WEBVTT

00:00:01.713 --> 00:00:03.079
手を上げてみてください

00:00:03.103 --> 00:00:06.805
この会場でこの１年間に
飛行機に乗られた方？

00:00:08.258 --> 00:00:09.411
かなりいますね

00:00:09.435 --> 00:00:12.320
ということは
毎年30億人以上の人々と

00:00:12.344 --> 00:00:15.179
同じ経験をしているのです

00:00:15.203 --> 00:00:18.340
飛行機がこんなにも多くの乗客を乗せて

00:00:18.364 --> 00:00:19.950
世界中を飛び回わると

00:00:19.974 --> 00:00:22.647
時として
こういうことも起こりうり

00:00:22.671 --> 00:00:24.558
伝染病にかかるのです

NOTE Paragraph

00:00:25.116 --> 00:00:27.067
私が最初に
このテーマを取り上げたのは

00:00:27.091 --> 00:00:29.723
去年のエボラ出血熱の
大流行を聞いた時です

00:00:29.747 --> 00:00:31.207
こんなことが分かりました

00:00:31.231 --> 00:00:34.061
エボラの感染は
大粒の飛沫を経由するので

00:00:34.085 --> 00:00:35.419
到達範囲は狭いですが

00:00:35.443 --> 00:00:37.421
様々な種類の病気が

00:00:37.445 --> 00:00:39.421
飛行機の客室内で伝染しうるのです

00:00:39.445 --> 00:00:42.629
困ったことに
調べてみるとこんな数字が出てきて

00:00:42.653 --> 00:00:44.066
恐ろしくなってきます

00:00:44.090 --> 00:00:45.850
H1N1のケースでは

00:00:45.874 --> 00:00:48.263
感染者が飛行機を利用すると

00:00:48.287 --> 00:00:50.058
１回のフライトで

00:00:50.082 --> 00:00:52.336
17人に感染しました

00:00:52.360 --> 00:00:54.488
SARSの感染者のケースでは

00:00:54.512 --> 00:00:56.614
３時間のフライトで

00:00:56.638 --> 00:00:59.480
22人に感染しました

00:00:59.504 --> 00:01:02.912
これはあまり好ましい
超能力ではありません

NOTE Paragraph

00:01:03.658 --> 00:01:06.222
さらに これらの病気を事前に検知するのが

00:01:06.246 --> 00:01:09.222
非常に難しいのです

00:01:09.619 --> 00:01:11.710
実際飛行機の乗客が

00:01:11.734 --> 00:01:12.940
病気だったり

00:01:12.964 --> 00:01:15.359
潜伏期で

00:01:15.383 --> 00:01:17.542
症状が出る前ではあるけれども

00:01:17.566 --> 00:01:19.138
病原菌を持っていたりすると

00:01:19.162 --> 00:01:21.353
キャビンにいる多くの乗客に

00:01:21.377 --> 00:01:23.050
病気が感染してしまうかもしれません

NOTE Paragraph

00:01:23.074 --> 00:01:25.156
実際どのように
感染するのでしょうか？

00:01:25.180 --> 00:01:27.466
青の矢印で示すように

00:01:27.490 --> 00:01:29.916
キャビンの天井や横から
空気が送られ

00:01:29.940 --> 00:01:34.142
フィルターから排出されます
フィルターの効率は高く

00:01:34.166 --> 00:01:38.714
排気口では病原菌を
99.97%も除去します

00:01:39.444 --> 00:01:40.921
お見せしているのは

00:01:40.945 --> 00:01:43.012
気流が渦巻くパターンです

00:01:43.036 --> 00:01:44.868
くしゃみをする人がいると

00:01:44.892 --> 00:01:47.596
その空気がフィルターを通って
排気されるまでに

00:01:47.620 --> 00:01:50.865
何度も循環します

00:01:51.785 --> 00:01:54.998
私は「これは問題だ」
と思いました

NOTE Paragraph

00:01:55.022 --> 00:01:58.755
私にはこれを避けるために
自家用飛行機を買うお金はありません

00:01:58.779 --> 00:02:01.017
その代り
コンピュータのソフトを作ることにしました

00:02:01.041 --> 00:02:04.313
コンピュータによる流体力学で

00:02:04.337 --> 00:02:06.938
シュミレーションを作ってみると

00:02:06.962 --> 00:02:08.756
実際に飛行機に乗って
計測するよりも

00:02:08.780 --> 00:02:12.400
より高い解像度のデータが得られます

00:02:12.836 --> 00:02:15.850
どのようにするのでしょうか?

