WEBVTT 00:00:01.296 --> 00:00:04.268 僕は『DOOM』を 一度もクリアしていない 00:00:04.308 --> 00:00:09.560 『DOOM』は好きだし、傑作だ ここ数年で最高の格闘シューターだ 00:00:09.600 --> 00:00:14.035 だがある時点で興味を失ってしまい 結局クリアできなかった 00:00:14.075 --> 00:00:17.948 一方、他のゲームは 『DOOM』ほど好きじゃないのに 00:00:17.988 --> 00:00:21.078 最後まですっかり夢中になった 00:00:21.118 --> 00:00:26.785 それでプレイヤーを「夢中」にし続けるための もっと良い方法はないのか疑問に思った 00:00:26.825 --> 00:00:29.122 ところで僕はこの単語を使いたい 00:00:29.162 --> 00:00:32.675 僕が話すのは夢中になるゲームであって 中毒ゲームではない 00:00:32.715 --> 00:00:36.400 責任ある開発者は 中毒ゲームを作るべきじゃないと思う 00:00:36.440 --> 00:00:41.314 だから僕はプレイヤーが自制できないように 設計されたゲームには興味がないし 00:00:41.354 --> 00:00:44.532 心理的策略を使ったゲームのことも 話さない 00:00:44.572 --> 00:00:50.440 例えば、スキナー箱、毎日の報酬 資源の劣化、損失回避などの詐術だ 00:00:50.480 --> 00:00:57.105 これはそういう動画ではないので、代わりに ゲームを遊び続けたくなるような楽しいことを話したい 00:00:57.145 --> 00:00:59.620 脳を完全に乗っ取ることなくだ 00:00:59.660 --> 00:01:02.721 Game Maker’s Toolkit へようこそ 僕はマーク・ブラウン 00:01:02.761 --> 00:01:06.720 今回はプレイヤーを夢中にし続ける方法だ (邪悪にならずに) 00:01:08.082 --> 00:01:14.461 不可欠な要素は「ペース配分」だ これは経験するゲームプレイのリズムを表し 00:01:14.501 --> 00:01:19.035 ゲームが退屈で繰り返し的になることを 防ぐ最重要項目だ 00:01:19.075 --> 00:01:24.605 『アンチャーテッド』などのゲームには 多種多様なゲームプレイがあり 00:01:24.645 --> 00:01:26.833 これはよく「柱」と呼ばれている 00:01:26.873 --> 00:01:31.771 これには戦闘、登攀、パズル 映画的な固定イベントや 00:01:31.811 --> 00:01:35.161 カットシーンのような 操作できないものまで含まれる 00:01:35.201 --> 00:01:39.546 注目すべきは、Naughty Dog は これらの柱を常に切り替えており 00:01:39.586 --> 00:01:42.636 1種類のゲームプレイを 長引かせないことだ 00:01:42.676 --> 00:01:46.927 つまり、例えば敵を撃つことに 飽きてくるとすぐに 00:01:46.967 --> 00:01:51.927 ゲームが完全に別物に変わり 上手くいけばプレイヤーの興味を取り戻すのだ 00:01:51.967 --> 00:01:55.008 だが個々の柱の強度を考慮してもいい 00:01:55.048 --> 00:01:59.259 パズルは大抵、激しい銃撃戦よりも ずっと穏やかなのだ 00:01:59.299 --> 00:02:02.749 また異なる強度を 滑らかに切り替えることが重要だ 00:02:02.789 --> 00:02:06.803 平穏なゲームプレイに長時間を費やすのは 明らかに退屈だからだ 00:02:06.843 --> 00:02:10.717 だが一方で、ゲームを最大強度で 長く続けようとすると 00:02:10.757 --> 00:02:13.923 疲労感や感覚の鈍化に繋がってしまう 00:02:13.963 --> 00:02:17.042 そのため Naughty Dog は これらの気分を慎重に調整する 00:02:17.082 --> 00:02:22.826 平穏なパズルや登攀から 街での激しい銃撃戦に移行する様子を見てくれ 00:02:22.866 --> 00:02:25.958 それから少し落ち着いた操車場を 探検した後は 00:02:25.998 --> 00:02:29.454 列車で戦っていくうちに 激しさが増していき 00:02:29.494 --> 00:02:32.392 非常に強烈な映画っぽい場面になる 00:02:34.666 --> 00:02:38.022 だがその後は 作中で最も穏やかな場面に変わる 00:02:38.062 --> 00:02:42.951 