[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:18.20,0:00:21.55,Default,,0000,0000,0000,,みなさん こんにちは\N矢倉大夢と申します Dialogue: 0,0:00:21.55,0:00:24.71,Default,,0000,0000,0000,,僕は中学1年の時に\Nプログラミングに出会って Dialogue: 0,0:00:24.71,0:00:27.34,Default,,0000,0000,0000,,そこからプログラマーとして\N活動しておりまして Dialogue: 0,0:00:27.34,0:00:30.32,Default,,0000,0000,0000,,例えば第2セッションの\N篠田さんの話に出てきた Dialogue: 0,0:00:30.32,0:00:33.60,Default,,0000,0000,0000,,デフコンの大会などにも\N参加したりしてるんですけれども Dialogue: 0,0:00:33.60,0:00:37.33,Default,,0000,0000,0000,,こういったことをやっていると\Nよく聞かれる質問が1つありまして Dialogue: 0,0:00:37.33,0:00:41.33,Default,,0000,0000,0000,,「好きな教科は何ですか?」という\Nまぁベタな質問なんですけれども Dialogue: 0,0:00:41.33,0:00:44.69,Default,,0000,0000,0000,,「どうせ数学が好きなんでしょ?」\Nとよく言われますが Dialogue: 0,0:00:44.69,0:00:49.69,Default,,0000,0000,0000,,実は僕 社会の「倫理・政経」\Nという科目が好きなんですね Dialogue: 0,0:00:51.75,0:00:55.52,Default,,0000,0000,0000,,この「倫理・政経」特に「倫理」\Nと言われてパッとイメージできる方は Dialogue: 0,0:00:55.52,0:00:58.74,Default,,0000,0000,0000,,あまりいらっしゃらない\Nかもしれないんですけれども Dialogue: 0,0:00:58.74,0:01:02.03,Default,,0000,0000,0000,,一言で言うと「思想史」をやってます Dialogue: 0,0:01:02.03,0:01:05.06,Default,,0000,0000,0000,,「思想史」というのは Dialogue: 0,0:01:05.06,0:01:07.72,Default,,0000,0000,0000,,「人間とは何か?」であったり Dialogue: 0,0:01:07.72,0:01:10.27,Default,,0000,0000,0000,,「世界はどのようにできているのか?」 Dialogue: 0,0:01:10.27,0:01:12.50,Default,,0000,0000,0000,,そういった問いかけに対する Dialogue: 0,0:01:12.50,0:01:16.10,Default,,0000,0000,0000,,人類の考えてきた歴史を学ぶ\Nというもので Dialogue: 0,0:01:16.10,0:01:20.29,Default,,0000,0000,0000,,人間や世界に関する法則を\N見つけ出していく — Dialogue: 0,0:01:20.29,0:01:25.46,Default,,0000,0000,0000,,人間や世界を相対化していく\N試みを学んでいく — Dialogue: 0,0:01:25.46,0:01:28.50,Default,,0000,0000,0000,,そういうものになってるんですね Dialogue: 0,0:01:30.46,0:01:34.46,Default,,0000,0000,0000,,古代ギリシャのタレスは\N「万物の始原は 水である」 Dialogue: 0,0:01:34.46,0:01:38.46,Default,,0000,0000,0000,,つまり 世界は水からできている\Nという風に言いました Dialogue: 0,0:01:38.46,0:01:41.06,Default,,0000,0000,0000,,他にも同じくギリシャの\Nヘラクレイトスは Dialogue: 0,0:01:41.06,0:01:44.57,Default,,0000,0000,0000,,「万物は流転する」であったり Dialogue: 0,0:01:44.57,0:01:46.90,Default,,0000,0000,0000,,世界はどうとか 人間はどうとか Dialogue: 0,0:01:46.90,0:01:50.16,Default,,0000,0000,0000,,色んな人が色んなことを\N考えてきたんですね