WEBVTT 00:00:01.008 --> 00:00:04.010 みなさんの中に エリン・マッキーンの講演を訳した人はいますか? 00:00:04.010 --> 00:00:07.012 そうでない方のために こんな風です 00:00:07.012 --> 00:00:10.016 Lexicographical' は 'higgeldy piggeldy' と似ています 00:00:10.016 --> 00:00:12.475 そう思いません? 発音が面白くて 何度も言ってしまいました 00:00:12.475 --> 00:00:13.674 さらに 00:00:13.674 --> 00:00:18.033 ’higgeldy-piggeldy’ は 訳すのも楽しい言葉と思います 00:00:18.033 --> 00:00:21.032 オランダ語では 遊び歌からとって 'olleke bolleke'にしました 00:00:21.032 --> 00:00:24.000 ’Olleke bolleke, rubisolleke,’ 00:00:24.000 --> 00:00:27.023 ’olleke bolleke, rubisolleke, olleke bolleke, knol!’ 00:00:27.023 --> 00:00:30.087 幸い この遊び歌は 00:00:30.087 --> 00:00:33.064 オランダ語圏ではよく知られています 00:00:33.064 --> 00:00:37.006 オランダ語は 2300万人が母国語としていて 00:00:37.006 --> 00:00:40.028 そのうち1600万人がオランダに住んでいます 00:00:40.028 --> 00:00:44.071 600万人はフランダースとして知られる ベルギーの北部に 00:00:44.071 --> 00:00:48.047 40万人は南米のスリナム共和国に住んでいます 00:00:48.047 --> 00:00:51.084 公式の オランダ語連合 もあります 00:00:51.084 --> 00:00:53.092 さて 何が問題だと思いますか? 00:00:53.092 --> 00:00:56.527 オランダで話されているオランダ語と フランダースで話さているオランダ語は 00:00:56.527 --> 00:00:58.088 発音が大きく異なります 00:00:58.088 --> 00:01:01.067 朝 運よく ヨハン・クルイフに遭遇したら 00:01:01.067 --> 00:01:06.007 彼は 'Goeiemorgen' と言うでしょう 00:01:06.007 --> 00:01:09.015 キム・クリイシュテルスの場合は 'Goeiemorgen' と言うでしょう 00:01:09.015 --> 00:01:12.028 もちろん 字幕翻訳において これは何の問題にもなりません 00:01:12.028 --> 00:01:15.056 繰り返しますが 何が問題だと思いますか? 00:01:15.056 --> 00:01:18.012 私たちは 異なる単語を使うこともあるのです 00:01:18.012 --> 00:01:20.087 オランダ人は これを 'klokkromme' と呼んでいます 00:01:20.087 --> 00:01:23.076 フランダースでは 'Gauss-curve' と呼ばれています 00:01:23.076 --> 00:01:28.056 言い忘れていましたが 重要なことは 彼ら各々 00:01:28.056 --> 00:01:30.092 ある地域は他の地域より 標準的なオランダ語から外れている という 00:01:30.092 --> 00:01:33.079 「典型的な疑念」を持っているということです 00:01:33.079 --> 00:01:37.071 長い年月を経て オランダ人は オランダ語の名詞の性を 00:01:37.071 --> 00:01:39.051 気にしなくなりました 00:01:39.051 --> 00:01:42.084 オランダ人男性の何人かは 00:01:42.084 --> 00:01:45.004 牛が オスかメスかを気にしているかもしれませんが 00:01:45.004 --> 00:01:47.079 フランダースでは 冷やかしでそう言ったりします 00:01:47.079 --> 00:01:51.071 また一方ベルギーでは 好き嫌いに関わらず 00:01:51.071 --> 00:01:53.744 オランダ語は 00:01:53.744 --> 00:01:56.417 フランス語を話す同国人の影響を受けて 00:01:56.417 --> 00:01:59.342 奇妙な構文が フランス語から取り入れられることがあります 