WEBVTT

00:00:00.126 --> 00:00:02.709
(空間音楽)

00:00:20.220 --> 00:00:23.183
- [ハイディ] 何をすべきか土が語りかけている気がする時があります

00:00:24.410 --> 00:00:27.791
私はその無慈悲な貴婦人に従うだけです

00:00:27.791 --> 00:00:30.791
(怪しげな音楽)

00:00:33.940 --> 00:00:36.523
私は媒介だと思い知らされます

00:00:37.500 --> 00:00:42.283
何かが私や私の手を通って直接土へいくのです

00:00:44.170 --> 00:00:46.550
私が彫刻しているというより

00:00:46.550 --> 00:00:48.209
私が作り直されているようです

00:00:48.209 --> 00:00:50.459
(ハイディが笑う)

00:00:51.600 --> 00:00:54.843
魂の水路のようなものです

00:00:57.300 --> 00:01:00.150
私の名前はハイディ・ラウ
彫刻家です

00:01:00.150 --> 00:01:02.363
土を主に扱っています

00:01:03.854 --> 00:01:06.604
(鳥のさえずり)

00:01:13.644 --> 00:01:17.362
<i>グリーンウッド墓地　ニューヨーク</i>

00:01:17.362 --> 00:01:21.266
<i>ハイディ・ラウは１８４年間の墓地の歴史で初めての住人だ</i>

00:01:30.780 --> 00:01:37.833
本当にやさしく土を触っている時 
土の中に潜り込んでいきます

00:01:39.710 --> 00:01:43.943
層の上に層を作っていく作業の連続です

00:01:46.070 --> 00:01:48.560
全て独学です

00:01:49.800 --> 00:01:54.600
土を形作って液状粘土をつけ作品にくっ付ける

00:01:54.600 --> 00:01:57.383
していることはそれだけです

00:02:00.640 --> 00:02:02.488
手ー

00:02:02.488 --> 00:02:03.510
(ハイディの笑い声)

00:02:03.510 --> 00:02:07.083
手を長い間作品に登場させてきました

00:02:08.290 --> 00:02:11.069
現実的な手を配置したことはありません

00:02:11.069 --> 00:02:15.363
私の作る手は、幽霊のような 細長いものです

00:02:16.240 --> 00:02:19.123
この世の者ではないと示しているんです

00:02:20.410 --> 00:02:22.710
これは地下墓地のプロジェクトの

00:02:22.710 --> 00:02:26.120
準備用のスケッチです これはアーチです

00:02:26.120 --> 00:02:29.045
作品は天窓から吊るします

00:02:29.045 --> 00:02:31.462
(穏やかな音楽)

00:02:36.480 --> 00:02:39.590
布を被った骨壷を沢山飾ります

00:02:39.590 --> 00:02:42.170
悲嘆の象徴です

00:02:42.170 --> 00:02:44.698
念願でした

00:02:44.698 --> 00:02:47.115
(落ち着いた音楽)

00:02:48.940 --> 00:02:50.500
マカオで育ちました

00:02:50.500 --> 00:02:53.180
子供時代は

00:02:53.180 --> 00:02:55.910
中国式の厳しい躾と

00:02:55.910 --> 00:03:01.390
家から逃げ出して冒険へ行きたい私
その間で揺れ動いていました

00:03:01.960 --> 00:03:06.513
ポルトガルの植民地時代の遺物が沢山あるんです

00:03:09.500 --> 00:03:12.270
ポルトガル人は大聖堂を多く建てました

00:03:12.270 --> 00:03:15.393
またコロニアルスタイルの家も多くあります

00:03:16.460 --> 00:03:20.203
よく建物の中に迷い込んでいたものです

00:03:21.920 --> 00:03:24.210
構造物に迷い込む

00:03:24.210 --> 00:03:28.209
その本質を掴もうとしています

00:03:28.209 --> 00:03:30.626
(穏やかな音楽)

00:03:51.345 --> 00:03:53.928
(鐘の音)

00:03:55.878 --> 00:03:58.211
(車のクラクション)

