[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:07.87,0:00:11.60,Default,,0000,0000,0000,,ちょっと想像してみてください\N「フランス語の授業をするアヒル」 Dialogue: 0,0:00:11.60,0:00:15.17,Default,,0000,0000,0000,,「ブラックホールの周りを回りながら\N卓球の試合をする」 Dialogue: 0,0:00:15.17,0:00:17.79,Default,,0000,0000,0000,,「パイナップルのバランスをとるイルカ」 Dialogue: 0,0:00:17.79,0:00:21.28,Default,,0000,0000,0000,,こんなものを きっと実際には\N見たことないでしょう Dialogue: 0,0:00:21.28,0:00:23.94,Default,,0000,0000,0000,,でも即座に想像できてしまうんです Dialogue: 0,0:00:23.94,0:00:27.62,Default,,0000,0000,0000,,脳はどうやって 見たこともない事物の\Nイメージを生み出すのでしょう? Dialogue: 0,0:00:27.62,0:00:29.48,Default,,0000,0000,0000,,難しいことではなさそうだと思うのは Dialogue: 0,0:00:29.48,0:00:31.95,Default,,0000,0000,0000,,単に それに慣れてしまっているからです Dialogue: 0,0:00:31.95,0:00:34.63,Default,,0000,0000,0000,,これは実際には 複雑な問題だと\N分かってきました Dialogue: 0,0:00:34.63,0:00:38.82,Default,,0000,0000,0000,,脳の中で高度な協調の機能を\N必要とするのです Dialogue: 0,0:00:38.82,0:00:41.76,Default,,0000,0000,0000,,これらの新しくて 奇妙なイメージを\N作りあげるためには Dialogue: 0,0:00:41.76,0:00:46.67,Default,,0000,0000,0000,,脳は馴染みのある断片を 新たな形に\N組み立てることになるからです Dialogue: 0,0:00:46.67,0:00:49.79,Default,,0000,0000,0000,,写真の切れ端から \Nコラージュを作るようなものです Dialogue: 0,0:00:49.79,0:00:53.33,Default,,0000,0000,0000,,脳は何千という電気信号の洪水を\N手際よく処理して Dialogue: 0,0:00:53.33,0:00:58.06,Default,,0000,0000,0000,,全てを正確なタイミングで \N送らなければなりません Dialogue: 0,0:00:58.06,0:00:59.78,Default,,0000,0000,0000,,あなたが何か物を見るとき Dialogue: 0,0:00:59.78,0:01:03.66,Default,,0000,0000,0000,,後頭葉皮質にある\N何千ものニューロンが発火します Dialogue: 0,0:01:03.66,0:01:07.02,Default,,0000,0000,0000,,これらのニューロンは\N物体の様々な特徴を符号化しています Dialogue: 0,0:01:07.02,0:01:11.16,Default,,0000,0000,0000,,尖った、果物、茶色、緑色、黄色 Dialogue: 0,0:01:11.16,0:01:15.54,Default,,0000,0000,0000,,発火が同期して起こることで\N一連のニューロン間の結合が強まり Dialogue: 0,0:01:15.54,0:01:20.10,Default,,0000,0000,0000,,ひとまとまりになります\Nこれをニューロン集団と呼びます Dialogue: 0,0:01:20.10,0:01:22.30,Default,,0000,0000,0000,,パイナップルの例も\Nこれで説明できます Dialogue: 0,0:01:22.30,0:01:25.33,Default,,0000,0000,0000,,神経科学では これを\Nヘッブの法則と呼んでいます Dialogue: 0,0:01:25.33,0:01:28.84,Default,,0000,0000,0000,,同時に発火したニューロンは\N結合するというものです Dialogue: 0,0:01:28.84,0:01:30.95,Default,,0000,0000,0000,,パイナップルを\N後から想像しようとすると Dialogue: 0,0:01:30.95,0:01:35.85,Default,,0000,0000,0000,,集団全体が発火し\N完全な心像が組み立てられます