WEBVTT 00:00:00.106 --> 00:00:01.530 存在することのなかった 最高の マシンについてお話しましょう 00:00:01.530 --> 00:00:03.204 存在することのなかった 最高の マシンについてお話しましょう 00:00:03.204 --> 00:00:05.203 実際に作られることは ありませんでしたが 00:00:05.203 --> 00:00:07.583 今度作られることになりました 00:00:07.583 --> 00:00:09.575 みんながコンピュータについて考える 00:00:09.575 --> 00:00:11.926 はるか以前に設計されたマシンです NOTE Paragraph 00:00:11.926 --> 00:00:14.075 コンピュータの歴史に ついてご存じなら 00:00:14.075 --> 00:00:16.595 30〜40年代に単純な コンピュータが作られ 00:00:16.595 --> 00:00:19.150 今日のコンピュータ革命に繋がった 00:00:19.150 --> 00:00:21.943 というのをご存じでしょう 00:00:21.943 --> 00:00:23.229 その通りなんですが 00:00:23.229 --> 00:00:25.711 ただ世紀が違っています 00:00:25.711 --> 00:00:27.351 最初のコンピュータは 00:00:27.351 --> 00:00:31.023 1830〜40年代に設計されました 1930〜40年代ではありません 00:00:31.023 --> 00:00:33.351 設計され 部分的に試作され 00:00:33.351 --> 00:00:35.487 ここサウス・ケンジントンに 00:00:35.487 --> 00:00:37.480 一部が残っています NOTE Paragraph 00:00:37.480 --> 00:00:40.799 そのマシンを作ったのは この男 チャールズ・バベッジです 00:00:40.799 --> 00:00:42.555 バベッジには何か 親しみを覚えます 00:00:42.555 --> 00:00:45.164 どの写真を見ても髪がこう 00:00:45.164 --> 00:00:47.505 乱れているんです (笑) 00:00:47.505 --> 00:00:49.352 とても裕福な男で 00:00:49.352 --> 00:00:51.365 イギリスの貴族社会に 属していました 00:00:51.365 --> 00:00:53.704 土曜日の夜には メリルボンの彼の家で 00:00:53.704 --> 00:00:56.135 当時の知識階級を集めた ソワレ(夜会)が開かれていました 00:00:56.135 --> 00:00:57.631 当時の知識階級を集めた ソワレ(夜会)が開かれていました 00:00:57.631 --> 00:01:00.590 王やウェリントン公や 00:01:00.590 --> 00:01:04.022 その他多くの有名人が 招待されました 00:01:04.022 --> 00:01:06.543 そこで彼の機械装置が 披露されたことでしょう NOTE Paragraph 00:01:06.543 --> 00:01:09.583 当時をうらやましく思います 00:01:09.583 --> 00:01:11.931 だってソワレに行って 機械式コンピュータの 00:01:11.931 --> 00:01:13.044 デモを見られるんですよ (笑) 00:01:13.044 --> 00:01:16.310 バベッジ自身は 00:01:16.310 --> 00:01:18.044 18世紀末に生まれ 00:01:18.044 --> 00:01:20.088 非常に有名な数学者でした 00:01:20.088 --> 00:01:23.231 ケンブリッジ大学でニュートンと 同じポストを占めていました 00:01:23.231 --> 00:01:25.743 今はスティーブン・ ホーキングがやっています 00:01:25.743 --> 00:01:28.598 バベッジは彼らほど 有名ではありません 00:01:28.598 --> 00:01:31.748 機械式コンピュータを作るという アイデアを思い付きましたが 00:01:31.748 --> 00:01:34.033 決して作り上げることが なかったからです NOTE Paragraph 00:01:34.033 --> 00:01:37.318 作れなかった理由は 彼が典型的な 頭でっかちだったからです 00:01:37.318 --> 00:01:39.329 いいアイデアを思い付くたびに 「これはすごいぞ  これを作り始めよう 00:01:39.329 --> 00:01:40.777 いいアイデアを思い付くたびに 「これはすごいぞ  これを作り始めよう 00:01:40.777 --> 00:01:43.372 金をつぎ込もう いやもっと いいアイデアを思い付いたぞ 00:01:43.372 --> 00:01:45.732 こっちをやることにしよう」 (笑) 00:01:45.732 --> 00:01:48.612 ずっとそんな調子で 最後には 首相のサー・ロバート・ピールに 00:01:48.612 --> 00:01:51.076 ダウニング街10番地から 蹴り出されました 00:01:51.076 --> 00:01:53.517 当時のことですから 蹴り出すとき 00:01:53.517 --> 00:01:56.669 「お別れです ご機嫌よう」 と言ったことでしょう (笑) NOTE Paragraph 00:01:56.669 --> 00:01:58.649 彼が設計したのは この奇怪な解析機関です 00:01:58.649 --> 00:02:02.088 イメージが掴めるように 説明しますと 00:02:02.088 --> 00:02:03.960 これは上から見たところで 00:02:03.960 --> 00:02:07.073 円の1つひとつが 積み上げられた歯車です 00:02:07.073 --> 00:02:10.309 全体は蒸気機関ほどの 大きさがあります 00:02:10.309 --> 00:02:12.300 講演の間 この巨大な機械を イメージして 00:02:12.300 --> 00:02:14.944 ほしいのです これが立てるであろう 00:02:14.944 --> 00:02:16.704 素晴らしい音を 思い浮かべてください 00:02:16.704 --> 00:02:18.481 このマシンのアーキテクチャを 説明していきます 00:02:18.481 --> 00:02:19.960 まさにアーキテクチャですね 00:02:19.960 --> 00:02:23.287 そしてこのマシンがいかに 「コンピュータ」であるかを説明します NOTE Paragraph 00:02:23.287 --> 00:02:26.690 まずメモリについて 00:02:26.690 --> 00:02:28.937 メモリは 今日の コンピュータのメモリに 00:02:28.937 --> 00:02:31.639 よく似たものでしたが ただそれは金属製で 00:02:31.639 --> 00:02:35.183 30段重ねになった 歯車の山でした 00:02:35.183 --> 00:02:37.253 そびえ立つ歯車を イメージしてください 00:02:37.253 --> 00:02:39.008 そんな歯車が何百とあって それぞれに 00:02:39.008 --> 00:02:40.898 数字が書かれています 00:02:40.898 --> 00:02:43.317 10進マシンで すべては 10進数で行われます 00:02:43.317 --> 00:02:44.902 2進数も考えたのですが 00:02:44.902 --> 00:02:46.620 問題は 2進数にすると マシンの背が 00:02:46.620 --> 00:02:49.937 馬鹿みたいに高くなることです 10進でも巨大ですけど 00:02:49.937 --> 00:02:51.996 これでメモリは手に入りました 00:02:51.996 --> 00:02:54.403 メモリの一部がここに出ています 00:02:54.403 --> 00:02:56.733 ずっとこんな感じです NOTE Paragraph 00:02:56.733 --> 00:03:01.268 この怪物みたいなのはCPU いわゆるチップですね 00:03:01.268 --> 00:03:03.518 もちろん大きなものです 00:03:03.518 --> 00:03:06.431 全くの機械式です マシンの全体が機械式でした 00:03:06.431 --> 00:03:10.572 この写真は サイエンス・ ミュージアムにある 00:03:10.572 --> 00:03:12.711 CPUの一部の試作品です NOTE Paragraph 00:03:12.711 --> 00:03:16.343 CPUは4種の基本的な 算術演算ができました 00:03:16.343 --> 00:03:18.796 加算 乗算 減算 除算 00:03:18.796 --> 00:03:21.804 これを金属の機械でやるだけでも 大したことですが 00:03:21.804 --> 00:03:24.433 それだけでなく このマシンには コンピュータにできて 00:03:24.433 --> 00:03:26.132 計算機にできないことができました 00:03:26.132 --> 00:03:30.070 内部メモリを参照して 判断を行うということです 00:03:30.070 --> 00:03:32.936 Basicプログラミングの If Thenができたのです 00:03:32.936 --> 00:03:35.076 これはコンピュータの 基本となることです 00:03:35.076 --> 00:03:39.674 コンピュテーションができたんです 単なる算術だけでなく それ以上です NOTE Paragraph 00:03:39.674 --> 00:03:42.355 これを見ながら 少し立ち止まって 00:03:42.355 --> 00:03:44.226 今日のチップを考えてみましょう 