WEBVTT 00:00:00.690 --> 00:00:02.016 エイミー・パッドナーニです 00:00:02.040 --> 00:00:05.619 『ニューヨークタイムズ』紙の 追悼記事の編集をしています 00:00:05.643 --> 00:00:08.992 私のことを 「死の天使」と呼ぶ友達もいます NOTE Paragraph 00:00:09.016 --> 00:00:11.315 (笑) NOTE Paragraph 00:00:11.339 --> 00:00:13.110 実際のところ 00:00:13.134 --> 00:00:15.387 「追悼記事の担当として いつも死を考えるなんて 00:00:15.411 --> 00:00:17.704 落ち込みませんか?」と 人には聞かれます 00:00:17.728 --> 00:00:19.205 私がどう返事するか解りますか? 00:00:19.229 --> 00:00:22.689 追悼記事では死ではなく その人の人生を語るので 00:00:22.689 --> 00:00:24.053 興味深いし 共感できます 00:00:24.077 --> 00:00:26.544 誰も知らないことも よくあります NOTE Paragraph 00:00:27.371 --> 00:00:28.942 例えば 最近 00:00:28.966 --> 00:00:32.223 靴下パペット考案者の 追悼記事を掲載しました NOTE Paragraph 00:00:32.671 --> 00:00:33.974 (笑) NOTE Paragraph 00:00:33.998 --> 00:00:35.879 靴下パペットをご存じでも 00:00:35.903 --> 00:00:39.775 誰が考案し その人がどんな人生を歩んだか 考えてみたことありますか? 00:00:40.522 --> 00:00:42.783 追悼記事は ジャーナリズムの 特徴的な形式です 00:00:42.807 --> 00:00:44.379 あたかも 芸術作品のように 00:00:44.403 --> 00:00:48.093 記者にとっては ある人の人生の話を 00:00:48.117 --> 00:00:49.917 美しい物語として 織りなす機会なのです NOTE Paragraph 00:00:51.038 --> 00:00:53.006 1851年以来 00:00:53.030 --> 00:00:56.748 『ニューヨークタイムズ』紙は 何千件という量の追悼記事を掲載してきました 00:00:57.159 --> 00:01:00.643 首脳陣、 有名人 00:01:00.667 --> 00:01:03.534 スリンキーというおもちゃの 名前の考案者さえいました 00:01:04.358 --> 00:01:06.024 でも 1つだけ問題がありました 00:01:06.474 --> 00:01:08.450 女性や有色人種の人生を語った 00:01:08.474 --> 00:01:11.958 追悼記事はごく僅かなのです 00:01:13.450 --> 00:01:15.444 それが私のプロジェクト 00:01:15.444 --> 00:01:17.497 「Overlooked (見落とされた人々)」を 立ち上げたきっかけでした 00:01:17.497 --> 00:01:19.712 追悼記事に載らないような 社会から疎外された人々の 00:01:19.736 --> 00:01:21.109 人生を語るのです 00:01:21.133 --> 00:01:25.815 『ニューヨークタイムズ』紙にとっても 創刊168年以来の在り方を見つめ直し 00:01:25.839 --> 00:01:27.141 理由は何であれ 00:01:27.165 --> 00:01:29.873 掲載されなかった人々の 歴史の隙間を埋める機会です 00:01:30.389 --> 00:01:33.456 過去の間違いを正し 00:01:34.477 --> 00:01:38.719 誰が重要と見なされるかについて 社会の見方の焦点を定め直す機会なのです NOTE Paragraph 00:01:40.482 --> 00:01:44.823 2017年に追悼記事に配属された時に 発案したプロジェクトです 00:01:44.847 --> 00:01:48.506 黒人の人権を訴える社会運動 「ブラック・ライヴズ・マター」は頂点に達し 00:01:48.530 --> 00:01:52.222 男女不平等に関する議論も 再燃していました 00:01:52.887 --> 00:01:56.798 同時に 私はジャーナリストとして さらに有色人種の女性として 00:01:56.822 --> 00:01:59.686 この議論を進展させるために 私が出来ることは何かと考えました 00:01:59.710 --> 00:02:01.505 人々が表に出てきて 00:02:01.529 --> 00:02:04.004 理不尽さを感じたことを話しており 00:02:04.028 --> 00:02:05.895 私は身につまされました 00:02:07.101 --> 00:02:10.119 だから 時々届く読者のメールに 00:02:10.143 --> 00:02:13.177 「何故もっと女性や有色人種の人の 追悼記事がないのか?」 