1 00:00:00,739 --> 00:00:02,739 私はここ何年も 2 00:00:02,739 --> 00:00:05,398 2つの謎を 解明しようとしてきました 3 00:00:05,398 --> 00:00:09,759 なぜ こんなに生産性が 落ちているのか? 4 00:00:09,759 --> 00:00:11,641 それも 私が仕事する すべての会社― 5 00:00:11,641 --> 00:00:15,335 5百社以上において 起こっています 6 00:00:15,335 --> 00:00:17,780 これだけの 技術的進歩― 7 00:00:17,780 --> 00:00:21,072 コンピュータ、IT、コミュニケーション テレコミュニケーション 8 00:00:21,072 --> 00:00:23,433 そして インターネットが あるにもかかわらずです 9 00:00:23,433 --> 00:00:24,831 2つ目の謎は 10 00:00:24,831 --> 00:00:27,863 なぜ仕事に やりがいが持てないのか? 11 00:00:27,863 --> 00:00:29,967 なぜ 従業員は皆 みじめに感じ 12 00:00:29,967 --> 00:00:33,617 あえて関わらないように さえしているのか? 13 00:00:33,617 --> 00:00:35,141 同僚からも 距離を取り 14 00:00:35,141 --> 00:00:39,872 まるで会社の利益に 反するようなことをしています 15 00:00:39,872 --> 00:00:43,976 これだけ 様々な親睦行事や 16 00:00:43,976 --> 00:00:47,973 祝賀会 自主活動 17 00:00:47,973 --> 00:00:50,572 チームの活性化方法を学ぶ 管理職向けの 18 00:00:50,572 --> 00:00:54,956 リーダー養成プログラムが 用意されているにもかかわらずです 19 00:00:54,956 --> 00:00:56,694 当初 私は これは― 20 00:00:56,694 --> 00:00:58,663 鶏が先か卵が先かの問題だ と思いました 21 00:00:58,663 --> 00:01:01,215 やりがいがないから 生産性が低いのか 22 00:01:01,215 --> 00:01:03,452 それとも その逆で 生産性が低いから 23 00:01:03,452 --> 00:01:05,643 プレッシャーをかけられ やりがいが ないのか 24 00:01:05,643 --> 00:01:07,511 でも 分析を進めるうちに 25 00:01:07,511 --> 00:01:09,432 この2つの問題に 共通する根本原因が 26 00:01:09,432 --> 00:01:10,815 あることに 気付きました 27 00:01:10,815 --> 00:01:15,371 その要因は 経営の基礎にも関わるものです 28 00:01:15,371 --> 00:01:18,541 企業というものは 2つの柱で成り立っています 29 00:01:18,541 --> 00:01:21,294 「ハード」―組織、プロセス、制度 30 00:01:21,294 --> 00:01:22,518 「ソフト」― 感情、心情、人間関係、性格 です 31 00:01:22,518 --> 00:01:27,973 「ソフト」― 感情、心情、人間関係、性格 です 32 00:01:27,973 --> 00:01:29,445 会社が 33 00:01:29,445 --> 00:01:33,155 組織再編や改革をし 34 00:01:33,155 --> 00:01:35,603 風土改革プログラムを 行うときには 必ず 35 00:01:35,603 --> 00:01:37,633 これら2つの柱を 対象とするわけです 36 00:01:37,633 --> 00:01:39,682 それらを 洗練したり 37 00:01:39,682 --> 00:01:41,578 組み合わせようと するわけです 38 00:01:41,578 --> 00:01:43,206 真の問題は― 39 00:01:43,206 --> 00:01:45,243 これが2つの謎の 答えにもなるのですが― 40 00:01:45,243 --> 00:01:48,177 これらの柱は 時代遅れということです 41 00:01:48,177 --> 00:01:50,859 ビジネス書に 書いてあるのは 42 00:01:50,859 --> 00:01:52,524 すべて いずれかの柱 43 00:01:52,524 --> 00:01:53,791 または両方を 元にしていて 44 00:01:53,791 --> 00:01:55,105 時代遅れなんです 45 00:01:55,105 --> 00:01:57,402 これらのアプローチを 46 00:01:57,402 --> 00:01:59,689 複雑になった今の企業に 使ったとしたら 47 00:01:59,689 --> 00:02:01,837 どうなるでしょうか? 