0:00:00.040,0:00:03.760 [本講演は成人向けの内容を含みます] 0:00:04.680,0:00:10.496 今夏 母から[br]文句の電話がありました 0:00:10.520,0:00:16.496 私の自叙伝の断片を読んだのです 0:00:16.520,0:00:18.256 まだ出版もされていないのに 0:00:18.280,0:00:19.750 母は心配になったのです 0:00:21.040,0:00:22.736 セックスのことではなく 0:00:22.760,0:00:24.536 (笑) 0:00:24.560,0:00:28.110 言葉遣いが 母を不安にさせたのです 0:00:28.520,0:00:29.720 例えば 0:00:31.760,0:00:33.816 「数奇な人生を重ねているうちに 0:00:33.840,0:00:35.560 私はいろんな人物になっていました 0:00:36.520,0:00:39.256 貧しい少年[br]黒人野郎 0:00:39.280,0:00:42.096 イェール大学生[br]ハーバード大学生 0:00:42.120,0:00:44.736 ホモ野郎[br]キリスト教徒 0:00:44.760,0:00:46.856 コカイン中毒者 ―疑い例 0:00:46.880,0:00:49.856 悪魔の落とし子[br]キリストの再臨 0:00:49.880,0:00:51.080 ケイシー」 0:00:51.640,0:00:53.296 これでまだ6ページ目です 0:00:53.320,0:00:55.016 (笑) 0:00:55.040,0:00:57.080 母が心配するのもわかりますよね 0:00:58.840,0:01:03.856 しかし 彼女が望んだのは[br]1つの小さい変更だけです 0:01:03.880,0:01:06.240 だから 電話して[br]話し始めたのです 0:01:07.520,0:01:10.920 「ねえ あなたは男よ 0:01:11.880,0:01:14.576 ホモ野郎でも[br]男娼でもない 0:01:14.600,0:01:16.296 その違いを教えてあげるわ 0:01:16.320,0:01:18.896 あなたは優秀で 知的 0:01:18.920,0:01:20.896 着こなしもいい[br]話し方もわきまえてる 0:01:20.920,0:01:22.456 人気者よ 0:01:22.480,0:01:25.416 男娼みたいな立ち振る舞いでうろつかないし 0:01:25.440,0:01:27.776 路上のゴロツキじゃない 0:01:27.800,0:01:30.296 あなたは立派な人間よ 0:01:30.320,0:01:32.540 偶然にも ゲイなだけ 0:01:32.920,0:01:35.656 あっち側の人間ではなくて 0:01:35.680,0:01:37.800 こっち側よ」 0:01:39.480,0:01:41.280 母が 私のためを思ってのことです 0:01:42.440,0:01:44.020 ある意味 その通りになりました 0:01:44.920,0:01:51.256 私が作家として[br]生きていこうとしていることが 0:01:51.280,0:01:53.896 母の電話で[br]明確になりました 0:01:53.920,0:01:56.720 教えられた生き方を[br]変えなければならないという 0:01:57.560,0:02:01.000 シンプルなメッセージを[br]送るためにね 0:02:02.160,0:02:04.216 このことを学ぶのは大変でした 0:02:04.240,0:02:06.456 私は 貧しい生まれどころか 0:02:06.480,0:02:08.455 はるかに世間から見捨てられた 0:02:08.479,0:02:11.656 テキサス州オーク・クリフの南[br]トリニティ出身です 0:02:11.680,0:02:14.096 私は 一時期 0:02:14.120,0:02:15.416 家政婦をしていた祖母と 0:02:15.440,0:02:17.536 姉に育てられました 0:02:17.560,0:02:21.096 母が精神病に悩まされて 0:02:21.120,0:02:23.096 失踪した数年後に 0:02:23.120,0:02:24.936 姉の養子となりました 0:02:24.960,0:02:26.976 母は私が13歳の時から 0:02:27.000,0:02:30.496 5年間 失踪していました 0:02:30.520,0:02:32.240 それが私の人格を作りました 0:02:33.200,0:02:35.840 後に 振り払わねばならなくなった人格です 0:02:37.120,0:02:41.416 母が出ていく前[br]私の本性はバレませんでした 0:02:41.440,0:02:46.136 私と同じほど変なのは[br]母だけでした 0:02:46.160,0:02:47.416 見事に変でした 0:02:47.440,0:02:49.970 『欲望という名の電車』の[br]ブランチ・デュボアと 0:02:49.970,0:02:52.896 