1 00:00:04,080 --> 00:00:10,800 私はよくポップカルチャーが 人々に与える悪影響について話している 2 00:00:12,130 --> 00:00:20,531 しかし悪い影響を与えられるなら 良い影響も与えられるはずだ 3 00:00:21,410 --> 00:00:26,630 そこで今回は共感と連帯を育む メディアを取り上げたい 4 00:00:26,760 --> 00:00:30,800 かなり広い分野なのでここでは 5 00:00:30,910 --> 00:00:37,628 私の成長期だった1980年代の 映画から紹介していきたい 6 00:00:41,740 --> 00:00:46,530 今のハリウッドには80年代が蘇っている 7 00:00:46,650 --> 00:00:57,202 懐かしい作品がリメイクされ 続編を作るのが流行っている 8 00:00:57,470 --> 00:01:04,839 この流れの頂点にいるのは 小説原作の「レディ・プレイヤー1」だ 9 00:01:04,970 --> 00:01:07,130 "僕は2025年に生まれた" 10 00:01:07,260 --> 00:01:09,610 "でも1980年代に育った" 11 00:01:09,740 --> 00:01:20,803 この映画は当時のオタク文化の 長いリストを中心に構築されている 12 00:01:20,920 --> 00:01:28,455 1980年代に育った私は その作品の多くをよく覚えている 13 00:01:28,710 --> 00:01:34,240 グーニーズ グレムリン ときめきサイエンス トロン バック・トゥ・ザ・フューチャー 14 00:01:34,356 --> 00:01:36,026 全部観た 15 00:01:36,150 --> 00:01:43,890 でも振り返ると 私に最も影響を与えたのは 16 00:01:44,010 --> 00:01:48,510 必ずしも有名な映画ではなかった 17 00:01:48,640 --> 00:01:55,060 若い私に大きな印象を残したのは まごうことなく感傷的なシーンだった 18 00:01:55,190 --> 00:01:56,989 "さよならチャーリー" 19 00:01:58,185 --> 00:01:59,485 "大好き" 20 00:02:00,010 --> 00:02:07,300 今でも心が動かされ 涙ぐんでしまう 21 00:02:07,520 --> 00:02:15,700 "大きくて 強そうな手に見えるだろう?" 22 00:02:15,830 --> 00:02:21,320 ある批評家は映画は共感を生む機械だと言った 23 00:02:21,440 --> 00:02:31,225 視聴者は主人公と自分を同一視することで 彼らの経験や世界観を共有する 24 00:02:32,590 --> 00:02:39,710 映画は共感と連帯について例を示すことで 人間の精神を励ますことができる 25 00:02:39,830 --> 00:02:44,730 共感とは他人の気持ちを理解する能力だ 26 00:02:44,840 --> 00:02:54,294 不幸な人を憐れむというのではなく 同じ感情を感じるというものだ 27 00:02:54,780 --> 00:03:03,240 連帯とは背景の異なる多様な人々が 共通の目的を見つけ協力することだ 28 00:03:03,360 --> 00:03:08,340 連帯は集団への共感とも言える 29 00:03:09,200 --> 00:03:18,711 この2つの概念を念頭に 私たちの社会を形作った 5つのあまり知られていない映画を紹介しよう 30 00:03:24,350 --> 00:03:36,108 「ナティ物語」は少女とその相棒が 父を探すため列車で旅をする物語だ 31 00:03:36,520 --> 00:03:47,259 大恐慌の時代 貧困にある主人公の目を通し 美しい世界を映し出す落ち着いた映画だ 32 00:03:47,759 --> 00:03:53,849 映画は観衆を抑圧された側に置く 33 00:03:53,989 --> 00:04:02,033 警察が家族を家から追い出し 会社でのひどい仕打ちを見せることで 34 00:04:03,089 --> 00:04:08,759 大恐慌時代は厳しいが 冷笑的には描かない 35 00:04:08,890 --> 00:04:10,349 "うまいね" 36 00:04:10,484 --> 00:04:17,294 経済的に困窮した人々の連帯が 映画全体を貫いている 37 00:04:17,397 --> 00:04:19,691 "食べ物と切符の金だ" 38 00:04:19,815 --> 00:04:20,925 "いいよ" 39 00:04:21,872 --> 00:04:24,197 "そう言うな ナティ" 40 00:04:24,940 --> 00:04:35,740 少年と犬という古典的冒険物語だが ここでは少女と狼だ 41 00:04:35,886 --> 00:04:41,816 若い女性が冒険者の主人公 という点が特に重要だ 42 00:04:41,960 --> 00:04:48,249 特に若い男性にとって このような作品を見るのは重要だ 