00:03:44.226 --> 00:03:48.041 チップの中身は見えません 小さすぎます 00:03:48.041 --> 00:03:49.842 でも見たとしたら 00:03:49.842 --> 00:03:51.664 これと とてもよく似たものが 見えるはずです 00:03:51.664 --> 00:03:54.611 CPUの ものすごい複雑さ 00:03:54.611 --> 00:03:57.303 メモリのものすごい規則性 電子顕微鏡写真を 00:03:57.303 --> 00:03:58.965 見たことがあれば 00:03:58.965 --> 00:04:00.934 まさにこれです ずっと同じに見え 00:04:00.934 --> 00:04:03.500 それからすごく込み入った 部分があります NOTE Paragraph 00:04:03.500 --> 00:04:07.483 この歯車機構がすることは コンピュータと同じなので 00:04:07.483 --> 00:04:09.576 当然プログラミングが 必要になります 00:04:09.576 --> 00:04:12.601 バベッジは当時の テクノロジーを使いました 00:04:12.601 --> 00:04:16.247 それは1950、60、70年代に 再び現れることになる 00:04:16.247 --> 00:04:19.116 パンチカードです 00:04:19.116 --> 00:04:21.940 これは3つのパンチ カードリーダの1つと 00:04:21.940 --> 00:04:25.620 プログラムです サイエンス・ミュージアムにあります 00:04:25.620 --> 00:04:30.013 ここからそう遠くありません バベッジによって作られました 00:04:30.013 --> 00:04:31.881 行けばご覧になれます 00:04:31.881 --> 00:04:34.322 マシンが出来上がるのを 待っています 00:04:34.322 --> 00:04:37.742 1つだけでなく たくさんあります 00:04:37.742 --> 00:04:40.832 マシンができた時のため 彼はプログラムを用意していたんです NOTE Paragraph 00:04:40.832 --> 00:04:42.805 パンチカードを使った理由は 00:04:42.805 --> 00:04:44.977 フランスのジャカードが パンチカード制御で 00:04:44.977 --> 00:04:47.655 見事なパターンを編み出す 紋織機を作っていて 00:04:47.655 --> 00:04:50.287 バベッジは当時の このテクノロジーを 流用したのです 00:04:50.287 --> 00:04:52.392 他のすべてと同様 彼は 00:04:52.392 --> 00:04:57.139 1830、40、50年代当時の 技術を使いました 00:04:57.139 --> 00:05:01.077 歯車に蒸気に機械装置 皮肉なことにバベッジと同じ年に 00:05:01.077 --> 00:05:03.249 マイケル・ファラデーが生まれています 00:05:03.249 --> 00:05:05.926 彼は発電機や変圧器といった 00:05:05.926 --> 00:05:08.439 技術を革新しました 00:05:08.439 --> 00:05:11.597 しかしバベッジは確立した 技術を使いたいと望み 00:05:11.597 --> 00:05:13.150 蒸気機関のようなものを 選んだのです NOTE Paragraph 00:05:13.150 --> 00:05:14.823 それから付属品です 00:05:14.823 --> 00:05:16.495 コンピュータ本体はあります 00:05:16.495 --> 00:05:18.884 パンチカードにCPUに メモリはあるので 00:05:18.884 --> 00:05:20.819 一緒に使う付属品が必要です 00:05:20.819 --> 00:05:22.447 一緒に使う付属品が必要です NOTE Paragraph 00:05:22.447 --> 00:05:25.275 第一に サウンドです ベルを付けるんです 00:05:25.275 --> 00:05:27.429 何かがまずくなった時や 00:05:27.429 --> 00:05:29.774 マシンに何か人手が 必要な時に 00:05:29.774 --> 00:05:31.744 鳴らすベルです (笑) 00:05:31.744 --> 00:05:33.280 パンチカードで入力する 命令に 実際 00:05:33.280 --> 00:05:36.182 「ベルを鳴らす」というのがありました 想像してみてください 00:05:36.182 --> 00:05:38.382 「チーン !」 