80年代のホイットニー・ヒューストンを[br]合わせたようなね 0:02:52.920,0:02:56.176 (笑) 0:02:56.200,0:02:57.820 母は完璧とは言えませんが 0:02:58.800,0:03:02.096 その不完全なところが[br]私にとって よかったはずです 0:03:02.120,0:03:04.776 それが結局は[br]「ジンクス」なのでしょう 0:03:04.800,0:03:06.120 役立つ間違いです 0:03:07.280,0:03:10.056 母が最初に 数日間ずつ [br]失踪するようになった時 0:03:10.080,0:03:12.056 私は独自の[br]ジンクスに頼りました 0:03:12.080,0:03:14.216 ふと思いついたのです 0:03:14.240,0:03:18.416 高い丘の上にある小学校から 0:03:18.440,0:03:21.576 祖母の家までの道のりを 0:03:21.600,0:03:24.576 すべての歩道のブロックを[br]片足ずつ踏んで歩ければ 0:03:24.600,0:03:29.200 母を呼び戻せるのじゃないかと[br]思いました 0:03:29.920,0:03:33.256 ブロックの線を踏まず 0:03:33.280,0:03:34.616 ブロックを一つも抜かさず 0:03:34.640,0:03:37.816 車道と家の芝生を隔てる草の葉の[br]最後のブロックまで 0:03:37.840,0:03:41.456 ずっと行くんです 0:03:41.480,0:03:44.736 くだらない話ですが[br]その効果はありました 0:03:44.760,0:03:46.100 一度だけですけどね 0:03:46.960,0:03:50.896 でも 完璧に歩いたのに[br]母が戻って来なかったとしても 0:03:50.920,0:03:54.240 この方法は他にも使えると思いました 0:03:55.240,0:03:57.416 何か私に関する責任を負う人たちが 0:03:57.440,0:03:59.480 愛しているのは 0:04:00.400,0:04:03.176 完璧や 忠実や 従順にすぎないと[br]気づいたんです 0:04:03.200,0:04:06.096 または 従順であれば[br]他人に煩わされないと思いました 0:04:06.120,0:04:08.856 そんな取引を私は受け入れましたが[br] 0:04:08.880,0:04:13.216 それは後にベルリンのシュタージ刑務所で[br]見ることになる 0:04:13.240,0:04:14.696 掲示の言葉 0:04:14.720,0:04:17.720 「順応する人間は 何とか生きられる」[br]そのままでした 0:04:19.040,0:04:20.935 住み家と食べ物が 0:04:20.959,0:04:25.096 確保できるようにする[br]取り引きでした 0:04:25.120,0:04:29.416 教師や親類や他人から賞賛が[br]貰えるような取り引きでした 0:04:29.440,0:04:31.576 大成功の取引だったように[br]見えました 0:04:31.600,0:04:35.480 17歳のある日[br]高校に現われたイェール大学の人から 0:04:35.480,0:04:37.680 アメフト選手としてスカウトされました 0:04:38.240,0:04:41.200 みなさんも同様でしょうが 私にとっても[br]思いがけないことでした 0:04:41.800,0:04:45.096 そのイェール大学の人も[br]みんなも こう言いました 0:04:45.120,0:04:48.616 これは君にとって今までで[br]最高の出来事かもしれないし 0:04:48.640,0:04:51.296 地域住民にとっても[br]最高の出来事かもしれない 0:04:51.320,0:04:53.880 「この機会を逃すなよ」 0:04:54.840,0:04:56.040 よくわからなかったけど 0:04:57.160,0:04:59.736 イェール大学は[br]別世界のようでした 0:04:59.760,0:05:03.440 冷たく 異質で[br]敵意に満ちた場所でした 0:05:04.360,0:05:06.296 スカウトに応じて大学を訪れた[br]最初の日に 0:05:06.320,0:05:08.456 姉には 応じない理由を[br]書いて送りました 0:05:08.480,0:05:10.240 「あいつら とても変だ」 0:05:11.000,0:05:14.096 「あなた すぐに馴染むわよ」と[br]返事が来ました 0:05:14.120,0:05:17.000 (笑) 0:05:18.080,0:05:19.896 私は スカウトに応じました 0:05:19.920,0:05:22.096 そして 馴染もうと躍起になりました 0:05:22.120,0:05:26.416 新入生指導者から大学構内で[br]帽子をかぶらないように注意された時 0:05:26.440,0:05:30.160 「ここはイェール大学だから[br]もう被らなくていいよ」と言われました 