WEBVTT 00:00:01.460 --> 00:00:03.760 僕は未だに『DOOM』を クリアしていない 00:00:04.260 --> 00:00:05.520 僕は DOOM が好きだ! 00:00:05.520 --> 00:00:06.400 素晴らしい 00:00:06.410 --> 00:00:09.540 射撃系ゲームの戦闘としては ここ数年で最高だ 00:00:09.540 --> 00:00:14.160 だがある時点で興味を失ってしまい 最後まで終わらせられなかった 00:00:14.160 --> 00:00:20.880 一方で他のゲームは、DOOM ほど好きではないのに 僕を最後まで完全に熱中させた 00:00:21.240 --> 00:00:26.640 それで、ゲームが遊び手を没頭させ続けるには どうすれば良いか疑問に思った 00:00:26.640 --> 00:00:29.140 「ENGAGED(夢中にさせる)」 僕がここで使いたい言葉がこれだ 00:00:29.140 --> 00:00:33.540 僕が言っているのは「魅力的」なゲームであって 「中毒性」があるゲームではない 00:00:33.540 --> 00:00:36.520 責任あるデザイナーであれば 中毒ゲームは制作すべきではない 00:00:36.520 --> 00:00:41.260 だから僕は、遊び手が自制できないような ゲームには興味がないので 00:00:41.260 --> 00:00:44.540 心理的な詭計を用いたゲームについては 話すつもりはない 00:00:44.540 --> 00:00:50.640 例えばスキナー箱、毎日の報酬、資源の減少 損失回避、などの詐術だ 00:00:50.640 --> 00:00:52.120 今回はそういった動画ではない 00:00:52.120 --> 00:00:57.060 代わりに、ゲームを遊び続けさせる為の 楽しいことについて話したい 00:00:57.060 --> 00:00:59.640 脳を完全にハイジャックしない方法で、だ 00:00:59.640 --> 00:01:02.800 Game Maker’s Toolkit へようこそ 僕はマーク・ブラウン 00:01:02.800 --> 00:01:06.720 今回はプレイヤーを熱中させ続ける方法だ (悪魔的ではないやり方で) 00:01:07.980 --> 00:01:14.560 重要な要素は「ペース配分」だ これは体験する遊びのリズムを記述し 00:01:14.570 --> 00:01:19.260 ゲームが退屈で反復的にならないようにする為の 最重要項目である 00:01:19.260 --> 00:01:24.700 『アンチャーテッド』のようなゲームでは 多種多様な遊びがあることが分かるだろう 00:01:24.700 --> 00:01:26.780 これはよく「支柱」と呼ばれる 00:01:26.780 --> 00:01:32.060 これには戦闘・登攀・謎解き 映画的な一連の見せ場や 00:01:32.060 --> 00:01:35.200 カットシーンの様な 操作不能なものまで含まれる 00:01:35.200 --> 00:01:39.900 ここで気付くのは、Naughty Dog が これらの支柱を絶えず交換し続けることで 00:01:39.900 --> 00:01:42.780 1つの種類の遊びを 長引かせたりしないことだ 00:01:42.780 --> 00:01:49.300 つまり、敵を撃つことに飽き始めたのであれば すぐにゲームは全体が別物に切り替わり 00:01:49.300 --> 00:01:51.940 お望みのように プレイヤーの注意を回復してくれるのだ 00:01:51.940 --> 00:01:55.040 だが個々の支柱の強度を考慮することもできる 00:01:55.040 --> 00:01:59.340 何故なら、パズルは狂乱の銃撃戦よりも ずっと平穏であることが多いからだ 00:01:59.340 --> 00:02:02.700 そして異なる強度の間を 流れるように移動することが重要だ 00:02:02.700 --> 00:02:06.900 平穏なプレイに長時間を費やすことは 明らかに退屈だからだ 00:02:06.900 --> 00:02:10.840 しかし同時に、最大強度のゲームを 長時間維持しようとすると 00:02:10.840 --> 00:02:13.940 疲労感や、感覚の鈍化に繋がってしまう 00:02:13.940 --> 00:02:17.140 その為 Naughty Dog はこうした心的状態を 慎重に調整している 00:02:17.140 --> 00:02:23.020 平穏な謎解きや崖登りから 都市での銃撃戦に移行する様子をご覧いただきたい 00:02:23.020 --> 00:02:29.940 その後、操車場を静かに探検し 列車に沿って戦闘するに従って激しさは増加する 00:02:29.940 --> 00:02:32.500 そして、非常に強烈な 映画的瞬間へ繋がっていく 00:02:34.780 --> 00:02:39.940 だがこれら全ては、ゲーム内で最も平穏な チベット村での治療回復の場面に繋がり 00:02:39.940 --> 00:02:43.080 テンジンとパズル満載の雪山を探索した後は― 00:02:43.080 --> 00:02:46.780 村落で激烈な包囲攻撃が 再び始まるのである 00:02:46.780 --> 00:02:50.820 『アンチャーテッド2』は知りうる限り最高の ペース配分をいくつか備えており 00:02:50.820 --> 00:02:55.380 個人的に、初見プレイの際は ゲームを途中で止めるのはほぼ不可能だった 00:02:55.380 --> 00:03:01.300 勿論、こうした映画的なペース配分は 厳格に制御された一本道の体験であるという点で 00:03:01.300 --> 00:03:04.580 プレイヤーが好きに行動できるオープンワールドの 作品よりもずっと簡単である 00:03:04.590 --> 00:03:08.550 だがプレイヤーが多種多様な行動をとれるように しておけば、もし飽きてしまっても 00:03:08.550 --> 00:03:12.420 プレイヤー自身が自分で楽しみを調整できるのは 確かに助けになるだろう 00:03:12.420 --> 00:03:16.940 ペース配分とは、開発者がどれほど巧みに 遊びの支柱を入れ替えるかだけではなく 00:03:16.940 --> 00:03:24.560 全く新しい概念を導入する頻度も関係している 新区域・新機構・新たな敵などだ 00:03:24.980 --> 00:03:30.380 マリオはこの点で素晴らしい ステージ毎に何が起きるか解らないからだ 00:03:30.380 --> 00:03:35.760 だから遊びの幅にそれほど多様性が無く 大半がジャンプ内容するだけでも― 00:03:35.760 --> 00:03:41.280 常に新しい遊び方を導入することで プレイヤーを本当に夢中にさせて 00:03:41.280 --> 00:03:43.880 次のステージを熱望させているのだ 00:03:43.880 --> 00:03:49.700 新規性は、謎・期待・伏線と組み合わせると さらに効果的だ 00:03:49.700 --> 00:03:52.440 何か新しいモノの登場を示唆して プレイヤーを焦 (じ) らせば 00:03:52.440 --> 00:03:55.500 それを見るまで プレイを止められなくなるのである 00:03:55.500 --> 00:04:01.040 『The Witness』では、スタート地点から出発すると 大半のプレイヤーと同様に 00:04:01.040 --> 00:04:03.360 すぐにこのドアに遭遇するだろう 00:04:03.360 --> 00:04:07.800 このパズルは現時点の知識では 本質的に解決不可能なものである 00:04:07.810 --> 00:04:12.880 しかしこれが本当に記憶に残っているので ドアの向こう側に何があるのか知る必要が生まれる 00:04:12.880 --> 00:04:15.640 この種のものは、長く遊び続けられる 00:04:15.640 --> 00:04:18.920 『ダークソウル』のセンの古城を見たとき 巨大なドアの向こう側がどうなっているのか 00:04:18.920 --> 00:04:21.800 確認しなければならなくなったのを 覚えているだろうか? 00:04:21.810 --> 00:04:26.900 次の展開がどうなっているかという謎は ソウル系ゲームを中断するのが 00:04:26.900 --> 00:04:28.860 極めて困難である理由のひとつだ 00:04:28.860 --> 00:04:32.540 メトロイドヴァニアはこれが上手い 『Hollow Knight』では 00:04:32.540 --> 00:04:37.680 面白い新能力を得ることを早くから確立させているが 次の能力が何なのかは提示しない 00:04:37.680 --> 00:04:41.640 障害物を迂回できない環境下で プレイヤーを焦らすだけで― 00:04:41.640 --> 00:04:45.900 次にどんな新能力が得られるのか 予測できるようにしている 00:04:45.900 --> 00:04:51.020 新能力の獲得は、その一つ一つが 夢中にさせ続ける為の刺激的な動機付けだが 00:04:51.020 --> 00:04:55.420 その意欲は急速に燃え尽きて プレイヤーはすぐにさらなる能力を必要とする 00:04:55.420 --> 00:05:00.640 だがプレイヤーを焦らせば、新たな要素を 落とす前の段階で気分を盛り上げられるので 00:05:00.640 --> 00:05:03.540 新能力を獲得するまでの時間が伸長する 00:05:03.550 --> 00:05:04.480 経済的! 00:05:04.900 --> 00:05:08.800 しかし最も明白な謎とは 恐らく「物語要素」である 00:05:08.800 --> 00:05:13.140 従来の媒体はクリフハンガー手法や 答えのない論題を用いることで 00:05:13.140 --> 00:05:15.840 本のページをめくらせたり 広告を眺めさせたりするが 00:05:15.840 --> 00:05:19.220 