WEBVTT 00:00:00.054 --> 00:00:04.631 やあ、僕はマーク 磁石のビデオゲームを作ってる 00:00:04.671 --> 00:00:07.192 さて、計画はこうだった 00:00:07.232 --> 00:00:12.231 前回の動画で作った全ステージをまとめて デモ版を作り 00:00:12.271 --> 00:00:15.039 デモ版を Steam Deck に入れて 00:00:15.079 --> 00:00:21.063 サンフランシスコに飛んで GDC の出席者にデモ版を渡す 00:00:21.103 --> 00:00:26.814 だが出発のちょうど1週間前に ある重要なテスターにデモ版を渡したところ 00:00:26.854 --> 00:00:29.860 彼はそれを楽しめなかった 00:00:29.900 --> 00:00:36.026 彼にとってはイライラするし退屈だし デモ版が終わる前に諦めてしまった 00:00:36.066 --> 00:00:42.149 その瞬間、自分がとてもよくある 大きな間違いを犯していたことに気づいた 00:00:42.189 --> 00:00:45.949 それはゲームの難易度についての 考え方のことだ 00:00:45.989 --> 00:00:48.914 何を間違えたのか? あと肝心なのは—— 00:00:48.954 --> 00:00:52.692 カリフォルニアに飛び立つ前に それを修正できたのか? 00:00:52.732 --> 00:00:55.270 知りたいならチャンネルはそのままで 00:00:56.255 --> 00:01:03.163 Developing - Episode 10 00:01:05.503 --> 00:01:08.121 話を少し戻そう 00:01:08.161 --> 00:01:12.255 前回の動画で 僕はパズル行列を使って 00:01:12.295 --> 00:01:16.613 約 26 個の異なるステージの アイデアを生み出した 00:01:16.653 --> 00:01:23.379 それから、動画が公開された後 それらをまとめて1時間のずっしりしたデモ版を作った 00:01:23.419 --> 00:01:29.352 3つのワールド、2種類の磁石 多種多様な仕掛けが入っている 00:01:29.392 --> 00:01:34.303 例えば、色が変わるパネルや レーザービーム、動く足場 00:01:34.343 --> 00:01:37.686 車輪付きのボックス 回転式スイッチなどなど 00:01:37.726 --> 00:01:43.949 いつものように、このデモ版を最初に受け取ったのは Discord にいる GMTK 支援者たちだった 00:01:43.989 --> 00:01:47.223 彼らは感想や助言を たくさん送ってくれたし 00:01:47.263 --> 00:01:51.528 バグ、裏技、イライラや矛盾する部分を 発見してくれた 00:01:51.568 --> 00:01:55.128 いつものことだが 彼らの協力には深く感謝している 00:01:55.168 --> 00:02:01.644 すると、何の前触れもなく Patrick Traynor からメールが届いた 00:02:01.684 --> 00:02:04.933 『Patrick's Parabox』の Patrick だ 00:02:04.973 --> 00:02:09.547 前回の動画で紹介した 素晴らしいパズルゲームのことだ 00:02:09.587 --> 00:02:14.696 彼は動画でゲームを紹介したことにお礼を言い 僕の磁石ゲームに幸運を祈ってくれた 00:02:14.736 --> 00:02:16.910 僕は尋ねた「デモ版やりたい?」 00:02:16.950 --> 00:02:20.396 彼は快く引き受けてくれた それから数日後 00:02:20.436 --> 00:02:24.473 届いたメールには一言だけ 「プレイした」 00:02:24.513 --> 00:02:27.414 そして YouTube のリンクが貼ってあった 00:02:27.454 --> 00:02:31.019 このゲームの2時間の通しプレイ映像だ 00:02:31.059 --> 00:02:34.036 なぜ僕が躊躇しているかというと 00:02:34.076 --> 00:02:37.704 彼はこのゲームが好きかどうか 何も言わなかったので 00:02:37.744 --> 00:02:42.683 僕は彼が実時間で評価する様子を 見るしかない 00:02:42.723 --> 00:02:46.562 だからもし嫌っていたら 僕はただそこに座って 00:02:46.602 --> 00:02:51.098 誰かが僕にどんどん失望していく様子を 見ないといけない 00:02:51.138 --> 00:02:53.771 両親が僕に失望してるのと同じだ 00:02:53.811 --> 00:02:57.925 でもとうとう勇気を出して 動画の再生ボタンを押したら 00:02:57.965 --> 00:03:00.194 彼は全体的に気に入ってくれた 00:03:00.234 --> 00:03:03.948 彼はニコニコ笑って いくつかのパズルを褒めてくれたし 00:03:03.988 --> 00:03:08.028 核となる仕組みに秘められた可能性を 高く評価してくれた 00:03:08.068 --> 00:03:12.565 「この仕組みを見て思うよ なぜ今まで誰も こういう磁石プラットフォーマーを作らなかったんだ?」 