WEBVTT 00:00:00.703 --> 00:00:02.617 事実に向き合いましょう 00:00:02.617 --> 00:00:05.062 運転は危険な行為です 00:00:05.062 --> 00:00:08.160 私たちはそれについて 考えることを避けますが 00:00:08.160 --> 00:00:11.812 事実 世界中の 車のダッシュボードには 00:00:11.812 --> 00:00:16.602 宗教の偶像や 幸運のお守りが 飾られています 00:00:16.602 --> 00:00:20.739 それでも これを真実とは 認めようとしないのです 00:00:20.739 --> 00:00:24.333 自動車事故は アメリカの 00:00:24.333 --> 00:00:28.503 16歳から19歳の人の間では 00:00:28.503 --> 00:00:31.346 最大の死因であり 00:00:31.346 --> 00:00:35.209 その事故のうち75%は ドラッグやアルコールとも 00:00:35.209 --> 00:00:37.494 関係がありません NOTE Paragraph 00:00:37.494 --> 00:00:39.755 では何が起きているのでしょう? 00:00:39.755 --> 00:00:43.974 確かなことは言えませんが 私は初めての事故を憶えています 00:00:43.974 --> 00:00:47.777 若い頃 高速道路を運転していると 00:00:47.777 --> 00:00:50.035 前の車のブレーキランプが 光ったのが見えたので 00:00:50.035 --> 00:00:51.835 こんなことを思いました 「減速するのね 00:00:51.835 --> 00:00:53.117 じゃあ私も減速しなきゃ」 00:00:53.117 --> 00:00:55.043 私はブレーキを踏みました 00:00:55.043 --> 00:00:57.297 しかしその人はただ 減速していたわけではなく 00:00:57.297 --> 00:01:00.475 停止 それも高速道路の上で 完全に停止したのです 00:01:00.475 --> 00:01:03.015 時速約100km から 0km に 00:01:03.015 --> 00:01:04.535 私はブレーキをベタ踏み 00:01:04.535 --> 00:01:07.594 ABSが作動したのが分かりましたが それでも車は走り続け 00:01:07.594 --> 00:01:10.290 分かっていたことではありますが 止まり切れませんでした 00:01:10.290 --> 00:01:13.229 エアバッグが作動し 車はめちゃめちゃ 00:01:13.229 --> 00:01:16.786 ですが幸運にも ケガ人はいませんでした 00:01:16.786 --> 00:01:20.997 でも前の車が止まった理由は 私には見当もつきません 00:01:20.997 --> 00:01:24.642 こんな状況は避けられたはずです 00:01:24.642 --> 00:01:28.787 私が考えたのは 車がお互いに しゃべりかけることができれば 00:01:28.787 --> 00:01:32.666 もっと運転しやすくなるの ではないかということです NOTE Paragraph 00:01:32.666 --> 00:01:34.090 少し考えて頂きたいのは 00:01:34.090 --> 00:01:36.978 車の運転とは どんなものかということです 00:01:36.978 --> 00:01:41.006 車に乗り込み ドアを閉めると ガラス内の窮屈な空間に密閉され 00:01:41.006 --> 00:01:43.922 周りの世界は 直接には 認識できなくなります 00:01:43.922 --> 00:01:46.103 その車体を 00:01:46.103 --> 00:01:48.266 部分的にしか見えない道で 00:01:48.266 --> 00:01:50.322 鉄の巨体をすり抜けながら 00:01:50.322 --> 00:01:54.746 人間ではありえないスピードで 操らなければならないのです 00:01:54.746 --> 00:01:59.226 いいですか? 信じられるのは 自分の両目だけなんです 00:01:59.226 --> 00:02:00.988 そう それだけ 00:02:00.988 --> 00:02:02.723 人間の目が本来 00:02:02.723 --> 00:02:06.474 得意とはしないことを 強いられるのです 00:02:06.474 --> 00:02:08.023 車線変更をするとき 00:02:08.023 --> 00:02:10.344 まずどんなことをする 必要があるでしょうか? 00:02:10.344 --> 00:02:13.439 道から目をそらす? その通り 00:02:13.439 --> 00:02:15.535 進行方向を見るのをやめて 00:02:15.535 --> 00:02:17.553 死角を確認して 00:02:17.553 --> 00:02:21.024 前を見ずに運転するんです 00:02:21.024 --> 00:02:24.159 誰にとっても等しく これが安全な運転方法とされています 00:02:24.159 --> 00:02:26.400 なぜこんなことをするのでしょうか? 