WEBVTT 00:00:01.087 --> 00:00:04.710 私にとって それは友人の結婚式に 招待されなかったという経験でした 00:00:05.184 --> 00:00:07.334 最初は気になりませんでした 00:00:07.358 --> 00:00:10.020 小さい式なのだろうと思いました 00:00:10.044 --> 00:00:13.497 しかし 式に向かう人と 何人も バッタリ会ってしまい 00:00:13.521 --> 00:00:16.383 しかも 私ほど新郎と親しくない 人たちだったのです 00:00:17.192 --> 00:00:18.679 のけ者にされたと感じ 00:00:18.703 --> 00:00:19.989 最低の気分でした 00:00:20.013 --> 00:00:21.902 ひどい仕打ちだと感じました NOTE Paragraph 00:00:22.813 --> 00:00:27.312 うちの娘 リプシーとグレタも 先週そんな経験をしました 00:00:28.124 --> 00:00:32.814 二人は順番に おもちゃを使って 母親の背中をマッサージしていました 00:00:32.838 --> 00:00:36.410 そんな中 娘の片方が 相手の番のほうが長かったと感じたようで 00:00:36.514 --> 00:00:38.411 私が部屋に入った時には 00:00:38.435 --> 00:00:41.685 グレタは怒り狂って 「ズルい!」と わめき 00:00:41.709 --> 00:00:43.674 リプシーは泣きじゃくり 00:00:43.698 --> 00:00:45.656 妻はストップウォッチを持って 00:00:45.680 --> 00:00:50.413 それぞれ一分きっかりで終わるように 目を光らせていました NOTE Paragraph 00:00:51.963 --> 00:00:56.740 私や娘の気持ちがおわかりの方なら 00:00:56.764 --> 00:00:59.471 最近 腹が立った出来事は 00:00:59.495 --> 00:01:01.894 やはり 不公平に関することなのでしょう 00:01:02.756 --> 00:01:06.288 不公平さを感じると 気持ちが強くかき乱され 00:01:06.312 --> 00:01:07.963 思考停止してしまうものです 00:01:08.396 --> 00:01:10.519 恐れや猜疑心を抱くようになり 00:01:11.826 --> 00:01:13.938 不公平さに対して過敏になります 00:01:15.533 --> 00:01:17.573 苦痛を感じ 匙を投げてしまいます NOTE Paragraph 00:01:18.479 --> 00:01:22.290 不公平さは現代社会では 典型的な問題です 00:01:22.314 --> 00:01:25.450 二極化が起きる根本的な原因のひとつで 00:01:25.474 --> 00:01:27.247 事業にとっては害になります 00:01:28.477 --> 00:01:32.688 職場での不公平は ギスギスした空気を作り 社員のやる気を削いでしまいます 00:01:33.419 --> 00:01:40.380 研究によると アメリカでは 労働者の70%が意欲に欠けているそうです 00:01:40.404 --> 00:01:42.016 このせいで企業が受ける損失は 00:01:42.040 --> 00:01:46.552 全米で年間5500億ドルにもなります 00:01:46.576 --> 00:01:50.967 アメリカ国家が教育にかける予算の 半分にあたる額です 00:01:51.476 --> 00:01:54.233 オーストリアのような国のGDP並みです NOTE Paragraph 00:01:56.255 --> 00:01:59.582 ですから 不公平さを排除し 公平さを広めることを 00:01:59.606 --> 00:02:00.811 優先すべきなのです 00:02:01.969 --> 00:02:03.741 では実際に何をすべきか 00:02:03.765 --> 00:02:06.660 規則の話なのか 体制の話なのか 00:02:06.680 --> 00:02:08.496 それとも平等の話なのでしょうか 00:02:08.520 --> 00:02:13.177 大きく外れてはいませんが 公平は規則や平等より深いのです 00:02:13.471 --> 00:02:15.677 意外な効果をもたらします NOTE Paragraph 00:02:16.669 --> 00:02:21.757 15年前 私はアメリカの投資銀行を辞めて 00:02:21.781 --> 00:02:26.678 イタリア国有の石油企業に転職しました 00:02:26.702 --> 00:02:28.040 まったく違う世界でした 