WEBVTT 00:00:01.640 --> 00:00:04.779 これは資本主義についての話です 00:00:04.779 --> 00:00:06.567 私はこのシステムが好きです 00:00:06.567 --> 00:00:11.291 私を含めて何百万もの人々に 成功とチャンスをもたらしたからです NOTE Paragraph 00:00:11.791 --> 00:00:18.056 20代の時に商品取引所で綿花の取引を 始めました 00:00:18.056 --> 00:00:21.682 誰でも参入できる自由市場があるとすれば ここがそうでした 00:00:21.682 --> 00:00:25.300 ネクタイを締めた男たちが ローマ時代の剣闘士のように 00:00:25.300 --> 00:00:28.787 利益のために戦っていたのです NOTE Paragraph 00:00:29.437 --> 00:00:32.360 幸運なことに 私は才能があり 30才の時までには 00:00:32.360 --> 00:00:36.020 資産運用の上層部に入ることができて 00:00:36.020 --> 00:00:39.572 その後30年間、世界市場を相手に マクロ・トレーダーとして働きました 00:00:39.572 --> 00:00:42.846 その間 市場では多くの異常な出来事を 目にしたり 00:00:42.846 --> 00:00:47.529 狂乱市場での取引も行いました 00:00:47.529 --> 00:00:49.638 そして残念なことに 00:00:49.638 --> 00:00:52.938 私たちは 私のキャリアの中でも最悪の状況に 00:00:52.938 --> 00:00:56.894 とらわれていると言わなければなりません 00:00:56.894 --> 00:01:00.115 そして市場の熱狂は良くない結果に至る という教訓が繰り返されるのです NOTE Paragraph 00:01:00.775 --> 00:01:03.581 過去50年間に渡り 00:01:03.581 --> 00:01:09.432 私たちの社会は 企業や組織を 00:01:09.432 --> 00:01:14.238 非常に狭い ほとんど偏執的な価値観で 00:01:14.988 --> 00:01:18.255 評価するようになりました 00:01:18.255 --> 00:01:21.924 利益を過大評価し 00:01:21.924 --> 00:01:24.710 短期的な四半期決算と株価のみを追い 00:01:24.710 --> 00:01:27.550 その他を顧みなかったのです 00:01:27.550 --> 00:01:32.319 まるで人間性を 企業から取り去ってしまったかのようです 00:01:32.319 --> 00:01:36.313 しかし 我々は 都合よく何かの価値を 00:01:36.313 --> 00:01:39.521 数字に変えて レゴブロックのように扱うことはしません 00:01:39.521 --> 00:01:41.869 個人の生活の中では そんなことはしないのです 00:01:41.869 --> 00:01:45.072 誰かの価値を 月収や 00:01:45.072 --> 00:01:49.213 銀行の信用度をベースに評価したり しません 00:01:49.213 --> 00:01:51.020 しかし私たちがビジネスを評価する時 00:01:51.020 --> 00:01:53.565 このダブルスタンダードが存在します 00:01:53.565 --> 00:01:55.050 それが実は 00:01:55.050 --> 00:01:58.215 私たちの社会基盤を 脅かしているのです 00:01:58.215 --> 00:01:59.817 これを見てください NOTE Paragraph 00:01:59.817 --> 00:02:04.322 このチャートは過去40年に渡る企業利益率を 00:02:04.322 --> 00:02:06.400 収益の割合で示したものですが 00:02:06.400 --> 00:02:10.707 現在、40年来の最高値の 12.5% を つけています 00:02:10.707 --> 00:02:14.259 あなたが株主なら バンザイという ところでしょう 00:02:14.259 --> 00:02:18.526 しかしあなたが逆の側にいる人 つまり普通のアメリカ人労働者なら 00:02:18.526 --> 00:02:21.833 これがそんなに良い状況ではないことが分かるでしょう 00:02:21.833 --> 00:02:25.410 [(青)企業利益における賃金・福利厚生の割合 (赤)CEOと一般社員の報酬比率 ] NOTE Paragraph 00:02:25.410 --> 00:02:28.527 利益率の拡大は、社会的な富を もたらしません 00:02:29.602 --> 00:02:33.766 実際は所得の不平等を悪化させるのです 00:02:33.766 --> 00:02:36.166 それは良いことではありません 00:02:36.166 --> 00:02:38.627 しかし 直感的には整合性が ありますね? 