WEBVTT 00:00:10.940 --> 00:00:13.855 本日は貴重な価値のある 00:00:13.855 --> 00:00:17.607 四人目の日本語のスピーカーになります 00:00:17.607 --> 00:00:19.689 よろしくお願いします 00:00:19.689 --> 00:00:21.607 私が何者かと言いますと 00:00:21.607 --> 00:00:27.751 環境未来都市構想 GREEN FLOAT の プロジェクトリーダーの竹内です 00:00:27.751 --> 00:00:30.002 清水建設という企業に所属して 00:00:30.002 --> 00:00:34.372 都市と建築の計画と技術に携わっています 00:00:35.618 --> 00:00:37.608 今日は未来都市構想を話す前に 00:00:37.608 --> 00:00:39.586 地震に関連して 00:00:39.955 --> 00:00:45.824 今 建築で何が出来るか それを最初に話します 00:00:46.917 --> 00:00:49.455 まず地震です 00:00:49.455 --> 00:00:53.274 今回は震源地からすごく離れた首都圏でも 00:00:53.335 --> 00:00:59.417 天井が落ちたり家具が倒れたり 大きな被害がありました 00:00:59.417 --> 00:01:02.203 建物をいくら丈夫に造っても 00:01:02.203 --> 00:01:07.244 命の保証が無いということが 残念なことでした 00:01:07.244 --> 00:01:09.335 鎌倉大仏です 00:01:09.335 --> 00:01:14.552 実はこの大仏さんから 地震対策の歴史が始まっています 00:01:15.767 --> 00:01:18.168 約90年前の関東大震災で 00:01:18.168 --> 00:01:20.835 この大仏さんも被害を受けています 00:01:20.835 --> 00:01:22.835 その後数十年経って 00:01:22.835 --> 00:01:24.483 大改修をする時に 00:01:24.483 --> 00:01:29.874 「免震構造」 という新しい技術を初めて取り入れました 00:01:31.028 --> 00:01:34.665 名前は難しいんですが 技術は簡単です 00:01:34.665 --> 00:01:38.338 大仏さんと下の台座の間に 00:01:38.338 --> 00:01:42.462 ステンレスの板を一枚ひいたと これだけです 00:01:42.462 --> 00:01:44.076 地震がくると大仏さんが 00:01:44.214 --> 00:01:52.191 ずるっと動きますので ご本体は安全だと こういうことです 00:01:52.191 --> 00:01:53.941 最近の免震技術は 00:01:53.941 --> 00:01:56.274 もう少し進歩しまして 00:01:56.274 --> 00:02:02.147 柳のように地面の動きを受け流すと こういう技術です 00:02:02.147 --> 00:02:06.274 実際に建物でどこが柳かと言いますと 00:02:06.274 --> 00:02:09.608 建物の下にこういうゴムが入っています 00:02:09.608 --> 00:02:13.592 免震ゴムと言います これが柳のようにしなります 00:02:14.468 --> 00:02:18.609 非常に大きな地震では 最大50センチぐらいしなります 00:02:18.609 --> 00:02:20.899 今回の地震ではたぶん東京で 00:02:22.022 --> 00:02:24.666 5センチから10センチぐらいしなってます 00:02:24.666 --> 00:02:29.275 これのおかげで上の建物はゆっくりと揺れると 00:02:29.275 --> 00:02:30.987 こういう感じです 00:02:30.987 --> 00:02:33.284 この写真を見ると分かりますが 00:02:33.284 --> 00:02:35.495 左の建物は普通の建物です 00:02:35.495 --> 00:02:38.871 地面が揺れると建物も揺れます 00:02:38.933 --> 00:02:41.035 天井や家具が落ちます 00:02:41.127 --> 00:02:43.649 右の建物が免震建物です 00:02:43.649 --> 00:02:46.274 下のゴムがしなるために 00:02:46.274 --> 00:02:52.055 上の建物は大きな船に乗ったように ゆっくりと揺れます 00:02:52.055 --> 00:02:55.895 天井は落ちず家具は倒れないということです 00:02:55.895 --> 00:03:00.039 建築費の約3%くらいの投資で 00:03:00.039 --> 00:03:03.816 本当の安全が確保できるという技術です 00:03:04.200 --> 00:03:10.561 現在日本では 2500棟ぐらいの免震建物があります 00:03:10.561 --> 00:03:15.625 ではもともと建っているいる建物は どうしてくれるのかということになりますね 