WEBVTT 00:00:00.611 --> 00:00:04.212 みんなが気になっている疑問に答えましょう 00:00:04.212 --> 00:00:05.329 疑問とは ― 00:00:05.329 --> 00:00:07.613 なぜ未知数を X で表すのか? 00:00:07.613 --> 00:00:09.611 なぜ未知数を X で表すのか? 00:00:09.611 --> 00:00:12.578 確かに数学の授業では習いますが 00:00:12.578 --> 00:00:14.329 文化のいたるところで目にします 00:00:14.329 --> 00:00:17.130 「Xプライズ」「Xファイル」 ― 00:00:17.130 --> 00:00:21.053 「プロジェクトX」「TEDx」 ... 00:00:21.053 --> 00:00:23.048 X はどこから来たのでしょう? NOTE Paragraph 00:00:23.048 --> 00:00:24.266 6年程前 アラビア語を学んでいて 00:00:24.266 --> 00:00:26.982 6年程前 アラビア語を学んでいて 00:00:26.982 --> 00:00:30.934 極めて論理的な言語だと知りました 00:00:30.934 --> 00:00:33.251 アラビア語で語句や文を書くのは 00:00:33.251 --> 00:00:34.932 アラビア語で語句や文を書くのは 00:00:34.932 --> 00:00:37.165 まるで方程式を立てるようです 00:00:37.165 --> 00:00:39.531 個々の部分は極めて正確で 00:00:39.531 --> 00:00:42.383 多くの情報をもっています 00:00:42.383 --> 00:00:43.733 これが一因となって 00:00:43.733 --> 00:00:45.248 私達が西洋発と考えがちな 00:00:45.248 --> 00:00:49.067 科学や数学 工学の多くが 実際は 紀元後最初の数世紀に 00:00:49.067 --> 00:00:52.389 ペルシャ人やアラブ人 トルコ人によって 00:00:52.389 --> 00:00:55.705 既に生み出されていたのです NOTE Paragraph 00:00:55.705 --> 00:00:58.022 アラビア語で“al-jebr”と呼ぶ手法も そうです 00:00:58.022 --> 00:00:59.738 アラビア語で“al-jebr”と呼ぶ手法も そうです 00:00:59.738 --> 00:01:02.906 簡単に訳すと“al-jebr”とは 00:01:02.906 --> 00:01:06.605 「バラバラな部分を組み合わせる手法」です 00:01:06.605 --> 00:01:10.655 この言葉は英語の“algebra”「代数学」になりました 00:01:10.655 --> 00:01:12.822 これは ほんの1例です NOTE Paragraph 00:01:12.822 --> 00:01:16.788 この数学的知識を載せたアラビア語の文献は 00:01:16.788 --> 00:01:18.571 ようやく 11~12世紀に 00:01:18.571 --> 00:01:19.857 ヨーロッパの中でも スペインに伝わり 00:01:19.857 --> 00:01:22.322 ヨーロッパの中でも スペインに伝わり 00:01:22.322 --> 00:01:23.472 その結果 これをヨーロッパの言語に 00:01:23.472 --> 00:01:25.355 その結果 これをヨーロッパの言語に 00:01:25.355 --> 00:01:27.089 翻訳する気運が高まりました 00:01:27.089 --> 00:01:28.738 翻訳する気運が高まりました NOTE Paragraph 00:01:28.738 --> 00:01:30.756 ただ問題がありました 00:01:30.756 --> 00:01:32.473 それは 00:01:32.473 --> 00:01:35.106 アラビア語のいくつかの音は 00:01:35.106 --> 00:01:38.105 相当練習しない限り ヨーロッパ人には 00:01:38.105 --> 00:01:40.372 発音が難しいのです 00:01:40.372 --> 00:01:42.106 私もそうでした 00:01:42.106 --> 00:01:44.323 さらに 音の多くが 00:01:44.323 --> 00:01:46.237 ヨーロッパ諸言語の文字では 00:01:46.237 --> 00:01:49.825 表せなかったのです