 招待されました 00:05:19.178 --> 00:05:20.617 信じられないことでした 00:05:20.617 --> 00:05:24.133 世界中から人々が集まり 自国の言語で話し 00:05:24.133 --> 00:05:26.585 英語のできないフランス人５名が 評価をするんです 00:05:26.585 --> 00:05:28.744 （笑） 00:05:28.744 --> 00:05:32.715 ともかく 僕は勝った 最高だったよ 00:05:32.715 --> 00:05:35.849 以来 僕は 世界中を旅できたんだから 00:05:35.849 --> 00:05:37.892 ということで これから紹介する詩が 00:05:37.892 --> 00:05:41.375 まさに世界で 最高の詩なんです 00:05:41.375 --> 00:05:45.369 （笑） 00:05:45.369 --> 00:05:46.785 ですから― 00:05:46.785 --> 00:05:51.638 （拍手） 00:05:51.638 --> 00:05:54.633 英語のできない フランス人５名によればね NOTE Paragraph 00:05:54.633 --> 00:05:58.557 『ペーパー・ピープル』です NOTE Paragraph 00:05:58.557 --> 00:06:00.636 僕は人が好き NOTE Paragraph 00:06:00.636 --> 00:06:02.992 僕は紙の人も好き NOTE Paragraph 00:06:02.992 --> 00:06:06.173 紫色の紙の人 飛び出す紫色の紙人も NOTE Paragraph 00:06:06.173 --> 00:06:08.913 ちゃんとした 飛び出す紫色の紙人 NOTE Paragraph 00:06:08.913 --> 00:06:11.839 「飛び出す紫色の紙人なんか 立たせられないだろう？」 NOTE Paragraph 00:06:11.839 --> 00:06:14.253 君の叫びが聞こえるよ それはね... NOTE Paragraph 00:06:14.253 --> 00:06:17.011 僕は 飛び出す紫色の紙人の ペーパークリップで NOTE Paragraph 00:06:17.011 --> 00:06:20.662 飛び出す紫色の紙人を 立たせるわけさ NOTE Paragraph 00:06:20.662 --> 00:06:23.399 でも 念のために 接着剤も用意しておくかな NOTE Paragraph 00:06:23.399 --> 00:06:26.171 粘着剤「ブル・タック」を一箱 紙がすべったときのためにね NOTE Paragraph 00:06:26.171 --> 00:06:28.254 飛び出す都市を つくることができるけど NOTE Paragraph 00:06:28.254 --> 00:06:31.135 紙人の政治問題に 巻き込まれたくなくてね NOTE Paragraph 00:06:31.135 --> 00:06:33.496 紙政治家の政策なんて 紙のように薄っぺら NOTE Paragraph 00:06:33.496 --> 00:06:35.720 公約を破ろうが ちゃんと謝罪もしない NOTE Paragraph 00:06:35.720 --> 00:06:39.575 小さな紙の僕と 小さな紙の君がいて NOTE Paragraph 00:06:39.575 --> 00:06:42.799 僕たちは紙のペーパーテレビを見る ペイ・パー・ビューでね 00:06:42.799 --> 00:06:44.273 （笑） NOTE Paragraph 00:06:44.273 --> 00:06:47.539 ケシの紙ラッパーは 紙パックをラップし NOTE Paragraph 00:06:47.539 --> 00:06:52.509 紙人の乗り物が A4地点で紙詰まりを起こすのを眺める 00:06:52.509 --> 00:06:55.248 （笑） ペーパー NOTE Paragraph 00:06:55.248 --> 00:07:00.402 紙のプリンセス・ケイト でも 皆が目を離せないのは 紙のピッパ NOTE Paragraph 00:07:00.402 --> 00:07:03.385 誰もが紙裂きジャックに 怯えて生きる NOTE Paragraph 00:07:03.385 --> 00:07:06.439 紙のプロパガンダは 偏見を広め NOTE Paragraph 00:07:06.439 --> 00:07:09.095 写真写りのよいテロリストたちの 写真を紙に印刷する NOTE Paragraph 00:07:09.095 --> 00:07:11.615 小さな紙の僕 小さな紙の君 NOTE Paragraph 00:07:11.615 --> 00:07:14.288 飛び出す人々の間では 問題も飛び出す