1 00:00:01,000 --> 00:00:04,000 少し紛争に関係した話をします 2 00:00:04,000 --> 00:00:06,000 幻滅したことや 3 00:00:06,000 --> 00:00:08,000 死についての話 4 00:00:08,000 --> 00:00:10,000 そして 混沌とした世界で 5 00:00:10,000 --> 00:00:12,000 理想主義を 6 00:00:12,000 --> 00:00:14,000 再認識することについての話です 7 00:00:14,000 --> 00:00:16,000 教訓についても話すつもりです 8 00:00:16,000 --> 00:00:18,000 混乱と分裂の続く 9 00:00:18,000 --> 00:00:21,000 物騒な21世紀の世界と 10 00:00:21,000 --> 00:00:24,000 どのように向き合うかについての教訓です 11 00:00:25,000 --> 00:00:28,000 私は単純で明快な説明を信じません 12 00:00:28,000 --> 00:00:30,000 例えば 人生や歴史を記述する中に 13 00:00:30,000 --> 00:00:33,000 決定Aから結果Bが導かれ そこから結果Cが導かれた 14 00:00:33,000 --> 00:00:35,000 という説明があっても信じません 15 00:00:35,000 --> 00:00:37,000 我々が期待しているともいえる 16 00:00:37,000 --> 00:00:40,000 整理され単純化された説明は信じないのです 17 00:00:40,000 --> 00:00:42,000 信じるのは偶発的なことです 18 00:00:42,000 --> 00:00:44,000 その理由の一つは 19 00:00:44,000 --> 00:00:47,000 外交官になった経緯が偶然だったことです 20 00:00:47,000 --> 00:00:49,000 私は色覚障害で 生まれつき 21 00:00:49,000 --> 00:00:51,000 ほとんどの色を見分けられません 22 00:00:51,000 --> 00:00:54,000 いつも灰色や黒しか身に着けないのは そのせいです 23 00:00:54,000 --> 00:00:56,000 ですから 24 00:00:56,000 --> 00:00:59,000 洋服は 妻に選んでもらわなければなりません 25 00:00:59,000 --> 00:01:02,000 幼い頃 ずっと戦闘機のパイロットになりたくて 26 00:01:02,000 --> 00:01:04,000 田舎の別荘で 27 00:01:04,000 --> 00:01:07,000 上空を飛ぶ飛行機を見て過ごすのが大好きでした 28 00:01:07,000 --> 00:01:10,000 戦闘機パイロットになることが少年時代の夢だったのです 29 00:01:10,000 --> 00:01:13,000 英国空軍パイロットの試験を受けましたが 30 00:01:13,000 --> 00:01:15,000 もちろん 落ちました 31 00:01:15,000 --> 00:01:17,000 ランプの点滅を見極められず 32 00:01:17,000 --> 00:01:19,000 色も識別できませんでしたから 33 00:01:19,000 --> 00:01:21,000 職業を考え直す必要に迫られました 34 00:01:21,000 --> 00:01:24,000 しかし それは案外簡単なことでした 35 00:01:24,000 --> 00:01:27,000 少年時代ずっと熱中していたことがあったからです 36 00:01:27,000 --> 00:01:29,000 それは国際関係です 37 00:01:29,000 --> 00:01:31,000 私は 38 00:01:31,000 --> 00:01:34,000 新聞を熟読する子供でした 39 00:01:34,000 --> 00:01:36,000 冷戦や 40 00:01:36,000 --> 00:01:38,000 中距離核戦力をめぐるINF交渉や 41 00:01:38,000 --> 00:01:41,000 アンゴラやアフガニスタンで起きた 42 00:01:41,000 --> 00:01:44,000 米ソ代理戦争などのニュースに 43 00:01:44,000 --> 00:01:47,000 夢中になりました 44 00:01:47,000 --> 00:01:50,000 こういったことに強い関心があったので 45 00:01:50,000 --> 00:01:52,000 幼い頃から 46 00:01:52,000 --> 00:01:54,000 外交官になりたいと思っていました 47 00:01:54,000 --> 00:01:57,000 ある日 それを両親に伝えようと -- 48 00:01:57,000 --> 00:01:59,000 父親はいまだにこの話を否定しますが 49 00:01:59,000 --> 00:02:01,000 "パパ ぼく外交官になりたい"と言うと 50 00:02:01,000 --> 00:02:03,000 父親はこう答えました 51 00:02:03,000 --> 00:02:05,000 "じゃあものすごく賢くならなくちゃね" 52 00:02:05,000 --> 00:02:07,000 (笑い) 53 00:02:07,000 --> 00:02:10,000 決意を固め 54 00:02:10,000 --> 00:02:12,000 1989年 55 00:02:12,000 --> 00:02:15,000 イギリスの外交官になりました 56 00:02:15,000 --> 00:02:17,000 その年の志願者は5000人で 57 00:02:17,000 --> 00:02:20,000 合格者はわずか20人でした 58 00:02:20,000 --> 00:02:23,000 この数からも分かるように 59 00:02:23,000 --> 00:02:26,000 エリートの集まりです 60 00:02:26,000 --> 00:02:29,000 刺激的で魅惑的な集団に仲間入りしたのです 61 00:02:30,000 --> 00:02:32,000 当時も今も 外交官という職業は 62 00:02:32,000 --> 00:02:35,000 とても素晴らしく 私はその全てを堪能し 63 00:02:35,000 --> 00:02:37,000 その社会的地位を満喫しました 64 00:02:37,000 --> 00:02:40,000 見栄えの良いスーツと革底の靴を身にまとい 65 00:02:40,000 --> 00:02:42,000 国際情勢と深く関わる自分の地位に 66 00:02:42,000 --> 00:02:45,000 酔いしれました 67 00:02:45,000 --> 00:02:47,000 ガザ地区に赴いたり 68 00:02:47,000 --> 00:02:49,000 イギリス外務省で 69 00:02:49,000 --> 00:02:51,000 中東和平プロセスを指揮したり 70 00:02:51,000 --> 00:02:53,000 イギリスの外務大臣の 71 00:02:53,000 --> 00:02:55,000 スピーチライターも務めました 72 00:02:55,000 --> 00:02:57,000 アラファト議長にも会いました 73 00:02:57,000 --> 00:02:59,000 国連で 74 00:02:59,000 --> 00:03:02,000 フセイン政権下の外交団と交渉もしました 75 00:03:02,000 --> 00:03:04,000 タリバン崩壊後はカブールに赴き 76 00:03:04,000 --> 00:03:07,000 アフガニスタンでの任務に就きました 77 00:03:07,000 --> 00:03:09,000 そして 78 00:03:09,000 --> 00:03:12,000 C-130輸送機に乗りこんで 79 00:03:12,000 --> 00:03:14,000 山中に潜伏している 80 00:03:14,000 --> 00:03:16,000 リーダーたちに会いに行きました 81 00:03:16,000 --> 00:03:18,000 彼らとともに アフガニスタンから 82 00:03:18,000 --> 00:03:21,000 アルカイダを根絶する方法について話し合いました 83 00:03:21,000 --> 00:03:24,000 私たちを 特殊部隊が護衛し 84 00:03:24,000 --> 00:03:27,000 その特殊部隊を 英国海兵隊が護衛していました 85 00:03:27,000 --> 00:03:29,000 非常に危険な任務だったからです 86 00:03:29,000 --> 00:03:32,000 刺激的でやりがいがあり 87 00:03:32,000 --> 00:03:34,000 非常に興味深い任務でした 88 00:03:34,000 --> 00:03:36,000 優れた組織で 89 00:03:36,000 --> 00:03:39,000 極めて結束の強い集団でした 90 00:03:39,000 --> 00:03:42,000 振り返ってみると 外交官としての私のピークは 91 00:03:42,000 --> 00:03:45,000 ニューヨークに配属された頃でした 92 00:03:45,000 --> 00:03:47,000 それまでにドイツやノルウェーのほか 93 00:03:47,000 --> 00:03:49,000 様々な地域で任務に就きましたが 94 00:03:49,000 --> 00:03:51,000 ニューヨークでは 95 00:03:51,000 --> 00:03:54,000 イギリス代表部に属し 国連安保理の仕事を任されました 96 00:03:54,000 --> 00:03:56,000 担当は中東でした 97 00:03:56,000 --> 00:03:58,000 中東は私の専門です 98 00:03:58,000 --> 00:04:00,000 そこでは 99 00:04:00,000 --> 00:04:02,000 中東和平プロセスや 100 00:04:02,000 --> 00:04:04,000 ロッカビー問題などに取り組みました 101 00:04:04,000 --> 00:04:07,000 それは別の機会にお話しすることにしましょう 102 00:04:07,000 --> 00:04:09,000 とりわけその中で 103 00:04:09,000 --> 00:04:11,000 イラクと大量破壊兵器 104 00:04:11,000 --> 00:04:13,000 そしてその武装解除を求める 105 00:04:13,000 --> 00:04:16,000 イギリスの対イラク制裁を担当しました 106 00:04:17,000 --> 00:04:19,000 イギリス側の交渉責任者として 107 00:04:19,000 --> 00:04:21,000 その任務に 108 00:04:21,000 --> 00:04:24,000 没頭しました 109 00:04:24,000 --> 00:04:27,000 とにかく 110 00:04:27,000 --> 00:04:30,000 大規模で劇的な外交だったという意味で 111 00:04:30,000 --> 00:04:33,000 非常に刺激的な任務でした 112 00:04:33,000 --> 00:04:35,000 ニューヨークに配属されていた間に 113 00:04:35,000 --> 00:04:38,000 何度か戦争がありました 114 00:04:38,000 --> 00:04:40,000 私はイギリスのために 115 00:04:40,000 --> 00:04:42,000 2001年9月12日の 116 00:04:42,000 --> 00:04:44,000 国連安保理決議案をまとめ 117 00:04:44,000 --> 00:04:47,000 前日のテロ攻撃を非難しました 118 00:04:47,000 --> 00:04:49,000 その当時ニューヨークにいた私たちに 119 00:04:49,000 --> 00:04:52,000 深い衝撃を与えた事件でした 120 00:04:52,000 --> 00:04:54,000 ですからニューヨークでの経験は 121 00:04:54,000 --> 00:04:56,000 最高とも最悪とも言えるものでした 122 00:04:56,000 --> 00:04:58,000 ニューヨークでは贅沢に暮らし 123 00:04:58,000 --> 00:05:00,000 長時間勤務とはいえ 家は 124 00:05:00,000 --> 00:05:02,000 ユニオン スクエアにあるマンションの最上階でした 125 00:05:02,000 --> 00:05:05,000 独身イギリス外交官がどんなニューヨーク生活を送るか 126 00:05:05,000 --> 00:05:07,000 皆さん大体想像ができますよね? 