Dialogue: 0,0:01:50.16,0:01:52.77,Default,,0000,0000,0000,,こういった歴史を学んできたんですが Dialogue: 0,0:01:52.77,0:01:58.10,Default,,0000,0000,0000,,その中で 僕は\N1人の考えに惹かれました Dialogue: 0,0:01:58.10,0:02:02.07,Default,,0000,0000,0000,,それはヘーゲルという\Nドイツの思想家で Dialogue: 0,0:02:02.07,0:02:04.82,Default,,0000,0000,0000,,人間の精神であったり Dialogue: 0,0:02:04.82,0:02:09.70,Default,,0000,0000,0000,,国家 あるいは歴史や美学まで\N様々な分野に渡る Dialogue: 0,0:02:09.70,0:02:12.17,Default,,0000,0000,0000,,色んな思想を\N残してきているんですけれども Dialogue: 0,0:02:12.17,0:02:16.19,Default,,0000,0000,0000,,彼の色んなモノを\N体系的にモデル化するという Dialogue: 0,0:02:16.19,0:02:18.52,Default,,0000,0000,0000,,そういう部分に僕は惹かれました Dialogue: 0,0:02:18.52,0:02:21.52,Default,,0000,0000,0000,,このモデル化っていうものは\N様々な事柄を Dialogue: 0,0:02:21.52,0:02:25.02,Default,,0000,0000,0000,,論理的に一貫性を持つように\Nまとめ上げることなんですけれども Dialogue: 0,0:02:25.02,0:02:28.25,Default,,0000,0000,0000,,例えば ニュートンは地球の上で Dialogue: 0,0:02:28.25,0:02:32.66,Default,,0000,0000,0000,,モノを離すと落ちる\Nという現象や Dialogue: 0,0:02:32.66,0:02:36.91,Default,,0000,0000,0000,,太陽の周りを地球は回っているという\Nそういった現象について Dialogue: 0,0:02:36.91,0:02:40.48,Default,,0000,0000,0000,,「万有引力の法則」というものを\N導き出すことによって Dialogue: 0,0:02:40.48,0:02:44.23,Default,,0000,0000,0000,,一貫的に説明出来る\Nそういうモデルを作り上げました Dialogue: 0,0:02:44.23,0:02:45.82,Default,,0000,0000,0000,,このモデル化という作業は Dialogue: 0,0:02:45.82,0:02:49.76,Default,,0000,0000,0000,,実はプログラミングにも\Nかなり共通する部分がありまして Dialogue: 0,0:02:49.76,0:02:51.34,Default,,0000,0000,0000,,「カーナビ」ありますよね? Dialogue: 0,0:02:51.34,0:02:54.39,Default,,0000,0000,0000,,多分 みなさんのお家の車にも\Nついていると思うんですけれども Dialogue: 0,0:02:54.39,0:02:58.52,Default,,0000,0000,0000,,このカーナビ すごく簡単に\Nいい経路を見つけてくれますが Dialogue: 0,0:02:58.52,0:03:03.27,Default,,0000,0000,0000,,これも現実の世界の道や混雑状況を\Nモデル化してやって Dialogue: 0,0:03:03.27,0:03:06.52,Default,,0000,0000,0000,,数学的な仕組みの中で\N扱えるようにすることによって Dialogue: 0,0:03:06.52,0:03:09.76,Default,,0000,0000,0000,,コンピューターがうまく経路を\N見つけ出してくれるという Dialogue: 0,0:03:09.76,0:03:12.77,Default,,0000,0000,0000,,そういう仕組みになっています Dialogue: 0,0:03:14.24,0:03:17.77,Default,,0000,0000,0000,,モデル化する上で\Nヘーゲルが用いた手法が Dialogue: 0,0:03:17.77,0:03:22.78,Default,,0000,0000,0000,,「弁証法」と呼ばれるもので\N非常に簡単に説明しますと Dialogue: 