48 00:02:01,837 --> 00:02:04,834 「ハード」のアプローチは たいてい 戦略 49 00:02:04,834 --> 00:02:08,463 要件、組織構造、プロセス 制度、KPI、実績表 50 00:02:08,463 --> 00:02:11,340 委員会、本社、ハブ、クラスター などから 51 00:02:11,340 --> 00:02:12,450 始めるわけです 52 00:02:12,450 --> 00:02:17,881 メトリクス、インセンティブ、委員会 調整組織、インターフェイスもありますね 53 00:02:17,881 --> 00:02:19,876 この左側で 何が起こっているかと言えば 54 00:02:19,876 --> 00:02:23,140 ビジネスに さらに 新たな複雑さが加えられています 55 00:02:23,140 --> 00:02:27,427 品質、コスト、信頼性、スピードも 必要になりますが 56 00:02:27,427 --> 00:02:29,813 こうした新しい要件が 追加されるたび 57 00:02:29,813 --> 00:02:31,292 同じアプローチを 使っています 58 00:02:31,292 --> 00:02:34,405 それを専門に行う 組織や制度を作り 59 00:02:34,405 --> 00:02:37,643 その新しい複雑性に 対処させます 60 00:02:37,643 --> 00:02:41,382 ハードのアプローチは 単に組織を 61 00:02:41,382 --> 00:02:43,220 複雑にするだけです 62 00:02:43,220 --> 00:02:44,798 例をあげてみましょう 63 00:02:44,798 --> 00:02:47,694 ある自動車メーカーの 技術部門が 64 00:02:47,694 --> 00:02:49,486 5次元マトリクス組織 だとしましょう 65 00:02:49,486 --> 00:02:51,518 そのマトリクスの マスを1つ開けると 66 00:02:51,518 --> 00:02:54,531 さらに20次元マトリクスが 出てきます 67 00:02:54,531 --> 00:02:57,394 騒音担当 燃費担当や― 68 00:02:57,394 --> 00:02:59,352 衝突防止部材担当 がいます 69 00:02:59,352 --> 00:03:01,182 新しい要件が 追加されるたび 70 00:03:01,182 --> 00:03:03,057 それ専門の機能を作り 71 00:03:03,057 --> 00:03:05,846 その新しい要件と 技術者とを 72 00:03:05,846 --> 00:03:07,394 調整する役目を 担わせます 73 00:03:07,394 --> 00:03:09,993 新しい要件が出てくると どうなるのでしょう? 74 00:03:09,993 --> 00:03:12,085 数年前 ある新しい要件が 75 00:03:12,085 --> 00:03:13,932 市場で求められるように なりました 76 00:03:13,932 --> 00:03:16,083 保証期間の延長です 77 00:03:16,083 --> 00:03:19,018 この新しい要件で求められるのは 「修復性」とも言え 78 00:03:19,018 --> 00:03:20,518 修理しやすくする ことでした 79 00:03:20,518 --> 00:03:24,524 ライトの不具合で 車を修理に出しても 80 00:03:24,524 --> 00:03:26,781 もしエンジンを 外さなければ 81 00:03:26,781 --> 00:03:28,110 ライトを 触れない状況だと 82 00:03:28,110 --> 00:03:30,549 車の修理が 2時間ですむところを 83 00:03:30,549 --> 00:03:33,436 1週間もかかり たちまち予算も膨れ上がります 84 00:03:33,436 --> 00:03:36,381 ハードのアプローチによる 解決策は何だったかというと 85 00:03:36,381 --> 00:03:39,431 修復性という 新しい要件に対して 86 00:03:39,431 --> 00:03:41,520 新しい機能を 作ることでした 87 00:03:41,520 --> 00:03:43,693 つまり 修復性担当を 置くわけです 88 00:03:43,693 --> 00:03:47,636 修復性担当は 修復性を担保するための工程を作り 89 00:03:47,636 --> 00:03:51,494 修復性の評価指標や メトリクスが生まれ 90 00:03:51,494 --> 00:03:54,308 修復性を推進する インセンティブまで定めます 91 00:03:54,308 --> 00:03:58,072 他の25のKPIを抑え 修復性がトップに躍り出ます 92 00:03:58,072 --> 00:04:01,578 変動報酬制で どれくらい影響を受けるかと言えば 93 00:04:01,578 --> 00:04:05,405 最大で20%で それを26のKPIで割れば 94 00:04:05,405 --> 00:04:09,502 修復性に相当するのは 0.8%です 95 00:04:09,502 --> 00:04:11,562 それにより どう行動が変わるでしょう? 