1 00:00:00,106 --> 00:00:01,530 存在することのなかった 最高の マシンについてお話しましょう 2 00:00:01,530 --> 00:00:03,204 存在することのなかった 最高の マシンについてお話しましょう 3 00:00:03,204 --> 00:00:05,203 実際に作られることは ありませんでしたが 4 00:00:05,203 --> 00:00:07,583 今度作られることになりました 5 00:00:07,583 --> 00:00:09,575 みんながコンピュータについて考える 6 00:00:09,575 --> 00:00:11,926 はるか以前に設計されたマシンです 7 00:00:11,926 --> 00:00:14,075 コンピュータの歴史に ついてご存じなら 8 00:00:14,075 --> 00:00:16,595 30〜40年代に単純な コンピュータが作られ 9 00:00:16,595 --> 00:00:19,150 今日のコンピュータ革命に繋がった 10 00:00:19,150 --> 00:00:21,943 というのをご存じでしょう 11 00:00:21,943 --> 00:00:23,229 その通りなんですが 12 00:00:23,229 --> 00:00:25,711 ただ世紀が違っています 13 00:00:25,711 --> 00:00:27,351 最初のコンピュータは 14 00:00:27,351 --> 00:00:31,023 1830〜40年代に設計されました 1930〜40年代ではありません 15 00:00:31,023 --> 00:00:33,351 設計され 部分的に試作され 16 00:00:33,351 --> 00:00:35,487 ここサウス・ケンジントンに 17 00:00:35,487 --> 00:00:37,480 一部が残っています 18 00:00:37,480 --> 00:00:40,799 そのマシンを作ったのは この男 チャールズ・バベッジです 19 00:00:40,799 --> 00:00:42,555 バベッジには何か 親しみを覚えます 20 00:00:42,555 --> 00:00:45,164 どの写真を見ても髪がこう 21 00:00:45,164 --> 00:00:47,505 乱れているんです (笑) 22 00:00:47,505 --> 00:00:49,352 とても裕福な男で 23 00:00:49,352 --> 00:00:51,365 イギリスの貴族社会に 属していました 24 00:00:51,365 --> 00:00:53,704 土曜日の夜には メリルボンの彼の家で 25 00:00:53,704 --> 00:00:56,135 当時の知識階級を集めた ソワレ(夜会)が開かれていました 26 00:00:56,135 --> 00:00:57,631 当時の知識階級を集めた ソワレ(夜会)が開かれていました 27 00:00:57,631 --> 00:01:00,590 王やウェリントン公や 28 00:01:00,590 --> 00:01:04,022 その他多くの有名人が 招待されました 29 00:01:04,022 --> 00:01:06,543 そこで彼の機械装置が 披露されたことでしょう 30 00:01:06,543 --> 00:01:09,583 当時をうらやましく思います 31 00:01:09,583 --> 00:01:11,931 だってソワレに行って 機械式コンピュータの 32 00:01:11,931 --> 00:01:13,044 デモを見られるんですよ (笑) 33 00:01:13,044 --> 00:01:16,310 バベッジ自身は 34 00:01:16,310 --> 00:01:18,044 18世紀末に生まれ 35 00:01:18,044 --> 00:01:20,088 非常に有名な数学者でした 36 00:01:20,088 --> 00:01:23,231 ケンブリッジ大学でニュートンと 同じポストを占めていました 37 00:01:23,231 --> 00:01:25,743 今はスティーブン・ ホーキングがやっています 38 00:01:25,743 --> 00:01:28,598 バベッジは彼らほど 有名ではありません 39 00:01:28,598 --> 00:01:31,748 機械式コンピュータを作るという アイデアを思い付きましたが 40 00:01:31,748 --> 00:01:34,033 決して作り上げることが なかったからです 41 00:01:34,033 --> 00:01:37,318 作れなかった理由は 彼が典型的な 頭でっかちだったからです 42 00:01:37,318 --> 00:01:39,329 いいアイデアを思い付くたびに 「これはすごいぞ  これを作り始めよう 43 00:01:39,329 --> 00:01:40,777 いいアイデアを思い付くたびに 「これはすごいぞ  これを作り始めよう 44 00:01:40,777 --> 00:01:43,372 金をつぎ込もう いやもっと いいアイデアを思い付いたぞ 45 00:01:43,372 --> 00:01:45,732 こっちをやることにしよう」 (笑) 46 00:01:45,732 --> 00:01:48,612 ずっとそんな調子で 