歯車のたてる音 00:05:38.382 --> 00:05:39.463 「カチャカチャカチャカチャ」 00:05:39.463 --> 00:05:42.400 蒸気エンジンの音 そして 「チーン」(笑) NOTE Paragraph 00:05:42.400 --> 00:05:44.835 それにプリンタも 当然必要です 00:05:44.835 --> 00:05:47.843 これは彼の別なマシンである 00:05:47.843 --> 00:05:50.326 階差機関二号のための 印刷機構の写真です 00:05:50.326 --> 00:05:52.261 バベッジではなく サイエンス・ミュージアムが 00:05:52.261 --> 00:05:54.432 80〜90年代に 作ったものです 00:05:54.432 --> 00:05:56.707 まったく機械式のプリンタです 00:05:56.707 --> 00:05:59.405 彼は数字に捕らわれていたので 数字しか印刷できません 00:05:59.405 --> 00:06:02.922 でも紙に印刷し ワードラップさえします 00:06:02.922 --> 00:06:05.694 行末まで行ったら 先頭に戻るんです NOTE Paragraph 00:06:05.694 --> 00:06:07.344 グラフィックスもいりますよね? 00:06:07.344 --> 00:06:08.900 グラフィックスです 00:06:08.900 --> 00:06:11.496 「プロッタがいるな 大きな紙とペンがあるので 00:06:11.496 --> 00:06:13.604 マシンにプロットさせよう」 00:06:13.604 --> 00:06:15.434 それでプロッタの設計もしました 00:06:15.434 --> 00:06:19.359 その時点でかなり いいマシンに 00:06:19.359 --> 00:06:20.890 なっていたと思います NOTE Paragraph 00:06:20.890 --> 00:06:23.580 そしてこの女性が登場します エイダ・ラブレス 00:06:23.580 --> 00:06:26.301 あの素晴らしい人々が集まる ソワレを想像してください 00:06:26.301 --> 00:06:29.393 この女性は かの狂気の 知るも恐ろしい 00:06:29.393 --> 00:06:31.815 バイロン卿の娘です 00:06:31.815 --> 00:06:34.335 彼女の母親は娘が バイロン卿の狂気を 00:06:34.335 --> 00:06:37.192 受け継ぎはしないか心配して 思案しました 00:06:37.192 --> 00:06:40.430 「どうすればいいか 分かるわ 数学よ 00:06:40.430 --> 00:06:43.379 数学を教えれば 落ち着くはずだわ」 00:06:43.379 --> 00:06:47.135 なにしろ・・・ (笑) 00:06:47.135 --> 00:06:51.050 発狂した数学者などいないので 00:06:51.050 --> 00:06:53.451 きっと大丈夫だろう (笑) 00:06:53.451 --> 00:06:56.789 それで彼女は数学の教育を受け 00:06:56.789 --> 00:06:59.527 あのソワレに母親と一緒に行き 00:06:59.527 --> 00:07:02.317 バベッジが マシンを披露します 00:07:02.317 --> 00:07:04.151 ウェリントン公がいて 00:07:04.151 --> 00:07:05.723 マシンのデモが行われ 00:07:05.723 --> 00:07:09.474 そして彼女は理解しました 彼女はバベッジの 生存中にこう言った唯一の人間でした 00:07:09.474 --> 00:07:10.766 「これが何をするのか分かるわ 00:07:10.766 --> 00:07:12.973 この機械の未来が分かる」 00:07:12.973 --> 00:07:16.060 私たちは彼女に多くを負っています バベッジが作ろうとしていた 00:07:16.060 --> 00:07:19.037 機械について 私たちが こうして知ることができるのも 00:07:19.037 --> 00:07:20.640 彼女のおかげなんです NOTE Paragraph 00:07:20.640 --> 00:07:23.397 彼女を史上最初のプログラマと 呼ぶ人もいます 00:07:23.397 --> 00:07:26.783 これは実際彼女が 変換したものです 00:07:26.783 --> 00:07:29.694 特有のスタイルでプログラムが 書かれています 00:07:29.694 --> 00:07:33.263 彼女が最初のプログラマだというのは 歴史的に正確ではありません 00:07:33.263 --> 00:07:35.316 彼女はもっと驚くべき ことをしています 00:07:35.316 --> 00:07:36.886 単なるプログラマではなく 00:07:36.886 --> 00:07:39.058 バベッジに見えていなかった ことを 彼女は見ていたのです NOTE Paragraph 00:07:39.058 --> 00:07:42.242 バベッジは数学に 捕らわれていました 00:07:42.242 --> 00:07:46.191 