NOTE Paragraph 00:07:14.288 --> 00:07:17.295 仰々しい紙の議会は 聖域となり NOTE Paragraph 00:07:17.295 --> 00:07:20.282 紙削減に対する プロテストを無視 NOTE Paragraph 00:07:20.282 --> 00:07:23.524 平和的な紙のプロテストは 粉々に破れ去る NOTE Paragraph 00:07:23.524 --> 00:07:26.064 先制攻撃の警察による 紙吹雪弾で NOTE Paragraph 00:07:26.064 --> 00:07:29.639 もちろん紙のお金もあり 紙（私）欲もある NOTE Paragraph 00:07:29.639 --> 00:07:32.358 意地汚い紙の銀行員は 必要以上を懐におさめ NOTE Paragraph 00:07:32.358 --> 00:07:35.106 ポプリを買って 紙（資）産を粉飾 NOTE Paragraph 00:07:35.106 --> 00:07:37.776 他の者は貧困に生き 軽くあしらわれる NOTE Paragraph 00:07:37.776 --> 00:07:40.248 “正しき”貧しい経済は 多くが“正しく”貧しいが NOTE Paragraph 00:07:40.248 --> 00:07:43.153 彼らの要望は無視され お金は大戦へとつぎ込まれる NOTE Paragraph 00:07:43.153 --> 00:07:45.245 折り紙軍隊は 紙飛行機計画を広げて見せるものの NOTE Paragraph 00:07:45.245 --> 00:07:47.605 一方 我々は自らの紙鎖に 囚われたまま NOTE Paragraph 00:07:47.605 --> 00:07:51.264 もっと恥ずべきことに 事態はまるで変わらない NOTE Paragraph 00:07:51.264 --> 00:07:54.172 ただ 権力者が変わり 責任転嫁先が変わっただけ NOTE Paragraph 00:07:54.172 --> 00:07:57.611 権力者は名をあげて非難するが それが人の名であったことを忘れてしまう NOTE Paragraph 00:07:57.611 --> 00:08:00.697 結局 名前というより 人の問題だからだ NOTE Paragraph 00:08:00.697 --> 00:08:02.144 僕は人が好き NOTE Paragraph 00:08:02.144 --> 00:08:03.965 切迫したときでも NOTE Paragraph 00:08:03.965 --> 00:08:06.224 人だけが 元気づけてくれる NOTE Paragraph 00:08:06.224 --> 00:08:09.459 紙の上では 僕たちの動きは見えにくい NOTE Paragraph 00:08:09.459 --> 00:08:12.120 でも パンドラの箱の底にだって まだ希望が残っている NOTE Paragraph 00:08:12.120 --> 00:08:14.953 だから 僕は希望を持っている 人を信じているから NOTE Paragraph 00:08:14.953 --> 00:08:17.275 人に好かれている 僕の祖父母 NOTE Paragraph 00:08:17.275 --> 00:08:19.090 僕が生まれてから 一日もかかさず 00:08:19.090 --> 00:08:22.305 僕のために 毎朝祈りを捧げてくれた NOTE Paragraph 00:08:22.305 --> 00:08:25.719 7892日続けて 僕のことを心配してくれて 00:08:25.719 --> 00:08:27.713 本当にありがたい NOTE Paragraph 00:08:27.713 --> 00:08:30.417 おばのように 囚人と劇を演じる人たちもいる NOTE Paragraph 00:08:30.417 --> 00:08:32.601 真の許しをできる人たち NOTE Paragraph 00:08:32.601 --> 00:08:34.520 迫害を受けた パレスチナ人のような人たち NOTE Paragraph 00:08:34.520 --> 00:08:37.174 私利私欲のために 道を外れた人たちは 00:08:37.174 --> 00:08:38.868 何も得ることはできない NOTE Paragraph 00:08:38.868 --> 00:08:41.043 人は強くなれるんだ NOTE Paragraph 00:08:41.043 --> 00:08:44.198 権力を牛耳る人が 被害者ぶるからといって NOTE Paragraph 00:08:44.198 --> 00:08:46.250 そんな制度に 屈することなんてない NOTE Paragraph 00:08:46.250 --> 00:08:48.595 