96 00:04:11,562 --> 00:04:14,184 簡素化する選択は? 何も変わりません 97 00:04:14,184 --> 00:04:17,849 でも 何の影響もないことに 修復性担当を置き 98 00:04:17,849 --> 00:04:22,522 プロセス 成績評価を作り 他の25指標の担当とも連携します 99 00:04:22,522 --> 00:04:24,418 何の効果も ないことにです 100 00:04:24,418 --> 00:04:26,959 企業環境の 複雑さを前に 101 00:04:26,959 --> 00:04:29,896 組織図に箱を書き入れ 指揮命令系統を 102 00:04:29,896 --> 00:04:32,322 描いたところで 何も解決しません 103 00:04:32,322 --> 00:04:35,407 解決策は 相互作用にあります 104 00:04:35,407 --> 00:04:37,978 どのようにして 協働するかです 105 00:04:37,978 --> 00:04:42,710 どう つながり 交わり シナプス結合するかです 106 00:04:42,710 --> 00:04:47,213 入れ物の骨格ではなく 神経系統の問題で 107 00:04:47,213 --> 00:04:50,250 どのように適応し 知性を働かせられるかです 108 00:04:50,250 --> 00:04:53,150 これを「協力」と 呼ぶこともできますね 109 00:04:53,150 --> 00:04:55,689 皆が協力をすれば 110 00:04:55,689 --> 00:04:59,617 リソースも少なくてすみます 全てにおいて 111 00:04:59,617 --> 00:05:02,149 修復性の問題 というのは 112 00:05:02,149 --> 00:05:04,901 つまるところ 協力の問題なんです 113 00:05:04,901 --> 00:05:08,122 車を設計するときに 考えないといけないのは 114 00:05:08,122 --> 00:05:10,830 アフターセールスにおける 115 00:05:10,830 --> 00:05:13,937 修理担当者たちの ニーズです 116 00:05:13,937 --> 00:05:16,554 協力しなければ 余計に時間もかかり 117 00:05:16,554 --> 00:05:20,336 設備も システムも チームももっと必要になります 118 00:05:20,336 --> 00:05:25,427 資材調達やサプライチェーン 製造が協力しなければ 119 00:05:25,427 --> 00:05:28,205 在庫も 棚卸資産も 運営資金も多く必要になります 120 00:05:28,205 --> 00:05:30,146 誰がその負担を するのでしょう? 121 00:05:30,146 --> 00:05:32,108 株主ですか? 消費者ですか? 122 00:05:32,108 --> 00:05:33,439 負担するわけがありません 123 00:05:33,439 --> 00:05:36,248 では誰が残ったかといえば 従業員です 124 00:05:36,248 --> 00:05:38,956 従業員が 超個人的な努力でもって 125 00:05:38,956 --> 00:05:42,276 協力不足に対する 穴埋めをしないといけないんです 126 00:05:42,276 --> 00:05:45,944 ストレス 燃え尽き 重圧 事故が起こって当然です 127 00:05:45,944 --> 00:05:48,768 従業員が関わりたがらないのも 分かります 128 00:05:48,768 --> 00:05:52,565 協力を高めるために ハード面、ソフト面から何ができるでしょう? 129 00:05:52,565 --> 00:05:57,195 ハード面から行きましょう 例えば 銀行で 130 00:05:57,195 --> 00:06:00,255 事務管理部門と顧客窓口部門との間で 問題がありますが 131 00:06:00,255 --> 00:06:02,345 お互い協力しません どうすればいいでしょう? 