00:02:28.487 --> 00:02:30.835 私は元々 良い業績を出す秘訣は 00:02:30.859 --> 00:02:32.757 リスク&報酬制にあると考えていました 00:02:32.781 --> 00:02:36.964 成績の良い社員をボーナスや昇進で報い 00:02:36.988 --> 00:02:39.591 成績の悪い社員には 危機感を持たせる仕組みです 00:02:40.435 --> 00:02:44.442 しかし 新しい会社では 給与は固定で 00:02:44.466 --> 00:02:45.807 終身雇用制度でした 00:02:46.903 --> 00:02:48.382 出世の道は固定されており 00:02:48.406 --> 00:02:50.840 私の手法は効果が薄く 00:02:50.864 --> 00:02:52.176 焦燥感を感じていました NOTE Paragraph 00:02:52.867 --> 00:02:58.058 ところが この会社の中には 高い業績を生み出す環境があったのです 00:02:58.082 --> 00:03:00.201 競争が非常に厳しい産業で 00:03:00.225 --> 00:03:02.646 競合他社に差をつけていました 00:03:02.670 --> 00:03:04.384 石油取引においても 00:03:04.408 --> 00:03:06.527 プロジェクト管理でもそうでしたし 00:03:06.551 --> 00:03:08.460 特に油田探査で顕著でした 00:03:08.926 --> 00:03:12.195 油田探査のチームは 世界のどの競合他社よりも 00:03:12.219 --> 00:03:14.144 原油や天然ガスを多く発見していました 00:03:14.878 --> 00:03:16.158 不思議でした 00:03:16.649 --> 00:03:19.537 誰もが 成功の要因を探っていました 00:03:19.561 --> 00:03:21.838 私は運が良いだけだろうと思いました 00:03:21.862 --> 00:03:25.651 しかし 次々と油田が発見され 運では説明がつかなくなりました 00:03:26.215 --> 00:03:29.720 特別な道具があったからではありません 00:03:30.635 --> 00:03:34.016 我が社にしかない強力なシステムを 持っていたわけでもありません 00:03:34.844 --> 00:03:38.095 油田発見の鍵を一人の天才が 握っていたのでしょうか 00:03:38.119 --> 00:03:40.722 いや むしろ何年間も 重役を迎えていませんでした NOTE Paragraph 00:03:42.680 --> 00:03:44.828 では どんな秘密があったのでしょう 00:03:45.723 --> 00:03:47.845 そこで私は注意深く 人間観察を始めました 00:03:47.869 --> 00:03:49.256 まず友人に目を向けました 00:03:49.280 --> 00:03:51.686 7つの空坑井を掘削し 00:03:51.710 --> 00:03:54.495 会社のために 10億ドル以上を注ぎ込んで 00:03:54.519 --> 00:03:56.458 8つめで当てました 00:03:56.725 --> 00:03:58.370 私は気が気でなりませんでした 00:04:00.431 --> 00:04:02.207 でも彼はどっしり構えていました 00:04:02.611 --> 00:04:04.991 その道のプロですからね NOTE Paragraph 00:04:05.340 --> 00:04:08.528 そこでハッとしました 公平さが鍵なのだ と 00:04:09.592 --> 00:04:11.217 勤め先の環境のおかげで 00:04:11.241 --> 00:04:14.036 短期的な成果に一喜一憂する 必要がなかったのでした 00:04:14.539 --> 00:04:19.133 運が悪かったからとか うっかりミスをして 罰を受けることはありません 00:04:19.770 --> 00:04:23.972 結果ではなく努力に価値があるのだと わかっていたのです 00:04:24.006 --> 00:04:26.806 人間として尊重され 組織の一員として扱われていました 00:04:26.830 --> 00:04:29.641 何があろうと 会社が味方についているということです 00:04:29.665 --> 00:04:32.688 これが 私が考える「公平さ」です 00:04:32.712 --> 00:04:36.513 不公平さに対して神経を とがらせないで済むとき 00:04:36.537 --> 00:04:37.968 すごいことが起きるのです 00:04:38.376 --> 