127 00:05:07,000 --> 00:05:10,000 (笑い) 128 00:05:10,000 --> 00:05:12,000 とても楽しい生活でした 129 00:05:12,000 --> 00:05:14,000 しかし2002年 130 00:05:14,000 --> 00:05:17,000 任務が終了した後 131 00:05:17,000 --> 00:05:20,000 ロンドンには戻らないことに決めました 132 00:05:20,000 --> 00:05:22,000 ロンドンで任務が待っていましたが 133 00:05:22,000 --> 00:05:24,000 特別研究休暇をとって 134 00:05:24,000 --> 00:05:26,000 ニュー スクール大学で過ごすことにしました 135 00:05:27,000 --> 00:05:30,000 曖昧でぼんやりとした感覚でしたが 136 00:05:30,000 --> 00:05:32,000 仕事や自分の何かが 137 00:05:32,000 --> 00:05:34,000 間違っていると感じたのです 138 00:05:34,000 --> 00:05:36,000 疲れ果てていましたし 139 00:05:36,000 --> 00:05:38,000 理由ははっきりとしないのですが 140 00:05:38,000 --> 00:05:40,000 幻滅もしていたので 141 00:05:40,000 --> 00:05:43,000 少し仕事から離れてみることにしたのです 142 00:05:43,000 --> 00:05:45,000 外務省は非常に寛大でした 143 00:05:45,000 --> 00:05:47,000 外交官の地位を残したまま 144 00:05:47,000 --> 00:05:50,000 実際の任務に就かずに 特別な無給休暇をとれたのです 145 00:05:50,000 --> 00:05:52,000 良い待遇でした 146 00:05:52,000 --> 00:05:54,000 その後しばらくして 147 00:05:54,000 --> 00:05:57,000 国連コソボミッションへの配属を希望しました 148 00:05:59,000 --> 00:06:02,000 当時コソボは国連の管理下におかれていました 149 00:06:02,000 --> 00:06:04,000 コソボでは二つのことが起きました 150 00:06:04,000 --> 00:06:06,000 これもまた 151 00:06:06,000 --> 00:06:08,000 人生の偶発性を示す出来事でした 152 00:06:08,000 --> 00:06:10,000 なぜならこの二つが 153 00:06:10,000 --> 00:06:12,000 私の人生の転換期となったからです 154 00:06:12,000 --> 00:06:15,000 私の背中を押してくれた出来事です 155 00:06:15,000 --> 00:06:17,000 しかしこの二つは別々の出来事です 156 00:06:17,000 --> 00:06:20,000 一つは2004年の夏 157 00:06:20,000 --> 00:06:22,000 公式調査委員会がやっと設立されて 158 00:06:22,000 --> 00:06:24,000 大量破壊兵器に関する機密情報を 159 00:06:24,000 --> 00:06:26,000 イラク戦争の開戦前に 160 00:06:26,000 --> 00:06:29,000 イギリス政府がどう使ったか調べると決めた時のことです 161 00:06:29,000 --> 00:06:31,000 非常に制限のかかっていた問題でした 162 00:06:31,000 --> 00:06:34,000 私は極秘に委員会で証言しました 163 00:06:34,000 --> 00:06:37,000 私はイラクとその大量破壊兵器の情報に 164 00:06:37,000 --> 00:06:39,000 精通していました 165 00:06:39,000 --> 00:06:42,000 証言では三つのことを述べました 166 00:06:42,000 --> 00:06:45,000 まず 政府によって情報が誇張されたこと 167 00:06:45,000 --> 00:06:48,000 どの資料をみてもこれは明らかでした 168 00:06:48,000 --> 00:06:51,000 実際 内部調査によってイラクの大量破壊兵器が 169 00:06:51,000 --> 00:06:53,000 イラク周辺国はもちろん 170 00:06:53,000 --> 00:06:56,000 ましてイギリスの脅威となり得ないことは明らかでした 171 00:06:56,000 --> 00:06:59,000 次に 戦争以外に取り得る選択肢を政府が全て無視したこと 172 00:06:59,000 --> 00:07:01,000 これは色々な意味で 173 00:07:01,000 --> 00:07:04,000 より恥ずべき行為だと言えるでしょう 174 00:07:04,000 --> 00:07:06,000 三つめはご紹介しませんが 175 00:07:06,000 --> 00:07:08,000 とにかく 証言しました 176 00:07:08,000 --> 00:07:10,000 そして窮地に陥りました 177 00:07:10,000 --> 00:07:12,000 証言することで 178 00:07:12,000 --> 00:07:15,000 "虚偽に基づく戦争"に賛成だったと思われる 179 00:07:15,000 --> 00:07:17,000 同僚や大臣などを 180 00:07:17,000 --> 00:07:20,000 酷評する結果となって 181 00:07:20,000 --> 00:07:22,000 私は苦境に陥ったのです 182 00:07:22,000 --> 00:07:24,000 良い気分ではありませんでした 183 00:07:24,000 --> 00:07:26,000 不平や不満 戸惑いや躊躇を 184 00:07:26,000 --> 00:07:29,000 辛抱強い妻に何度も何度も聞かせたあと 185 00:07:30,000 --> 00:07:33,000 私はイギリス外務省を辞める決意をしました 186 00:07:33,000 --> 00:07:37,000 アル パチーノ主演の映画"インサイダー"の中に次のような場面があります 187 00:07:37,000 --> 00:07:39,000 タバコ会社を内部告発した男の件で 188 00:07:39,000 --> 00:07:42,000 CBS上層部の対応に失望したアル パチーノが最後に一言 189 00:07:42,000 --> 00:07:45,000 "もうここでは続けられないよ 何かが壊れちまった" 190 00:07:45,000 --> 00:07:47,000 まさに私の台詞でした 