43 00:04:48,364 --> 00:04:50,234 "いい犬だね" 44 00:04:53,160 --> 00:04:54,290 "狼よ" 45 00:04:55,550 --> 00:05:04,890 少年は少女と自分を同一視することで 女性も人として対等であることを学ぶ 46 00:05:07,170 --> 00:05:17,000 「風の谷のナウシカ」は文明が 崩壊してから1000年後の世界の話だ 47 00:05:18,200 --> 00:05:23,680 少数の生き残った人類の王女である ナウシカという少女が冒険に出かけ 48 00:05:23,830 --> 00:05:31,249 毒に満ちた森と生き物たちから 世界を救おうと奮闘する 49 00:05:35,099 --> 00:05:38,069 "じっとして 驚かせないで" 50 00:05:38,180 --> 00:05:47,779 人間と巨大昆虫との戦いを 終わらせようとする 51 00:05:47,910 --> 00:05:51,349 "私たちは敵じゃない 傷つけたりしない" 52 00:05:52,181 --> 00:05:59,350 友人や家族間での共感表現はよくあるが 53 00:05:59,490 --> 00:06:07,669 グループの外の者への共感物語は珍しい 54 00:06:08,880 --> 00:06:13,269 相手が敵であるならなおさらだ 55 00:06:13,394 --> 00:06:16,852 "やめて!もう殺さないで!" 56 00:06:18,520 --> 00:06:23,179 敵への共感がこの映画の原理だ 57 00:06:23,289 --> 00:06:25,269 "ごめんなさい" 58 00:06:25,734 --> 00:06:30,934 "こんなひどいことをするなんて" 59 00:06:32,260 --> 00:06:42,389 ナウシカも虫の危険性には気づいているが それでもその獣への共感を広げていく 60 00:06:42,530 --> 00:06:47,370 そしてその共感が最後には人類を救う 61 00:06:52,940 --> 00:06:56,972 "射程7000マイル" 62 00:06:57,570 --> 00:07:00,590 "20メガトンの弾頭" 63 00:07:00,720 --> 00:07:08,699 「Amazing Grace and Chuck」は 核兵器の存在を理由に野球をやめる少年の話だ 64 00:07:08,820 --> 00:07:10,900 "どういうことだ?" 65 00:07:12,500 --> 00:07:16,529 "核兵器があるから野球はできない" 66 00:07:17,050 --> 00:07:18,890 "何の関係がある" 67 00:07:19,000 --> 00:07:22,559 "何も でもそうするべきだと思う" 68 00:07:22,820 --> 00:07:26,329 "お前のせいだからな" 69 00:07:28,050 --> 00:07:30,700 "終わりだ 俺たちの負け" 70 00:07:31,250 --> 00:07:41,148 その抗議がプロのバスケ選手を動かし 共に核への抗議活動を展開する 71 00:07:42,640 --> 00:07:46,130 ハリウッドが政治活動を 正当化するのは珍しい 72 00:07:46,260 --> 00:07:53,120 多くの映画で政治活動は 限定的に扱われるだけだ 73 00:07:53,260 --> 00:07:59,730 この映画は社会変化が どう起こるかを描いている 74 00:08:01,080 --> 00:08:15,469 社会変化は社会的コストがどんどん高くなり 体制側が要求を飲んだ方が得になると起こる 75 00:08:15,580 --> 00:08:24,250 映画ではスポーツ選手の多くが活動に参加し リーグを中止せざるを得なくなる状態に進む 76 00:08:24,380 --> 00:08:32,520 "今やプロスポーツ界だけでなく 学生スポーツ界まで中止になりました" 77 00:08:32,649 --> 00:08:39,280 "サッカーやテニス インドや中国にまで広がっています" 78 00:08:39,390 --> 00:08:47,197 抗議活動が社会的コストを増大させ 権力者も注意を向けざるを得なくなる 79 00:08:47,680 --> 00:08:48,659 "やあチャック" 80 00:08:48,759 --> 00:08:51,219 そして重い腰を上げる 81 00:08:52,280 --> 00:08:55,559 そうして世界は大きく変わる 82 00:08:55,690 --> 00:09:05,697 多くの映画とは異なり この社会変化は 悪を倒したり 指導者の行動で起こるのではない 83 00:09:06,190 --> 00:09:09,249 この社会変化は下から来る 84 00:09:09,389 --> 00:09:14,629 団結し 共に立ち上がった人々から 85 00:09:19,000 --> 00:09:26,679 「ハリーとヘンダスン一家」はある家族が 車でビッグフットをひくところから始まる 86 00:09:26,809 --> 00:09:28,599 "あいつかな?" 