この瞬間ですよね? 皆さんを見ていると 本当に素敵な方たちに見えます 大きなエネルギーを感じるので 5分間そこに座っていて とても気分が良かったです あなたはとても親切そうで ありがとうと言っておきます そこのあなたは ボイスコーチと聞き 少し不安げですね 心配しなくても大丈夫です あちらにはTEDの賢い面々が見えます 今日は私も いくつかのアイデアを お話しします この瞬間 私たちの目と目が 私たちの世界がぶつかり合っています 皆さんは私を見て 私は皆さんを見て アドレナリンが脳を 刺激しているような感覚になります アドレナリンは細胞を 活性化する分子とも言われます 人によってこの瞬間の 取り組み方は異なります 中には「こんにちは!」と 始める人もいますよね? 自信のある人は この瞬間をとても上手にこなします 対して あまり自信のない人は この瞬間話せなくなってしまいます 不安になり できそうにないと 思ってしまいます でもそういうことではありません 本当は全ての人が 自信というものを持っているのです 私が今日お話ししたいのは 探す場所を知っていれば 自分の中のより強い自信を 見つけることが出来る という考え方です どこを探しましょうか? 私たちの中を探してみましょう そこが私たちが探す場所です このことを話すのには 理由があります 何年も前 私はセントラルホールで 今日より多くの聴衆の前に立ちました 国会議事堂の側にある メソジスト教徒のためのとても広い場所です 私はその機会を すごく楽しみにしていました 新人のボイスコーチとして とても大事な機会だと分かっていましたし 人前で話せることになっていたからです 私が聴衆の前に立った後 起こりうる全ての悪いことが 起こってしまいました 私は早口で話し 言葉に詰まりました 実に酷い経験だと感じました 私がこれ以上悪くなりようがないと 思っていた時 マイクが壊れました 私は会場全体を見渡し ボイスコーチとしての大きな声で― あの時はこんなに風は 吹いていませんでしたけどね (笑) 私はボイスコーチの大きな声で 「後ろまで聞こえますか?」と叫びました すると誰かが「もっと大きい声で」 と言ったんです 本当に恥ずかしかったです 聴衆があなたを見ているあの感覚や 批判されているような感覚が 私たちを麻痺させてしまいます 私は会場を離れ 「もう二度としない」と思いました ここにいるということは あの言葉は嘘になりますが 次は やり方を変えようとも思いました 次に人前で話す時は 確実に 気持ちよく話せるようにしようと 私が探さなければいけなかったのは 私の中でした 私たちは視覚文化の中で生きています 内と外の2つの世界を考えた時 私たちは外の世界について 多くの時間をかけて考えます おそらく 女性の場合は特にそうです 実際には 自信というものは 外の世界には存在せず 内の世界 内臓のように 私たちが見ることのできない あなたの中の ある部分に有るのです その部分を 見つけにいきましょう 私が3ヶ月前に このアイデアについて考え始めたのは スピーチを頼まれたからで 私はここに立つことを 不安に感じていました そして ある引用句を思い出しました 演出家のピーター・ブルックが言った― 私たちは自身の中の新しい引き出しを 開けるといったものです 私は「チェスト(たんす)」について 考え始めました そして私はある素敵な 家具製作者と出会いました 彼の名前はジョージ・マッカラムといって 今そこに座っています 私がジョージに 「チェストを作ってくれる?」と聞くと 本当に作ってくれました 皆さんは この物体は何だろうと 考えていると思います これがジョージが 作ってくれたものです でも 家具製作者に チェストを作るように頼んでも あなたが予想するようなものを 作るとは限りません 彼が何を作ったか見たいですか? (笑) そう!