WEBVTT 00:00:07.064 --> 00:00:11.575 世界最古の接着剤は8000年以上前に 00:00:11.575 --> 00:00:14.594 死海の近くにある洞窟で誕生しました 00:00:14.594 --> 00:00:16.685 古代人が使っていた接着剤は 00:00:16.685 --> 00:00:20.025 動物の骨と植物を混ぜて作られていて 00:00:20.025 --> 00:00:23.725 容器の防水加工や道具作りに 使われていました 00:00:23.725 --> 00:00:25.449 その後数千年間 00:00:25.449 --> 00:00:29.815 植物や動物から作られた接着剤は 人類の文明を融合させました NOTE Paragraph 00:00:29.815 --> 00:00:34.856 現在 様々なテープや接着剤が存在し ほとんど何でも作ったり直したりできます 00:00:34.856 --> 00:00:38.607 では 接着剤やテープは なぜくっつくのでしょう? 00:00:38.607 --> 00:00:41.705 そして どちらのほうが強力なのでしょう? NOTE Paragraph 00:00:41.705 --> 00:00:44.206 接着剤の材料には合成分子のほか 00:00:44.206 --> 00:00:47.387 天然のタンパク質や炭水化物などがあります たとえば ― 00:00:47.387 --> 00:00:49.207 野菜由来のデンプン デキストリン 00:00:49.207 --> 00:00:51.087 牛乳のタンパク質であるカゼイン 00:00:51.087 --> 00:00:53.936 樹脂に含まれるテルペンなどがあります 00:00:53.936 --> 00:00:59.808 接着剤やテープが働くためには 接着力と凝集力が必要です 00:00:59.808 --> 00:01:03.929 接着力は 接着剤の分子と 00:01:03.929 --> 00:01:06.968 被着材表面にある分子との間に働く力です 00:01:06.968 --> 00:01:11.296 凝集力は 接着剤やテープそのものに 含まれる分子同士が 00:01:11.296 --> 00:01:13.030 おたがいに結びつく力です NOTE Paragraph 00:01:13.030 --> 00:01:17.240 大抵の接着剤は接着ポリマーを 溶剤に溶かして 00:01:17.240 --> 00:01:20.119 容器の中で固まらないようにしています 00:01:20.119 --> 00:01:23.389 多くの接着剤が放つ強烈な匂いは 00:01:23.389 --> 00:01:26.049 溶剤が空気に触れて揮発したものです 00:01:26.049 --> 00:01:28.660 溶剤に水が使用されている場合もありますが 00:01:28.660 --> 00:01:32.528 吸い込むと危険な化学薬品が 使われている場合もあります 00:01:32.528 --> 00:01:37.609 2つ以上の成分からなる接着剤は 乾燥だけでなく化学反応によって 00:01:37.609 --> 00:01:39.958 より強い接着力を生みます 00:01:39.958 --> 00:01:43.480 接着剤は接着力も凝集力も強力ですが 00:01:43.480 --> 00:01:46.800 一度乾くと元の状態には戻りません 00:01:46.800 --> 00:01:50.989 接着剤で固められた箇所が壊れたら 00:01:50.989 --> 00:01:53.720 また新しく接着剤を使わないと 直せないのはそのためです NOTE Paragraph 00:01:53.720 --> 00:01:57.659 逆に テープを使用した場合は 00:01:57.659 --> 00:02:00.230 弱いながらも可逆的な力で接着するので 00:02:00.230 --> 00:02:04.601 同じテープを剥がして もう一度 使うことができます 00:02:04.601 --> 00:02:08.005 この弱い結合力を ファンデルワールス力といい 00:02:08.005 --> 00:02:10.720 2つの物質が 00:02:10.720 --> 00:02:15.902 肉眼では見えないほど とても近づいた時に働きます 00:02:15.902 --> 00:02:20.902 テープの多くは ゴムや ゴムのような伸縮性のある成分で 00:02:20.902 --> 00:02:23.592 コーティングされた支持体と 00:02:23.592 --> 00:02:25.781 粘着付与剤という物質できています 00:02:25.781 --> 00:02:29.121 それがテープの粘着性の正体です 00:02:29.121 --> 00:02:31.071 テープの粘着力は 00:02:31.071 --> 00:02:34.102 ゴムと粘着付与剤の混合比率 00:02:34.102 --> 00:02:37.161 支持体に塗られた粘着剤の厚み 00:02:37.161 --> 00:02:39.422 そして支持体の素材で決まります 00:02:39.422 --> 00:02:43.703 テープを被着体に押し付けても 化学反応は起きません 00:02:43.703 --> 00:02:49.763 その代わり 柔らかい粘着剤が 接着面のヒビや溝に流れ込みます 00:02:49.763 --> 00:02:56.513 流れ込んだ箇所に留まる性質のことを 粘弾性といいます 00:02:56.513 --> 00:03:01.194 粘弾性のある粘着剤が とても微小なヒビに流れ込めば 00:03:01.194 --> 00:03:05.144 ファンデルワールス力が発生するのに 十分な距離まで近づけます NOTE Paragraph 00:03:05.144 --> 00:03:08.532 では 世界で一番強い接着剤は何でしょう? 00:03:08.532 --> 00:03:11.314 残念ながら その答えは 一つに定まりません 00:03:11.314 --> 00:03:14.144 接着力の強度の面から考えると 00:03:14.144 --> 00:03:16.485 テープより接着剤のほうが強力です 00:03:16.485 --> 00:03:20.604 しかし どんな環境下でも有効な 接着剤はありません 00:03:20.604 --> 00:03:25.054 瞬間接着剤としても知られている シアノアクリレートは 00:03:25.054 --> 00:03:27.715 接着剤のなかでも 最強の接着力を発揮しますが 00:03:27.715 --> 00:03:32.846 2液混合エポキシ接着剤のほうが 熱やせん断力への耐性が優れていて 00:03:32.846 --> 00:03:36.685 さらに より様々な材質を 接着することができます 00:03:36.685 --> 00:03:40.185 空中で鉄床をぶら下げるのであれば 00:03:40.185 --> 00:03:42.596 瞬間接着剤が最も適しているでしょう 00:03:42.596 --> 00:03:46.055 しかし もし活火山の上でと言うのであれば 00:03:46.055 --> 00:03:48.405 エポキシ接着剤のほうが適しています 00:03:48.405 --> 00:03:49.747 要は うまく接着させるには 00:03:49.747 --> 00:03:52.880 接着剤が働く十分な接触面積が 必要なのです 00:03:52.880 --> 00:03:56.245 ボウリングの玉でチェーンを作りたければ 00:03:56.245 --> 00:03:58.921 ダクトテープを使った方がよいでしょう NOTE Paragraph 00:03:58.921 --> 00:04:03.716 ここまで馬鹿げていないにしても 技術者はいつもこんなことを考えています 00:04:03.716 --> 00:04:06.753 エンジン内の熱にも耐える接着剤を 正しく選ぶことは 00:04:06.753 --> 00:04:08.858 生死に関わる問題です 00:04:08.858 --> 00:04:11.716 たとえダクトテープの粘着性が 00:04:11.716 --> 00:04:14.177 エポキシ接着剤よりも弱くても 00:04:14.177 --> 00:04:18.846 緊急時に さっと接着させる力では ダクトテープの方が優れています 00:04:18.846 --> 00:04:22.477 ロケットを宇宙へ飛ばすには 接着剤が必要ですが 00:04:22.477 --> 00:04:25.207 大気圏外での修復作業には 00:04:25.207 --> 00:04:30.348 ダクトテープの方が使われます 液体の接着剤は無重力空間では使えませんから