00:02:26.400 --> 00:02:28.979 視線を向ける先を 選択する必要があるからです 00:02:28.979 --> 00:02:30.500 もっと重要なことは? 00:02:30.500 --> 00:02:33.211 通常 私たちは道路上で 00:02:33.211 --> 00:02:36.980 注目するものを 選択するのは得意ですが 00:02:36.980 --> 00:02:40.630 時として何かを見落としたり 物事に気付くのが遅れたり 00:02:40.630 --> 00:02:45.091 間違った解釈を してしまうこともあります 00:02:45.091 --> 00:02:47.079 ドライバーは 事故を起こすと決まって 00:02:47.079 --> 00:02:49.387 「気付かなかったんだ」 と言い訳します 00:02:49.387 --> 00:02:52.668 それは信じましょう 00:02:52.668 --> 00:02:55.593 全てに注意を払うのは 不可能ですから NOTE Paragraph 00:02:55.593 --> 00:03:00.737 しかし 今やその状況を 改善する技術が存在しています 00:03:00.737 --> 00:03:05.033 将来的には 車がお互いに データを交換することで 00:03:05.033 --> 00:03:08.961 3台の車が前方にいると いうことだけでなく 00:03:08.961 --> 00:03:10.555 後ろや左右にいる3台も 00:03:10.555 --> 00:03:13.721 同時に俯瞰することが できるようになり 00:03:13.721 --> 00:03:16.849 車の中の様子まで わかるようになります 00:03:16.849 --> 00:03:19.220 前方の車の速度も分かるようになり 00:03:19.220 --> 00:03:22.460 巡航速度や 止まろうと していることも分かります 00:03:22.460 --> 00:03:26.970 停止しようとしていることを 事前に察知できるのです NOTE Paragraph 00:03:26.970 --> 00:03:30.829 アルゴリズムや予測モデルを 用いた計算により 00:03:30.829 --> 00:03:34.102 未来を予測できるようにもなるでしょう 00:03:34.102 --> 00:03:35.658 不可能だと思われることでしょう 00:03:35.658 --> 00:03:38.389 どうやって未来を予測する? 確かにとても困難ですが — 00:03:38.389 --> 00:03:42.008 実際には違うんです 車に関しては不可能ではないのです 00:03:42.008 --> 00:03:44.740 車は3次元の物体であり 00:03:44.740 --> 00:03:47.072 ある時点では 位置と速度は 決まっています 00:03:47.072 --> 00:03:48.703 また道路を走行するものであり 00:03:48.703 --> 00:03:51.115 多くの場合 事前から知られる 経路をとります 00:03:51.115 --> 00:03:55.053 ある車が ほんの少し 後にいる場所について 00:03:55.053 --> 00:03:57.917 合理的な予測をすることは そんなに困難ではないのです 00:03:57.917 --> 00:03:59.919 車に乗っているとき 00:03:59.919 --> 00:04:01.913 バイクが時速135kmで 00:04:01.913 --> 00:04:04.209 車線を横切りながら ブシューッとやって来たとしても — 00:04:04.209 --> 00:04:06.756 こんな経験をされた方も 多いかと思いますが — 00:04:06.756 --> 00:04:09.359 「どこからともなく現れた」 というわけではありません 00:04:09.359 --> 00:04:13.002 その人は30分ぐらいは 道路上にいたんです 00:04:13.002 --> 00:04:14.192 (笑) 00:04:14.192 --> 00:04:17.781 ここで言いたいのは 誰かが そのライダーを見たということ 00:04:17.781 --> 00:04:20.549 10km 20km 30km手前でも 誰かがその人を見たはずです 00:04:20.549 --> 00:04:22.933 ある車がその人を見かけ 地図上に記録すると 00:04:22.933 --> 00:04:25.164 地図に現れ 00:04:25.164 --> 00:04:27.340 位置 速度や 00:04:27.340 --> 00:04:29.661 時速135kmで走行を続けるという 推定などが得られます 00:04:29.661 --> 00:04:31.845 これは事前に察知可能です 00:04:31.845 --> 00:04:34.120 理由は他の車が こう耳打ちするからです 00:04:34.120 --> 00:04:36.043 「ところで5分後 00:04:36.043 --> 00:04:38.818 バイクに注意」というように 00:04:38.818 --> 00:04:41.521 車の行動について 合理的な予測ができるのです 00:04:41.521 --> 00:04:42.886 車はニュートン力学に従う物体です これは非常に都合の良いことです 00:04:42.886 --> 00:04:45.795 車はニュートン力学に従う物体です これは非常に都合の良いことです NOTE Paragraph 00:04:45.795 --> 00:04:48.829 どのようにして 実現するのでしょうか? 