0:05:31.280,0:05:34.176 これは 成功するために払うべき[br]小さな犠牲なのだと 0:05:34.200,0:05:36.240 私は気がつきました 0:05:37.280,0:05:40.176 全てを犠牲にして[br]がんばりました 0:05:40.200,0:05:42.936 イェールは応えてくれた[br]ように思います 0:05:42.960,0:05:46.296 私はアメフト代表チームの[br]キャプテンに選ばれ 0:05:46.320,0:05:48.736 秘密ではないもののソサエティーの一員となり 0:05:48.760,0:05:51.296 ウォール街や 後に政府機関で[br]職を得ました 0:05:51.320,0:05:54.976 とても調子がいいので 0:05:55.000,0:05:57.376 いずれはアメリカ大統領に[br]なれるかもしれないと考えましが 0:05:57.400,0:06:00.576 (笑) 0:06:00.600,0:06:02.976 でも 私は まだ24歳だったし 0:06:03.000,0:06:05.856 大統領への道は[br]まだ先のことだったので 0:06:05.880,0:06:09.216 まずは 連邦議会の[br]議員に立候補することにしました 0:06:09.240,0:06:13.616 その選挙は2008年の大統領選が[br]尾を引いていました 0:06:13.640,0:06:18.776 その選挙では[br]穏健派の上院議員が 0:06:18.800,0:06:22.656 「君が何よりも[br]伝えなければならないのは 0:06:22.680,0:06:25.680 オバマも自分たちと同じという点だ」と [br]強調したのです 0:06:26.520,0:06:28.456 彼らは そのことを[br]とても巧みに伝え 0:06:28.480,0:06:31.656 その選挙運動は[br]現代生活のとまでは言えませんが 0:06:31.680,0:06:35.136 近代政治の黄金律となりました 0:06:35.160,0:06:39.856 誰もが「私はみんなと全く同じだ」と[br]平穏に満足して言えるように 0:06:39.880,0:06:44.416 どんなことでもすることが[br]要求されるようです 0:06:44.440,0:06:47.120 私にとってもこれがメッセージでした 0:06:48.480,0:06:54.000 ある晩 私の選挙活動マネージャー予定の人に[br]最後の電話をしました 0:06:55.320,0:06:59.920 勝つために必要な活動をするつもりでした[br]まず 質問が来ました 0:07:01.120,0:07:02.880 「他に知っておくべきことは?」 0:07:04.240,0:07:07.616 私は電話を握ったまま[br]ついに言いました 0:07:07.640,0:07:10.040 「私がゲイだと[br]知っておいた方がいいかも」 0:07:11.920,0:07:13.120 沈黙でした 0:07:14.560,0:07:18.376 彼は 光る硬貨や[br]死んだ小鳥を見つけた風に 0:07:18.400,0:07:22.136 「ふーん なるほど」と[br]ささやきました 0:07:22.160,0:07:23.216 (笑) 0:07:23.240,0:07:26.056 「伝えてもらえてよかった」と言われ[br]続いて 彼は 0:07:26.080,0:07:28.256 「これは厄介仕事になった 0:07:28.280,0:07:30.056 君はテキサス州にいるからな 0:07:30.080,0:07:33.160 でも 不可能じゃない[br]できないことじゃない 0:07:34.200,0:07:36.160 ケイシー 聞きたいことがある 0:07:37.080,0:07:42.600 運動中に 他人からホモ野郎と呼ばれたら[br]どんな気持ちになるだろうか? 0:07:43.520,0:07:44.960 正直に言うけど[br]いいか? 0:07:45.720,0:07:49.200 他人から襲撃される可能性があるのは[br]十分承知していてくれ 0:07:50.160,0:07:52.096 聞くけど 0:07:52.120,0:07:54.200 君は その覚悟が[br]本当にできてるか?」 0:07:55.720,0:07:57.456 できてませんでした 0:07:57.480,0:08:00.496 分かりませんでした 0:08:00.520,0:08:03.376 息をするのも 考えるのも 0:08:03.400,0:08:06.600 話すことも[br]ほとんどできませんでした 0:08:07.400,0:08:09.976 誤解のないように言うと[br]その時の自分は 0:08:10.000,0:08:12.616 崇高な目的のためであれば[br]襲撃されるとしてもためらわず 0:08:12.640,0:08:15.560 命でも何でも犠牲にする[br]覚悟はありました 0:08:16.840,0:08:19.536 でも ショックでした 0:08:19.560,0:08:22.296 