WEBVTT 00:00:00.904 --> 00:00:02.183 かつて 私は 00:00:02.207 --> 00:00:05.941 人生の目的は 幸せを 追求することだと思っていました 00:00:06.680 --> 00:00:10.064 幸せになるには 成功することだと 皆 口を揃えるので 00:00:10.088 --> 00:00:12.586 理想の仕事や 00:00:12.610 --> 00:00:15.641 完璧な彼氏 豪華なマンションを求めました 00:00:16.998 --> 00:00:19.996 しかし 満たされるどころか 00:00:20.020 --> 00:00:22.624 私は不安で 途方に暮れていました 00:00:23.195 --> 00:00:27.204 私だけではなく 友人もまた そうでした 00:00:28.720 --> 00:00:32.989 最終的に 私は大学院で ポジティブ心理学を学び 00:00:33.013 --> 00:00:36.233 人々が何に 純粋に幸せを感じるかを 探りました 00:00:36.971 --> 00:00:39.627 そこで学んだものによって 私の人生が変わりました 00:00:40.452 --> 00:00:45.062 データによると 幸せを追求することで 人々は不幸になりうるというのです 00:00:45.967 --> 00:00:48.224 特に心に響いたのは この事実でした 00:00:49.058 --> 00:00:51.845 自殺率は 世界中で上昇しており 00:00:51.869 --> 00:00:54.960 アメリカでは 昨今 過去30年で最高を記録したのです 00:00:55.753 --> 00:00:58.516 客観的には いかなる水準に照らしても 00:00:58.540 --> 00:01:01.230 生活は向上しているにもかかわらず 00:01:01.254 --> 00:01:03.453 より多くの人が希望を失い 00:01:03.477 --> 00:01:05.602 鬱々として孤独なのです 00:01:06.214 --> 00:01:09.027 人々の間に虚しさが 広がっており 00:01:09.051 --> 00:01:12.321 うつ病でなくても そう感じているのです 00:01:12.345 --> 00:01:15.245 遅かれ早かれ 皆 こう思うでしょう 00:01:15.784 --> 00:01:18.016 「人生はこんなものなのか?」と 00:01:19.167 --> 00:01:22.373 研究によると この絶望感を覚えるのは 00:01:22.397 --> 00:01:24.224 幸せが欠けているからではなく 00:01:24.248 --> 00:01:26.090 他の何かが 欠けているからなのです 00:01:26.817 --> 00:01:29.755 生きがいを持つことが 欠けているのです 00:01:30.962 --> 00:01:33.355 そこで 疑問がわきました 00:01:33.855 --> 00:01:36.454 人生には 幸せになる以上の ことがあるのでしょうか? 00:01:37.216 --> 00:01:39.639 そして 幸せであることと 生きがいを持つことの 00:01:39.663 --> 00:01:41.554 違いとは 何なのでしょう? 00:01:42.879 --> 00:01:47.479 多くの心理学者は 幸せを 快適で安らいだ状態と定義しています 00:01:47.503 --> 00:01:49.392 現在に充足を感じることです 00:01:50.098 --> 00:01:51.756 生きがいは もっと深いものです 00:01:52.278 --> 00:01:54.842 著名な心理学者である マーティン・セリグマンは 00:01:54.866 --> 00:01:59.513 生きがいとは 自分を超えたものに属し 寄与しているという感覚や 00:01:59.537 --> 00:02:02.220 最高の自分をより高めることに 由来すると述べています 00:02:03.617 --> 00:02:06.212 私たちは幸福という考えに 囚われていますが 00:02:06.236 --> 00:02:10.342 生きがいを求める方が より満たされる生き方だと考えます 00:02:10.366 --> 00:02:13.296 研究によると 生きがいを持つ人々は 00:02:13.320 --> 00:02:14.730 より逆境に強く 00:02:14.754 --> 00:02:17.311 勉強や仕事の成果も上がり 00:02:17.335 --> 00:02:18.942 長く生きると分かっています 00:02:19.985 --> 00:02:22.006 そこで 私は考えました 00:02:22.030 --> 00:02:24.504 どうしたら もっと意義深い 生き方が できるのでしょうか? 