00:04:48.829 --> 00:04:51.095 まず手始めに GPSを使って 00:04:51.095 --> 00:04:53.965 位置情報を共有するというような 00:04:53.965 --> 00:04:55.857 シンプルなことから始めましょう 00:04:55.857 --> 00:04:58.301 私の車にGPSとカメラが 搭載されていれば 00:04:58.301 --> 00:05:00.532 どこを どの位の速度で 走行しているのか 00:05:00.532 --> 00:05:02.264 非常に高い精度で分かります 00:05:02.264 --> 00:05:03.921 コンピュータ・ビジョンを用いれば 00:05:03.921 --> 00:05:07.458 周囲の車の位置や 進行方向 のようなものも割り出せます 00:05:07.458 --> 00:05:08.428 他の車についても同様で 00:05:08.428 --> 00:05:10.242 自分の現在地については正確に 00:05:10.242 --> 00:05:12.388 他の車の位置については 大雑把に分かります 00:05:12.388 --> 00:05:15.619 では2台の車がそのデータを 共有したらどうなるでしょうか? 00:05:15.619 --> 00:05:17.574 車がお互いに会話できたら? 00:05:17.574 --> 00:05:20.352 それは簡単なことで 00:05:20.352 --> 00:05:22.691 両者の予測モデルが 改善されます 00:05:22.691 --> 00:05:24.746 みんな得をするのです 00:05:24.746 --> 00:05:27.323 ボブ・ワン教授のチームは 00:05:27.323 --> 00:05:30.061 車の共有するのが GPSデータのみで 00:05:30.061 --> 00:05:33.492 交通量が少なくても 曖昧な推定を 結合させるとどうなるか 00:05:33.492 --> 00:05:36.116 コンピュータで シミュレーションを行いました 00:05:36.116 --> 00:05:38.629 さらには この研究を シミュレーションの枠から出し 00:05:38.629 --> 00:05:41.656 現在 実際に車に搭載されている センサーを取り付けた 00:05:41.656 --> 00:05:44.789 ロボットを用いて 実験を行いました 00:05:44.789 --> 00:05:46.627 使用したのは ステレオカメラ GPS 00:05:46.627 --> 00:05:48.501 そして補助システムとして一般的な 00:05:48.501 --> 00:05:50.741 2次元レーザー距離計です 00:05:50.741 --> 00:05:55.225 また それとは別に 短距離無線装置を取り付け 00:05:55.225 --> 00:05:57.134 ロボット間の情報伝達を 可能にしました 00:05:57.134 --> 00:05:58.673 ロボット同士が近付くと 00:05:58.673 --> 00:06:01.644 お互いの位置を正確に追跡し 00:06:01.644 --> 00:06:04.381 衝突を避けることができます NOTE Paragraph 00:06:04.381 --> 00:06:07.607 現在もさらなる改良を 続けていますが 00:06:07.607 --> 00:06:09.078 いくつかの問題に突き当たりました 00:06:09.078 --> 00:06:11.437 その1つは 情報量を 増やし過ぎると 00:06:11.437 --> 00:06:15.165 データを処理し切れなくなることです そこで優先度を決める必要が出てきますが 00:06:15.165 --> 00:06:17.522 それこそ予測モデルが 役に立つ場面です 00:06:17.522 --> 00:06:21.894 ロボット自動車が予測された軌跡を なぞっているだけなら 00:06:21.894 --> 00:06:23.661 そんな情報は捨てても構いません 00:06:23.661 --> 00:06:25.364 優先すべきは 予測とは異なる 00:06:25.364 --> 00:06:26.697 道を進んでいる車です 00:06:26.697 --> 00:06:29.223 そのようなものこそ問題となりますが 00:06:29.223 --> 00:06:32.225 軌跡を新たに予測することができます 00:06:32.225 --> 00:06:34.988 道を外れたことだけでなく その外れ具合も分かるのです 00:06:34.988 --> 00:06:38.713 さらに 退くよう警告する必要があるのは どのドライバーかも分かります NOTE Paragraph 00:06:38.713 --> 00:06:41.346 どうやって全員に警告するのが ベストでしょうか? 