00:02:38.627 --> 00:02:42.250 アメリカの家庭の上位10%が 00:02:42.250 --> 00:02:44.610 株式の90%を所有しており 00:02:44.610 --> 00:02:47.571 企業利益の大半を手に入れれば 00:02:47.571 --> 00:02:51.514 その他大勢に残される富は 少なくなります NOTE Paragraph 00:02:51.514 --> 00:02:54.300 繰り返しますが、所得の不平等は 良いことではありません 00:02:54.300 --> 00:02:56.761 次のチャートはEquality Trustが 作成しました 00:02:56.761 --> 00:03:01.614 オーストラリア、日本、ニュージーランド といった21カ国の状況を記しています 00:03:01.614 --> 00:03:04.818 横軸は所得の不平等 00:03:04.818 --> 00:03:08.116 右へいけば行くほど 所得不平等の割合が高く 00:03:08.116 --> 00:03:11.459 縦軸は9つの社会的・健康的な指標です 00:03:11.459 --> 00:03:14.222 上へいけば行くほど 問題が悪化します 00:03:14.222 --> 00:03:19.470 これらの指標は寿命、 十代での妊娠、識字率 00:03:19.470 --> 00:03:22.210 社会的流動性などを含みます 00:03:22.210 --> 00:03:25.391 さて 客席にいるアメリカ人は 00:03:25.391 --> 00:03:27.736 アメリカの位置が気になるでしょうね 00:03:27.736 --> 00:03:29.593 このチャートのどこにあるんだろう? 00:03:29.593 --> 00:03:31.288 実のところ 00:03:31.288 --> 00:03:33.370 私たちは文字通りチャート外なのです 00:03:33.970 --> 00:03:35.793 そう これが私たちです 00:03:35.793 --> 00:03:37.952 最も所得の格差が大きく 00:03:37.952 --> 00:03:42.248 これらの指標によれば 社会的問題が最も多いのです NOTE Paragraph 00:03:42.248 --> 00:03:44.802 これは簡単なマクロ経済予測ですが 00:03:44.802 --> 00:03:48.401 最も豊かな国と最も貧しい国との差は 00:03:48.401 --> 00:03:50.421 縮小するのです 00:03:50.421 --> 00:03:52.010 歴史上はいつもそうでした 00:03:52.010 --> 00:03:54.159 通常、次の3つの内のひとつが おこります 00:03:54.159 --> 00:04:00.560 革命、増税、または戦争 00:04:00.560 --> 00:04:02.889 私の予定にはどれも入っていません 00:04:02.889 --> 00:04:04.025 (笑) NOTE Paragraph 00:04:04.025 --> 00:04:06.086 さあ もう一つの方法があります 00:04:06.086 --> 00:04:10.226 それは企業活動の公正性を 拡大することです 00:04:10.226 --> 00:04:12.989 しかし現在のやり方から 00:04:12.989 --> 00:04:16.983 行動を大幅に変えなければなりません 00:04:16.983 --> 00:04:20.930 中毒患者が苦労するように 00:04:20.930 --> 00:04:24.436 最初の一歩は まず問題があることを 認めることです 00:04:24.436 --> 00:04:28.337 そして我々のこの利益中毒は 00:04:28.337 --> 00:04:30.636 あまりにも深く根を張っていて 00:04:30.636 --> 00:04:33.167 それがどのように社会に害をなしているか気づかない程です 00:04:33.167 --> 00:04:37.184 ちょっとした しかし驚くべき例があります 00:04:37.184 --> 00:04:40.247 このグラフは過去30年間の企業による 寄付を 00:04:40.247 --> 00:04:45.632 利益における割合で示しています 分母は収益ではありません 00:04:45.632 --> 00:04:51.401 これを先程の企業の利益率のグラフと並べます 00:04:51.401 --> 00:04:55.528 みなさんに聞きますが これが正しいと感じますか? NOTE Paragraph 00:04:56.758 --> 00:04:59.699 これを作成している時私は仰天しました 00:04:59.699 --> 00:05:02.160 「なんてこった、私の会社―Tudorは一体何をやってるんだ?」 