132 00:06:02,345 --> 00:06:05,440 ミドル・オフィス(調整部門) を作ります 133 00:06:05,440 --> 00:06:07,476 1年後 どうなっているでしょう 134 00:06:07,476 --> 00:06:09,484 事務管理・顧客窓口部門間の 1つの問題が 135 00:06:09,484 --> 00:06:10,838 今や2つに なっています 136 00:06:10,838 --> 00:06:11,961 事務管理とミドル・オフィス 137 00:06:11,961 --> 00:06:14,177 顧客窓口とミドル・オフィスで それぞれ問題ができ 138 00:06:14,177 --> 00:06:16,642 さらにミドル・オフィスでも コストが発生しています 139 00:06:16,642 --> 00:06:19,900 ハードのアプローチでは 協力は高められません 140 00:06:19,900 --> 00:06:24,336 ハードでは 新しい入れ物を作るだけ 骨格に骨を増やすだけです 141 00:06:24,336 --> 00:06:25,971 ソフトアプローチは どうでしょう 142 00:06:25,971 --> 00:06:29,800 協力させるため お互いに仲良くなり 143 00:06:29,800 --> 00:06:31,494 相手への感情を 良いものにします 144 00:06:31,494 --> 00:06:34,450 互いに好きであれば 協力しやすいからです 145 00:06:34,450 --> 00:06:36,221 でも これは 全くの間違いです 146 00:06:36,221 --> 00:06:38,621 非生産的 でさえあります 147 00:06:38,621 --> 00:06:41,037 うちにはテレビが2台あります なぜでしょう? 148 00:06:41,037 --> 00:06:43,909 ずばり 妻と協力しなくて いいからです 149 00:06:43,909 --> 00:06:45,549 (笑) 150 00:06:45,549 --> 00:06:48,453 妻とトレードオフ(取引)しなくて すむようにしているんです 151 00:06:48,453 --> 00:06:52,463 なぜトレードオフしないように しているかと言えば 152 00:06:52,463 --> 00:06:55,130 まさに 妻を愛しているからです 153 00:06:55,130 --> 00:06:58,355 妻を愛していなければ テレビは1台で十分です 154 00:06:58,355 --> 00:07:00,850 「お前は 僕の好きな サッカーの試合を見るんだ 155 00:07:00,850 --> 00:07:03,405 嫌なら 本を読むか 出て行きなさい」というんです 156 00:07:03,405 --> 00:07:04,608 (笑) 157 00:07:04,608 --> 00:07:06,489 お互いに 好意を持っているほど 158 00:07:06,489 --> 00:07:09,102 厳しいトレードオフで 関係を締め付けるような 159 00:07:09,102 --> 00:07:13,276 真実の協力は 避けるようになります 160 00:07:13,276 --> 00:07:16,283 テレビを 2台にしなければ 161 00:07:16,283 --> 00:07:19,207 エスカレートして 調停に行ってしまいますよ 162 00:07:19,207 --> 00:07:23,916 当然 これらのアプローチは 時代遅れです 163 00:07:23,916 --> 00:07:27,699 複雑さに対処し 神経系統の拡張を図るため 164 00:07:27,699 --> 00:07:30,961 「スマート・シンプル・アプローチ」を 編み出しました 165 00:07:30,961 --> 00:07:32,481 シンプルなルールを使います 166 00:07:32,481 --> 00:07:34,743 1つ目のルールは 167 00:07:34,743 --> 00:07:37,768 「同僚の仕事を理解する」 168 00:07:37,768 --> 00:07:39,665 同僚がやっていることは何か? 