00:04:01.744 --> 00:04:02.577
- ハイ

00:04:03.640 --> 00:04:08.270
- [ハイディ] ウィン・オン・ウォはチャイナタウンにある陶器のお店です

00:04:08.270 --> 00:04:12.500
実はマンハッタン中で最も古いビジネスの一つです

00:04:12.500 --> 00:04:16.363
店主のメイとは５年前に友人になりました

00:04:17.260 --> 00:04:21.500
店に足を踏み入れた途端慣れ親しんだ感じがしました

00:04:21.500 --> 00:04:25.223
似たような環境で育ったからです

00:04:28.890 --> 00:04:34.060
メイが商いをするこの店は 中国人コミュニティーのありようそのままです

00:04:34.410 --> 00:04:41.410
現代において陶磁器がどのように解釈され認知されるのか考えさせられます

00:04:42.210 --> 00:04:43.660
目を閉じると

00:04:43.660 --> 00:04:47.320
私の叔父の箱庭のような本棚が浮かんできます

00:04:48.553 --> 00:04:49.986
過去を振り返るとき

00:04:50.480 --> 00:04:53.595
現在、そして未来の創作への

00:04:53.595 --> 00:04:58.460
何か力のようなものが得られます

00:04:58.530 --> 00:05:05.347
参考にするものが欲しくて 今日はこれを持ってきました

00:05:06.550 --> 00:05:08.700
(落ち着いた音楽）

00:05:08.700 --> 00:05:10.660
母が他界したのち

00:05:10.660 --> 00:05:14.340
死装束を土で作ろうと思い始めました

00:05:15.150 --> 00:05:16.733
喪に服す意味で

00:05:16.733 --> 00:05:21.920
漢王朝から秦王朝に至るまでの沢山の埋葬品を見ました

00:05:21.920 --> 00:05:25.075
それから中国のゾンビ映画も観ました

00:05:25.075 --> 00:05:26.799
(ハイディが笑う)

00:05:26.799 --> 00:05:29.799
(怪げな音楽)

00:05:33.940 --> 00:05:38.750
自身の手を用いて土で仕事をすることで哀悼を示す

00:05:38.750 --> 00:05:43.410
土の使用法としては全く非常識ですが
私は正しいと感じます

00:05:43.730 --> 00:05:47.003
土を扱うこと　それは追悼と同義なんです

00:05:47.658 --> 00:05:50.075
(落ち着いた音楽)

00:06:06.216 --> 00:06:08.966
(鳥の鳴き声)

00:06:11.350 --> 00:06:14.960
ここに住むようになって
長い散歩をするようになりました

00:06:14.960 --> 00:06:17.840
地下墓地のプロジェクトもこうして始まりました

00:06:17.920 --> 00:06:22.743
目的の無い瞑想的な散歩の中で
プロジェクトが少しずつ形になったのです

00:06:23.660 --> 00:06:28.260
自我を空にすることを習慣にしています

00:06:28.260 --> 00:06:30.990
そのような心の状態になった時

00:06:30.990 --> 00:06:34.610
祖先の地平にアクセスでき

00:06:34.610 --> 00:06:36.443
新たな道を見つけることができるのです

00:06:39.568 --> 00:06:41.985
(落ち着いた音楽)

00:06:46.861 --> 00:06:49.330
(鎖の音)

00:06:49.330 --> 00:06:50.568
- 掴んだ

00:06:50.568 --> 00:06:53.068
(鎖の音)

00:06:54.910 --> 00:06:57.670
- 陰と陽

00:06:57.850 --> 00:07:00.970
ひとと未知なる神聖なもの

00:07:02.070 --> 00:07:06.063
私の作品はそれらの接点なのだと考えています

00:07:07.547 --> 00:07:10.547
(穏やかで快い音楽)

00:07:18.240 --> 00:07:21.259
追悼品作りに不可欠なのは

00:07:21.259 --> 00:07:23.940
土に感情を注ぎ込み

00:07:23.940 --> 00:07:28.183
耳を傾けることです
そうすれば

00:07:30.610 --> 00:07:36.617
何か懐かしくて 美しいものに見えてくるのです

00:07:37.858 --> 00:07:40.858
(穏やかで快い音楽)