00:06:41.346 --> 00:06:44.529 どうすれば車は「どいた方が良い」と 耳打ちできるでしょうか? 00:06:44.529 --> 00:06:46.046 次の2つの要素に依存します 00:06:46.046 --> 00:06:48.215 1つは車の能力 00:06:48.215 --> 00:06:51.432 もう1つはドライバーの能力です 00:06:51.432 --> 00:06:52.937 性能の良い車に乗っていても 00:06:52.937 --> 00:06:55.862 電話していたり 何かをしていたら 00:06:55.862 --> 00:06:57.792 おそらく緊急時には 00:06:57.792 --> 00:07:00.762 咄嗟に反応できません 00:07:00.762 --> 00:07:02.427 そこで私たちは 別系統の研究を立ち上げ 00:07:02.427 --> 00:07:04.978 ドライバーの状態の モデル化を試みています 00:07:04.978 --> 00:07:07.307 現在では 3台のカメラを用いて 00:07:07.307 --> 00:07:09.577 ドライバーが前を向いているのか 00:07:09.577 --> 00:07:12.437 横や下を向いているのか 電話しているのか 00:07:12.437 --> 00:07:15.498 コーヒーを飲んでいるのか 検出できるようになりました 00:07:15.498 --> 00:07:17.568 事故を予測することができ 00:07:17.568 --> 00:07:21.219 全員が安全な経路を計算することで 00:07:21.219 --> 00:07:24.705 誰が どの車が 最も道を空けるのに 00:07:24.705 --> 00:07:27.714 最適な位置にいるのか 予測できるのです 00:07:27.714 --> 00:07:32.349 本質的には これらの技術は 既に存在しています NOTE Paragraph 00:07:32.349 --> 00:07:35.173 目下のところ 最大の問題は 00:07:35.173 --> 00:07:38.186 データを共有する意思です 00:07:38.186 --> 00:07:40.817 確かに 自分の車に見張られ 00:07:40.817 --> 00:07:43.203 自分のことを 他車に話され 00:07:43.203 --> 00:07:46.574 陰口の中を進んで行くというのは 00:07:46.574 --> 00:07:50.001 あまり気乗りのしない 考えだとは思います 00:07:50.001 --> 00:07:53.898 しかしプライバシーを侵害しないような 方法で行うことも可能だと信じています 00:07:53.898 --> 00:07:57.639 さっき話したように 車を外から見ても 00:07:57.639 --> 00:08:00.002 乗っている人のことは 分かりませんし 00:08:00.002 --> 00:08:01.139 それはナンバープレートに ついても同じことです 00:08:01.139 --> 00:08:03.025 それはナンバープレートに ついても同じことです 00:08:03.025 --> 00:08:07.274 車が裏でしゃべってしまうかも しれませんけどね NOTE Paragraph 00:08:07.274 --> 00:08:10.249 (笑) NOTE Paragraph 00:08:10.249 --> 00:08:13.434 このアイデアは素晴らしい ものだと思っています 00:08:13.434 --> 00:08:15.084 ちょっと考えてみてください 00:08:15.084 --> 00:08:19.202 後ろにいる注意力散漫な10代の人に 00:08:19.202 --> 00:08:21.322 あなたがブレーキをかけて 00:08:21.322 --> 00:08:24.246 完全停止しようとしていることを 知らせたくは無いのですか? 00:08:24.246 --> 00:08:26.987 データをすすんで共有することで 00:08:26.987 --> 00:08:29.799 みんなにとっての最善策を取れるのです NOTE Paragraph 00:08:29.799 --> 00:08:32.875 車に陰口をたたかせましょう 00:08:32.875 --> 00:08:35.913 それが道路を とても安全にするのですから NOTE Paragraph 00:08:35.913 --> 00:08:37.704 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:08:37.704 --> 00:08:42.689 (拍手)