最後には 首相のサー・ロバート・ピールに 47 00:01:48,612 --> 00:01:51,076 ダウニング街10番地から 蹴り出されました 48 00:01:51,076 --> 00:01:53,517 当時のことですから 蹴り出すとき 49 00:01:53,517 --> 00:01:56,669 「お別れです ご機嫌よう」 と言ったことでしょう (笑) 50 00:01:56,669 --> 00:01:58,649 彼が設計したのは この奇怪な解析機関です 51 00:01:58,649 --> 00:02:02,088 イメージが掴めるように 説明しますと 52 00:02:02,088 --> 00:02:03,960 これは上から見たところで 53 00:02:03,960 --> 00:02:07,073 円の1つひとつが 積み上げられた歯車です 54 00:02:07,073 --> 00:02:10,309 全体は蒸気機関ほどの 大きさがあります 55 00:02:10,309 --> 00:02:12,300 講演の間 この巨大な機械を イメージして 56 00:02:12,300 --> 00:02:14,944 ほしいのです これが立てるであろう 57 00:02:14,944 --> 00:02:16,704 素晴らしい音を 思い浮かべてください 58 00:02:16,704 --> 00:02:18,481 このマシンのアーキテクチャを 説明していきます 59 00:02:18,481 --> 00:02:19,960 まさにアーキテクチャですね 60 00:02:19,960 --> 00:02:23,287 そしてこのマシンがいかに 「コンピュータ」であるかを説明します 61 00:02:23,287 --> 00:02:26,690 まずメモリについて 62 00:02:26,690 --> 00:02:28,937 メモリは 今日の コンピュータのメモリに 63 00:02:28,937 --> 00:02:31,639 よく似たものでしたが ただそれは金属製で 64 00:02:31,639 --> 00:02:35,183 30段重ねになった 歯車の山でした 65 00:02:35,183 --> 00:02:37,253 そびえ立つ歯車を イメージしてください 66 00:02:37,253 --> 00:02:39,008 そんな歯車が何百とあって それぞれに 67 00:02:39,008 --> 00:02:40,898 数字が書かれています 68 00:02:40,898 --> 00:02:43,317 10進マシンで すべては 10進数で行われます 69 00:02:43,317 --> 00:02:44,902 2進数も考えたのですが 70 00:02:44,902 --> 00:02:46,620 問題は 2進数にすると マシンの背が 71 00:02:46,620 --> 00:02:49,937 馬鹿みたいに高くなることです 10進でも巨大ですけど 72 00:02:49,937 --> 00:02:51,996 これでメモリは手に入りました 73 00:02:51,996 --> 00:02:54,403 メモリの一部がここに出ています 74 00:02:54,403 --> 00:02:56,733 ずっとこんな感じです 75 00:02:56,733 --> 00:03:01,268 この怪物みたいなのはCPU いわゆるチップですね 76 00:03:01,268 --> 00:03:03,518 もちろん大きなものです 77 00:03:03,518 --> 00:03:06,431 全くの機械式です マシンの全体が機械式でした 78 00:03:06,431 --> 00:03:10,572 この写真は サイエンス・ ミュージアムにある 79 00:03:10,572 --> 00:03:12,711 CPUの一部の試作品です 80 00:03:12,711 --> 00:03:16,343 CPUは4種の基本的な 算術演算ができました 81 00:03:16,343 --> 00:03:18,796 加算 乗算 減算 除算 82 00:03:18,796 --> 00:03:21,804 これを金属の機械でやるだけでも 大したことですが 83 00:03:21,804 --> 00:03:24,433 それだけでなく このマシンには コンピュータにできて 84 00:03:24,433 --> 00:03:26,132 計算機にできないことができました 85 00:03:26,132 --> 00:03:30,070 内部メモリを参照して 判断を行うということです 86 00:03:30,070 --> 00:03:32,936 Basicプログラミングの If Thenができたのです 87 00:03:32,936 --> 00:03:35,076 これはコンピュータの 基本となることです 88 00:03:35,076 --> 00:03:39,674 コンピュテーションができたんです 単なる算術だけでなく それ以上です 89 00:03:39,674 --> 00:03:42,355 これを見ながら 少し立ち止まって 90 00:03:42,355 --> 00:03:44,226 今日のチップを考えてみましょう 91 00:03:44,226 --> 00:03:48,041 チップの中身は見えません 小さすぎます 92 00:03:48,041 --> 00:03:49,842 でも見たとしたら 93 00:03:49,842 --> 00:03:51,664 これと とてもよく似たものが 見えるはずです 94 00:03:51,664 --> 00:03:54,611 CPUの ものすごい複雑さ 95 00:03:54,611 --> 00:03:57,303 メモリのものすごい規則性 電子顕微鏡写真を 96 00:03:57,303 --> 00:03:58,965 見たことがあれば 97 00:03:58,965 --> 00:04:00,934 まさにこれです ずっと同じに見え 98 00:04:00,934 --> 00:04:03,500 それからすごく込み入った 部分があります 99 00:04:03,500 --> 00:04:07,483 この歯車機構がすることは コンピュータと同じなので 100 00:04:07,483 --> 00:04:09,576 当然プログラミングが 必要になります 101 00:04:09,576 --> 00:04:12,601 バベッジは当時の テクノロジーを使いました 102 00:04:12,601 --> 00:04:16,247 それは1950、60、70年代に 再び現れることになる 103 00:04:16,247 --> 00:04:19,116 パンチカードです 104 00:04:19,116 --> 00:04:21,940 これは3つのパンチ カードリーダの1つと 105 00:04:21,940 --> 00:04:25,620 プログラムです サイエンス・ミュージアムにあります 106 00:04:25,620 --> 00:04:30,013 ここからそう遠くありません バベッジによって作られました 107 00:04:30,013 --> 00:04:31,881 行けばご覧になれます 108 00:04:31,881 --> 00:04:34,322 マシンが出来上がるのを 待っています 109 00:04:34,322 --> 00:04:37,742 1つだけでなく たくさんあります 110 00:04:37,742 --> 00:04:40,832 マシンができた時のため 彼はプログラムを用意していたんです 111 00:04:40,832 --> 00:04:42,805 パンチカードを使った理由は 112 00:04:42,805 --> 00:04:44,977 フランスのジャカードが パンチカード制御で 113 00:04:44,977 --> 00:04:47,655 見事なパターンを編み出す 紋織機を作っていて 114 00:04:47,655 --> 00:04:50,287 バベッジは当時の このテクノロジーを 流用したのです 115 00:04:50,287 --> 00:04:52,392 他のすべてと同様 彼は 116 00:04:52,392 --> 00:04:57,139 1830、40、50年代当時の 技術を使いました 117 00:04:57,139 --> 00:05:01,077 歯車に蒸気に機械装置 皮肉なことにバベッジと同じ年に 118 00:05:01,077 --> 00:05:03,249 マイケル・ファラデーが生まれています 119 00:05:03,249 --> 00:05:05,926 彼は発電機や変圧器といった 120 00:05:05,926 --> 00:05:08,439 技術を革新しました 121 00:05:08,439 --> 00:05:11,597 しかしバベッジは確立した 技術を使いたいと望み 122 00:05:11,597 --> 00:05:13,150 蒸気機関のようなものを 選んだのです 123 00:05:13,150 --> 00:05:14,823 それから付属品です 124 00:05:14,823 --> 00:05:16,495 コンピュータ本体はあります 125 00:05:16,495 --> 00:05:18,884 パンチカードにCPUに メモリはあるので 126 00:05:18,884 --> 00:05:20,819 一緒に使う付属品が必要です 127 00:05:20,819 --> 00:05:22,447 一緒に使う付属品が必要です 128 00:05:22,447 --> 00:05:25,275 第一に サウンドです ベルを付けるんです 129 00:05:25,275 --> 00:05:27,429 何かがまずくなった時や 130 00:05:27,429 --> 00:05:29,774 マシンに何か人手が 必要な時に 131 00:05:29,774 --> 00:05:31,744 鳴らすベルです (笑) 132 00:05:31,744 --> 00:05:33,280 パンチカードで入力する 命令に 実際 133 00:05:33,280 --> 00:05:36,182 「ベルを鳴らす」というのがありました 想像してみてください 134 00:05:36,182 --> 00:05:38,382 「チーン !」 