大好きな映画です 191 00:07:47,000 --> 00:07:49,000 私の中で何か壊れた気がしました 192 00:07:49,000 --> 00:07:51,000 外務大臣や首相と笑顔で同席し 193 00:07:51,000 --> 00:07:53,000 かつては喜んでしてきた任務を 194 00:07:53,000 --> 00:07:56,000 続けられなくなっていたのです 195 00:07:56,000 --> 00:07:59,000 思い切り助走をつけて 196 00:07:59,000 --> 00:08:02,000 断崖から飛び降りる思いでした 197 00:08:02,000 --> 00:08:06,000 非常に居心地が悪く 気分の良いものではありませんでした 198 00:08:06,000 --> 00:08:08,000 落下を始めた私は 199 00:08:08,000 --> 00:08:11,000 今でも止まることなく 200 00:08:11,000 --> 00:08:13,000 落ち続けています 201 00:08:13,000 --> 00:08:16,000 しかしなんとなくこの感覚に慣れてきました 202 00:08:16,000 --> 00:08:18,000 崖の上に立って 203 00:08:18,000 --> 00:08:20,000 何をすべきか 204 00:08:20,000 --> 00:08:22,000 思い悩んでいることを考えれば 205 00:08:22,000 --> 00:08:24,000 ずっとましな感覚です 206 00:08:24,000 --> 00:08:26,000 二つめはコソボで起きました 207 00:08:26,000 --> 00:08:29,000 ちょっと水を飲ませて下さい 208 00:08:31,000 --> 00:08:33,000 二つめはコソボで起きました 209 00:08:33,000 --> 00:08:35,000 私に答えを教えてくれた出来事です 210 00:08:35,000 --> 00:08:38,000 ずっと答えを出せずにいた 211 00:08:38,000 --> 00:08:41,000 "この先何をして生きていくのか?"という問いの答えです 212 00:08:42,000 --> 00:08:44,000 私は外交が好きです 213 00:08:44,000 --> 00:08:46,000 他にキャリアはありませんし 214 00:08:46,000 --> 00:08:49,000 一生外交官としてイギリスのために働くと思っていました 215 00:08:49,000 --> 00:08:51,000 大使になることが私の目標でした 216 00:08:51,000 --> 00:08:53,000 大使は私の師でありヒーローであり 217 00:08:53,000 --> 00:08:55,000 外交官のトップです 218 00:08:55,000 --> 00:08:57,000 ここにきて 全て投げ出したのです 219 00:08:57,000 --> 00:08:59,000 外務省に残る多くの友人 220 00:08:59,000 --> 00:09:01,000 積み立てた年金 221 00:09:01,000 --> 00:09:03,000 それを全て手放したのです 222 00:09:03,000 --> 00:09:05,000 では そのあとの話をしましょう 223 00:09:05,000 --> 00:09:07,000 その年コソボで 224 00:09:07,000 --> 00:09:10,000 悲惨な事件が起こり 私はその場に居合わせました 225 00:09:10,000 --> 00:09:12,000 2004年3月 226 00:09:12,000 --> 00:09:15,000 当時のコソボ自治州全域で暴動が起こりました 227 00:09:15,000 --> 00:09:17,000 暴動によって18人が殺され 228 00:09:17,000 --> 00:09:19,000 無政府状態でした 229 00:09:19,000 --> 00:09:21,000 酷い光景でした 230 00:09:21,000 --> 00:09:23,000 多くの軍隊が駐留していましたが 231 00:09:23,000 --> 00:09:25,000 警察や軍隊でさえ 232 00:09:25,000 --> 00:09:27,000 暴動を抑えることが出来ませんでした 233 00:09:27,000 --> 00:09:29,000 町中を暴れまわる 234 00:09:29,000 --> 00:09:32,000 暴徒を止めることができるものは 235 00:09:32,000 --> 00:09:34,000 暴徒の意思のみであり 236 00:09:34,000 --> 00:09:36,000 破壊や殺戮に満足するまで続きました 237 00:09:36,000 --> 00:09:39,000 極めて悲惨な状況を目の当たりにしました 238 00:09:39,000 --> 00:09:42,000 アルバニア人の友人らと共に説得を試みましたが 239 00:09:42,000 --> 00:09:45,000 暴徒を抑えることは出来ませんでした 240 00:09:45,000 --> 00:09:48,000 この暴動によって 241 00:09:48,000 --> 00:09:51,000 一見しても分からない ある複雑な事実を学びました 242 00:09:51,000 --> 00:09:53,000 数日にわたって 243 00:09:53,000 --> 00:09:55,000 暴動が繰り返された理由の一つは 244 00:09:55,000 --> 00:09:57,000 コソボの人たちが 245 00:09:57,000 --> 00:10:00,000 コソボの将来を決める権利を奪われたことにありました 246 00:10:01,000 --> 00:10:04,000 当時 コソボの将来をめぐって 247 00:10:04,000 --> 00:10:06,000 外交交渉が行われていましたが 248 00:10:06,000 --> 00:10:08,000 コソボ政府 ましてやコソボの人たちは 249 00:10:08,000 --> 00:10:10,000 その交渉の場に 250 00:10:10,000 --> 00:10:12,000 招かれていませんでした 251 00:10:12,000 --> 00:10:15,000 おかしな外交体制で 252 00:10:15,000 --> 00:10:18,000 コソボの将来について話し合う交渉プロセスでありながら 253 00:10:18,000 --> 00:10:20,000 