Dialogue: 0,0:01:35.85,0:01:39.03,Default,,0000,0000,0000,,イルカのイメージは別の\Nニューロン集団によって符号化されています Dialogue: 0,0:01:39.03,0:01:41.05,Default,,0000,0000,0000,,実際 あなたが目にしてきた\Nあらゆる物は Dialogue: 0,0:01:41.05,0:01:45.29,Default,,0000,0000,0000,,それに関連付けられた\Nニューロン集団によって符号化されており Dialogue: 0,0:01:45.29,0:01:49.24,Default,,0000,0000,0000,,先ほどの同期的な発火によって\Nそれらのニューロンが結びつきます Dialogue: 0,0:01:49.24,0:01:52.51,Default,,0000,0000,0000,,でも この原理では\N説明できないことがあります Dialogue: 0,0:01:52.51,0:01:57.24,Default,,0000,0000,0000,,今まで見たことがない物でも\Nいくらでも想像で作り出せることです Dialogue: 0,0:01:57.24,0:02:02.48,Default,,0000,0000,0000,,パイナップルのバランスをとるイルカ用の\Nニューロン集団は存在しないのに Dialogue: 0,0:02:02.48,0:02:04.92,Default,,0000,0000,0000,,ではいったいどうして\Nそれが想像できるのでしょうか? Dialogue: 0,0:02:04.92,0:02:07.76,Default,,0000,0000,0000,,心的統合理論という\Nある仮説では Dialogue: 0,0:02:07.76,0:02:11.13,Default,,0000,0000,0000,,やはりタイミングが重要だと言います Dialogue: 0,0:02:11.13,0:02:13.94,Default,,0000,0000,0000,,イルカとパイナップルに関連付けられた\Nニューロン集団が Dialogue: 0,0:02:13.94,0:02:16.17,Default,,0000,0000,0000,,同時に活性化されると Dialogue: 0,0:02:16.17,0:02:20.76,Default,,0000,0000,0000,,私たちはこの2つの別々の物を\N単一のイメージとして認識します Dialogue: 0,0:02:20.76,0:02:24.04,Default,,0000,0000,0000,,でも脳内の何かが この発火を\N協調させないといけません Dialogue: 0,0:02:24.04,0:02:27.52,Default,,0000,0000,0000,,その1つの候補として有力なのが\N前頭前皮質です Dialogue: 0,0:02:27.52,0:02:31.30,Default,,0000,0000,0000,,複雑な認知機能のすべてに\N関与する部位です Dialogue: 0,0:02:31.30,0:02:35.17,Default,,0000,0000,0000,,前頭前皮質のニューロンは\N後部皮質とつながっています Dialogue: 0,0:02:35.17,0:02:40.04,Default,,0000,0000,0000,,つなげているのは 神経線維という\Nひょろ長く伸びた細胞です Dialogue: 0,0:02:40.04,0:02:44.34,Default,,0000,0000,0000,,心的統合理論では Dialogue: 0,0:02:44.34,0:02:47.87,Default,,0000,0000,0000,,ヒモを操るパペット使いのように\N前頭前皮質のニューロンが Dialogue: 0,0:02:47.87,0:02:49.58,Default,,0000,0000,0000,,この神経繊維を通して\N電気信号を Dialogue: 0,0:02:49.58,0:02:53.41,Default,,0000,0000,0000,,後頭葉皮質にある複数の集団に\N伝えるのではないかと考えます Dialogue: 0,0:02:53.41,0:02:56.29,Default,,0000,0000,0000,,これが一斉に各集団を活性化します Dialogue: 0,0:02:56.29,0:02:59.41,Default,,0000,0000,0000,,ニューロン集団が同時に発火すれば Dialogue: 0,0:02:59.41,0:03:04.34,Default,,0000,0000,0000,,そこで合成されたイメージを\N実際に見たことがあるかのように経験します Dialogue: 0,0:03:04.34,0:03:06.55,Default,,0000,0000,0000,,前頭前皮質による\Nこの意識的・意図的な