169 00:07:39,665 --> 00:07:43,300 既成概念に とらわれず 170 00:07:43,300 --> 00:07:47,318 職務記述書に 書いてあることや 171 00:07:47,318 --> 00:07:50,823 表面的なことだけでなく 本当の中身を理解するのです 172 00:07:50,823 --> 00:07:53,531 設計者であれば ここにワイヤーを付ければ 173 00:07:53,531 --> 00:07:55,534 ライトを触るには 174 00:07:55,534 --> 00:07:58,100 エンジンを外さないといけないと わかります 175 00:07:58,100 --> 00:08:00,948 2つ目のルールは 「まとめ役を強化する」です 176 00:08:00,948 --> 00:08:04,808 まとめ役にするのは ミドル・オフィスではなく マネージャです 177 00:08:04,808 --> 00:08:06,569 今いるマネージャの 権限を強化し 178 00:08:06,569 --> 00:08:09,003 自らの権限で 利害関係を持ち 179 00:08:09,003 --> 00:08:11,166 他者に協力させられるように するのです 180 00:08:11,166 --> 00:08:14,898 どうすれば マネージャを まとめ役にできるでしょうか? 181 00:08:14,898 --> 00:08:16,373 間にある階層を 取り除くのです 182 00:08:16,373 --> 00:08:17,737 階層が 多すぎる場合 183 00:08:17,737 --> 00:08:19,287 現場から遠くなるため 184 00:08:19,287 --> 00:08:21,401 KPIやメトリクスなどを必要とし 185 00:08:21,401 --> 00:08:25,729 現実に対して 権限移譲も弱いものになります 186 00:08:25,729 --> 00:08:27,331 現実を 理解していませんから 187 00:08:27,331 --> 00:08:30,431 メトリクス KPIなど 複雑なものを導入するのです 188 00:08:30,431 --> 00:08:32,883 ルールをなくすことです 組織が大きければ大きいほど 189 00:08:32,883 --> 00:08:34,516 より多くの まとめ役が必要になります 190 00:08:34,516 --> 00:08:36,837 ですから ルールは 少ない方が良いのです 191 00:08:36,837 --> 00:08:40,731 マネージャに 裁量権を与えるんです 192 00:08:40,731 --> 00:08:41,858 でも 現実は 違います 193 00:08:41,858 --> 00:08:44,044 組織が大きくなるにつれ ルールを量産し 194 00:08:44,044 --> 00:08:47,294 ブリタニカ辞典並みの ルールを抱えるわけです 195 00:08:47,294 --> 00:08:49,394 そして「権限を拡大する」 ことも必要です 196 00:08:49,394 --> 00:08:51,122 皆に権限を 委譲して 197 00:08:51,122 --> 00:08:54,108 彼らの判断力や知性を 活用します 198 00:08:54,108 --> 00:08:56,259 皆に もっとカードを 与えないといけません 199 00:08:56,259 --> 00:08:59,616 皆が リスクを取って 協力をし 200 00:08:59,616 --> 00:09:01,575 絶縁状態から 抜け出すの必要な 201 00:09:01,575 --> 00:09:03,330 カードを持てるように するのです 202 00:09:03,330 --> 00:09:05,694 そうでなければ 皆 引きこもり 関わろうとしません 203 00:09:05,694 --> 00:09:07,940 こうしたルールは ゲーム理論や 204 00:09:07,940 --> 00:09:10,168 組織社会学に もとづいています 205 00:09:10,168 --> 00:09:13,020 「『将来の影』を感じさせる」 こともできます 206 00:09:13,020 --> 00:09:15,921 フィードバック・ループを作り 社員に 207 00:09:15,921 --> 00:09:18,522 自らの行動の結果を 感じさせるのです 208 00:09:18,522 --> 00:09:20,466 先ほどの自動車メーカーも これを行いました 209 00:09:20,466 --> 00:09:23,256 修復性担当は意味がない と悟ったからです 210 00:09:23,256 --> 00:09:24,891 設計者に こう言ったのです 211 00:09:24,891 --> 00:09:29,586 「3年後 この新車が 市場に出る頃 212 00:09:29,586 --> 00:09:32,530 君はアフターセールスに 異動して 213 00:09:32,530 --> 00:09:34,905 保証業務予算の 責任者となるんだ 214 00:09:34,905 --> 00:09:38,284 もし保証予算が オーバーすることになったら 215 00:09:38,284 --> 00:09:40,951 君が責任を取るんだよ」と (笑) 216 00:09:40,951 --> 00:09:46,892 報酬が 0.8%変動するよりも よっぽど効果的でしょう 217 00:09:46,892 --> 