00:03:12.605 --> 00:03:17.127 そして彼の批判には どれも親切な助言と忠告があった 00:03:17.167 --> 00:03:20.234 例えば、個々のパズルにおいて—— 00:03:20.274 --> 00:03:24.179 プレイヤーができないことを もっと明確にしたほうがいい 00:03:24.219 --> 00:03:30.416 つまりプレイヤーが飛べない大きさの谷間は 本当に大きくするべきだし 00:03:30.456 --> 00:03:37.239 プレイヤーを通さないように早く閉まるドアは 即座にピシャっと閉じたほうがいい、とかだ 00:03:37.279 --> 00:03:40.773 彼はもう1つ大きな忠告をくれた 00:03:40.813 --> 00:03:46.492 それはゲームを簡単にしてでも ステージを単純化するということだった 00:03:46.532 --> 00:03:50.884 その忠告を僕は丸ごと無視した 00:03:51.649 --> 00:03:52.759 詳細はあとで 00:03:52.799 --> 00:03:56.398 ともかく GDC まで2週間ほどあったので 00:03:56.438 --> 00:04:02.771 支援者や Patrick の意見を全部使って デモ版を見直すことにした 00:04:02.811 --> 00:04:06.220 上手くいってないステージを 大量に削除した 00:04:06.260 --> 00:04:10.936 これは反射神経に頼りすぎていて 良いパズルになってない 00:04:10.976 --> 00:04:14.667 これには大きな抜け穴があって 簡単に直せなかった 00:04:14.707 --> 00:04:20.117 あとパズルではなく純粋なプラットフォーマーステージを 1個こっそり入れて 00:04:20.157 --> 00:04:23.661 プレイヤーが その変化にどう反応するか試したが 00:04:23.701 --> 00:04:28.599 反応は賛否両論だったので 今のところボツにしている 00:04:28.639 --> 00:04:32.698 その空白を補うために 新しいパズルも作った 00:04:32.738 --> 00:04:37.309 一部の仕掛けの読みやすさを 改善する作業もやった 00:04:37.349 --> 00:04:43.127 例えば、ボタンとオブジェクトの 繋がりを示すアイコンだ 00:04:43.167 --> 00:04:48.793 あとこの奇妙な磁石センサーを 滑車パネルに置き換えた 00:04:48.833 --> 00:04:52.514 これはロープが一番下に当たると ボタンが作動する 00:04:52.554 --> 00:04:58.669 それと単純な緑色ボタンをより納得感のある フランケンシュタイン式スイッチに変えた 00:04:58.709 --> 00:05:03.310 特定のパズルのために 鍵と錠前を作った 00:05:03.350 --> 00:05:07.376 鍵を取ったときのアニメは かなり満足感がある 00:05:07.416 --> 00:05:12.030 一時停止メニューに磨きをかけて タイトル画面も改善した 00:05:12.070 --> 00:05:16.925 あと…そうだ 会話システムも全く新しく作った 00:05:16.965 --> 00:05:22.033 このデモ版には試作の会話が1つしかないが 上手くいけば完成版のゲームで 00:05:22.073 --> 00:05:24.954 物語がどんな感じになるか 想像してもらえるはずだ 00:05:24.994 --> 00:05:29.942 これでデモ版は無事完成した サンフランシスコまであと1週間しかないので 00:05:29.982 --> 00:05:32.788 重要なテスターにゲームを渡した 00:05:32.828 --> 00:05:37.279 そして冒頭で言った通り 彼は気に入らなかった 00:05:37.319 --> 00:05:39.873 彼は失敗して腹を立てた 00:05:39.913 --> 00:05:43.412 ステージがあまりに複雑で プレイが退屈だと感じた 00:05:43.452 --> 00:05:47.597 そして多くの場合 あっさりとコントローラーを僕に渡してこう言う 00:05:47.637 --> 00:05:50.379 「これをちょっとやってくれんか?」 