驚くことに この方法を実行するゲームは少数である 00:05:19.220 --> 00:05:22.840 だが僕は時折『Firewatch 』のような ゲームを遊ぶ 00:05:22.840 --> 00:05:27.020 これは山火事の監視塔で働く男が スリラーに巻き込まれるというゲームで 00:05:27.020 --> 00:05:30.800 その結末を知るまで、プレイヤーは 遊び続けるだろう 00:05:30.800 --> 00:05:33.280 そして、結末は満足のいくものだ 00:05:33.280 --> 00:05:34.940 君が分からなかっただけだ 00:05:36.680 --> 00:05:40.000 さて、ゲームの最も賞賛し得る 特性の一つは 00:05:40.000 --> 00:05:42.840 長期的な目標に向かって プレイヤーを前進させることにある 00:05:42.840 --> 00:05:47.600 目標としてのレベル上限や 隠しアイテムだらけの地図を与えれば 00:05:47.600 --> 00:05:50.200 プレイヤーは何週間も ゲームを遊び続けるものなのだ 00:05:50.200 --> 00:05:52.480 だがもう少し深く掘り下げてみよう 00:05:52.480 --> 00:05:56.940 この点で実に上手くやっているのが 魅惑的な農業シムの『Stardew Valley』で 00:05:56.940 --> 00:06:02.380 長期的目標が暗黙の内に設定されているのだ 初めは乱雑な土地で、お金も無いが 00:06:02.380 --> 00:06:07.880 やがて土地を改良し、信じられないような農地に変えて 大金を稼ぐようになるだろう 00:06:07.880 --> 00:06:15.860 それは、何時間もの苦労や努力や… 正直に言えば ちょっとした作業プレイを持続できるという夢である 00:06:15.860 --> 00:06:17.880 何故それでプレイヤーは 遊び続けるのか? 00:06:17.880 --> 00:06:21.500 まぁ、自分の好きなように畑を作れるのは クールだと思う 00:06:21.500 --> 00:06:26.640 自らを表現し、自分自身の目標を設定し 本当に誇りに思えるものを作ることができる 00:06:26.640 --> 00:06:29.840 この作品には遊び続ける為の 短期目標がたくさんある 00:06:29.840 --> 00:06:36.380 コミュニティセンターのような小さな報酬や 建築物の増設、家の改築といった重要な節目があれば 00:06:36.380 --> 00:06:41.360 長期的な野心を実現するために すぐに何かを頑張ることができる 00:06:41.360 --> 00:06:44.080 また、計画には大きな要素もある 00:06:44.080 --> 00:06:51.260 様々な作物、動物、季節、恋人などについて 長期的に判断していく必要がある 00:06:51.260 --> 00:06:57.540 目標へ向かって漫然と進むのではなく より早く達成できるように戦略的な選択をするのだ 00:06:57.540 --> 00:07:00.440 指数関数的な成長のスリルもある 00:07:00.440 --> 00:07:05.000 ゲームで小銭を稼いだら、より多くの種と より優れた道具を購入できる 00:07:05.000 --> 00:07:10.880 そうするともっとお金を稼ぎ、もっと物品を購入し 大金を稼ぐことが出来る 00:07:10.880 --> 00:07:15.500 こうした建設的なフィードバックの循環は 多くの魅力的なゲームの中心である 00:07:15.500 --> 00:07:19.520 『モンスターハンター』で狩りをして キャラを強化するのと同様だ 00:07:19.520 --> 00:07:24.360 また Stardew Valley の中でシステムを 最適化する行為は本当に楽しい 00:07:24.370 --> 00:07:30.580 最初は手作業で水やりをするが、最終的には 散水機が面倒な作業をやってくれるようになる 00:07:30.580 --> 00:07:36.800 こうした自動化の部類のゲームで素晴らしいのが 工場建設を目的とした『Factorio』だ 00:07:36.800 --> 00:07:42.600 最初は資源を手作業で採掘するのだが 最終的には採掘用の機械を作り出す 00:07:42.600 --> 00:07:45.360 これらの機械は初め燃料を必要とするが 00:07:45.360 --> 00:07:49.480 最終的には枯渇しない天然資源によって 機械を動かすようになる 00:07:49.480 --> 00:07:52.460 これはプログラマーに訴求するだけかもしれないが 00:07:52.460 --> 00:07:56.900 独自に稼働する最適化されたシステムを 生み出すという願望は非常に強力だ 00:07:56.900 --> 00:08:02.260 長期目標が好まれる最後の理由のひとつは プレイヤーがその地点に到達した際に 00:08:02.260 --> 00:08:04.300 