00:02:25.980 --> 00:02:29.658 その答えを見つけるために 私は5年間 何百人もの人々にインタビューし 00:02:29.682 --> 00:02:32.583 心理学や神経科学や哲学の本を 00:02:32.607 --> 00:02:34.708 何千ページも読みました 00:02:35.366 --> 00:02:37.155 それらの成果を合わせると 00:02:37.179 --> 00:02:42.520 生きがいのある人生には 4つの柱があることが分かりました 00:02:42.544 --> 00:02:44.978 こうした柱を 人生に作り上げることで 00:02:45.002 --> 00:02:48.351 誰しも 生きがいを 見いだすことができます 00:02:49.428 --> 00:02:51.616 1つ目の柱は 「結びつき」です 00:02:52.378 --> 00:02:54.685 結びつきは 自分を本質的に受け入れてくれ 00:02:54.709 --> 00:02:57.414 同様に他者をも重んじられるような 人間関係から 00:02:57.438 --> 00:02:59.551 生まれるものです 00:03:00.218 --> 00:03:04.908 グループや人間関係の中には 安っぽい結びつきを生むものもあります 00:03:04.932 --> 00:03:06.825 何を信じているかや 00:03:06.849 --> 00:03:08.095 何を忌み嫌っているかに 基づくもので 00:03:08.119 --> 00:03:09.664 あなた自身に基づかないものです 00:03:10.420 --> 00:03:13.203 真の結びつきは 愛情から生まれます 00:03:13.227 --> 00:03:16.212 個人の間に生まれるもので 00:03:16.236 --> 00:03:20.081 他者との間に結びつきを持つかは 自分で決めることでもあります 00:03:20.661 --> 00:03:22.268 こんな例があります 00:03:22.292 --> 00:03:25.847 毎朝 友人のジョナサンは ニューヨークの 00:03:25.871 --> 00:03:28.089 同じ街頭の新聞売りから 新聞を買います 00:03:28.502 --> 00:03:30.782 しかし その行為は 単なる売り買いにとどまりません 00:03:30.806 --> 00:03:33.489 ちょっと歩みを緩めて 言葉を交わし 00:03:33.513 --> 00:03:35.419 お互い人間として接するのです 00:03:36.038 --> 00:03:39.432 ある時 ジョナサンは 小銭の持ち合わせがなく 00:03:39.456 --> 00:03:40.676 この新聞売りは 00:03:40.700 --> 00:03:42.220 「気にしないで」と言いました 00:03:42.244 --> 00:03:44.731 ジョナサンは支払うと言って聞かず 00:03:44.755 --> 00:03:47.767 近くの店に入って 特に要らないものを買って 00:03:47.791 --> 00:03:49.252 お金を崩しました 00:03:49.992 --> 00:03:52.615 ジョナサンが新聞売りに お金を渡すと 00:03:52.639 --> 00:03:54.161 新聞売りは受け取りませんでした 00:03:54.820 --> 00:03:56.098 彼は傷ついたのです 00:03:56.715 --> 00:03:58.564 彼が親切な行いを しようとしたのを 00:03:58.588 --> 00:04:00.835 ジョナサンは拒絶したからです 00:04:02.113 --> 00:04:06.264 私たちは皆 気づかぬうちに こんな風に 相手を拒絶しています 00:04:06.288 --> 00:04:07.486 私はそうです 00:04:07.510 --> 00:04:10.573 知り合いのそばを通って 挨拶をしなかったり 00:04:10.597 --> 00:04:13.244 相手が話しているのに 携帯電話をチェックしたりします 00:04:13.678 --> 00:04:15.607 相手を価値を認めない行いです 00:04:15.631 --> 00:04:18.384 相手に姿が見えず 無価値であるように思わせます 00:04:19.130 --> 00:04:21.882 しかし 愛情に導かれて接すれば つながりができ 00:04:21.906 --> 00:04:23.578 互いに心が晴れやかになるのです 00:04:25.030 --> 00:04:28.658 多くの人にとって 結びつきは 生きがいの最も重要な核になるもので 00:04:28.682 --> 00:04:30.680 家族や友人との絆のことです 00:04:31.176 --> 00:04:35.181 2つ目の柱である「目的」が 生きがいの核である人もいます 00:04:35.844 --> 00:04:38.759 目的を持つことは 自分のやりたい仕事を 00:04:38.783 --> 00:04:41.031 見つけることとは違います 00:04:41.520 --> 00:04:44.979 目的は自分のやりたいことよりも 何を与えられるかなのです 00:04:45.003 --> 00:04:49.491 ある病院の看護者は 自分の目的は 病人を癒やすことだと言っていました 00:04:49.515 --> 00:04:51.226 多くの親は 00:04:51.250 --> 00:04:53.186 「我が子を育てること」だ と言います 00:04:53.527 --> 00:04:57.571 目的への鍵は 自らの強みを 他者のために使うことです 00:04:58.381 --> 00:05:01.889 もちろん 私たちの多くは 仕事を通じてそれを実践します 00:05:01.913 --> 00:05:04.892 仕事を通じて貢献し 必要とされていると感じるのです 00:05:04.916 --> 00:05:08.776 これは 裏を返せば 仕事に打ち込めなかったり 00:05:08.800 --> 00:05:10.213 失業したり 00:05:10.237 --> 00:05:12.464 労働参加率が低いことは 00:05:12.488 --> 00:05:16.179 経済的問題であるだけでなく 存在意義の問題でもあるのです 00:05:16.821 --> 00:05:19.034 やりがいのあるものを失うと 00:05:19.058 --> 00:05:20.359 人々はうろたえます 00:05:21.493 --> 00:05:24.109 もちろん 仕事に目的を 求める必要はありませんが 00:05:24.133 --> 00:05:26.862 目的によって 生きる目標が生まれ 00:05:26.886 --> 00:05:28.966 前進する「理由」を与えてくれます 00:05:31.147 --> 00:05:34.447 3つ目の柱も 自分の限界を超えることですが 00:05:34.471 --> 00:05:36.313 まったく違う方法です 00:05:36.337 --> 00:05:37.924 「超越」です 00:05:37.948 --> 00:05:40.325 超越という状態は とてもまれな瞬間で 00:05:40.349 --> 00:05:43.761 日々の喧噪から ふと離れて 00:05:43.785 --> 00:05:45.490 自我という感覚が消え去り 00:05:45.514 --> 00:05:48.288 より高次の現実と 一体になる感覚に陥ります 00:05:49.214 --> 00:05:52.904 芸術作品を見ると 超越の感覚になるという人もいますし 00:05:52.928 --> 00:05:55.458 教会の礼拝のときに 経験する人もいます 00:05:55.482 --> 00:05:59.036 私は作家なのですが 書くことでその状態になります 00:05:59.060 --> 00:06:04.130 時には あまりに入り込んで 時間や場所を忘れてしまうほどです 00:06:04.757 --> 00:06:07.903 こうした超越の瞬間は 自分を変えてくれます 00:06:07.927 --> 00:06:12.451 ある研究では 学生たちに 60メートルのユーカリの木を 00:06:12.475 --> 00:06:13.676 1分間 見上げさせました 00:06:14.263 --> 00:06:16.417 その後 学生たちは 自己中心的でなくなり 00:06:16.441 --> 00:06:18.385 人を助けるような状況で 00:06:18.409 --> 00:06:20.479 より寛容に振る舞ったのです 00:06:21.582 --> 00:06:25.302 結びつき、目的、超越 00:06:26.374 --> 00:06:29.097 生きがいの4つ目の柱には 00:06:29.121 --> 00:06:30.876 多くの人が驚きます 00:06:31.366 --> 00:06:34.100 4つ目の柱は 「ストーリーテリング」 00:06:34.124 --> 00:06:36.989 自分で語る自分についての物語です 00:06:37.616 --> 00:06:41.760 人生の出来事から 物語を 紡ぐことで 物事が明確になります 00:06:41.784 --> 00:06:44.820 今の自分に至るまでの過程が 理解しやすくなるのです 00:06:45.669 --> 00:06:48.765 しかし その物語を語っているのが 自分であることや 00:06:48.789 --> 00:06:50.952 物語を変えられることに 気づかないことがあります 00:06:50.976 --> 00:06:53.467 人生は単なる 出来事の連続ではありません 00:06:53.491 --> 00:06:56.707 自分の物語を編集し 解釈し 語り直すことができます 00:06:56.731 --> 00:06:58.951 たとえ事実という 制限があったとしても 00:06:59.681 --> 00:07:04.309 フットボールのプレー中に麻痺状態になった エメカという若い男性に出会いました 00:07:04.920 --> 00:07:07.379 怪我のあとで エメカはこう思ったそうです 00:07:07.403 --> 00:07:10.108 「フットボールをプレーできた 人生は素晴らしかった 00:07:10.132 --> 00:07:12.256 だが 今はこんな状態だ」 00:07:14.002 --> 00:07:16.294 こんな風に物語を紡ぐ人は― 00:07:16.318 --> 00:07:18.842 「昔は良かった 今はだめだ」と― 