0,0:03:22.78,0:03:25.78,Default,,0000,0000,0000,,「何か」とそれに反する\N「何か」があった時に Dialogue: 0,0:03:25.78,0:03:30.16,Default,,0000,0000,0000,,どちらか片方を信じ込んで\Nそれに反するものを批判するのではなくて Dialogue: 0,0:03:30.16,0:03:34.77,Default,,0000,0000,0000,,その矛盾点を見つめ直して\Nそれさえもカバーするような Dialogue: 0,0:03:34.77,0:03:40.16,Default,,0000,0000,0000,,より本質的でメタな部分を\N取り出していくという Dialogue: 0,0:03:40.16,0:03:42.77,Default,,0000,0000,0000,,そういう考え方になります Dialogue: 0,0:03:42.77,0:03:47.28,Default,,0000,0000,0000,,このヘーゲルの思想を学ぶ時に\N僕は1つ頭に浮かんだことがありました Dialogue: 0,0:03:47.28,0:03:51.76,Default,,0000,0000,0000,,それは彼の考えを\N今の 現代の時代に Dialogue: 0,0:03:51.76,0:03:54.49,Default,,0000,0000,0000,,適用するとどうなるのだろうかと Dialogue: 0,0:03:54.49,0:03:57.72,Default,,0000,0000,0000,,つまりコンピューターが\N人間に取って代わる時代において Dialogue: 0,0:03:57.72,0:04:01.40,Default,,0000,0000,0000,,これからどうなっていくんだろうと\Nそういう部分です Dialogue: 0,0:04:01.40,0:04:06.14,Default,,0000,0000,0000,,例えばこれは ある大学入試の過去問の\N計算問題なんですけれども Dialogue: 0,0:04:06.65,0:04:10.39,Default,,0000,0000,0000,,これを手で解くと こうやって\Nばーっていっぱい書いて Dialogue: 0,0:04:10.39,0:04:13.66,Default,,0000,0000,0000,,やっと答えが出る みたいな\Nそういう問題なんですけれども Dialogue: 0,0:04:13.66,0:04:17.29,Default,,0000,0000,0000,,これ「wolframalpha.com」\Nというウェブサイトに行って Dialogue: 0,0:04:17.29,0:04:20.50,Default,,0000,0000,0000,,1行 式を入力してやるだけで Dialogue: 0,0:04:20.50,0:04:24.75,Default,,0000,0000,0000,,こうやって答えはすぐ出て\Nグラフまでご丁寧に描いてくれると Dialogue: 0,0:04:24.75,0:04:29.39,Default,,0000,0000,0000,,こんなの 出ちゃうと あまり宿題を\Nやる気が起きなくなりますよね Dialogue: 0,0:04:29.39,0:04:34.46,Default,,0000,0000,0000,,別の例で言いますと 例えば\NグーグルCEOのラリー・ペイジは Dialogue: 0,0:04:34.46,0:04:38.48,Default,,0000,0000,0000,,「人工知能の急速な発展によって\Nロボットやコンピューターが Dialogue: 0,0:04:38.48,0:04:42.12,Default,,0000,0000,0000,,人間の仕事を奪っていくだろう」と\Nそういう風に言っています Dialogue: 0,0:04:42.12,0:04:46.29,Default,,0000,0000,0000,,実際に オックスフォード大学から\N出た論文では Dialogue: 0,0:04:46.32,0:04:51.24,Default,,0000,0000,0000,,今後20年の間に\Nアメリカの雇用者の内 47%が Dialogue: 0,0:04:51.24,0:04:54.86,Default,,0000,0000,0000,,ロボットに取って代わられるだろうと\Nそういう予測をしています Dialogue: 0,0:04:54.86,0:05:00.39,Default,,0000,0000,0000,,例えばデータの入力作業であれば\N99%の確率で Dialogue: 0,0:05:00.39,0:05:03.18,Default,,0000,0000,0000,,あと スポーツの審判は98% Dialogue: 