ありがとうジョージ 今朝一番の良い反応です この家具に主役を奪われました (笑) この小さなチェスト(たんす)の中には― むしろこの大きく男らしい チェスト(胸)の中には 内なる自信を見つけるための 3つの秘密が隠されています 私がここに来るまでに学ぶ必要のあった 3つの教訓です この中の1つは特に大きな教訓です 最後に話すのが その大きな教訓です それについては後で触れますが 皆さんが考えているものではないかもしれません 皆さんを驚かせるかもしれない教訓です でもまずは この最初の 引き出しの中を見たいですか? (聴衆)はい! (キャロライン・ゴイダー) ちょっとここはデリケートね ここに入っているのは 1つの楽器です なぜなら皆さんが今まで聞いてきた声は 最も驚嘆すべき楽器だからです 最高の楽器です 皆さんは どのくらいの頻度で 声がどう出ているのか考えますか この小さなギターのように 弦があり それを弾いて音を出すものがあります 声の「弦」はどこにあるのでしょうか? 触ってもらえますか? ここです 揺らしてみてください これは咽頭です あああ 皆さんもやってくれますか? あああ! この弦を弾くのは空気です あなたの声が楽器であるということは どういう意味でしょうか? 人は私にこう言います 「私の声はだめだ」 「私は良い話し手ではない」 「こういう機会は心配になる」 「会議は嫌いだ」「プレゼンが嫌い」 「私にはできない」 声は楽器なんです だめなサクソフォンなんて ないですよね? なぜなら 素晴らしい サクソフォンの演奏を聴く時 奏者がおそらく そのあたりにいると思いますが 私たちは 彼らがたくさん練習をし 才能を持っているだけでなく 素晴らしい音を出すために たくさんの努力をしていることを 知っています もし皆さんが自分の声に 疑問を抱いているなら やらなければならないのは 練習のみだと言っておきます 私がセントラルホールでの機会を 不安に思っていた時― あの時のことを踏まえ そこを私の 「不名誉の殿堂」と呼びましょう― その時私は古代ギリシャの ある人物の話を思い出しました 彼の名前はデモステネスといって 古い有名な名前なので これからは彼のことを ギリシャの男と呼びましょう それでも少し大層な名前なので やっぱりデイヴと呼ぶことにします (笑) デイヴは今でいうthe O2(大きな娯楽施設) のような議会で演説していました ここにはサイモンがいますが 古代ギリシャの世界のBrixton Academy (コンサート会場)のような場所です 彼はとても緊張していました 雄弁家になりたかったのです 雄弁家はその時代 ロックスターのような存在でした 彼は議会での 大事な演説のための 準備をしました しかし彼はなんと 大失敗をしてしまいます 聴衆は 彼の演説は無骨で 言葉に詰まっていたと言いました 彼らはデイヴをやじり 物を投げつけました 私にはやらないでくださいね! (笑) すっかり意気消沈した彼が ステージを離れた時 1人の役者から 小さなアドバイスを貰います 当時のギリシャの役者たちは 現在の役者と変わりないでしょう その役者はこんな話し方でしょうね デイヴに言いました 「君はもっと表現豊かに 声を出すべきだ 君の声には力強さや 活力が足りていない 伝えたい内容は良いのだから もっと自分を信じるべきだ」 デモステネスは家に帰り 彼の言葉に従い努力し始めます 困難を乗り越える時です 彼は自分で地下室を作り 髪を剃ります―半分だけです そうすれば 3か月間は 家から出られません 彼はまるまる3か月間 鏡のように磨かれた 大きな盾の前で練習し続け 準備万端になった時 外に出ます 彼が海の前に立ち 波を越えて話すと その声は波の音より 大きくとどろきます その後 彼は戻ります 議会へと戻るのです そして再び演説をし 彼は当時の最も偉大な雄弁家の1人として 知られるようになりました 皆さんはどう思いますか? 練習の重要さが 分かったと思います 練習の力です 皆さんは頭を半分だけ 剃りたくないでしょうし 地下室を建てたくないと思います 偉い人に非難されるかも しれないですからね でも練習ならできると思います 最も簡単な練習法は 歌うことです こんなふうに歌う必要は ありません 「ママママー!」 