数学をやるために マシンを作っていましたが 00:07:46.191 --> 00:07:49.450 ラブレスは「この機械で数学以上の ことができるわ」と言いました 00:07:49.450 --> 00:07:52.285 この場にいる人はみんな 00:07:52.285 --> 00:07:53.910 コンピュータを持っています 00:07:53.910 --> 00:07:55.964 携帯を持っているでしょう 00:07:55.964 --> 00:07:58.192 携帯の中を覗いてみれば 00:07:58.192 --> 00:08:00.207 携帯にせよコンピュータにせよ 中身は数学で 00:08:00.207 --> 00:08:02.288 基底部分では すべてが数字なのです 00:08:02.288 --> 00:08:06.981 ビデオにせよ テキストにせよ 音楽にせよ 音声にせよ 00:08:06.981 --> 00:08:10.961 すべて数字で 数学的な 関数で処理されています 00:08:10.961 --> 00:08:13.066 ラブレスは言いました 00:08:13.066 --> 00:08:16.388 「数学の関数や記号を 使っているからといって 00:08:16.388 --> 00:08:18.635 音楽のような 実世界の他のものを 00:08:18.635 --> 00:08:21.988 表現できない理由はありません」 00:08:21.988 --> 00:08:24.722 これは大きな飛躍です バベッジは 00:08:24.722 --> 00:08:26.944 「このすごい関数を計算して 00:08:26.944 --> 00:08:30.612 数表を印刷し グラフを描けるぞ」 と言い (笑) 00:08:30.612 --> 00:08:32.508 一方ラブレスは 00:08:32.508 --> 00:08:34.984 「音楽を数値的に表現すれば 00:08:34.984 --> 00:08:38.532 この機械に作曲させることだって できるでしょう」と言うのです 00:08:38.532 --> 00:08:40.101 私はこれを「ラブレスの飛躍」 と言っています 00:08:40.101 --> 00:08:43.838 みんな彼女をプログラマだと言います プログラミングも 00:08:43.838 --> 00:08:46.975 確かにしましたが 重要なのは 彼女が 未来はそれよりも 00:08:46.975 --> 00:08:49.171 ずっとすごいものになると 予見していたことです NOTE Paragraph 00:08:49.171 --> 00:08:51.350 百年後にこの男 00:08:51.350 --> 00:08:56.803 アラン・チューリングが現れます 1936年に彼はコンピュータを再発明しました 00:08:56.803 --> 00:08:59.380 バベッジのマシンは まったく機械式でしたが 00:08:59.380 --> 00:09:01.911 チューリングのはまったく 理論的なものでした 00:09:01.911 --> 00:09:04.702 両者とも数学的な視点から 出発していますが 00:09:04.702 --> 00:09:07.255 チューリングはとても 重要なことを言いました 00:09:07.255 --> 00:09:10.190 彼はコンピュータサイエンスの 00:09:10.190 --> 00:09:12.303 数学的基礎を築き 00:09:12.303 --> 00:09:15.490 「コンピュータの作り方は問題ではない」 と言ったのです 00:09:15.490 --> 00:09:17.368 バベッジのマシンのように 機械式であろうと 00:09:17.368 --> 00:09:21.778 今日のマシンのように 電子的であろうと 00:09:21.778 --> 00:09:24.582 未来のマシンのように セルか あるいは 00:09:24.582 --> 00:09:27.728 ナノテクノロジーを使った 機械式だろうと 違いはないのです 00:09:27.728 --> 00:09:29.765 バベッジのマシンを 小さくするだけです 00:09:29.765 --> 00:09:32.341 いずれもコンピュータです コンピュータのエッセンス 00:09:32.341 --> 00:09:33.973 のようなものがあって 00:09:33.973 --> 00:09:35.978 チャーチ=チューリングのテーゼと NOTE Paragraph 00:09:35.978 --> 00:09:38.645 呼ばれていますが それによって バベッジの作ったものは 00:09:38.645 --> 00:09:40.868 本当にコンピュータ だったと言えるのです 00:09:40.868 --> 00:09:43.693 実際今日のコンピュータで できることは何でもできました 00:09:43.693 --> 00:09:48.525 ただ すごく遅いというだけです (笑) 00:09:48.525 --> 00:09:50.631 どれくらい遅かったかというと 