ショックだったはずではなく[br]実際にショックでした 0:08:22.320,0:08:27.256 自分らしくするだけで ―[br]まだ そうしようとさえしていないのに 0:08:27.280,0:08:29.760 襲撃されるかもしれないという考えにです 0:08:30.640,0:08:33.655 私は期待されていると思うことを[br]やろうとしたり 0:08:33.679,0:08:38.056 そういう存在に[br]なろうとしただけなんですよ 0:08:38.080,0:08:41.616 私は24歳にしては優秀で 0:08:41.640,0:08:46.080 賢く 話もうまく 着こなしもよく[br]まっとうな米国民でした 0:08:47.040,0:08:51.840 しかし 私が受容してきた取り引きは[br]私も あなたも 0:08:52.960,0:08:54.160 結局 救ってくれません 0:08:55.600,0:08:57.576 性的指向に関わらず 0:08:57.600,0:09:01.040 このことをすでに学んだ人も[br]これから学ぶ人もいるでしょうが 0:09:01.840,0:09:05.776 セクシャルマイノリティは[br]特に集中して差別を受けます 0:09:05.800,0:09:10.120 しかし 自己抑圧は 我々に提供される[br]苦汁の選択です 0:09:11.640,0:09:15.296 私たちはありのままの自分や経験を[br]ほとんど隠せと教わります 0:09:15.320,0:09:18.380 愛も 痛みも 信仰もです 0:09:19.240,0:09:21.630 カミングアウトするのは[br]困難かもしれないが 0:09:22.760,0:09:27.176 自分らしい素朴なジンクスに頼るのにも[br]困難が待ち受けます 0:09:27.200,0:09:31.160 マイルス・デイヴィスは こう言いました[br]「自分らしさを表現するには時間がかかる」 0:09:32.320,0:09:34.060 私の場合も まさにそれです 0:09:35.240,0:09:37.816 私の私的啓示は[br]あの24歳の夜でしたが 0:09:37.840,0:09:39.976 私の人生中 ずっと続きました 0:09:40.000,0:09:44.216 私はハーバード・ビジネス・スクールに行き[br]非営利団体を成功させ 0:09:44.240,0:09:47.176 雑誌の表紙を飾り[br]TEDの舞台にいます 0:09:47.200,0:09:48.856 (笑) 0:09:48.880,0:09:50.456 私は 20歳台後半までに 0:09:50.480,0:09:52.920 子どもが期待される成功の[br]全てを達成しました 0:09:54.360,0:09:55.680 でも 精神はボロボロ 0:09:57.440,0:10:01.656 神経衰弱じゃなかったけど[br]そんな感じで 0:10:01.680,0:10:03.200 悲しみに覆われていました 0:10:04.280,0:10:07.056 作家になるなんて[br]まったく思っていませんでした 0:10:07.080,0:10:10.690 23歳になるまで[br]本格的には読書さえもしてなかった 0:10:11.640,0:10:13.896 しかし 自分自身の問題を[br]調査するのに 0:10:13.920,0:10:16.816 金を出してくれるのは[br]出版業界くらいでしょう 0:10:16.840,0:10:20.240 (笑) 0:10:22.800,0:10:25.260 だから やってみようと決めたのです 0:10:26.000,0:10:29.160 言葉で亀裂の跡をなぞるために 0:10:30.640,0:10:34.896 ページに書かれているのは[br]当時の私が変だと感じたことです 0:10:34.920,0:10:37.776 それは まず ある人たちにとって[br]警報となりました 0:10:37.800,0:10:40.616 ある高名な作家は[br]最初の数章を読んだ後 0:10:40.640,0:10:43.696 アドバイスをするために[br]電話をかけてきました 0:10:43.720,0:10:47.456 話し始めると[br]彼は母と同じようなことを言いました 0:10:47.480,0:10:49.840 「いいか 聞け 0:10:50.800,0:10:53.176 君は 自叙伝を書くために[br]雇われてるんだよ 0:10:53.200,0:10:55.056 それは単純明快なものだ 0:10:55.080,0:10:56.896 序章と本編と終章があり 0:10:56.920,0:10:59.416 君の生い立ちに基づいたものだ 0:10:59.440,0:11:03.016 ところで この国には[br]素晴らしい自叙伝の伝統がある 0:11:03.040,0:11:08.096 社会の辺縁にいる人たちが 自分たちの存在を[br]主張するために書いて 先導してきたものだ 0:11:08.120,0:11:11.536 そういう本を買ってきて[br]そこから学びなさい 