チベット村で回復して パズル満載の山をテンジンと探索した後は 00:02:42.991 --> 00:02:46.801 村に戻って激しい包囲戦で 同じことを繰り返す 00:02:46.841 --> 00:02:50.778 『アンチャーテッド2』は僕の中では 最高のペース配分のゲームであり 00:02:50.818 --> 00:02:55.383 個人的には、初見プレイ時に ゲームをやめるのはほぼ不可能だと思った 00:02:55.423 --> 00:03:01.256 もちろん、こうした映画的なペース配分は 厳格に制御された一本道の体験のほうが 00:03:01.296 --> 00:03:04.626 プレイヤーが何でもできる オープンワールドよりも簡単だ 00:03:04.666 --> 00:03:10.342 だがプレイヤーに色々な遊びを用意して 飽きたときに自分で遊びを調整させることは 00:03:10.382 --> 00:03:12.110 確かに役立つだろう 00:03:12.453 --> 00:03:16.881 ペース配分は、開発者がゲームプレイの柱を 上手く操るだけでなく 00:03:16.921 --> 00:03:20.566 全く新しいアイデアを導入する頻度も重要だ 00:03:20.606 --> 00:03:24.643 新たなエリア、仕様、敵の種類などだ 00:03:24.980 --> 00:03:30.324 マリオはこの点が素晴らしい ステージごとに何が出るのか分からないのだ 00:03:30.364 --> 00:03:35.796 だからゲームプレイの種類にそれほど多様性がなく ほぼジャンプするだけにも関わらず 00:03:35.836 --> 00:03:38.940 常に新しい遊び方を導入することで 00:03:38.980 --> 00:03:43.746 プレイヤーを夢中にさせて 次のステージを見たいと思わせている 00:03:43.786 --> 00:03:49.513 新奇性は、謎、期待、伏線と組み合わせると さらに効果的だ 00:03:49.553 --> 00:03:55.366 何か新しいものが出るぞとプレイヤーをじらせば それを見るまでプレイをやめられなくなる 00:03:55.406 --> 00:03:59.288 例えば『The Witness』では 最初のエリアから出ると 00:03:59.328 --> 00:04:03.210 大半のプレイヤーと同じく すぐにこのドアに出くわすだろう 00:04:03.250 --> 00:04:07.825 このパズルは現時点の知識では 根本的に解くことができない 00:04:07.865 --> 00:04:12.614 だがこれが頭に残るので ドアの向こうに何があるのか知りたくなる 00:04:12.654 --> 00:04:15.500 この種のものは長期間 遊び続けられる 00:04:15.540 --> 00:04:21.593 『ダークソウル』でセンの古城を見たとき 巨大な扉の向こう側を見たくなっただろ? 00:04:21.633 --> 00:04:25.309 次に何が待ち受けているのか 分からないため 00:04:25.349 --> 00:04:28.708 ソウルシリーズは やめるのがとても難しいのだ 00:04:28.748 --> 00:04:32.475 メトロイドヴァニアもこれが上手い 例えば『Hollow Knight』では 00:04:32.515 --> 00:04:37.690 面白い新能力を得ることをすぐに確立するが それが何なのかは教えない 00:04:37.730 --> 00:04:41.630 環境内のまだ対処できない障害物で プレイヤーをじらすことで 00:04:41.670 --> 00:04:46.015 次にどんなクールな新能力が得られるのか 予測させている 00:04:46.055 --> 00:04:51.001 プレイヤーに新要素を与えることは 飽きさせないための刺激的な動機付けだが 00:04:51.041 --> 00:04:55.464 これはすぐに燃え尽きてしまい またすぐに次のものが必要になる 00:04:55.504 --> 00:05:00.032 だがプレイヤーをじらせば 新しい要素を出す前にワクワクさせることができ 00:05:00.072 --> 00:05:03.431 新要素を出すまでの時間を 延ばすことができる 00:05:03.471 --> 00:05:04.921 経済的だ! 00:05:04.961 --> 00:05:08.709 だが謎を置く最適な場所は 物語だろう 00:05:08.749 --> 00:05:12.425 従来のメディアはクリフハンガーや 答えのない問いを使うことで 00:05:12.465 --> 00:05:15.669 ページをめくらせたり 広告を見させたりするが 00:05:15.709 --> 00:05:19.188 これを上手くやってるゲームは 驚くほど少ない 00:05:19.228 --> 00:05:22.446 