00:05:50.419 --> 00:05:53.623 そのプレイテスターとは 僕の父親だ 00:05:53.663 --> 00:05:55.469 親と失望の話を覚えてるか? 00:05:55.509 --> 00:06:00.314 しかし…しかし…しかし このプレイテストはつらかったが 00:06:00.354 --> 00:06:06.174 この開発工程全体で 最も重要なプレイテストだったと思う 00:06:06.214 --> 00:06:09.309 あの瞬間『マトリックス』を 透視してる感覚だった 00:06:09.349 --> 00:06:14.459 自分が大失敗した理由と経緯が 正確に分かった 00:06:14.499 --> 00:06:17.815 そしてもし Patrick に直接会ったら 00:06:17.855 --> 00:06:21.686 彼の忠告を無視したことで 1杯おごる必要があると思った 00:06:21.726 --> 00:06:25.383 つまりこうだ 僕はステージ設計をするとき 00:06:25.423 --> 00:06:30.227 いつもかなり単純な構成の パズルを作っていた 00:06:30.267 --> 00:06:34.309 1つの小さな操作で プレイヤーを試すというものだ 00:06:34.349 --> 00:06:39.869 だがその場合、プレイヤーはそのパズルを すぐに解くと思われる 00:06:39.909 --> 00:06:45.937 彼らはパズルをすぐに突破して 僕のゲームは簡単すぎてつまらないと判断し 00:06:45.977 --> 00:06:50.196 従って僕のことを 本質的に価値のない人間だと判断するだろう 00:06:50.236 --> 00:06:56.115 それで少し生意気だが そのステージに余計な複雑さを追加する 00:06:56.155 --> 00:07:01.676 パズルを解くためにプレイヤーがやらないといけない 手順をたくさん追加するわけだ 00:07:01.716 --> 00:07:05.775 そして悪質な罠を追加する プレイヤーが1つでも間違えると 00:07:05.815 --> 00:07:09.210 行き詰まってパズルを ゼロにリセットするしかない 00:07:09.250 --> 00:07:15.777 そしてパズルの解法を囮や他の要素で 分かりづらくする 00:07:15.817 --> 00:07:21.457 この悪賢いマキャベリ的な策略をやっていたら 最終的にパズルが厄介で 00:07:21.497 --> 00:07:27.188 難解で、イライラして 退屈なものになってしまった 00:07:27.228 --> 00:07:33.125 ステージを難しくすることに集中しすぎて 楽しくすることを忘れていた 00:07:33.603 --> 00:07:34.807 おっと 00:07:35.200 --> 00:07:40.735 つまりこうだ 僕はその仮説を一度も検証したことがなかった 00:07:40.775 --> 00:07:46.033 プレイヤーは即座に瞬時に 解法を見つけるだろうという仮説だ 00:07:46.073 --> 00:07:48.955 それは本当に正しかったのか? 00:07:48.995 --> 00:07:53.615 そこで Patrick の忠告の通り デモ版の大量のステージを作り直した 00:07:53.655 --> 00:07:58.381 重点を置いたのは 明快さ、簡潔さ、単純さだ 00:07:58.421 --> 00:08:00.316 例えばこのステージだ 00:08:00.356 --> 00:08:07.147 元のステージでは、2つの磁石を使って 2つのスイッチを同時に作動させて 00:08:07.187 --> 00:08:11.689 2本のドリルを引っ込めて 球体にレーザーを当てて、ドアを開ける 00:08:11.729 --> 00:08:15.079 説明するだけでも退屈だ 00:08:15.119 --> 00:08:18.945 このステージの問題構造は かなり良いと思うが 00:08:18.985 --> 00:08:22.621 不必要なものが多すぎて 目立たなくなっている 00:08:22.661 --> 00:08:26.110 で、こんな感じに作り直した 00:08:26.150 --> 00:08:31.029 必要な磁石はたった1つで 3つか4つの仕掛けで構成されていて 00:08:31.069 --> 00:08:33.939 とても小さくて、とても単純だ 00:08:33.979 --> 00:08:38.329 プレイヤーはこのパズルのトリックを すぐに解決するだろうか? 00:08:38.369 --> 00:08:42.269 いや、文字通り 確かめる時間がなかった 00:08:42.309 --> 00:08:45.774 ビルドをコンパイルして Steam Deck に放り込んで 00:08:45.814 --> 00:08:48.516 空港まで運転して、飛行機に乗って 00:08:48.556 --> 00:08:53.703 同じ椅子に 10 時間ずっと座りっぱなしだった 長時間労働中の AAA 開発者みたいに 00:08:53.743 --> 00:08:57.777 この冗談はマズイか? Twitter で炎上するだろうか? 