00:09:50,614 「相互依存を高める」 ことも必要です 218 00:09:50,614 --> 00:09:54,329 自己完結してしまうような 緩衝領域を取り上げます 219 00:09:54,329 --> 00:09:56,801 こうした緩衝域を 取り上げれば 220 00:09:56,801 --> 00:09:59,798 あなたは私の鼻を 私はあなたの耳をつかむ状況になり 221 00:09:59,798 --> 00:10:01,180 協力をせざるを 得ませんから 222 00:10:01,180 --> 00:10:02,720 2台目のテレビを なくすのです 223 00:10:02,720 --> 00:10:04,964 職場には 2台目のテレビがたくさんあって 224 00:10:04,964 --> 00:10:06,265 価値を 生み出していません 225 00:10:06,265 --> 00:10:10,953 ただ 機能不全を起こす 自己充足性をもたらすだけです 226 00:10:10,953 --> 00:10:13,382 次に必要なのはこれです 「協力した社員に報い 227 00:10:13,382 --> 00:10:15,061 協力しない社員に その責めを負わせる」 228 00:10:15,061 --> 00:10:18,130 レゴ社のCEOである 229 00:10:18,130 --> 00:10:20,953 ヨアン・ヴィー・クヌッドストープは それをうまく使っています 230 00:10:20,953 --> 00:10:23,858 彼いわくは 責められるべきは失敗ではなく 231 00:10:23,858 --> 00:10:28,393 協力しないことや 協力を求められないことにあります 232 00:10:28,393 --> 00:10:30,772 これにより 全てが変わります 233 00:10:30,772 --> 00:10:33,292 自らの弱さや 業績見通しを さらけだすことこそ 234 00:10:33,292 --> 00:10:35,332 自分の利益 になるのです 235 00:10:35,332 --> 00:10:37,418 失敗しても 責められることはなく 236 00:10:37,418 --> 00:10:41,286 協力を怠り 協力を求められないことで 責められるのですから 237 00:10:41,286 --> 00:10:44,213 これをすることで どんな組織設計をするか 238 00:10:44,213 --> 00:10:47,158 いろんな示唆を 得ることができます 239 00:10:47,158 --> 00:10:49,576 組織図に箱や点線 実線を 描いていくのをやめ 240 00:10:49,576 --> 00:10:50,966 相互作用に 目を向けるのです 241 00:10:50,966 --> 00:10:53,945 財務政策も 見直す必要が 242 00:10:53,945 --> 00:10:55,159 出てくるでしょう 243 00:10:55,159 --> 00:10:57,781 人材管理においても そうです 244 00:10:57,781 --> 00:11:00,205 これをすることで 複雑性を管理し 245 00:11:00,205 --> 00:11:01,798 事業の新しい複雑さを 管理する一方 246 00:11:01,798 --> 00:11:04,731 さらなる複雑化を 避けることができます 247 00:11:04,731 --> 00:11:08,381 低コストで より高い価値を生み出せ 248 00:11:08,381 --> 00:11:12,955 同時に 仕事のパフォーマンスと 満足度も高まります 249 00:11:12,955 --> 00:11:15,684 両者に共通して 複雑さを招く原因を 250 00:11:15,684 --> 00:11:17,300 取り除いたからです 251 00:11:17,300 --> 00:11:22,010 ビジネスリーダーの皆さん 複雑性とは あなた自身の戦いです 252 00:11:22,010 --> 00:11:24,837 真の戦いは 競合相手に対するものではないんです 253 00:11:24,837 --> 00:11:27,258 そんなのは くだらない 抽象的なものです 254 00:11:27,258 --> 00:11:29,921 いつ競合相手に会って 競争をするのですか? 255 00:11:29,921 --> 00:11:32,822 真の戦いは 我々自身の中にあります 256 00:11:32,822 --> 00:11:36,176 官僚主義や複雑さと 戦うのです 257 00:11:36,176 --> 00:11:39,333 そして これをできるのは あなただけです 258 00:11:39,333 --> 00:11:41,420 ありがとうございました 259 00:11:41,420 --> 00:11:44,112 (拍手)