だが僕は時々 『Firewatch』みたいなゲームを遊ぶ 00:05:22.486 --> 00:05:27.192 これは火災監視塔で働く男が スリラーに巻き込まれるゲームで 00:05:27.232 --> 00:05:30.748 結末をハッキリと知るまで プレイヤーはやり続けるだろう 00:05:30.788 --> 00:05:35.044 そして確かに結末は満足できるものだ 君が理解してないだけだ 00:05:36.563 --> 00:05:42.771 ゲームにできる最も魅力的な要素の1つは 長期目標に向かってプレイヤーを前進させることだ 00:05:42.811 --> 00:05:48.041 目標となるレベル上限や 収集アイテムがいっぱいある地図を与えれば 00:05:48.081 --> 00:05:52.254 プレイヤーは何週間もハマり込むのだ だがもう少し深く掘り下げてみよう 00:05:52.294 --> 00:05:56.837 これを上手くやっているのが 素敵な農業シムの『Stardew Valley』で 00:05:56.877 --> 00:06:02.295 長期目標が暗黙のうちに備わっているのだ 最初の畑は乱雑で、お金も無いが 00:06:02.335 --> 00:06:07.922 やがてその土地を素晴らしい農場に改良して 大金を稼ぐようになる 00:06:07.962 --> 00:06:13.012 そしてその夢のおかげで 何時間もの苦労や激務や—— 00:06:13.052 --> 00:06:15.949 正直に言えば、反復作業を続けられるのだ 00:06:15.989 --> 00:06:17.826 ではなぜそれで頑張れるのか? 00:06:17.866 --> 00:06:21.270 自分の好きなように農場を作れるのは クールだと思う 00:06:21.310 --> 00:06:26.437 自分を表現し、自分の目標を設定し 本当に誇れるものを作ることができる 00:06:26.477 --> 00:06:29.724 このゲームは遊び続けるための 短期目標が多い 00:06:29.764 --> 00:06:36.415 コミュニティセンターのような小さな報酬や 建物の増設、自宅の改築などの重要な節目は 00:06:36.455 --> 00:06:41.384 より長期的な目標へ向かって頑張るための 当面の目標を与えてくれる 00:06:41.424 --> 00:06:46.287 また計画という大変な要素もあり 長期的に考えて決める必要がある 00:06:46.327 --> 00:06:51.222 色々な作物、動物、季節、恋人などなど 00:06:51.262 --> 00:06:57.527 目標に向かって何も考えずに歩くのではなく より早く到達するために戦略的な選択をするのだ 00:06:57.567 --> 00:07:00.379 指数関数的な成長のスリルもある 00:07:00.419 --> 00:07:04.945 ゲーム内で小銭を稼いだら、より多くの種や もっと良い道具を購入できる 00:07:04.985 --> 00:07:10.932 するともっとお金を稼いで、もっと買い物をして 大金を稼ぐことができる 00:07:10.972 --> 00:07:15.415 この正のフィードバックループは 多くの夢中になるゲームの中心だ 00:07:15.455 --> 00:07:19.600 例えば『モンスターハンター』では 狩りをしてキャラを強化する 00:07:19.640 --> 00:07:24.091 また『Stardew Valley』でシステムを 最適化するのは本当に楽しい 00:07:24.131 --> 00:07:30.611 最初は手作業で水やりをするが、最終的には 散水機が面倒な作業をやってくれるようになる 00:07:30.651 --> 00:07:36.773 これを上手くやっているのが『Factorio』で 任務は工場を建設することだ 00:07:36.813 --> 00:07:41.942 最初は手作業で資源を採掘するのだが ゆくゆくは採掘用の機械を作る 00:07:41.982 --> 00:07:45.263 これらの機械は 最初は燃料が必要だが 00:07:45.303 --> 00:07:49.331 最終的には枯渇しない天然資源が 動力源になる 00:07:49.371 --> 00:07:55.198 魅力を感じるのはプログラマーだけかもしれないが 最適化された自動システムを作りたいという欲求は 00:07:55.238 --> 00:07:56.772 非常に強力だ 00:07:56.812 --> 00:08:02.356 長期目標を好む最後の理由は それを達成したときにどうなるのかを 00:08:02.396 --> 00:08:04.381 プレイヤーが想像できるからだ 00:08:04.421 --> 00:08:09.848 例えばスキルツリーでは、プレイヤーは ただ単にスキルを解除するのではなく 