0:11:11.560,0:11:14.360 君は間違った方向に進みつつある」 0:11:15.680,0:11:19.176 しかし 正しい方向は[br]安全だという教訓は 0:11:19.200,0:11:21.656 もう信じませんでした 0:11:21.680,0:11:23.856 セクシャルマイノリティや [br]黒人や貧乏人の 0:11:23.880,0:11:27.376 生き方は底辺だというこれまでの教えは[br]もう信じませんでした 0:11:27.400,0:11:30.920 信じたのはケンドリック・ラマーが[br]『Section.80』で歌った言葉 0:11:31.640,0:11:34.936 「俺は外部から中を見てるのでも 0:11:34.960,0:11:36.896 内部から外を見ているのでもない 0:11:36.920,0:11:39.336 ど真ん中にいて[br]周囲を見渡してるんだ」 0:11:39.360,0:11:40.816 (笑) 0:11:40.840,0:11:42.816 私が活動したいのは 0:11:42.840,0:11:45.016 そこだったのです 0:11:45.040,0:11:48.496 行く価値がある方向を向き[br]我が道の方向を向き 0:11:48.520,0:11:52.376 みんなが受け入れよと教わってきた[br]不利な取り引きを 0:11:52.400,0:11:54.020 拒否するよう援助すること 0:11:54.680,0:11:56.856 自分や 自分の仕事を 0:11:56.880,0:12:00.936 他人に受け入れやすい形にするようにと[br]教えられます 0:12:00.960,0:12:04.336 他人に認められるように[br]自傷行為をするようにと教わります 0:12:04.360,0:12:07.936 相応しい人たちが仲間にしてくれるように[br]自分を他人にしろと 0:12:07.960,0:12:11.376 そうすれば 良い学校に入れて[br]良い仕事にも就けて 0:12:11.400,0:12:13.256 素敵なパーティーに[br]招待されるかも 0:12:13.280,0:12:16.456 そして いつか 良い神様が[br]良い天国に連れて行ってくれる 0:12:16.480,0:12:18.456 天国の門に入れるのは[br]私たちが最後になる 0:12:18.480,0:12:21.016 だから 神には[br]ずっと頭が上げないでおこう 0:12:21.040,0:12:23.456 それが 私たちが忠実であることに対しての 0:12:23.480,0:12:24.840 報酬だと言われます 0:12:25.640,0:12:28.576 皆に好かれる 神聖なる金塊になるため 0:12:28.600,0:12:29.800 死ぬために 0:12:30.640,0:12:34.360 「いえ 結構です」 0:12:35.480,0:12:38.240 世界に対しても[br]母に対しても 0:12:39.520,0:12:40.896 実は こう言ったんだけどね 0:12:40.920,0:12:43.296 「わかったよ ママ[br]それは後で話そう」 0:12:43.320,0:12:44.616 (笑) 0:12:44.640,0:12:47.976 内心は「いえ 結構です」 0:12:48.000,0:12:51.400 母からの取り引きも[br]受け入れられません 0:12:52.280,0:12:53.480 あなたもそうでしょう 0:12:54.360,0:12:58.816 ここにいる皆さんの多くは[br]自分たちが安全であると思い 0:12:58.840,0:13:01.736 ここで じっとしているのは 0:13:01.760,0:13:04.280 簡単でしょう 0:13:05.520,0:13:08.496 私たちは上手に話し[br]まともな服装で 0:13:08.520,0:13:12.440 賢い人たちのように[br]振る舞います 0:13:13.440,0:13:18.220 でも その代わりに[br]『ロトの妻の塩柱』を忘れないようにね 0:13:19.200,0:13:22.376 ナザレのイエスが[br]まず弟子に話した物語です 0:13:22.400,0:13:25.180 「ロトの妻を忘れるな」 0:13:26.240,0:13:29.616 念のため[br]最近 聖書を読んでない方へ 0:13:29.640,0:13:32.896 ロトは ソドムの町に[br]家族を持った男です 0:13:32.920,0:13:37.480 ソドムは 神が破壊すると決めた[br]邪悪な社会の中心でした 0:13:38.280,0:13:41.016 残酷な神は[br]すぐ手を下そうと思いながらも 0:13:41.040,0:13:45.336 家族と一緒に町から出ろと[br]ロトに警告するために 0:13:45.360,0:13:46.560 2名の天使を急がせました 0:13:47.480,0:13:50.776 ロトは天使の警告を聞きましたが[br]出発がおくれました 0:13:50.800,0:13:54.056 一刻の猶予もなかったので[br]天使たちは 