00:04:42.147 この社員たちは自分の目的に没頭できました つまり原油と天然ガスの探査です 00:04:42.645 --> 00:04:46.248 社内政治や欲や恐れといった 心配事とは無縁でした 00:04:47.744 --> 00:04:50.339 リスクを伴う決断も上手でした 00:04:50.363 --> 00:04:52.862 というのも やたら神経を尖らせておらず 00:04:52.886 --> 00:04:55.748 大きな報酬のために 危ない賭けに出るわけではないからです 00:04:56.583 --> 00:04:59.269 そして優れたチームワークを 発揮していました 00:04:59.528 --> 00:05:00.922 同僚どうし信頼し合い 00:05:00.942 --> 00:05:03.313 裏切られる心配がないのです 00:05:04.293 --> 00:05:06.627 何より 仕事を楽しんでいました 00:05:06.651 --> 00:05:08.452 本当に楽しんでいたのです 00:05:08.476 --> 00:05:10.660 その中のひとりに至っては 00:05:10.684 --> 00:05:14.034 会社でのクリスマス会のほうが 自分の家族とのクリスマスより 00:05:14.058 --> 00:05:15.866 楽しいとまで言っていました NOTE Paragraph 00:05:15.890 --> 00:05:18.111 (笑) NOTE Paragraph 00:05:18.135 --> 00:05:23.216 この社員たちは かいつまんで言えば 公平な仕組みの中で働いていました 00:05:23.230 --> 00:05:25.752 正しいと思えることができる環境です 00:05:25.766 --> 00:05:28.449 私利私欲や手軽さや便利さを 追いかけずに済むのです 00:05:28.459 --> 00:05:31.537 自分が正しいと思えることができる — 00:05:31.561 --> 00:05:35.560 それは公平さの鍵となる要素であるだけでなく やる気を掻き立ててくれます 00:05:37.187 --> 00:05:40.213 正しいことをしていたのは 油田探査チームだけではありません 00:05:40.619 --> 00:05:43.887 人事部長からの提案で 00:05:43.907 --> 00:05:48.661 社内の人間に管理職を与えてはどうかと 言われたことがあります 00:05:48.685 --> 00:05:51.502 仕事はできる人物でしたが 高校を卒業していなかったので 00:05:51.526 --> 00:05:53.780 書類上では無資格でした 00:05:54.390 --> 00:05:57.865 しかし あまりに優秀だったので 納得が行き 役職を与えることにしました 00:05:58.451 --> 00:06:01.857 他にも 予算が欲しいと言ってきた社員がいて 00:06:01.857 --> 00:06:06.931 用途は エクアドルの農村部にある工場の隣に チーズ工場を作るというものでした 00:06:06.955 --> 00:06:09.813 チーズ工場建設の前例などなく 無茶苦茶な話に思えました 00:06:09.837 --> 00:06:11.853 しかしこれは村からの願いだったのです 00:06:11.853 --> 00:06:16.018 ミルクが売れる前に腐ってしまうため 村人が工場を求めていたのでした 00:06:16.042 --> 00:06:17.646 そこで工場を建てました 00:06:17.670 --> 00:06:20.664 このような例やその他多くのケースから 私が学んだことは 00:06:20.668 --> 00:06:22.654 公平であるためには 00:06:22.678 --> 00:06:26.259 私も同僚も リスクを承知の上で 危ない橋を渡る必要があるということです 00:06:26.283 --> 00:06:28.162 公平な仕組みの中であれば 思い切って 00:06:28.186 --> 00:06:29.374 公平さを選べるのです NOTE Paragraph 00:06:30.309 --> 00:06:32.164 そして私は気づきました 00:06:32.164 --> 00:06:38.035 ここの社員たちが達成している 素晴らしい成果や素晴らしい仕事ぶりは 00:06:38.056 --> 00:06:42.061 どんなにボーナスを出しても 買えるものではないということです 00:06:42.616 --> 00:06:43.955 私は興味をそそられ 00:06:43.979 --> 00:06:46.170 からくりを知りたくなりました 00:06:46.194 --> 00:06:49.791 自分自身も興味がありました リーダーとして成長するためです 