[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:06.54,0:00:08.98,Default,,0000,0000,0000,,1990年代に行われたとある実験では Dialogue: 0,0:00:08.98,0:00:13.89,Default,,0000,0000,0000,,被験者が 子供の頃ショッピングモールで\N迷子になったことを覚えていました Dialogue: 0,0:00:13.89,0:00:17.21,Default,,0000,0000,0000,,中には 詳細を事細かに話す者もいて Dialogue: 0,0:00:17.21,0:00:20.89,Default,,0000,0000,0000,,うち1人は 助けてくれた老人が\Nネルシャツを着ていたことまで Dialogue: 0,0:00:20.89,0:00:23.86,Default,,0000,0000,0000,,覚えていました Dialogue: 0,0:00:23.86,0:00:28.15,Default,,0000,0000,0000,,けれども 本当にモールで迷子になった\N被験者は皆無だったのです Dialogue: 0,0:00:28.15,0:00:30.38,Default,,0000,0000,0000,,このような虚偽記憶が作られるには Dialogue: 0,0:00:30.38,0:00:35.10,Default,,0000,0000,0000,,実験を行った心理学者が\N迷子になった話を被験者に話します Dialogue: 0,0:00:35.10,0:00:37.70,Default,,0000,0000,0000,,本人たちはそれを覚えていない\Nかも知れませんが Dialogue: 0,0:00:37.70,0:00:40.46,Default,,0000,0000,0000,,親が確証すれば出来上がります Dialogue: 0,0:00:40.46,0:00:45.31,Default,,0000,0000,0000,,迷子になった記憶があると思っていたのは\N1人や2人のみにとどまらず Dialogue: 0,0:00:45.31,0:00:48.16,Default,,0000,0000,0000,,実に被験者4分の1に上りました Dialogue: 0,0:00:48.16,0:00:51.16,Default,,0000,0000,0000,,このような研究結果は\N信じがたく思えるかもしれませんが Dialogue: 0,0:00:51.16,0:00:54.57,Default,,0000,0000,0000,,実は よくある日常的経験の\N現れなのです Dialogue: 0,0:00:54.57,0:00:57.82,Default,,0000,0000,0000,,人間の記憶は 時に\Nあてにならないもので Dialogue: 0,0:00:57.82,0:01:03.59,Default,,0000,0000,0000,,なぜ記憶にエラーが生じやすいのか\N神経学的には詳しく解明されていませんが Dialogue: 0,0:01:03.59,0:01:07.59,Default,,0000,0000,0000,,人間の記憶が 事実とは異ったものになる\N最も一般的な過程の幾つかが Dialogue: 0,0:01:07.59,0:01:10.59,Default,,0000,0000,0000,,研究により明らかにされました Dialogue: 0,0:01:10.59,0:01:16.16,Default,,0000,0000,0000,,ショッピングモールの研究は\N人間が 外部からの情報 — Dialogue: 0,0:01:16.16,0:01:18.39,Default,,0000,0000,0000,,例えば他人から聞いた話や\Nニュースなどが Dialogue: 0,0:01:18.39,0:01:22.57,Default,,0000,0000,0000,,個人の記憶に無意識のうちに いかに\N取り込まれるのかを浮き彫りにします Dialogue: 0,0:01:22.57,0:01:27.13,Default,,0000,0000,0000,,この類の被暗示性は 記憶に影響を与える\N要因の1つにすぎません Dialogue: 0,0:01:27.13,0:01:28.25,Default,,0000,0000,0000,,別の研究を見ると Dialogue: 0,0:01:28.25,0:01:32.57,Default,,0000,0000,0000,,無作為に集めた数枚の写真を\N研究者が 被験者グループに Dialogue: 0,0:01:32.57,0:01:34.17,Default,,0000,0000,0000,,短時間 見せますが Dialogue: 0,0:01:34.17,0:01:39.82,Default,,0000,0000,0000,,うち何枚か どの被験者も訪れたことのない\N大学のキャンパスの写真が含まれています Dialogue: 0,0:01:39.82,0:01:42.37,Default,,0000,0000,0000,,3週間後に同じ写真を見せられると Dialogue: 0,0:01:42.37,0:01:47.25,Default,,0000,0000,0000,,以前キャンパスを訪れたことが\N多分あるいは間違いなくあると Dialogue: 0,0:01:47.25,0:01:50.08,Default,,0000,0000,0000,,被験者の大多数が 回答しました Dialogue: 0,0:01:50.08,0:01:55.67,Default,,0000,0000,0000,,被験者は 見たことがある画像から\N得た情報を Dialogue: 0,0:01:55.67,0:02:01.07,Default,,0000,0000,0000,,実際に自分が経験した記憶であると\N思い込み「誤帰属」させました Dialogue: 0,0:02:01.07,0:02:05.54,Default,,0000,0000,0000,,別の実験では 被験者は\N虫眼鏡の画像を見せられた上で Dialogue: 0,0:02:05.54,0:02:09.06,Default,,0000,0000,0000,,ロリーポップを頭に思い浮かべるよう\N指示されました Dialogue: 0,0:02:09.06,0:02:13.99,Default,,0000,0000,0000,,被験者は 虫眼鏡とロリーポップを\N見たことを頻繁に思い出しました Dialogue: 0,0:02:13.99,0:02:17.46,Default,,0000,0000,0000,,対象物を実際に見たのか\Nはたまた想像にすぎなかったのか Dialogue: 0,0:02:17.46,0:02:21.46,Default,,0000,0000,0000,,情報を正しく結びつけることに\N苦心したのです Dialogue: 0,0:02:21.46,0:02:25.46,Default,,0000,0000,0000,,また別の実験では\N心理学者が2,000名以上の人に