00:02:15.874 --> 00:02:17.546
２次元図面から始めてみましょう

00:02:17.570 --> 00:02:20.698
これらはネット上で
公開されている技術文書です

00:02:20.722 --> 00:02:23.615
これらを３次元モデリングのソフトに
落とし込むと

00:02:23.639 --> 00:02:25.418
３次元モデルができます

00:02:25.442 --> 00:02:29.901
そのモデルを細分した
小さな格子状の要素に分解し

00:02:29.925 --> 00:02:33.502
コンピュータがうまく扱えるようにします

00:02:33.526 --> 00:02:37.247
空気がキャビンの
どこから出入りするのかを入力し

00:02:37.271 --> 00:02:38.770
物理を一式投入したら

00:02:38.794 --> 00:02:43.015
コンピュータがシュミレーションを
計算するのを待つだけです

NOTE Paragraph

00:02:44.015 --> 00:02:47.642
従来のキャビンを調べて
分かったことは

00:02:47.666 --> 00:02:49.913
真ん中に座っている乗客が
くしゃみをすると

00:02:50.767 --> 00:02:54.159
「ペシャ！」とそれが
他の乗客の顔につくのです

00:02:54.882 --> 00:02:56.703
ゾッとしますね

00:02:56.727 --> 00:02:59.075
前から見ると 
その両脇に座る乗客にとって

00:02:59.099 --> 00:03:00.885
良い状態とは言えないことが

00:03:00.909 --> 00:03:02.615
わかります

00:03:02.639 --> 00:03:04.825
横から見ると 病原菌は

00:03:04.849 --> 00:03:08.842
前後の方向に広がっていくのが分かります

NOTE Paragraph

00:03:10.017 --> 00:03:12.367
「これは良くないな」と
まず思いました

00:03:12.391 --> 00:03:15.899
32回以上の
シュミレーションを重ねた末

00:03:15.923 --> 00:03:19.288
このソリューションに
辿り着きました

00:03:19.312 --> 00:03:22.828
グローバル・インレット・ディレクター
と名付け 特許出願中です

00:03:22.852 --> 00:03:25.418
これにより病原菌の伝染を

00:03:25.442 --> 00:03:27.210
55分の１まで削減でき

00:03:27.234 --> 00:03:30.387
また呼吸できる新鮮な空気の割合が
190%も増えます

NOTE Paragraph

00:03:30.411 --> 00:03:32.015
これが実際
どう機能するかというと

00:03:32.039 --> 00:03:35.168
複合材料のこのピースを

00:03:35.192 --> 00:03:38.160
飛行機内の既存のスポットに
設置します

00:03:38.184 --> 00:03:40.185
設置の費用効率は非常に高く

00:03:40.209 --> 00:03:42.057
一晩あれば設置可能です

00:03:42.081 --> 00:03:45.629
２か所ネジ止めするだけです

00:03:45.653 --> 00:03:48.512
でも その成果には
目を見張るものがあります

00:03:48.536 --> 00:03:52.072
病原菌を含んだ空気が
旋回する代わりに

00:03:52.096 --> 00:03:53.838
乗客の間に空気の壁を作るのです

00:03:53.862 --> 00:03:56.032
乗客の間に空気の壁を作るのです

00:03:56.056 --> 00:03:57.954
すると個別に呼吸できるエリアが出来ます

NOTE Paragraph

00:03:57.978 --> 00:04:00.963
また真ん中の乗客が
くしゃみをしますが

00:04:00.987 --> 00:04:03.700
今回は効率的に飛沫を
押し下げるので

00:04:03.724 --> 00:04:06.437
フィルターで
除去できるのが分かります

00:04:06.461 --> 00:04:07.857
横からでも同様に

00:04:07.881 --> 00:04:11.110
病原菌が直接押し下げられるのが
分かります

00:04:11.682 --> 00:04:15.176
同じシナリオですが

00:04:15.200 --> 00:04:16.889
これを設置すると

00:04:16.913 --> 00:04:18.928
真ん中の乗客が