00:06:49.815 --> 00:06:55.170 そこで同僚やコーチやヘッドハンターや 神経科学者に話を聞きました 00:06:55.194 --> 00:06:56.786 そうして判明したのは 00:06:56.810 --> 00:06:59.936 できる社員の優秀さの秘密や 仕事への姿勢は 00:06:59.960 --> 00:07:02.761 近年の脳科学研究に 裏打ちされているということ 00:07:03.263 --> 00:07:06.628 さらに 会社の種類や 社員の階級を問わず 00:07:06.652 --> 00:07:07.882 当てはまるということです 00:07:07.906 --> 00:07:11.310 固定給も安定したキャリアも 必要条件ではないのです 00:07:12.164 --> 00:07:15.803 というのも 科学的に証明済みなのですが 00:07:15.827 --> 00:07:19.944 人間には生まれながらに 公平性という感覚が備わっているからです 00:07:21.039 --> 00:07:23.751 何が正しくて 何が間違っているのか 00:07:23.775 --> 00:07:26.073 言葉を発したり考えたりする前から 知っているのです NOTE Paragraph 00:07:27.009 --> 00:07:29.468 私のお気に入りの研究では 00:07:29.492 --> 00:07:32.221 6ヶ月の赤ちゃんに 00:07:32.245 --> 00:07:36.164 「丸」が上り坂を登ろうと 奮闘する様子を見せます 00:07:36.943 --> 00:07:40.970 親切な「四角」が「丸」を 後ろから押して助けてくれます 00:07:40.994 --> 00:07:44.351 次に意地悪な「三角」が 「丸」を上から押し戻してしまいます 00:07:45.042 --> 00:07:47.424 これを何回も見せた後で 00:07:47.448 --> 00:07:50.884 赤ちゃんに 遊ぶおもちゃを選ばせます 00:07:50.908 --> 00:07:54.571 丸、四角、三角のどれかを 選んでもらいます 00:07:55.265 --> 00:07:57.456 赤ちゃんは絶対に三角を選びません 00:07:57.480 --> 00:07:59.530 全員 四角になりたがるのです NOTE Paragraph 00:08:01.590 --> 00:08:03.662 もうひとつ 科学的にわかっているのが 00:08:03.686 --> 00:08:06.448 人は 公平さを見かけるか認識すると 00:08:06.472 --> 00:08:11.361 快感 つまり多幸感を与える物資が 脳から分泌されます 00:08:12.225 --> 00:08:15.264 一方で 不公平さを認識すると 苦痛を感じるのです 00:08:16.601 --> 00:08:20.446 実際に身体的に感じる痛みよりも 大きな苦痛です 00:08:21.275 --> 00:08:25.371 それは 不公平さが人間の 原始的な爬虫類脳を刺激するからです 00:08:25.381 --> 00:08:28.897 危険や生存に関する本能を司る部分です 00:08:28.911 --> 00:08:32.449 不公平さを脅威と感じたとき 人はそのことしか考えられなくなります 00:08:32.473 --> 00:08:35.497 やる気、創造性、チームワークなどが 00:08:35.521 --> 00:08:37.134 引っ込んでしまいます NOTE Paragraph 00:08:38.119 --> 00:08:40.302 こんな反射が起きるのは 当たり前だと言えます 00:08:40.326 --> 00:08:42.051 人間は社会的な動物ですからね 00:08:43.000 --> 00:08:45.714 生存のため 何らかのコミュニティに 属する必要があります 00:08:46.114 --> 00:08:48.222 あまりに非力な状態で生まれてくるため 00:08:48.246 --> 00:08:51.452 10歳あたりまでは 誰かに 面倒を見てもらう必要があり 00:08:51.476 --> 00:08:53.722 食べ物の入手を中心に 脳の発達が起こるので 00:08:53.746 --> 00:08:55.635 そのコミュニティに属さねばなりません 00:08:55.659 --> 00:08:58.236 ですから 望もうが望むまいが 00:08:58.260 --> 00:09:01.130 友達の結婚式に招待されないとき 00:09:01.144 --> 00:09:02.596 私の爬虫類脳は まるで 00:09:02.606 --> 00:09:07.217 今にもコミュニティから追い出されるところ であるかのような反応をするのです NOTE