00:07:18.866 --> 00:07:21.688 不安や憂鬱であることが多いです 00:07:21.712 --> 00:07:24.041 しばらくはエメカもそうでした 00:07:24.573 --> 00:07:27.964 しかし 時が経つにつれ 彼は違う物語を紡ぎ始めました 00:07:28.415 --> 00:07:30.148 彼の新しい物語はこうです 00:07:30.172 --> 00:07:33.439 「怪我をする前は 人生に目的などなかった 00:07:33.463 --> 00:07:36.716 遊び回って 自己中心的だった 00:07:36.740 --> 00:07:40.448 しかし怪我をしたことで よりよい人間になれると気づいた」と 00:07:41.488 --> 00:07:45.029 自分の物語を編集することで エメカの人生は変わりました 00:07:45.053 --> 00:07:47.484 新たな物語を 自らに言い聞かせてから 00:07:47.508 --> 00:07:49.430 エメカは子供たちの指導を始め 00:07:49.454 --> 00:07:51.820 人生の目的を見い出しました 00:07:51.844 --> 00:07:53.234 他人のために生きることです 00:07:54.101 --> 00:07:57.479 心理学者のダン・マクアダムズは これを「取り戻しの語り」と呼びます 00:07:57.503 --> 00:07:59.786 悪が善によって 償われる物語です 00:08:00.627 --> 00:08:02.810 生きがいのある人生を送る人々は 00:08:02.834 --> 00:08:04.765 償いと成長 そして愛によって 00:08:04.789 --> 00:08:07.811 人生の物語を定義する傾向に あると言います 00:08:08.723 --> 00:08:11.185 何がきっかけで 人々は物語を変えるのでしょう? 00:08:11.725 --> 00:08:13.653 セラピストの助けを 借りる人もいますが 00:08:13.677 --> 00:08:15.487 自分でもできることです 00:08:15.511 --> 00:08:18.271 ただ人生を じっくりと振り返るのです 00:08:18.295 --> 00:08:20.382 経験の捉え方や 失ったもの 得たものによって 00:08:20.406 --> 00:08:22.143 いかに自分が形成されてきたかを 00:08:22.589 --> 00:08:24.123 エメカはそうしたのです 00:08:25.012 --> 00:08:27.058 物語はそう簡単には変わりません 00:08:27.082 --> 00:08:29.427 何年もの日々と辛い過程が 必要かもしれません 00:08:29.451 --> 00:08:32.385 誰もが辛さを経験し 苦しんでいるのです 00:08:32.957 --> 00:08:37.296 しかし 痛みを伴う記憶を受け入れることで 新たな洞察や知恵を得ることができ 00:08:37.320 --> 00:08:40.385 自分を支えてくれる 良い部分を見いだすことができます 00:08:42.583 --> 00:08:47.117 結びつき、目的、超越 ストーリーテリング 00:08:47.863 --> 00:08:50.594 これら4つが 生きがいの4つの柱です 00:08:51.626 --> 00:08:53.232 私が若い頃は 00:08:53.256 --> 00:08:56.894 幸いなことに この4つの柱全てに 囲まれていました 00:08:57.381 --> 00:09:01.921 両親はモントリオールの自宅で スーフィー教の集会所をやっていました 00:09:02.686 --> 00:09:07.169 スーフィー教とは旋回舞踏や ルーミーという詩人で知られる― 00:09:07.193 --> 00:09:08.586 神秘主義のことです 00:09:09.430 --> 00:09:12.005 週に2回 スーフィーたちが うちに集まって 00:09:12.029 --> 00:09:15.789 瞑想したり ペルシャ紅茶を飲んだり 物語を語り合いました 00:09:16.209 --> 00:09:19.166 愛情のこもった ささやかな行為で 命あるものすべてに 00:09:19.190 --> 00:09:21.000 仕えることも含まれます 00:09:21.024 --> 00:09:24.365 相手にひどいことをされても 寛大であるということです 00:09:24.389 --> 00:09:27.543 これは目的を与えてくれます 自我を制するということです 00:09:28.912 --> 00:09:31.528 最終的に 大学に行くために家を離れ 00:09:31.552 --> 00:09:35.254 スーフィー教の実践が 日々の生活からなくなると 00:09:35.278 --> 00:09:36.866 糸の切れた凧のような気持ちで 00:09:36.890 --> 00:09:40.478 人生を充実させてくれる何かを 探し始めました 00:09:40.502 --> 00:09:42.615 それで この道へと導かれました 