00:08:09.888 --> 00:08:13.515 全てのスキルを使える日を 楽しみにしているのだ 00:08:13.555 --> 00:08:18.802 敵をボコボコにしたり、最初は難しかったものを 簡単に処理したりするのだ 00:08:18.842 --> 00:08:24.028 難易度と言えば、もう1つの大きな動機付けは 魅力的な挑戦だ 00:08:24.068 --> 00:08:30.136 色々な面白い状況でゲームの腕前を発揮するように 常に求めてくるゲームは 00:08:30.176 --> 00:08:32.139 本当に飽きることがない 00:08:32.179 --> 00:08:35.142 ただし、これには完璧な難易度が必要だ 00:08:35.182 --> 00:08:40.360 『バイオ4』の動画で話したように プレイヤーがフロー状態になるのは 00:08:40.400 --> 00:08:46.222 退屈なほど簡単ではないが緊張するほど難しくもない 課題に出会ったときだけだ 00:08:46.262 --> 00:08:51.677 『バイオ4』では可変的な難易度によって フロー状態を維持するが、大半のゲームでは 00:08:51.717 --> 00:08:56.483 細かく調整され、徹底的にプレイテストされた 難易度曲線が最適だ 00:08:56.523 --> 00:09:01.941 とはいえ、失敗は悪いことじゃないぞ 最も夢中になるゲーム、例えば—— 00:09:01.981 --> 00:09:06.473 『テトリス』や『Spelunky』では 失敗をたくさんするが、人々はゲームに戻ってくる 00:09:06.513 --> 00:09:10.824 それは1プレイが比較的短くて 毎回上達している感覚があり 00:09:10.864 --> 00:09:14.934 次のプレイは著しく違うものになると 分かっているからだ 00:09:14.974 --> 00:09:17.658 大抵はランダム生成のおかげだ 00:09:17.698 --> 00:09:20.747 また挑戦課題には色々な形があるので 00:09:20.787 --> 00:09:25.502 反射神経や腕前のテストは 常に必要なわけではない 00:09:25.542 --> 00:09:31.009 プレイヤーの問題解決力、空間認識力 意思決定力に課題を出して 00:09:31.049 --> 00:09:35.102 精神的刺激を与えることで 身体的な課題とのバランスを取ってほしい 00:09:35.983 --> 00:09:39.651 これらの要素は 僕にとっては本当に効果的で 00:09:39.691 --> 00:09:43.027 僕が特定のゲームに惹かれる理由も 説明できる 00:09:43.067 --> 00:09:47.626 僕にとって、一番ワクワクするゲームとは 斬新な体験に満ちていて 00:09:47.666 --> 00:09:50.716 それが謎や期待を通じて じらされるものだ 00:09:50.756 --> 00:09:56.429 『ダークソウル』『メトロイド』『The Witness』 などのゲームはやめられない 00:09:56.469 --> 00:10:00.008 でもこれで僕が他のゲームを 途中でやめた理由も分かる 00:10:00.048 --> 00:10:03.744 『DOOM』は良作だが ペース配分は間違っている 00:10:03.784 --> 00:10:07.691 激しい戦闘が延々と続くと かなり疲れるし 00:10:07.731 --> 00:10:11.516 『Titanfall 2』のような新奇性もない 00:10:11.556 --> 00:10:13.948 だがハマる要素は プレイヤーごとに異なる 00:10:13.988 --> 00:10:19.944 君には、実在するゲーマーとの競争や 他人に自慢できる報酬が必要なのかもしれない 00:10:19.984 --> 00:10:21.637 分からん 君を知らないのでね 00:10:21.677 --> 00:10:26.478 だからコメント欄で 最後に夢中になったゲームを思い出して 00:10:26.518 --> 00:10:29.955 やめられなかった理由を 教えてほしい 00:10:30.035 --> 00:10:30.555 (字幕翻訳:Nekofloor) 00:10:30.625 --> 00:10:31.601 ご視聴ありがとう! 00:10:31.641 --> 00:10:36.519 GMTK の目標の1つは、好きなゲームを なぜ好きなのか考えてもらうことだ 00:10:36.559 --> 00:10:39.205 僕はここで考える材料を 提供できたと思う 00:10:39.245 --> 00:10:44.019 いつものように、この動画は素晴らしい Patreon の支援でのみ成り立っている 00:10:44.059 --> 00:10:45.227 みんなで頑張るぞ!