0,0:05:03.18,0:05:06.45,Default,,0000,0000,0000,,保険の審査も同じく98%の確率で Dialogue: 0,0:05:06.45,0:05:08.55,Default,,0000,0000,0000,,ロボットがやるように\Nなるんじゃないかと Dialogue: 0,0:05:08.55,0:05:11.51,Default,,0000,0000,0000,,そういう風に予測されています Dialogue: 0,0:05:12.41,0:05:17.33,Default,,0000,0000,0000,,これを さっきの話に\N立ち戻って考えてみますと Dialogue: 0,0:05:17.33,0:05:21.95,Default,,0000,0000,0000,,人工知能や機械学習\Nあるいはロボット工学の発展によって Dialogue: 0,0:05:21.95,0:05:25.16,Default,,0000,0000,0000,,技術ができることが\N格段に広がっていると Dialogue: 0,0:05:25.16,0:05:29.33,Default,,0000,0000,0000,,そういった中で 我々人間は\Nどうすればいいのだろうかと Dialogue: 0,0:05:30.24,0:05:34.23,Default,,0000,0000,0000,,完全に人間の存在意義は\N無くなると悲観的になるのか Dialogue: 0,0:05:34.23,0:05:37.75,Default,,0000,0000,0000,,それとも 人間は\N仕事なんてやることは無くなって Dialogue: 0,0:05:37.75,0:05:41.51,Default,,0000,0000,0000,,自由に生きていけるんだと\Nそう楽観的に考えるのか Dialogue: 0,0:05:41.51,0:05:44.79,Default,,0000,0000,0000,,そのどちらでもない考え方として Dialogue: 0,0:05:44.79,0:05:49.06,Default,,0000,0000,0000,,僕は別の新しい考え方を\N提示したいと思っています Dialogue: 0,0:05:49.95,0:05:53.87,Default,,0000,0000,0000,,それは コンピューターを通して\N人間を相対化していく Dialogue: 0,0:05:53.87,0:05:56.25,Default,,0000,0000,0000,,そういったものになります Dialogue: 0,0:05:56.25,0:06:02.12,Default,,0000,0000,0000,,これは ヒューマノイドロボットの研究の\N第一人者の 石黒浩教授が造られた Dialogue: 0,0:06:02.15,0:06:05.16,Default,,0000,0000,0000,,ご自身そっくりの\Nアンドロイドなんですけれども Dialogue: 0,0:06:05.16,0:06:08.54,Default,,0000,0000,0000,,こういったアンドロイドを\N造る意義として 石黒教授は Dialogue: 0,0:06:08.54,0:06:13.80,Default,,0000,0000,0000,,「リアルなアンドロイドと共に過ごすことで\N『人間とは何か』を考察できる」 Dialogue: 0,0:06:13.80,0:06:16.12,Default,,0000,0000,0000,,そういう風に述べられています Dialogue: 0,0:06:16.12,0:06:18.35,Default,,0000,0000,0000,,別の例で言いますと Dialogue: 0,0:06:18.35,0:06:21.43,Default,,0000,0000,0000,,「仮想の音楽家」という\N思考実験があります Dialogue: 0,0:06:21.43,0:06:25.43,Default,,0000,0000,0000,,これは 「コンピューターが\N自動作曲した曲に対して Dialogue: 0,0:06:25.43,0:06:28.45,Default,,0000,0000,0000,,我々は感動できるのか」\Nという話なんですけれど Dialogue: 0,0:06:28.45,0:06:31.79,Default,,0000,0000,0000,,みなさんどう思われますか? Dialogue: 0,0:06:31.79,0:06:35.85,Default,,0000,0000,0000,,自動作曲ということを知っていた上で\N我々が感動できるのであれば Dialogue: 0,0:06:35.85,0:06:40.42,Default,,0000,0000,0000,,それは 曲のコンテンツ自体に\N感動していると言えるでしょう Dialogue: 0,0:06:40.42,0:06:43.16,Default,,0000,0000,0000,,でも自動作曲だということを\N知ってしまったら