87 00:09:28,999 --> 00:09:29,959 "誰だ?" 88 00:09:30,087 --> 00:09:31,542 "ビッグフットだよ" 89 00:09:31,654 --> 00:09:39,114 家族はその生き物をハリーと名付け そこから人生が大きく変わっていく 90 00:09:40,619 --> 00:09:46,039 これはいいビッグフット映画だ 91 00:09:47,110 --> 00:09:55,609 ハリーが他の生き物に見せる共感が 家族の世界観に影響を与えていく 92 00:09:55,740 --> 00:09:59,129 特に狩りと銃について 93 00:09:59,259 --> 00:10:04,239 父親は特に大きな変化を遂げる 94 00:10:04,349 --> 00:10:13,549 ハンターで武器商人だったが 非暴力的でクリエイティブになった 95 00:10:13,679 --> 00:10:15,089 "これ描いたの?" 96 00:10:15,209 --> 00:10:16,139 "ああ" 97 00:10:17,140 --> 00:10:19,120 "綺麗" 98 00:10:20,330 --> 00:10:28,620 男らしさを示す銃や暴力を 男性が捨てるという描写は重要だ 99 00:10:28,800 --> 00:10:33,010 "キングコングじゃないのか 何だこのデカネズミは" 100 00:10:33,140 --> 00:10:35,270 "全然違う" 101 00:10:35,400 --> 00:10:40,020 "これが本物だ 別に悪くないだろ" 102 00:10:40,140 --> 00:10:43,519 "優しいし感情もある" 103 00:10:43,654 --> 00:10:45,444 "何だそれは" 104 00:10:46,260 --> 00:10:53,829 この映画が描いたように 男らしさとして 共感を描写できない理由はない 105 00:10:57,520 --> 00:11:06,470 「ニューヨーク東8番街の奇跡」は アパートからの強制立ち退きに抵抗する話だ 106 00:11:06,605 --> 00:11:07,775 "やめろ!" 107 00:11:11,190 --> 00:11:21,591 かわいそうな住人たちだが 機械のエイリアンと出会う 108 00:11:22,611 --> 00:11:27,220 住人は彼らを受け入れ 109 00:11:27,350 --> 00:11:35,261 互いに協力し 燃料を提供する代わりに 一緒に戦うことになる 110 00:11:35,385 --> 00:11:36,725 "どうだ?" 111 00:11:36,852 --> 00:11:38,072 "やってる" 112 00:11:39,530 --> 00:11:41,260 "私はおばあちゃん" 113 00:11:41,400 --> 00:11:49,220 機械の生命体は建物を修理する 114 00:11:49,910 --> 00:11:54,840 "直ってる 直せるんだ うまいもんだ" 115 00:11:54,968 --> 00:11:59,118 映画は多様な連帯を描いている 116 00:11:59,250 --> 00:12:05,439 人間とエイリアンは異なる背景と欲求を持つが 117 00:12:05,580 --> 00:12:10,639 それでもお互いを助けるように行動する 118 00:12:12,030 --> 00:12:17,190 以上これらの映画を振り返ってみると 119 00:12:17,320 --> 00:12:25,127 今のハリウッドに蔓延している 表面的な懐古趣味に対する解毒剤的なものを感じる 120 00:12:25,268 --> 00:12:26,288 "すごい" 121 00:12:27,070 --> 00:12:31,400 この映画のリストにも欠点がないわけではない 122 00:12:31,540 --> 00:12:40,100 1980年代の映画には人種的偏見や 白人中心的な側面があった 123 00:12:40,220 --> 00:12:47,889 それでも共感と連帯というテーマは 私の成長に大きな影響を与えた 124 00:12:48,020 --> 00:12:53,849 リストは個人的なものだし 私に固有のものだ 125 00:12:55,040 --> 00:13:02,620 年齢 性別 文化的背景によって 個人のリストは変わるだろう 126 00:13:03,420 --> 00:13:11,280 この10年間の映画でリストを作るなら 含めたい素晴らしい映画がいっぱいある 127 00:13:11,410 --> 00:13:18,589 「ウォーリー」や「ファンタスティックビースト」は すでに動画も作った 128 00:13:18,720 --> 00:13:26,030 しかし共感や連帯を中心とした作品は 2018年の今もまだあまり見られない 129 00:13:26,777 --> 00:13:34,351 これは悲しい なぜなら私たちには 機械が共感を示すような映画がもっと必要だからだ