警告:この動画はホロウナイトのネタバレを含みます。 「君の一番好きなゲームは何?」って聞かれたら、僕はこう答えるね。 『コーリーホワイトハウスでチョー大変!』の DSソフトだって。 でも『ホロウナイト』も僅差で二位だと思う。 『ホロウナイト』は2017年2月24日、 インディースタジオ『Team Cherry』 によってリリースされた。 スタジオの本拠地は幻の国、 『南オーストラリア、アドレード』だ。 ここ三年で、『ホロウナイト』は人々に愛される インディーゲームとなった。 売上げは350万本を突破、AGDQ 2019のイベント でもオープニングを飾った。 『ホロウナイト』の本もあるし、ぬいぐるみや、 Tシャツ、 ニコチンパッチ、核弾頭、さらには ジャズ狂信者のために、 レコード盤まで存在している。 『Team Cherry』はこのゲームを作るときに、 一つのゴールを持っていた。 プレイヤーをのめり込ませるような世界を作ることだ。 このことは『ホロウナイト』のゲームデザインに よく表れている。 『ホロウナイト』のステージは巨大で、隠し要素や報酬が至る所に散りばめられている。 例えば強力なチャームや、特別な能力、 あるいは…この… このゲームの探索システムは、 プレイヤー自身にマップを作らせ― より鮮明な情景を記憶に焼き付けさせる。 Christopher Larkinの曲とAri Gibsonによるアート ワークも、このコンセプトによくマッチし、 離れたくなくなるような 雰囲気を醸し出している。 でも、『ホロウナイト』には、僕みたいなタイプの人を引き寄せる要素が一つある。 「世界観」だ。 1994年、『スーパーメトロイド』は その没入感ある作風で一線を画した。 1994年頃、僕はまだ生まれてなかったけど― このゲームがすごかったことは 大量の評論動画を見て知っている。 知らない人のために説明すると― 『スーパーメトロイド』はメトロイドヴァニアの 元祖みたいなものだ。 だからメトロイド「ヴァニア」って呼ばれてるわけ 『スーパーメトロイド』には「世界観の奥行」を 感じさせる瞬間がある。 サムスが居ないところでも、ちゃんと世界が回ってると感じられる瞬間だ。 肥満ワニがいる部屋の手前には、 名もない戦士の死体が横たわっている。 この戦士がいてもいなくても、ゲーム性には 何の影響もないけれど― 今探索している世界に対して、 驚嘆の念を覚えさせる。 彼は誰だったのか? そもそもなぜここに? ジャズは好きか? まぁ、そこら中で謎の死体を見つけるのってクールだよね。 『ホロウナイト』も同じことをしている。 100回くらい。 世界観の構築を通じて、『ホロウナイト』は 「ハロウネスト」を生きる王国に仕立て上げた。 老朽化した建物や、巨大な閉ざされた扉からは、 古代の歴史を感じることができる。 ゲーム内にあるもの全てが、何か明確な理由で 配置されているように思える。 ただ、その理由っていうのは 一筋縄で解明できるものじゃない。 『ホロウナイト』の物語は― NPCのセリフや、 アイテムの説明欄、 石板、 更にはクィレルのコミックや、 Fangamerの『放浪者の日誌』などに埋もれている。 『Team Cherry』の広大な世界を理解すべく、 ここ三年で『ホロウナイト』のコミュニティは すさまじい量の研究を行った。 もはやゲーム内の看板を調べて、 ハロウネストの表語言語を解読しようとする人々が現れるほどにね。 この動画では、ハロウネストの歴史と その不確かな未来を通じて、 『ホロウナイト』の世界を細かく 見ていこうと思う。 