それがどうなるのか空想できるからだ 00:08:04.300 --> 00:08:09.860 例えばスキルツリーでは、プレイヤーがスキルを 開放する理由は単に必要だからではなく 00:08:09.860 --> 00:08:13.540 こうした全スキルを使用可能になる日を 楽しみにしているからなのだ 00:08:13.540 --> 00:08:18.840 スキルを全て取得して、初めは困難だったものを 軽作業に変えるのである 00:08:18.840 --> 00:08:24.160 「難易度」と言えば、説得力のある挑戦も 大きな動機付けのひとつである 00:08:24.160 --> 00:08:30.120 変化に富んだ面白い状況下で、熟練の腕前を示せ! と 常にプレイヤーを追い込むゲームは 00:08:30.120 --> 00:08:32.240 本当に遊び続けられる 00:08:32.240 --> 00:08:35.220 ただし、これには完璧な難易度が必要だ 00:08:35.220 --> 00:08:40.420 『バイオ4』の動画で述べたように プレイヤーがフロー状態に入るのは 00:08:40.420 --> 00:08:46.320 退屈なほど簡単ではないが苦痛なほど難しくないという 絶妙な難易度のときだけなのだ 00:08:46.320 --> 00:08:51.740 バイオ4 では可変的な難易度によって フロー状態を維持するが、大半のゲームでは 00:08:51.740 --> 00:08:56.440 細かい調整と厳しいテストプレイを経た 難易度曲線が常道である 00:08:56.440 --> 00:08:59.820 しかしミスは悪いことではない 00:08:59.820 --> 00:09:05.240 『テトリス』や『Spelunky』のような 最も夢中にさせる作品は凡ミスに満ち溢れているが 00:09:05.240 --> 00:09:10.780 1プレイが比較的短かったり 毎回上達していると感じたり 00:09:10.780 --> 00:09:14.740 次の区画が著しく異なるものだと 認識していたりすると 00:09:14.740 --> 00:09:17.780 プレイヤーはその種のランダム性の為に ゲームに戻り続けるのである 00:09:17.780 --> 00:09:20.880 またプレイヤーへの課題には 多くの方法があるので 00:09:20.880 --> 00:09:25.520 反射神経や腕前の確認を 常にするわけではないことも注意してほしい 00:09:25.520 --> 00:09:32.480 プレイヤーの問題解決能力、空間認識能力 精神的な状況での意思決定力に挑戦することで 00:09:32.480 --> 00:09:35.940 より身体的な課題との バランスを取ることも考慮してほしい 00:09:35.940 --> 00:09:39.600 これらの要素は、僕にとっては 本当に効果的であり 00:09:39.600 --> 00:09:43.180 僕が特定のゲームをどうして魅力的だと思うのかを 説明するのに役立つ 00:09:43.180 --> 00:09:50.800 僕にとって、謎と期待に満ちた斬新な体験が できるゲームほど興奮できるものはない 00:09:50.800 --> 00:09:56.440 『ダークソウル』『メトロイド』『The Witness』 のようなゲームでは、僕は中断するのが不可能だ 00:09:56.440 --> 00:10:00.400 だがこれでどうして僕が他のゲームに 熱中しなかったのかも理解できる 00:10:00.400 --> 00:10:01.920 DOOM がそうであるように 00:10:01.920 --> 00:10:07.700 ペース配分に問題があり、激しい戦闘が 長く間延びするとかなり疲れてしまう 00:10:07.700 --> 00:10:11.480 それに『Titanfall 2』のような斬新な要素もない 00:10:11.480 --> 00:10:14.180 だが異なる要素は、異なる遊び手に機能する 00:10:14.180 --> 00:10:20.080 君にとっては、現実のプレイヤーとの競争や 誇示できる報酬が必要なのかもしれない 00:10:20.080 --> 00:10:21.760 分からない 君を知らないので 00:10:21.760 --> 00:10:26.580 だからコメント欄で、君が最後に熱中した ゲームと、それが何故止められなかったかについて 00:10:26.580 --> 00:10:29.860 考察してみて、思ったことを教えてほしい 00:10:30.600 --> 00:10:31.839 視聴してくれて ありがとう 00:10:31.840 --> 00:10:36.640 GMTK の目標の一つは、視聴者に 何故そのゲームが好きなのか考察してもらうことだ 00:10:36.640 --> 00:10:39.240 僕は君が考える為の材料を 提示できたことを願っている 00:10:39.240 --> 00:10:44.200 いつものように、この動画は 素晴らしい Patreon の支援者のお陰で制作できている 00:10:44.200 --> 00:10:44.920 頑張れチーム!