WEBVTT 00:00:01.000 --> 00:00:03.039 コンクリートは そこらじゅうにありますが 00:00:03.039 --> 00:00:05.847 ほとんどの人は それに気づきません 00:00:05.847 --> 00:00:10.011 コンクリートは道路 建物 橋 空港などの建設に使われ 00:00:10.011 --> 00:00:11.225 どこにでもあるのです 00:00:11.225 --> 00:00:14.126 コンクリートより多く使われている資源は 水くらいしかありません 00:00:14.128 --> 00:00:16.646 そして 人口増加や都市化に伴い 00:00:16.659 --> 00:00:18.866 コンクリートの需要は かつてない程に高まっています 00:00:18.866 --> 00:00:20.176 しかし 問題があります NOTE Paragraph 00:00:20.179 --> 00:00:23.673 セメントは コンクリートをくっつける 糊のようなものですが 00:00:23.673 --> 00:00:25.179 セメントをつくるには 00:00:25.179 --> 00:00:30.722 石灰石とその他の原料を窯に入れて とても高い温度で燃やします 00:00:30.722 --> 00:00:34.967 この過程でできる副産物のひとつが CO2 つまり 二酸化炭素です 00:00:34.967 --> 00:00:37.800 セメントを1トンつくると 00:00:37.800 --> 00:00:41.989 1トン近い量のCO2が 大気中に排出されます 00:00:41.989 --> 00:00:43.066 その結果 00:00:43.066 --> 00:00:47.565 セメント産業は 産業界で 2番目に多くのCO2を排出しており 00:00:47.565 --> 00:00:51.801 世界の総排出量の8%を占めています 00:00:51.801 --> 00:00:54.100 地球温暖化の解決を目指すのであれば 00:00:54.100 --> 00:00:58.940 セメント製造とCO2再利用の両方で 00:00:58.940 --> 00:01:01.034 技術革新が必ず必要となります NOTE Paragraph 00:01:01.034 --> 00:01:07.070 さて コンクリートをつくるには セメントと石 砂 その他の原料を混ぜて 00:01:07.070 --> 00:01:11.328 大量の水を加えて養生させ 硬くなるまで待ちます 00:01:11.330 --> 00:01:14.266 舗石やブロックのような 成形された製品をつくる場合は 00:01:14.266 --> 00:01:16.603 蒸気を養生室に吹き込むことで 00:01:16.603 --> 00:01:19.019 プロセスを加速させることもあります 00:01:19.019 --> 00:01:21.327 建物 道路 橋の場合は 00:01:21.339 --> 00:01:25.576 いわゆる生コンクリートを 作業現場で型に流し入れ 00:01:25.576 --> 00:01:27.834 固まるまで待ちます NOTE Paragraph 00:01:27.834 --> 00:01:31.151 50年以上前から 科学者の間では 00:01:31.151 --> 00:01:34.638 水の代わりにCO2でコンクリートを 硬化させることができれば 00:01:34.638 --> 00:01:37.243 より頑丈になると 考えられていましたが 00:01:37.243 --> 00:01:40.113 ポルトランドセメントの 化学的性質がネックでした 00:01:40.113 --> 00:01:43.201 セメントは 水とCO2の両方に反応しますが 00:01:43.201 --> 00:01:47.402 両者の相反する化学的な性質により 良質のコンクリートが作れないのです 00:01:47.402 --> 00:01:49.888 そこで セメントの 新たな化学的製法を考えだしました NOTE Paragraph 00:01:49.888 --> 00:01:52.305 同じ設備と原材料を使用しますが 00:01:52.305 --> 00:01:54.153 石灰石の使用量が少なく 00:01:54.153 --> 00:01:56.775 窯の温度も低くて済み 00:01:56.775 --> 00:02:00.632 結果としてCO2排出量が 最大30%削減できます 00:02:00.632 --> 00:02:02.906 私たちのセメントは水と反応しません 00:02:02.906 --> 00:02:05.530 コンクリートをCO2で硬化させますが 00:02:05.530 --> 00:02:07.039 そのCO2は 00:02:07.039 --> 00:02:13.837 アンモニア工場やエタノール工場などの 産業施設の排ガスから回収したもので 