僕がたまに作ってる動画は、 めちゃくちゃよく当たるスマブラの 新キャラ予想だったり、 『ドンキーコング』アニメシリーズ等の 名作についてのポッドキャストだったり、 その他意味不明な動画だけど… 基本的には『ホロウナイト』についての動画を作ってる。 確かに僕は『ホロウナイト』の裏設定の ベテラン専門家ではあるけれど― この動画内の考察や理論が完璧だとは 言い切れない。 より中立的な説明を知りたい場合は、 Hollow Knight WikiのLoreページを読むことを強く お勧めするよ。 でも読むのがめんどくさいようなら― 椅子に腰かけて、ドミノピザでも頼んで… …あるいはチーズの塊でも取り出して… 『(ほぼ)完璧なホロウナイトの裏設定』 を観ていってほしい。 どんな人間も何かしらの「神」を信仰する。 それはテクノロジーであったり、 イデオロギーであったり、 あるいは稀なケースとして… 「神」そのものだったり。 どうやらそれは、ハロウネストのムシたちにも 同じことが言えるようだ。 巨大なナメクジの夢から生まれたコケの一族から 文字通り闇を信仰した古代文明の エモキッズ共まで 『ホロウナイト』の世界には信仰対象が 絶えなくある。 この物語は信仰に十分値する とある生命体から始まる。 「ウィルム」の死骸から生まれた存在… その死骸は未だに「王国のはずれ」に 横たわっている。 ウィルムがどんな見た目をしていたのかが わかる唯一の場所だ。 ゲームが始まる頃には、ウィルムはもう絶滅してしまったとされているから。 ウィルムは長い胴体を持ち、手足と呼べるものを 殆ど持っていない生き物だった。 他に特別な力として、予知能力を持っていたと されている。 ―或いは予見能力か。 要は、ある程度未来を見ることができたようだ。 その能力がいかに有効的だったかはわからないけど― 絶滅してしまっているところを見る限り、 多分カス能力だったんだろう。 話をこのウィルムの死骸に戻して… このウィルムは山や荒野を抜けてハロウネストへ やってきたらしい。 ハロウネストに到着した後、 このウィルムは死んだ。 まぁ少し違うけれど… 死骸の中には蒼白の壊れた卵がある。 この中からウィルムが新たな形で再誕した。 ちっぽけな殻の形として。 この形のウィルムは「蒼白の王」と呼ばれている。 …『ホロウナイト』で起こること 全ての元凶がこいつだ。 蒼白の王は他のムシよりも上に存在する、 「高貴な者」の一種だ。 彼の身体は眩い光を放ち、 見る者を傷つけたとされている 。 蒼白の王の究極の目的は、 他のウィルムと同じようだ。 Mr.マッシュルームのセリフによると、 「ウィルムはムシたちを奴隷とする。 時がたち、王国が朽ちるまで。」 つまり、彼らの生態の一部というわけだ。 犬はしっぽを振り、猫はクソを埋め、 そしてウィルムは大量のムシ達を自分の配下に置き、永続する王国、もとい文明を築こうとする。 そしてこの世界の端で、 蒼白の王は自らの死骸から生まれ、 永遠なる王国、ハロウネストを建国し始めた。 ただちょっとした問題が一つ… 先に住んでるムシ達がいるんだよね…。 後にハロウネストになるエリアには、 既にカマキリやハチ、蛾、 蜘蛛、キノコ、ブッシュコスプレイヤーなどの 先住民がいる。 それぞれのグループは既に 各々の文化と社会を形成していて― 蒼白の王に対して違った対応を見せた。 最も受容的だったグループの一つは、 「胞子の森」に住むキノコ族だ。 彼らは一つの頭脳を共有していて、それを介して コミュニケーションを取ることができた。 彼らはそれを強みだと考えている ナルシスト共だった。 最終的に、彼らは蒼白の王の統治を渋々許諾した。 彼の予見能力で、未来の危険から 身を守れると考えたからだ。 胞子の森に住む他のグループには カマキリ族がいる。 カマキリ族の豊富な歴史と文化は、 ハロウネスト建国よりもずっと前に遡る。 