00:03:15.625 --> 00:03:21.000 この写真は皆さん良くご存知の 歴史的建造物の一部です 00:03:21.000 --> 00:03:24.950 ところが建った後しばらくして 00:03:24.950 --> 00:03:28.054 建物をジャッキアップしています 00:03:28.054 --> 00:03:30.513 建物の下にゴムが入っています 00:03:30.513 --> 00:03:34.154 ですから地震に安全です 00:03:34.154 --> 00:03:35.580 最近は 00:03:35.580 --> 00:03:39.556 横揺れだけでなく縦揺れにも効くという 00:03:39.556 --> 00:03:42.859 新しい免震装置ができています 00:03:42.859 --> 00:03:46.964 免震装置もいよいよ3D化の時代と 00:03:46.964 --> 00:03:48.933 こういうことです NOTE Paragraph 00:03:48.933 --> 00:03:51.016 次に環境です 00:03:51.616 --> 00:03:54.998 地震の後にこれだけエネルギーが 00:03:54.998 --> 00:03:58.808 ひっ迫するということを 皆さん想像していたでしょうか 00:03:58.808 --> 00:04:01.248 今Yahooのトップページでは 00:04:01.248 --> 00:04:05.816 天気予報ではなくて 「電気」予報がでているということは 00:04:05.816 --> 00:04:08.722 皆さんよくご存知の通りです 00:04:08.722 --> 00:04:12.090 皆さんは昼間 電気を節約するために 00:04:12.090 --> 00:04:18.497 晴れている時には照明を消して 暗い中で執務を行っていると思います 00:04:18.497 --> 00:04:20.832 こういうブラインドをご存知でしょうか 00:04:20.832 --> 00:04:25.388 年間の太陽の高度をあらかじめプログラムしておいて 00:04:25.388 --> 00:04:29.220 その日その時に一番光が反射して 00:04:29.220 --> 00:04:32.077 室内に入るように 自動的に羽根をコントロールするという 00:04:32.077 --> 00:04:34.613 ブラインドです 00:04:34.613 --> 00:04:38.852 このブラインドをつけると皆さま方の 電気を消しているオフィスも 00:04:38.852 --> 00:04:42.521 もう少し明るくなると思います 00:04:42.521 --> 00:04:44.972 空調もちょっと工夫をします 00:04:44.972 --> 00:04:50.195 今の空調は冷たい空気をダクトで運び 天井から吹いています 00:04:50.195 --> 00:04:55.164 部屋の空気全体を一生懸命冷やしています 00:04:55.164 --> 00:04:57.540 ところが トンネルに入った時に 00:04:57.540 --> 00:04:59.503 ひやっと感じますね 00:04:59.503 --> 00:05:03.318 どこからも冷たい風は吹いていません 00:05:03.964 --> 00:05:07.660 壁や天井の材料が冷たいので 00:05:07.660 --> 00:05:10.683 人間の熱を奪って ひんやりと感じるということです 00:05:11.483 --> 00:05:15.233 この原理を活かしたものが輻射空調です 00:05:15.863 --> 00:05:19.318 天井の面を 金属の天井ですが 00:05:19.318 --> 00:05:24.148 冷たくすることによって ひんやりと感じる 00:05:24.148 --> 00:05:26.263 快適な環境を作ります 00:05:26.263 --> 00:05:30.732 冷たい風が体に当たって 不快な方もいらっしゃいますよね 00:05:30.732 --> 00:05:32.566 これはそういうことはありません 00:05:32.566 --> 00:05:37.142 快適で大変省エネの空調です 00:05:37.142 --> 00:05:38.898 オフィスはですね 00:05:38.898 --> 00:05:43.182 人がいる席 いない席 いろいろあります 00:05:43.182 --> 00:05:48.066 暑いのが好きな人 寒いのが好きな人 人それぞれです 00:05:48.066 --> 00:05:51.754 最近はそういうことをセンサーで感知して 00:05:51.754 --> 00:05:56.294 最適な空調 無駄の無い照明で 00:05:57.017 --> 00:06:00.964 もっとも省エネのオフィスにしています 00:06:00.964 --> 00:06:04.600 これが最新のオフィスの状況です 00:06:04.600 --> 00:06:07.400 私どもは 00:06:07.400 --> 00:06:11.704 来年の春に 新本社ビルを竣工させます 00:06:11.704 --> 00:06:14.446 今まで説明した先端の技術はこのビルに 00:06:14.446 --> 00:06:16.251 入ってます 00:06:16.251 --> 00:06:20.507 エネルギーやCO2が約50%削減と 00:06:20.507 --> 00:06:21.835 横文字で言うと 00:06:21.835 --> 00:06:24.857 カーボンハーフビルという風に言っています 00:06:24.857 --> 00:06:29.635 その後は何を目指すかと言いますと 00:06:29.635 --> 00:06:33.835 カーボンハーフの後は自然エネルギーを大量に使って 00:06:33.835 --> 00:06:37.136 ゼロ エネルギー ビルディング 00:06:37.136 --> 00:06:39.835 ビルディングがちょっと右側消えてますけれども 00:06:39.835 --> 00:06:42.170 ゼロ エネルギー ビルディング ZEBです 00:06:42.170 --> 00:06:43.709 さらにこの後は この後紹介する 00:06:43.709 --> 00:06:47.443 GREEN FLOATですが 00:06:47.443 --> 00:06:50.948 周りのCO2も吸ってしまうという 00:06:50.948 --> 00:06:56.337 カーボンマイナスを目指しているということです 00:07:00.691 --> 00:07:03.746 それではですね 00:07:08.826 --> 00:07:10.181 ここですね 00:07:10.181 --> 00:07:11.517 今までが 00:07:11.517 --> 00:07:15.822 今 建築でできる 今すぐできる技術です 00:07:16.053 --> 00:07:18.977 では 私の話を聞いて 00:07:18.977 --> 00:07:22.194 都市がこれから環境と安全で 00:07:22.194 --> 00:07:26.893 すごくバラ色になっていると思いますか? 00:07:26.893 --> 00:07:30.366 確信できますでしょうか? 00:07:30.366 --> 00:07:33.893 答えは 私はノーだと思います 00:07:33.893 --> 00:07:37.673 残念ながら 今のままではダメなんです 00:07:37.673 --> 00:07:43.447 それはですね 個々の建物が バラバラに一生懸命頑張っても 00:07:43.447 --> 00:07:48.017 大きなパラダイムシフトはできないんですね 00:07:48.017 --> 00:07:50.619 これからは都市という単位で 00:07:50.619 --> 00:07:53.342 コンセプトを明快に持ち 00:07:53.342 --> 00:07:56.726 都市という単位で環境や安全に 00:07:56.726 --> 00:08:01.849 大きくパラダイムシフトしていかないと 新しい時代に対応できません 00:08:01.849 --> 00:08:05.534 私どもは 環境未来都市 GREEN FLOAT というものを 00:08:05.534 --> 00:08:08.780 3年前から提案しています 00:08:08.780 --> 00:08:13.560 地球の表面の3割でしかない陸地に 00:08:13.560 --> 00:08:16.977 密集して住むことによって いろいろな環境破壊が 00:08:16.977 --> 00:08:18.642 起きてます 00:08:18.642 --> 00:08:20.248 地球の表面の 00:08:20.248 --> 00:08:23.847 7割の海に注目したプロジェクトです 00:08:23.847 --> 00:08:28.510 また日本は環境技術大国です 00:08:28.510 --> 00:08:33.719 また海に囲まれた海洋大国でもあります 00:08:33.719 --> 00:08:37.560 環境のGREEN と 海洋のFLOATと 00:08:37.560 --> 00:08:40.436 この2つの先端技術を組み入れた 00:08:40.436 --> 00:08:43.105 新しい環境都市構想です 00:08:43.105 --> 00:08:48.060 2025年着工を目指して技術イノベーション中です 00:08:48.060 --> 00:08:50.565 ビデオをご覧ください 00:08:55.918 --> 00:08:59.060 GREEN FLOATは赤道直下の洋上に 00:08:59.060 --> 00:09:00.756 人工島を建設し 00:09:00.756 --> 00:09:06.777 カーボンマイナス 自給自足 廃棄物ゼロ を目指す 00:09:06.792 --> 00:09:09.499 新環境都市のモデル構想です 00:09:09.499 --> 00:09:13.550 温度が一定です 暑いですけど温度が一定ですね 00:09:13.550 --> 00:09:16.383 それから台風もこないということで 00:09:16.383 --> 00:09:17.622 安定した気候です 00:09:17.622 --> 00:09:21.334 そこにこの1000メーターのタワーを造ると 00:09:21.334 --> 00:09:24.142 