00:09:50.631 --> 00:09:54.470 メモリ容量は1kで 00:09:54.470 --> 00:09:57.388 パンチカードで入力し 00:09:57.388 --> 00:10:03.148 最初のZX81より 1万倍遅かったのです 00:10:03.148 --> 00:10:04.751 あれはRAMパックがあって 00:10:04.751 --> 00:10:07.930 必要ならメモリを追加 することができました (笑) NOTE Paragraph 00:10:07.930 --> 00:10:10.256 今日の状況がどうなっているかですが 00:10:10.256 --> 00:10:11.864 図面があります 00:10:11.864 --> 00:10:14.797 スウィンドンにあるサイエンス・ ミュージアムの保管庫には 00:10:14.797 --> 00:10:16.491 バベッジがこの解析機関について書いた 00:10:16.491 --> 00:10:19.960 何百という図面と 何千ページものノートがあります 00:10:19.960 --> 00:10:23.921 その中の一組は「図面28」と 呼ばれていて 00:10:23.921 --> 00:10:26.075 これはサイエンス・ミュージアムの キュレータだった 00:10:26.075 --> 00:10:28.809 ドロン・スウェードと 私で始めた募金の 00:10:28.809 --> 00:10:31.048 名称にもなっています 彼は階差機関構築プロジェクトの 00:10:31.048 --> 00:10:32.478 責任者でもありました 00:10:32.478 --> 00:10:35.036 私たちの計画はここ サウス・ケンジントンで 00:10:35.036 --> 00:10:38.902 解析機関を構築する というものです NOTE Paragraph 00:10:38.902 --> 00:10:40.904 プロジェクトには 沢山の要素があります 00:10:40.904 --> 00:10:43.424 一番目はバベッジの文書のスキャンで これは完了しています 00:10:43.424 --> 00:10:45.346 二番目の今やっていることは 00:10:45.346 --> 00:10:48.456 何を作るか決めるため それらの図面を研究することです 00:10:48.456 --> 00:10:52.900 三番目は そのマシンをコンピュータ シミュレーションすることです 00:10:52.900 --> 00:10:55.823 そして最後にサイエンス ミュージアムで現物を作ります NOTE Paragraph 00:10:55.823 --> 00:10:58.399 これができれば コンピュータの 仕組みがようやく 00:10:58.399 --> 00:11:00.233 分かるようになります 小さなチップの代わりに 00:11:00.233 --> 00:11:02.843 この巨大な機械を見たら 00:11:02.843 --> 00:11:06.178 こうつぶやくことでしょう 「ああ メモリが動いているのが見える 00:11:06.178 --> 00:11:10.045 CPUが動いてる音がする 動いている臭いもする」(笑) 00:11:10.045 --> 00:11:12.644 しかし それまでは シミュレーションです NOTE Paragraph 00:11:12.644 --> 00:11:14.401 バベッジ自身書いています 00:11:14.401 --> 00:11:16.019 解析機関ができるやいなや 00:11:16.019 --> 00:11:19.723 それは科学の未来の道筋を 導くことになるだろうと 00:11:19.723 --> 00:11:21.568 彼はアイデアを弄ぶ ばかりで 結局 00:11:21.568 --> 00:11:23.650 作りませんでしたが コンピュータが 00:11:23.650 --> 00:11:27.160 実際に1940年代に作られると すべてが変わったのです NOTE Paragraph 00:11:27.160 --> 00:11:28.983 動く様子がどんなものか 00:11:28.983 --> 00:11:31.616 ビデオでちょっと お見せしましょう 00:11:31.616 --> 00:11:36.210 CPUのメカニズムの一部が 動いているところです 00:11:39.210 --> 00:11:42.209 3組の歯車で 足し算をしています 00:11:42.209 --> 00:11:45.031 このが加算機構の動作です この巨大なマシンが 00:11:45.031 --> 00:11:47.688 どんなものか 想像できるでしょう NOTE Paragraph 00:11:47.688 --> 00:11:48.847 私に5年ください 00:11:48.847 --> 00:11:51.191 2030年代になる前に 作り上げます NOTE Paragraph 00:11:51.191 --> 00:11:54.161 どうもありがとうございました (拍手)