コソボの人たちは蚊帳の外でした 254 00:10:20,000 --> 00:10:23,000 当然コソボの人たちはそんな現状に不満を抱いていました 255 00:10:23,000 --> 00:10:26,000 暴動はその不満の表れでもありました 256 00:10:26,000 --> 00:10:28,000 理由はこれだけではありません 257 00:10:28,000 --> 00:10:30,000 そんなに単純ではなく 258 00:10:30,000 --> 00:10:32,000 理由はもっと複雑です 259 00:10:32,000 --> 00:10:34,000 事実を単純化するつもりはないのですが 260 00:10:34,000 --> 00:10:36,000 理由の一つではあります 261 00:10:36,000 --> 00:10:38,000 このとき ふと思いつきました 262 00:10:38,000 --> 00:10:40,000 正確には 263 00:10:40,000 --> 00:10:42,000 妻に言われたのです 264 00:10:42,000 --> 00:10:45,000 "どうしてコソボの人たちにアドバイスしないの?" 265 00:10:45,000 --> 00:10:48,000 "雇われ外交官としてコソボ政府に外交アドバイスをしたら?" 266 00:10:48,000 --> 00:10:50,000 コソボには外務省がありませんでした 267 00:10:50,000 --> 00:10:52,000 外交団の存在が認められず 268 00:10:52,000 --> 00:10:54,000 外交機関も認められていませんでした 269 00:10:54,000 --> 00:10:57,000 "コソボの最終地位決定プロセス"として知られる 270 00:10:57,000 --> 00:11:00,000 非常に複雑な外交プロセスを担う組織が存在しませんでした 271 00:11:00,000 --> 00:11:02,000 そこで思いついた 272 00:11:02,000 --> 00:11:04,000 雇われ外交官のアイデアが 273 00:11:04,000 --> 00:11:07,000 世界で初めて外交アドバイスを行う非営利組織 274 00:11:07,000 --> 00:11:09,000 "独立外交官"の原点となりました 275 00:11:09,000 --> 00:11:12,000 最初の契約はロンドンから戻った時のことでした 276 00:11:12,000 --> 00:11:15,000 国連コソボミッションを終えた後のことです 277 00:11:15,000 --> 00:11:18,000 夕食に同席したコソボの首相に こう言いました 278 00:11:18,000 --> 00:11:21,000 "外交アドバイスをしますよ 知識も経験もあります" 279 00:11:21,000 --> 00:11:24,000 "あなたの国の外交を手伝わせてください" 280 00:11:24,000 --> 00:11:26,000 グラスを合わせて首相は答えました 281 00:11:26,000 --> 00:11:28,000 "ぜひ君にお願いしよう" 282 00:11:28,000 --> 00:11:30,000 こうして コソボ政府の 283 00:11:30,000 --> 00:11:32,000 外交アドバイザーに就任しました 284 00:11:32,000 --> 00:11:35,000 3代続けてコソボ首相の外交アドバイザーを務め 285 00:11:35,000 --> 00:11:38,000 多国間交渉に参加する交渉団にもアドバイスしました 286 00:11:38,000 --> 00:11:41,000 やがてコソボは独立しました 287 00:11:41,000 --> 00:11:44,000 "独立外交官"は現在 288 00:11:44,000 --> 00:11:46,000 世界5ヶ所にオフィスを構えて 289 00:11:46,000 --> 00:11:48,000 7か8の国 290 00:11:48,000 --> 00:11:51,000 あるいは政治組織とも呼ばれる人たち 291 00:11:51,000 --> 00:11:53,000 そういった相手に 292 00:11:53,000 --> 00:11:55,000 外交アドバイスを行っています 293 00:11:55,000 --> 00:11:58,000 顧客はキプロス島の再統合を目指す北キプロスや 294 00:11:58,000 --> 00:12:00,000 ビルマの反対派勢力です 295 00:12:00,000 --> 00:12:02,000 初耳かもしれませんが 296 00:12:02,000 --> 00:12:04,000 南部スーダン自治政府は 297 00:12:04,000 --> 00:12:06,000 数年のうちに独立国となるでしょう 298 00:12:08,000 --> 00:12:11,000 西サハラのポリサリオ戦線も私たちの顧客です 299 00:12:11,000 --> 00:12:13,000 彼らは34年間にわたり 300 00:12:13,000 --> 00:12:15,000 モロッコを相手に 301 00:12:15,000 --> 00:12:18,000 民族自決の戦いを続けています 302 00:12:18,000 --> 00:12:21,000 コペンハーゲンで開催が予定される 303 00:12:21,000 --> 00:12:23,000 国連気候変動会議に関して 304 00:12:23,000 --> 00:12:25,000 小島嶼諸国にもアドバイスしています 305 00:12:26,000 --> 00:12:28,000 また偶然という話になりますが 306 00:12:28,000 --> 00:12:30,000 "独立外交官"として駆け出しの頃 307 00:12:30,000 --> 00:12:32,000 上院議員のパーティに 308 00:12:32,000 --> 00:12:34,000 顔を出した時のことでした 309 00:12:34,000 --> 00:12:36,000 こんなふうにグラスを持ったまま 310 00:12:36,000 --> 00:12:38,000 後ろにいた男性にぶつかってしまって 311 00:12:38,000 --> 00:12:40,000 その男性と会話が始まり 312 00:12:40,000 --> 00:12:42,000 私が何をしているか話しました 313 00:12:42,000 --> 00:12:44,000 いささか重々しい口調で 314 00:12:44,000 --> 00:12:46,000 ニューヨークで"独立外交官"を始めること 315 00:12:46,000 --> 00:12:48,000 スタッフは私だけで 316 00:12:48,000 --> 00:12:50,000 妻とニューヨークへ戻ることを話すと 317 00:12:50,000 --> 00:12:53,000 ニューヨークにいる同僚に会うよう勧められました 318 00:12:53,000 --> 00:12:55,000 実は 革新を提供する会社 319 00:12:55,000 --> 00:12:57,000 "?What If!"