00:09:43.012 --> 00:09:44.769 振り返ってみて 今分かるのは 00:09:44.793 --> 00:09:48.035 スーフィー教の集会所には 豊かな生きがいがあったと言うことです 00:09:48.059 --> 00:09:50.565 4つの柱が しっかりと組み込まれており 00:09:50.589 --> 00:09:53.815 4つの柱があることで より深く生きることができました 00:09:54.414 --> 00:09:56.735 もちろん 同じ原則は 00:09:56.759 --> 00:09:58.960 他の結びつきの強い コミュニティにも当てはまります 00:09:58.984 --> 00:10:01.006 良くも悪くもそうです 00:10:01.556 --> 00:10:03.585 ギャングやカルトなどは 00:10:03.609 --> 00:10:06.622 これらの生きがいの柱を用いて 00:10:06.646 --> 00:10:10.024 命を賭けるものを 人々に与えています 00:10:10.048 --> 00:10:12.915 だからこそ 私たちは社会で 00:10:12.939 --> 00:10:15.048 よりよい選択肢を 示さねばなりません 00:10:15.072 --> 00:10:18.823 家族や組織の中で こうした柱を組み込んで 00:10:18.847 --> 00:10:21.429 よりよい自分になれるよう 手助けするのです 00:10:22.524 --> 00:10:25.110 しかし 生きがいのある人生を 送るには努力が必要です 00:10:25.134 --> 00:10:27.009 絶えず続くプロセスです 00:10:27.033 --> 00:10:30.762 私たちは日々 人生を作っているのであり 00:10:30.786 --> 00:10:32.355 物語を紡いでいるのです 00:10:32.831 --> 00:10:35.580 時には道を外れることもあるでしょう 00:10:36.362 --> 00:10:38.273 そんなとき 私は 00:10:38.297 --> 00:10:41.686 父との印象深い経験を 思い出すようにしています 00:10:43.821 --> 00:10:46.468 大学卒業から数か月が経った頃 00:10:46.492 --> 00:10:50.350 父が命に関わる 大きな心臓発作で倒れました 00:10:51.033 --> 00:10:54.247 父が命を取り留め 死に瀕したときに何を思ったかと 00:10:54.271 --> 00:10:55.893 私が聞いてみると 00:10:55.917 --> 00:10:58.600 私と兄のために とにかく生きなければという 00:10:58.624 --> 00:11:00.762 思いだけが頭をよぎったと 言いました 00:11:00.786 --> 00:11:03.375 この思いが生きたいという 意志をくれたのだと 00:11:04.063 --> 00:11:07.361 父は緊急手術のために 麻酔をかけられた際に 00:11:07.385 --> 00:11:09.715 10からカウントダウンする代わりに 00:11:09.739 --> 00:11:12.909 マントラのように 私たち子どもの名前を唱えました 00:11:13.790 --> 00:11:17.601 もし生命が助からなかった場合に 私たちの名前が 00:11:17.625 --> 00:11:18.850 最後の言葉になるように 00:11:21.033 --> 00:11:24.645 父は大工であり スーフィーです 00:11:25.185 --> 00:11:26.732 慎ましい人生ですが 00:11:26.756 --> 00:11:28.025 豊かな人生です 00:11:28.564 --> 00:11:32.476 死に瀕していながら 生きる理由があったのですから 00:11:32.500 --> 00:11:33.908 そう 愛情です 00:11:33.932 --> 00:11:36.383 家族との結びつき 00:11:36.407 --> 00:11:38.136 父親としての目的 00:11:38.160 --> 00:11:41.174 私たちの名前を繰り返しながら 超越せんとする瞑想 00:11:41.198 --> 00:11:43.979 父はこれらがあったからこそ 生き延びられたと言います 00:11:44.003 --> 00:11:46.442 父はそんな物語を 自ら紡いでいます 00:11:47.747 --> 00:11:49.897 それこそが 生きがいの力です 00:11:50.643 --> 00:11:53.435 幸せは 訪れては消えてしまいます 00:11:53.459 --> 00:11:55.308 でも人生が本当に充実していれば 00:11:55.332 --> 00:11:57.221 物事がまったく上手くいかなくても 00:11:57.241 --> 00:12:00.294 生きがいがあることで 踏ん張れるのです 00:12:00.322 --> 00:12:01.546 ありがとうございました 00:12:01.570 --> 00:12:05.152 (拍手)