00:08:58.170 --> 00:09:03.158 さて、サンフランシスコに到着して それから数日観光した 00:09:03.198 --> 00:09:05.957 アルカトラズとか ゴールデンゲートブリッジとか 00:09:05.997 --> 00:09:08.188 ピア 39 のアシカとか 00:09:08.228 --> 00:09:11.474 In-N-Out バーガー…うーわ、ダメだ 00:09:11.514 --> 00:09:14.158 あのポテト! 何やってんだ? 00:09:14.198 --> 00:09:19.139 だが GDC の開催期間になると できるだけ大勢にゲームを渡した 00:09:19.179 --> 00:09:25.186 親睦会でも、交流会でも 自作ゲーム持ち込み会でも、会議でも 00:09:25.226 --> 00:09:29.312 朝食で山盛りのアメリカ風パンケーキを 食べてるときでも 00:09:29.352 --> 00:09:33.625 アメリカ風じゃなくてただのアメリカンパンケーキだと思う ここはアメリカだ 00:09:33.665 --> 00:09:38.451 それでデモ版の感想は 本当にかなり良かった 00:09:38.491 --> 00:09:41.372 「これは本当のビデオゲームみたいだ」 と何度も言われ 00:09:41.412 --> 00:09:46.839 デモを全部終えるまで Steam Deck を返してくれない人もいた 00:09:46.879 --> 00:09:50.862 それで、このゲームは簡単すぎたのか? 00:09:51.082 --> 00:09:55.559 いや、ゲームは実際には ちょうど良いくらいの難易度だった 00:09:55.599 --> 00:10:01.358 例えばさっき話したパズルでは プレイヤーは1〜2分考え込んで 00:10:01.398 --> 00:10:07.577 それから解法を見つけ出して 僕がいつも追求している「目を丸くしたアハ体験」を得る 00:10:07.617 --> 00:10:14.231 混乱もイライラも全くなかった 彼らは良質な楽しい満足パズルだと思っただけだ 00:10:14.271 --> 00:10:14.949 えっ !? 00:10:14.989 --> 00:10:16.716 結局、それは完全に正し… 00:10:16.756 --> 00:10:18.663 なんてこった、デカい蜘蛛だ 00:10:19.048 --> 00:10:21.704 ああ〜… あぁ…どこまで話した? 00:10:21.892 --> 00:10:28.452 結局、ゲームを簡単にしたのは完全に正しい判断だったし 実際もっと簡単にしてもよかった 00:10:28.492 --> 00:10:32.390 デモ版には面倒なステージが まだ1つあった 00:10:32.430 --> 00:10:36.652 ある熱中したアメリカ人は 「げぇ、これは本当に難問だ」と言った 00:10:36.692 --> 00:10:41.784 しかもゲームの中にある 基本的、基礎的な仕掛けには 00:10:41.824 --> 00:10:46.593 ちゃんと教えてないものが大量にあり それが彼らを困らせていた 00:10:46.633 --> 00:10:53.028 例えば磁石を使って高い足場に上がったり 遠くから磁石の極性を変えたりできる 00:10:53.068 --> 00:10:56.953 これらは僕のゲームでは ごく当たり前の仕様だったから 00:10:56.993 --> 00:11:01.936 それをパズルの解法や チュートリアルにする必要性を感じてなかった 00:11:01.976 --> 00:11:05.882 だが僕のゲームを初めて遊ぶ人にとっては 知る由もない 00:11:05.922 --> 00:11:10.357 つまりこの動画の一番の教訓はこうだ 00:11:10.397 --> 00:11:14.125 アメリカ料理はかなりマズイが 彼らは美味しい朝食を作れる 00:11:14.165 --> 00:11:16.353 待て、すまん、動画を間違えた 00:11:16.393 --> 00:11:18.720 これがこの動画の一番の教訓だ 00:11:18.760 --> 00:11:22.757 プレイヤーに対する思い込みを 常に疑うことだ 00:11:22.797 --> 00:11:27.032 僕は自分のゲームはプレイヤーにとって 簡単すぎると思い込んで 00:11:27.072 --> 00:11:31.820 ステージをイライラするような 複雑で入り組んだものにしてしまった 00:11:31.860 --> 00:11:35.919 そして僕のゲームの遊び方は 皆知ってるだろうと思い込んで 