Dialogue: 0,0:02:25.46,0:02:29.04,Default,,0000,0000,0000,,マリファナ合法化についての\N意見を聞き Dialogue: 0,0:02:29.04,0:02:32.49,Default,,0000,0000,0000,,記憶に影響を与える要因は他にも\Nあることが明らかになりました Dialogue: 0,0:02:32.49,0:02:38.46,Default,,0000,0000,0000,,被験者が回答をしたのは\N1973年と1982年でした Dialogue: 0,0:02:38.46,0:02:43.36,Default,,0000,0000,0000,,1973年に マリファナ合法化を\N支持すると回答したものの Dialogue: 0,0:02:43.36,0:02:46.84,Default,,0000,0000,0000,,1982年には 反対すると\N回答した人たちは Dialogue: 0,0:02:46.84,0:02:53.40,Default,,0000,0000,0000,,実は1973年にも 合法化に反対だったと\N記憶している可能性がより高く Dialogue: 0,0:02:53.40,0:02:57.79,Default,,0000,0000,0000,,過去に持っていた考えを\N現在の考えと一致させようとします Dialogue: 0,0:02:57.79,0:03:00.92,Default,,0000,0000,0000,,私たちが今現在有する意見や\N気持ちや経験は Dialogue: 0,0:03:00.92,0:03:04.92,Default,,0000,0000,0000,,過去の感情について記憶していることに\Nバイアスをかけうるのです Dialogue: 0,0:03:04.92,0:03:06.06,Default,,0000,0000,0000,,また別の研究では Dialogue: 0,0:03:06.06,0:03:10.26,Default,,0000,0000,0000,,研究者が2組の被験者グループに\N過去に起きた ある戦争について情報を提供し Dialogue: 0,0:03:10.26,0:03:16.67,Default,,0000,0000,0000,,各陣営が勝利する可能性を\N推測させました Dialogue: 0,0:03:16.67,0:03:19.23,Default,,0000,0000,0000,,各グループには\N同じ情報が提供されましたが Dialogue: 0,0:03:19.23,0:03:23.54,Default,,0000,0000,0000,,どちらが勝ったか知らされたのは\N1つのグループのみで Dialogue: 0,0:03:23.54,0:03:27.14,Default,,0000,0000,0000,,もう1つのグループは\N実際の結果を知りませんでした Dialogue: 0,0:03:27.14,0:03:30.55,Default,,0000,0000,0000,,理論的には 両グループの回答は\N似通ったものであるはずです Dialogue: 0,0:03:30.55,0:03:32.84,Default,,0000,0000,0000,,それは 各陣営が勝利する可能性は Dialogue: 0,0:03:32.84,0:03:35.62,Default,,0000,0000,0000,,実際にどちらが勝ったのかには\N左右されないからです Dialogue: 0,0:03:35.62,0:03:39.88,Default,,0000,0000,0000,,豪雨の確率が20%で\N実際に豪雨が降った場合 Dialogue: 0,0:03:39.88,0:03:44.98,Default,,0000,0000,0000,,降水確率が 遡及して100%に\Nなるわけではないのです Dialogue: 0,0:03:44.98,0:03:48.37,Default,,0000,0000,0000,,それでも 戦争の結果を\N知らされたグループは Dialogue: 0,0:03:48.37,0:03:53.96,Default,,0000,0000,0000,,勝者側が 敗者側に比べ\N勝利する可能性が高いと推測しました Dialogue: 0,0:03:53.96,0:03:58.20,Default,,0000,0000,0000,,記憶にエラーが生じやすいことは\N現実の世界にも影響があります Dialogue: 0,0:03:58.20,0:04:03.50,Default,,0000,0000,0000,,警察の取り調べで 目撃者か容疑者に対し\N誘導尋問を行う場合 Dialogue: 0,0:04:03.50,0:04:10.81,Default,,0000,0000,0000,,被暗示性により 誤識別や不確実な供述などの\N結果が生じかねません Dialogue: 0,0:04:10.81,0:04:13.39,Default,,0000,0000,0000,,誘導尋問が行われない場合でも Dialogue: 0,0:04:13.39,0:04:17.78,Default,,0000,0000,0000,,目撃者の「誤帰属」により\N不正確な供述がされかねません Dialogue: 0,0:04:17.78,0:04:21.68,Default,,0000,0000,0000,,法廷では 裁判官が\N証拠能力がないと判断し Dialogue: 0,0:04:21.68,0:04:26.26,Default,,0000,0000,0000,,証拠を無視するよう 陪審員に命じたとしても\N命令に従うのが難しくなる場合もあります Dialogue: 0,0:04:26.26,0:04:29.77,Default,,0000,0000,0000,,医療の世界では\N患者がセカンドオピニオンを求め Dialogue: 0,0:04:29.77,0:04:33.77,Default,,0000,0000,0000,,第2の診断をする医師が\N最初の診断内容を知っている場合 Dialogue: 0,0:04:33.77,0:04:37.40,Default,,0000,0000,0000,,その知識が診断を行う際に\Nバイアスとなりかねないのです Dialogue: 0,0:04:37.40,0:04:41.40,Default,,0000,0000,0000,,人間の記憶は\N完全な現実の表象ではなく Dialogue: 0,0:04:41.40,0:04:43.75,Default,,0000,0000,0000,,主観的な知見なのです Dialogue: 0,0:04:43.75,0:04:46.65,Default,,0000,0000,0000,,それは 必ずしも\N悪いことではないのですが Dialogue: 0,0:04:46.65,0:04:50.65,Default,,0000,0000,0000,,問題が生じるのは \N記憶を真実として扱い Dialogue: 0,0:04:50.65,0:04:56.06,Default,,0000,0000,0000,,記憶の本質に関する根本的真実を\N受け止めない時なのです