Dialogue: 0,0:06:43.16,0:06:46.01,Default,,0000,0000,0000,,全く感動できなくなって\Nしまうかもしれない Dialogue: 0,0:06:46.01,0:06:49.91,Default,,0000,0000,0000,,そういった場合は\N我々は作曲の裏にある Dialogue: 0,0:06:49.91,0:06:54.76,Default,,0000,0000,0000,,人間の存在について\N感動しているのではないかと言えると思います Dialogue: 0,0:06:54.76,0:06:59.19,Default,,0000,0000,0000,,つまり 例えばオリンピックで\Nウサイン・ボルトが世界記録を出すと Dialogue: 0,0:06:59.19,0:07:01.54,Default,,0000,0000,0000,,我々は感動するんですけれども Dialogue: 0,0:07:01.54,0:07:04.75,Default,,0000,0000,0000,,同じ速度で車が走っても\N感動しませんよね? Dialogue: 0,0:07:04.75,0:07:08.55,Default,,0000,0000,0000,,それと同じようなことだと\N言えるかもしれません Dialogue: 0,0:07:08.55,0:07:12.75,Default,,0000,0000,0000,,でも その上で\N自動作曲を実現する上での Dialogue: 0,0:07:12.75,0:07:17.44,Default,,0000,0000,0000,,涙ぐましい努力や 苦労の話を聞くと\N感動できるかもしれません Dialogue: 0,0:07:17.44,0:07:21.95,Default,,0000,0000,0000,,そういった場合は 作曲や\N自動作曲の裏にある物語 — Dialogue: 0,0:07:21.95,0:07:25.94,Default,,0000,0000,0000,,つまりコンテキストに感動している\Nということが言えるでしょう Dialogue: 0,0:07:28.66,0:07:32.46,Default,,0000,0000,0000,,コンピューターを通して人間を相対化\Nしていくというのはどういうことかと言うと Dialogue: 0,0:07:32.46,0:07:38.21,Default,,0000,0000,0000,,つまり「人間の心にコンピューターで\N実験的に迫る」ということだと思っています Dialogue: 0,0:07:38.48,0:07:42.48,Default,,0000,0000,0000,,実際に 僕がこれまで取り組んできたことの\N1つを紹介したいと思います Dialogue: 0,0:07:42.48,0:07:46.93,Default,,0000,0000,0000,,それは 音楽の「サビ」を\N検知するプログラムなんですが Dialogue: 0,0:07:46.93,0:07:50.06,Default,,0000,0000,0000,,「サビ」って何か\Nみなさん知ってますか? Dialogue: 0,0:07:50.06,0:07:54.68,Default,,0000,0000,0000,,一言で言うと 音楽の1番\N盛り上がっている所を指す言葉でして Dialogue: 0,0:07:54.68,0:07:57.78,Default,,0000,0000,0000,,一般的に 今出てる曲の大部分は Dialogue: 0,0:07:57.78,0:08:02.96,Default,,0000,0000,0000,,こうやって「Aメロ」「Bメロ」「サビ」\Nみたいな組み合わせが繰り返して Dialogue: 0,0:08:02.100,0:08:06.24,Default,,0000,0000,0000,,作られてることが多い\Nという風に言われています Dialogue: 0,0:08:06.24,0:08:10.24,Default,,0000,0000,0000,,これをプログラムで検知する時に\Nどうやっていたかと言いますと Dialogue: 0,0:08:11.67,0:08:14.92,Default,,0000,0000,0000,,つまり繰り返しを見つけてやれば\Nいいんじゃないか?と Dialogue: 0,0:08:14.92,0:08:18.38,Default,,0000,0000,0000,,曲があった時に「こことここが一緒」\Nみたいなのを見つけてやって Dialogue: 0,0:08:18.38,0:08:21.32,Default,,0000,0000,0000,,更にさっきの法則に則って Dialogue: 0,0:08:21.32,0:08:24.13,Default,,0000,0000,0000,,「ここがAメロ Bメロ サビ\Nなんじゃないか?」