の社員だったのです 320 00:12:57,000 --> 00:12:59,000 社名はご存知かもしれませんね 321 00:12:59,000 --> 00:13:01,000 その後いろんな事が重なり 322 00:13:01,000 --> 00:13:03,000 "独立外交官"を始動させた頃 323 00:13:03,000 --> 00:13:05,000 ニューヨークで"?What If!"に 324 00:13:05,000 --> 00:13:07,000 籍を置くことになりました 325 00:13:07,000 --> 00:13:09,000 "?What If!"で 326 00:13:09,000 --> 00:13:11,000 チューイングガムやコーラの 327 00:13:11,000 --> 00:13:13,000 新しい風味を開発するのを見ることが 328 00:13:13,000 --> 00:13:15,000 コソボの人たちや 329 00:13:15,000 --> 00:13:17,000 西サハラのサハラウィのために 330 00:13:17,000 --> 00:13:20,000 新しい戦略を編み出すのにとても役に立ちました 331 00:13:20,000 --> 00:13:23,000 外交の方法は一つではないことに気づき始めました 332 00:13:23,000 --> 00:13:25,000 外交とはつまりビジネスのように 333 00:13:25,000 --> 00:13:27,000 問題を解決するという事業なのです 334 00:13:27,000 --> 00:13:30,000 しかし従来の外交には"革新"という言葉が存在しません 335 00:13:30,000 --> 00:13:33,000 ゼロ サムゲームやリアルポリティック(現実的政治)であり 336 00:13:33,000 --> 00:13:36,000 脈々と受け継がれた古臭い慣例に他なりません 337 00:13:36,000 --> 00:13:39,000 そんな伝統を守っているのが今の外交の姿なのです 338 00:13:39,000 --> 00:13:41,000 "独立外交官"は現在 339 00:13:41,000 --> 00:13:44,000 "?What If!"から学んだことを取り入れようとしています 340 00:13:44,000 --> 00:13:47,000 全員が一室に集まることで あちこちで議論が起こり 341 00:13:47,000 --> 00:13:50,000 発想の転換を図るためノートパソコンを手に席を移動します 342 00:13:50,000 --> 00:13:52,000 また顧客に関する知識を持たない 343 00:13:52,000 --> 00:13:55,000 別分野の専門家を起用して 344 00:13:55,000 --> 00:13:57,000 私たちが取り組む問題に 345 00:13:57,000 --> 00:13:59,000 斬新な考えを 346 00:13:59,000 --> 00:14:01,000 取り入れるようにしています 347 00:14:01,000 --> 00:14:03,000 当然ながら私たちの顧客は 348 00:14:03,000 --> 00:14:05,000 国際社会で困難な立場にあるため 349 00:14:05,000 --> 00:14:08,000 仕事は簡単ではありません 350 00:14:10,000 --> 00:14:12,000 そうしたなかで 351 00:14:12,000 --> 00:14:15,000 いくつか教訓を得ました 352 00:14:15,000 --> 00:14:17,000 個人的なものと政治的なものですが 353 00:14:17,000 --> 00:14:20,000 ある意味でこの二つは同じものです 354 00:14:20,000 --> 00:14:22,000 個人的な教訓は 355 00:14:22,000 --> 00:14:24,000 崖から飛び降りるような経験が 356 00:14:24,000 --> 00:14:27,000 実は良いことだということです ぜひお勧めします 357 00:14:28,000 --> 00:14:30,000 少なくとも人生の中で一度くらい 358 00:14:30,000 --> 00:14:33,000 全てをめちゃくちゃにして飛び降りるのも良いものです 359 00:14:34,000 --> 00:14:37,000 もう一つは今日の世界に関するもっと大きな教訓です 360 00:14:37,000 --> 00:14:40,000 "独立外交官"は世界に広がる 361 00:14:40,000 --> 00:14:43,000 新たな動向の一部だといえます 362 00:14:43,000 --> 00:14:46,000 世界はますます分裂が進み 363 00:14:46,000 --> 00:14:49,000 国家はかつてほど重要性を持たなくなりました 364 00:14:49,000 --> 00:14:51,000 国家権力は減退しつつあります 365 00:14:51,000 --> 00:14:53,000 国家以外の勢力が増大しているのです 366 00:14:53,000 --> 00:14:55,000 非国家主体と呼ばれ 367 00:14:55,000 --> 00:14:57,000 企業や 368 00:14:57,000 --> 00:15:00,000 マフィア集団 善良なNGOなど 369 00:15:00,000 --> 00:15:02,000 その形態は 370 00:15:02,000 --> 00:15:04,000 いくらでもあります 371 00:15:04,000 --> 00:15:07,000 以前よりも複雑で分化した世界に私たちは生きています 372 00:15:07,000 --> 00:15:09,000 私たちに影響が及ぶ問題に対し 373 00:15:09,000 --> 00:15:11,000 政府の介入能力が 374 00:15:11,000 --> 00:15:14,000 減退しているのであれば 375 00:15:14,000 --> 00:15:17,000 代わりにその問題に対応してくれる人 376 00:15:17,000 --> 00:15:19,000 責任を負うべき人は誰か? 