私は毎年 ゲーム業界のアクセシビリティの動向を
振り返ってます
アクセシビリティとは より多くの人にゲームを
楽しんでもらうため——
さまざまな補助機能やデザインを盛り込むことです
例えば 会話が聞けない人には 字幕を用意して
同じ情報を提供したり
色盲の人のために 色を変更するオプションや
形で区別するようにしたり
ゲームに苦しんでいる人には
遊びやすくなるアシストモードを用意したり
さて 2021年はどうだったでしょう?
マーク・ブラウンの
ゲームメーカーズ・ツールキットへようこそ
まずは 過去12ヶ月に特に売れた
大作ゲームを25本選びました
HALO インフィニット ラチェット&クランク
デスループ メトロイドドレッド
バトルフィールド2042 エイジオブエンパイアなど
それらのアクセシビリティ状況を調べてみました
ご紹介します
まずは操作性から
特に大事なのは ボタン割り当ての変更機能です
今年は 70%ものゲームが 完全対応しています
毎年増加しており 良い傾向です
プリセットだけの作品もありますが ないよりマシです
特筆すべきはラチェット&クランク パラレル・トラブル
すべてのボタンを変更できる上に
十字キーにショートカットを割り当てられます
押し続ける必要のあるボタンは
どれもトグルを選ぶことができます
エイムアシストも調整できますし
ロックオンもできます
カメラをキャラの背後に 固定できます
移動関連のボタンを 1つにまとめられます
他にもいろいろ
ファークライ6では
すべてのボタンを1度押し 押し続け 2度押しに分け ——
1つのボタンに どんな機能も
3つまで割り当てられます
アナログスティックのクリックを
要求しないモードも用意されています
バトルフィールド2042も
スコープの大きさに至るまで 膨大なオプションがあります
ライダーズリパブリックでは それぞれの移動手段に
独自のコントローラ設定を適用できます
また 連打を強要しないクイックタイムイベントは歓迎です
イット・テイクス・トゥー
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
ハウスオブアッシュなど
デスティニー式の遅いカーソルを採用したものは
勉強が足りないグループでしょう
デスループとアウトライダーズに見られます
アクセシビリティ的にも悪夢ですし
ただでさえ快適じゃありません
ファークライ6とポケモンスナップにも
カーソルはありますが ——
十字キーが使えます
さて 今年の最下位は?
Twitterのフォロワーに
アクセシビリティの低いゲームを聞いてみたところ ——
メトロイド・ドレッドの名が
圧倒的に挙がってきました
私も同意します
複雑なボタンの組み合わせや ——
とても繊細なスティック操作が求められます
そしてボタン変更は 一切できません
成績は堂々の F です
次はオーディオ
特に字幕です
理想は 文字サイズが大きくて
背景とのコントラストが強く ——
話者の名前が出るものです
これらを変更できれば なお良し
70%程度の作品が 字幕切り替え以上の
オプションを搭載していました
ガーディアンオブギャラクシーは
文字サイズ 黒背景 話者名を変更できます
文字の空き具合も指定でき
効果音もクローズドキャプションとして出せます
ヒットマン3では 話者の上に吹き出しを表示して
視覚的に分かりやすくしています
ファークライ6ではこれまで通り
付近の音の発生源を 画面に表示できます
方向と距離も出ます
詰めが甘い作品もあります
アウトライダーズは 字幕が長すぎる上に
文字が小さすぎます
バトルフィールドではオープニングに
字幕が入ってません
バイオハザード8ではオーディオデザインの秀逸さを
難聴者に伝える努力が 見られません
テイルズオブアライズの字幕はまずまずで
会話ウインドウも良好ですが
戦闘中の文字は極小です
また特筆すべきは 読み上げ機能を搭載した
作品の多さです
フォルツァホライズン5 エイジオブエンパイア4
イットテイクストゥー ファークライ6
ライダーズリパブリック バトルフィールド
バック4ブラッド が該当します
次はビジュアル
重要な要素を 判別しやすくする機能や
HUDデザインや メニューのテキストです
始めから 分かりやすい書体と大きいUIで
デザインされた作品もある一方 ——
オプションが必要な作品もあります
エイジオブエンパイアでは UI要素を拡大できます
ライフイズストレンジ・トゥルーカラーズでは
標準の手書き書体から ゴシック体に変更できます