00:05:02.160 --> 00:05:07.693 私は自分の企業収益のたった1%を毎年 チャリティーへ寄付しているのだと 00:05:07.693 --> 00:05:09.423 気付きました 00:05:09.423 --> 00:05:13.324 それで私は慈善事業家だと呼ばれるのです 00:05:13.324 --> 00:05:19.623 それに気付いた時 本当に吐き気がしました 00:05:19.623 --> 00:05:22.101 しかし問題は この収益への熱狂は あまりにも深層に根付いているので 00:05:22.101 --> 00:05:27.263 私を含め 善意の人々すら自分達が その一端を担っているのだと気付かない事なのです NOTE Paragraph 00:05:27.943 --> 00:05:30.274 企業の行動は 単純に社会貢献活動や 00:05:30.274 --> 00:05:35.591 寄付金を増やす事で変わりません 00:05:35.591 --> 00:05:38.725 あぁ それと それから私の会社では 寄付金を4倍にしましたが― 00:05:38.725 --> 00:05:42.974 (拍手) いや よして下さい 00:05:42.974 --> 00:05:46.713 企業の行動は 公正な行動を促していくことで変わります 00:05:46.713 --> 00:05:49.754 その一つは まず私たちをここまで導いて来たシステムを 00:05:49.754 --> 00:05:52.169 信じることです 00:05:52.169 --> 00:05:54.282 自由市場というシステムです 00:05:54.282 --> 00:05:56.975 1年ほど前 数人の友人達と 00:05:56.975 --> 00:06:00.025 Just CapitalというNPOを始めました 00:06:00.025 --> 00:06:01.493 ミッションはとても単純 00:06:01.493 --> 00:06:03.988 企業や会社がより公正な運営ができるよう 00:06:03.988 --> 00:06:09.263 企業行動の公正さを定義する尺度を 人々の意見から洗いだすのです 00:06:09.263 --> 00:06:15.574 人々の意見を活用して企業の公正な行動というものを 定義する尺度を洗い出すのです 00:06:15.574 --> 00:06:17.989 いま 企業にとって分かりやすいような 広く受け入れられている 00:06:17.989 --> 00:06:22.331 基準というものは存在しません そこでJust Capitalが役に立つのです 00:06:22.331 --> 00:06:27.651 今年から始めて毎年 我々はアメリカ全土でアンケートを行い 00:06:27.651 --> 00:06:31.781 2万人の統計サンプル人口から 00:06:31.781 --> 00:06:34.701 彼らが企業の行動において 公正さを測る基準を 00:06:34.701 --> 00:06:38.579 どう考えるのかを探り出します 00:06:38.579 --> 00:06:41.591 このモデルはアメリカ合衆国から始まりますが 00:06:41.591 --> 00:06:44.226 世界中のどこでも取り入れることができます 00:06:44.226 --> 00:06:46.107 そして 最も人々が大切に思っていることが 00:06:46.107 --> 00:06:48.975 最低賃金を超える雇用の創出だったり 00:06:48.975 --> 00:06:54.326 健康な商品を作ることだったり 環境を害するのではなく良い影響を与える企業だったりと 00:06:54.326 --> 00:06:57.577 そういうことを発見して行くのかも知れません 00:06:57.577 --> 00:07:01.850 Just Capitalにはこの答えはありません 決めるのは私たちではないからです 00:07:01.850 --> 00:07:03.846 私たちはメッセンジャーに過ぎませんが 00:07:03.846 --> 00:07:07.956 