歯車のたてる音 135 00:05:38,382 --> 00:05:39,463 「カチャカチャカチャカチャ」 136 00:05:39,463 --> 00:05:42,400 蒸気エンジンの音 そして 「チーン」(笑) 137 00:05:42,400 --> 00:05:44,835 それにプリンタも 当然必要です 138 00:05:44,835 --> 00:05:47,843 これは彼の別なマシンである 139 00:05:47,843 --> 00:05:50,326 階差機関二号のための 印刷機構の写真です 140 00:05:50,326 --> 00:05:52,261 バベッジではなく サイエンス・ミュージアムが 141 00:05:52,261 --> 00:05:54,432 80〜90年代に 作ったものです 142 00:05:54,432 --> 00:05:56,707 まったく機械式のプリンタです 143 00:05:56,707 --> 00:05:59,405 彼は数字に捕らわれていたので 数字しか印刷できません 144 00:05:59,405 --> 00:06:02,922 でも紙に印刷し ワードラップさえします 145 00:06:02,922 --> 00:06:05,694 行末まで行ったら 先頭に戻るんです 146 00:06:05,694 --> 00:06:07,344 グラフィックスもいりますよね? 147 00:06:07,344 --> 00:06:08,900 グラフィックスです 148 00:06:08,900 --> 00:06:11,496 「プロッタがいるな 大きな紙とペンがあるので 149 00:06:11,496 --> 00:06:13,604 マシンにプロットさせよう」 150 00:06:13,604 --> 00:06:15,434 それでプロッタの設計もしました 151 00:06:15,434 --> 00:06:19,359 その時点でかなり いいマシンに 152 00:06:19,359 --> 00:06:20,890 なっていたと思います 153 00:06:20,890 --> 00:06:23,580 そしてこの女性が登場します エイダ・ラブレス 154 00:06:23,580 --> 00:06:26,301 あの素晴らしい人々が集まる ソワレを想像してください 155 00:06:26,301 --> 00:06:29,393 この女性は かの狂気の 知るも恐ろしい 156 00:06:29,393 --> 00:06:31,815 バイロン卿の娘です 157 00:06:31,815 --> 00:06:34,335 彼女の母親は娘が バイロン卿の狂気を 158 00:06:34,335 --> 00:06:37,192 受け継ぎはしないか心配して 思案しました 159 00:06:37,192 --> 00:06:40,430 「どうすればいいか 分かるわ 数学よ 160 00:06:40,430 --> 00:06:43,379 数学を教えれば 落ち着くはずだわ」 161 00:06:43,379 --> 00:06:47,135 なにしろ・・・ (笑) 162 00:06:47,135 --> 00:06:51,050 発狂した数学者などいないので 163 00:06:51,050 --> 00:06:53,451 きっと大丈夫だろう (笑) 164 00:06:53,451 --> 00:06:56,789 それで彼女は数学の教育を受け 165 00:06:56,789 --> 00:06:59,527 あのソワレに母親と一緒に行き 166 00:06:59,527 --> 00:07:02,317 バベッジが マシンを披露します 167 00:07:02,317 --> 00:07:04,151 ウェリントン公がいて 168 00:07:04,151 --> 00:07:05,723 マシンのデモが行われ 169 00:07:05,723 --> 00:07:09,474 そして彼女は理解しました 彼女はバベッジの 生存中にこう言った唯一の人間でした 170 00:07:09,474 --> 00:07:10,766 「これが何をするのか分かるわ 171 00:07:10,766 --> 00:07:12,973 この機械の未来が分かる」 172 00:07:12,973 --> 00:07:16,060 私たちは彼女に多くを負っています バベッジが作ろうとしていた 173 00:07:16,060 --> 00:07:19,037 機械について 私たちが こうして知ることができるのも 174 00:07:19,037 --> 00:07:20,640 彼女のおかげなんです 175 00:07:20,640 --> 00:07:23,397 彼女を史上最初のプログラマと 呼ぶ人もいます 176 00:07:23,397 --> 00:07:26,783 これは実際彼女が 変換したものです 177 00:07:26,783 --> 00:07:29,694 特有のスタイルでプログラムが 書かれています 178 00:07:29,694 --> 00:07:33,263 彼女が最初のプログラマだというのは 歴史的に正確ではありません 179 00:07:33,263 --> 00:07:35,316 彼女はもっと驚くべき ことをしています 180 00:07:35,316 --> 00:07:36,886 単なるプログラマではなく 181 00:07:36,886 --> 00:07:39,058 バベッジに見えていなかった ことを 彼女は見ていたのです 182 00:07:39,058 --> 00:07:42,242 バベッジは数学に 捕らわれていました 183 00:07:42,242 --> 00:07:46,191 数学をやるために マシンを作っていましたが 184 