00:02:13.201 --> 00:02:14.711 とあるのに気付き 00:02:14.855 --> 00:02:17.055 「本当 何故なんだろう?」と思いました NOTE Paragraph 00:02:17.815 --> 00:02:20.339 私は部署内では新人なので 同僚に聞いてみると 00:02:20.363 --> 00:02:22.905 「今亡くなっていく人たちは 00:02:22.929 --> 00:02:25.714 女性や有色人種の人が 影響力を発揮するのを 00:02:25.738 --> 00:02:28.635 歓迎しなかった時代の人たちだ 00:02:28.659 --> 00:02:30.213 世代がさらに変わると 00:02:30.237 --> 00:02:33.571 女性や有色人種の人の追悼記事が 増えるだろう」と言われました 00:02:34.225 --> 00:02:37.042 そんな答えは全然納得できませんでした NOTE Paragraph 00:02:37.066 --> 00:02:38.081 (笑) NOTE Paragraph 00:02:38.105 --> 00:02:40.723 一体 死んだ女性たちはどこに行ったの? NOTE Paragraph 00:02:40.747 --> 00:02:43.191 (笑) NOTE Paragraph 00:02:43.215 --> 00:02:47.004 そこで 訃報をどのように 入手するのか考えてみました 00:02:47.028 --> 00:02:49.710 一番多いのは 読者からの情報提供です 00:02:49.734 --> 00:02:50.894 そこで考えたのが 00:02:50.918 --> 00:02:52.883 「海外の新聞を見たり 00:02:52.883 --> 00:02:55.263 ソーシャルメディアを 読みあさったらどうだろう?」 00:02:55.553 --> 00:02:57.687 ちょうど同じ時期に 00:02:58.633 --> 00:03:00.903 色んなことが頭の中を巡っていて 00:03:00.927 --> 00:03:04.642 私はメアリー・アウターブリッジを 紹介したサイトを見つけました 00:03:05.082 --> 00:03:09.551 メアリーは1874年に米国に テニスを紹介したとされていました 00:03:10.193 --> 00:03:12.844 私は驚きました 「米国で最大のスポーツの1つを 00:03:12.868 --> 00:03:14.498 紹介したのは女性だったの? 00:03:14.522 --> 00:03:16.322 それを知っている人はいたの? 00:03:16.688 --> 00:03:19.490 メアリーの追悼記事は うちの新聞に載ったの?」 00:03:19.514 --> 00:03:21.545 ネタバレ注意です ― 載りませんでした NOTE Paragraph 00:03:21.569 --> 00:03:22.664 (笑) NOTE Paragraph 00:03:22.688 --> 00:03:24.585 他に誰が見落とされたか 考えてみました 00:03:24.609 --> 00:03:27.638 そこで私はアーカイブを 徹底的に調べることにしました 00:03:28.688 --> 00:03:30.426 驚くことが色々ありました 00:03:30.450 --> 00:03:32.486 リンチ反対運動を始めた 00:03:32.510 --> 00:03:34.851 草分け的存在のジャーナリスト アイダ・B・ウェルズ 00:03:36.190 --> 00:03:38.183 才気あふれる詩人の シルヴィア・プラス 00:03:39.973 --> 00:03:41.617 数学者のエイダ・ラブレス 00:03:41.641 --> 00:03:44.508 今では初のコンピュータープログラマーと 認められています NOTE Paragraph 00:03:45.378 --> 00:03:47.180 そこで 部署に戻ると私は 00:03:47.204 --> 00:03:50.004 「彼女たちの人生を今改めて 伝えてみたら」と提案しました 00:03:50.442 --> 00:03:52.633 同意を得るには 時間がかかりました 00:03:52.657 --> 00:03:54.492 最初に正しく報道しなかったために 00:03:54.516 --> 00:03:58.245 本紙が面目を失うのでは という懸念もありました 00:03:59.204 --> 00:04:03.164 現在のニュース報道ではなく 過去を回顧するのは 00:04:03.188 --> 00:04:05.894 少し変でもありましたが 00:04:06.585 --> 00:04:09.133 「これは本当に価値ある取材です」 と私は伝えました 00:04:09.157 --> 00:04:10.950 いったん 部署内で意義が見出されると 00:04:10.974 --> 00:04:12.474 全員が全力投球しました 00:04:12.760 --> 00:04:15.313 