00:01:59.342 --> 00:02:02.076 つまり ここに問題があるわけです 00:02:02.076 --> 00:02:04.076 オランダ出身の校正者が 00:02:04.076 --> 00:02:07.031 ベルギー出身者の翻訳を校正しようとすると 00:02:07.031 --> 00:02:10.000 校正者自身は使用しないような 00:02:10.000 --> 00:02:12.008 文章を見つけることがあるのです 00:02:12.008 --> 00:02:13.191 逆のことも起こります 00:02:13.191 --> 00:02:15.071 これを知らずに 00:02:15.071 --> 00:02:17.084 校正を始めると 00:02:17.084 --> 00:02:19.063 終わりのない押し問答になってしまいます 00:02:19.063 --> 00:02:22.008 TEDの翻訳校正を始めた頃 私はこれを経験しました 00:02:22.008 --> 00:02:26.056 正直に言うと 私は翻訳を始めた頃 00:02:26.056 --> 00:02:29.084 私の国出身の翻訳者に校正してもらえるように 気をつけていました 00:02:29.084 --> 00:02:32.063 「別の立場」から校正されるのは 00:02:32.063 --> 00:02:34.063 不安だったからです 00:02:34.063 --> 00:02:37.012 しかし 限られた数の基本ルールを守れば 00:02:37.012 --> 00:02:39.031 この問題は簡単に乗り越えられる 00:02:39.031 --> 00:02:42.019 ということが すぐにわかりました 00:02:42.019 --> 00:02:45.052 これが 私が今回みなさんに伝えたかったことです 00:02:45.052 --> 00:02:49.024 「誰が正しいか」という議論を 終わらせる最良の方法は 00:02:49.024 --> 00:02:51.071 基準を合意しておく ということです 00:02:51.071 --> 00:02:53.091 オランダ人にとっては とても簡単なことです 00:02:53.091 --> 00:02:56.075 公式の類語辞典や主要な辞書 00:02:56.075 --> 00:03:00.052 基本的な文法は オンラインで見ることができます 00:03:00.052 --> 00:03:03.004 これらは オランダとベルギーで 00:03:03.004 --> 00:03:05.008 広く使われています 00:03:05.008 --> 00:03:07.004 翻訳の初めに 00:03:07.004 --> 00:03:09.063 これらを基準とすることを示しておけば 00:03:09.063 --> 00:03:12.004 ストレスや議論を避けられます 00:03:12.004 --> 00:03:14.047 たとえ異なる単語があっても 00:03:14.047 --> 00:03:16.481 それは片方の地域では非常に稀なものでしょう 00:03:17.761 --> 00:03:19.047 klokkromme'を例に見てみます 00:03:19.047 --> 00:03:22.003 これはベルギーでは めったに使われない単語ですが 00:03:22.003 --> 00:03:24.745 理解するのは簡単です 00:03:24.745 --> 00:03:27.015 TED Talksのように 00:03:27.015 --> 00:03:29.047 コンテクストがある場合には特に簡単です 00:03:29.047 --> 00:03:31.084 これを オランダ人が普段使用しない単語に 00:03:31.084 --> 00:03:34.028 置き換えることは 意味のないことです 00:03:34.028 --> 00:03:36.028 私はこれを 「広める価値のある単語」 00:03:36.028 --> 00:03:38.004 として扱う方がずっと良いと思います 00:03:38.004 --> 00:03:41.724 もちろん 難しい単語である場合は 00:03:41.734 --> 00:03:43.052 話は別です 00:03:43.052 --> 00:03:44.071 とはいえ 00:03:44.071 --> 00:03:47.059 フランドル語に置き換えるよりは ずっと良いでしょう 00:03:47.059 --> 00:03:50.012 私は 私の翻訳パートナーに 00:03:50.012 --> 00:03:53.086 お互いが許容できる 代替案を探すことを提案します 00:03:53.086 --> 