00:11:35.959 --> 00:11:39.934 仕掛けの約半分をチュートリアルで 教えるのを忘れていた 00:11:39.974 --> 00:11:46.306 今はあまり気にしてない これはゲーム設計では 本当によくある失敗だと知っているのでね 00:11:46.346 --> 00:11:52.336 本当にありがちなのは プレイヤーが持っている技量、知識、理解力が 00:11:52.376 --> 00:11:56.769 自分と同じだという思い込みだ つまりデザイナーのことだ 00:11:56.809 --> 00:12:03.371 そのゲームを何ヶ月も毎日ぶっ続けでプレイしていて 文字通り全部のパズルの全部の解法を知っていて 00:12:03.411 --> 00:12:08.312 文字通りそのゲームのルールを書いた人間のことだ 愚かなマークめ! 00:12:08.352 --> 00:12:12.949 だから開発者がゲームを 過剰に難しく調整してしまったり 00:12:12.989 --> 00:12:17.183 仕様の一部をちゃんと伝えなかったりしても 不思議ではない 00:12:17.223 --> 00:12:20.582 ゲーム開発者としての 重要な仕事の1つは 00:12:20.622 --> 00:12:26.159 この衝動と戦いながら プレイヤーの立場になって考えてみることだ 00:12:26.199 --> 00:12:30.014 そこで動画の締めに 僕が学んだコツや技術を紹介したい 00:12:30.054 --> 00:12:33.250 この仕事をより効果的にやれるはずだ 00:12:33.290 --> 00:12:39.057 まずマリオの生みの親、宮本茂は新人開発者に対して ゲームをプレイするときに 00:12:39.097 --> 00:12:43.814 左右の手を入れ替えて コントローラーを持つよう指示している 00:12:43.854 --> 00:12:48.794 上手くいけば不慣れなプレイヤーになった経験が 得られるはずだ 00:12:48.834 --> 00:12:52.248 かなり大胆なアイデアだが そのゲームに関する—— 00:12:52.288 --> 00:12:57.950 技量や知識が全くない人の経験を 擬似的に作り出せるかもしれない 00:12:57.990 --> 00:13:02.657 あと Patrick だが、僕たちは GDC で実際に会って 彼に飲み物をおごった 00:13:02.697 --> 00:13:06.435 Patrick は プレイヤーの立場で考えることは 00:13:06.475 --> 00:13:09.720 時間をかけて身につけ 磨ける技能だと断言してくれた 00:13:09.760 --> 00:13:16.621 そしてこの動画で見せたように、一番の方法は 他人がプレイする様子を見ることだと思う 00:13:16.661 --> 00:13:20.380 できれば同じ部屋にいたほうがいい 00:13:20.420 --> 00:13:27.307 自分のゲームの趣旨を全然理解してない人の 隣に座ることほど屈辱的なことはない 00:13:27.347 --> 00:13:32.432 そしてあらゆる種類の経験値や 腕前の人とプレイしたい 00:13:32.472 --> 00:13:36.600 僕の中で最高のプレイテストは 2人の甥によるものだ 00:13:36.640 --> 00:13:42.109 年は7歳と10歳だが 偏りには十分注意しないといけない 00:13:42.408 --> 00:13:44.051 「ジャック、ゲームの感想は?」 00:13:44.091 --> 00:13:47.811 「100 万点の…」 00:13:47.851 --> 00:13:49.268 「大好き!」 00:13:49.308 --> 00:13:51.026 「ありがとう、ローリーはどう思う?」 00:13:51.066 --> 00:13:52.402 「最高」 「ありがとう」 00:13:52.442 --> 00:13:57.389 もちろんテスターの意見聴取よりも プレイの観察に 00:13:57.429 --> 00:14:00.134 より多くの時間を費やすべきだ 00:14:00.174 --> 00:14:02.517 おっ、Tシャツとかに印刷したほうがいいな 00:14:02.557 --> 00:14:07.152 もう1つのコツは ゲームの対象者について考えることだ 00:14:07.192 --> 00:14:13.780 どんな人で、どんな腕前で、経験値で どんなゲームが好きなのか考えておくことだ 00:14:13.820 --> 00:14:17.948 それを念頭に置いて 彼らのためにゲームを設計する 00:14:17.988 --> 00:14:21.043 そして適切なプレイテスターを 選ぶようにする 00:14:21.083 --> 00:14:23.807 この問題の大部分を占めたのは—— 00:14:23.847 --> 00:14:28.488 