カマキリは誇り高い一族で、 個人の物理的な力の証明に重きを置いていた。 カマキリは縄張り意識が高いけど、 力を示す者には尊敬の念を示す。 この『ファイト・クラブ』ファン達のリーダーは 4匹の「カマキリの王」。 …よそ者が来て挑戦するのを待ってるだけみたいだ。 カマキリ族は、ハロウネスト建国には興味が なかったが、最終的に休戦協定を結んだ。 ハロウネストから独立することを引き換えに、 カマキリ族は「暗闇の巣」から来る獣たちが― ハロウネストに侵入することを防いだ。 なんで他の出口から侵入して来ないかは謎だけど… 僕は国境警備の専門家じゃないし、 移民・関税局にはもう所属してないからね。 暗闇の巣に話を移そう。 ハロウネストの多くの種族は、 石板を残してくれたおかげで― 彼らのことについて知ることができた。 残念ながら暗闇の巣のムシ達は、そうしなかった。 暗闇の巣の蜘蛛たちは君主制の元で 暮らしていたらしい。 …いつの時代も上手く行く政治体制だからね。 さらに、暗闇の巣には他の土地から移住して来た 別の蜘蛛のグループがいる。 このグループは「紡ぐ者」と呼ばれ、 暗闇の巣に独自の文化と歴史を築いた。 彼らはシルクを使い、物語や呪文、結界を紡いだ。 暗闇の巣について一つ確かなことは、 ハロウネストと関わりたくなかったことだ。 ハロウネスト-暗闇の巣間の関係の悪化は 時と共に明確になっていくけど、 でも当時はお互いに距離を置いていたみたいだ。 ハロウネスト建国前に他にあったものとして 「緑の道」がある。 僕らが知る限り、キノコ族やカマキリ族、 そして暗闇の巣の蜘蛛たちは― 高貴な者を崇拝していなかった。 胞子の中核には巨大なキノコの死体があるけど… 僕はコイツが高貴な者だとは思わない。 だって誰がクソデカキノコを崇拝したいんだよ? クソデカナメクジ? そりゃアリだね。 緑の道として知られるエリアは 「アン」と呼ばれる高貴な者によって作られた。 アンは自身の心を使い、 不毛の洞窟を緑溢れる地にすることを夢見た。 アンの信仰者であるコケ族も、 アンの夢から生まれた。 彼らの創造主というわけだ。 全盛期時代の緑の道は、実際のゲーム内での 広さよりもかなり広かったようだ。 ある時期には、現在の女王の庭や、 (恐らく)霧の渓谷にも繁茂したようだ。 緑の道の住民はそれなりに発達した社会を形成していた。 アンの池に、彼女を信仰するために 寺院を建設したり、 釘や殻を武器として使う、 戦闘に長けたコケの戦士といった、 独自の防衛線もあった。 「アンの法」は蒼白の王がやってきた後も 効力を持ち続けたようだけど、 蒼白の王に道路の建設を許可し― ハロウネストの中心に 旅人が向かうことを許したみたいだ。 だから緑の道って呼ばれてる。 Team Cherryは名前を付けるのに 苦労しただろうね。 次はハチ達だ。 なんでこいつ等がくそったれドリルに変形したり、 航空力学の法則を無視できるのかは謎だけど― 蒼白の王に対してどのような 対応をしたのかは分かってる。 ハチ達は、巣を外界から完全に締め切り、 偵察ハチ以外は出入りできないようにした。 つまりハチ達は物語に殆ど関係ないってことだ。 そして最後に蛾の一族。 ゲーム内での居住区は安息の地のみ― でも水晶山に一時期住んでいた可能性もある。 さてご存じの通り、現実の蛾はクソ野郎共だ。 『ホロウナイト』の蛾は…ちょっと複雑だ。 蛾の一族は平和主義者として知られていて― 武器を持つものも僅かだった。 蒼白の王が統治する中、 蛾の一族は夢と死者について探求― 去ってしまった者達を記憶することと、 夢を形作る方法の大切さを示した。 コケ族と同じように、蛾の一族も ある高貴な者から生まれた。 