Paragraph 00:09:08.763 --> 00:09:13.065 このように 公平が良いこととされ 不公平が人を不機嫌にする理由は 00:09:13.089 --> 00:09:15.462 科学的に説明がつくわけです 00:09:15.486 --> 00:09:19.001 しかし さらに科学でわかっているのですが 公平な環境においては 00:09:19.025 --> 00:09:22.100 誰もが 先ほどの「四角」のように なりたいと思うばかりでなく 00:09:22.124 --> 00:09:24.209 実際にそんな行動を取る傾向があり 00:09:24.233 --> 00:09:27.734 そのお返しに 周りの人も公平な態度を 取るようになるのです 00:09:27.758 --> 00:09:30.394 こうして 公平さの好循環が生まれます 00:09:31.934 --> 00:09:33.774 ところが 元は公平であっても 00:09:34.934 --> 00:09:39.957 ほんの一滴だけ 不公平さが混じるだけで その環境全体が汚れてしまいます 00:09:39.971 --> 00:09:43.518 そして残念なことに 不公平という滴は たくさん落ちてきます 00:09:44.606 --> 00:09:47.100 だから 私たちが努めるべきなのは 00:09:47.120 --> 00:09:50.687 不公平さを あらゆる場所から 排除することです 00:09:50.711 --> 00:09:53.620 自分の所属するコミュニティや 勤め先から始めるのです 00:09:54.687 --> 00:10:00.235 私にはとても気になることです 3千人の優秀な社員を率いる立場ですから 00:10:00.259 --> 00:10:04.529 幸せで 意欲が高く 協調性のある3千人と 00:10:04.553 --> 00:10:07.617 やる気のない3千人では大違いです NOTE Paragraph 00:10:09.154 --> 00:10:14.507 私が 公平さを追求するうえで まず心がけていることは 00:10:14.531 --> 00:10:17.830 私情を捨てる努力です 00:10:17.850 --> 00:10:19.997 それは自分の主観の介在を 意識することでもあります 00:10:20.021 --> 00:10:23.933 例えば 何を言っても ウンと言ってくれる人は大好きです NOTE Paragraph 00:10:23.957 --> 00:10:25.302 (笑) NOTE Paragraph 00:10:25.326 --> 00:10:27.354 しかし それは会社にとっても 00:10:27.378 --> 00:10:29.866 異論がある人にとっても 良いことではありません 00:10:29.880 --> 00:10:32.578 ですから 我々はまず 様々な意見が飛び交い 00:10:32.597 --> 00:10:35.829 様々な個性が共存する 社内文化を目指しています 00:10:35.853 --> 00:10:38.235 2つめは もう少し手続き的側面が強いです 00:10:38.259 --> 00:10:41.963 社内の規則や手順や 制度の見直しといった 00:10:41.987 --> 00:10:45.583 意思決定や予算の編成に関わることです 00:10:45.607 --> 00:10:48.970 そして 曖昧なものや 非合理的なもの 無意味なものを 00:10:48.994 --> 00:10:50.844 廃止するように努めています 00:10:50.868 --> 00:10:55.890 また 社内の情報共有を妨げるものがあれば 解決するように努めます 00:10:55.890 --> 00:10:59.178 同様の理由で 社内文化や社員の士気も 注意して見ています NOTE Paragraph 00:10:59.202 --> 00:11:03.117 しかし 規則や手順や制度を どんなに一生懸命見直しても — 00:11:03.141 --> 00:11:04.564 必要だとはいえ 00:11:04.588 --> 00:11:06.220 どんなに懸命に見直しても 00:11:06.225 --> 00:11:09.742 公平さの真髄に辿り着くことは 永遠にありません 00:11:09.766 --> 00:11:13.924 それは 公平さを実現するには 他にも必要な要素があるからです 00:11:15.330 --> 00:11:17.600 公平さの本質とは 人の感情や 00:11:17.624 --> 00:11:19.187 その人の望みや 00:11:19.211 --> 00:11:21.760 私生活で起きていることや 00:11:21.774 --> 00:11:23.469 社会が求めることにあります 00:11:24.994 --> 