アメリカの人々が正しい判断ができると 100%信じています 00:07:07.956 --> 00:07:09.190 アメリカの人々が正しい判断ができると 100%信じています 00:07:09.880 --> 00:07:13.410 今年の9月にデータを初めて発表して 00:07:13.410 --> 00:07:15.850 来年もまたアンケートを行います 00:07:15.850 --> 00:07:18.149 その時は過去の集計に加える形で 00:07:18.149 --> 00:07:21.168 最も大きなアメリカ企業1,000社のランキングを作成し 00:07:21.168 --> 00:07:25.720 最優良企業から最下位の企業までを列挙して行きます 00:07:25.720 --> 00:07:28.551 これをJust Index (ジャスト・インデックス)と呼びます 00:07:28.551 --> 00:07:33.800 私たちは独立した非営利組織でバイアスを持たず 00:07:33.800 --> 00:07:38.953 アメリカの公衆の声を明らかにするのです 00:07:38.953 --> 00:07:45.156 次第に人々がどの会社が最も公正かを知るにつれ 00:07:45.176 --> 00:07:49.216 人材や経済的資源がそこへ流れ込む ようになって行くかも知れません 00:07:49.216 --> 00:07:51.190 そして公正な企業が更に栄え 00:07:51.190 --> 00:07:54.021 我が国が更に繁栄するのを 助けてくれるようになるかも知れません 00:07:55.351 --> 00:07:59.457 ―今まで資本主義は 主だった技術革新や発明を支えることで NOTE Paragraph 00:07:59.457 --> 00:08:03.608 活気に満ちた素晴らしい世界を作ってきました 00:08:04.578 --> 00:08:07.443 資本主義は正義に根ざすべきです 00:08:07.443 --> 00:08:09.649 経済的豊かさの分断が日々広がり続ける今 00:08:09.649 --> 00:08:13.480 これまで以上にそうでなければ 00:08:13.480 --> 00:08:16.498 47%のアメリカ人労働者たちは 00:08:16.498 --> 00:08:19.796 続く20年のうちに職を失うと予測されています 00:08:19.796 --> 00:08:21.769 私は進化に反対する訳ではありません 00:08:21.769 --> 00:08:26.650 皆さん同様自動走行車や ジェット推進機が欲しいと思います 00:08:26.650 --> 00:08:32.500 ただ 豊かさや利益が増えるにつれ 00:08:32.500 --> 00:08:37.929 企業の社会的責任(CSR)も増さなければならない と気づいて頂きたいと切に願うのです NOTE Paragraph 00:08:37.929 --> 00:08:43.664 資本主義の父、アダム・スミスは言いました 「もし正義という支柱が失われれば」 00:08:43.664 --> 00:08:49.419 「人間社会の偉大で巨大な組織は 一瞬に崩壊してばらばらになるに違いない」 00:08:49.419 --> 00:08:53.626 「人間社会の偉大で巨大な組織は 一瞬に崩壊してばらばらになるに違いない」 NOTE Paragraph 00:08:53.626 --> 00:08:57.390 私がまだ若い頃 何か問題があれば 00:08:57.390 --> 00:09:01.573 ママはいつもため息をついて 頭を振りこう言いました 00:09:01.573 --> 00:09:05.630 「(神よ)お慈悲を!」 00:09:05.630 --> 00:09:10.181 今という時は私たちが 慈悲を示す時なのではなく 00:09:10.181 --> 00:09:13.370 私たちが公正でいられるのだと 行動で示すことが出来る時なのです 00:09:13.370 --> 00:09:15.846 あなたも私も―私たちにはそれが出来ます 00:09:15.846 --> 00:09:21.100 今働いている所、業界から始めるのです 00:09:21.100 --> 00:09:24.460 そして公正を利益と同じ価値にまで 引き上げることが出来た時 00:09:24.460 --> 00:09:28.408 世界で最も素晴らしいことが起こります 00:09:28.408 --> 00:09:31.774 人間らしさを取り戻すのです NOTE Paragraph 00:09:31.774 --> 00:09:34.421 どうも有難うございました NOTE Paragraph 00:09:34.421 --> 00:09:38.246 (拍手)