12人ほどの記者や編集者の協力を得て 00:04:15.337 --> 00:04:18.632 2018年3月8日に 00:04:18.656 --> 00:04:21.322 15人の非凡な女性の物語とともに 掲載を開始しました NOTE Paragraph 00:04:22.450 --> 00:04:26.096 部署の強力な取材力を 私は承知はしていましたが 00:04:26.120 --> 00:04:29.445 これほど反響を呼ぶとは 思ってもみませんでした 00:04:29.469 --> 00:04:31.692 何百通のメールが 送られてきました 00:04:31.716 --> 00:04:33.279 送り主はこう書いてきました 00:04:33.303 --> 00:04:36.251 「ようやく 彼女たちに 声を与えてくれてありがとう」 00:04:36.275 --> 00:04:39.163 こういう読者もいました 00:04:39.187 --> 00:04:42.050 「記事を読みながら出勤中に泣けました 00:04:42.074 --> 00:04:44.441 初めて女性として 認められたように感じたから」 00:04:45.116 --> 00:04:47.355 私の同僚はこう言いました 00:04:47.379 --> 00:04:49.041 「有色人種の女性が 00:04:49.065 --> 00:04:51.283 『ニューヨークタイムズ』紙で 00:04:51.307 --> 00:04:53.263 こんな成果を出すとは 思ってもいなかった」 00:04:53.878 --> 00:04:56.989 読者からも 約4,000通の情報提供があり 00:04:57.013 --> 00:04:59.449 私たちが見落としていた人を 教えてくれました 00:04:59.473 --> 00:05:02.547 その中には 私のお気に入りが いくつかあります NOTE Paragraph 00:05:03.481 --> 00:05:06.013 私のナンバー1は グランマ・ゲートウッドです NOTE Paragraph 00:05:06.037 --> 00:05:07.243 (笑) NOTE Paragraph 00:05:07.267 --> 00:05:12.117 グランマは30年間 夫の家庭内暴力を生き抜いてきました 00:05:13.044 --> 00:05:15.741 ある日 夫はグランマを 見る影もないほど殴りました 00:05:15.765 --> 00:05:17.966 夫はほうきが折れるほど グランマの頭を叩き 00:05:17.990 --> 00:05:20.444 抵抗したグランマは 夫の顔に小麦粉を投げつけました 00:05:20.751 --> 00:05:23.618 ところが 警察が到着して逮捕されたのは 夫ではなくグランマでした 00:05:25.030 --> 00:05:27.941 刑務所に拘束された グランマを見た市長は 00:05:27.965 --> 00:05:29.913 彼女が回復するまで 自宅に引き取りました 00:05:30.620 --> 00:05:33.544 ある日 グランマは 『ナショナル・ジオグラフィック』で 00:05:33.568 --> 00:05:35.147 女性が単独でアパラチア山道を 00:05:35.171 --> 00:05:37.554 トレッキングしたことはない という記事を読み 00:05:37.888 --> 00:05:40.674 「それなら自分がやってみせる」 と言いました 00:05:41.630 --> 00:05:45.442 レポーター達が年老いたグランマが山林を トレッキングすると聞きつけました 00:05:45.542 --> 00:05:47.169 そしてゴールでグランマに尋ねたのが 00:05:47.193 --> 00:05:49.882 「大変な環境をどう生き抜いたのですか?」 00:05:50.403 --> 00:05:53.430 彼らはグランマが生き抜いた 夫の暴力のことは知りませんでした NOTE Paragraph 00:05:54.553 --> 00:05:57.291 「見落とされた人々」は 大成功でした 00:05:57.617 --> 00:06:00.188 Netflix の番組として 放送される予定です NOTE Paragraph 00:06:00.212 --> 00:06:01.363 (笑) NOTE Paragraph 00:06:01.387 --> 00:06:07.014 (拍手) NOTE Paragraph 00:06:07.038 --> 00:06:09.752 番組として世に出るのを 早く見たくてたまりません 00:06:10.633 --> 00:06:13.517 25社もの多様な出版社から 「見落とされた人々」を 00:06:13.541 --> 00:06:15.914 本にする話もきています 00:06:16.760 --> 00:06:21.223 このプロジェクトが時宜にかない 求められているのは明らかです 00:06:22.097 --> 00:06:24.216 またそれは 新聞社の務めが 00:06:24.240 --> 00:06:26.890 世界の出来事を日々記録することであり 