その名は「ラディアンス」。 ラディアンスは光と表現され、 蛾の一族はその光から恩恵を受けた。 要は彼らにとって、 彼女は巨大な街灯だったってわけだ。 ラディアンスの重要な一面として― 彼女の、「夢」と「エッセンス」と呼ばれる 物質との繋がりがある。 エッセンスは願いと夢の残骸で、 ゲーム内ではドリームキャッチャーの形をした パーティクルで表される。 エッセンスは「ささやく根」や「亡霊」 といった形になることがあり― どちらも記憶がこの世界に根付いたものだ。 ラディアンスはエッセンスで 構成される生命体のようだけど― エッセンスを放つ 高貴な者は彼女だけじゃない。 アンは緑のパーティクルを、蒼白の王は灰色のもの、 そしてこの「グリム」というセクシーな キャラクターは、炎のような赤色のものを放つ。 他の神も夢世界に干渉できるみたいだけれど― ラディアンスが夢の主神のようだ。 蛾の一族に話を戻すと、 彼らと蒼白の王との干渉が最大の論点だ。 要は、蛾の一族はラディアンスを完全に裏切り― 新たに表れた光を崇拝し始めた。 蒼白の王の光だ。 そう。このゲームでも蛾はクソ野郎共だ。 自らの一族に見捨てられたことにより、 ラディアンスは忘れられた記憶となった。 過去の残滓… この動画内で二度と登場しないトピックだ。 (この動画内でまた登場するトピックです。) こうして蒼白の王の新たな王国が確立された。 ハロウネストだ。 でも、ハロウネストには まだ触れていない側面が一つある。 残念ながら、それをよく理解するためには、 これから…ポエムを読まなくちゃいけない。 「その厳しい土地で、 彼らは敬いと悔いをこめてあなたの名を口にする」 「我らの野蛮な魂をいさめる不可能に、 あなたが挑んだゆえに」 「その蒼白なる眼差しで、あなたは教え、 我らを変え、その野生を抑え込んだ」 「あなたはムシや獣たちに、 彼らが夢にも見なかった世界を与えたのだ」 これは教師モノモンによる 「ハロウネストへの哀歌」という詩だ。 この詩は新しいゲーム開始時に毎回表示され― 蒼白の王と、彼の王国が 何を与えたかを示唆している。 ハロウネストの外側の世界は ほとんど荒野のようだ。 そこでムシたちは、心という足枷なしで、 本能のみで生き延びている。 ハロウネストは何らかの方法でムシたちに 教えを与え、野蛮さを抑えたんだ。 つまり蒼白の王は配下のムシたちの本能を変えて、 彼らにより高い思考力を与えたんだ。 その例として、この2匹のキャラクターを 見てみよう。Boonとタックだ。 このかわいいパンダムシたちが、 ハロウネストの効果を示す最たる例だ。 どちらも同じ種族の虫のように見えるけれど― Boonの知能はその辺に転がってる石並み、 言葉を繋ぐことすら拙い。 一方でタックはかなり流暢に話すことができる。 両者の主な違いは、 Boonはハロウネストの外側で暮らしていて、 タックは都の真下で暮らしていることだ。 どうやらハロウネストは文字通りの聖地で― そこに住む者の知能指数を上げるようだ。 蒼白の王が造った道は― 王国の入口の「王の道」から始まり、 緑の道と胞子の森を通り、 そしてハロウネストの中心地にある 巨大な都へと続いた。 この都は今は「涙の都」として知られているが、 本来は異なる名前で呼ばれていたようだ。 涙の都の雨は上空の 「青の湖」から降り注いでいるけど― 漏れ始めたのは王国が滅んでからだからだ。 つまり、中二病の文芸部が名づけ親でもない限り― 「涙の都」という名前は筋が通らない。 王が都や道を作った目的は、 崇拝されることにあるようだ。 ハロウネストの住民は蒼白の王が 世界の創造主だと信じた。 王のための聖堂は王国の各地に点在し― 王の小像も作られ、王の信仰者達に配られた。