ヨアンナ・ロンコ: 短い曲を弾きます 曲の半分は 3Dプリンタのヴァイオリンで それから普通のヴァイオリンに変えます 音の違いを間近に 感じてもらえると思います (ヴァイオリン演奏) (拍手) ジム・ストルツ: ありがとう ヨアンナ 私はかなりそばで聞いていたので 音量の違いがわかりました 音の伸びと言っていましたね ヨアンナ: ええ 両方です 別々のものですので 明らかなのは3Dプリンタで作られた ヴァイオリンは 音があまり大きくない― より静かだということです ジム: なるほど ヨアンナ: 音もあまり伸びないですね 今はマイクを使い雑音もありますが クラシックコンサートで 用いられるホールは普通 音響が素晴らしいです ジム: ヴァイオリンを弾く時には マイクを付けず スピーカーもなしで ヴァイオリンだけなんですね それでは今はうまくできない ことがあるわけですね 最後列まで音を届かせられないでしょう? ヨアンナ: 実験してみてはいませんが 届かないのでは... ジム: 実験に賛成です マイクを切ってください 良い響きの言い回しではありませんね ヨアンナのマイクの音量を 遮断してください ヴァイオリンの生の音だけを 聞いてみましょう ヨアンナ: わかりました ジム: 聞こえますか? ヨアンナ: いいえ ジム: いいですね (ヴァイオリン演奏) ジム: それでは普通のヴァイオリンで (ヴァイオリン演奏) ジム: 後部席の人たちが 「ああ よかった」と言っているようです (拍手) ジム: もう1点気づいたのは 昔ながらのヴァイオリンを 演奏されているときは 身体がヴァイオリンと 一体化していたということです それはあなたの楽器ですか? ヨアンナ: 私のものではありませんが 8年間演奏しているものです ジム: あなたのなんですね なるほど ヨアンナ: ええ 我が子のようなものです ジム: でも3Dプリンタのヴァイオリンを 弾いているときには違いました こちらの楽器とも 一体化できると思いますか? ヨアンナ: それは疑問ですね 実用的な側面からいえば 普通のヴァイオリンより ずっと重いので コンサートの長丁場を 普通のヴァイオリンと同じように 乗り切れるとは思いません でも 素晴らしいのは 実際に演奏できるということです 信じられない思いです ヴァイオリンのような音が出ますが 特定の響きが欠けています 木製のヴァイオリンの特別な点は それぞれ個性があるということです 手作業で作られているので どの楽器にも 少し弱い音と 少し強い音があって 演奏家としては 楽器をよりよく知って その個性を探すんです ジム: どの楽器にも個性があるのに 3Dプリンタのヴァイオリンは どれも同じだということですね 普通のヴァイオリンではできず 3Dプリンタのヴァイオリンだからこそ できることはあるでしょうか? あぁ 答えは明らかですね ヨアンナ: どうでしょう 今日ちょうど友人に 同じようなことを聞かれたんです 何の役に立つのって 私が考えてみなかったことを 指摘されました クラシック以外の音楽で 使えるのかもしれないと スタジオで録音するものなどです 音は増幅されるし 音色がとても均一なので 普通のヴァイオリンよりも 音を編集するのが もっと容易かもしれません でもクラシックの世界では ないと思います ジム: なるほど 10ユーロで安く手に入る ヴァイオリンという感じでしょうか ヨアンナ: ええ ジム: そろそろお時間です 3Dプリンタのヴァイオリンでもう1曲 そのあとで木製のもので小品をお願いします ヨアンナ: ええ 短い曲を弾きます ポーランドのカプリチオです ゆっくりとした冒頭から始まるので ヴァイオリンの性質を よく感じていただけると思います ヴァイオリンに欠点を プリントすることはできませんが 私は欠点こそが音楽に美しさを 与えてくれるのだと思います とはいえ それでもすごいことです (ヴァイオリン演奏) (拍手)