と Dialogue: 0,0:08:24.13,0:08:27.97,Default,,0000,0000,0000,,そういう風に探して\Nこれまでのプログラムはやっていました Dialogue: 0,0:08:27.97,0:08:31.43,Default,,0000,0000,0000,,でもこの手法には限界点がありました Dialogue: 0,0:08:31.43,0:08:35.61,Default,,0000,0000,0000,,その一因は「ボーカロイド」\Nつまりコンピューター上で Dialogue: 0,0:08:35.61,0:08:39.05,Default,,0000,0000,0000,,曲を作ることのできる\Nソフトウェアの登場です Dialogue: 0,0:08:39.05,0:08:42.52,Default,,0000,0000,0000,,これによりプロの作曲家でなくても\Nアマチュアの作曲家でも Dialogue: 0,0:08:42.52,0:08:46.52,Default,,0000,0000,0000,,より気軽に 自由に作曲することが\Nできるようになりました Dialogue: 0,0:08:46.52,0:08:50.76,Default,,0000,0000,0000,,その結果 より個性的で多様な曲が\N生まれるようになって Dialogue: 0,0:08:50.76,0:08:55.51,Default,,0000,0000,0000,,さっきの法則に則っていないような曲も\Nたくさん作られるようになりました Dialogue: 0,0:08:55.51,0:08:59.93,Default,,0000,0000,0000,,更にその曲の大部分は\N「ニコニコ動画」と呼ばれる Dialogue: 0,0:08:59.93,0:09:02.56,Default,,0000,0000,0000,,動画投稿サイトに\N投稿されていました Dialogue: 0,0:09:02.56,0:09:05.76,Default,,0000,0000,0000,,つまり 曲の長さにも\N制限が無くなって Dialogue: 0,0:09:05.76,0:09:10.21,Default,,0000,0000,0000,,すごく短い曲から\N10分を超えるような大曲まで Dialogue: 0,0:09:10.21,0:09:13.17,Default,,0000,0000,0000,,ほんとに色んな曲が\N作られるようになったんですね Dialogue: 0,0:09:13.17,0:09:16.59,Default,,0000,0000,0000,,そうなると さっきの手法では\N太刀打ちできません Dialogue: 0,0:09:16.59,0:09:19.78,Default,,0000,0000,0000,,そこで僕が開発した手法では Dialogue: 0,0:09:19.78,0:09:23.17,Default,,0000,0000,0000,,ニコニコ動画の\N特徴的な機能の1つである Dialogue: 0,0:09:23.17,0:09:26.54,Default,,0000,0000,0000,,「コメント」というものを\N組み合わせることによって Dialogue: 0,0:09:26.54,0:09:30.79,Default,,0000,0000,0000,,新たに精度を高く検知する\N手法を作りました Dialogue: 0,0:09:30.79,0:09:35.43,Default,,0000,0000,0000,,簡単に言うと コメントの特徴的な要素を\N独自の手法で取り出して Dialogue: 0,0:09:35.43,0:09:38.27,Default,,0000,0000,0000,,似てる部分やサビらしい部分を\N見つけるという Dialogue: 0,0:09:38.27,0:09:40.67,Default,,0000,0000,0000,,そういう手法なんですけれども Dialogue: 0,0:09:40.67,0:09:44.54,Default,,0000,0000,0000,,これに関して高校生向けの\N科学技術の大会に出しまして Dialogue: 0,0:09:44.54,0:09:48.14,Default,,0000,0000,0000,,そこで\N「科学技術政策担当大臣賞」という Dialogue: 0,0:09:48.14,0:09:51.76,Default,,0000,0000,0000,,ちょっと ややもすれば\N噛んでしまいそうな名前の賞を頂きまして Dialogue: 0,0:09:51.76,0:09:56.70,Default,,0000,0000,0000,,そこから日本代表として参加した\Nインテルの国際大会では Dialogue: 