1000メーターですと上が涼しくなりますので 00:09:24.142 --> 00:09:28.558 ちょうど一年中26度の空中都市が実現できると 00:09:28.558 --> 00:09:29.643 こういうことなんですね 00:09:32.627 --> 00:09:36.256 GRENN FLOATは歩いていける半径1キロの規模の 00:09:36.256 --> 00:09:37.977 ワンセルを一つの町として定義し 00:09:37.977 --> 00:09:39.727 セルを集めた一モジュールを都市 00:09:39.727 --> 00:09:43.500 モジュールを集めた一ユニットを国家という形で 00:09:43.500 --> 00:09:51.373 人口の増加に伴って 睡蓮のように成長していくことが可能になっています 00:09:51.373 --> 00:09:53.947 700メートルから1000メートルのこの部分が 00:09:53.947 --> 00:09:55.125 空中都市です 00:09:55.125 --> 00:09:58.325 この内の外周部に住宅とか病院があります 00:09:58.325 --> 00:09:59.708 で 中心部分にオフィスだとか 00:09:59.708 --> 00:10:02.485 商業施設だとか そういうものがあります 00:10:02.485 --> 00:10:04.255 ここで住んでいる方に対して 00:10:04.255 --> 00:10:09.926 自給自足のための これが植物工場でここで野菜を作ります 00:10:09.926 --> 00:10:12.892 それから下のこういう所で穀物を作って 00:10:12.892 --> 00:10:17.146 さらにこういう浅瀬で お魚だとか藻だとか 00:10:17.146 --> 00:10:20.003 そういうようなものを育成すると 00:10:20.003 --> 00:10:22.307 ここででるCO2や排水が 00:10:22.307 --> 00:10:24.976 ここの植物工場に来ると栄養になるわけですね 00:10:24.976 --> 00:10:27.725 CO2も排水も生ゴミも 00:10:27.725 --> 00:10:30.846 さらに浄化してここの畑で栄養になって 00:10:30.846 --> 00:10:35.682 でここの浅瀬のとこの海洋牧場で さらに栄養になると 00:10:35.682 --> 00:10:40.142 でここからは魚で帰って来ると これは穀物で帰って来ると これは野菜で帰って来ると 00:10:40.142 --> 00:10:42.891 という風な自然な循環をする都市を 00:10:42.891 --> 00:10:45.337 考えています 00:10:47.538 --> 00:10:50.225 GREEN FLOATは海中への光の確保という 00:10:50.225 --> 00:10:52.558 海洋環境への配慮から固定式とせず 00:10:52.558 --> 00:10:56.226 ゆるやかな潮流に浮遊する方式を採用し 00:10:56.226 --> 00:10:59.144 洋上をゆっくりと回遊します 00:10:59.144 --> 00:11:00.173 建設は 00:11:00.173 --> 00:11:04.391 海水の浮力を利用する 海上スマート工法で行います 00:11:04.391 --> 00:11:08.351 これにより安全で効率的な施工が可能となります 00:11:10.581 --> 00:11:14.975 新しい都市や建築を造るという技術ですね 00:11:14.975 --> 00:11:19.195 浮かべるとか空中都市を造るとか そういうところが一つです 00:11:19.195 --> 00:11:21.698 で もう一つは新しい地球環境を造ると 00:11:21.698 --> 00:11:23.832 これは宇宙太陽光発電ですとか 00:11:23.832 --> 00:11:26.769 廃棄物の循環ですとか そういう分野があります 00:11:26.769 --> 00:11:28.105 それからもっとソフトに 00:11:28.105 --> 00:11:30.293 新しい経済システムですとか 00:11:30.293 --> 00:11:32.319 CO2排出圏取引で 00:11:32.319 --> 00:11:35.558 これのお金をださなきゃいけないので そういう経済システム 00:11:35.558 --> 00:11:39.957 それからどこかの国のものとなっちゃうと 不公平になりますので 00:11:39.957 --> 00:11:41.686 国際協調のシステム 00:11:41.686 --> 00:11:45.231 こういう建築と環境と社会システムと 00:11:45.231 --> 00:11:48.427 この3つが大きなテーマです 00:11:51.266 --> 00:11:53.947 都市の単位でパラダイムシフトをする 00:11:53.947 --> 00:11:55.788 GREEN FLOATの紹介でした 00:11:55.788 --> 00:11:57.320 ありがとうございます 00:11:57.320 --> 00:11:59.788 (拍手)