00:07:46,191 --> 00:07:49,450 ラブレスは「この機械で数学以上の ことができるわ」と言いました 185 00:07:49,450 --> 00:07:52,285 この場にいる人はみんな 186 00:07:52,285 --> 00:07:53,910 コンピュータを持っています 187 00:07:53,910 --> 00:07:55,964 携帯を持っているでしょう 188 00:07:55,964 --> 00:07:58,192 携帯の中を覗いてみれば 189 00:07:58,192 --> 00:08:00,207 携帯にせよコンピュータにせよ 中身は数学で 190 00:08:00,207 --> 00:08:02,288 基底部分では すべてが数字なのです 191 00:08:02,288 --> 00:08:06,981 ビデオにせよ テキストにせよ 音楽にせよ 音声にせよ 192 00:08:06,981 --> 00:08:10,961 すべて数字で 数学的な 関数で処理されています 193 00:08:10,961 --> 00:08:13,066 ラブレスは言いました 194 00:08:13,066 --> 00:08:16,388 「数学の関数や記号を 使っているからといって 195 00:08:16,388 --> 00:08:18,635 音楽のような 実世界の他のものを 196 00:08:18,635 --> 00:08:21,988 表現できない理由はありません」 197 00:08:21,988 --> 00:08:24,722 これは大きな飛躍です バベッジは 198 00:08:24,722 --> 00:08:26,944 「このすごい関数を計算して 199 00:08:26,944 --> 00:08:30,612 数表を印刷し グラフを描けるぞ」 と言い (笑) 200 00:08:30,612 --> 00:08:32,508 一方ラブレスは 201 00:08:32,508 --> 00:08:34,984 「音楽を数値的に表現すれば 202 00:08:34,984 --> 00:08:38,532 この機械に作曲させることだって できるでしょう」と言うのです 203 00:08:38,532 --> 00:08:40,101 私はこれを「ラブレスの飛躍」 と言っています 204 00:08:40,101 --> 00:08:43,838 みんな彼女をプログラマだと言います プログラミングも 205 00:08:43,838 --> 00:08:46,975 確かにしましたが 重要なのは 彼女が 未来はそれよりも 206 00:08:46,975 --> 00:08:49,171 ずっとすごいものになると 予見していたことです 207 00:08:49,171 --> 00:08:51,350 百年後にこの男 208 00:08:51,350 --> 00:08:56,803 アラン・チューリングが現れます 1936年に彼はコンピュータを再発明しました 209 00:08:56,803 --> 00:08:59,380 バベッジのマシンは まったく機械式でしたが 210 00:08:59,380 --> 00:09:01,911 チューリングのはまったく 理論的なものでした 211 00:09:01,911 --> 00:09:04,702 両者とも数学的な視点から 出発していますが 212 00:09:04,702 --> 00:09:07,255 チューリングはとても 重要なことを言いました 213 00:09:07,255 --> 00:09:10,190 彼はコンピュータサイエンスの 214 00:09:10,190 --> 00:09:12,303 数学的基礎を築き 215 00:09:12,303 --> 00:09:15,490 「コンピュータの作り方は問題ではない」 と言ったのです 216 00:09:15,490 --> 00:09:17,368 バベッジのマシンのように 機械式であろうと 217 00:09:17,368 --> 00:09:21,778 今日のマシンのように 電子的であろうと 218 00:09:21,778 --> 00:09:24,582 未来のマシンのように セルか あるいは 219 00:09:24,582 --> 00:09:27,728 ナノテクノロジーを使った 機械式だろうと 違いはないのです 220 00:09:27,728 --> 00:09:29,765 バベッジのマシンを 小さくするだけです 221 00:09:29,765 --> 00:09:32,341 いずれもコンピュータです コンピュータのエッセンス 222 00:09:32,341 --> 00:09:33,973 のようなものがあって 223 00:09:33,973 --> 00:09:35,978 チャーチ=チューリングのテーゼと 224 00:09:35,978 --> 00:09:38,645 呼ばれていますが それによって バベッジの作ったものは 225 00:09:38,645 --> 00:09:40,868 本当にコンピュータ だったと言えるのです 226 00:09:40,868 --> 00:09:43,693 実際今日のコンピュータで できることは何でもできました 227 00:09:43,693 --> 00:09:48,525 ただ すごく遅いというだけです (笑) 228 00:09:48,525 --> 