0,0:09:56.70,0:10:00.04,Default,,0000,0000,0000,,「ブルーノ・ケスラー財団賞」\Nという賞を頂きました Dialogue: 0,0:10:00.04,0:10:03.73,Default,,0000,0000,0000,,技術というかテクノロジーの話で言うと\Nここで終わりなんですけれども Dialogue: 0,0:10:03.73,0:10:07.26,Default,,0000,0000,0000,,こういった取り組みの中で1つ\N僕が感じたことがありました Dialogue: 0,0:10:07.26,0:10:10.14,Default,,0000,0000,0000,,それは 人間にできることと Dialogue: 0,0:10:10.14,0:10:13.18,Default,,0000,0000,0000,,コンピューターにできることの\N境界線です Dialogue: 0,0:10:14.73,0:10:17.03,Default,,0000,0000,0000,,コメントを組み合わせるということは Dialogue: 0,0:10:17.03,0:10:19.51,Default,,0000,0000,0000,,言わば人間の存在を\N組み合わせることによって Dialogue: 0,0:10:19.51,0:10:21.54,Default,,0000,0000,0000,,検知できるようになっていると Dialogue: 0,0:10:21.54,0:10:25.28,Default,,0000,0000,0000,,更にコメントを組み合わせてやっても\N繰り返しがはっきりしないような曲だと Dialogue: 0,0:10:25.28,0:10:27.86,Default,,0000,0000,0000,,たまに 検知できないことがありました Dialogue: 0,0:10:27.86,0:10:32.27,Default,,0000,0000,0000,,それでも人間は共通的に\Nサビを見つけることができるんです Dialogue: 0,0:10:32.27,0:10:33.71,Default,,0000,0000,0000,,そういった部分に Dialogue: 0,0:10:33.71,0:10:37.95,Default,,0000,0000,0000,,人間の「人間らしさ」という部分が\Nあるんじゃないかという風に考えました Dialogue: 0,0:10:38.80,0:10:43.66,Default,,0000,0000,0000,,これからの時代 技術がどんどん\N発展していくと言われる時代ですが Dialogue: 0,0:10:43.66,0:10:47.33,Default,,0000,0000,0000,,技術が発展したからこそ 迫っていける — Dialogue: 0,0:10:47.33,0:10:51.77,Default,,0000,0000,0000,,人間にしかできないような\N部分というのがあると思います Dialogue: 0,0:10:53.26,0:10:56.47,Default,,0000,0000,0000,,人間と技術の境界線 そこにこそ Dialogue: 0,0:10:56.47,0:11:00.55,Default,,0000,0000,0000,,これからの時代を生き抜く答えがある\Nという風に思っています Dialogue: 0,0:11:00.55,0:11:03.38,Default,,0000,0000,0000,,ある思想家は言いました Dialogue: 0,0:11:03.38,0:11:08.21,Default,,0000,0000,0000,,「労働からの疎外が\N人間の 人間からの疎外を生む」 Dialogue: 0,0:11:08.21,0:11:10.98,Default,,0000,0000,0000,,つまり 人間の「人間」たる所以は Dialogue: 0,0:11:10.98,0:11:14.54,Default,,0000,0000,0000,,「働くこと」こそに\Nあるんじゃないかと Dialogue: 0,0:11:14.54,0:11:17.25,Default,,0000,0000,0000,,でも僕はこう思います Dialogue: 0,0:11:17.25,0:11:21.46,Default,,0000,0000,0000,,人間の人間たる所以は\Nクリエイティビティ つまり Dialogue: 0,0:11:21.46,0:11:23.98,Default,,0000,0000,0000,,創造にこそあるんじゃないかと Dialogue: 0,0:11:23.98,0:11:25.74,Default,,0000,0000,0000,,ありがとうございました Dialogue: 0,0:11:25.74,0:11:29.73,Default,,0000,0000,0000,,(拍手)