紙人の世界だって同じ NOTE Paragraph 00:08:48.595 --> 00:08:52.313 小さな紙の僕と 小さな紙の君がいて NOTE Paragraph 00:08:52.313 --> 00:08:54.941 飛び出す人たちの間では 人の問題が飛び出す NOTE Paragraph 00:08:54.941 --> 00:08:58.324 でも たとえ世界が崩れ落ちようと 僕たちは大丈夫 NOTE Paragraph 00:08:58.324 --> 00:09:00.785 だって 僕たちは人だもの NOTE Paragraph 00:09:00.785 --> 00:09:03.247 ありがとう NOTE Paragraph 00:09:03.247 --> 00:09:07.496 （笑） NOTE Paragraph 00:09:18.688 --> 00:09:21.543 ありがとうございます もう１つ行けそうです NOTE Paragraph 00:09:21.543 --> 00:09:25.038 僕にとって 詩は自由に アイデアを表現する至極の手段 00:09:25.038 --> 00:09:26.040 詩を始めたとき 00:09:26.040 --> 00:09:29.145 僕が刺激を受けたのは 素晴らしいストーリーのある人たち 00:09:29.145 --> 00:09:33.281 順風満帆の18歳の僕は フツウすぎると思った 00:09:33.281 --> 00:09:37.007 でも 僕の経験や夢 信じることを話せる― 00:09:37.007 --> 00:09:38.331 そんな世界をつくれた 00:09:38.331 --> 00:09:41.326 だから 今日こうして 皆さんの前に立てて光栄です 00:09:41.326 --> 00:09:42.742 ここにいる皆さんに感謝します 00:09:42.742 --> 00:09:44.019 皆さんが ここにいなければ 00:09:44.019 --> 00:09:46.759 昨日のリハーサルと 同じ状況ですから 00:09:46.759 --> 00:09:48.826 （笑） 00:09:48.826 --> 00:09:51.403 こちらは もっと面白いです NOTE Paragraph 00:09:51.403 --> 00:09:53.563 『サイシャイン・キッド（太陽の光の子）』 NOTE Paragraph 00:09:53.563 --> 00:09:56.697 それではお楽しみください― NOTE Paragraph 00:09:56.697 --> 00:10:00.087 年老いた日の光は 息子のような太陽が自慢だった NOTE Paragraph 00:10:00.087 --> 00:10:02.553 小さな彼が走る姿に 一日が一層輝いた NOTE Paragraph 00:10:02.553 --> 00:10:05.219 彼が何かしたわけでも 問題が解決したわけでもない NOTE Paragraph 00:10:05.219 --> 00:10:08.134 ただ彼が日当たりの良い場所に ずっといただけ NOTE Paragraph 00:10:08.134 --> 00:10:10.730 いつも こんな風にはいかない NOTE Paragraph 00:10:10.730 --> 00:10:13.461 明るさを隠そうと するときもある NOTE Paragraph 00:10:13.461 --> 00:10:15.597 どんな星だって 困難の周期にぶち当たる NOTE Paragraph 00:10:15.597 --> 00:10:18.801 暗闇の彼らを呼び覚ますには より明るい光が必要だった NOTE Paragraph 00:10:18.801 --> 00:10:21.155 彼が星雲に 生まれたとき NOTE Paragraph 00:10:21.155 --> 00:10:23.474 誰も彼が普通だなんて 思わなかった NOTE Paragraph 00:10:23.474 --> 00:10:25.210 彼は フレアを放っていたから NOTE Paragraph 00:10:25.210 --> 00:10:26.765 ミダス王が触れると 黄金になるが NOTE Paragraph 00:10:26.765 --> 00:10:29.203 彼が近づくと 全てが少しブロンズ色になった NOTE Paragraph 00:10:29.203 --> 00:10:31.847 そう この子は 他の人よりも愛された NOTE Paragraph 00:10:31.847 --> 00:10:34.579 ヨセフと彼のドリームコート 兄弟のように NOTE Paragraph 00:10:34.579 --> 00:10:37.516 目立つのも 善し悪し NOTE Paragraph 00:10:37.516 --> 00:10:40.106 彼が輝きすぎれば 妬みが敵を生んだ NOTE