Dialogue: 0,0:03:06.55,0:03:09.85,Default,,0000,0000,0000,,異なるニューロン集団間の同期を Dialogue: 0,0:03:09.85,0:03:12.05,Default,,0000,0000,0000,,心的統合と呼んでいます Dialogue: 0,0:03:12.05,0:03:13.81,Default,,0000,0000,0000,,心的統合を機能させるためには Dialogue: 0,0:03:13.81,0:03:19.30,Default,,0000,0000,0000,,両方のニューロン集団に\N信号が同時に届かなければなりません Dialogue: 0,0:03:19.30,0:03:21.07,Default,,0000,0000,0000,,問題なのは\Nいくつかのニューロンは Dialogue: 0,0:03:21.07,0:03:25.08,Default,,0000,0000,0000,,前頭前皮質から\N非常に遠く離れていることです Dialogue: 0,0:03:25.08,0:03:28.45,Default,,0000,0000,0000,,信号が同じ速さで\N両方の繊維を伝わるのなら Dialogue: 0,0:03:28.45,0:03:31.16,Default,,0000,0000,0000,,同期はできません Dialogue: 0,0:03:31.16,0:03:33.58,Default,,0000,0000,0000,,つながる距離は\N変えられませんからね Dialogue: 0,0:03:33.58,0:03:37.04,Default,,0000,0000,0000,,でも脳は 子どもの頃に\Nとくに発達するので Dialogue: 0,0:03:37.04,0:03:40.88,Default,,0000,0000,0000,,伝導速度を変える方法を備えています Dialogue: 0,0:03:40.88,0:03:45.53,Default,,0000,0000,0000,,神経線維はミエリンという脂質で\N覆われています Dialogue: 0,0:03:45.53,0:03:47.34,Default,,0000,0000,0000,,ミエリンは絶縁体で Dialogue: 0,0:03:47.34,0:03:51.55,Default,,0000,0000,0000,,電気信号が神経線維を駆け抜けるのを\Nスピードアップできます Dialogue: 0,0:03:51.55,0:03:55.85,Default,,0000,0000,0000,,神経線維にはミエリンが100層も\N重なっているものもあれば Dialogue: 0,0:03:55.85,0:03:57.75,Default,,0000,0000,0000,,数層しかないものもあります Dialogue: 0,0:03:57.75,0:04:00.06,Default,,0000,0000,0000,,ミエリンの分厚い層をもつ繊維は Dialogue: 0,0:04:00.06,0:04:04.15,Default,,0000,0000,0000,,薄い層のものに比べ\N100倍以上の速さで Dialogue: 0,0:04:04.15,0:04:06.56,Default,,0000,0000,0000,,信号を伝導できます Dialogue: 0,0:04:06.56,0:04:09.100,Default,,0000,0000,0000,,現在 科学者のなかには\Nこのようなミエリン形成の差異が Dialogue: 0,0:04:09.100,0:04:13.84,Default,,0000,0000,0000,,脳内での伝導にかかる時間を均一にし Dialogue: 0,0:04:13.84,0:04:16.92,Default,,0000,0000,0000,,結果的に心的統合を可能にする\N重要な役目を果たしていると考える人もいます Dialogue: 0,0:04:16.92,0:04:20.26,Default,,0000,0000,0000,,このミエリン形成の多くは\N子どもの頃に起こります Dialogue: 0,0:04:20.26,0:04:21.81,Default,,0000,0000,0000,,ですから人生の早いうちから Dialogue: 0,0:04:21.81,0:04:26.12,Default,,0000,0000,0000,,私たちの活発な想像力は 脳の発達と\N結びつきがあるのかもしれません Dialogue: 0,0:04:26.12,0:04:28.38,Default,,0000,0000,0000,,精緻にミエリンが形成された\Nニューロンのつながりが Dialogue: 0,0:04:28.38,0:04:31.82,Default,,0000,0000,0000,,創造的なシンフォニーを\N人生を通じて生み出しうるのです