ハウスオブアッシュでは
文字サイズを拡大できます
ファークライ6では 会話やアイテム名などに
それぞれ任意の色の字幕を表示できます
さらにラチェットでは 背景を白黒化できるうえ
キャラやアイテムを単純な色で表示できます
色盲補助機能も重要です
ここでもファークライ6は優秀で
ゲーム内のすべての色を指定できます
バトルフィールドも負けていません
色盲用フィルタを用意するゲームもありますが
効果は疑問が残ります
悪い例では アウトライダーズは
恐ろしく小さい文字があります
拡大機能は変化が小さすぎて
オンにしても分かりませんでした
デスループのメニュー書体は読みづらく
変更もできません
こういった部分は まだまだ業界全体の
意識が弱い領域です
最後に 議論が絶えない
ゲーム難易度の話です
今年はフロムソフト作品がなかったので ——
「ダークソウルにイージーは必要か」という議論は
避けられると思っていましたが
他のゲームが引き継いでいました
特にメトロイドドレッド リターナル デスループは
多くの記事やツイッター議論の標的になりました
今年は その話を盛り返す気はありません
自由に難易度を設定できるゲームを
見ていきましょう
フォルツァホライズンは伝統的に優秀で
5作目も例外ではありません
ハンドリングやブレーキの自動化の度合いを
変えられます
NPC車の攻撃性はおろか
ゲーム全体の速度を落とす事もできます
ラチェットでもスロー機能はありますが
ゲーム中いつでも ボタンで切り替えられます
サイコノーツ2では落下ダメージを切ったり
主人公の攻撃力を上げたり 無敵にもできます
ガーディアンでは膨大なメニューを用意しており
自由な難易度で遊べるようになっています
多すぎるかもですが 歓迎します
元から用意された難易度と セットなのもいいですね
以上が代表的なものです
他には3D酔い対策として カメラの揺れを切ったり
特定の音を聞き分けるための 詳細な音量調節だったり
さらに興味深いものもあります
ライフイズストレンジでは大きな効果音や画面効果の
直前に警告を出せる機能があります
アウトライダーズでは次の目的地が
分かりやすく表示できるのが 好きです
デッドスペースみたいですね
フォルツァホライズン5とHALOインフィニティでは
キャラに義手や義足が付けられるのも 素晴らしい
発売日にこれらが揃っていることも重要ですが
2021年にアップデートで追加した作品も
見逃すわけにはいきません
Sea of Thievesでは ほぼすべてのアップデートに
新しいアクセシビリティ機能が入ってます
Hellbladeでは ボタン変更や色盲補助機能が
追加されました
Amnesia: RebirthではSOMAのように
ホラー要素を排除したモードを追加
Disco Elysium: The Final Cutでは
すべての台詞に音声が追加されました
評判の悪いGTAリメイクですら
新しいアクセシビリティ機能があります
さて 最もアクセシビリティを推進しているのは
どの会社でしょうか?
2021年はマイクロソフトの圧勝でした
XBOXアクセシビリティ・ガイドラインを更新し
他社作品の評価も請け負っています
4時間もの無料のビデオ教材も公開しました
ストアにはアクセシビリティのタグを追加
ナイトモードにクイック設定
カラーフィルタも追加しました
同社の作品にも その影響は強く出ています
エイジオブエンパイア HALOインフィニティ
そしてフォルツァホライズン5
特にフォルツァに関しては
クリエイティブ・ディレクターが ——
「アクセシビリティを 全てのデザインの根幹にした」
と発言しています
つまり すべてのシステムがこれを念頭に設計され
納期よりも優先されたということです
すばらしい行動力です
ソニーも健闘しました
ストアにはアクセシビリティのカテゴリが追加
しかし基本的には 各スタジオの裁量に
任せているようです
インソムニアックはアクセシビリティを
ゲームデザインの中心に位置付けています
彼らのゲームは アイデアの使い回しの
模範例です
ラチェットの機能の多くは
同スタジオのスパイダーマンからの借用です
Ubisoftもまた アクセシビリティの好手で
ファークライ6でも過去作品の機能を流用しています
EAもアクセシビリティ事業に積極的で
5件の関連特許を解放しました
エーペックスレジェンズのPingシステムなどです
スクエアエニックスも
スマートな機能を搭載した好例が目立ちます
ライフイズストレンジや
ガーディアンズオブギャラクシーなどです
逆に 残念な例とは?