ボイスコーチの準備運動ですね やりたいなら別ですが でも私が本当に薦めるのは 毎日どこかで歌うことです シャワー中や 車の中 勇敢なら地下鉄で歌ってもいいです (笑) 2週間ほど前に血液検査を受けるのに セント・トーマス病院にいたのですが 2人の女性が 血液検査が行われている場所で 歌っていてとても素敵でした だから皆さんにも薦めます 歌うことが素晴らしい声を 出すことへの道です 練習することが素晴らしい楽器を 持つことへの道です これが1つ目の教訓です ここには私たちがこれから開ける もう1つの引き出しがあります でもその前に 1つ質問があります あなたがある部屋に 入ったとしましょうか? あなたは誰も知りません 今朝皆さんの中に同じことを 感じた人がいるかもしれません その部屋の中で誰が一番有力者か どうやって見分けますか? 一番自信がある人 ここで話している 内なる自信を持っている人です どう見分けますか? どのように振舞っているか 素晴らしい回答です ローラ あなたもその1人ですよね? なぜならあなたは歌手だからです 自信がある人はこう振舞います 実際に 役者に質問すると その答えは 呼吸の仕方だと言うでしょう その部屋で一番の有力者は 最もリラックスした呼吸をしている人です 感情について研究をする ポール・エクマンという有名な科学者がいます 彼はこう言いました― (呼吸の重要性は)役者にとって とても単純すぎて 科学的とは感じられないので 彼らには笑われてしまいそうですが― なぜ呼吸が重要なのか 彼は長い間理解できなかったので 研究を重ね 彼は無意識のシステムを 理解し始めました 脾臓をコントロール することはできませんよね 脾臓自体が自律的に機能しています でも呼吸をコントロール することはできます 呼吸をコントロールできれば 無意識をうまく取り扱うこともできます 自分を落ち着けることができます 皆さんの中にある何かが リラックスし 自信をつけるためのカギです 役者はそれを知っています なぜなら彼らが王を演じる時 王はじっとして動きません それ以外の役者が 王の周りを動き回るので 王に権威があることが 分かるのです 次に皆さんが緊張することがあれば じっとしてみてください 体を支配する王のようなものが あなたの体内にはあります それが古代ギリシャ人が 全ての表現の中心と呼ぶものです きっとこの部屋の半分の人が 考えたこともないものだと思います それが何か見たいですか? 私のハンサムな友人に感謝です 私たちの体には肺が ありますよね? これもあります 解剖学的に正確な 心臓とはおそらく違いますが 素敵ですよね (笑) もっと下のこれは何でしょうか? (聴衆)横隔膜? (キャロライン)ありがとうございます! そうです これはまさに横隔膜です 最近 横隔膜について考えた人は 手を挙げてください 今日自分の横隔膜について 考えた人は手を挙げてください 歌手の皆さんありがとう 役者さんもサクソフォン奏者の方もです 今日まだ自分の横隔膜を意識していなかった という人は手を挙げてください これはとても大きな割合ですね 私たちは横隔膜について 考えたりしませんよね? でもこの横隔膜が システムを調整するカギで 全ての目が向けられている場面で 自分を落ち着かせ 自信がすごく必要なのに 全く持てない時 横隔膜が自信を持たせてくれるでしょう 私は横隔膜について 何も知らなかったので 学びました こんな形だろう というのは分かっていましたが どう動くかは感じたことが なかったのです ある日 私はひどくストレスを感じていて 胸で呼吸をしていたんです 甲高い 興奮したキーキー声を 出しながらです いけませんね 私がヨガ教室に行った時 ヨガの先生はこう言いました 「ストレスがひどいみたいだね」 良い始まり方ではありません 彼は「横になってください」と言って 私を横たえ 私は目を閉じました 素敵でリラックスしたヨガの何かを 期待していたのですが 彼は突然ジムで使う重りを 私のお腹に載せて 「呼吸して それを持ち上げなさい」 と言いました 私は言われた通りにしました 息を吸い込んだ時 その重りを お腹で持ち上げなければならず 横隔膜が働き出しました 突然 私は分かったんです 横隔膜が働く感覚を理解しました もうこの上の方で呼吸しなくても 下の方で呼吸ができると 分かりました 私はこの横隔膜こそが 自信の王様だと提案したいのです 皆さんのも見つけてみましょうか? 