NOTE Paragraph 00:01:49.825 --> 00:01:51.639 問題の音の1つがこれです 00:01:51.639 --> 00:01:53.523 これは「シィーン」という文字で 00:01:53.523 --> 00:01:57.122 英語のSHの音 すなわち [シ] を表します 00:01:57.122 --> 00:01:59.724 また これは“shalan”「何か」の最初の文字です 00:01:59.724 --> 00:02:02.156 また これは“shalan”「何か」の最初の文字です 00:02:02.156 --> 00:02:03.950 これは英語の“something” ― 00:02:03.950 --> 00:02:05.798 これは英語の“something” ― 00:02:05.798 --> 00:02:09.084 「ある不特定で未知のもの」に対応します NOTE Paragraph 00:02:09.084 --> 00:02:10.249 アラビア語では これに 00:02:10.249 --> 00:02:11.450 アラビア語では これに 00:02:11.450 --> 00:02:13.598 定冠詞 “al” を付けて 00:02:13.598 --> 00:02:16.200 限定表現の“al-shalan” 「その未知のもの」にします 00:02:16.200 --> 00:02:17.850 限定表現の“al-shalan” 「その未知のもの」にします 00:02:17.850 --> 00:02:21.153 この言葉は 初期の数学では頻繁に現れます 00:02:21.153 --> 00:02:28.353 例えば この10世紀のルートの解き方です NOTE Paragraph 00:02:28.353 --> 00:02:30.863 一方 翻訳にあたった ― 00:02:30.863 --> 00:02:33.431 中世スペインの学者達が 直面した問題は 00:02:33.431 --> 00:02:37.913 文字「シィーン」や 単語 “shalan”を スペイン語にできないことでした 00:02:37.913 --> 00:02:39.863 文字「シィーン」や 単語 “shalan”を スペイン語にできないことでした 00:02:39.863 --> 00:02:42.449 スペイン語には [シ] の音がないからです 00:02:42.449 --> 00:02:43.746 スペイン語には [シ] の音がないからです 00:02:43.746 --> 00:02:45.328 そこで彼らは慣例にならい 規則を作りました 00:02:45.328 --> 00:02:46.994 そこで彼らは慣例にならい 規則を作りました 00:02:46.994 --> 00:02:51.212 古代ギリシャ語からCKの音 [ク] を 00:02:51.212 --> 00:02:52.960 「カイ」の文字を用いて 借りたのです 00:02:52.960 --> 00:02:55.641 「カイ」の文字を用いて 借りたのです NOTE Paragraph 00:02:55.641 --> 00:02:58.360 後にヨーロッパ共通の言語である 00:02:58.360 --> 00:03:00.708 ラテン語に翻訳する時 ― 00:03:00.708 --> 00:03:02.758 ギリシャ語の「カイ」を 00:03:02.758 --> 00:03:04.791 ギリシャ語の「カイ」を 00:03:04.791 --> 00:03:07.141 そのままラテン文字 X に置き換えました 00:03:07.141 --> 00:03:08.410 そのままラテン文字 X に置き換えました 00:03:08.410 --> 00:03:10.875 これがラテン語に入り 00:03:10.875 --> 00:03:14.458 ほぼ600年間にわたって 数学の教科書の 00:03:14.458 --> 00:03:16.541 基礎になったのです NOTE Paragraph 00:03:16.541 --> 00:03:18.559 これで答えが明らかになりました 00:03:18.559 --> 00:03:21.340 なぜ未知数を X で表すのか? 00:03:21.340 --> 00:03:23.163 その理由は ― 00:03:23.163 --> 00:03:26.945 スペイン語で [シ] と発音できないからです 00:03:26.945 --> 00:03:29.329 (笑) 00:03:29.329 --> 00:03:31.646 これは伝える価値があると思います NOTE Paragraph 00:03:31.646 --> 00:03:34.763 (拍手)