00:09:50,631 どれくらい遅かったかというと 229 00:09:50,631 --> 00:09:54,470 メモリ容量は1kで 230 00:09:54,470 --> 00:09:57,388 パンチカードで入力し 231 00:09:57,388 --> 00:10:03,148 最初のZX81より 1万倍遅かったのです 232 00:10:03,148 --> 00:10:04,751 あれはRAMパックがあって 233 00:10:04,751 --> 00:10:07,930 必要ならメモリを追加 することができました (笑) 234 00:10:07,930 --> 00:10:10,256 今日の状況がどうなっているかですが 235 00:10:10,256 --> 00:10:11,864 図面があります 236 00:10:11,864 --> 00:10:14,797 スウィンドンにあるサイエンス・ ミュージアムの保管庫には 237 00:10:14,797 --> 00:10:16,491 バベッジがこの解析機関について書いた 238 00:10:16,491 --> 00:10:19,960 何百という図面と 何千ページものノートがあります 239 00:10:19,960 --> 00:10:23,921 その中の一組は「図面28」と 呼ばれていて 240 00:10:23,921 --> 00:10:26,075 これはサイエンス・ミュージアムの キュレータだった 241 00:10:26,075 --> 00:10:28,809 ドロン・スウェードと 私で始めた募金の 242 00:10:28,809 --> 00:10:31,048 名称にもなっています 彼は階差機関構築プロジェクトの 243 00:10:31,048 --> 00:10:32,478 責任者でもありました 244 00:10:32,478 --> 00:10:35,036 私たちの計画はここ サウス・ケンジントンで 245 00:10:35,036 --> 00:10:38,902 解析機関を構築する というものです 246 00:10:38,902 --> 00:10:40,904 プロジェクトには 沢山の要素があります 247 00:10:40,904 --> 00:10:43,424 一番目はバベッジの文書のスキャンで これは完了しています 248 00:10:43,424 --> 00:10:45,346 二番目の今やっていることは 249 00:10:45,346 --> 00:10:48,456 何を作るか決めるため それらの図面を研究することです 250 00:10:48,456 --> 00:10:52,900 三番目は そのマシンをコンピュータ シミュレーションすることです 251 00:10:52,900 --> 00:10:55,823 そして最後にサイエンス ミュージアムで現物を作ります 252 00:10:55,823 --> 00:10:58,399 これができれば コンピュータの 仕組みがようやく 253 00:10:58,399 --> 00:11:00,233 分かるようになります 小さなチップの代わりに 254 00:11:00,233 --> 00:11:02,843 この巨大な機械を見たら 255 00:11:02,843 --> 00:11:06,178 こうつぶやくことでしょう 「ああ メモリが動いているのが見える 256 00:11:06,178 --> 00:11:10,045 CPUが動いてる音がする 動いている臭いもする」(笑) 257 00:11:10,045 --> 00:11:12,644 しかし それまでは シミュレーションです 258 00:11:12,644 --> 00:11:14,401 バベッジ自身書いています 259 00:11:14,401 --> 00:11:16,019 解析機関ができるやいなや 260 00:11:16,019 --> 00:11:19,723 それは科学の未来の道筋を 導くことになるだろうと 261 00:11:19,723 --> 00:11:21,568 彼はアイデアを弄ぶ ばかりで 結局 262 00:11:21,568 --> 00:11:23,650 作りませんでしたが コンピュータが 263 00:11:23,650 --> 00:11:27,160 実際に1940年代に作られると すべてが変わったのです 264 00:11:27,160 --> 00:11:28,983 動く様子がどんなものか 265 00:11:28,983 --> 00:11:31,616 ビデオでちょっと お見せしましょう 266 00:11:31,616 --> 00:11:36,210 CPUのメカニズムの一部が 動いているところです 267 00:11:39,210 --> 00:11:42,209 3組の歯車で 足し算をしています 268 00:11:42,209 --> 00:11:45,031 このが加算機構の動作です この巨大なマシンが 269 00:11:45,031 --> 00:11:47,688 どんなものか 想像できるでしょう 270 00:11:47,688 --> 00:11:48,847 私に5年ください 271 00:11:48,847 --> 00:11:51,191 2030年代になる前に 作り上げます 272 00:11:51,191 --> 00:11:54,161 どうもありがとうございました (拍手)