パズルゲームの達人のことが 本当に心配になってきたことだった 00:14:28.528 --> 00:14:33.179 『Stephen's Sausage Roll』や『Baba is You』を プレイして完全クリアした人たちが 00:14:33.219 --> 00:14:38.225 僕のゲームをプレイしたら 単純でアホで不良品だと思うだろう 00:14:38.265 --> 00:14:40.581 でも彼らは僕の対象者じゃない 00:14:40.621 --> 00:14:44.445 僕はこのゲームを もっと幅広い層に訴求したいし 00:14:44.485 --> 00:14:48.458 もっとゆるいパズルアドベンチャーを 楽しんだ人にも訴えたい 00:14:48.498 --> 00:14:53.232 『Toki Tori』『ハコボーイ!』 『Inside』『Limbo』『Portal』とかだ 00:14:53.272 --> 00:14:58.272 対象者を念頭に置けば 設計を順調に進めることができる 00:14:58.312 --> 00:15:01.785 もちろん、より幅広い層に 訴求する方法もある 00:15:01.825 --> 00:15:05.237 高難度ゲームには 補助モードを追加してもいいし 00:15:05.277 --> 00:15:11.450 ゲームがとても簡単なら、任意の高難度コンテンツや クリア後の要素を追加してもいい 00:15:11.490 --> 00:15:16.175 そして最後に、ゼロから作り直すことを 恐れないでほしい 00:15:16.215 --> 00:15:20.576 ステージを作っていると たくさんの発見がある 00:15:20.616 --> 00:15:24.352 すると、そのステージが何なのか 考えているうちに 00:15:24.392 --> 00:15:29.470 大量のくだらない要素やゴミが 溜まってしまうことがよくある 00:15:29.510 --> 00:15:33.129 僕のお勧めは そのステージをまた作り直すことだが 00:15:33.169 --> 00:15:38.028 最初の草案を急いで作ってたときに 学んだ知識を使うようにする 00:15:38.068 --> 00:15:43.940 間違いなく、より簡潔で一貫性のある ステージになるだろう 00:15:43.980 --> 00:15:47.482 というか、僕はいつもこれを GMTK の動画でやってる 00:15:47.522 --> 00:15:51.437 録画ボタンを押す前に 台本を5〜6回は修正している 00:15:51.477 --> 00:15:54.414 なんでステージ設計でも これをやらなかったんだ? 00:15:54.454 --> 00:15:57.853 というわけで GDC からやる気満々で帰国したが 00:15:57.893 --> 00:16:01.940 ゲームの次の作業に関するアイデアと ひどい時差ボケがあった 00:16:01.980 --> 00:16:06.805 GDC で挨拶してくれた人や 付き合ってくれた皆には本当に感謝してる 00:16:06.845 --> 00:16:12.873 驚きだったのは GMTK を見てくれたり ゲームジャムに参加してくれたり 00:16:12.913 --> 00:16:16.741 このゲーム開発の旅を見ている 大勢の人と会えたことだった 00:16:16.781 --> 00:16:20.637 NFT をしつこく見せてきた男に 会ったのもクールだった 00:16:20.677 --> 00:16:23.688 クール野郎、イケてるぜ、兄弟 00:16:23.728 --> 00:16:29.832 それにこの素晴らしいゲーム開発者コミュニティの 一員であることを実感できた 00:16:29.872 --> 00:16:36.246 だから来年また参加するのが待ちきれない そのときはできれば完成したゲームか 00:16:36.286 --> 00:16:39.808 今よりも完成に近いものを持っていきたい 00:16:39.848 --> 00:16:43.729 それまでの間 僕の次の仕事は一歩下がって 00:16:43.769 --> 00:16:49.176 僕のゲームのもっと基本的、基礎的概念を 探求するデモ版を作って 00:16:49.216 --> 00:16:54.381 そのデモ版を主要な対象者の前で 披露することだ 00:16:54.421 --> 00:16:59.808 当面は、僕がこの動画で説明した 3つのデモ版はいずれも 00:16:59.848 --> 00:17:02.633 itch.io で無料でプレイできるぞ 00:17:02.673 --> 00:17:08.454 このデモ版の感想はもう受け付けないが ゲームの進歩具合を見るのは興味深いかもしれない 00:17:08.494 --> 00:17:12.525 本当にご視聴ありがとう また近いうちに 00:17:13.725 --> 00:17:14.405 (字幕翻訳:Nekofloor)