Paragraph 00:10:40.106 --> 00:10:41.417 シャドー・ピープルみたいに NOTE Paragraph 00:10:41.417 --> 00:10:43.818 シャドー・ピープルは サンシャイン・キッドを嫌った NOTE Paragraph 00:10:43.818 --> 00:10:46.585 シャドー・ピープルの闇の行いに 光を当てたから NOTE Paragraph 00:10:46.585 --> 00:10:49.735 シャドー・ピープルが隠した場所を 照らしたとき NOTE Paragraph 00:10:49.735 --> 00:10:52.353 シャドー・ピープルは キッドを始末しようと企んだ NOTE Paragraph 00:10:52.353 --> 00:10:54.707 まずは 彼の黒点を からかった NOTE Paragraph 00:10:54.707 --> 00:10:57.525 空から彼の夢を打ち砕いた 銃弾のごとく NOTE Paragraph 00:10:57.525 --> 00:11:00.103 彼はクールではないと 思い知らせるために NOTE Paragraph 00:11:00.103 --> 00:11:02.587 お蔭で彼は 学校の人気者に溶け込めなかった NOTE Paragraph 00:11:02.587 --> 00:11:06.152 宙ぶらりんな彼の頭を 地に着けてやると言った NOTE Paragraph 00:11:06.152 --> 00:11:09.143 彼は何者でもなかったが それこそ 彼の存在価値 NOTE Paragraph 00:11:09.143 --> 00:11:11.277 彼は大学にも 行くことはなかった NOTE Paragraph 00:11:11.277 --> 00:11:14.046 彼が唯一取った“一番”は “第一”度熱傷 NOTE Paragraph 00:11:14.046 --> 00:11:15.754 近寄りすぎた者たちは 00:11:15.754 --> 00:11:17.342 彼は明るすぎると言った NOTE Paragraph 00:11:17.342 --> 00:11:19.519 だから 誰も 彼の目を見ようとはしない NOTE Paragraph 00:11:19.519 --> 00:11:20.991 彼の判断は曇った NOTE Paragraph 00:11:20.991 --> 00:11:22.915 太陽が泣き始めると NOTE Paragraph 00:11:22.915 --> 00:11:24.158 蒸発した涙で 空は曇った NOTE Paragraph 00:11:24.158 --> 00:11:29.405 サンシャイン・キッドは明るく 温かい性格で NOTE Paragraph 00:11:29.405 --> 00:11:31.332 心は燦々と燃えていた NOTE Paragraph 00:11:31.332 --> 00:11:33.701 影の人たちの汚い言葉で 傷ついていた NOTE Paragraph 00:11:33.701 --> 00:11:36.278 彼の心には穴が開き ぽっかりと傷跡が残った NOTE Paragraph 00:11:36.278 --> 00:11:40.016 彼が頑なになるにつれ 輝きを失っていった NOTE Paragraph 00:11:40.016 --> 00:11:42.600 名前が呼ばれるたび 彼の炎は勢いを失った NOTE Paragraph 00:11:42.600 --> 00:11:45.277 彼は 少し光を落とせば 彼らに好かれるかと考えた NOTE Paragraph 00:11:45.277 --> 00:11:48.468 でも 彼らは忙しなく 光はひどいと話して回った NOTE Paragraph 00:11:48.468 --> 00:11:51.254 彼はもはや ついていけなかった NOTE Paragraph 00:11:51.254 --> 00:11:54.096 彼は そんな言葉を呑み込み 影に隠れた NOTE Paragraph 00:11:54.096 --> 00:11:56.235 テキサス州のように ひとつ星の州になった NOTE Paragraph 00:11:56.235 --> 00:11:58.661 まるで みぞおちを 殴られたようだった NOTE Paragraph 00:11:58.661 --> 00:12:02.718 そこに現れたのが リトル・ミス・サンシャイン NOTE Paragraph 00:12:02.718 --> 00:12:05.650 大好きな歌を歌っていた ―私たちは強くなれる NOTE Paragraph 00:12:05.650 --> 00:12:09.156 人に合わせなくていい そのままでいい NOTE Paragraph 00:12:09.156 --> 00:12:11.362 だって 私たちの心は お星さまだから― NOTE