親指を使って ちょうどブラジャーのアンダーの 少し下を触ってみてください そうです そこで合ってますよ (笑) そうです 親指でそこを 優しく押してみてください ローレンス・オリヴィエが 呼吸法を教わった時― 知ってますよね?あの役者です 彼はグランドピアノを押すことで 呼吸法を教わりました 私の家にはグランドピアノはありません 今のロンドンの家には 入らないですよね? でもグランドピアノを押す感覚を 練習することはできます 息を吸って 親指を押し上げて 息を吐いて戻してください 皆さんは今お腹の中で 見えない風船を膨らませています はい 息を吸って 親指を押し上げて 息を吐いて 戻します あなたの横隔膜へようこそ 肋骨に手を置くと 横隔膜は全周 繋がっていますから 息を吸うと胸郭も 空気で満たされます 息を吸うと肋骨が開き 吐くと閉じるのが分かります 緊張する機会があれば これをやってください 横隔膜が自信へと繋がるカギです これで2つの教訓を得ました 練習の力と 横隔膜の重要性です 3つ目の教訓が 特に大きなものです それが本当に 違いをもたらすものです 実は 私はこの教訓について 数週間前に考え始めました なぜなら以前一緒に働いた ある人が連絡してきたからです 彼女のメールには こう書かれていました 彼女は最悪の出来事を 経験していて それは皆さんが想像し得る 最悪のことでした 彼女が結婚したばかりの ハネムーンの途中 旦那さんが心臓発作で 亡くなってしまったんです 彼女は結婚式を挙げた教会に戻り 旦那さんのために追悼の言葉を 述べなければなりませんでした 実際 彼女は旦那さんに初めて会った時に 書いた詩も読みました メールはこう続きます「人生で最悪の日に しっかりしなきゃいけなかった 本当に愛した人を見送る 気力を出さないといけなかった それをする唯一の方法は あなたが教えてくれたの 横隔膜でゆっくりと呼吸し 時間をかけて 呼吸をコントロールし 内なる自信を見つけること それが彼にあげられた 最高の贈り物だったわ」 人生には話さなければいけない 大事な場面があります 自分のために発言しなければ いけないからではなく 誰かのために 発言したいと思うからです 結婚式や追悼の言葉がそうです 自信を持つための技術は このような場面で一番重要になると思います このような場面で知っておく必要があるものが この引き出しに入っています それは呼吸です 空気です なぜ空気が重要なのでしょうか? なぜなら私たちは呼吸と共に 考えるからです 全てのスピーチや歌は呼気です そして全ての吸気は思考です 横隔膜に手を戻して 息を吐いてください そして吸う息を感じてください 息を吸う時に あなたが本当に愛している人を思ってください その呼気で話し始めたら それは愛で満たされるでしょう ではもう一度息を吸って 来たるべき楽しい日を 思ってみてください とても良い日になるでしょう こうして息を吸い その気持ちで話し始めると 声に楽しい感情が出ます 呼吸とは考えることだというアイデアで 自分の声をコントロールできます またラテン語で 古代と現代の2つの世界において ローマ人はこう理解していました― 「ひらめき」と「呼吸 」は同じ語源を持つ ローマ人は 呼吸は考えることだと 理解していました 私たちは息を吐きながら話をするので 考えるべきことは 全て 吸気についてです 息を吸うことに考えを集中させるのに 最も簡単な方法は 口を閉じることです それでは 皆さんに約束した大きな秘密― スピーチで自信を持つための秘訣は 口を閉じる時を知ることだと 誰が想像したでしょうか? (笑) ありがとうございました (拍手)