00:03:55.087 私がオランダ語の翻訳や校正をするときに 00:03:55.087 --> 00:03:57.047 心に留めておくようにしていることを 00:03:57.047 --> 00:03:59.091 紹介して終わりたいと思います 00:04:00.481 --> 00:04:03.015 まず第一に 読む人のことを考えます 00:04:03.015 --> 00:04:05.237 異なる地域出身の人々のために書いています 00:04:05.237 --> 00:04:08.036 その人たちの立場に立つように心がけて 00:04:08.036 --> 00:04:10.028 翻訳した言葉や表現が 00:04:10.028 --> 00:04:12.004 分かりづらくならないようにします 00:04:12.004 --> 00:04:15.028 また 校正する場合は特に 00:04:15.028 --> 00:04:17.016 翻訳パートナーのことを心に留めます 00:04:17.016 --> 00:04:18.357 校正を始めたころ 00:04:18.357 --> 00:04:21.072 パートナーと連絡を取らずに 00:04:21.072 --> 00:04:24.043 翻訳を校正済みとしてしまったことがありました 00:04:24.043 --> 00:04:27.007 今思うと わずかな 00:04:27.007 --> 00:04:29.068 明らかにわかる間違いしか修正しませんでした 00:04:29.068 --> 00:04:32.072 それからは 私は常に翻訳者と連絡を取り 00:04:32.072 --> 00:04:34.004 彼らが私の提案に納得しているか 00:04:34.004 --> 00:04:35.748 確認しています 00:04:35.748 --> 00:04:39.031 それから 私はTEDのために翻訳をしている ということを 忘れないようにしています 00:04:39.031 --> 00:04:42.992 興味深いアイディアを 広める手伝いをするために しているのです 00:04:43.000 --> 00:04:46.017 つまり 他の翻訳者たちと 勝ち負けを 争っているわけではなく 00:04:46.036 --> 00:04:48.075 できるだけ多くの視聴者が 00:04:48.075 --> 00:04:50.006 TEDを体験できるように 00:04:50.006 --> 00:04:52.095 ともに働いているのです 00:04:52.095 --> 00:04:56.051 昨年 あるオランダ出身のTED翻訳者が 00:04:56.051 --> 00:04:58.056 オランダ出身者向けと ベルギー出身者向けに 00:04:58.056 --> 00:05:00.043 翻訳を分けるべきだろうかと 00:05:00.043 --> 00:05:02.532 私に尋ねました 00:05:02.532 --> 00:05:04.092 私は彼に それは私にとっては 00:05:04.092 --> 00:05:06.039 意味を成さないことだ と伝えました 00:05:06.039 --> 00:05:08.006 アイディアを広めるために 00:05:08.006 --> 00:05:10.031 二倍の労力を要するだけだからです 00:05:10.031 --> 00:05:12.048 そのことがあったおかげで 00:05:12.048 --> 00:05:15.019 より上手く共通ルールを 見つけることができるようになりました 00:05:15.019 --> 00:05:17.036 最後に伝えたいことは 00:05:17.036 --> 00:05:19.019 TEDの翻訳は私にとって 00:05:19.019 --> 00:05:21.006 非常に実り多い経験であるということです 00:05:21.006 --> 00:05:23.075 締めくくりは 00:05:23.075 --> 00:05:25.027 TED翻訳の仲間に向けたものです 00:05:25.027 --> 00:05:27.043 私は 一種の 00:05:27.043 --> 00:05:29.043 ハンス・ロスリング グラフを 00:05:29.043 --> 00:05:31.983 作りたかったのですが 00:05:32.012 --> 00:05:33.583 この中に出てくる名前の大きさは 00:05:33.583 --> 00:05:36.008 私が彼らと一緒に作業をした回数を表しています 00:05:36.008 --> 00:05:40.051 すばらしいワークショップと 00:05:40.051 --> 00:05:46.268 TEDグローバル2011の成功をお祈りします