Paragraph 00:12:11.362 --> 00:12:15.193 リトル・ミス・サンシャインは 超イケてた NOTE Paragraph 00:12:15.193 --> 00:12:17.458 一目見ただけで NOTE Paragraph 00:12:17.458 --> 00:12:19.174 すべてを忘れてしまう NOTE Paragraph 00:12:19.174 --> 00:12:21.164 彼はとにかく 彼女が忘れられなかった NOTE Paragraph 00:12:21.164 --> 00:12:23.645 一目見たときから 彼女の姿が網膜に焼き付いた NOTE Paragraph 00:12:23.645 --> 00:12:25.957 とびきり素晴らしい彼女は 彼を受け入れた NOTE Paragraph 00:12:25.957 --> 00:12:29.220 この子が好きだったのは いつも彼のそばにいると分かっていたから NOTE Paragraph 00:12:29.220 --> 00:12:32.121 事態は思ったほど暗くない 彼は夢を見た NOTE Paragraph 00:12:32.121 --> 00:12:35.055 影なんてどこにもない 彼女がいると 彼は輝いた NOTE Paragraph 00:12:35.055 --> 00:12:37.528 彼の目はランランとし もはや隠せなかった NOTE Paragraph 00:12:37.528 --> 00:12:40.667 彼女の笑顔は眩しく 憎悪の言葉も消え去った NOTE Paragraph 00:12:40.667 --> 00:12:43.865 二人は互いにニックネームを付けた 「クール・スター」「陽気・サン」 NOTE Paragraph 00:12:43.865 --> 00:12:46.615 次第に 彼に影を落としていたことも 消え去って行った NOTE Paragraph 00:12:46.615 --> 00:12:50.552 10の24乗ある宇宙の星に１つという 特別な存在の彼女は 輝かしく NOTE Paragraph 00:12:50.552 --> 00:12:53.371 冷血の爬虫類でさえ 朱に染めた NOTE Paragraph 00:12:53.371 --> 00:12:56.038 チリ人からブラジル人まで 何十億人に愛され NOTE Paragraph 00:12:56.038 --> 00:12:58.730 サンシャイン・キッドに “しなやかな心”を教えてくれた NOTE Paragraph 00:12:58.730 --> 00:13:01.562 彼女は言った 「世界中の暗闇を集めても NOTE Paragraph 00:13:01.562 --> 00:13:04.836 たった一本のろうそくに灯る明かりを 消すことなんてできない NOTE Paragraph 00:13:04.836 --> 00:13:06.946 なのに なんで君の光が 消されてしまうの？ NOTE Paragraph 00:13:06.946 --> 00:13:09.875 君自身が消しているんだよ 空は果てしない 00:13:09.875 --> 00:13:11.692 光を灯し続け 批評家を黙らせるのよ」 NOTE Paragraph 00:13:11.692 --> 00:13:14.861 心の窓である目にかかったカーテンを 彼女は再び開け NOTE Paragraph 00:13:14.861 --> 00:13:16.841 卑しき者たちにも 太陽の光を当てた NOTE Paragraph 00:13:16.841 --> 00:13:19.429 逆境の宇宙では 星々は共に身を寄せ合う NOTE Paragraph 00:13:19.429 --> 00:13:22.335 昼が夜になっても 記憶は永遠に消えない NOTE Paragraph 00:13:22.335 --> 00:13:25.031 天気予報がどうであれ 晴れ晴れとした顔で NOTE Paragraph 00:13:25.031 --> 00:13:27.668 雲に隠れても この子はずっと輝く NOTE Paragraph 00:13:27.668 --> 00:13:30.531 そう サンシャイン・キッドは明るく 温かい性格で NOTE Paragraph 00:13:30.531 --> 00:13:32.188 心は燦々と燃えていた NOTE Paragraph 00:13:32.188 --> 00:13:35.532 火に勢いを借りて 銀河の先にいる彼に NOTE Paragraph 00:13:35.532 --> 00:13:38.318 信じることを教えてくれた 彼女に支えられて NOTE Paragraph 00:13:38.318 --> 00:13:41.058 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:13:41.058 --> 00:13:47.722 （拍手）