377 00:15:19,000 --> 00:15:21,000 それは私たちです 378 00:15:21,000 --> 00:15:24,000 政府の代わりに行動を起こすのは私たちなのです 379 00:15:24,000 --> 00:15:27,000 私たちはこの現実を受け入れなければなりません 380 00:15:27,000 --> 00:15:29,000 それは 381 00:15:29,000 --> 00:15:32,000 国際関係や国際問題 382 00:15:32,000 --> 00:15:35,000 あるいはソマリアの混乱 383 00:15:35,000 --> 00:15:37,000 ビルマで起きていることなどを 384 00:15:37,000 --> 00:15:40,000 自分と無関係だから政府にまかせておけば良い 385 00:15:40,000 --> 00:15:43,000 とは言えなくなったことを意味します 386 00:15:43,000 --> 00:15:45,000 ここにいる皆さん一人一人を 387 00:15:45,000 --> 00:15:47,000 いわゆる"六次の隔たり"で 388 00:15:47,000 --> 00:15:50,000 ソマリアのアルシャバブ市民軍に結びつけられます 389 00:15:50,000 --> 00:15:54,000 詳細は省きますが 興味深いことに 口にしている魚が 皆さんを 390 00:15:54,000 --> 00:15:56,000 ソマリアの市民軍に結びつけるのです 391 00:15:56,000 --> 00:15:58,000 私たちは密接に結びついています 392 00:15:58,000 --> 00:16:00,000 トム フリードマンの論にとどまらず 393 00:16:00,000 --> 00:16:03,000 実際にどんなケースにもあてはまります 394 00:16:03,000 --> 00:16:06,000 政治家に頼らず 395 00:16:06,000 --> 00:16:09,000 自分で行動を起こす必要があるということなのです 396 00:16:09,000 --> 00:16:11,000 このような例を具体化したものが 397 00:16:11,000 --> 00:16:13,000 "独立外交官"だと言えるでしょう 398 00:16:13,000 --> 00:16:16,000 一つ例をあげてみましょう 399 00:16:16,000 --> 00:16:18,000 世界が移り変わる様相は 400 00:16:18,000 --> 00:16:20,000 国連安保理の活動からも 401 00:16:20,000 --> 00:16:22,000 見て取れます 402 00:16:22,000 --> 00:16:25,000 国際連合は1945年に発足しました 403 00:16:25,000 --> 00:16:27,000 国連憲章は加盟国間 つまり -- 404 00:16:27,000 --> 00:16:29,000 国と国との紛争を解決するために 405 00:16:29,000 --> 00:16:31,000 定められたものです 406 00:16:31,000 --> 00:16:33,000 今日の国連安保理では 407 00:16:33,000 --> 00:16:35,000 議題の8割が 408 00:16:35,000 --> 00:16:37,000 内紛に関するものです 409 00:16:37,000 --> 00:16:39,000 非国家集団 410 00:16:39,000 --> 00:16:41,000 ゲリラや分離主義者 411 00:16:41,000 --> 00:16:43,000 テロリストが関与しています 412 00:16:43,000 --> 00:16:46,000 彼らは従来の政府や国家主体の集団ではありません 413 00:16:46,000 --> 00:16:49,000 これが今日の世界情勢なのです 414 00:16:49,000 --> 00:16:51,000 この事実を理解し 415 00:16:51,000 --> 00:16:54,000 国連安保理で行われていたことや 416 00:16:54,000 --> 00:16:56,000 コソボの状況を思い返して 417 00:16:56,000 --> 00:16:58,000 私は気が付きました 418 00:16:58,000 --> 00:17:00,000 国連安保理の活動から 419 00:17:00,000 --> 00:17:02,000 最も大きな影響を受ける人たちが 420 00:17:02,000 --> 00:17:04,000 話し合いに招かれず 421 00:17:04,000 --> 00:17:06,000 発言権を与えられていないのです 422 00:17:06,000 --> 00:17:08,000 これは間違っていると思いました 423 00:17:08,000 --> 00:17:10,000 どうにかしなければと思いました 424 00:17:10,000 --> 00:17:13,000 まずは一般的なやり方から始めようと 425 00:17:13,000 --> 00:17:15,000 "独立外交官"のスタッフらと共に 426 00:17:15,000 --> 00:17:17,000 国連安保理や 427 00:17:17,000 --> 00:17:19,000 カザフスタン エチオピア イスラエルなど 428 00:17:19,000 --> 00:17:21,000 70近い国連加盟国を訪問して 429 00:17:21,000 --> 00:17:23,000 国連事務総長や多くの関係者に 430 00:17:23,000 --> 00:17:25,000 こう言いました 431 00:17:25,000 --> 00:17:27,000 "実際に影響を受ける人から" 432 00:17:27,000 --> 00:17:29,000 "意見を聞かないのは間違いです" 433 00:17:29,000 --> 00:17:31,000 "コソボの人たちの参加できる体制が" 434 00:17:31,000 --> 00:17:33,000 "必要なのです そうすれば" 435 00:17:33,000 --> 00:17:35,000 "相手の考えを聞くだけでなく" 436 00:17:35,000 --> 00:17:37,000 "あなた方の考えも伝えられます" 437 00:17:37,000 --> 00:17:39,000 "つまり意見の交換です" 438 00:17:39,000 --> 00:17:42,000 "相手の考えを取り入れれば あなた方の決定が もっと" 439 00:17:42,000 --> 00:17:44,000 "効果的で永続的なものになるのです" 440 00:17:47,000 --> 00:17:49,000 正論です 441 00:17:49,000 --> 00:17:51,000 非常に道理にかなっています 442 00:17:51,000 --> 00:17:54,000 もちろん全員が納得して こう言いました 443 00:17:54,000 --> 00:17:56,000 "おっしゃるとおりです" 444 00:17:56,000 --> 00:17:58,000 "6ヶ月後に また連絡ください" 445 00:17:58,000 --> 00:18:01,000 もちろん何も起きませんでした 誰も何もしなかったのです 446 00:18:01,000 --> 00:18:03,000 国連安保理は 今でも 447 00:18:03,000 --> 00:18:05,000 ずっと昔と同じやり方で 448 00:18:05,000 --> 00:18:08,000 任務を遂行しています 449 00:18:08,000 --> 00:18:11,000 私が10年前に働いていた頃と何も変わっていません 450 00:18:11,000 --> 00:18:13,000 この働きかけは 451 00:18:13,000 --> 00:18:15,000 失敗に終わったので 452 00:18:15,000 --> 00:18:17,000 他の方法を考えることにしました 453 00:18:17,000 --> 00:18:19,000 こんなことを思っていました 454 00:18:19,000 --> 00:18:21,000 "希望どおり動いてもらうために" 455 00:18:21,000 --> 00:18:23,000 "あんな政府を相手にしていたら" 456 00:18:23,000 --> 00:18:25,000 "残りの人生が台無しだ" 457 00:18:25,000 --> 00:18:27,000 そこで私たちは 458 00:18:27,000 --> 00:18:29,000 会議を設定することを思いつきました 459 00:18:29,000 --> 00:18:31,000 "独立外交官"は現在 460 00:18:31,000 --> 00:18:33,000 国連安保理の議題にのった紛争の 461 00:18:33,000 --> 00:18:35,000 当事者と 462 00:18:35,000 --> 00:18:37,000 国連安保理との会議を 463 00:18:37,000 --> 00:18:40,000 準備しています 464 00:18:40,000 --> 00:18:42,000 今後 465 00:18:42,000 --> 00:18:45,000 ダルフールの反乱グループや 466 00:18:45,000 --> 00:18:48,000 南北キプロス 467 00:18:49,000 --> 00:18:52,000 アチェの反体制派など 468 00:18:52,000 --> 00:18:54,000 混乱状態にある 469 00:18:54,000 --> 00:18:57,000 山ほどある紛争の当事者に参加してもらいます 470 00:18:57,000 --> 00:19:00,000 また彼らをニューヨークに招き 471 00:19:00,000 --> 00:19:02,000 静かな一室に座り 472 00:19:02,000 --> 00:19:04,000 報道陣のいない非公式の設定で 473 00:19:04,000 --> 00:19:06,000 当事者と安全保障理事国が 474 00:19:06,000 --> 00:19:08,000 双方の利害に関して 475 00:19:08,000 --> 00:19:10,000 お互いの意見を交換する場を 476 00:19:10,000 --> 00:19:12,000 設けます 477 00:19:12,000 --> 00:19:14,000 これは対話の場です 478 00:19:14,000 --> 00:19:16,000 初めて実現したのです 479 00:19:16,000 --> 00:19:19,000 政治についてよく知っている人たちは 480 00:19:19,000 --> 00:19:22,000 それは途方もなく困難だと思うでしょう 481 00:19:22,000 --> 00:19:24,000 私もその考えに同感です 482 00:19:24,000 --> 00:19:27,000 失敗する可能性はかなり高いでしょうが 483 00:19:27,000 --> 00:19:29,000 失敗を恐れて何もしなければ 484 00:19:29,000 --> 00:19:32,000 成功の可能性など無いのです 485 00:19:32,000 --> 00:19:35,000 外交官だった時と比べて 486 00:19:35,000 --> 00:19:37,000 私の戦略は根本から変わりました 487 00:19:37,000 --> 00:19:40,000 肝心なのは結果だと思っています 率直に言って 488 00:19:40,000 --> 00:19:43,000 プロセスもテクノロジーもさほど重要ではありません 489 00:19:43,000 --> 00:19:45,000 デモのツールとして 490 00:19:45,000 --> 00:19:48,000 ツイッターを駆使するイランの示威運動者にテクノロジーを説いても 491 00:19:48,000 --> 00:19:51,000 彼らを政治犯として拘束するイラン政府は 492 00:19:51,000 --> 00:19:53,000 アハマディネジャドが握ったままです 493 00:19:53,000 --> 00:19:56,000 テクノロジーはイランに政治改革をもたらしてはいません 494 00:19:57,000 --> 00:20:00,000 結果を見定めて自分に問いかけなければなりません 495 00:20:00,000 --> 00:20:02,000 "結果に向け 自分にできることは?" 496 00:20:02,000 --> 00:20:05,000 これが21世紀の政治です 497 00:20:05,000 --> 00:20:07,000 ある意味 "独立外交官"は 498 00:20:07,000 --> 00:20:10,000 誰にでも関係のある 分裂や変化というものを 499 00:20:10,000 --> 00:20:13,000 包括的に扱っていく手段なのです 500 00:20:14,000 --> 00:20:16,000 ご清聴ありがとうございました