くしゃみをしても

00:04:18.952 --> 00:04:22.026
今回は排気口へと
まっすぐ流れるので

00:04:22.050 --> 00:04:25.771
他の乗客に
感染することはありません

00:04:25.795 --> 00:04:28.919
だから 両脇に座っている
２人の乗客は呼吸をしても

00:04:28.943 --> 00:04:31.176
実質的に
病原菌に全く感染しないのです

00:04:31.200 --> 00:04:33.728
横から見ても同様に
とても効果的なシステムで

00:04:33.752 --> 00:04:35.307
あることが分かります

NOTE Paragraph

00:04:35.331 --> 00:04:37.953
要するにこのシステムは
素晴らしく効果的なのです

00:04:39.255 --> 00:04:42.144
これが意味すること―

00:04:42.168 --> 00:04:45.640
真ん中の乗客のくしゃみに
効果があるだけでなく

00:04:45.664 --> 00:04:48.438
窓側や通路側の
乗客のくしゃみにも

00:04:48.462 --> 00:04:50.557
効果があることです

NOTE Paragraph

00:04:51.167 --> 00:04:54.254
世界にとって
このソリューションの意味とは何でしょうか？

00:04:54.278 --> 00:04:57.792
コンピュータ・シュミレーションを

00:04:57.816 --> 00:05:00.385
実際に当て嵌めてみましょう

00:05:00.409 --> 00:05:03.171
私が3D印刷技術を使って作った
３次元モデルで

00:05:03.195 --> 00:05:05.283
見ることができます

00:05:05.307 --> 00:05:08.266
同様に空気の流れが
乗客の方に

00:05:08.290 --> 00:05:09.876
流れているのが分かります

00:05:10.920 --> 00:05:13.990
過去にSARSが流行した時は

00:05:14.014 --> 00:05:15.943
世界で５兆円規模の
損失がありました

00:05:15.967 --> 00:05:17.126
将来的に

00:05:17.150 --> 00:05:19.696
大きな病気が大流行すると
損失は360兆円以上

00:05:19.720 --> 00:05:21.578
になるかもしれません

00:05:21.942 --> 00:05:25.419
以前なら飛行機に
何か改良を加えるには

00:05:25.443 --> 00:05:27.315
１､２カ月程運休させて

00:05:27.339 --> 00:05:30.911
数万時間の工数と数億円を

00:05:30.935 --> 00:05:32.258
費す必要がありました

00:05:32.282 --> 00:05:35.793
でも今は
これを一晩で設置できて

00:05:35.817 --> 00:05:37.544
成果はすぐに現れるのです

NOTE Paragraph

00:05:37.568 --> 00:05:40.774
これを実用化するには認定や

00:05:40.798 --> 00:05:41.988
フライト・テスト

00:05:42.012 --> 00:05:45.004
そして規制当局の承認を
得なくてはなりません

00:05:45.028 --> 00:05:48.092
しかし お見せしましたように
時として最もシンプルなのが

00:05:48.116 --> 00:05:49.554
ベスト・ソリューションなのです

00:05:49.935 --> 00:05:53.125
２年前でしたら

00:05:53.149 --> 00:05:54.918
このプロジェクトはありませんでした

00:05:54.942 --> 00:05:57.768
当時の技術では
できなかったことなのです

00:05:57.792 --> 00:06:00.261
でも今はコンピュータの進歩や

00:06:00.285 --> 00:06:02.471
インターネットの発展のお蔭で

00:06:02.495 --> 00:06:05.134
まさしくイノベーションの
黄金時代なのです

NOTE Paragraph

00:06:05.158 --> 00:06:08.401
今日皆さんに聞きたいこと―
「なぜ待つのですか？」

00:06:08.425 --> 00:06:10.746
一緒に今日から
未来を作っていきましょう

NOTE Paragraph

00:06:11.123 --> 00:06:12.274
ありがとう

NOTE Paragraph

00:06:12.298 --> 00:06:15.404
（拍手）