00:02:13.837 --> 00:02:16.771 回収しなければ 大気中に排出されていたものです 00:02:16.771 --> 00:02:21.761 硬化中 セメントとの化学反応により CO2が分解され 00:02:21.761 --> 00:02:24.628 捕捉された炭素で 石灰石が生成されて 00:02:24.628 --> 00:02:28.236 その石灰石により コンクリートが固まります NOTE Paragraph 00:02:28.236 --> 00:02:31.823 私たちのコンクリートで作られた橋が 取り壊されても 00:02:31.823 --> 00:02:36.969 中にCO2はもう存在しないため 排出される心配はありません 00:02:36.969 --> 00:02:40.521 セメント製造時のCO2排出削減量に 00:02:40.521 --> 00:02:44.322 コンクリート硬化時に取り込まれる CO2の量を合わせると 00:02:44.322 --> 00:02:48.581 私たちのセメントは二酸化炭素排出量を 最大70%削減します 00:02:48.581 --> 00:02:53.057 また水を消費しないので 何兆リットルという水の節約にもなります NOTE Paragraph 00:02:53.057 --> 00:02:54.993 2千年の歴史があり 00:02:54.993 --> 00:02:59.304 過去2百年間に大きな進歩のない 業界を説得することは 00:02:59.304 --> 00:03:00.719 一筋縄ではいきませんが 00:03:00.720 --> 00:03:06.111 その課題に取り組んでいる 新旧の業者がいます 00:03:06.111 --> 00:03:08.688 私たちの戦略は 持続可能性だけにとどまらない ― 00:03:08.688 --> 00:03:12.274 解決策の模索による 導入の容易さです 00:03:12.274 --> 00:03:15.704 コンクリートを製造する プロセス 原材料 設備は 00:03:15.704 --> 00:03:17.778 従来と変わりませんが 00:03:17.778 --> 00:03:21.560 CO2で硬化させる新しいセメントで コンクリートを作ると 00:03:21.560 --> 00:03:25.178 強度と耐久性が優れ 色合いが薄く 00:03:25.178 --> 00:03:29.526 硬化には 28日間ではなく 24時間しかかかりません NOTE Paragraph 00:03:29.531 --> 00:03:31.732 生コンクリート用の新しい技術は 00:03:31.732 --> 00:03:34.181 テスト中で インフラへの応用も開始しています 00:03:34.181 --> 00:03:36.662 また さらなる研究も推進し 00:03:36.662 --> 00:03:39.886 二酸化炭素吸収源となり得る コンクリートの開発を目指しています 00:03:39.886 --> 00:03:45.260 セメント製造中に排出されるよりも 多くのCO2を取り込もうというのです 00:03:45.260 --> 00:03:48.331 工事現場では気体のCO2を 使用できず 00:03:48.331 --> 00:03:50.722 固体または液体の形で 00:03:50.722 --> 00:03:52.811 届けなければならないため 00:03:52.811 --> 00:04:00.404 排出されたCO2を捕捉して有用な 化学物質に変換する企業と提携しています 00:04:00.404 --> 00:04:01.916 たとえば シュウ酸や 00:04:01.916 --> 00:04:05.126 オレンジジュースにも含まれる クエン酸に変えます 00:04:05.126 --> 00:04:07.499 そういう酸が私たちのセメントと 反応すると 00:04:07.499 --> 00:04:11.326 コンクリートに 4倍多くの炭素を詰め込めて 00:04:11.326 --> 00:04:13.324 二酸化炭素収支を マイナスにできます 00:04:13.324 --> 00:04:16.509 それはつまり 道路1kmあたり 00:04:16.509 --> 00:04:22.021 10万本の木が1年に摂取するくらいの CO2を取り込むことになります NOTE Paragraph 00:04:22.021 --> 00:04:24.875 化学技術とCO2再利用により 00:04:24.875 --> 00:04:27.414 私たちは コンクリート産業を変革し 00:04:27.414 --> 00:04:30.784 地球上で2番目に多く 使用されている原料を 00:04:30.784 --> 00:04:33.908 炭素吸収源へと 転換しようとしているのです NOTE Paragraph 00:04:34.500 --> 00:04:35.690 ありがとうございました