00:06:26.914 --> 00:06:29.628 重要な人物を省かないように すべきだと思い出させてくれます 00:06:30.807 --> 00:06:34.450 私は 過去を振り返ることの 意義の大きさを考えながらも 00:06:34.474 --> 00:06:36.585 ずっと考え続けている問いもあります 00:06:36.609 --> 00:06:38.467 「追悼記事の未来はどうなるのか― 00:06:38.491 --> 00:06:40.171 どう多様化させたらいいのか」と 00:06:40.195 --> 00:06:42.274 それは 私の原点と言える問題です NOTE Paragraph 00:06:43.069 --> 00:06:46.608 この疑問に答えるための 情報を集めようと思い立ちました 00:06:46.958 --> 00:06:51.490 ニューヨーク・タイムズ・ビルの 地下の奥深く 地下3階にある 00:06:51.514 --> 00:06:52.704 資料室に行きました 00:06:52.728 --> 00:06:54.212 モルグ(死体公示所)とも言います NOTE Paragraph 00:06:54.236 --> 00:06:55.386 (笑) NOTE Paragraph 00:06:56.101 --> 00:06:59.331 そこで文書保管係の 助けを借りました 00:06:59.355 --> 00:07:03.287 『ニューヨークタイムズ 追悼記事目録』について教わり 00:07:03.649 --> 00:07:06.141 それを「ニューヨーク系図協会」に渡して 00:07:06.165 --> 00:07:08.314 デジタル化してもらいました 00:07:08.338 --> 00:07:11.767 プログラマーが 「Mr., Mrs., Lady, Sir」などの 00:07:11.791 --> 00:07:15.448 性別を特定する語を伴う見出しを 解析するプログラムを書いてくれました 00:07:15.986 --> 00:07:20.430 すると 1851年から2017年までの間に 00:07:20.454 --> 00:07:23.922 追悼記事に載った女性は 僅か15~20%だったことが分かりました 00:07:25.653 --> 00:07:28.423 次に 私がプログラマーと手がけたのが 00:07:28.447 --> 00:07:30.296 多様性分析ツールでした 00:07:30.320 --> 00:07:33.330 無味乾燥な名前ですが すごく便利なツールなんです 00:07:33.776 --> 00:07:38.067 追悼記事の男女比を 月ごとに分析してくれます 00:07:39.222 --> 00:07:41.285 大したことではないように 聞こえるでしょうが 00:07:41.309 --> 00:07:43.349 以前はこうやって計算していました NOTE Paragraph 00:07:43.373 --> 00:07:44.938 (笑) NOTE Paragraph 00:07:45.990 --> 00:07:48.229 私は 30%という目標設定を 00:07:48.253 --> 00:07:50.201 プログラムに組み込んでもらいました 00:07:50.225 --> 00:07:53.425 「見落とされた人々」を 立ち上げた2018年3月から 00:07:53.449 --> 00:07:55.320 2019年3月までの間に 00:07:55.344 --> 00:07:58.605 女性の追悼記事を30%にするのが 私の目標でした 00:07:58.629 --> 00:08:01.725 それは 創業から168年間 到達できずにいた数字ですが 00:08:01.749 --> 00:08:04.487 嬉しいことに 31%を達成できました NOTE Paragraph 00:08:05.116 --> 00:08:09.455 (拍手) NOTE Paragraph 00:08:09.479 --> 00:08:11.281 素晴らしいことですが 十分ではありません 00:08:11.601 --> 00:08:13.466 次の目標は 35%で 00:08:13.490 --> 00:08:15.950 その次は 40% 最終的には半々を目指します 00:08:16.411 --> 00:08:19.126 そしてこのプログラマーとさらに協力し 00:08:19.150 --> 00:08:22.267 追悼記事の有色人種の比率を割り出す 類似のツールを作りたいと思っています 00:08:23.180 --> 00:08:27.492 有色人男性も「見過ごされた人々」に 加えたいと思っており 00:08:27.492 --> 00:08:29.314 黒人の歴史を称える月の特別欄で 00:08:29.338 --> 00:08:30.520 ついにそれが可能となり 00:08:30.544 --> 00:08:33.639 黒人男女12人程の物語を語りました 00:08:34.125 --> 00:08:36.807 本当に強烈な経験でした 00:08:36.831 --> 00:08:38.751 その多くの人たちが奴隷だったり 00:08:38.775 --> 00:08:41.307 奴隷制度から一世代離れた人たちでした 00:08:41.331 --> 00:08:43.831 人生を成功させるためには その多くの人が 00:08:43.855 --> 00:08:45.466 過去を偽る必要がありました 00:08:45.919 --> 00:08:48.188 彼らはいくつかの形の困難に 00:08:48.212 --> 00:08:49.801 繰り返し遭遇しました NOTE Paragraph 00:08:50.001 --> 00:08:51.604 例えば エリザベス・ジェニングスは 00:08:51.628 --> 00:08:53.269 ニューヨーク市の 人種隔離政策下で 00:08:53.293 --> 00:08:55.563 電車に乗る権利を求めて闘いました 00:08:55.587 --> 00:08:59.637 ローザ・パークスがバスで 同じように闘った100年前のことです 00:09:00.268 --> 00:09:02.513 私たちが歩んできた 長い道のりを示すのと同時に 00:09:02.537 --> 00:09:06.123 まだいかに多くの課題が 残されたことの表れです NOTE Paragraph 00:09:07.149 --> 00:09:09.974 「見落とされた人々」には他にも 疎外された人を含んでいます 00:09:09.998 --> 00:09:13.799 最近 コンピュータプログラマーの アラン・チューリングの追悼記事を載せました 00:09:14.157 --> 00:09:17.594 信じられないことに それまで この優れた人物の追悼記事はありませんでした 00:09:17.618 --> 00:09:18.824 第二次世界大戦中 00:09:18.848 --> 00:09:21.625 ドイツ軍の暗号を解読したことで 00:09:21.649 --> 00:09:23.675 戦争を終結に導いた功績にもかかわらずです 00:09:24.356 --> 00:09:27.727 それどころかチューリングは 性的指向を理由に犯罪者扱いで死んだ上 00:09:27.751 --> 00:09:30.464 化学的去勢を強制されました NOTE Paragraph 00:09:32.648 --> 00:09:35.862 このプロジェクトのような 素晴らしい物事は簡単には成し得ません 00:09:36.346 --> 00:09:38.403 立ち上げる価値があるものだと 00:09:38.427 --> 00:09:42.202 多くの人々を懸命に説得しても 上手くいかない日々がありました 00:09:42.807 --> 00:09:45.229 自信喪失で 打ちひしがれた時もありました 00:09:45.253 --> 00:09:47.514 自分はおかしいのか 信じているのは自分だけなのか 00:09:47.538 --> 00:09:49.395 断念すべきかと 思ったこともありました 00:09:49.419 --> 00:09:51.672 でも このプロジェクトの反響を見て 00:09:51.696 --> 00:09:53.244 自分だけではないと分かりました 00:09:53.268 --> 00:09:55.704 私と同じように感じる人は 沢山います NOTE Paragraph 00:09:56.688 --> 00:09:59.633 まあ 追悼記事について考える人は 多くはありません 00:09:59.657 --> 00:10:03.486 でも あえて考えてみると それは人間の生き様の証だと気付きます 00:10:04.050 --> 00:10:07.708 ある人のこの世への貢献を語れる 最後の機会であり 00:10:09.081 --> 00:10:12.273 社会が誰を重要と見なすのかの 実例なのです 00:10:13.163 --> 00:10:14.402 今から100年後 00:10:14.426 --> 00:10:17.712 私たちの時代がどんな時代だったのかと 過去を調べる人がいるかもしれません 00:10:18.973 --> 00:10:20.529 私はラッキーです 00:10:20.553 --> 00:10:23.188 ジャーナリストとして 追悼記事という形式を使って 00:10:23.212 --> 00:10:25.286 既存の語りに変化を 与えることができました 00:10:25.895 --> 00:10:28.725 老舗の企業に 自らの現状を見直すよう 00:10:28.725 --> 00:10:31.212 促すことにも貢献できました 00:10:31.748 --> 00:10:34.962 少しずつでも 私がこのプロジェクトを継続することで 00:10:35.835 --> 00:10:38.264 社会の見方の焦点を 定め直し続けることで 00:10:38.288 --> 00:10:41.630 これからは見落とされる人が いなくなることを期待しています NOTE Paragraph 00:10:41.944 --> 00:10:43.095 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:10:43.119 --> 00:10:47.531 (拍手)