いつも通り 日本製のゲームです
真・女神転生 ペルソナ5ストライカーズ
ギルティギア バイオハザードなど
西洋では ほぼ当たり前となった機能が
欠けています
ボタン割り当てと 字幕オプションで
70%が達成したというグラフですが ——
日本製を除外すると
それぞれ80%と100%になります
機能豊富なモンスターハンターライズなど
例外はあります
New ポケモンスナップも悪くないですが
全体的には日本は遅れています
しかし これらは大作の中での話です
大金を注ぎ込んだ作品に
より責任を求めてみただけですが
独立系ゲームにも様々な
便利で思慮深いアプローチが見られます
いくつか挙げます
Boyfriend Dungeonでは
内容についての警告があります
またプレイヤーが不快にならぬよう
母親キャラからの連絡を 断つことができます
Boomerang Xのコントラスト機能では
敵キャラを自由に色分けできます
Chicoryでは果てしない量の設定があり
画面効果や 液体の効果音を調整できます
Loop Heroはレトロ風ですが
ブラウン管効果を切ったり 普通の書体に変えられます
Toodee and Topdeeでは
ゲーム速度やライフ無限の設定ができます
Outer WildsのDLCでは
ジャンプスケア演出を切れます
音声のみで遊べる素晴らしいゲームも
現れました
アクションアドベンチャーの
The Vale: Shadow of the Crownや ——
音だけを頼りに車線変更をする運転ゲーム
Blind Driveなどです
(車の走行音)
(クラッシュ音)
私は 全体的には満足しています
ほぼ全てのゲームが
何らかの補助機能を搭載していました
半数以上が アクセシビリティや補助専用の
メニューを用意していました
多くのゲームが初回起動時にそれらを変更可能で
読み上げ機能が標準だったりします
しかし一方で ほぼ全てが
去年に言ったことの繰り返しです
字幕やボタン割り当てが 大多数に搭載されていること
独立系スタジオやマイクロソフト
EAやUbisoftが健闘していること
残念ながら日本が出遅れていること
アクセシビリティが当然といえる状態に
なりつつあると感じています
素晴らしいと同時に
大きな変化です
たとえば10年前だとEurogamerには
アクセシビリティ関連の記事は皆無でしたが
現在では新機能 プレイヤー 新事業について
数多くの記事が見られます
アクセシビリティは一時の流行ではありません
これからは しっかり作り込む必要があります
メニューが豊富なのは結構ですが
ちゃんと動かないものもあります
ガーディアンズの字幕は素晴らしいですが
このようにバグることがあります
デスループでは走行をトグルできますが
エイムは押し続けのみです
ヒットマン3ではエイムをトグルできますが
走行は押し続けのみです
ファークライ6の効果音表示の「動物の鳴き声」には
無害な小鳥と有害なワニの区別がありません
バトルフィールドのテキスト読み上げ機能では
最初の重要な単語を 発音できてません
(Disableの発音がおかしい)
(Enableの発音がおかしい)
(Disableの発音がおかしい)
(Enableの発音がおかしい)
まるで私のゲームだ
多くのゲームが 多くのアクセシビリティ機能を搭載してる
と言って差し支えないでしょう
これからは「まともに動くか」
これからは ただ機能が存在するだけでなく
堅牢で確実でなくてはいけません
今後はコンサルタントが増えたり
ゲームエンジンに搭載したり ——
知識を共有したり データ分析することで
改善していくと思います
しかし私個人には評価できません
私は健常者で これらの機能には頼りませんし
常に気にする必要もありません
しかしCanIPlayThatやDAGERなど
有用なサイトがあります
彼らは身体障害者をレビュアーとして雇い
これらの観点からゲームを評価しています
他にもTaming Gamingデータベースがあり
ツイッターでDMすることでゲームを追加してもらえます
しかし これからはアクセシビリティの視点を
変える必要がある気がします
というわけで このタイプの動画は
今年で最後でしょう
アクセシビリティの話題は続けるので
ご心配なく
ゲームデザインの分析に使ったり
すべての動画に字幕を入れるなど ——
このチャンネルで様々な形で
これからも表出していきます
しかし より良いアプローチがあるのではと
考えています
まずは私の処女作に搭載するところから
始めたいと思います
乞うご期待
2022年にはどう扱っていくか
これからも考えていきます
ご視聴ありがとうございます
この動画に協力してくれたゲーマーや
コンサルタントの皆さんに感謝します
ではまた