0:13:54.080,0:13:56.936 ロトと 彼の娘たちと[br]彼の妻の手を握り 0:13:56.960,0:13:59.016 ソドムからの脱出を急ぎました 0:13:59.040,0:14:00.616 ソドムとゴモラの町に 0:14:00.640,0:14:04.176 神が火の雨を降らせ始めたとき[br]天使たちは叫びました 0:14:04.200,0:14:08.136 「山に逃げろ[br]何があっても振り返るな」 0:14:08.160,0:14:10.776 ゴモラが巻き込まれた理由は[br]わかりませんが 0:14:10.800,0:14:13.776 とにかく ロトと家族は[br]走りました 0:14:13.800,0:14:15.456 破壊から逃れつつありました 0:14:15.480,0:14:18.456 神の死の雨が降っている間も[br]大急ぎで 0:14:18.480,0:14:23.760 そして なぜか[br]ロトの妻が振り返ったのです 0:14:24.920,0:14:27.160 神はロトの妻を[br]塩の柱に変えてしまいました 0:14:28.600,0:14:32.280 「ロトの妻を忘れるな」と[br]イエスは言いました 0:14:33.920,0:14:35.120 でも 疑問があります 0:14:36.600,0:14:37.800 ロトの妻が振り返った理由 0:14:39.520,0:14:43.296 この大混乱を[br]見逃したくなかったから? 0:14:43.320,0:14:45.720 火の海になった町を[br]最後に見たかったから? 0:14:47.160,0:14:50.176 家族が危険から逃れられて 0:14:50.200,0:14:53.136 一息ついても平気か[br]確かめたかったから? 0:14:53.160,0:14:56.816 詮索好きで自分勝手な私が[br]彼女の立場なら 0:14:56.840,0:14:58.080 その理由はありえますね 0:14:59.240,0:15:04.760 しかし この女性 ロトの妻に[br]別の考えがあったら? 0:15:06.080,0:15:11.536 正義のためだとしても[br]生きたまま焼かれている町の人たちを 0:15:11.560,0:15:14.176 置いて去ることに 0:15:14.200,0:15:15.920 耐えられなかったのだとしたら? 0:15:16.880,0:15:18.080 ありえませんか? 0:15:19.360,0:15:24.536 そうだとしたら[br]言いつけに背いて振り返った彼女の話は 0:15:24.560,0:15:26.936 教訓的な物語ではないでしょう 0:15:26.960,0:15:30.256 聖書の中でも特段[br]勇気のある行動かもしれません 0:15:30.280,0:15:33.216 聖書の全編を貫く話 ―[br]はりつけを受け入れる行動より 0:15:33.240,0:15:34.440 勇敢な行動でありえます 0:15:35.080,0:15:40.176 私たちはイエスが十字架に[br]はりつけにされたと教わります 0:15:40.200,0:15:42.096 イエスは 後の世の[br]何十億人を 0:15:42.120,0:15:45.250 助けるために[br]命を投げ出したのです 0:15:45.840,0:15:47.696 いいことですね 0:15:47.720,0:15:49.456 そりゃ 有名になるはずです 0:15:49.480,0:15:51.296 (笑) 0:15:51.320,0:15:54.016 でもロトの妻は殺されました 0:15:54.040,0:15:56.616 塩の柱になりました 0:15:56.640,0:16:01.416 彼女は友人である[br]ソドムの邪悪な男たちを 0:16:01.440,0:16:04.336 見捨てられなかったのです 0:16:04.360,0:16:07.360 そんな彼女の名前を[br]書き残す者はだれもいませんでした 0:16:08.880,0:16:12.000 ロトの妻の勇気を持つために 0:16:13.040,0:16:16.656 そのような勇気が[br]今の私たちに必要です 0:16:16.680,0:16:20.096 自分自身を[br]そこに置く勇気です 0:16:20.120,0:16:23.376 我々全員が自由になるために[br]我々みながホモ野郎のはずだとか 0:16:23.400,0:16:27.776 誰も ホモ野郎のはずがないとか[br]と言う勇気 0:16:27.800,0:16:32.216 通りのゴロツキや 0:16:32.240,0:16:34.616 この世の惨めな すべての人と 0:16:34.640,0:16:37.456 最も力を持たない者たちを集めて 0:16:37.480,0:16:41.816 我々の飾らない自分から生まれる誠意で 0:16:41.840,0:16:44.160 よりよい世界を[br]築くことができます 0:16:44.920,0:16:46.136 ありがとうございました 0:16:46.160,0:16:50.760 (拍手)