00:11:27.757 このような問いや側面はどれも 00:11:27.781 --> 00:11:31.631 表計算シートやアルゴリズムで 計算するのは大変難しいものです 00:11:31.655 --> 00:11:34.878 合理的な判断材料にするのは 大変難しいのです 00:11:34.902 --> 00:11:38.538 しかし 取り逃せば 最も重要なものを逃したことになります 00:11:38.562 --> 00:11:41.160 そうして出した結果は 不公平に感じられるでしょう 00:11:42.180 --> 00:11:46.437 ですから 意思決定をするときは 公平かどうか 自分の胸に聞くべきです 00:11:47.502 --> 00:11:50.858 この人が望む仕事を得るのは 正当なことなのか? 00:11:51.414 --> 00:11:53.826 この人が解雇されるのは 正当なことなのか? 00:11:55.273 --> 00:11:58.551 この製品に こんな値段をつけるのは 正当なことなのか? 00:12:00.059 --> 00:12:01.805 簡単には答えられない問いです 00:12:03.241 --> 00:12:07.122 でも ゆっくり時間をかけて 00:12:07.146 --> 00:12:11.248 合理的な判断が正しいのか 自問自答すれば 00:12:12.529 --> 00:12:15.386 誰もが 心の奥底に 答えを持っているはずです 00:12:15.410 --> 00:12:17.127 赤ちゃんの時から知っているのです 00:12:18.975 --> 00:12:21.315 正しい答えがわかることは 00:12:21.339 --> 00:12:23.322 意思決定において好都合です 00:12:25.130 --> 00:12:27.847 そして 心を使って考えること 00:12:27.871 --> 00:12:30.514 それが 人々の力を 最大に引き出す鍵なのです 00:12:30.538 --> 00:12:33.181 心で気にかけていれば 相手には伝わるものだからです 00:12:33.205 --> 00:12:36.302 純粋に気にかけて初めて 相手は恐れを乗り越えて 00:12:36.326 --> 00:12:38.243 仕事で自分らしさを発揮するのです NOTE Paragraph 00:12:39.731 --> 00:12:42.340 では 公平さが人生で最も大事なのであれば 00:12:42.364 --> 00:12:45.704 なぜ 全てのリーダーがそれを 優先事項としていないのでしょう 00:12:45.879 --> 00:12:48.947 もっと公平な会社で働けたら 素敵だと思いませんか 00:12:50.492 --> 00:12:53.147 古臭いGMATテストなどの結果じゃなく 00:12:53.161 --> 00:12:57.092 公平性や人柄で選ばれて訓練された 同僚や上司と働けたら 00:12:57.111 --> 00:12:59.771 素晴らしいと思いませんか 00:13:01.225 --> 00:13:05.550 「公平性最高責任者」がいるような 環境で働けたらいいと思いませんか NOTE Paragraph 00:13:06.172 --> 00:13:08.899 達成はできます でもなぜ今実現していないのでしょう 00:13:09.502 --> 00:13:11.837 その一因は惰性にあり 00:13:11.861 --> 00:13:15.018 また 公平であることは 必ずしも容易ではないからです 00:13:15.042 --> 00:13:17.013 判断を要し リスクを伴います 00:13:17.741 --> 00:13:20.405 8つめの坑井を掘削するのは リスクでした 00:13:21.336 --> 00:13:24.415 中卒の社員を昇格させるのも リスクでした 00:13:25.164 --> 00:13:27.997 エクアドルでチーズ工場を建てるのも リスクでした 00:13:29.354 --> 00:13:33.173 しかし 公平さは リスクを冒してでも 追求する価値があります 00:13:33.197 --> 00:13:35.753 自問自答してみてください 00:13:35.777 --> 00:13:38.323 どこで そんな勝負に出ようか? 00:13:39.031 --> 00:13:43.278 どこで もう少しだけ頑張って 00:13:43.302 --> 00:13:46.641 合理的な判断にこだわらず 正しいことができるだろうか? NOTE Paragraph 00:13:47.865 --> 00:13:49.016 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:13:49.040 --> 00:13:54.658 (拍手)